説明

浴室ユニット

【課題】導光設備が結合される浴室ユニットであって、浴室ユニット内の低い位置で放光することができる浴室ユニットを提供する。
【解決手段】屋外から光を導入する光ダクトが結合される浴室ユニット1において、天井4に、光ダクト102に光学的に結合された導光口を設ける。また、浴室ユニット1の内部に、その上端が導光口に光学的に結合され、その内部が中空であり、その内面が光反射面とされた縦型ダクト7を設ける。縦型ダクト7の形状は略垂直方向に延びる筒状とし、導光口を介して導入された光を放光する側面放光口8及び下端放光口9を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットに関し、特に、屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建築物に光ダクトを設ける技術が開発されている。光ダクトとは、建築物の屋外から屋内まで連通し、その内面が光反射面となった筒状の部材であり、屋外の自然光を屋内に導入するものである。建築物にこのような光ダクトを設けることにより、日中の豊富な自然光を室内の照明に利用することができるため、照明コストを節約し、省エネルギー効果及び環境負荷軽減効果を得ることができる。また、室内に自然光を導入することにより、室内の居住性を向上させることができる。
【0003】
特許文献1には、浴室ユニットに連通された排気ダクトの内部に光ダクトを設けることにより、浴室ユニットに光ダクトを結合する技術が開示されている。この技術においては、排気ダクトの内部に光ダクトを収納しているため、光ダクトにより導入された外光を浴室ユニット内に放光する放光口は、浴室ユニット内の空気を排気ダクトに導入する排気口の内部に設けられるか、又は排気口に隣接して設けられる。通常、排気口は浴室ユニットの天井における浴槽側の領域に設けられているため、光ダクトの放光口も、天井における浴槽側の領域に設けられることになる。
【0004】
一方、浴室ユニット内は湿度が高く、カビが発生しやすいという問題がある。特に、浴室ユニットの床面は、水がかかりやすくカビが発生しやすい。また、入浴者が洗い場に座って身体などを洗う際に、手元が照明されると便利である。これらの問題を解決するために、光ダクトにより導入された光を、浴室ユニット内の低い位置で放光できることが好ましい。
【0005】
【特許文献1】実開昭60−033240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、導光設備が結合される浴室ユニットであって、浴室ユニット内の低い位置で放光することができる浴室ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットであって、前記浴室ユニットの天井に設けられた導光口と、少なくとも一部が前記浴室ユニットの内部に配置され、上端が前記導光口を介して前記導光設備に光学的に結合され、内部が中空であり、内面が光反射面とされ、前記導光口を介して導入された光を放光する放光口が形成された内部ダクトと、を備えたことを特徴とする浴室ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導光設備が結合され、浴室ユニット内の低い位置で放光可能な浴室ユニットを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る浴室ユニットが設けられた建築物を例示する模式的断面図であり、
図2は、この浴室ユニットを例示する斜視図であり、
図3は、この浴室ユニットを例示する断面図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る浴室ユニット1は、建築物、例えば住宅101に設置されている。住宅101においては、導光設備としての光ダクト102が配設されている。光ダクト102は、住宅101の建築工事により配設されたものである。光ダクト102の一方の端部は、例えば住宅101の屋根に設けられた採光部103に結合されており、他方の端部は、浴室ユニット1の天井4に結合されている。採光部103は、透明板からなるドームによって覆われており、砂や埃は通過させないが光は透過させる。光ダクト102の内部は中空であり、その内面は光反射面となっており、例えば、鏡面又は白色面となっている。これにより、光ダクト102は、住宅101の外部から採光部103を介して導入された外光Lを、その内面において反射しつつ導光して、浴室ユニット1の内部に導入する。
【0011】
