説明

浴室床パンの防水接続構造

【課題】止水目地材による確実な止水効果を得ることができる浴室床パンの防水接続構造を提供する。
【解決手段】浴室床パン3の端部に形成した凹状溝部31と壁パネル4との間に介在され、その壁パネル4を載置する載置部711,712を有する壁パネル側ジョイナー71と、凹状溝部31とドア枠51との間に介在され、そのドア枠51を載置する載置部を有するドア枠側ジョイナーと、両ジョイナー71の内側の載置部711よりも洗い場1側の端縁と浴室床パン3の端縁との間を止水する目地材本体761を有するとともに、前記両端縁間に挿入される挿入片762を有する止水目地材76とを備える。そして、前記両ジョイナー71の洗い場1側の端縁に係合部7gを設ける一方、止水目地材76の挿入片762の下端に、その挿入片762を挿入した際に前記係合部7gに係止される係止部764を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の床の敷設領域に敷設される浴室床パンの防水接続構造に関し、詳しくは、浴室床パンと壁パネル又はドアの枠体との間を防水した状態で接続するようにしたものに係る。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種浴室床パンの防水接続構造としては、浴室床パンの端部に形成した凹状溝部に対し壁パネルを嵌合した状態で、浴室床パンと壁パネルとを接続するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、浴室床パンの端縁と壁パネルの洗い場側の端縁との間に、ひも状軟質材を嵌装するとともに、有蓋パッキンを覆設することで、止水処理を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−233460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来のものでは、浴室床パンの端縁と壁パネルの洗い場側の端縁との間に止水処理を施すに当たり、ひも状軟質材といったシール材と、有蓋パッキンといった防水目地材とにより床パンの端縁と壁パネルの洗い場側の端縁との間を止水しているが、この止水目地材は、床パンの端縁と壁パネルの洗い場側の端縁との間に単に差し込んでいるに過ぎない。そのため、止水目地材が経時的に浮いてくるおそれがあり、止水目地材による確実な止水効果が危惧される。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、止水目地材による確実な止水効果を得ることができる浴室床パンの防水接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明では、浴室床パンの端部に形成した凹状溝部に対し壁パネル又はドアの枠体を防水した状態で接続する浴室床パンの防水接続構造を前提とする。更に、前記凹状溝部と前記壁パネル又はドアの枠体との間に介在され、その壁パネル又はドアの枠体が載置される載置部を有する載置接合部品と、前記載置接合部品の載置部よりも洗い場側の端縁と前記浴室床パンの端縁との間を止水する目地材本体を有しているとともに、この目地材本体より下方に突設され、前記両端縁間に挿入される挿入片を有する止水目地材と、を備える。そして、前記載置接合部品の洗い場側の端縁に係合部を設けている一方、前記止水目地材の挿入片に、その挿入片を挿入した際に前記係合部に係止される係止部を設けている。
この特定事項により、載置接合部品の載置部よりも洗い場側の端縁と浴室床パンの端縁との間に挿入された止水目地材の挿入片には、前記載置接合部品の洗い場側の端縁に設けられた係合部に対し、当該挿入片を挿入した際に係止される係止部が設けられている。
これにより、係止部が載置接合部品に簡単に形成され、止水目地材の経時的な浮きを効果的に防止し、止水目地材による確実な止水効果を得ることが可能となる。
【0007】
また、前記載置接合部品の載置部は、前記壁パネルと前記ドアの枠体とに応じた形状に変更されていることが好ましい。この場合には、載置接合部品の載置部を壁パネルとドアの枠体とに応じた形状に変更すれば、壁パネル及びドアの枠体が載置接合部品の載置部に円滑に載置される。これにより、浴室床パンの凹状溝部の形状を壁パネル及びドアの枠体に応じて変更する必要がなく、壁パネル及びドアの枠体を浴室床パンの凹状溝部に対し円滑に接地させることができる。
【0008】
また、前記載置接合部品に、前記載置部に載置された前記壁パネル又はドアの枠体をシールするシール材が設けられていることが好ましい。この場合には、載置接合部品の載置部に対する壁パネル又はドアの枠体の水密性をシール材によって効果的に高めることができる。
【0009】
また、前記載置接合部品及び前記シール材は、押し出し成形により成形されるものであり、その押し出し成形時に当該載置接合部品及びシール材が一体的に成形されてなることが好ましい。この場合には、載置接合部品にシール材を接着材などにより接着する必要がなく、載置接合部品にシール材が接着された一体成型品を安価でかつ簡単に得ることができる。
【0010】
また、前記壁パネルの端部、又は壁パネルの端部同士の継ぎ目、若しくは前記ドアの枠体の端部又はドアの枠体の端部と壁パネルの端部との継ぎ目に対応する,前記凹状溝部と前記壁パネル又はドアの枠体との間に、前記載置部及び前記係合部を有する端部用載置接合部品が介在され、この端部用載置接合部品に対し前記載置接合部品の端部が接合されていることが好ましい。この場合には、端部用載置接合部品が、浴室のコーナー部などでの壁パネル同士の継ぎ目やドアの枠体と壁パネルとの継ぎ目に対応する,前記凹状溝部と前記壁パネル又はドアの枠体との間に介在されているので、凹状溝部に対する壁パネル又はドアの枠体のシール性を端部用載置接合部品によって途切れさせることなく円滑に確保することができる。しかも、端部用載置接合部品にも載置接合部品と同様の載置部が設けられているので、壁パネル同士の継ぎ目やドアの枠体と壁パネルとの継ぎ目においても壁パネル又はドアの枠体を載置することができる。更に、端部用載置接合部品にも載置接合部品と同様の係合部が設けられているので、壁パネル同士の継ぎ目やドアの枠体と壁パネルとの継ぎ目においても止水目地材の下端の係止部が係止され、止水目地材による確実な止水効果を効果的に図ることができる。
