説明

浴室用構成部材

【課題】1次コイルと2次コイルとの間の電磁誘導により、浴室部材の紫外線を点灯させるようにした浴室を提供する。
【解決手段】浴槽1のフランジ1aには、蓋2L用及び蓋2R用の各1次コイル3が設けられている。蓋2L,2Rがそれぞれ正規姿勢で浴槽1に装着されると、各蓋2L,2Rに設けられた2次コイル6,6が1次コイル3,3にそれぞれ対峙して該2次コイル6,6に誘導電流が発生し、この誘導電流により紫外線LED5が点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の蓋、浴室用椅子、浴室用ブラシ等の浴室部材を有する浴室用構成部材に係り、特に浴室部材に紫外線を発光する紫外線発光体が設けられた浴室用構成部材に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽に被せる蓋の下面に紫外線LEDを設け、浴槽の内面にカビやヌメリが付くことを防止することが特開2001−95699号の第0011段落及び図10に記載されている。
【0003】
特開2004−254805号には、浴槽内にマッサージ機、照明、ヒータ、ポンプ等の機器を配置すると共に、該機器に2次コイルを設け、浴槽外に配置した1次コイルとの間の電磁誘導により該機器に給電することが記載されている。
【0004】
特開2003−174978号の図6,8には、シャワーヘッドに超音波発生器及び2次コイルを設けると共に、シャワーフックに1次コイルを設け、これら1次コイル、2次コイル間の電磁誘導により超音波発生器に給電することが記載されている。
【特許文献1】特開2001−95699号
【特許文献2】特開2004−254805号
【特許文献3】特開2003−174978号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、1次コイルと2次コイルとの間の電磁誘導により、浴室部材の紫外線を点灯させるようにした浴室用構成部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の浴室用構成部材は、移動可能な浴室部材を備えた浴室用構成部材において、該浴室部材には2次コイル及び該2次コイルから給電されて紫外線を発光する紫外線発光体が設けられ、該浴室用構成部材には、該浴室部材が規定位置に配置されたときに該2次コイルが対峙するように1次コイルが設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の浴室用構成部材は、請求項1において、前記浴室部材は浴槽の蓋であり、前記1次コイルは該浴槽のフランジに設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の浴室用構成部材は、請求項2において、前記蓋は上面と下面とで別異の意匠のものであり、該蓋の下面に、浴槽内に向って紫外線を照射するように前記紫外線発光体が設けられており、前記1次コイルと2次コイルとは、蓋が正規姿勢にて浴槽に被せられたときに2次コイルに誘導電流が流れるよう構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の浴室用構成部材は、請求項3において、前記蓋が正規姿勢にて浴槽に被せられたことを検知するためのリードスイッチが設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の浴室用構成部材は、請求項3において、前記1次コイルのインピーダンスを検出することにより前記蓋が正規姿勢にて浴槽に被せられたことを検知するためのインピーダンス検出手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6の浴室用構成部材は、請求項1において、前記浴室部材は浴室用の椅子であり、前記1次コイルは浴室の洗い場の隅部に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7の浴室用構成部材は、請求項1において、前記浴室部材は浴室用のブラシであり、該浴室に該ブラシを掛けるためのフックが設けられており、前記1次コイルは該フック又はその近傍に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