浴室ユニット
【課題】ドアや窓等の取付位置を浴室壁面の全周にわたって自由に選択することができる浴室ユニットを提供する。
【解決手段】浴槽パン3aに床下作業用孔34が形成されていて、浴槽パン3aと洗い場パン2aとが、浴槽パン上側から床下作業用孔34を介しての作業によって床下側に設けられた浴室内に露出しない接続手段によって接続される浴室ユニットであって、浴槽パン3aと洗い場パン2aとが接続部において床面間がほぼ段差なく接続されるとともに、浴槽パン3aおよび洗い場パン2aが、浴槽パン3aと洗い場パン2aとの接続縁を除く周縁部にそれぞれ壁パネル受部21,31を有し、接続状態でこれら壁パネル受部が同一平面内に配置され、浴槽4が浴槽下部部材42を床下作業用孔34に水密に嵌合させることによって床下作業用孔34が閉じられている。
【解決手段】浴槽パン3aに床下作業用孔34が形成されていて、浴槽パン3aと洗い場パン2aとが、浴槽パン上側から床下作業用孔34を介しての作業によって床下側に設けられた浴室内に露出しない接続手段によって接続される浴室ユニットであって、浴槽パン3aと洗い場パン2aとが接続部において床面間がほぼ段差なく接続されるとともに、浴槽パン3aおよび洗い場パン2aが、浴槽パン3aと洗い場パン2aとの接続縁を除く周縁部にそれぞれ壁パネル受部21,31を有し、接続状態でこれら壁パネル受部が同一平面内に配置され、浴槽4が浴槽下部部材42を床下作業用孔34に水密に嵌合させることによって床下作業用孔34が閉じられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床が2枚以上のパンを接続して構成されている浴室ユニットは、パンの接続部を浴槽または浴槽エプロンで隠蔽しているものが一般的である。この際、浴槽は3方が壁に接している。
また、浴室の床を段差なしに仕上げてその上に壁から独立した高級感のある置き型浴槽を置くことは、在来工法浴室では一般的だが、浴室ユニットで行うとパンの接続部が露出してくる。従来はパン接続をパンの上からビス等で固定することで行っているが、ビスを目隠しするための部材が必要となり、意匠上好ましくない。
【0003】
そこで、浴槽パンの浴槽が載置される部分に蓋付きの床下作業用孔を設けて、作業者がこの床下作業用孔を介して浴槽パンと洗い場パンとの接続部の裏側に手や体を差し入れて床下側で2つのパンをボルトナットで接続できるようにした浴室ユニットが既に提案されている(特許文献1)。
すなわち、この浴室ユニットの場合、上記のように床下側で2つのパンをボルトナットで接続できるようにしたので、浴室の床側にはビスなどが露出することがなく、床下作業用孔は蓋を取り付けた後、その上に浴槽が載置されるので、入浴者からみえない。したがって、見栄えがよい高級感のある置き型浴槽を採用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4742236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、浴槽パンの周壁と、洗い場パンとの周壁との間に段差があり、浴槽パンと洗い場パンとに跨る位置にドアを設けることができない。また、段差をなくすためには洗い場パンの上にすのこ等の別部材を置く方法が考えられるが、清掃が面倒である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて、ドアや窓等の取付位置を浴室壁面の全周にわたって自由に選択することができる浴室ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる浴室ユニットは、浴槽パンに床下作業用孔が形成されていて、前記浴槽パンと洗い場パンとが、前記浴槽パン上側から前記床下作業用孔を介しての作業によって床下側に設けられた浴室内に露出しない接続手段によって接続される浴室ユニットであって、前記浴槽パンと洗い場パンとが接続部において床面間がほぼ段差なく接続されるとともに、前記浴槽パンおよび洗い場パンが、浴槽パンと洗い場パンとの接続縁を除く周縁部にそれぞれ壁パネル受部を有し、接続状態でこれら壁パネル受部が同一平面内に配置され、浴槽の下端部が、前記床下作業用孔に水密に嵌合されることによって前記床下作業用孔が閉じられていることを特徴としている。
【0008】
本発明の浴室ユニットは、特に限定されないが、たとえば、洗い場パンの床面と浴槽パンの床面との接続部上縁がほぼ同じ高さ位置になるように接続されているとともに、洗い場パンが接続縁に沿って排水口を有し、洗い場パンの床面および浴槽パンの床面がそれぞれ前記排水口に向かう排水勾配に形成されている構成、あるいは、浴槽が、浴槽部と、浴槽部の上端縁から外側に張り出すように設けられた框部と、框部から下方に前記浴槽部の底より少し高い位置まで延出し、前記浴槽部の周壁との間に浴槽に用いる機能部品の配設空間を形成するエプロン部とを備える浴槽本体と、浴槽パンに設けられた床下作業用孔に下端部が水密にはまり込み、上端部が浴槽パンの底面から上側に少し突出し、上端部で前記エプロン部の下端部を水密に支持する皿状をした浴槽下部部材とを備え、前記エプロン部が、その一部に開口部を有するとともに、この開口部を水密かつ開閉自在に覆う蓋を備えている構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる浴室ユニットは、浴槽パンに床下作業用孔が形成されていて、前記浴槽パンと洗い場パンとが、前記浴槽パン上側から前記床下作業用孔を介しての作業によって床下側に設けられた浴室内に露出しない接続手段によって接続される浴室ユニットであって、前記浴槽パンと洗い場パンとが接続部において床面間がほぼ段差なく接続されるとともに、前記浴槽パンおよび洗い場パンが、浴槽パンと洗い場パンとの接続縁を除く周縁部にそれぞれ壁パネル受部を有し、接続状態でこれら壁パネル受部が同一平面内に配置され、浴槽の下端部が、前記床下作業用孔に水密に嵌合されることによって前記床下作業用孔が閉じられている。したがって、床下作業用孔を閉じる蓋を別途用意する必要がない。また、すべての壁パネル受部が同一平面内に配置されるので、ドアや窓枠等の取付位置を浴室壁面の全周にわたって自由に選択することができる。すなわち、ドアを洗い場パンと浴槽パンとに跨る位置にも設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる浴室ユニットの第1の実施の形態をあらわす浴室内側の斜視図である。