図2に示すように、浴室ユニット1においては、床の一方の側に浴槽2が設けられており、他方の側が洗い場3となっている。また、浴室ユニット1の天井4における洗い場3側の領域には、光ダクト102に光学的に結合された導光口6が設けられている。そして、浴室ユニット1内には、内部ダクトとしての縦型ダクト7が設けられている。縦型ダクト7の形状は、例えば、略垂直方向に延びる四角筒状である。縦型ダクト7は、浴室ユニット1の側壁に沿って配置されており、その上端は導光口6に連結されており、その下端は洗い場3の床面5には接しておらず、床面5から例えば数十センチメートル離隔している。
【0012】
なお、浴室ユニット1の天井4には、導光口6の他に、例えば、点検口(図示せず)及び排気口(図示せず)が設けられている。また、例えば、浴室ユニット1の側壁14のうち、浴槽2の足側に位置する面における洗い場3側の領域には、入浴者のほぼ全身が映せるような大型の鏡15が取り付けられている。更に、鏡15の向かって左側の側方にはシャワー17が取り付けられており、鏡15の下方にはカウンター18が設けられている。そして、縦型ダクト7は、例えば、鏡15の向かって右側の側方、すなわち、鏡15が取り付けられている側壁と浴槽2に対向する側壁とがなす角部に配置されており、これらの2つの側壁に接している。
【0013】
図3に示すように、縦型ダクト7の内部は中空であり、その内面は光反射面とされている。光反射面とは、例えば、鏡面又は白色面であり、例えば、アルミニウム若しくはステンレスなどの金属面、又はこれらの金属面の表面に酸化アルミニウム若しくは樹脂などの被覆層が積層された面により構成することができる。
【0014】
縦型ダクト7の上端部には、透光板21がはめ込まれており、天井4の導光口6に連結されている。これにより、縦型ダクト7の上端は、導光口6を介して光ダクト102に光学的に結合されている。また、縦型ダクト7と導光口6との連結部は、ゴム製のパッキン22によりシールされている。
【0015】
また、縦型ダクト7の側面には、側面放光口8が設けられている。側面放光口8は、縦型ダクト7の洗い場3に面した側面における垂直方向中間部に配置されており、例えば、入浴者(図示せず)が洗い場3に座ったときに、手元の近くとなる高さに配置されている。側面放光口8は、光ダクト102から縦型ダクト7内に導入された光の一部を浴室ユニット1内に放光するための開口部であり、透光板23が水密的にはめ込まれている。
【0016】
更に、縦型ダクト7の下端面は、垂直方向及び水平方向の双方に対して傾斜しており、斜めに切断されたような面となっている。これにより、縦型ダクト7の側面のうち、浴室ユニット1の側壁に沿った側面、すなわち、鏡15が取り付けられている側壁14側の側面は、その反対側の側面、すなわち、洗い場3側の側面よりも下方まで延出している。そして、縦型ダクト7の下端面は開口しており、下端放光口9となっている。下端放光口9は、光ダクト102から縦型ダクト7内に導入された光のうち、側面放光口8から放光されなかった光を放光する。下端放光口9には、透光板24が水密的にはめ込まれている。
【0017】
上述の透光板21、23及び24は、光の少なくとも一部を透過させる板状部材であり、光を直進的に透過させる透明な樹脂、又は光を拡散させながら透過させる乳白色の樹脂により形成されている。
【0018】
次に、本実施形態に係る浴室ユニットの動作について説明する。
図1に示すように、住宅101の外部から外光L、例えば太陽光が、採光部103を介して光ダクト102の内部に導入される。この外光Lは、光ダクト102の内面によって繰り返し反射されながら光ダクト102内を伝達し、浴室ユニット1の導光口6及び透光板21を介して、縦型ダクト7の内部に導入される。
【0019】
縦型ダクト7内に導入された外光Lは、縦型ダクト7の内面により反射されながら下方に向けて伝達し、一部が側面放光口8を介して浴室ユニット1内に向けて放光される。また、外光Lの残部は、縦型ダクト7内を更に下方に向けて伝達し、下端放光口9を介して放光される。下端放光口9から放光された外光Lは、洗い場3の床面5に対して照射される。
【0020】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、光ダクト102により導入され、導光口6に到達した外光が、縦型ダクト7により下方に伝達され、側面放光口8及び下端放光口9まで導光される。この結果、側面放光口8により、外光を洗い場3に座っている入浴者の手元の近くで放光することができ、入浴者の手元を効率よく照明することができる。また、下端放光口9により、外光を床面5の近くで放光することができ、これにより、外光に含まれる赤外線成分が床面5を効率よく加熱して乾燥させ、床面5においてカビの発生を防止することができると共に、外光に含まれる紫外線成分によっても、カビの発生を防止することができる。