項8の浴室用構成部材は、請求項7において、前記フックは鉄心であり、前記1次コイルと略同軸的に配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項9の浴室用構成部材は、請求項1において、前記浴室部材は浴室の天井又は立面に設けられた作業用開口の蓋であり、該蓋の裏側に前記紫外線発光体が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の浴室用構成部材にあっては、浴室部材を規定位置に配置すると、1次コイルと2次コイルとが対峙し、電磁誘導により2次コイルに誘導電流が流れ、この電流により紫外線発光体が点灯し、紫外線が照射される。
【0016】
なお、本発明において、浴室用構成部材とは、浴室を構成する各部材の総称であり、具体的には、浴室内に設置される浴槽や該浴槽のエプロン部分、洗い場としての床、あるいは浴室自体の壁や天井などが例示される。もちろん、上記以外の構成部材も含まれる。
【0017】
また、本発明において、浴室部材とは、これらの浴室用構成部材に対し移動可能に設けられた部材の総称であり、具体的には、浴槽の蓋や、上記エプロン部分、壁又は天井等に設けられた作業用開口(例えば点検口)の蓋、浴室用椅子、浴室用ブラシなどが例示される。もちろん、上記以外の浴室部材も含まれる。
【0018】
請求項2の浴室用構成部材にあっては、蓋を浴槽のフランジに被せて1次コイルと2次コイルとが対峙すると、紫外線発光体が点灯可能となる。
【0019】
請求項3の浴室用構成部材にあっては、蓋を正規姿勢にて浴槽に被せた場合に紫外線発光体が点灯可能となる。
【0020】
請求項4の浴室用構成部材にあっては、蓋が正規姿勢にて浴槽に被せられると、例えばフランジに設けられた磁石の磁力に対し蓋に設けられたリードスイッチが感磁し、2次コイルから紫外線発光体に給電可能となる。
【0021】
請求項5の浴室用構成部材にあっては、1次コイルと2次コイルとが対峙した場合と離隔した場合とで1次コイルのインピーダンスが異なるので、1次コイルのインピーダンスを検出することにより蓋が正規姿勢にて被せられたか否か検知することが可能である。
【0022】
請求項6の浴室用構成部材によると、椅子を洗い場の隅に片付けると、椅子の紫外線発光体が発光可能となる。従って、洗い場にて椅子を使用しているときに予期せずに紫外線発光体が発光することがない。
【0023】
請求項7の浴室用構成部材によると、ブラシをフックに掛けた場合に、ブラシに設けた紫外線発光体が発光可能となる。従って、湿ったブラシが対面する壁面に紫外線を照射してカビやヌメリ発生を防止することができる。
【0024】
請求項8によると、鉄心を介して2次コイルに効率良く誘導電流を発生させることができる。
【0025】
請求項9によると、作業用開口に蓋を装着したときだけ蓋裏側スペースに向って紫外線を照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
第1図は実施の形態に係る蓋付き浴槽の断面図、第2図及び第3図はそれぞれ蓋装着前後の浴槽(浴室)の平面図、第4図(a),(b)はそれぞれ蓋を正しく装着した状態及び蓋を表裏逆にして装着した状態を示す浴槽のフランジ付近の断面図、第5図は紫外線発光装置(2次コイル側)の概略図、第6図及び第7図はそれぞれ蓋を誤った姿勢にて浴槽に装着した状態の一例を示す浴槽の平面図である。なお、第3図は、蓋を正規姿勢にて浴槽に装着した状態を示している。
【0028】
この実施の形態の浴室部材は浴槽1の蓋2L,2Rである。
【0029】
第2,3図の通り、この実施の形態では、浴槽1は略長方形の平面視形状を有しており、その一長辺及び一短辺をそれぞれ浴室の直交する2壁面に沿わせるようにして設置されている。この浴槽1の上縁から側外方へ向って水平に張り出すフランジ1aが設けられている。このフランジ1aは、浴槽1の4辺に沿って該浴槽1の全周を取り巻くように延設されている。
【0030】
このフランジ1aに、蓋2L用及び蓋2R用の2個の1次コイル3,3が設けられている。各1次コイル3は、コイルの軸心方向を上下方向としてフランジ1aの上面近傍に埋め込まれている。この実施の形態では、浴槽1の一長辺に沿うフランジ1aの該長辺方向両端側のコーナー部付近にそれぞれ1次コイル3が配置されている。