【図2】図1の浴室ユニットの、浴槽パンおよび洗い場パン部分の浴槽を分解状態の斜視図である。
【図3】図1の浴室ユニットの、浴槽パンと洗い場パンとの接続部の断面図である。
【図4】図3の接続部の接続工程の1工程をあらわす断面図である。
【図5】図4の後工程をあらわす断面図である。
【図6】図1の浴室ユニットの浴槽部分の浴槽の長手方向の軸にそって切断した状態の断面図である。
【図7】図1の浴室ユニットの浴槽部分の浴槽の短手方向の軸にそって切断した状態の断面図である。
【図8】図6の浴室ユニットの浴槽部分の浴槽の浴槽本体と浴槽下部部材との接続部拡大断面図である。
【図9】本発明にかかる浴室ユニットの第2の実施の形態をあらわし、その浴槽パンと洗い場パンとの接続部の断面図である。
【図10】図9の接続部の接続工程の1工程をあらわす断面図である。
【図11】図10の後工程をあらわす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図8は、本発明にかかる浴室ユニットの第1の実施の形態をあらわしている。
【0012】
図1に示すように、この浴室ユニット1aは、洗い場パン2aと浴槽パン3aとを備えている。
図2に示すように、洗い場パン2aは、平面視長方形をしていて、後述する浴槽パン3aとの接続縁を除く長方形の3辺に沿って壁パネル受部21が設けられ、床面22の浴槽パン3aとの接続縁側中央部に排水口23が設けられている。
【0013】
また、洗い場パン2aは、図3〜図5に示すように、浴槽パン3aとの接続縁側に浴槽パン3aを下方から受ける浴槽パン受部24を備えている。
浴槽パン受部24は、ボルト挿通孔241が接続縁に沿って所定ピッチ(たとえば、 mmピッチ)で複数穿設されている。
そして、洗い場パン2aは、たとえば、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂をプレス成形して得られる。
【0014】
上記壁パネル受部21は、洗い場パン2aを水平に設置したとき、その上面が3辺とも水平になる、すなわち、同一平面上に収まるようになっている。
また、上記床面22は、図2に2点鎖線で示すように、排水口23方向に多面勾配になっている。すなわち、床面22に落ちた湯や水は、図2に矢印で示す方向に流れ、2点鎖線で示した部分に達すると、2点鎖線部分に沿って排水口23へと流れるようになっている。なお、図1中、23aは排水口23の蓋である。
【0015】
上記浴槽パン受部24は、ステンレス鋼板を板金加工した補強フレーム25が接着剤によって接着されることによって補強されている。
補強フレーム25は、ボルト挿通孔241に対応する位置に同様の径のボルト挿通孔251が穿設されている。
【0016】
浴槽パン3aは、図2に示すように、平面視長方形をしていて、洗い場パン2aとの接続縁を除く3辺に沿って壁パネル受部31が設けられている。そして、浴槽パン3aは、たとえば、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂をプレス成形して得られる。
上記壁パネル受部31は、後で詳述するように、浴槽パン3aを洗い場パン2aと接続した状態で、洗い場パン2aの壁パネル受部21と同一平面上に収まる、すなわち、同じ高さとなるようになっている。
【0017】
上記床面32は、洗い場パン2aと同様の多面勾配になっているとともに、浴槽周囲に、浴槽形状に沿った一定勾配の溝が掘られている。したがって、浴槽パン2aの床面に落ちた湯や水は、浴槽周囲を周りこむように流れ、最終的には、洗い場パン2aとの接続端縁中央部側に流れて、排水口23に流れ込むようになっている。
また、浴槽パン3aの床面32には、床下作業用孔34を備えた立ち上がり部33が設けられている。
【0018】
立ち上がり部33は、3辺の壁パネル受部31との間、すなわち、壁パネル受部31に下端が受けられて浴室側壁を構成する壁パネル7、ドア枠5との間に人が通れる程度の隙間が形成されるように設けられている。
【0019】
そして、洗い場パン2aと浴槽パン3aとは、図3に示すように、浴槽パン3aの床下側に設けられた接続ボルト331に床下側でナット37を締めこむことによって、接続されている。なお、接続ボルト331は、図3〜図5に示すように、ステンレス鋼等の金属製の補強フレーム330に一体に設けられている。補強フレーム330は、補強フレーム330側から木質の補強板332側にビス333をねじ込むことによって、浴槽パン3aの端縁部を挟み込んで補強した状態で浴槽パン3aに固定されている
【0020】
すなわち、洗い場パン2aと浴槽パン3aとは、以下のようにして接続されている。
(1)洗い場パン2aを、図4に示すように、脚部材(図示せず)を介して建物躯体床との間に配管隙間を形成した状態に水平に設置する。
(2)洗い場パン2aの施工完了後、図4に示すように、浴槽パン3aを、接続ボルト331が、洗い場パン2aの浴槽パン受部24に設けられたボルト挿通孔241を上方から臨むように配置する。また、水密材35を補強フレーム330の洗い場パン側の面に添設した状態にしておく。
(3)図5に示すように、接続ボルト331をボルト挿通孔251に挿通して洗い場パン2aの浴槽パン受部24に浴槽パン3aの洗い場パン2a側端縁が受けられた状態にする。