【0011】
また、前記端部用載置接合部品の載置部にも、前記壁パネル又はドアの枠体をシールするシール材が設けられていることが好ましい。この場合には、端部用載置接合部品の載置部に対する壁パネル又はドアの枠体の水密性をシール材によって効果的に高めることができる。
【0012】
また、前記止水目地材は、前記浴室床パンの周方向全域に亘って切れ目なく連続的に設けられ、その浴室床パンの角部に対応するコーナー部が洗い場側向きに開く略V字状に切り欠かれていることが好ましい。この場合には、止水目地材は、洗い場のコーナー部においても途切れることなく周方向全域に亘って切れ目なく連続的に設けられているので、止水目地材による確実な止水効果をより一層図ることができる。
【0013】
更に、前記凹状溝部の洗い場側に、さらに下方に凹む凹状溝が設けられているとともに、 前記凹状溝に対応する前記載置接合部品の洗い場側端に下方に突出する突起が設けられており、前記突起は、前記凹状溝に対し水密材を介して嵌挿されていることが好ましい。この場合には、凹状溝部の洗い場側の凹状溝に水密材を介して載置接合部品の洗い場側端の突起が嵌挿されているので、凹状溝部の洗い場側において載置接合部品との間でのより効果的な水密性を得ることができる。
【0014】
また、前記載置接合部品の載置部に、前記壁パネルの下端部を載置した際に凹状溝部に対し当該壁パネルの下端縁を位置決めするスペーサーを設けており、前記スペーサーに、前記壁パネルの下端縁付近より上方へ起立して当該壁パネルの裏面に接する起立片を設けていることが好ましい。この場合には、壁パネルの下端縁付近より上方へ起立するスペーサーの起立片が壁パネルの裏面に接しているので、洗い場で使用者が飛び跳ねたり転倒したりした際の想定外の衝撃によって浴室床パンが瞬間的に撓んで載置接合部品の載置部に載置した壁パネルの下端縁を上方へ浮き上がらせて外方(壁パネルの裏面側)に離脱させてしまうといったことが確実に防止される。これにより、洗い場で生じた想定外の衝撃が効果的に抑制され、浴室床パンの端縁に対する壁パネルの下端縁の固定状態を強固に維持することができる。
【0015】
また、前記スペーサーに、前記壁パネルに対しその上方へ隙間を存して設けられ、かつその隙間以上の前記壁パネルの上方への移動を規制する壁パネル用規制片と、前記凹状溝部の反洗い場側の端縁に対しその下方へ隙間を存して設けられ、その隙間以上の前記スペーサーの上方への移動を規制するスペーサー用規制片と、を備えていることが好ましい。
この場合には、洗い場で使用者が飛び跳ねたり転倒したりした際の想定外の衝撃によって浴室床パンが瞬間的に撓んで載置接合部品の載置部に載置した壁パネルの下端縁を上方へ浮き上がらせても、スペーサーの壁パネル用規制片によって壁パネルの下端縁との間の隙間以上の当該壁パネルの上方への浮き上がりが規制される。また、壁パネルが上方へ移動した際に壁パネル用規制片との当接によりスペーサーが上方へ移動しようとしても、凹状溝部の反洗い場側の端縁との間の隙間以上のスペーサーの上方への移動がスペーサー用規制片によって規制される。このため、洗い場で生じた想定外の衝撃が、スペーサーの壁パネル用規制片に壁パネルの下端縁が衝突するまでの間、及びスペーサーの載置接合部品用規制片が凹状溝部の反洗い場側の端縁に当接するまでの間に円滑に吸収され、スペーサーの壁パネル用規制片及び載置接合部品用規制片の当接によって十分に抑制される。これにより、洗い場で生じた想定外の衝撃がより効果的に抑制され、浴室床パンの端縁に対する壁パネルの下端縁の固定状態をより一層強固に維持することができる。
【0016】
更に、前記スペーサーを、前記壁パネルの周方向にほぼ均等な間隔で複数設けていることが好ましい。この場合には、洗い場で生じた想定外の衝撃が周方向の広い範囲に亘って抑制され、浴室床パンの端縁に対する壁パネルの下端縁の固定状態を広範囲に亘って強固に維持することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上、要するに、載置接合部品の載置部よりも洗い場側の端縁と浴室床パンの端縁との間に挿通された止水目地材の下端に、前記載置接合部品の洗い場側の端縁に設けた係合部に対し、当該止水目地材を挿通した際に係止される係止部を設けることで、止水目地材の経時的な浮きを効果的に防止し、止水目地材による確実な止水効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る浴室床パンの防水接続構造を用いた浴室の洗い場を一部切り欠いたコーナー部付近の斜視図である。
【図2】図1のコーナー部付近で切り欠いた壁パネルの斜視図である。
【図3】図1のコーナー部付近で切り欠いたドアの枠体の斜視図である。
【図4】壁パネルの周方向中央部付近で切断した浴室床パンの端部付近の断面図である。
【図5】ドアの枠体の周方向中央部付近で切断した浴室床パンの端部付近の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る浴室床パンの防水接続構造に用いられる浴室の洗い場において壁パネル側ジョイナーの端部を直線上につなぐ第1ジョイントケース付近の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る浴室床パンの防水接続構造に用いられる浴室の洗い場において壁パネル側ジョイナーの端部同士を直線上につなぐ第2ジョイントケース付近の斜視図である。
【図8】図1の止水目地材、壁パネル及びドアの枠体を取り外した状態でコーナー部付近を切り欠いて示す第3ジョイントケース付近の斜視図である。
【図9】ジョイントケースの断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例に係るスペーサーを取り付けた状態で壁パネル側ジョイナーを反浴室側から見た斜視図である。
【図11】図10のスペーサー付近で切断した浴室床パンの端部付近の断面図である。
【図12】図10のスペーサーを浴室側から見た斜視図である。
【図13】図10のスペーサーを反浴室側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0020】