【0031】
各1次コイル3は交流電源回路(図示略)に接続されており、該交流電源回路から各1次コイル3に対し所定の交流電流が供給されている。
【0032】
この実施の形態では、各蓋2L,2Rが浴槽1(フランジ1a)に被せられたときに後述のリードスイッチ7を感磁させるための、蓋2L用及び蓋2R用の2個のマグネット4,4が設置されている。この実施の形態では、各マグネット4は、各1次コイル3に隣接して配置されている。このマグネット4も、フランジ1aの上面近傍に埋め込まれている。
【0033】
この実施の形態では、浴槽1の表面に、酸化チタン等の光触媒層(図示略)が設けられている。
【0034】
第1〜3図の通り、この実施の形態の蓋2L,2Rは、浴槽1の長辺方向の中間から一半側及び他半側(第1〜3図における左半側及び右半側。以下、左右方向はこの左右方向をいう。)にそれぞれ被せられ、これら2枚で浴槽1の上面全体を覆う。この際、これら蓋2L,2Rの周縁部はフランジ1aの上面に重なる。
【0035】
なお、この実施の形態では、各蓋2L,2Rは、浴槽1に被せられる際の上面と下面とで意匠が異なっており、視覚的又は触覚的に該上面と下面とを識別しうるように構成されている。また、図示はしないが、これらの蓋2L,2Rには、それぞれ、浴槽1の前記左半側に配置されるものであるか又は右半側に配置されるものであるかを示すマーク等が設けられている。さらに、この実施の形態では、これらの蓋2L,2Rを第3図に示す正規の姿勢で並べたときに各蓋2L,2Rの対向辺と反対側(外側)に位置する辺2a,2aの両端側のコーナー部が丸みを帯びた形状となっており、各蓋2L,2Rの姿勢を確認し易くなっている。
【0036】
第1図の通り、各蓋2L,2Rの下面には、これらの蓋2L,2Rが浴槽1に被せられたときに該浴槽1の内側領域Sに向って紫外線を照射する紫外線発光体としての紫外線LED5が設けられている。なお、広い範囲に紫外線を照射するために、LEDを複数個設けるのが好ましい。また、有機ELなどの面状の紫外線発光体を用いてもよい。
【0037】
各蓋2L,2Rの周縁部には、これらの蓋2L,2Rが正規姿勢で浴槽1(フランジ1a)上に配置されたときにそれぞれ前記蓋2L用及び蓋2R用の各1次コイル3の上側に重なる位置関係にて、紫外線発光装置の2次コイル6が設けられている。各2次コイル6は、コイルの軸心方向を上下方向として、各蓋2L,2Rの下面近傍に埋め込まれている。
【0038】
この実施の形態では、各蓋2L,2Rに、これらの蓋2L,2Rが正規姿勢で浴槽1(フランジ1a)上に配置されたときにそれぞれ前記蓋2L用及び蓋2R用の各マグネット4の上側に重なる位置関係にて、リードスイッチ7が設けられている。
【0039】
なお、このリードスイッチ7は、各蓋2L,2Rの下面にごく近接して埋め込まれており、第4図(a)のように蓋2L,2Rが規定通り該下面を下向きにしてフランジ1a上に重ねられたときには、リードスイッチ7がマグネット4の磁力に感磁してONとなるが、第4図(b)のように蓋2L,2Rが上下逆の姿勢でフランジ1a上に重ねられたときには、リードスイッチ7がマグネット4の磁力に対し感磁しうる範囲外に配置され、該リードスイッチ7がONとならないように構成されている。
【0040】
第5図の通り、各蓋2L,2Rにおいて、2次コイル6に生じた誘導電流は給電回路8を介して紫外線LED5に給電される。この給電回路8に該リードスイッチ7が組み込まれており、該リードスイッチ7がONとなった場合、即ち、各蓋2L,2Rが正規姿勢で浴槽1に被せられた場合にのみ、紫外線LED5への給電が行われるよう構成されている。
【0041】
このように構成された蓋2L,2R付き浴槽1にあっては、蓋2L,2Rを第3図の如く正規姿勢にて浴槽1上に配置すると、各1次コイル3と各2次コイル6とが対峙し、電磁誘導により各2次コイル6に誘導電流が流れると共に、各リードスイッチ7がマグネット4に対峙してONとなり、この電流が給電回路8を介して各紫外線LED5に流れる。これにより、各紫外線LED5が点灯して浴槽1の内側領域Sに紫外線が照射され、紫外線殺菌及び付着有機物の分解が行われる。この実施の形態では、浴槽1の表面に光触媒層が設けられており、該光触媒層に紫外線が照射されたときに活性酸素が発生し、付着有機物が効率よく分解される。
