説明

浴室構造

【課題】廻縁の施工にあたって、作業者の負担を軽減できる浴室構造を提供する。
【解決手段】隣り合う壁パネル1を連結する支柱3の上端部にキャップ9が取り付けられる。壁パネル1と天井パネル2の連結部分に室内側に開口する廻縁用凹所19が形成される。キャップ9に廻縁用凹所19に配置される廻縁用嵌込部21が突出して形成される。廻縁用凹所19に廻縁20が配置される。廻縁20が廻縁用嵌込部21に嵌め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁パネルと天井パネルの連結部分に廻縁が配置される浴室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットバスにおいて、壁パネルと天井パネルの連結部分に回縁を取り付ける従来例として特許文献1が知られている。この特許文献1では、廻縁取付け具がねじを用いて壁パネルに取り付けられ、この廻縁取付け具に廻縁が嵌め込まれて廻縁が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−111776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1にあっては、廻縁の施工にあたって、廻縁取付具をねじを用いて壁パネルに取り付ける必要があり、また、前記ねじを回す際には天井パネルが邪魔になる等、手間を要する。また、長尺な廻縁を設けるには、廻縁取付具を壁パネルに多数取り付ける必要があり、この点で作業者の負担は大きくなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、廻縁の施工にあたって、作業者の負担を軽減できる浴室構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の浴室構造は、隣り合う壁パネルを連結する支柱の上端部にキャップが取り付けられ、前記壁パネルと天井パネルの連結部分に室内側に開口する廻縁用凹所が形成され、前記キャップに前記廻縁用凹所に配置される廻縁用嵌込部が突出して形成され、前記廻縁用凹所に廻縁が配置されると共にこの廻縁が前記廻縁用嵌込部に嵌め込まれることを特徴とする。
【0007】
また、前記支柱が平面視で直角に配置された壁パネル同士を連結するものであり、この支柱に前記キャップが取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、廻縁の施工にあたって、作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の壁パネルを支柱に取り付ける様子、及びキャップを支柱に取り付ける様子を示す斜視図である。
【図2】施工状態における壁パネル及びキャップを示す斜視図である。
【図3】壁パネルと天井パネルの連結部分の側断面図である。
【図4】壁パネルを支柱で連結した状態を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。本実施形態における浴室構造は、住宅やマンション等に設けられるユニットバスルームに適用したものである。このユニットバスルームは、床パン(不図示)、複数の壁パネル1(図2参照)、及び壁パネル1上に設けられる複数の天井パネル2(図3参照)を具備している。
【0011】
隣り合う壁パネル1同士は、図4に示すように支柱3を介して連結され、この支柱3は床パンの外周縁部や、浴槽の外周縁部上に立てた状態で設けられる。支柱3は平面視矩形状の浴室のコーナー部に設けられ、この支柱3により平面視で直角に配置された二枚の壁パネル1の側端部同士が連結される。
【0012】
支柱3はステンレスなどの金属製であって、水平断面が室内側に開口する溝形に形成されている。支柱3の室内側に開口する開口部の両側には、支柱3の溝幅方向の内側に向けて突出する係止部4が形成されている。各係止部4は、支柱3の側板部5の室内側端部を室外側に折り返して形成されている。
【0013】
支柱3両側の壁パネル1は、金属製で縦長矩形状の表面板6を備えている。図4に示すように各壁パネル1の支柱3側の端部には、室外側に向かって突出する被係止部8が形成されている。各被係止部8は、表面板6の側縁部を室外側に向けて折り曲げ、この折り曲げ部分の先端部を壁パネル1の幅方向内側において室内側に折り返すことで形成されている。
【0014】