図1〜図3において、1は本発明の実施の形態に係る浴室床パンの防水接続構造が適用される浴室の洗い場であって、この洗い場1の床2の敷設領域には、浴室床パン3が敷設されている。この洗い場1の周囲は、複数枚の壁パネル4とドア5(図5参照)とによって仕切られている。前記ドア5は、枠体としてのドア枠51に対し開閉自在とされている。前記各壁パネル4及びドア枠51は、浴室床パン3の周縁部に所定間隔おきに立設された支柱6(図6〜図8参照)に連結部材(図示せず)を介して固定されている。
【0021】
前記浴室床パン3は、成形型により成形され、FRP(繊維強化プラスチック)等の合成樹脂材よりなる。前記浴室床パン3の周縁部(端部)には凹状に凹む凹状溝部31が形成されている。また、前記壁パネル4は、樹脂化粧鋼板41の裏面に裏打材42を貼り合わせて形成されている。この樹脂化粧鋼板41の左右両端縁及びドア枠51の左右両端縁には、背面側に折曲された折り曲げ部がそれぞれ形成されており、この両折り曲げ部が前記連結部材を介して前記支柱6に取り付けられている。この場合、互いに相隣なる壁パネル4,4の樹脂化粧鋼板41の左右両端縁同士の間、及び互いに相隣なる壁パネル4の樹脂化粧鋼板41及びドア枠51の端縁同士の間には、抜け止め用の返しを有する壁用乾式目地材(図示せず)が打ち込まれている。この壁用乾式目地材は、後述する止水目地材76による止水が行われる前に打ち込まれる。つまり、互いに相隣なる壁パネル4,4の樹脂化粧鋼板41の左右両端縁同士の間、又は互いに相隣なる壁パネル4の樹脂化粧鋼板41及びドア枠51の端縁同士の間に壁用乾式目地材を打ち込んで当該端縁同士の間を止水してから、止水目地材76による止水が行われる。
【0022】
前記浴室床パン3の凹状溝部31には、載置接合部品としての帯状のジョイナー7が敷設されている。このジョイナー7は、前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部が載置される壁パネル側ジョイナー71と、前記ドア枠51の内側縁511の下端部が載置されるドア枠側ジョイナー72とを備え、前記壁パネル4が対応する部位とドア枠51が対応する部位とで使い分けられている。この壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72は、共にPP(ポリプロピレン)よりなる。
【0023】
図4に示すように、前記壁パネル側ジョイナー71は、その内外両端部位置(洗い場1側端部位置及び反洗い場1側端部位置)よりそれぞれ上方へ突出する一対の載置部711,712を備え、この各載置部711,712に前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部を載置している。一方、前記ドア枠側ジョイナー72は、その内端部(洗い場1側端部)より上方へ突出する載置部721を備え、この載置部721に前記ドア枠51の内側縁511の下端部を載置している。つまり、壁パネル側ジョイナー71の一対の載置部711,712と、ドア枠側ジョイナー72の単一の載置部721とは、前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部と前記ドア枠51の内側縁511とに応じた形状に変更されている。そして、前記壁パネル側ジョイナー71は、前記凹状溝部31と前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部との間に介在されている一方、前記ドア枠側ジョイナー72は、前記凹状溝部31と前記ドア枠51の下端部との間に介在されている。
【0024】
前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の内側の載置部711,721には、それぞれの内側端(洗い場1側端)より上方へ突設された突片713,723が一体的に設けられている。また、前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の内外両端部位置には、それぞれ下方に突出する内外一対の脚部7a,7bが一体的に設けられている。そして、前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72は、それぞれ脚部7a,7bを介して前記凹状溝部31に接地されている。
【0025】
前記凹状溝部31の内側端部には、さらに下方へ凹む凹状溝311が設けられている。この凹状溝311に対応する,前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の内側端(洗い場1側端)つまり内側の脚部7aには、その下端より内側に延びた後に下方へ突出する突起7cが一体的に設けられている。この突起7cは、前記凹状溝311内に充填された水密材としてのコーキング剤7dを介して当該凹状溝311に嵌挿され、その凹状溝311に対しコーキング剤7dを介して水密状にシールされている。
【0026】
前記壁パネル側ジョイナー71の内外の載置部711,712同士の間には、その内側の載置部711寄りから上方へ向かって突出するシール材714が付設されている。また、前記壁パネル側ジョイナー71の外側の載置部712の上面にも、シール材715が付設されている。更に、前記壁パネル側ジョイナー71の突片713にも、斜め外方向きに上方へ突出するシール材716が付設されている。この各シール材714〜716は、それぞれ弾性変形可能な高分子ゲル(例えばオレフィン系エラストマー)よりなり、各載置部711,712に前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部が載置された際の自重により内側の載置部711寄りのシール材714及び外側の載置部712上面のシール材715がそれぞれ弾性変形して当該壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部に対し密着してシールする。また、前記壁パネル側ジョイナー71の突片713のシール材716は、各載置部711,712に前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部が載置された際に押し倒されて弾性変形し、当該壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部に対し側方から密着してシールする。そして、前記壁パネル側ジョイナー71及び各シール材714〜716は、図示しない押し出し成形型により押し出し成形されて一体的に構成されてなる。
