説明

浴室ユニット

【課題】導光設備が結合される浴室ユニットであって、天井及び浴室ユニット内の低い位置の双方で放光することができる浴室ユニットを提供する。
【解決手段】屋外から光を導入する光ダクトが結合される浴室ユニット1において、天井4に、光ダクト102に光学的に結合された放光口を設け、この放光口に透光板20をはめ込む。また、浴室ユニット1の内部に、上端が放光口6の一部に光学的に結合され、内部が中空であり、内面が光反射面とされたミニタワー7を設ける。ミニタワー7の形状は略垂直方向に延びる筒状とし、側面及び下面にそれぞれ側面放光口8及び下端放光口9を設ける。これにより、透光板20から放光された光の一部を直接浴室ユニット1内に放光し、残部を側面放光口8及び下端放光口9から放光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットに関し、特に、屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建築物に光ダクトを設ける技術が開発されている。光ダクトとは、建築物の屋外から屋内まで連通し、その内面が光反射面となった筒状の部材であり、屋外の自然光を屋内に導入するものである。建築物にこのような光ダクトを設けることにより、日中の豊富な自然光を室内の照明に利用することができるため、照明コストを節約し、省エネルギー効果及び環境負荷軽減効果を得ることができる。また、室内に自然光を導入することにより、室内の居住性を向上させることができる。
【0003】
特許文献1には、浴室ユニットに連通された排気ダクトの内部に光ダクトを設けることにより、浴室ユニットに光ダクトを結合する技術が開示されている。この技術においては、排気ダクトの内部に光ダクトを収納しているため、光ダクトにより導入された外光を浴室ユニット内に放光する放光口は、浴室ユニット内の空気を排気ダクトに導入する排気口の内部に設けられるか、又は排気口に隣接して設けられる。通常、排気口は浴室ユニットの天井における浴槽側の領域に設けられているため、光ダクトの放光口も、天井における浴槽側の領域に設けられることになる。
【0004】
一方、浴室ユニット内は湿度が高く、カビが発生しやすいという問題がある。特に、浴室ユニットの床面は、水がかかりやすくカビが発生しやすい。また、入浴者が洗い場に座って身体などを洗う際に、手元が照明されると便利である。これらの問題を解決するために、光ダクトにより導入された光を、浴室ユニットの天井だけでなく、浴室ユニット内の低い位置でも放光できることが好ましい。
【0005】
【特許文献1】実開昭60−033240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、導光設備が結合される浴室ユニットであって、天井及び浴室ユニット内の低い位置の双方で放光することができる浴室ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットであって、前記導光設備が光学的に結合される第1の放光口と、前記浴室ユニットの内部に配置され、一端が前記第1の放光口の一部に光学的に結合され、内部が中空であり、内面が光反射面とされた内部ダクトと、前記内部ダクトに設けられ、前記第1の放光口を介して導入された光を前記浴室ユニット内に放光する第2の放光口と、を備えたことを特徴とする浴室ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導光設備が結合され、天井及び浴室ユニット内の低い位置の双方で放光可能な浴室ユニットを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る浴室ユニットが設けられた建築物を例示する模式的断面図であり、
図2は、この浴室ユニットを例示する斜視図であり、
図3は、この浴室ユニットを例示する上面図であり、
図4は、この浴室ユニットを例示する断面図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る浴室ユニット1は、建築物、例えば住宅101に設置されている。住宅101においては、導光設備としての光ダクト102が配設されている。光ダクト102は、住宅101の建築工事により配設されたものである。光ダクト102の一方の端部は、例えば住宅101の屋根に設けられた採光部103に結合されており、他方の端部は、浴室ユニット1の天井4に結合されている。採光部103は、透明板からなるドームによって覆われており、砂や埃は通過させないが光は透過させる。光ダクト102の内部は中空であり、その内面は光反射面となっており、例えば、鏡面又は白色面となっている。これにより、光ダクト102は、住宅101の外部から採光部103を介して導入された外光Lを、その内面において反射しつつ導光して、浴室ユニット1の内部に導入する。
