説明

浴槽の残り湯利用装置

【課題】機器ポンプを内蔵し取水を行う機器により、取水配管内に残っていた残水が取水されるのを防止することができる浴槽の残り湯利用装置を提供する。
【解決手段】浴槽2に取水口21が形成され、機器ポンプを内蔵する機器(洗濯機3)が設置される部屋4の取出口41が形成され、取水口21と取出口41との間の壁40内または床下に取水配管5が配設され、洗濯機3の給水口31と取出口41との間に流路切り替え装置6を備えた配管32が接続される。流路切り替え装置6は、取出口41からの水が流入する上流側の流路62と、給水口31に流すための流路63と、排水のための流路64と、切替弁61と、排水のための流路64に設けられるポンプ65と、制御部66と、を備える。流路62と流路64とを連通させてポンプ65を駆動させ、所定時間経過すると、ポンプ65の駆動を停止して流路62と流路63とを連通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の残り湯を利用するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポンプを内蔵し取水を行う機器により、浴槽の残り湯が利用されており、前記機器としては洗濯機が好例であり、以下に洗濯機の場合について説明する。
【0003】
洗濯機には機器ポンプが内蔵されており、洗濯機の給水口に接続されるホースの先端の取水口が浴槽の残り湯中に浸され、機器ポンプの駆動力により残り湯が洗濯機内に取り込まれて、洗濯に利用される。洗濯機は、浴室内ではなく、更衣室等の別の部屋やあるいは室外に設置され、ホースは、使用時に洗濯機と浴槽との間に這設され、非使用時には一箇所にまとめて収納される。
【0004】
この従来例にあっては、使用者は、洗濯を行う度にホースを取り出して洗濯機と浴槽との間に這設する必要があった。更に、使用者は、ホースは浴室と浴室外とに亘って這設するため、ホースを浴室出入口に挿通させる必要があり、使用時に浴室ドアを閉めることができないという問題があった。
【0005】
そこで、上記のようなホースを用いずに浴槽の残り湯を取り込むための配管を設けたものが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−53543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これは、浴槽の底面に取水口が形成されると共に、洗濯機が設置される部屋の壁(洗濯機が室外に設置される場合には外壁)に取出口が形成され、取水口と取出口との間に接続される取水配管が床下や壁内に配設されたものである。洗濯機の給水口と取出口との間にはホースのような配管が接続される。これにより、上記のようなホースが用いられることなく取水配管を介して浴槽の残り湯が取り込まれることが可能となり、上述した問題が解決される。
【0008】
しかしながら、この場合、取水配管内に浴槽の残り湯が残水として残ってしまう。取水配管内は、浴槽の内面のように普段から清掃されることはあまりなく、汚れ成分が内面に付着し易いものである。このような取水配管内に滞留した残水は、汚れ成分により水質が劣化している惧れがあり、この場合、次回の残り湯の使用時にこの取水配管内に滞留していた残水が取り込まれると、衣類にとっても好ましくない、という問題があった。
【0009】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、機器ポンプを内蔵し取水を行う機器により、取水配管内に残っていた残水が取水されるのを防止することができる浴槽の残り湯利用装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成とする。
【0011】
浴室内に設置される浴槽の側面または底面に取水口が形成され、機器ポンプを内蔵し取水を行う機器が設置される部屋の壁に取出口が形成され、前記取水口と前記取出口との間に接続される取水配管が壁内または床下に配設され、前記機器の給水口と前記取出口との間に流路切り替え装置を備えた配管が接続され、前記流路切り替え装置は、前記取出口からの水が流入する上流側の流路と、前記給水口に流すための流路と、排水のための流路と、前記上流側の流路を流れてきた水を前記給水口に流すための前記流路に流すかまたは前記排水のための前記流路に流すかを切り替える切替弁と、前記排水のための前記流路に設けられるポンプと、前記切替弁と前記ポンプとを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記切替弁を前記上流側の流路を流れてきた水を前記給水口に流すための前記流路に流すように制御して、前記ポンプを駆動させ、前記ポンプを駆動させてから所定時間が経過すると、前記ポンプの駆動を停止し、前記切替弁を前記上流側の流路を流れてきた水を前記排水のための前記流路に流すように制御することを特徴とする。
【0012】
また、使用者が前記所定時間を入力して設定する時間設定部が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にあっては、機器ポンプを内蔵し取水を行う機器により、取水配管内に残っていた水質の悪い残水が取水されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の概略構成図である。
【図2】同上の流路切り替え装置の構成図である。
【図3】同上の流路切り替え装置の動作を説明する図であり、(a)は排水する場合の説明図であり、(b)は機器に取水配管を介して残り湯を取り込む場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0016】