【0042】
この蓋2L,2R付き浴槽1にあっては、蓋2L,2Rを正規姿勢で浴槽1に被せられたときにのみ紫外線LED5が点灯する。
【0043】
即ち、例えば、第6図や第7図のように、蓋2L,2Rを非正規姿勢で配置した場合には、各1次コイル3と各2次コイル6並びに各リードスイッチ7と各マグネット4がそれぞれ対峙せず、紫外線LED5への給電が行われない。なお、第6図では、外側辺2a,2a同士が対向する姿勢にて、蓋2Lを浴槽1の右半側に被せ、蓋2Rを浴槽1の左半側に被せている。また、第7図では、蓋2L,2Rを正規姿勢から水平面内において180゜回転させた姿勢で浴槽1に被せている。
【0044】
また、仮に、1次コイル3と2次コイル6並びにマグネット4とリードスイッチ7がそれぞれ重なるように配置されていても、蓋2L,2Rが表裏逆に浴槽1に被さっているときには、リードスイッチ7がマグネット4の磁力に対し感磁しないため、紫外線LED5が点灯しない。これにより、紫外線が人体に当たることがない。
【0045】
1次コイル3と2次コイル6並びにマグネット4とリードスイッチ7の配置に特に制限はなく、任意の位置に配置することができる。第8〜10図はこれらの別の配置の一例を示す蓋付き浴槽の平面図である。なお、第8図は蓋装着前を示し、第9図は蓋を正規姿勢で装着した状態を示し、第10図は蓋を非正規姿勢で装着した状態を示している。
【0046】
この実施の形態では、浴槽1を左右兼用の2枚の蓋2,2で覆うようになっている。
【0047】
即ち、この実施の形態では、浴槽1の一対角線方向に対向するフランジ1aの1対のコーナー部にそれぞれ1次コイル3を配置すると共に、蓋2,2を第9図に示す正規姿勢で浴槽1に被せたときに各1次コイル3に重なる、各蓋2のコーナー部にそれぞれ2次コイル6を配置している。また、この実施の形態でも、各1次コイル3に隣接してマグネット4を配置すると共に、蓋2,2を該正規姿勢で浴槽1に被せたときに各マグネット4に重なる位置関係にて、それぞれリードスイッチ7が配置されている。
【0048】
この実施の形態のその他の構成は前述の第1〜5図の実施の形態と同様となっており、同一符号は同一部分を示している。
【0049】
この実施の形態にあっては、蓋2,2を並べたときに、表裏が正しく、且つこれらの外側辺2a,2aがそれぞれ外側を向く姿勢であれば、各蓋2を左右どちら側に配置しても、各2次コイル6が1次コイル3に対峙すると共に、各リードスイッチ7がマグネット4に対峙し、紫外線LED5(第8〜10図では図示略。)が点灯する。
【0050】
この実施の形態では、第10図のように、双方又はいずれか一方の蓋2の外側辺2aが内側(蓋2,2同士の間)を向いた姿勢であると、双方又はいずれか一方の蓋2の2次コイル6及びリードスイッチ7がそれぞれ1次コイル3及びマグネット4と対峙せず、紫外線LED5が点灯しない。
【0051】
第11〜13図は1次コイル3及び2次コイル6等のさらに別の配置の一例を示す蓋付き浴槽の平面図である。なお、第11図は蓋装着前を示し、第12図は蓋を正規姿勢で装着した状態を示し、第13図は蓋を非正規姿勢で装着した状態を示している。
【0052】
この実施の形態では、浴槽1が左側用蓋2Lと右側用蓋2Rとによって覆われるようになっている。
【0053】
この実施の形態では、浴槽1の一長辺に沿うフランジ1aの右端側のコーナー部に蓋2R用1次コイル3が設けられると共に、このフランジ1aの左端側に連なる、浴槽1の一短辺に沿うフランジ1aの延在方向の途中部に、蓋2L用1次コイル3が設けられている。また、蓋2R用マグネット4は、蓋2R用1次コイル3に隣接して配置され、蓋2L用マグネット4は、浴槽1の前記一長辺に沿うフランジ1aの左端側のコーナー部付近に設けられている。
【0054】
蓋2L,2Rには、これらを第12図の正規姿勢で並べたときにそれぞれ蓋2L用又は蓋2R用の各1次コイル3及びマグネット4にそれぞれ対峙する位置関係にて2次コイル6及びリードスイッチ7が配置されている。
【0055】
この実施の形態のその他の構成は前述の第1〜5図の実施の形態と同様となっている。
【0056】