【0011】
図2に示すように、浴室ユニット1においては、床の一方の側に浴槽2が設けられており、他方の側が洗い場3となっている。また、浴室ユニット1の天井4における洗い場3側の領域には、光ダクト102に光学的に結合された放光口6が設けられている。そして、浴室ユニット1内には、内部ダクトとしてのミニタワー7が設けられている。ミニタワー7の形状は、例えば、略垂直方向に延びる四角筒状である。ミニタワー7は、浴室ユニット1の側壁に沿って配置されており、その上端は放光口6の一部に連結されており、その下端は洗い場3の床面5には接しておらず、床面5から例えば数十センチメートル離隔している。
【0012】
図3に示すように、ミニタワー7の上端面の面積は、放光口6の面積よりも小さく、ミニタワー7は放光口6の一部の領域のみに結合されている。従って、放光口6におけるミニタワー7に結合されていない領域は、浴室ユニット1の内部に直接露出している。一例では、光ダクト102の下端部の軸直交断面のサイズ、すなわち、放光口6のサイズは、縦及び横がそれぞれ250乃至450ミリメートル(mm)である。一方、ミニタワー7の軸直交断面のサイズ、すなわち、上端面のサイズは、縦及び横がそれぞれ200ミリメートルである。なお、図3においては、サイズの比較を容易にするために、浴室ユニット1、放光口6及びミニタワー7の外縁のみを図示している。
【0013】
なお、浴室ユニット1の天井4には、放光口6の他に、例えば、点検口(図示せず)及び排気口(図示せず)が設けられている。また、例えば、浴室ユニット1の側壁14のうち、浴槽2の足側に位置する面における洗い場3側の領域には、入浴者のほぼ全身が映せるような大型の鏡15が取り付けられている。更に、鏡15の向かって左側の側方にはシャワー17が取り付けられており、鏡15の下方にはカウンター18が設けられている。そして、ミニタワー7は、例えば、鏡15の向かって右側の側方、すなわち、鏡15が取り付けられている側壁と浴槽2に対向する側壁とがなす角部に配置されており、これらの2つの側壁に接している。
【0014】
図4に示すように、ミニタワー7の内部は中空であり、その内面は光反射面とされている。光反射面とは、例えば、鏡面又は白色面であり、例えば、アルミニウム若しくはステンレスなどの金属面、又はこれらの金属面の表面に酸化アルミニウム若しくは樹脂などの被覆層が積層された面により構成されている。
【0015】
放光口6には、透光板20が気密的にはめ込まれている。また、ミニタワー7の上端面には、透光板21が気密的にはめ込まれている。そして、ミニタワー7の上端部は放光口6の一部に連結されており、ミニタワー7の上端面にはめ込まれた透光板21は、放光口6にはめ込まれた透光板20の一部の領域に当接している。これにより、ミニタワー7は放光口6の一部に光学的に結合され、従って、光ダクト102に光学的に結合されている。なお、ミニタワー7の上端部と放光口6との間には、隙間が設けられていてもよい。この場合でも、ミニタワー7は、放光口6の一部に光学的に結合される。
【0016】
また、ミニタワー7には、側面放光口8が設けられている。側面放光口8は、ミニタワー7の洗い場3に面した側面7aにおける垂直方向中間部に配置されており、例えば、入浴者(図示せず)が洗い場3に座ったときに、手元の近くとなる高さに配置されている。側面放光口8は、光ダクト102からミニタワー7内に導入された光の一部を浴室ユニット1内に放光するための開口部であり、透光板23が水密的にはめ込まれている。
【0017】
更に、図2及び図4に示すように、ミニタワー7の下端面は、垂直方向及び水平方向の双方に対して傾斜しており、斜めに切断されたような面となっている。これにより、ミニタワー7の側面のうち、浴室ユニット1の側壁に沿った側面7b、すなわち、鏡15が取り付けられている側壁14側の側面は、その反対側の側面、すなわち、洗い場3側の側面7aよりも下方まで延出している。そして、ミニタワー7の下端面は開口しており、下端放光口9となっている。下端放光口9は、光ダクト102からミニタワー7内に導入された光のうち、側面放光口8から放光されなかった光を放光する。下端放光口9には、透光板24が水密的にはめ込まれている。
【0018】
上述の透光板20、21、23及び24は、光の少なくとも一部を透過させる板状部材であり、光を直進的に透過させる透明な樹脂、又は光を拡散させながら透過させる乳白色の樹脂により形成されている。
【0019】
次に、本実施形態に係る浴室ユニットの動作について説明する。
図1に示すように、住宅101の外部から外光L、例えば太陽光が、採光部103を介して光ダクト102の内部に導入される。この外光Lは、光ダクト102の内面によって繰り返し反射されながら光ダクト102内を伝達し、浴室ユニット1の放光口6に到達する。放光口6に到達した外光Lは、透光板20を通過し、一部は透光板21を介して、ミニタワー7の内部に導入され、残部は浴室ユニット1内に放光される。