(4)浴槽パン3aの床下作業用孔34を介して作業者が床上側から床下に手を差し入れて、ナット37を接続ボルト331に螺合させて、図3のように浴槽パン3aを洗い場パン2aに接続する。また、浴槽パン3aと洗い場パン2aとの目地部分には、目地材36を挿入嵌合する。
なお、図3〜図5中、26は排水トラップである。
【0021】
浴槽4は、図2、図6〜図8に示すように、浴槽本体41と、浴槽下端部を構成する浴槽下部部材42とを備えている。
浴槽下部部材42は、たとえば、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂をプレス成形して得られ、皿状をした部材本体42cと、部材本体42cの上端縁から外側に延出するフランジ状の浴槽パン固定部42aを備えている。
【0022】
そして、浴槽下部部材42は、図6〜図8に示すように、部材本体42cを床下作業用孔34内に臨ませるとともに、浴槽パン固定部42aを,パッキン48を介して立ち上がり部33の上端部に受けさせ、固定ビス49を浴槽パン固定部42a側から浴槽受部12bにねじ込むことによって、浴槽パン固定部42aにおいて浴槽パン3aに水密に固定されている。
上記固定状態において、浴槽パン3aの床面32から浴槽下部部材42の浴槽パン固定部42aの上端までの高さは5〜10cmである。
【0023】
また、浴槽下部部材42は、図6に示すように、その底に排水トラップ26に接続される排水孔42bを備えている。
排水孔42bには、中央に後述する排水管44が水密に接続される接続孔を有するキャップ26aがはめ込まれている。
また、キャップ26aは、排水トラップ26側の水位が上昇してきたときに閉鎖するフロート弁付きの小さな排水孔を備え、万一浴槽下部部材42内で水漏れが生じた場合でも浴槽下部部材42内の水を排水トラップ26側へ排水できるようになっている。
【0024】
浴槽本体41は、繊維強化不飽和ポリエステル等の繊維強化樹脂成形体であって、入浴部である浴槽部41aと、框部41bと、エプロン部41cとを備えている。
浴槽部41aは、その底に排水口411を備えている。
【0025】
框部41bは、浴槽部41aの上端縁から外側に張り出すように設けられている。
エプロン部41cは、図6〜図8に示すように、框部41bの外縁から下方に延出している。すなわち、浴槽部41aとエプロン部41cとの間には、機能部品の配設空間Sが形成されている。
【0026】
また、エプロン部41cは、浴槽4の長手方向の両側に他の部分より窪んだ開口部41dを備えるとともに、この開口部41dを覆う蓋41eを備え、下端部がパッキン47を介して浴槽パン固定部42aに水密状態で載置されている。
開口部41dは、その下端側に、後述する蓋41eの下側係止金具41hが弾性係合するテンレス鋼などから形成された係合金具41jが一体に設けられている。
【0027】
蓋41eは、開口部41dを覆うとともに、開口部41d周縁に圧接されるパッキン41g,41iを開口部41d周縁に対向するように備えている。
また、蓋41eは、その上端に開口部41dに上縁部に弾性係合するステンレス鋼などから形成された係止爪41fを備え、その下端にテンレス鋼などから形成された下側係止金具41hが設けられている。
【0028】
配設空間S内には、図6および図8に示すように、機能部品としての追い炊き配管45、排水管44、ポップアップ水栓装置43が配設されている。
排水管44は、一端が排水口411に接続され、他端がキャップ26aを介して排水トラップ26内に臨んでいる。
追い炊き配管45は、追い炊き口45aに接続されている。
ポップアップ水栓装置43は、操作ボタン43aを操作することによって、水栓本体43bが排水口411を開閉するようになっている。
【0029】
また、この浴室ユニット1aは、図1に示すように、浴槽パン3aと洗い場パン2aに跨ってドア枠5が設けられている。また、浴槽4の長手側壁面に対面する浴室壁面には、浴槽壁面に対面するように窓6が設けられいる。
また、窓6が設けられた浴室壁面には、窓6を両側から挟むようにコーナー部に沿って、間接照明装置9がそれぞれ設けられている。
2つの間接照明装置9は、一方の間接照明装置9から他方の間接照明装置9に向かってそれぞれ窓6が設けられた壁面に沿ってライン光を照射するようになっている。
また、間接照明装置9は、光源としてLEDが壁面の上下方向に多数配置されたLEDユニットが用いられて省電が図られている。
図1中、7は壁パネル、8は天井パネルである。
【0030】
この浴室ユニット1aは、上記のように、浴槽パン3aの壁パネル受部21および洗い場パン2aの壁パネル受部31が浴槽パン3aと洗い場パン2aとを接続した状態で、壁パネル受部21,31の上面が同一平面上に収まるようになっているので、ドア枠5を浴槽パン3aと洗い場パン2aに跨って取り付けることができる。
すなわち、ドア枠5を浴室壁面のいずれの位置にも取り付け可能である。したがって、壁パネル7やドア枠5の組み合わせを変えることによって、浴室の意匠を需要者の好みや隣室の配置に合わせて自由に変更することができる。
【0031】
また、この浴室ユニット1aは、浴槽パン3aに設けられた床下作業用孔34を介して床下側で浴槽パン3aと洗い場パン2aとを床面22,32上に露出しない接続手段としての接続ボルト331とナット37によって浴槽パン3aと洗い場パン2aとを接続することができるので、浴室内を見栄えのよいものとすることができる。また、固定ビスを覆い隠すキャップ等も不要となるとともに、固定ビスの緩みによる漏水などのおそれもない。
【0032】
さらに、この浴室ユニット1aは、浴槽4の下端部である浴槽下部部材42が水密に床下作業用孔34にはまり込んで床下作業用孔34を閉じるようになっているので、別途床下作業用孔34を設ける必要がない。
また、この浴室ユニット1aは、浴槽4が壁面から離れて設けられるとともに、浴槽4が配設空間Sを備え、この配設空間S内に機能部品が収容されるようになっているので、壁面の自由な位置に窓6を設けるなどでき、意匠性に富んだ浴室とすることができる。