【0027】
また、図4中75は、壁パネル側ジョイナー71の各載置部711,712に前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部を載置した際に凹状溝部31に対し当該壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端縁を位置決めして壁パネル4を動き止めするためのスペーサーであって、凹状溝部31の反洗い場1側の端縁に対しその周方向所定間隔おき、例えば200mmのピッチごとに装着される。なお、スペーサー75の装着ピッチは、これに限定されるものではなく、壁パネルのサイズによっても異なる。
【0028】
一方、図5に示すように、前記ドア枠側ジョイナー72の載置部721の反洗い場1側寄りには、斜め外方向きに上方へ突出する中央突出片725が一体的に設けられている。また、前記中央突出片725よりも外方側となるドア枠側ジョイナー72の反洗い場1側の端縁には、上方へ突出する外側突出片724が一体的に設けられている。この外側突出片724と前記凹状溝部31の反洗い場1側の端縁との間には、コーキング剤7fが充填されている。前記外側突出片724と前記凹状溝部31の反洗い場1側の端縁との間には、ドア枠51の内側縁511よりも外側位置において下方へ突出する突出片512が挿通され、その突出片512の下端を前記凹状溝部31の段部に接地させた状態で前記外側突出片724と前記凹状溝部31の反洗い場1側の端縁とに対しコーキング剤7fを介して水密状にシールしている。更に、前記ドア枠側ジョイナー72の突片723には、斜め外方向きに上方へ突出するシール材726が付設されている。このシール材726は、弾性変形可能な高分子ゲル、例えば、オレフィン系エラストマーよりなり、前記ドア枠側ジョイナー72の載置部721に前記ドア枠51の内側縁511が載置された際に弾性変形し、その内側縁511に対し密接してシールしている。そして、前記ドア枠側ジョイナー72及びシール材726は、図示しない押し出し成形型により押し出し成形されて一体的に構成されてなる。なお、図5中における514は、ドア5の支持具52を支持するための支持用突起である。また、515は、ドア枠51に嵌装され、ドア5を外側からシールするドア用シール材である。
【0029】
また、前記凹状溝部31の洗い場1側の端縁と、前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の洗い場1側の端縁つまり突片713,723との間には、凹状溝部31の洗い場1側の端縁と前記スペーサー75により位置決めされた壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部及びドア枠51の内側縁511との間を周方向全域に亘って止水する帯状の止水目地材76が挿入されている。この止水目地材76は、前記凹状溝部31の洗い場1側の端縁と前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部及びドア枠51の内側縁511との間に跨ってシールする目地材本体761と、この目地材本体761の内外方向略中間位置より下方に突出し、前記凹状溝部31の洗い場1側の端縁と前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の突片713,723との間に挿入される挿入片762と、この挿入片762より内外方向にそれぞれ突出し、前記凹状溝部31の洗い場1側の端縁並びに壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部及びドア枠51の内側縁511をそれぞれシールする複数のシール片763,…とを備えている。前記目地材本体761及び各シール片763は、アクリル系エラストマー(軟質アクリル)により成形されているのに対し、挿入片762は、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)により成形されている。この目地材本体761、挿入片762及び各シール片763は、図示しない押し出し成形型により同時に押し出し成形されて一体的に構成されてなる。
【0030】
そして、前記挿入片762の下端に対応する前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の洗い場1側の端縁には、前記内側の載置部711,721の下面つまり前記突片713,723の下端面を略水平に形成した係合部7g,7gが設けられている。前記止水目地材76の挿入片762は、前記突片713,723の内側面に沿って延び、その下端に返し状の係止部764を備えている。この係止部764は、前記凹状溝部31の洗い場1側の端縁と前記突片713,723との間に止水目地材76を挿通した際に前記係合部7gに係止される。そして、前記止水目地材76は、前記浴室床パン3の周方向全域つまり壁パネル4及びドア枠51と接する部位の全域に亘って切れ目なく連続的に設けられている。また、前記浴室床パン3の角部に対応する前記止水目地材76のコーナー部は、そのコーナー部の内側での目地材本体761同士の重なり合いを回避する上で当該コーナー部における目地材本体761を平面視で洗い場1側に略90°開く略V字状に切り欠いている。
【0031】