【0020】
ミニタワー7内に導入された外光Lは、ミニタワー7の内面により反射されながら下方に向けて伝達し、一部が側面放光口8を介して浴室ユニット1内に向けて放光される。また、外光Lの残部は、ミニタワー7内を更に下方に向けて伝達し、下端放光口9を介して放光される。下端放光口9から放光された外光Lは、洗い場3の床面5に対して照射される。
【0021】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、光ダクト102により導入され、放光口6に到達した外光の一部が、ミニタワー7により下方に伝達され、側面放光口8及び下端放光口9まで導光される。この結果、側面放光口8により、外光を洗い場3に座っている入浴者の手元の近くで放光することができ、入浴者の手元を効率よく照明することができる。また、下端放光口9により、外光を床面5の近くで放光することができ、これにより、外光に含まれる赤外線成分が床面5を効率よく加熱して乾燥させ、床面5においてカビの発生を防止することができると共に、外光に含まれる紫外線成分によっても、カビの発生を防止することができる。一方、放光口6に到達した外光の残部は、浴室ユニット1内に直接放光され、浴室ユニット1の内部を全体的に照明する。
【0022】
これにより、浴室ユニット1においては、天井4に形成された放光口6、ミニタワー7の垂直方向中間部に形成された側面放光口8、及びミニタワー7の下端部に形成された下端放光口9の3ヶ所から同時に外光を放光させることができる。すなわち、天井4及び浴室ユニット1内の低い位置の双方で放光させることができる。このように、本実施形態によれば、放光口6からの放光により、浴室全体を照明しつつ、側面放光口8からの放光により入浴者の手元を集中的に照明し、且つ、下端放光口9からの放光により床面5を乾燥させることができる。また、このように3ヶ所から同時に放光することにより、演出効果を得ることができる。
【0023】
また、本実施形態においては、ミニタワー7の側面のうち、側壁14側の側面7bは、洗い場3側の側面7aよりも下方まで延出している。これにより、下端放光口9を介して、外光を洗い場3の中央部に向けて効率よく放光することができる。
【0024】
更に、外光を浴室ユニット内の低い位置で放光するためには、光ダクトを浴室ユニットの側方まで延ばし、その先端部を浴室ユニットの側壁に設けた放光口に結合させ、この放光口から外光を放光させることも考えられる。しかしながら、この場合は、浴室ユニットの側壁と建築物の壁との間に、光ダクトを配置するための大きな隙間を確保しなくてはならず、その分、浴室ユニットが狭くなってしまうという問題点がある。また、光ダクトを特別に設計しなくてはならないが、光ダクトは建築物の建造時に配設されるため、建築物の建造後に光ダクトを改造することが難しいという問題点がある。これに対して、本実施形態によれば、ミニタワー7を浴室ユニット1の内部に設けているため、浴室ユニット1の外部に設ける場合と比較して、浴室ユニット1の側壁と住宅101の壁との間の隙間を狭くすることができる。これにより、浴室ユニット1を可及的に広くすることができる。また、光ダクトの改造が不要であり、光ダクトが浴室ユニットの天井裏まで配設されていれば、これに放光口を結合することができる。
【0025】
更にまた、入浴者の手元及び床面などの低い位置を照明するためには、電球又は蛍光灯などの人工照明を浴室ユニット内の低い位置に配置することも考えられる。しかしながら、このような低い位置には不可避的に水がかかるため、人工照明を配置する場合は漏電及び感電に対する厳重な対策が必要となる。これに対して、本実施形態においては、外光を利用して照明することができるため、漏電及び感電に対する対策が不要であり、設備コストが低い。
【0026】
更にまた、本実施形態においては、ミニタワー7の上端部に透光板21を設け、側面放光口8に透光板23を設け、下端放光口9に透光板24を設けているため、浴室ユニット1内の水分及び蒸気が、ミニタワー7の内部に侵入することを防止できる。また、放光口6に透光板20を設けているため、浴室ユニット1内の水分及び蒸気が、光ダクト102の内部及び浴室ユニット1の天井裏に漏洩することを防止できる。
【0027】
なお、本実施形態においては、側面放光口8は設けなくてもよい。また、逆に、側面放光口8を複数ヶ所設けてもよい。更に、側面放光口8の形状を、ミニタワー7の全長にわたって垂直方向に延びるスリット状としてもよい。更にまた、側面放光口8及び下端放光口9に開閉可能なシャッターを取り付けて、放光位置を選択できるようにしてもよい。この場合、シャッターの裏面を光反射面とすれば、シャッターを閉めても光の利用効率が大きく低下することがない。
【0028】