各壁パネル1の被係止部8は、支柱3の内側に室内側から挿入されて対応する係止部4の室外側に係止される。これにより各壁パネル1は支柱3幅方向外側への移動及び室内外方向の移動が規制される。被係止部8を係止部4に係止するには、図1の矢印a1に示すように壁パネル1を室外側に押し込めばよい。なお、図示は省略するが、平面視で直線状に配置された二枚の壁パネルも支柱3と略同様の支柱を用いて連結される。
【0015】
支柱3の上端部には、図2に示すようにキャップ9が取り付けられる。キャップ9は合成樹脂製であり、支柱3の溝幅方向を左右方向としたとき、図1に示すように左右対称形状に形成されている。キャップ9は、上面を構成する覆部10と、覆部10から下方に向けて突出する内嵌込部11と、覆部10から下方に向けて突出して内嵌込部11の外側に位置する外嵌込部12を有している。
【0016】
キャップ9は、図4に示すように、内嵌込部11が支柱3の上端部の内側に嵌め込まれ、外嵌込部12が支柱3の上端部の外側に嵌め込まれ、これにより支柱3に固定される。内嵌込部11及び外嵌込部12を支柱3に嵌め込むには、図1の矢印a2に示すように支柱3の上側に配置したキャップ9を下方に移動すればよい。
【0017】
このキャップ9は、図4に示すように内嵌込部11が支柱3の内側に挿入された両被係止部8の室外側に位置し、被係止部8の水平方向の移動を規制する。また、図2のように、覆部10は支柱3の上方に位置して当該支柱3の上端開口を覆う。さらに、覆部10の下面が両側の壁パネル1の被係止部8の上方に位置し、この覆部10により、支柱3両側の壁パネル1の上方への移動が規制される。
【0018】
キャップ9の両側には、図1及び図2に示すように廻縁用嵌込部21が一体に形成されている。廻縁用嵌込部21は、覆部10の両側端部の上端から対応する壁パネル1の幅方向と平行な外側方に向けて突出している。各廻縁用嵌込部21は、図2に示すようにキャップ9を支柱3に取り付けた状態において、対応する壁パネル1の上縁片17の上面に沿って配置される。なお、廻縁用嵌込部21は、その下面が上縁片17の上面に当接されるものであってもよいし、上縁片17の上方に隙間を介して配置されるものであってもよい。
【0019】
各廻縁用嵌込部21の室内側端部には、上下方向に膨大した嵌合部22が形成されている。嵌合部22は廻縁用嵌込部21の突出方向の全長に亘って形成されている。嵌合部22は室内側程上下厚みが小さくなるように台形状に形成され、壁パネル1の上縁片17の前端部上方に配置される。
【0020】
キャップ9の覆部10の室外側には、上方に突出する突出片部13が形成されており、突出片部13は両側に配置される壁パネル1の突片18と突片18の間に位置して、覆部10の上方部が室外側に露出しないようにする。
【0021】
図4に示すように、支柱3には、両側の壁パネル1の対向する被係止部8の間から縦に長い乾式の目地材14が圧入される。これにより対向する被係止部8の間から支柱3内に浴室内の水が浸入することが防止される。また、目地材14の弾性力により、両側の壁パネル1が離れる方向に付勢され、これにより両側の被係止部8が支柱3の係止部4から外れることが防止される。
【0022】
天井パネル2は支柱3両側の壁パネル1に対して図3に示すように配置される。天井パネル2は浴室天井面を構成する金属製の表面板15を備えており、表面板15の外縁には下方に突出する垂片16が形成されている。一方、支柱3両側の各壁パネル1の表面板6の上縁には、室外側に突出して壁パネル1の上端面を構成する上縁片17が形成されており、上縁片17の上面はキャップ9の覆部10の上面と同レベルに位置している。上縁片17の後縁には上方に突出する突片18が形成されている。
【0023】
天井パネル2は、垂片16を突片18の室外側の面に沿わせ、図示しないビスを室内側から突片18に通して垂片16にねじ込むことにより、支柱3両側の壁パネル1に取り付けられる。このように天井パネル2を各壁パネル1に取り付けることで、天井パネル2と各壁パネル1の連結部分には、図3に示すように壁パネル1の上縁片17及び突片18、並びに天井パネル2の表面板15で構成される室内側に開口する廻縁用凹所19が形成される。この廻縁用凹所19の支柱3側の端部には、キャップ9の廻縁用嵌込部21が配置される。
【0024】