また、図6に示すように、前記壁パネル4の幅方向端部に対応する,当該壁パネル4と前記凹状溝部31との間には、端部用載置接合部品としての直線状の第1ジョイントケース81が介設されている。この第1ジョイントケース81の一端(図6では左端)には、壁パネル側ジョイナー71の端部が接合されている。また、図7に示すように、互いに相隣なる前記壁パネル4,4の端部同士の継ぎ目に対応する,当該両壁パネル4,4と前記凹状溝部31との間には、端部用載置接合部品としての直線状の第2ジョイントケース82が介設されている。この第2ジョイントケース82の両端には、互いに相隣なる壁パネル4,4に沿って設けられた壁パネル側ジョイナー71,71の端部がそれぞれ接合されている。また、図8に示すように、浴室床パン3の角部(洗い場1のコーナー部)において前記壁パネル4とドア枠51との端部同士の継ぎ目に対応する,当該壁パネル4及びドア枠51と前記凹状溝部31との間には、端部用載置接合部品としての略L字状の第3ジョイントケース83が介設されている。この第3ジョイントケース82の両端には、壁パネル4に沿って設けられた壁パネル側ジョイナー71の端部と、ドア枠51に沿って設けられたドア枠側ジョイナー72の端部とがそれぞれ水密状に接合されている。前記各ジョイントケース81〜83は、ABS樹脂により成形されている。
【0032】
図9に示すように、前記各ジョイントケース81〜83には、それぞれの内端部(洗い場1側端部)より上方へ突出する載置部8a,8aが一体的に設けられている。この各載置部8aは、前記壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の内側の載置部711,721と同じ位置で上方へ突出しかつ同一の機能を有している。また、前記各ジョイントケース81〜83には、それぞれの内側端より上方へ突設された突片8bが一体的に設けられている。この突片8bは、前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の突片713,723と同一の形状でかつ同一の機能を有している。また、前記各ジョイントケース81〜83には、その突片8bの下端に対応する各ジョイントケース81〜83の洗い場1側の端縁の載置部8aの下面つまり突片8bの下端面を略水平に形成した係合部8cが一体的に設けられている。この係合部8cは、前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の係合部7g,7gと同一の形状でかつ同一の機能を有している。また、前記各ジョイントケース81〜83の端縁には、前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72の脚部7a,7b間に嵌合される突片(図示せず)が一体的に設けられている。そして、前記壁パネル側ジョイナー71及び前記ドア枠側ジョイナー72は、前記各ジョイントケース81〜83を先に前記凹状溝部31に接地させた状態で、この各ジョイントケース81〜83の上に被せるようにして凹状溝部31に接地される。このとき、各ジョイントケース81〜83の突片が各ジョイントケース81〜83の脚部7a,7b間に嵌合される。
【0033】
更に、前記各ジョイントケース81〜83には、前記脚部8dの内側の下端位置より内側に延びた後に下方へ突出する突起8eが一体的に設けられている。この突起8eは、前記壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の突起7cと同一の形状でかつ同一の機能を有している。そして、前記各ジョイントケース81〜83の外側縁には、長手方向中央部を最も高い位置に設定した段差状の段差壁8fが一体的に設けられている。この段差壁8fは、前記突片8bとの間に充填されるコーキング剤(図示せず)の充填量の目安とされるものである。このコーキング剤は、段差壁8fの最も高い位置まで充填される。
【0034】
したがって、上記実施の形態では、浴室床パン3の凹状溝部31に対しコーキング剤7dによって壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72を密着させて接地させ、その壁パネル側ジョイナー71に対し高分子ゲルよりなる各シール材714〜716によって壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部が水密状に接地しているとともに、前記ドア枠側ジョイナー72に対し高分子ゲルよりなるシール材726及びコーキング剤7fによってドア枠51の内側縁511及び突出片512の下端部が水密状に接地している。
その場合、浴室床パン3の凹状溝部31の洗い場1側の端縁と、壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の洗い場1側の端縁つまり突片713,723との間に挿通された止水目地材76の挿入片762の下端には、壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の突片713,723下端面の係合部7g,7g、並びに、各ジョイントケース81〜83の突片8b下端面の係合部8cに対し、当該止水目地材76を挿通した際に係止される係止部764が設けられている。
これにより、壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の突片713,723下端面の係合部7g,7g、並びに、各ジョイントケース81〜83の突片8b下端面の係合部8cが簡単に形成され、止水目地材76の経時的な浮きを効果的に防止し、止水目地材76による確実な止水効果を得ることができる。
【0035】
また、壁パネル側ジョイナー71の一対の載置部711,712と、ドア枠側ジョイナー72の単一の載置部721とは、前記壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部と前記ドア枠51の内側縁511とに応じた形状に変更されているので、壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の載置部を壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部とドア枠51の内側縁511とに応じた形状に変更すれば、壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部が壁パネル側ジョイナー71の載置部711,712に、ドア枠51の内側縁511がドア枠側ジョイナー72の載置部721にそれぞれ円滑に載置される。これにより、浴室床パン3の凹状溝部31の形状を壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部及びドア枠51の内側縁511に応じて変更する必要がなく、壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部及びドア枠51の内側縁511を凹状溝部31に対し円滑に接地させることができる。
