説明

浴室空気調和機

【課題】滞留している配管内での菌の増殖に対し、ミストサウナ運転を始める前に確実に加熱殺菌を行うことができることを目的とする。
【解決手段】加湿水制御装置8の上流側に、加湿水を加熱するための加湿水加熱手段10としての電気ヒータを設けたという構成にしたことにより、前記加湿水が、加湿水制御装置8の上流側で暖められノズル9から噴射するので、滞留している配管内での菌の増殖に対し、ミストサウナ運転を始める前に確実に加熱殺菌を行うことができる浴室空気調和機を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井裏に設置される浴室空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浴室空気調和機には加湿水制御装置の下流に設置した熱源を使用して加湿しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その浴室空気調和機について図5を参照しながら説明する。
【0004】
図5に示すように、浴室空気調和機101は浴室109の空気を吸い込んで浴室109に戻す循環ファン102および循環モータ103と、浴室109から吸い込んだ空気を加熱する循環風加熱手段104と、浴室109から吸い込んだ空気を加湿する循環風加湿手段として、循環風に加湿水を供給するための加湿水配管105と、前記加湿水の供給を制御するための加湿水制御装置106と、前記加湿水が噴射されるノズル107とを備えた浴室空気調和機であって、加湿水制御装置106の下流側に、前記加湿水を加熱するための加湿水加熱手段108を設け、ミストサウナ運転時においては、加湿水加熱手段108で前記加湿水を加熱して浴室109内に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−207176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような特許文献1のような浴室空気調和機においては、加湿水制御装置の下流側に加湿水加熱手段があり、水の温度や雰囲気によっては十分に加熱が行えず、滞留している配管内の菌が十分に加熱殺菌される温度に達する前に浴室内に噴霧される可能性がある、という課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、滞留している配管内での菌の増殖に対し、ミストサウナ運転を始める前に確実に加熱殺菌を行うことができる浴室空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明は、天井裏に隠蔽される浴室空気調和機のうち、浴室の空気を吸い込んで前記浴室に戻す循環ファンおよび循環モータと、前記浴室の空気を吸い込んで屋外に排出する換気ファンおよび換気モータと、前記浴室から吸い込んだ空気を加熱する循環風加熱手段と、前記浴室から吸い込んだ空気を加湿する循環風加湿手段と、前記加湿手段に加湿水を供給するための加湿水配管と、加湿水の供給を制御するための加湿水制御装置と、加湿水が噴射されるノズルとを備えた浴室空気調和機であって、前記加湿水制御装置の上流側に、加湿水を加熱するための加湿水加熱手段としての電気ヒータを設けたこととしたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、天井裏に隠蔽される浴室空気調和機のうち、浴室の空気を吸い込んで前記浴室に戻す循環風路および循環モータと、前記浴室の空気を吸い込んで屋外に排出する換気風路および換気モータと、前記浴室から吸い込んだ空気を加熱する循環風加熱手段と、前記浴室から吸い込んだ空気を加湿する循環風加湿手段として、循環風に加湿水を供給するための加湿水配管と、加湿水の供給を制御するための加湿水制御装置と、加湿水が噴射されるノズルとを備えた浴室空気調和機であって、前記加湿水制御装置の上流側に、加湿水を加熱するための加湿水加熱手段としての電気ヒータを設けたという構成にしたことにより、加湿水が、加湿水制御装置の上流側で暖められノズルから噴射することとなるので、滞留している配管内での菌の増殖に対し、ミストサウナ運転を始める前に確実に加熱殺菌を行うことができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の浴室空気調和機を示す側構成図
【図2】同浴室空気調和機における加湿時の制御フロー図
【図3】本発明の実施の形態2の浴室空気調和機を示す側構成図
【図4】本発明の実施の形態3の浴室空気調和機を示す側構成図