【0033】
また、この浴室ユニット1aは、上記のように、浴槽4が、浴槽本体41と、浴槽下部部材42とからなり、まず、浴槽下部部材42を浴槽パン3aに固定したのち、浴槽本体41を浴槽下部部材42上に設置するようになっているので、浴槽設置の際、浴槽本体41を跨ぎこみ高さより5〜10cm持ち上げるだけで浴槽4の設置作業を完了させることができ、浴槽4の設置作業性がよい。
【0034】
また、追い炊き配管等から漏水があっても浴槽下部部材42によって受けられてキャップ26aに設けられたフロート弁付き排水孔を介して排水トラップ26側に排水され、床下に排水がもれることがない。
また、エプロン部41cが蓋41eを備えた開口部41dを備え、蓋41eを開放すれば、浴室内から配設空間S内を臨めるので、浴槽4を設置したのちでも、追い炊き配管45、排水管44やポップアップ水栓装置43の設置作業および点検作業や浴槽本体41と浴槽下部部材42との接続部の点検作業等を行うことができる。
【0035】
図9〜図11は本発明にかかる浴室ユニットの第2の実施の形態をあらわしている。
図9〜図11に示すように、この浴室ユニット1bは、断面略逆L字形をしたステンレス鋼の板材を板金加工して得られた補強フレーム39が浴槽パン3bの洗い場パン2b側の端縁に沿って浴槽パン3bの裏面(床下側)に接着固定されている。
【0036】
補強フレーム39は、ボルト挿通孔390が浴槽パン3bの洗い場パン2bとの接続端縁に沿って、所定ピッチで複数穿設されている。
また、浴槽パン3bは、洗い場パン2b側の端縁に下方に延出するリブ38を備えている。
【0037】
一方、洗い場パン2bは、浴槽パン受部270が段状に形成されていて、その上段側にビス271aを介して断面略L字形をした目地材受けフレーム271が固定されている。浴槽パン受部270の下段には、後述する固定ボルト391のねじ受けフレーム272がビス274によって固定されている。
ねじ受けフレーム272は、ステンレス鋼製の角パイプで形成されていて、固定ボルト391がねじ込まれる部分にボルト挿通孔272aが穿設され、このボルト挿通孔272aの位置に固定ボルト391が螺合するナット273が溶接固定されている。
【0038】
そして、この浴室ユニット1bは、図10に示すように、リブ38の下端が浴槽パン受部270の上段で受けられるとともに、リブ38と洗い場パン2bとの間に水密材(図示せず)を介在させた状態で、補強フレーム39のボルト挿通孔391と、ねじ受けフレーム272のナット273の位置を一致させる。
図11に示すように、固定ボルト391をナット273の位置に合わせて、図9に示すように、床下作業用孔34を介して水平方向からナット273にねじ込み、固定ボルト391のねじ込みによって浴槽パン3bを、洗い場パン2bに固定する。
なお、図9,10中、36は止水機能を持つ目地材である。また、目地材36と、目地材受けフレーム271と間には、図示していないが、水密材が設けられている。
【0039】
なお、この浴室ユニット1bは、上記以外の構成が上記浴室ユニット1aと同じになっている。したがって、上記浴室ユニット1aと同様の部材については同じ符号を付している。
【0040】
以上のように、この浴室ユニット1bの場合、洗い場パン2bは、床下作業用孔34側から固定ボルト391を水平方向にねじ込むことによって、洗い場パン2bと浴槽パン3bとが固定できるので、浴室ユニット1aに比べ、作業者が床下作業用孔34から腕や体を床下に深くい挿入しないで作業でき、作業性がよい。
【0041】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、浴槽が浴槽本体と浴槽下部部材とに別れていたが、下端部が床下作業用孔を水密に塞ぐような構造となっていれば、内部に配設空間を備えていない一体成形された浴槽を用いるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、壁面に窓や間接照明装置が設けられていたが、なくても構わない。
【符号の説明】
【0042】
1a,1b 浴室ユニット
2a,2b 洗い場パン
21 壁パネル受部
3a,3b 浴槽パン
31 壁パネル受部
34 床下作業用孔
4 浴槽
41 浴槽本体
41a 浴槽部
41b 框部
41c エプロン部
41d 開口部
41e 蓋
43 ポップアップ水栓装置(機能部品)
44 排水管(機能部品)
45 追い炊き配管(機能部品)
S 配設空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床が2枚以上のパンを接続して構成されている浴室ユニットは、パンの接続部を浴槽または浴槽エプロンで隠蔽しているものが一般的である。この際、浴槽は3方が壁に接している。
また、浴室の床を段差なしに仕上げてその上に壁から独立した高級感のある置き型浴槽を置くことは、在来工法浴室では一般的だが、浴室ユニットで行うとパンの接続部が露出してくる。従来はパン接続をパンの上からビス等で固定することで行っているが、ビスを目隠しするための部材が必要となり、意匠上好ましくない。
【0003】
そこで、浴槽パンの浴槽が載置される部分に蓋付きの床下作業用孔を設けて、作業者がこの床下作業用孔を介して浴槽パンと洗い場パンとの接続部の裏側に手や体を差し入れて床下側で2つのパンをボルトナットで接続できるようにした浴室ユニットが既に提案されている(特許文献1)。