【0036】
また、壁パネル側ジョイナー71の内外の載置部711,712同士の間、壁パネル側ジョイナー71の外側の載置部712の上面、及び壁パネル側ジョイナー71の突片713に、載置部711,712に載置された壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部をシールするシール材714〜716がそれぞれ付設されている一方、ドア枠側ジョイナー72の突片723に、載置部721に載置されたドア枠51の内側縁511をシールするシール材726が付設されているので、壁パネル側ジョイナー71の載置部711,712及びドア枠側ジョイナー72の721に対する壁パネルの樹脂化粧鋼板41の下端部及びドア枠51の内側縁511の水密性をシール材714〜716,726によって効果的に高めることができる。
【0037】
また、壁パネル側ジョイナー71及び各シール材714〜716は、押し出し成形型により押し出し成形されて一体的に構成されてなるとともに、ドア枠側ジョイナー72及びシール材726も押し出し成形型により押し出し成形されて一体的に構成されてなるので、壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72にシール材714〜716,726を接着材などにより接着する必要がなく、壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72にシール材714〜716,726が接着された一体成型品を安価でかつ簡単に得ることができる。
【0038】
また、壁パネル4の幅方向端部に対応する,当該壁パネル4と凹状溝部31との間に、第1ジョイントケース81が介設され、この第1ジョイントケース81の一端に壁パネル側ジョイナー71の端部が接合されている。また、互いに相隣なる壁パネル4,4の端部同士の継ぎ目に対応する,当該両壁パネル4,4と凹状溝部31との間に、第2ジョイントケース82が介設され、この第2ジョイントケース82の両端に壁パネル側ジョイナー71,71の端部がそれぞれ接合されている。更に、浴室床パン3の角部(洗い場1のコーナー部)において壁パネル4とドア枠51との端部同士の継ぎ目に対応する,当該壁パネル4及びドア枠51と凹状溝部31との間に、第3ジョイントケース83が介設され、この第3ジョイントケース82の両端に壁パネル側ジョイナー71の端部及びドア枠側ジョイナー72の端部がそれぞれ水密状に接合されている。
これにより、凹状溝部31に対する壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部及びドア枠51の内側縁511のシール性を第1〜第3ジョイントケース81〜83によって途切れさせることなく円滑に確保することができる。
しかも、前記第1〜第3ジョイントケース81〜83にも壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の内側の載置部711,721と同一の形状でかつ同一の機能を有する載置部8aが設けられているので、壁パネル4,4同士の継ぎ目やドア枠51と壁パネル4との継ぎ目においても壁パネル4又はドア枠51を載置することができる。
更に、前記第1〜第3ジョイントケース81〜83にも壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の係合部7gと同一の形状でかつ同一の機能を有する係合部8cが設けられているので、壁パネル4,4同士の継ぎ目やドア枠51と壁パネル4との継ぎ目においても止水目地材76の挿入片762下端の係止部764が係止され、止水目地材76による確実な止水効果を効果的に図ることができる。
【0039】
また、前記第1〜第3ジョイントケース81〜83にも、段差壁8fと突片8bとの間における段差壁8fの最も高い位置までコーキング剤が充填されているので、壁パネル4の折り曲げ部と連結部材との間、及び互いに相隣なる一対の壁パネル4,4の折り曲げ部同士の間、並びに互いに相隣なる壁パネル4及びドア枠51の折り曲げ部同士の間にもれなくコーキング剤が行き渡る上、壁用乾式目地材の下端部にもコーキング剤が行き渡り、当該部材間(壁パネル4の折り曲げ部と連結部材との間、及び互いに相隣なる一対の壁パネル4,4の折り曲げ部同士の間、並びに互いに相隣なる壁パネル4及びドア枠51の折り曲げ部同士の間)でのシール性を効果的に高めることができる。
【0040】
また、前記止水目地材76は、浴室床パン3の周方向全域に亘って切れ目なく連続的に設けられ、その浴室床パン3の角部に対応するコーナー部が洗い場1側向きに開く略V字状に切り欠かれているので、止水目地材76による確実な止水効果をより一層図ることができる。しかも、止水目地材76が浴室床パン3の周方向全域に亘って切れ目なく連続的に設けられていることにより、止水目地材76の仕上がり外観を良好なものにすることができる。その上、浴室床パン3の角部に対応する止水目地材76のコーナー部が洗い場1側向きに開く略V字状に切り欠かれていることにより、浴室床パン3の角部での止水目地材76の位置決めがし易いものとなり、作業性を向上させることができる。
【0041】
更に、凹状溝部31の内側端部よりさらに下方へ凹む凹状溝311に、壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72並びに第1〜第3ジョイントケース81〜83の突起7c,8eが、前記凹状溝311内に充填されたコーキング剤7dを介して水密状にシールされているので、凹状溝部31に対する壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72並びに第1〜第3ジョイントケース81〜83の間でのより効果的な水密性を得ることができる。
【0042】