また、本実施形態においては、ミニタワーの形状が断面形状が正方形の四角筒形である例を示したが、本発明はこれに限定されず、任意の形状とすることができる。例えば、ミニタワーの形状を浴室ユニットの壁面に沿った平板状の形状としてもよい。この場合、一例では、幅を300ミリメートルとし、厚さを5ミリメートルとしてもよい。また、ミニタワーの形状を浴室ユニットの1つの壁面全体を覆うような形状とし、壁面全体を発光させてもよい。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係る浴室ユニットのミニタワーを例示する斜視図であり、
図6は、本実施形態におけるミニタワーのスリットを例示する断面図である。
本実施形態は、ミニタワー7の下部に、乾燥室が設けられた例である。
【0030】
図5に示すように、本実施形態においては、ミニタワー7の内部に、透光板31が例えば略水平に設けられている。透光板31の外周部、すなわち、透光板31の四辺とミニタワー7の内面との間には、ゴム製のパッキン32が設けられている。これにより、透光板31は、ミニタワー7の内部を、上部7cと下部7dとに気密的に区画している。
【0031】
ミニタワー7の下部7dにおいて、洗い場3側の側面7aには、換気孔領域33が設けられている。換気孔領域33の上下端には、1対のスライドガイド34が水平方向に延びるように敷設されており、この1対のスライドガイド34間に、引き戸35が設けられている。引き戸35は、側面7aに対して平行に配置され、換気孔領域33の一部を覆うものであり、スライドガイド34に案内されて、水平方向に移動可能とされている。引き戸35の外面には、つまみ36が設けられている。また、スライドガイド34間の領域における例えば向かって左側半分の領域には、水平方向に延びる例えば2本のスリット37が設けられている。
【0032】
図6に示すように、各スリット37はガラリ状になっている。すなわち、側面7aに水平方向に延びる開口部37aが形成されており、開口部37aの外方には傾斜板37bが設けられている。傾斜板37bの上端は開口部37aの上方にて側面7aに連結されており、傾斜板37bの下端は、側面7aから離隔している。これにより、傾斜板37bの下端と側面7aとの間には、下方に向いた隙間37cが形成されている。そして、図5に示すように、引き戸35が、その可動域の向かって左側の端部に位置しているときはスリット37を覆い、向かって右側の端部に位置しているときはスリット37を露出させる。すなわち、引き戸35により、換気孔としてのスリット37は開閉自在とされている。
【0033】
また、ミニタワー7の側面7aにおける換気孔領域33の下方には、扉38が開閉自在に設けられている。扉38の幅は例えば側面7aの幅とほぼ等しく、扉38の高さは幅よりもやや大きい。扉38は、例えば外開きの開き戸であり、ミニタワー7の外側から見て向かって右側の端縁がミニタワー7に対して回動可能に支持されており、向かって左側の端部に取っ手39が取り付けられている。そして、扉38を開くと、ミニタワー7の内部が外部と連通し、ミニタワー7の内部に対して、小物類(図示せず)を出し入れ可能となる。なお、小物類とは、例えば、浴室清掃用具、浴槽清掃用具、石けん及びタオルなどの常設物、並びに、洗った靴などの被乾燥物である。
【0034】
ミニタワー7の内部における扉38と同じ高さの領域の上部には、水平に張架されたバー40が設けられている。バー40は、直接、又はS字管41を介して、小物類を吊り下げるものである。また、扉38と同じ高さの領域の下方には、ミニタワー7の水平断面の全領域にわたって、棚板42が設けられている。棚板42は、例えば、金網又はパンチングメタルなどの剛性と通水性及び通気性とを兼ね備えた板状部材で構成されており、小物類を保持すると共に、小物類から滴り落ちた水滴を下方に通過させる。すなわち、バー40及び棚板42は、小物保持手段である。そして、ミニタワー7の下部7dにおける透光板31と棚板42との間の領域が、乾燥室43となっている。また、ミニタワー7の下端面にはめ込まれた透光板24には、排水手段としてのスリット44が形成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0035】
次に、本実施形態に係る浴室ユニットの動作について説明する。
先ず、ミニタワー7に形成された扉38を開き、濡れた小物類をバー40に吊り下げるか、棚板42上に載置して、乾燥室43内に収納する。これにより、小物類から滴り落ちた水滴が、棚板42を通過して、透光板24に到達し、スリット44を介してミニタワー7の外部に排出される。このとき、引き戸35をスライドさせ、スリット37を露出させることにより、スリット37を換気孔として機能させる。これにより、小物類を乾燥させる。
【0036】