この実施の形態にあっては、蓋2L,2Rを第12図の正規姿勢で配置した場合に限り紫外線LED5(第11〜13図では図示略。)が点灯し、例えば第13図のように蓋2L,2Rを左右逆に配置した場合などには、紫外線LED5は点灯しない。
【0057】
なお、上記の各実施の形態では各蓋2L,2Rにリードスイッチ7を設けているが、浴槽1側に蓋2L用及び蓋2R用の各リードスイッチ7を設け、例えば蓋2L,2Rが正規姿勢にて浴槽1に被せられたときに各リードスイッチ7がONとなって各1次コイル3に交流電流が供給されるよう構成してもよい。
【0058】
第14図はさらに別の実施の形態に係る蓋付き浴槽の紫外線発光装置の概略図である。
【0059】
上記の各実施の形態では、リードスイッチ7がマグネット4の磁力によりONとなることにより、各蓋2L,2Rが正規姿勢にて配置されたことを検知するよう構成しているが、この実施の形態では、2次コイル6が1次コイル3に対し非対峙である場合と対峙している場合とのインピーダンスの変化に基づいて、各蓋2L,2Rが正規姿勢で配置されているかどうかを判定する。
【0060】
この実施の形態では、浴槽1に、蓋2L用及び蓋2R用の各1次コイル3と、各1次コイル3にそれぞれ交流電流を供給する交流電源装置9と、各1次コイル3を流れる電流を計測してインピーダンスの変化をモニターするモニター回路10と、各交流電源装置9の出力を制御する出力制御回路11とが設けられている。なお、この実施の形態では、蓋2L用1次コイル3と蓋2R用1次コイル3とに個別に交流電源装置9及びモニター回路10が接続されている。
【0061】
各蓋2L,2Rには、それぞれ、紫外線LED5、2次コイル6、及び蓋2Lと蓋2Rとの識別用のインピーダンス調整回路12が設けられている。該インピーダンス調整回路12は、各蓋2L,2Rの2次コイル6が蓋2L用1次コイル3に対峙したときと蓋2R用1次コイル3に対峙したときとでそれぞれ異なるインピーダンスが各モニター回路10によって検出されるよう設定されている。
【0062】
前記出力制御回路11は、紫外線LED5を点灯させない待機状態時には、各交流電源装置9から各1次コイル3に対し一定の微弱な電流を供給している。蓋2L,2Rが浴槽1に被せられた場合、各1次コイル3に該蓋2L,2Rの各2次コイル6が接近することにより、インピーダンスが変化する。各モニター回路10は、このインピーダンスの変化に伴う電流変化をモニターすることにより、蓋2L,2Rが正規姿勢で浴槽1に被さっているか否かを判定する。
【0063】
蓋2L,2Rが正規姿勢で浴槽1に被せられ、蓋2L用1次コイル3に蓋2Lの2次コイル6が対峙すると共に、蓋2R用1次コイル3に蓋2Rの2次コイル6が対峙した場合には、各モニター回路10がそれぞれ所定のインピーダンス値を検出する。この場合、各モニター回路10は、蓋2L,2Rが正規姿勢で浴槽1に被せられたと判定し、出力制御回路11に対しLED点灯信号を出す。この信号を受けて、出力制御回路11は、各交流電源装置9からの電流を、紫外線LED5を点灯させるのに必要な出力値まで増大させる。
【0064】
この結果、電磁誘導により各2次コイル6に誘導電流が流れ、各紫外線LED5が点灯する。
【0065】
なお、この実施の形態では、蓋2L,2Rが浴槽1に被せられても、各モニター回路10が所定のインピーダンス値を検出しない限り、紫外線LED5は点灯されない。
【0066】
この実施の形態のその他の構成は前述の第1〜5図の実施の形態と同様である。
【0067】
第15図は別の実施の形態に係る浴室の洗い場隅部付近の斜視図であり、第16図及び第17図は第15図のXVI−XVI線及びXVII−XVII線に沿う断面図である。
【0068】
この実施の形態では、浴室部材は浴室用椅子20と浴室用ブラシ30である。
【0069】
該浴室用椅子(以下、単に椅子と称する。)20は、第16図に示すように、人が腰掛ける座板部21と、該座板部21の下面から下方に向って立設された略々円筒形の脚部22と、該脚部22の下端付近に設けられた2次コイル23と、該2次コイル23に生じた誘導電流により点灯して椅子20の内側(座板部21の裏面側及び脚部22の内周面側)領域Sに紫外線を照射する紫外線LED24とを有している。
【0070】