次に、本発明の実施の形態の変形例を図10〜図13に基づいて説明する。
この変形例では、スペーサーの構成を変更している。なお、スペーサーを除くその他の構成は、前記実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0043】
すなわち、図10に示すように、スペーサー77は、凹状溝部31の反洗い場1側の端縁に対しその周方向にほぼ等間隔(例えば200mmのピッチ)で装着されている。このスペーサー77は、図11に示すように、凹状溝部31の反洗い場1側の端縁を包み込むように装着される。具体的には、凹状溝部31の反洗い場1側の端縁が外方(反洗い場1側)に突出したのちに上方に突出する断面略L字状に形成されている関係上、スペーサー77は、前記端縁の洗い場1側面に内側(洗い場1側)から接する内側片771と、この内側片771の上端より外方へ延び、前記端縁の上面に上側から接する上側片772と、この上側片772の外端より下方へ延び、前記端縁の反洗い場1側面に外側から接する外側片773と、この外側片773の下端より内方へ延びる下側片774とを備えている。
【0044】
そして、前記スペーサー77の上側片772の内端部には、図12及び図13にも示すように、その内端部(洗い場1側端部)付近となる壁パネル4の下端縁付近より上方へ起立して当該壁パネル4の裏打材42の裏面に内側面が接する起立片775が突設されている。この起立片775は、上側片772の幅方向(図11では紙面手前奥方向)の略中央位置より上方へ延びるリブ775aを備え、このリブ775aによって、上方へ起立する起立片775を補強している。
【0045】
また、前記スペーサー77の内側片771には、壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端縁に対しその上方へ所定の隙間(例えば数ミリ)を存して対抗するように内方に突出する壁パネル用規制片776が設けられている。この壁パネル用規制片776は、壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端縁との間の隙間以上の当該樹脂化粧鋼板41の上方への移動を規制している。更に、前記スペーサー77の下側片774は、凹状溝部31の反洗い場1側の端縁の下面に対しその下方へ所定の隙間(例えば数ミリ)を存して対抗する上面を有している。この下側片774は、樹脂化粧鋼板41が上方へ移動した際に壁パネル用規制片776との当接によりスペーサー77が上方へ移動しようとしても、凹状溝部31の反洗い場1側の端縁の下面との間の隙間以上のスペーサー77の上方への移動を規制するスペーサー用規制片としての機能を有している。
【0046】
この場合、スペーサー77の上側片772の内端部付近となる壁パネル4の下端縁付近より上方へ起立する起立片775の内側面が壁パネル4の裏打材42の裏面に接しているので、洗い場1で使用者が飛び跳ねたり転倒したりした際の想定外の衝撃によって浴室床パン3が瞬間的に撓んで壁パネル側ジョイナー71の各載置部711,712に載置した壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部を上方へ浮き上がらせて外方(壁パネル4の裏面側)に離脱させてしまうといったことが確実に防止される。これにより、洗い場1で生じた想定外の衝撃が効果的に抑制され、浴室床パン3の端縁に対する樹脂化粧鋼板41の下端部の固定状態を強固に維持することができる。
【0047】
また、洗い場1で使用者が飛び跳ねたり転倒したりした際の想定外の衝撃によって浴室床パン3が瞬間的に撓んで壁パネル4の樹脂化粧鋼板41の下端部を上方へ浮き上がらせても、スペーサー77の壁パネル用規制片776によって樹脂化粧鋼板41の下端部との間の隙間以上の当該樹脂化粧鋼板41の上方への浮き上がりが規制される。また、樹脂化粧鋼板41が上方へ移動した際に壁パネル用規制片776との当接によりスペーサー77が上方へ移動しようとしても、凹状溝部31の反洗い場1側の端縁の下面との間の隙間以上のスペーサー77の上方への移動が下側片774(スペーサー用規制片)によって規制される。このため、洗い場1で生じた想定外の衝撃が、スペーサー77の壁パネル用規制片776に樹脂化粧鋼板41の下端部が衝突するまでの間、及びスペーサー77の下側片774の上面が凹状溝部31の反洗い場1側の端縁の下面に当接するまでの間に円滑に吸収され、スペーサー77の壁パネル用規制片776及び下側片774の当接によって十分に抑制される。これにより、洗い場1で生じた想定外の衝撃がより効果的に抑制され、浴室床パン3の端縁に対する樹脂化粧鋼板41の下端部の固定状態をより一層強固に維持することができる。
【0048】
更に、スペーサー77が凹状溝部31の反洗い場1側の端縁に対しその周方向にほぼ等間隔で装着されているので、洗い場1で生じた想定外の衝撃が周方向の広い範囲に亘って抑制され、浴室床パン3の端縁に対する樹脂化粧鋼板41の下端部の固定状態を広範囲に亘って強固に維持することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記実施の形態では、PP(ポリプロピレン)よりなる壁パネル側ジョイナー71又はドア枠側ジョイナー72と、それぞれ弾性変形可能な高分子ゲル(例えばPPゲル)よりなるシール材714〜716又は726とを、押し出し成形型により押し出し成形して一体的に構成したが、壁パネル側ジョイナー71及びドア枠側ジョイナー72の材料と、シール材714〜716の材料とはこれに限定されるものではない。例えば、壁パネル側ジョイナー及びドア枠側ジョイナーがABS樹脂により成形されているとともに、各シール材が高分子ゲル(例えば、オレフィン系エラストマー)により成形されていてもよい。この場合には、各ジョイナーと各シール材とを同時に成形することができず、接着材による接合もできないため、両者を接合するには機械的に嵌合可能な構造に成形する必要がある。
【0050】