これに対して、特許文献1に記載の技術においては、浴室ユニットの天井に放光口が設けられているため、放光口から床面までの距離が長く、座っている入浴者の手元及び床面を効率的に照明することができない。
【0021】
また、本実施形態においては、縦型ダクト7の側面のうち、側壁14側の側面は、洗い場3側の側面よりも下方まで延出している。これにより、下端放光口9を介して、外光を洗い場3の中央部に向けて効率よく放光することができる。
【0022】
更に、外光を浴室ユニット内の低い位置で放光するためには、光ダクトを浴室ユニットの側方まで延ばし、その先端部を浴室ユニットの側壁に設けた放光口に結合させ、この放光口から外光を放光させることも考えられる。しかしながら、この場合は、浴室ユニットの側壁と建築物の壁との間に、光ダクトを配置するための大きな隙間を確保しなくてはならず、その分、浴室ユニットが狭くなってしまうという問題点がある。また、光ダクトを特別に設計しなくてはならないが、光ダクトは建築物の建造時に配設されるため、建築物の建造後に光ダクトを改造することが難しいという問題点がある。これに対して、本実施形態によれば、縦型ダクト7を浴室ユニット1の内部に設けているため、浴室ユニット1の外部に設ける場合と比較して、浴室ユニット1の側壁と住宅101の壁との間の隙間を狭くすることができる。これにより、浴室ユニット1を可及的に広くすることができる。また、光ダクトの改造が不要であり、光ダクトが浴室ユニットの天井裏まで配設されていれば、これに導光口を結合することができる。
【0023】
更にまた、入浴者の手元及び床面などの低い位置を照明するためには、電球又は蛍光灯などの人工照明を浴室ユニット内の低い位置に配置することも考えられる。しかしながら、このような低い位置には不可避的に水がかかるため、人工照明を配置する場合は漏電及び感電に対する厳重な対策が必要となる。これに対して、本実施形態においては、外光を利用して照明することができるため、漏電及び感電に対する対策が不要であり、設備コストが低い。
【0024】
更にまた、本実施形態においては、縦型ダクト7の上端部に透光板21及びパッキン22を設け、側面放光口8に透光板23をはめ込み、下端放光口9に透光板24をはめ込んでいるため、浴室ユニット1内の水分及び蒸気が、縦型ダクト7の内部及び光ダクト102の内部に侵入すること、並びに浴室ユニット1の天井裏に漏洩することを防止できる。なお、透光板21及びパッキン22による水密が確保されていれば、透光板23及び24を省略しても、水分及び水蒸気が光ダクト102内及び天井裏に漏洩することを防止できる。
【0025】
なお、本実施形態においては、側面放光口8は設けなくてもよい。また、逆に、側面放光口8を複数ヶ所設けてもよい。更に、側面放光口8の形状を、縦型ダクト7の全長にわたって垂直方向に延びるスリット状としてもよい。更にまた、側面放光口8及び下端放光口9に開閉可能なシャッターを取り付けて、放光位置を選択できるようにしてもよい。この場合、シャッターの裏面を光反射面とすれば、シャッターを閉めても光の利用効率が大きく低下することがない。
【0026】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係る浴室ユニットを例示する断面図である。
図4に示すように、本実施形態においては、縦型ダクト7に側面放光口8及び下端放光口9(図3参照)が設けられておらず、縦型ダクト7の洗い場3側の側面の下端部に、側面放光口30が設けられている。側面放光口30には透光板31が水密的にはめ込まれている。また、縦型ダクト7の下端面は、洗い場3側の側面が浴室ユニット1の側壁14側の側面よりも下方に延出するように傾斜しており、この下端面には鏡32がはめ込まれている。
【0027】
これにより、導光口6を介して縦型ダクト7内に導入された光は、縦型ダクト7の内面によって反射されながら下方に向けて導光され、直接又は鏡32により反射されて、側面放光口30から放光される。これによっても、床面5を効率よく照明することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。なお、縦型ダクト7の側面における放光口30よりも上方の領域に、他の側面放光口を設けてもよい。
【0028】