該2次コイル23は、コイルの軸心方向を上下方向として、該脚部22の下端付近を周回するように配設されている。この2次コイル23は、インサート成形等により該脚部22の材質中に埋め込まれている。
【0071】
この実施の形態では、第15図に示すように、浴室の洗い場の隅部床面に、この椅子20用の1次コイル25が埋め込まれている。この1次コイル25は、コイルの軸心方向を上下方向として配設されている。この1次コイル25には、交流電源装置(図示略)から交流電流が供給されている。
【0072】
この実施の形態では、椅子20を洗い場の隅部床面に置くと、該床面の1次コイル25と椅子20の2次コイル23とが対峙し、電磁誘導により2次コイル23に誘導電流が流れ、紫外線LED23が点灯する。これにより、椅子20の内側領域Sに紫外線が照射され、紫外線殺菌及び付着有機物の分解が行われる。
【0073】
なお、この椅子20の内側(座板部21の裏面及び脚部22の内周面)に光触媒層を設けておいてもよい。これにより、紫外線照射時に該光触媒層に紫外線が当り、活性酸素が発生して付着有機物が効率よく分解される。
【0074】
浴室用ブラシ(以下、単にブラシと称する。)30は、この実施の形態では、把手部31と、該把手部31の一端(先端)側に設けられた植毛部32と、該把手部31の他端側に設けられた、フック係合用のリング部33と、該リング部33を周回するように設けられた2次コイル34と、該2次コイル34に生じた誘導電流により点灯する紫外線LED35とを有している。
【0075】
該2次コイル34は、コイルの軸心方向をリング部33の軸心方向として、且つ該リング部33と略同心状に配設されている。この2次コイル34は、インサート成形等により、該リング部33の材質中に埋め込まれている。
【0076】
紫外線LED35は、この実施の形態では、植毛部32の植毛された面に連なる把手部31の一側面に配置されている。なお、この実施の形態では、該把手部31の延在方向に位置を異ならせて複数個の紫外線LED35が設けられている。
【0077】
第17図に示すように、浴室の壁面には、このブラシ30用の1次コイル36と、このブラシ30を引掛けるためのフック37とが設けられている。該1次コイル36は、コイルの軸心方向を該壁面と略直交方向(該壁面の法線方向)として、該壁面に埋め込まれている。該1次コイル36には、交流電源装置(図示略)から交流電流が供給されている。
【0078】
フック37は、該壁面に固定される取付座37aと、該取付座37aから略水平に延出した磁性金属製軸体37bとからなる。このフック37は、該軸体37bが1次コイル36と同心状となるように配置されて壁面に固定されている。ブラシ30を掛ける場合には、リング部33にこの軸体37bが挿通される。即ち、この実施の形態では、該軸体37bが鉄心として作用する。なお、該軸体37bの先端側は、リング部33の脱落を防止するために上方へL字形に屈曲している。
【0079】
ブラシ30(リング部33)を、植毛部32(紫外線LED35)が壁面を向くようにしてフック37(軸体37b)に引掛けると、壁面の1次コイル36と該リング部33の2次コイル34とが対峙すると共に該軸体37bが鉄心として作用し、該2次コイル34に誘導電流が生じて紫外線LED35が点灯する。これにより、該ブラシ30が対面する壁面領域に紫外線が照射され、カビやヌメリの発生が防止される。なお、このブラシ30が対面する壁面領域に、光触媒層を設けておいてもよい。これにより、紫外線照射時に該光触媒層に紫外線が当り、活性酸素が発生して付着有機物が効率よく分解される。
【0080】
この実施の形態では、上記のようにフック37の軸体37bが鉄心として作用するので、2次コイル34に効率よく誘導電流を発生させることができる。
【0081】
第18図は別の実施の形態に係る浴室の天井付近の斜視図であり、第19図は第18図のXIX−XIX線に沿う断面図である。
【0082】
この実施の形態では、浴室の天井に、天井裏スペースの点検用の開口40が設けられ、この開口40を覆うように蓋41が装着されている。この実施の形態の浴室部材は該蓋41である。
【0083】
該開口40及び蓋41は、この実施の形態では略正方形状となっている。第19図に示すように、該蓋41の周縁部からは、側外方へ向ってフランジ41aが突設されている。図示の通り、該フランジ41aは、蓋41の下面から上方へ後退した位置から側方へ張り出している。なお、該開口40の天井裏側の周縁部には、このフランジ41aが係合する凹段部40aが形成されている。