すなわち、この浴室ユニットの場合、上記のように床下側で2つのパンをボルトナットで接続できるようにしたので、浴室の床側にはビスなどが露出することがなく、床下作業用孔は蓋を取り付けた後、その上に浴槽が載置されるので、入浴者からみえない。したがって、見栄えがよい高級感のある置き型浴槽を採用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4742236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、浴槽パンの周壁と、洗い場パンとの周壁との間に段差があり、浴槽パンと洗い場パンとに跨る位置にドアを設けることができない。また、段差をなくすためには洗い場パンの上にすのこ等の別部材を置く方法が考えられるが、清掃が面倒である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて、ドアや窓等の取付位置を浴室壁面の全周にわたって自由に選択することができる浴室ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる浴室ユニットは、浴槽パンに床下作業用孔が形成されていて、前記浴槽パンと洗い場パンとが、前記浴槽パン上側から前記床下作業用孔を介しての作業によって床下側に設けられた浴室内に露出しない接続手段によって接続される浴室ユニットであって、前記浴槽パンと洗い場パンとが接続部において床面間がほぼ段差なく接続されるとともに、前記浴槽パンおよび洗い場パンが、浴槽パンと洗い場パンとの接続縁を除く周縁部にそれぞれ壁パネル受部を有し、接続状態でこれら壁パネル受部が同一平面内に配置され、浴槽の下端部が、前記床下作業用孔に水密に嵌合されることによって前記床下作業用孔が閉じられていることを特徴としている。
【0008】
本発明の浴室ユニットは、特に限定されないが、たとえば、洗い場パンの床面と浴槽パンの床面との接続部上縁がほぼ同じ高さ位置になるように接続されているとともに、洗い場パンが接続縁に沿って排水口を有し、洗い場パンの床面および浴槽パンの床面がそれぞれ前記排水口に向かう排水勾配に形成されている構成、あるいは、浴槽が、浴槽部と、浴槽部の上端縁から外側に張り出すように設けられた框部と、框部から下方に前記浴槽部の底より少し高い位置まで延出し、前記浴槽部の周壁との間に浴槽に用いる機能部品の配設空間を形成するエプロン部とを備える浴槽本体と、浴槽パンに設けられた床下作業用孔に下端部が水密にはまり込み、上端部が浴槽パンの底面から上側に少し突出し、上端部で前記エプロン部の下端部を水密に支持する皿状をした浴槽下部部材とを備え、前記エプロン部が、その一部に開口部を有するとともに、この開口部を水密かつ開閉自在に覆う蓋を備えている構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる浴室ユニットは、浴槽パンに床下作業用孔が形成されていて、前記浴槽パンと洗い場パンとが、前記浴槽パン上側から前記床下作業用孔を介しての作業によって床下側に設けられた浴室内に露出しない接続手段によって接続される浴室ユニットであって、前記浴槽パンと洗い場パンとが接続部において床面間がほぼ段差なく接続されるとともに、前記浴槽パンおよび洗い場パンが、浴槽パンと洗い場パンとの接続縁を除く周縁部にそれぞれ壁パネル受部を有し、接続状態でこれら壁パネル受部が同一平面内に配置され、浴槽の下端部が、前記床下作業用孔に水密に嵌合されることによって前記床下作業用孔が閉じられている。したがって、床下作業用孔を閉じる蓋を別途用意する必要がない。また、すべての壁パネル受部が同一平面内に配置されるので、ドアや窓枠等の取付位置を浴室壁面の全周にわたって自由に選択することができる。すなわち、ドアを洗い場パンと浴槽パンとに跨る位置にも設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる浴室ユニットの第1の実施の形態をあらわす浴室内側の斜視図である。
【図2】図1の浴室ユニットの、浴槽パンおよび洗い場パン部分の浴槽を分解状態の斜視図である。
【図3】図1の浴室ユニットの、浴槽パンと洗い場パンとの接続部の断面図である。
【図4】図3の接続部の接続工程の1工程をあらわす断面図である。
【図5】図4の後工程をあらわす断面図である。
【図6】図1の浴室ユニットの浴槽部分の浴槽の長手方向の軸にそって切断した状態の断面図である。
【図7】図1の浴室ユニットの浴槽部分の浴槽の短手方向の軸にそって切断した状態の断面図である。
【図8】図6の浴室ユニットの浴槽部分の浴槽の浴槽本体と浴槽下部部材との接続部拡大断面図である。
【図9】本発明にかかる浴室ユニットの第2の実施の形態をあらわし、その浴槽パンと洗い場パンとの接続部の断面図である。
【図10】図9の接続部の接続工程の1工程をあらわす断面図である。
【図11】図10の後工程をあらわす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図8は、本発明にかかる浴室ユニットの第1の実施の形態をあらわしている。
【0012】
図1に示すように、この浴室ユニット1aは、洗い場パン2aと浴槽パン3aとを備えている。
図2に示すように、洗い場パン2aは、平面視長方形をしていて、後述する浴槽パン3aとの接続縁を除く長方形の3辺に沿って壁パネル受部21が設けられ、床面22の浴槽パン3aとの接続縁側中央部に排水口23が設けられている。
【0013】
また、洗い場パン2aは、図3〜図5に示すように、浴槽パン3aとの接続縁側に浴槽パン3aを下方から受ける浴槽パン受部24を備えている。
浴槽パン受部24は、ボルト挿通孔241が接続縁に沿って所定ピッチ(たとえば、 mmピッチ)で複数穿設されている。
そして、洗い場パン2aは、たとえば、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂をプレス成形して得られる。
【0014】
上記壁パネル受部21は、洗い場パン2aを水平に設置したとき、その上面が3辺とも水平になる、すなわち、同一平面上に収まるようになっている。
また、上記床面22は、図2に2点鎖線で示すように、排水口23方向に多面勾配になっている。すなわち、床面22に落ちた湯や水は、図2に矢印で示す方向に流れ、2点鎖線で示した部分に達すると、2点鎖線部分に沿って排水口23へと流れるようになっている。なお、図1中、23aは排水口23の蓋である。
