説明

浴室ユニット

【課題】浴槽設置部側に湯水等が浸入し難い浴室ユニットを提供することである。
【解決手段】浴室ユニット1は、堰部20を有する床パン2と、フランジ40を有する浴槽3と、袖パネルと、エプロン6とを有している。エプロン6の背面11側には、枠状部10が設けられている。枠状部10の外周面12の上部側は、一次止水パッキン13を介して、浴槽3のフランジ40の裏面12に係合している。枠状部10の外周面12の下部側は、一次止水パッキン13を介して、堰部20の天面23に係合している。つまり、枠状部10の外周面12には、全周に渡って、一次止水パッキン13で止水処理が施されている。一方、枠状部10の端面14は、二次止水パッキン22を介して、堰部20が有する水返し片21に係合している。つまり、枠状部10の下部側並びに両端側の端面14には、二次止水パッキン22で止水処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットに関し、さらに詳細には、床パンと、エプロンと、浴槽とを有する浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットバス方式の一般的な浴室ユニットにおいて、床パンは、洗い場側と浴槽設置側とに区分されており、洗い場側から浴槽設置側に水が浸入しないように止水処理が施されている。詳細には、浴槽のフランジと浴室の壁との間に水返し部材を設けることや、浴槽のフランジと床パンとの間にエプロンを設けることで、浴槽設置側の床パンに水が入らないように対策されている。その結果、浴槽のフランジより下側の周囲や底面が汚れることがなく清潔であり、清掃する手間が掛からない。
【0003】
特許文献1には、エプロンの水返し構造が開示されている。特許文献1に記載されたエプロンの水返し構造では、平面視で略F字状のベース部を浴槽の両端部に立て、ベース部に平面視で略コ字状のエプロンを嵌めることで、ベース部の一部で一次止水を行い、エプロンで二次止水を行っている。このことにより、湯水が浴槽設置部に浸入することを確実に防ぐことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−55404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載されたエプロンの水返し構造では、一次止水を行うためのベース部の一部が短く、床パンに届いていない。そのため、ベース部の一部は、シャワー等による上方からの湯水を防ぐことが可能であるが、床パンを這って流れてくる湯水は防ぐことができない。一方、二次止水を行うためのエプロンが設置されており、エプロンは床パンに直に当接している。つまり、本構造では、実質的に止水を行っているものはエプロンのみであり、ベース部の一部は一次止水の役割を十分に果たしているとは言えない。また、エプロンが床パンに直に当接しているだけであり、エプロンと床パンとの間に僅かな隙間が生じる恐れがある。例えば、勢いのある湯水等が流れた場合に、エプロンと床パンとの僅かな隙間から湯水等が浴槽設置部側に浸入する恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、浴槽設置部側に湯水等が浸入し難い浴室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、浴槽設置部と洗い場が区分された床パンと、エプロンと、フランジを備えた浴槽とを有する浴室ユニットにおいて、前記床パンは浴槽設置部と洗い場との境目に堰部を有し、前記堰部は床パンを横断し且つ床パンより盛り上がっており、堰部の両端には、堰部から鉛直方向に延びる袖パネルを有し、前記袖パネルは浴槽のフランジと当接可能であり、前記エプロンの背面には、堰部と、袖パネルと、フランジとに係合可能な枠状部を有し、前記枠状部の外周面に一次止水パッキンが設けられていることを特徴とする浴室ユニットである。
【0008】
本発明で採用する浴室ユニットは、床パンにおいて、浴槽設置部と洗い場との境目に、床パンを横断し且つ床パンより盛り上がった堰部を有している。堰部はいわゆる防波堤の役割を果たすものである。堰部の両端には、浴槽のフランジと当接可能な袖パネルが立設されている。換言すれば、堰部と袖パネルと浴槽のフランジとで、略枠が形成される。そして、エプロンの背面には、堰部と袖パネルとフランジとに係合可能な枠状部が設けられている。つまり略枠と枠状部とが係合することによって、エプロンが支持されるものである。すなわち、浴室ユニットにおけるエプロンの接続箇所が、エプロンの裏面側であり且つ防波堤よりも上側に位置するため、浴槽設置部側に湯水等が浸入し難い。さらに、枠状部の外周面に一次止水パッキンが設けられており、確実な止水処理を施すことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記堰部と前記袖パネルは各々水返し片を有し、前記水返し片は前記枠状部の端面と当接可能であり、水返し片には二次止水パッキンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴室ユニットである。