【0084】
蓋41は、開口40に対し、天井裏側から該開口40内に落し込まれるようにして装着される。この際、フランジ41aが天井裏側から該開口40の周縁部(凹段部40)に係合し、蓋40が固定される。
【0085】
この開口40の周囲を周回するように1次コイル42が設けられると共に、蓋41の周縁部を周回するように2次コイル43が設けられている。該1次コイル42には、交流電源装置(図示略)から交流電流が供給されている。
【0086】
この実施の形態では、蓋41の裏側に、該2次コイル43に生じた誘導電流により点灯して開口40の裏側スペース(天井裏スペース)に向って紫外線を照射する紫外線LED44が取り付けられている。
【0087】
この実施の形態では、開口40に蓋41を装着すると、2次コイル43が1次コイル42に対峙して該2次コイル43に誘導電流が発生し、この誘導電流により各紫外線LED44が点灯する。この結果、開口40の裏側スペースに紫外線が照射され、紫外線殺菌及び付着有機物の分解が行われる。なお、天井裏に光触媒層を設けておいてもよい。これにより、紫外線照射時に該光触媒層に紫外線が当り、活性酸素が発生して付着有機物が効率よく分解される。
【0088】
第20図は別の実施の形態に係る浴室の浴槽側面付近の斜視図であり、第21図は第20図のXXI−XXI線に沿う断面図である。
【0089】
この実施の形態では、浴槽1の側面に装着されるエプロン50に点検用の開口51が設けられ、この開口51に蓋52が装着されている。この実施の形態の浴室部材も、この蓋52である。
【0090】
該開口51及び蓋52は、この実施の形態でも略正方形状となっている。第21図に示すように、該蓋52の周縁部からは、放射状にフランジ52aが突設されている。図示の通り、該フランジ52aは、蓋52の裏面(エプロン50の裏側を向く面)から表面側へ後退した位置から該表面と面一状に側方へ向って張り出している。なお、該開口51の周縁部には、このフランジ52aが係合する凹段部51aが形成されている。
【0091】
蓋52を装着するに当っては、浴室内から開口51に蓋52を嵌め込む。この際、フランジ52aが該開口51の周縁部(凹段部51a)に係合する。次いで、このフランジ52aを該開口51の周縁部にビス(図示略)留めする。
【0092】
この開口51の周囲を周回するように1次コイル53が設けられると共に、蓋52の周縁部を周回するように2次コイル54が設けられている。該1次コイル53には、交流電源装置(図示略)から交流電流が供給されている。
【0093】
この実施の形態では、蓋52の裏側に、該2次コイル54に生じた誘導電流により点灯して開口51の裏側スペース(エプロン50と浴槽1の側面との間のスペース)に向って紫外線を照射する紫外線LED55が取り付けられている。
【0094】
この実施の形態では、開口51に蓋52を装着すると、2次コイル54が1次コイル53に対峙して該2次コイル54に誘導電流が発生し、この誘導電流により各紫外線LED55が点灯する。この結果、開口51の裏側スペースに紫外線が照射され、紫外線殺菌及び付着有機物の分解が行われる。なお、エプロン50の裏側及び浴槽1の側面(フランジ1aの裏面も含む)に光触媒層を設けておいてもよい。これにより、紫外線照射時に該光触媒層に紫外線が当り、活性酸素が発生して付着有機物が効率よく分解される。
【0095】
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0096】
例えば、本発明は、浴槽の蓋や浴室用椅子、浴室用ブラシ、各種点検用開口の蓋以外の種々の浴室部材にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施の形態に係る蓋付き浴槽の断面図である。
【図2】蓋装着前の浴槽(浴室)の平面図である。
【図3】蓋装着後の浴槽(浴室)の平面図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ蓋を正しく装着した状態及び蓋を表裏逆にして装着した状態を示す浴槽のフランジ付近の断面図である。