【0015】
上記浴槽パン受部24は、ステンレス鋼板を板金加工した補強フレーム25が接着剤によって接着されることによって補強されている。
補強フレーム25は、ボルト挿通孔241に対応する位置に同様の径のボルト挿通孔251が穿設されている。
【0016】
浴槽パン3aは、図2に示すように、平面視長方形をしていて、洗い場パン2aとの接続縁を除く3辺に沿って壁パネル受部31が設けられている。そして、浴槽パン3aは、たとえば、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂をプレス成形して得られる。
上記壁パネル受部31は、後で詳述するように、浴槽パン3aを洗い場パン2aと接続した状態で、洗い場パン2aの壁パネル受部21と同一平面上に収まる、すなわち、同じ高さとなるようになっている。
【0017】
上記床面32は、洗い場パン2aと同様の多面勾配になっているとともに、浴槽周囲に、浴槽形状に沿った一定勾配の溝が掘られている。したがって、浴槽パン2aの床面に落ちた湯や水は、浴槽周囲を周りこむように流れ、最終的には、洗い場パン2aとの接続端縁中央部側に流れて、排水口23に流れ込むようになっている。
また、浴槽パン3aの床面32には、床下作業用孔34を備えた立ち上がり部33が設けられている。
【0018】
立ち上がり部33は、3辺の壁パネル受部31との間、すなわち、壁パネル受部31に下端が受けられて浴室側壁を構成する壁パネル7、ドア枠5との間に人が通れる程度の隙間が形成されるように設けられている。
【0019】
そして、洗い場パン2aと浴槽パン3aとは、図3に示すように、浴槽パン3aの床下側に設けられた接続ボルト331に床下側でナット37を締めこむことによって、接続されている。なお、接続ボルト331は、図3〜図5に示すように、ステンレス鋼等の金属製の補強フレーム330に一体に設けられている。補強フレーム330は、補強フレーム330側から木質の補強板332側にビス333をねじ込むことによって、浴槽パン3aの端縁部を挟み込んで補強した状態で浴槽パン3aに固定されている
【0020】
すなわち、洗い場パン2aと浴槽パン3aとは、以下のようにして接続されている。
(1)洗い場パン2aを、図4に示すように、脚部材(図示せず)を介して建物躯体床との間に配管隙間を形成した状態に水平に設置する。
(2)洗い場パン2aの施工完了後、図4に示すように、浴槽パン3aを、接続ボルト331が、洗い場パン2aの浴槽パン受部24に設けられたボルト挿通孔241を上方から臨むように配置する。また、水密材35を補強フレーム330の洗い場パン側の面に添設した状態にしておく。
(3)図5に示すように、接続ボルト331をボルト挿通孔251に挿通して洗い場パン2aの浴槽パン受部24に浴槽パン3aの洗い場パン2a側端縁が受けられた状態にする。
(4)浴槽パン3aの床下作業用孔34を介して作業者が床上側から床下に手を差し入れて、ナット37を接続ボルト331に螺合させて、図3のように浴槽パン3aを洗い場パン2aに接続する。また、浴槽パン3aと洗い場パン2aとの目地部分には、目地材36を挿入嵌合する。
なお、図3〜図5中、26は排水トラップである。
【0021】
浴槽4は、図2、図6〜図8に示すように、浴槽本体41と、浴槽下端部を構成する浴槽下部部材42とを備えている。
浴槽下部部材42は、たとえば、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂をプレス成形して得られ、皿状をした部材本体42cと、部材本体42cの上端縁から外側に延出するフランジ状の浴槽パン固定部42aを備えている。
【0022】
そして、浴槽下部部材42は、図6〜図8に示すように、部材本体42cを床下作業用孔34内に臨ませるとともに、浴槽パン固定部42aを,パッキン48を介して立ち上がり部33の上端部に受けさせ、固定ビス49を浴槽パン固定部42a側から浴槽受部12bにねじ込むことによって、浴槽パン固定部42aにおいて浴槽パン3aに水密に固定されている。
上記固定状態において、浴槽パン3aの床面32から浴槽下部部材42の浴槽パン固定部42aの上端までの高さは5〜10cmである。
【0023】
また、浴槽下部部材42は、図6に示すように、その底に排水トラップ26に接続される排水孔42bを備えている。
排水孔42bには、中央に後述する排水管44が水密に接続される接続孔を有するキャップ26aがはめ込まれている。
また、キャップ26aは、排水トラップ26側の水位が上昇してきたときに閉鎖するフロート弁付きの小さな排水孔を備え、万一浴槽下部部材42内で水漏れが生じた場合でも浴槽下部部材42内の水を排水トラップ26側へ排水できるようになっている。
【0024】
浴槽本体41は、繊維強化不飽和ポリエステル等の繊維強化樹脂成形体であって、入浴部である浴槽部41aと、框部41bと、エプロン部41cとを備えている。
浴槽部41aは、その底に排水口411を備えている。
【0025】
框部41bは、浴槽部41aの上端縁から外側に張り出すように設けられている。
エプロン部41cは、図6〜図8に示すように、框部41bの外縁から下方に延出している。すなわち、浴槽部41aとエプロン部41cとの間には、機能部品の配設空間Sが形成されている。
【0026】
また、エプロン部41cは、浴槽4の長手方向の両側に他の部分より窪んだ開口部41dを備えるとともに、この開口部41dを覆う蓋41eを備え、下端部がパッキン47を介して浴槽パン固定部42aに水密状態で載置されている。
開口部41dは、その下端側に、後述する蓋41eの下側係止金具41hが弾性係合するテンレス鋼などから形成された係合金具41jが一体に設けられている。
【0027】
蓋41eは、開口部41dを覆うとともに、開口部41d周縁に圧接されるパッキン41g,41iを開口部41d周縁に対向するように備えている。