支柱3両側の壁パネル1の上方に形成された廻縁用凹所19には、廻縁用凹所19に沿って長尺な図3に示す廻縁20が圧入される。なお、廻縁20は、支柱3で連結された両壁パネル1に亘って連続して設けられるものであってもよいし、壁パネル1毎に設けられるものであってもよい。廻縁20が両壁パネル1に亘って設けられるものである場合、廻縁20において平面視矩形状の浴室のコーナー部分に位置する部分は、キャップ9の覆部10の上方に配置されることとなる。
【0025】
廻縁20は、断面形状が室外側に開口する溝形に形成された廻縁本体23を有している。廻縁本体23の上面部の後端部には下方に突出する爪部24が形成され、廻縁本体23の下面部において爪部24に対向する後端部には上方に突出する爪部25が形成されている。
【0026】
廻縁20は、断面溝形の廻縁本体23を廻縁用凹所19に配置されたキャップ9の室内側に突出する嵌合部22の外側に嵌め込むことで、廻縁用嵌込部21に取り付けられる。このように廻縁20を廻縁用嵌込部21に取り付けた状態では、廻縁20が室内側に抜け出ないように、両爪部24、25が嵌合部22の室外側の面に係合される。なお、廻縁20が両壁パネル1に亘って設けられるものである場合、廻縁本体23はキャップ9両側の嵌合部22に嵌め込まれることとなる。
【0027】
廻縁本体23の上下面にはヒレ片部26が突出形成されている。ヒレ片部26は天井パネル2の表面板15や壁パネル1の上縁片17に弾力的に接し、これによっても廻縁20が室内側に抜け出ることが防止される。また、廻縁本体23の下面において室内側の端部に形成された下方に突出するヒレ片部26は、廻縁20が廻縁用凹所19の室外側に深く押し込まれることを防止するため、壁パネル1の表面板6に弾力的に接する。
【0028】
以上説明した本実施形態の浴室構造は、キャップ9に廻縁用凹所19に配置される廻縁用嵌込部21が突出して形成され、廻縁用凹所19に廻縁20が配置されると共に廻縁20が廻縁用嵌込部21に嵌め込まれる。この構成により、支柱3の上端部に取り付けられるキャップ9を用いて廻縁20を固定することができる。このため、廻縁20の支柱3近傍部分においては、従来のように廻縁20を嵌め込むための廻縁取付け具を壁パネル1に取り付ける必要がなく、廻縁20の施工にあたって、作業者の負担を軽減できる。
【0029】
また、本実施形態のキャップ9は、平面視で直角に配置された壁パネル1同士を連結する支柱3に取り付けられるものであり、浴室のコーナー部において廻縁取付け具を取り付ける必要がない。浴室のコーナー部において、平面視で直角に配置された壁パネル1とこの上方に配置された天井パネル2とで囲まれた狭い箇所においては、廻縁取付け具をねじで壁パネル1に取り付ける際、壁パネル1や天井パネル2が邪魔になる。しかし、本実施形態ではこの廻縁取付け具の施工を省略できるため、作業者の負担を軽減することができる。
【0030】
なお、図示は省略するが、平面視で直線状に配置された二枚の壁パネルを連結する支柱の上端部にも同様のキャップ9を取り付けても構わない。また、廻縁20が長い場合、廻縁20の途中の部分等は従来と同様に壁パネル1に取り付けた廻縁取付け具に嵌め込んで固定しても構わない。また、本実施形態では廻縁用嵌込部21をキャップ9の両側に形成したが、片側にのみ形成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 壁パネル
2 天井パネル
3 支柱
9 キャップ
19 廻縁用凹所
20 廻縁
21 廻縁用嵌込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う壁パネルを連結する支柱の上端部にキャップが取り付けられ、前記壁パネルと天井パネルの連結部分に室内側に開口する廻縁用凹所が形成され、前記キャップに前記廻縁用凹所に配置される廻縁用嵌込部が突出して形成され、前記廻縁用凹所に廻縁が配置されると共にこの廻縁が前記廻縁用嵌込部に嵌め込まれることを特徴とする浴室構造。
【請求項2】
前記支柱が平面視で直角に配置された壁パネル同士を連結するものであり、この支柱に前記キャップが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の浴室構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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