【0010】
本発明で採用する浴室ユニットは、枠状部の端面と当接可能な水返し片が、堰部と袖パネルに各々設けられている。そして、水返し片には二次止水パッキンが設けられている。つまり、枠状部の端面は、二次止水パッキンで止水処理が施される。すなわち、前述の一次止水パッキンと二次止水パッキンとにより、二重の止水処理を施すことができる。その結果、浴槽設置部側に湯水等が浸入することを確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、浴槽設置部側に湯水等が浸入し難い構造を有することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る浴室ユニットを示す分解斜視図である。
【図2】エプロンの形状を示す図であり、(a)は背面側から見た斜視図、(b)は右側面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図3】浴室ユニットの組立構造を示す正面図であり、(a)はエプロンが取り付けられる前の状態、(b)はエプロンが取り付けられた後の状態を示す。
【図4】浴室ユニットの断面構造を示すものであり、図3(b)のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の浴室ユニットの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0014】
図1に示す浴室ユニット1は、床パン2と、浴槽3と、袖パネル4,5と、エプロン6とを有している。
【0015】
エプロン6は、防水用のいわゆる化粧パネルであり、背面11側に枠状部10が設けられている。枠状部10は、図2(a)に示すように、略環状の部材である。枠状部10は、エプロン6よりも二回り程度小さい。枠状部10は、図2(b)に示すように、エプロン6よりも上方に位置し、エプロン6から背面11側に突出している。エプロン6と枠状部10は、図2(c)に示すように、一体成形されている。枠状部10の外周面12には、一次止水パッキン13が接着されている。一次止水パッキン13は、外周面12の全周に渡って設けられている。なお、枠状部10の端面14(背面11側)には、パッキン等は貼付されていない。
【0016】
床パン2は、図1に示すように、従来公知の防水パンであり、堰部20を有している。堰部20は、床パン2より上方に突出した段部であり、断面視で略階段状を成している。堰部20は、床パン2を横断しており、床パン2を浴槽設置部24と洗い場25とに区分している。図1の拡大図に示すように、堰部20の天面23には、水返し片21が設けられている。水返し片21は、天面23の端部に立設されている。水返し片21の正面側には、二次止水パッキン22が全幅に渡って設けられている。
【0017】
袖パネル4,5は、図1に示すように、一対の支持部材である。袖パネル4,5は、図3(a)に示すように、それぞれ堰部20の天面23の両端部に対向配置して使用するものである。袖パネル4,5は、相互に線対象となる形状を成しているため、それぞれの構成について、同一の符号を用いて説明する。袖パネル4,5は、それぞれ係合壁30と支持柱31とに区分される。係合壁30と支持柱31は一体成形されており、図1に示すように、天面36は平面視で略L字状を成している。
【0018】
袖パネル4,5の各々の係合壁30は、円弧状の凹部32を各々対向する内側に有している。凹部32において、図1の拡大図に示すように、係合壁30の端面33も円弧状を成している。端面33には、水返し片34が設けられている。水返し片34は、端面33よりも内径側に突出する片であり、円弧状を成している。水返し片34の正面側には、二次止水パッキン22が全幅に渡って設けられている。一方、両側の支持柱31は、天面36よりも上方に突出する支持片35を、それぞれ外側に備えている。
【0019】
浴槽3は、図1に示すように、従来公知の浴槽であり、フランジ40を有している。フランジ40は、浴槽3の上部に位置する縁部材である。フランジ40は、正面側に前垂れ部41を有している。前垂れ部41は、フランジ40の裏面42よりも下方向に延びている。
【0020】
つぎに、浴室ユニット1の組立構造について、図3(a),(b)を用いて説明する。なお、図3(a)においては、浴槽3は二点鎖線で図示している。