【図5】紫外線発光装置(2次コイル側)の概略図である。
【図6】蓋を誤った姿勢にて浴槽に装着した状態の一例を示す浴槽の平面図である。
【図7】蓋を誤った姿勢にて浴槽に装着した状態の一例を示す浴槽の平面図である。
【図8】実施の形態に係る蓋付き浴槽の平面図である。
【図9】図8の蓋付き浴槽の平面図である。
【図10】図8の蓋付き浴槽の平面図である。
【図11】実施の形態に係る蓋付き浴槽の平面図である。
【図12】図11の蓋付き浴槽の平面図である。
【図13】図11の蓋付き浴槽の平面図である。
【図14】実施の形態に係る蓋付き浴槽の紫外線発光装置の概略図である。
【図15】実施の形態に係る浴室の洗い場隅部付近の斜視図である。
【図16】図15のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図17】図15のXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図18】実施の形態に係る浴室の天井付近の斜視図である。
【図19】図18のXIX−XIX線に沿う断面図である。
【図20】実施の形態に係る浴室の浴槽側面付近の斜視図である。
【図21】図20のXXI−XXI線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 浴槽
2,2L,2R 蓋
3 1次コイル
4 マグネット
5 紫外線LED
6 2次コイル
7 リードスイッチ
10 モニター回路
11 インピーダンス調整回路
20 浴室用椅子
21 座板部
22 脚部
23 2次コイル
24 紫外線LED
25 1次コイル
30 浴室用ブラシ
31 把持部
32 植毛部
33 リング部
34 2次コイル
35 紫外線LED
36 1次コイル
37 フック
40,51 開口
41,52 蓋
42,53 1次コイル
43,54 2次コイル
44,55 紫外線LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な浴室部材を備えた浴室用構成部材において、
該浴室部材には2次コイル及び該2次コイルから給電されて紫外線を発光する紫外線発光体が設けられ、
該浴室用構成部材には、該浴室部材が規定位置に配置されたときに該2次コイルが対峙するように1次コイルが設けられていることを特徴とする浴室用構成部材。
【請求項2】
請求項1において、前記浴室部材は浴槽の蓋であり、前記1次コイルは該浴槽のフランジに設けられていることを特徴とする浴室用構成部材。
【請求項3】
請求項2において、前記蓋は上面と下面とで別異の意匠のものであり、
該蓋の下面に、浴槽内に向って紫外線を照射するように前記紫外線発光体が設けられており、
前記1次コイルと2次コイルとは、蓋が正規姿勢にて浴槽に被せられたときに2次コイルに誘導電流が流れるよう構成されていることを特徴とする浴室用構成部材。
【請求項4】
請求項3において、前記蓋が正規姿勢にて浴槽に被せられたことを検知するためのリードスイッチが設けられていることを特徴とする浴室用構成部材。
【請求項5】
請求項3において、前記1次コイルのインピーダンスを検出することにより前記蓋が正規姿勢にて浴槽に被せられたことを検知するためのインピーダンス検出手段が設けられていることを特徴とする浴室用構成部材。
【請求項6】
請求項1において、前記浴室部材は浴室用の椅子であり、前記1次コイルは浴室の洗い場の隅部に設けられていることを特徴とする浴室用構成部材。
【請求項7】
請求項1において、前記浴室部材は浴室用のブラシであり、該浴室に該ブラシを掛けるためのフックが設けられており、
前記1次コイルは該フック又はその近傍に設けられていることを特徴とする浴室用構成部材。
【請求項8】
請求項7において、前記フックは鉄心であり、前記1次コイルと略同軸的に配置されていることを特徴とする浴室用構成部材。
【請求項9】
請求項1において、前記浴室部材は浴室の天井又は立面に設けられた作業用開口の蓋であり、
該蓋の裏側に前記紫外線発光体が設けられていることを特徴とする浴室用構成部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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