以上、実施形態を参照しつつ、本発明の特徴を説明した。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、前述の各実施形態に係る浴室ユニットを構成する要素について、当業者が適宜追加、省略又は設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。
【0029】
例えば、縦型ダクトの上端部は、導光口6を突き抜けて、天井4の上方まで突出しており、天井4の上方で光ダクト102と光学的に結合されていてもよい。また、光ダクト102と縦型ダクト7との間に、必要に応じて接続用ダクトを設けてもよい。このようにしても、縦型ダクト7を導光口6を介して光ダクト102に光学的に結合することができる。また、縦型ダクトの形状は四角筒形に限定されず、任意の形状とすることができる。例えば、縦型ダクトの形状を浴室ユニットの壁面全体を覆うような平板状の形状とし、壁面全体を発光させてもよい。
【0030】
更に、縦型ダクトの内部に、白熱灯、蛍光灯及びLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などの人工照明を設けてもよい。これにより、外光が不足するときに、人工照明を使用することができる。この場合においても、人工照明は縦型ダクトの内部に配置されているため、水がかかることがなく、漏電及び感電に対する過剰な対策が不要となる。更にまた、光ダクトが結合される導光口は、浴室ユニットの側壁の上部に設けられていてもよい。更にまた、前述の各実施形態においては、屋外から浴室ユニット内に外光を導入する導光設備が光ダクトである例を示したが、本発明はこれに限定されず、導光設備は例えば光ファイバであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浴室ユニットが設けられた建築物を例示する模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る浴室ユニットを例示する断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る浴室ユニットを例示する断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 浴室ユニット、2 浴槽、3 洗い場、4 天井、5 床面、6 導光口、7 縦型ダクト、8 側面放光口、9 下端放光口、14 側壁、15 鏡、17 シャワー、18 カウンター、21、23、24 透光板、22 パッキン、30 側面放光口、31 透光板、32 鏡、101 住宅、102 光ダクト、103 採光部、L 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットであって、
前記浴室ユニットの天井に設けられた導光口と、
少なくとも一部が前記浴室ユニットの内部に配置され、上端が前記導光口を介して前記導光設備に光学的に結合され、内部が中空であり、内面が光反射面とされ、前記導光口を介して導入された光を放光する放光口が形成された内部ダクトと、
を備えたことを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記内部ダクトの形状は、略垂直方向に延びる筒状であり、前記放光口は前記内部ダクトの下端部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記放光口は、前記内部ダクトの下端面が開口されて形成されていることを特徴とする請求項2記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記内部ダクトは前記浴室ユニットの側壁に沿って配置されており、前記内部ダクトの下端における前記浴室ユニットの側壁側の側面は、その反対側の側面よりも下方まで延出していることを特徴とする請求項3記載の浴室ユニット。
【請求項5】
前記放光口は、前記内部ダクトの側面に形成されていることを特徴とする請求項2記載の浴室ユニット。
【請求項6】
前記内部ダクトにおける前記放光口よりも上方の部分の側面には、前記導光口を介して導入された光を放光する他の放光口が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の浴室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−82083(P2008−82083A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264984(P2006−264984)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】