また、蓋41eは、その上端に開口部41dに上縁部に弾性係合するステンレス鋼などから形成された係止爪41fを備え、その下端にテンレス鋼などから形成された下側係止金具41hが設けられている。
【0028】
配設空間S内には、図6および図8に示すように、機能部品としての追い炊き配管45、排水管44、ポップアップ水栓装置43が配設されている。
排水管44は、一端が排水口411に接続され、他端がキャップ26aを介して排水トラップ26内に臨んでいる。
追い炊き配管45は、追い炊き口45aに接続されている。
ポップアップ水栓装置43は、操作ボタン43aを操作することによって、水栓本体43bが排水口411を開閉するようになっている。
【0029】
また、この浴室ユニット1aは、図1に示すように、浴槽パン3aと洗い場パン2aに跨ってドア枠5が設けられている。また、浴槽4の長手側壁面に対面する浴室壁面には、浴槽壁面に対面するように窓6が設けられいる。
また、窓6が設けられた浴室壁面には、窓6を両側から挟むようにコーナー部に沿って、間接照明装置9がそれぞれ設けられている。
2つの間接照明装置9は、一方の間接照明装置9から他方の間接照明装置9に向かってそれぞれ窓6が設けられた壁面に沿ってライン光を照射するようになっている。
また、間接照明装置9は、光源としてLEDが壁面の上下方向に多数配置されたLEDユニットが用いられて省電が図られている。
図1中、7は壁パネル、8は天井パネルである。
【0030】
この浴室ユニット1aは、上記のように、浴槽パン3aの壁パネル受部21および洗い場パン2aの壁パネル受部31が浴槽パン3aと洗い場パン2aとを接続した状態で、壁パネル受部21,31の上面が同一平面上に収まるようになっているので、ドア枠5を浴槽パン3aと洗い場パン2aに跨って取り付けることができる。
すなわち、ドア枠5を浴室壁面のいずれの位置にも取り付け可能である。したがって、壁パネル7やドア枠5の組み合わせを変えることによって、浴室の意匠を需要者の好みや隣室の配置に合わせて自由に変更することができる。
【0031】
また、この浴室ユニット1aは、浴槽パン3aに設けられた床下作業用孔34を介して床下側で浴槽パン3aと洗い場パン2aとを床面22,32上に露出しない接続手段としての接続ボルト331とナット37によって浴槽パン3aと洗い場パン2aとを接続することができるので、浴室内を見栄えのよいものとすることができる。また、固定ビスを覆い隠すキャップ等も不要となるとともに、固定ビスの緩みによる漏水などのおそれもない。
【0032】
さらに、この浴室ユニット1aは、浴槽4の下端部である浴槽下部部材42が水密に床下作業用孔34にはまり込んで床下作業用孔34を閉じるようになっているので、別途床下作業用孔34を設ける必要がない。
また、この浴室ユニット1aは、浴槽4が壁面から離れて設けられるとともに、浴槽4が配設空間Sを備え、この配設空間S内に機能部品が収容されるようになっているので、壁面の自由な位置に窓6を設けるなどでき、意匠性に富んだ浴室とすることができる。
【0033】
また、この浴室ユニット1aは、上記のように、浴槽4が、浴槽本体41と、浴槽下部部材42とからなり、まず、浴槽下部部材42を浴槽パン3aに固定したのち、浴槽本体41を浴槽下部部材42上に設置するようになっているので、浴槽設置の際、浴槽本体41を跨ぎこみ高さより5〜10cm持ち上げるだけで浴槽4の設置作業を完了させることができ、浴槽4の設置作業性がよい。
【0034】
また、追い炊き配管等から漏水があっても浴槽下部部材42によって受けられてキャップ26aに設けられたフロート弁付き排水孔を介して排水トラップ26側に排水され、床下に排水がもれることがない。
また、エプロン部41cが蓋41eを備えた開口部41dを備え、蓋41eを開放すれば、浴室内から配設空間S内を臨めるので、浴槽4を設置したのちでも、追い炊き配管45、排水管44やポップアップ水栓装置43の設置作業および点検作業や浴槽本体41と浴槽下部部材42との接続部の点検作業等を行うことができる。
【0035】
図9〜図11は本発明にかかる浴室ユニットの第2の実施の形態をあらわしている。
図9〜図11に示すように、この浴室ユニット1bは、断面略逆L字形をしたステンレス鋼の板材を板金加工して得られた補強フレーム39が浴槽パン3bの洗い場パン2b側の端縁に沿って浴槽パン3bの裏面(床下側)に接着固定されている。
【0036】
補強フレーム39は、ボルト挿通孔390が浴槽パン3bの洗い場パン2bとの接続端縁に沿って、所定ピッチで複数穿設されている。
また、浴槽パン3bは、洗い場パン2b側の端縁に下方に延出するリブ38を備えている。
【0037】
一方、洗い場パン2bは、浴槽パン受部270が段状に形成されていて、その上段側にビス271aを介して断面略L字形をした目地材受けフレーム271が固定されている。浴槽パン受部270の下段には、後述する固定ボルト391のねじ受けフレーム272がビス274によって固定されている。
ねじ受けフレーム272は、ステンレス鋼製の角パイプで形成されていて、固定ボルト391がねじ込まれる部分にボルト挿通孔272aが穿設され、このボルト挿通孔272aの位置に固定ボルト391が螺合するナット273が溶接固定されている。
【0038】
そして、この浴室ユニット1bは、図10に示すように、リブ38の下端が浴槽パン受部270の上段で受けられるとともに、リブ38と洗い場パン2bとの間に水密材(図示せず)を介在させた状態で、補強フレーム39のボルト挿通孔391と、ねじ受けフレーム272のナット273の位置を一致させる。
図11に示すように、固定ボルト391をナット273の位置に合わせて、図9に示すように、床下作業用孔34を介して水平方向からナット273にねじ込み、固定ボルト391のねじ込みによって浴槽パン3bを、洗い場パン2bに固定する。
なお、図9,10中、36は止水機能を持つ目地材である。また、目地材36と、目地材受けフレーム271と間には、図示していないが、水密材が設けられている。