【図5】従来の浴室空気調和機を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の浴室空気調和機は、天井裏に隠蔽される浴室空気調和機のうち、浴室の空気を吸い込んで前記浴室に戻す循環ファンおよび循環モータと、前記浴室の空気を吸い込んで屋外に排出する換気ファンおよび換気モータと、前記浴室から吸い込んだ空気を加熱する循環風加熱手段と、前記浴室から吸い込んだ空気を加湿する循環風加湿手段として、循環風に加湿水を供給するための加湿水配管と、加湿水の供給を制御するための加湿水制御装置と、加湿水が噴射されるノズルとを備えた浴室空気調和機であって、前記加湿水制御装置の上流側に、加湿水を加熱するための加湿水加熱手段としての電気ヒータを設けた、という構成を有する。これにより、加湿水が、加湿水制御装置の上流側で暖められノズルから噴射することとなるので、滞留している配管内での菌の増殖に対し、ミストサウナ運転を始める前に確実に加熱殺菌を行うことができる、という効果を奏する。
【0012】
また、加湿水配管に、加湿水温度検出手段を設けた、という構成にしてもよい。これにより、加湿水の水温を検出することとなるので、加湿水が必要な温度になったのを確認してから、ノズルから噴射することができる、という効果を奏する。
【0013】
また、加湿水加熱手段は、循環風加熱手段と一体化した、という構成にしてもよい。これにより、循環風加熱手段と加湿水加熱手段が一体化することとなるので、加湿手段を減らして加湿水加熱用の配管を削減し、浴室空気調和機内のスペースを削減できる、という効果を奏する。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1に示すように、天井裏に設置される浴室空気調和機について、箱型の本体1内に循環ケーシング2を設け、その内部に設置された循環ファン3および循環モータ4にて吸い込み、循環風路5側に吹き出す。吹き出された空気は循環風路5内に設置された循環風加熱手段6であるPTCヒータを通して加熱され、浴室側吹出し部11から浴室21に戻す構成である。これにより、浴室21内の暖房を行うことができる。
【0016】
なお、循環ファン3はシロッコファンがよく、機内圧損が高くても風量がかせげるためである。
【0017】
また、循環モータはDCモータが望ましい。
【0018】
また、PTCヒータを用いたのは、安全性が良いからである。
【0019】
本実施の形態では、意匠パネル12の吹出口25にルーバ13を設けており、図示していないステッピングモータ等で駆動することで、浴室側吹出し部11からの加熱された空気の吹き出し方向を変更することができる。
【0020】
また、浴室21の空気を図示していない換気ケーシング、換気ファンおよび換気モータにて吸い込み、本体1の一側面(望ましくは図示していない点検口側およびその両側面)に設けた排気口16を通して浴室21外に排出する。これにより、浴室21内の換気を行うことができる。
【0021】
また、本体1の内部に位置する加湿水配管7bと、加湿水の投入を制御する加湿水制御装置8とノズル9を備え、本体1の外部に位置する後述の主管17から枝分かれしている枝管7aと加湿水配管7bとを接続して、本体1の外部に位置する水道管である主管17からの水が本体1内に導かれることで、浴室21内に加湿水を投入することができる。
【0022】
ノズル9はルーバ13内にネジ等にて固定され、循環風の吹き出し方向が変更されるのに合わせて、前記加湿水の吹き出し方向をも変更できる。
【0023】
また、前記浴室空気調和機は、運転の制御を行なう運転制御手段としての電装基板14と、前記浴室空気調和機を脱衣室22から操作し運転状態を表示する操作手段としての脱衣室コントローラ24を備え、脱衣室コントローラ24からの操作により、前記浴室空気調和機の運転を行うことができる。
【0024】
なお、前記浴室空気調和機を浴室21内から操作し運転状態を表示する操作手段としての浴室コントローラ23を備えた浴室空気調和機でも良い。
【0025】
本発明の実施の形態1の前記浴室空気調和機は、電気ヒータである加湿水加熱手段10を加湿水制御装置8の水の流れに対して上流側に備えていることを特徴としている。
【0026】
加湿水加熱手段10を加湿水制御装置8の上流側に備えていることにより、前記加湿水を十分に加熱してから浴室21内に供給することができることとなり、加湿水配管7b内に滞留している菌の増殖に対し、ミストサウナ運転を始める前に確実に加熱殺菌を行うことができる。
【0027】
また、加湿水加熱手段10として電気ヒータを使用することにより、例えば温水器のような外部からの熱源を接続する必要が無いため、施工性の高い浴室空気調和機を提供することができる。