一方、前述の第1の実施形態と同様な動作により、光ダクト102を介して放光口6に到達した外光の一部は、ミニタワー7内に導入される。そして、ミニタワー7内に導入された外光は、ミニタワー7の内面により反射されながら下方に向けて伝達し、一部が側面放光口8を介して浴室ユニット1内に向けて放光される。また、外光Lの残部は、ミニタワー7内を更に下方に向けて伝達し、乾燥室43を通過し、下端放光口9を介して放光される。この過程で、乾燥室43を通過する外光が小物類にも照射され、小物類の乾燥を促進する。
【0037】
また、入浴する際には、扉38を閉じると共に、引き戸35を移動させて、スリット37も閉じる。これにより、シャワーから吐出された水などがミニタワー7にかかっても、この水が乾燥室43内に侵入して小物類を濡らすことを防止できる。これにより、入浴中も小物類を連続して乾燥させることができる。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0038】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、ミニタワー7の内部に設けられた乾燥室43において、小物類を干すことができる。このとき、扉38及び引き戸35を閉じることにより、浴室ユニット1において入浴を行っても小物類に水がかかることがなく、入浴によって乾燥が中断されることがない。このため、小物類を連続して乾燥させることができる。
【0039】
また、小物類には、光ダクト102及びミニタワー7を介して導入された外光が照射させるため、効率的に乾燥させることができる。また、引き戸35を開けておけば、スリット37により乾燥室43内を換気することができるため、より効果的に小物類を乾燥させることができる。なお、スリット37はガラリ状に形成されているため、仮に、引き戸35が開いているときにシャワーから吐出された水がスリット37にかかっても、この水がミニタワー7内に侵入することがない。更に、ミニタワー7の下端面には、スリット44が形成されているため、小物類から落下した水滴をミニタワー7の外部に排出することができる。更にまた、スリット37とスリット44とが乾燥室43を挟む位置に離隔して配置されているため、スリット37とスリット44との間で空気を流通させ、効率的に換気することができる。
【0040】
更に、ミニタワー7の内部は、透光板31により上部7cと下部7dとに気密的に分離されているため、下部7d内で小物類から蒸発した水蒸気が、上部7c内及び光ダクト102内に侵入することがない。これにより、上部7c及び光ダクト102の内部を常に乾燥した状態に保つことができ、上部7c内及び光ダクト102内で結露が発生することがない。このため、光の反射効率が低下することがないと共に、腐食が進行することがない。一方で、透光板21及び31は光を透過させるため、下部7d内に外光を導入することができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0041】
なお、本実施形態においては、ミニタワー7の下端面に透光板24を設けず、下端面全体を開口させてもよい。これにより、浴室ユニット1内の湿度が乾燥室43内の湿度よりも高いときには、浴室ユニット1内の水蒸気が乾燥室43内に侵入しやすくなるものの、浴室ユニット1内の湿度が乾燥室43内の湿度よりも低いときには、乾燥室43内をより速やかに乾燥させることができる。また、小物類から落下した水滴をより速やかにミニタワー7の外部に排出することができる。
【0042】
また、ミニタワー7の下端面に、水受けトレイを設けてもよい。この水受けトレイは、ミニタワー7に対して着脱自在としておき、使用者が適宜排水してもよい。又は、ドレン管を介して浴室排水部に接続しておき、常時排水されるようにしてもよい。これにより、ミニタワー7からの排水により、床面5が濡れることを防止できる。
【0043】
以上、実施形態を参照しつつ、本発明の特徴を説明した。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、前述の各実施形態に係る浴室ユニットを構成する要素について、当業者が適宜追加、省略又は設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。
【0044】
例えば、ミニタワーの内部に、白熱灯、蛍光灯及びLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などの人工照明を設けてもよい。これにより、外光が不足するときに、人工照明を使用することができる。この場合においても、人工照明はミニタワーの内部に配置されているため、水がかかることがなく、漏電及び感電に対する過剰な対策が不要となる。また、前述の第2の実施形態においてミニタワー内に人工照明を設ける場合は、上部7cに設けることが好ましい。これにより、人工照明が水に触れることを確実に防止することができる。