【0039】
なお、この浴室ユニット1bは、上記以外の構成が上記浴室ユニット1aと同じになっている。したがって、上記浴室ユニット1aと同様の部材については同じ符号を付している。
【0040】
以上のように、この浴室ユニット1bの場合、洗い場パン2bは、床下作業用孔34側から固定ボルト391を水平方向にねじ込むことによって、洗い場パン2bと浴槽パン3bとが固定できるので、浴室ユニット1aに比べ、作業者が床下作業用孔34から腕や体を床下に深くい挿入しないで作業でき、作業性がよい。
【0041】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、浴槽が浴槽本体と浴槽下部部材とに別れていたが、下端部が床下作業用孔を水密に塞ぐような構造となっていれば、内部に配設空間を備えていない一体成形された浴槽を用いるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、壁面に窓や間接照明装置が設けられていたが、なくても構わない。
【符号の説明】
【0042】
1a,1b 浴室ユニット
2a,2b 洗い場パン
21 壁パネル受部
3a,3b 浴槽パン
31 壁パネル受部
34 床下作業用孔
4 浴槽
41 浴槽本体
41a 浴槽部
41b 框部
41c エプロン部
41d 開口部
41e 蓋
43 ポップアップ水栓装置(機能部品)
44 排水管(機能部品)
45 追い炊き配管(機能部品)
S 配設空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽パンに床下作業用孔が形成されていて、前記浴槽パンと洗い場パンとが、前記浴槽パン上側から前記床下作業用孔を介しての作業によって床下側に設けられた浴室内に露出しない接続手段によって接続される浴室ユニットであって、
前記浴槽パンと洗い場パンとが接続部において床面間がほぼ段差なく接続されるとともに、前記浴槽パンおよび洗い場パンが、浴槽パンと洗い場パンとの接続縁を除く周縁部にそれぞれ壁パネル受部を有し、接続状態でこれら壁パネル受部が同一平面内に配置され、浴槽の下端部が、前記床下作業用孔に水密に嵌合されることによって前記床下作業用孔が閉じられていることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
洗い場パンの床面と浴槽パンの床面との接続部上縁がほぼ同じ高さ位置になるように接続されているとともに、洗い場パンが接続縁に沿って排水口を有し、洗い場パンの床面および浴槽パンの床面がそれぞれ前記排水口に向かう排水勾配に形成されている請求項1に記載の浴室ユニット。
【請求項3】
浴槽が、浴槽部と、浴槽部の上端縁から外側に張り出すように設けられた框部と、框部から下方に前記浴槽部の底より少し高い位置まで延出し、前記浴槽部の周壁との間に浴槽に用いる機能部品の配設空間を形成するエプロン部とを備える浴槽本体と、
浴槽パンに設けられた床下作業用孔に下端部が水密にはまり込み、上端部が浴槽パンの底面から上側に少し突出し、上端部で前記エプロン部の下端部を水密に支持する皿状をした浴槽下部部材とを備え、前記エプロン部が、その一部に開口部を有するとともに、この開口部を水密かつ開閉自在に覆う蓋を備えている請求項1または請求項2に記載の浴室ユニット。
【請求項1】
浴槽パンに床下作業用孔が形成されていて、前記浴槽パンと洗い場パンとが、前記浴槽パン上側から前記床下作業用孔を介しての作業によって床下側に設けられた浴室内に露出しない接続手段によって接続される浴室ユニットであって、
前記浴槽パンと洗い場パンとが接続部において床面間がほぼ段差なく接続されるとともに、前記浴槽パンおよび洗い場パンが、浴槽パンと洗い場パンとの接続縁を除く周縁部にそれぞれ壁パネル受部を有し、接続状態でこれら壁パネル受部が同一平面内に配置され、浴槽の下端部が、前記床下作業用孔に水密に嵌合されることによって前記床下作業用孔が閉じられていることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
洗い場パンの床面と浴槽パンの床面との接続部上縁がほぼ同じ高さ位置になるように接続されているとともに、洗い場パンが接続縁に沿って排水口を有し、洗い場パンの床面および浴槽パンの床面がそれぞれ前記排水口に向かう排水勾配に形成されている請求項1に記載の浴室ユニット。
【請求項3】
浴槽が、浴槽部と、浴槽部の上端縁から外側に張り出すように設けられた框部と、框部から下方に前記浴槽部の底より少し高い位置まで延出し、前記浴槽部の周壁との間に浴槽に用いる機能部品の配設空間を形成するエプロン部とを備える浴槽本体と、
浴槽パンに設けられた床下作業用孔に下端部が水密にはまり込み、上端部が浴槽パンの底面から上側に少し突出し、上端部で前記エプロン部の下端部を水密に支持する皿状をした浴槽下部部材とを備え、前記エプロン部が、その一部に開口部を有するとともに、この開口部を水密かつ開閉自在に覆う蓋を備えている請求項1または請求項2に記載の浴室ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−112958(P2013−112958A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258552(P2011−258552)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(501362906)積水ホームテクノ株式会社 (89)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(501362906)積水ホームテクノ株式会社 (89)
【Fターム(参考)】
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