【0028】
また、本発明の浴室空気調和機は加湿水配管7bに加湿水温度検知手段15を設けており、例えば、加湿水配管7b内の水温Tがあらかじめ指示された温度T1以上になったことを検知するまで浴室21への加湿水供給は行わないこととしている。例えば、80℃以上になったことを検知してから加湿水の供給を行うことで、配管内に滞留している菌を確実に殺菌し、安全なミストを浴室に供給することができる。
【0029】
図2にミストサウナ運転時の制御フロー図を示す。
【0030】
本制御フローには示していないが、水温T1を検出してからY秒以上経過後は、加湿水配管7b内の水温TがT2以上になることで、浴室21への加湿水供給を行うことにしても良い。ここで、一般的にはT1>T2である。
【0031】
これは、Y秒以上経過後には枝管7aおよび加湿水配管7b内の残水は既に加温されて殺菌され、新たに主管17から菌のいない新鮮な水が供給されているので、必ずしもミストサウナ運転開始直後ほど高温にする必要が無いためである。
【0032】
(実施の形態2)
図3において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
本実施の形態では、ノズル9から循環風路5内に加湿水を投入する構成としている。
【0034】
これにより、循環風路5内の壁面に加湿水を吹き付けてスチーム状にし、循環風加熱手段6で暖められた浴室21の空気と混ぜ合わせることで、高温高湿の空気として浴室21に投入することができる。
【0035】
本実施の形態において、前記循環風に対して循環風加熱手段6の下流側にノズル9を設置する構成としている。これにより、循環風加熱手段6にスケールが堆積することを防ぐことができるため、風路の減少による加熱能力の低下およびスケールの浸食による循環風加熱手段6の劣化を防ぐことができる。
【0036】
(実施の形態3)
図4において、図1、3と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
本実施の形態では、加湿水加熱手段10を廃し、循環風加熱手段6と一体化した構成としている。加湿手段を減らして加湿水加熱用の配管を削減し、浴室空気調和機内のスペースを削減できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかる浴室空気調和機は、給水配管内の水温が一定以上になったことを確認してからミスト供給することを可能とするものであるので、浴室等の暖房に使用される浴室空気調和機等として有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 本体
2 循環ケーシング
3 循環ファン
4 循環モータ
5 循環風路
6 循環風加熱手段
7a 枝管
7b 加湿水配管
8 加湿水制御装置
9 ノズル
10 加湿水加熱手段
11 浴室側吹出し部
12 意匠パネル
13 ルーバ
14 電装基板
15 加湿水温度検知手段
16 排気口
17 主管
21 浴室
22 脱衣室
23 浴室コントローラ
24 脱衣室コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井裏に隠蔽される浴室空気調和機のうち、浴室の空気を吸い込んで前記浴室に戻す循環ファンおよび循環モータと、前記浴室の空気を吸い込んで屋外に排出する換気ファンおよび換気モータと、前記浴室から吸い込んだ空気を加熱する循環風加熱手段と、前記浴室から吸い込んだ空気を加湿する循環風加湿手段として、循環風に加湿水を供給するための加湿水配管と、加湿水の供給を制御するための加湿水制御装置と、加湿水が噴射されるノズルとを備えた浴室空気調和機であって、前記加湿水制御装置の上流側に、加湿水を加熱するための加湿水加熱手段としての電気ヒータを設けたことを特徴とする浴室空気調和機。
【請求項2】
加湿水配管に、加湿水温度検出手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の浴室空気調和機。
【請求項3】
加湿水加熱手段は、循環風加熱手段と一体化したことを特徴とする請求項1に記載の浴室空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57475(P2013−57475A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196843(P2011−196843)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】