【0021】
図3(a)は、浴室ユニット1において、エプロン6が取り付けられる前の状態を示すものである。床パン2の堰部20の両端部には、袖パネル4,5が位置している。詳細には、堰部20の天面23に袖パネル4,5が載置されている。この状態において、袖パネル4,5の各々の水返し片34は、堰部20の水返し片21と正面視で繋がった状態である。換言すれば、各々の水返し片34に貼付された二次止水パッキン22と、水返し片21に貼付された二次止水パッキン22も正面視で繋がった状態である。
【0022】
一方、袖パネル4,5には、浴槽3のフランジ40が当接している。詳細には、袖パネル4,5の天面36に浴槽3のフランジ40が載置されている。
【0023】
図3(b)は、浴室ユニット1において、エプロン6が取り付ける後の状態を示すものである。エプロン6の上端は、浴槽3の前垂れ部41と当接しており、面一の化粧面を構成している。この状態において、エプロン6の背面11側に設けられた枠状部10は、浴槽3のフランジ40と、袖パネル4と、堰部20と、袖パネル5に係合している。詳細には、枠状部10の外周面12が、フランジ40の裏面42と、袖パネル4の端面33と、堰部20の天面23と、袖パネル5の端面33に係合している。
【0024】
換言すると、枠状部10の外周面12の全周が、浴槽3のフランジ40と、袖パネル4と、堰部20と、袖パネル5とで支持されている。なお、枠状部10の背面11側の端面14(図示省略)は、袖パネル4,5の各々の水返し片34(図示省略)と、堰部20の水返し片21(図示省略)とに当接している。
【0025】
つぎに、浴室ユニット1の断面構造について、図4を用いて説明する。図4において、エプロン6が有する枠状部10は、前述の通り、上部側で浴槽3のフランジ40に当接し、下部側で床パン2の堰部20と当接している。詳細には、枠状部10の外周面12の上部側は、一次止水パッキン13を介して、フランジ40の裏面12に係合している。枠状部10の外周面12の下部側は、一次止水パッキン13を介して、堰部20の天面23に係合している。さらに、枠状部10の両端側の外周面12(図示省略)は、一次止水パッキン13を介して、袖パネル4,5の端面33(図示省略)に係合している。つまり、枠状部10の外周面12には、全周に渡って、一次止水パッキン13で止水処理が施されている。
【0026】
一方、枠状部10の下部側の端面14は、堰部20の水返し片21(図示省略)に係合している。詳細には、枠状部10の端面14は、二次止水パッキン22を介して、水返し片21に係合している。さらに、枠状部10の両端側の端面14(図示省略)は、二次止水パッキン22を介して、袖パネル4,5の各々の水返し片34(図示省略)に係合している。つまり、枠状部10の下部側並びに両端側の端面14には、二次止水パッキン22で止水処理が施されている。
【0027】
以上の通り、本発明の実施形態に係る浴室ユニット1によれば、一次止水パッキン13並びに二次止水パッキン22による止水処理が施されているため、洗い場25側から浴槽設置部24側に、湯水等が浸入し難い。
【符号の説明】
【0028】
1 浴室ユニット
2 床パン
3 浴槽
4,5 袖パネル
6 エプロン
10 枠状部
11 背面
13 一次止水パッキン
20 堰部
21,34 水返し片
22 二次止水パッキン
24 浴槽設置部
25 洗い場
40 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽設置部と洗い場が区分された床パンと、エプロンと、フランジを備えた浴槽とを有する浴室ユニットにおいて、前記床パンは浴槽設置部と洗い場との境目に堰部を有し、前記堰部は床パンを横断し且つ床パンより盛り上がっており、堰部の両端には、堰部から鉛直方向に延びる袖パネルを有し、前記袖パネルは浴槽のフランジと当接可能であり、前記エプロンの背面には、堰部と、袖パネルと、フランジとに係合可能な枠状部を有し、前記枠状部の外周面に一次止水パッキンが設けられていることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記堰部と前記袖パネルは各々水返し片を有し、前記水返し片は前記枠状部の端面と当接可能であり、水返し片には二次止水パッキンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−200303(P2012−200303A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65312(P2011−65312)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】