また、上記実施の形態では、壁パネル4の幅方向端部に対応する,当該壁パネル4と凹状溝部31との間に、第1ジョイントケース81を介設し、また、互いに相隣なる壁パネル4,4の端部同士の継ぎ目に対応する,当該両壁パネル4,4と凹状溝部31との間に、第2ジョイントケース82を介設し、更に、浴室床パン3の角部において壁パネル4とドア枠51との端部同士の継ぎ目に対応する,当該壁パネル4及びドア枠51と凹状溝部31との間に、第3ジョイントケース83を介設したが、各ジョイントケースを廃止し、壁パネルの幅方向端部、互いに相隣なる壁パネルの端部同士の継ぎ目、及び浴室床パンの角部において壁パネルとドア枠との端部同士の継ぎ目がそれぞれ対応する部位において壁パネル側ジョイナー及びドア枠側ジョイナーを連続的に延ばしたり、そのジョイナーの端部同士を直接的に接合するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 洗い場
3 浴室床パン
31 凹状溝部
311 凹状溝
4 壁パネル
41 樹脂化粧鋼板(壁パネル)
51 ドア枠(枠体)
71 壁パネル側ジョイナー(載置接合部品)
711,712 壁パネル側ジョイナーの載置部
714〜716 壁パネル側ジョイナーのシール材
72 ドア枠側ジョイナー(載置接合部品)
721 ドア枠側ジョイナーの載置部
726 ドア枠側ジョイナーのシール材
76 止水目地材
761 目地材本体
762 挿入片
764 係止部
77 スペーサー
774 下側片(スペーサー用規制片)
775 起立片
776 壁パネル用規制片
7c 突起
7d コーキング剤(水密材)
7g 係合部
81〜83 第1〜第3ジョイントケース(端部用載置接合部品)
8a 各ジョイントケースの載置部
8c 各ジョイントケースの係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室床パンの端部に形成した凹状溝部に対し壁パネル又はドアの枠体を防水した状態で接続する浴室床パンの防水接続構造であって、
前記凹状溝部と前記壁パネル又はドアの枠体との間に介在され、その壁パネル又はドアの枠体が載置される載置部を有する載置接合部品と、
前記載置接合部品の載置部よりも洗い場側の端縁と前記浴室床パンの端縁との間を止水する目地材本体を有しているとともに、この目地材本体より下方に突設され、前記両端縁間に挿入される挿入片を有する止水目地材と、
を備えており、
前記載置接合部品の洗い場側の端縁には係合部が設けられている一方、
前記止水目地材の挿入片には、その挿入片を挿入した際に前記係合部に係止される係止部が設けられていることを特徴とする浴室床パンの防水接続構造。
【請求項2】
前記載置接合部品の載置部は、前記壁パネルと前記ドアの枠体とに応じた形状に変更されている請求項1に記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項3】
前記載置接合部品には、前記載置部に載置された前記壁パネル又はドアの枠体をシールするシール材が設けられている請求項1又は請求項2に記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項4】
前記載置接合部品及び前記シール材は、共に押し出し成形により成形されるものであり、その押し出し成形時に当該載置接合部品及びシール材が一体的に成形されてなる請求項3に記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項5】
前記壁パネルの端部、又は壁パネルの端部同士の継ぎ目、若しくは前記ドアの枠体の端部と壁パネルの端部との継ぎ目に対応する,前記凹状溝部と前記壁パネル又はドアの枠体との間には、前記載置部及び前記係合部を有する端部用載置接合部品が介在され、この端部用載置接合部品に対し前記載置接合部品の端部が接合されている請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項6】
前記端部用載置接合部品の載置部には、前記壁パネル又はドアの枠体をシールするシール材が設けられている請求項5に記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項7】
前記止水目地材は、前記浴室床パンの周方向全域に亘って切れ目なく連続的に設けられ、その浴室床パンの角部に対応するコーナー部が洗い場側向きに開く略V字状に切り欠かれている請求項5又は請求項6に記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項8】
前記凹状溝部の洗い場側には、さらに下方に凹む凹状溝が設けられているとともに、
前記凹状溝に対応する前記載置接合部品の洗い場側端には下方に突出する突起が設けられており、
前記突起は、前記凹状溝に対し水密材を介して嵌挿されている請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項9】
前記載置接合部品の載置部には、前記壁パネルの下端部を載置した際に凹状溝部に対し当該壁パネルの下端縁を位置決めするスペーサーが設けられており、
前記スペーサーは、前記壁パネルの下端縁付近より上方へ起立して当該壁パネルの裏面に接する起立片を備えている請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項10】
前記スペーサーは、
前記壁パネルに対しその上方へ隙間を存して設けられ、かつその隙間以上の前記壁パネルの上方への移動を規制する壁パネル用規制片と、
前記凹状溝部の反洗い場側の端縁に対しその下方へ隙間を存して設けられ、その隙間以上の前記スペーサーの上方への移動を規制するスペーサー用規制片と、
を備えている請求項9に記載の浴室床パンの防水接続構造。
【請求項11】
前記スペーサーは、前記壁パネルの周方向にほぼ均等な間隔で複数設けられている請求項9又は請求項10に記載の浴室床パンの防水接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−153513(P2011−153513A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246079(P2010−246079)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(501362906)積水ホームテクノ株式会社 (89)
【Fターム(参考)】