【0045】
また、光ダクトが結合される放光口6は、浴室ユニットの天井ではなく、浴室ユニットの側壁の上部に設けられていてもよい。更にまた、前述の各実施形態においては、屋外から浴室ユニット内に外光を導入する導光設備が光ダクトである例を示したが、本発明はこれに限定されず、導光設備は例えば光ファイバであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浴室ユニットが設けられた建築物を例示する模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る浴室ユニットを例示する斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る浴室ユニットを例示する上面図である。
【図4】第1の実施形態に係る浴室ユニットを例示する断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る浴室ユニットのミニタワーを例示する斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるミニタワーのスリットを例示する断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 浴室ユニット、2 浴槽、3 洗い場、4 天井、5 床面、6 放光口、7 ミニタワー、7a、7b 側面、7c 上部、7d 下部、8 側面放光口、9 下端放光口、14 側壁、15 鏡、17 シャワー、18 カウンター、20、21、23、24 透光板、31 透光板、32 パッキン、33 換気孔領域、34 スライドガイド、35 引き戸、36 つまみ、37 スリット、37a 開口部、37b 傾斜板、37c 隙間、38 扉、39 取っ手、40 バー、41 S字管、42 棚板、43 乾燥室、44 スリット、101 住宅、102 光ダクト、103 採光部、L 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外から光を導入する導光設備が結合される浴室ユニットであって、
前記導光設備が光学的に結合される第1の放光口と、
前記浴室ユニットの内部に配置され、一端が前記第1の放光口の一部に光学的に結合され、内部が中空であり、内面が光反射面とされた内部ダクトと、
前記内部ダクトに設けられ、前記第1の放光口を介して導入された光を前記浴室ユニット内に放光する第2の放光口と、
を備えたことを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記内部ダクトの形状は、略垂直方向に延びる筒状であり、前記第2の放光口は前記内部ダクトの下端部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記第2の放光口は、前記内部ダクトの下端面が開口されて形成されていることを特徴とする請求項2記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記内部ダクトは前記浴室ユニットの側壁に沿って配置されており、前記内部ダクトの下端における前記浴室ユニットの側壁側の側面は、その反対側の側面よりも下方まで延出していることを特徴とする請求項3記載の浴室ユニット。
【請求項5】
前記第2の放光口は、前記内部ダクトの側面に形成されていることを特徴とする請求項2記載の浴室ユニット。
【請求項6】
前記内部ダクトにおける前記第2の放光口よりも上方の部分の側面には、前記第1の放光口を介して導入された光を放光する第3の放光口が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の浴室ユニット。
【請求項7】
前記内部ダクトは、
前記内部ダクト内における少なくとも一部の空間を前記導光設備から気密的に分離する透光板と、
前記内部ダクトにおける前記透光板から見て前記導光設備の反対側の部分に設けられた換気孔と、
前記反対側の部分に形成され、開いたときに前記内部ダクトの内部を外部に連通させる扉と、
前記反対側の部分の内部に設けられた小物保持手段と、
前記反対側の部分における前記小物保持手段よりも下方に設けられた排水手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の浴室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−82085(P2008−82085A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264986(P2006−264986)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】