機器ポンプを内蔵し取水を行う機器は、本実施形態では洗濯機3として説明するが、洗濯機3に限定されないものである。
【0017】
浴槽2は浴室1内に設置されるもので、浴室1は、建物躯体の床、壁、天井に囲まれたものや、建物の浴室スペースに設置される浴室ユニットであってもよい。浴槽2の側面または底面には取水口21が形成される。本実施形態では、図示しないが、浴槽2の底面の取水口21の内端縁にパッキンを介して取水口部材が水密的に締結されており、取水口部材にスポンジ等からなるフィルタが着脱自在に取り付けられる。着脱自在なフィルタが設けられたことで、毛髪等の異物が捕捉されて取水口21内に入るのが防止されると共に、捕捉した異物の除去がし易いものである。また取水口部材には、取水口21を閉塞する蓋部材が着脱自在に取り付けられる。浴槽2の底面に取水口21が形成されることで、浴槽2内の残り湯全てを取水口21内に導入可能となる。また、浴槽2の底面には取水口21とは別に排水口(図示せず)が形成してある。また、浴槽2内に給水を行う給水手段6が設けられる。給水手段8は、水道等の水源(不図示)に接続される配管(不図示)と、この配管の下流端に設けられる吐出口81とで構成される。
【0018】
洗濯機3が設置される部屋4の壁40には、取出口41が形成される。洗濯機3が設置される部屋4は、浴室1に壁40を介して隣接する更衣室や洗面室が一般的であるが、離れていてもよい。また、洗濯機3が室外に設置される場合には、洗濯機3が設置される近傍の外壁40に取出口41が形成される。
【0019】
そして、上記取水口21と取出口41との間に、取水配管5が接続される。取水配管5は、合成樹脂製の可撓管や金属管からなり、床下や壁40内に配設される。
【0020】
例えば、浴室1が建物躯体の床、壁40、天井に囲まれている場合、浴槽2の下方より取水口21に接続された取水配管5は、浴槽2の下方の床下に埋設されて室外に向けて延伸し、洗濯機3が設置される部屋4の壁40内に入って壁40内を上方に延伸し、端部が取出口41に接続される。
【0021】
また例えば、浴室ユニットの場合、浴槽2の取水口21に接続された取水配管5は、床パンの浴槽2下の部分を貫通して、床パン下で且つ躯体の床上の空間に出て、室外に向けて前記空間に這設される。そして、浴室ユニットの壁パネルと躯体の壁との間を上方に延伸し、端部が躯体の壁に貫通形成された取出口41に接続される。また浴室ユニットの場合でも、床パンを貫通した取水配管5が躯体の床下に埋設されたり、洗濯機3が設置される部屋4の壁40内に入って該壁40内を上方に延伸されてもよい。
【0022】
洗濯機3は、部屋4に設けられた防水パン33に設置される。洗濯機3には機器ポンプ(不図示)が内蔵されており、また、洗濯機3の給水口31と取出口41との間には配管32が接続されるもので、配管32はホースのようなものが好適に使用されるが、金属製や樹脂製のもの等、様々なものが使用可能である。
【0023】
上記のような装置にあっては、洗濯機3の機器ポンプが駆動されることで、取水配管5を介して浴槽2の残り湯が洗濯機3に取り込まれる。洗濯機3により、浴槽2の残り湯が取水される際、取水配管5内に残っていた残水が取水されないように、流路切り替え装置6が設けられる。
【0024】
流路切り替え装置6は、配管32に設けられるもので、ケーシング60内に、電源部と、切替弁61と、流路62〜64と、ポンプ65と、制御部66と、が設けられ、ケーシング60の表面に電源スイッチと操作部(不図示)が露出するように設けられる。
【0025】
電源部には、外部の商用電源等に接続されるコードが接続されており、コードを介して外部より電力が供給されて、切替弁61、ポンプ65、制御部66等の電気機器に電力が供給される。
【0026】
切替弁61は、電磁弁からなる三方弁であり、各ポートにホースや金属や樹脂等からなる流路62〜64がそれぞれ接続される。流路62は、取水配管5に連通するように接続されるもので、ケーシング60に形成された開口(不図示)を介して、流路62と取出口41との間に配管32が接続される。なお、配管32は流路を形成するものであれば特に限定されない。流路63は、洗濯機3の給水口31と連通するように接続されるもので、ケーシング60に形成された開口(不図示)を介して、流路63と給水口31との間に配管32が接続される。流路64は、ケーシング60に形成された開口(不図示)を介して排水管7に連通するように接続される。排水管7の下流端は、防水パン33に形成された排水口(不図示)に挿入される。流路62〜64は、本実施形態ではケーシング60内に収容されているが、外部に位置してもよい。
【0027】
ポンプ65は、流路64の途中に接続され、制御部66により制御される。制御部66はマイクロコンピュータからなるもので、計時機能を備えるとともに、切替弁61の切り替え制御とポンプ65の駆動・停止制御とを所定のフローで行うもので、繰み込まれているプログラムにより前記フローを実行する。プログラムは所謂ROM等の記憶装置(不図示)に保存されており、また、後述する排水時間は所謂EEPROM等の記憶装置(不図示)に書替え自在に保存され、これら記憶装置は制御部に接続される。排水時間は、上記操作部のうちの時間設定部67からの入力により、設定されて記憶装置に保存される。
【0028】
次に、この浴槽2の残り湯利用装置の動作について説明する。
【0029】
使用者は、浴槽2の残り湯を洗濯機3に取り込もうとする場合、まず、電源スイッチをONにし、制御部の動作を開始させる。そして、使用者は、上記操作部のうちの取水開始の操作部を操作することで、動作を開始させる。制御部は、記憶装置に記憶されているプログラムと排水時間を読み取り、プログラムに従って所定のフローを実行する。
【0030】
フローでは、まず、制御部66は、切替弁61を流路62と流路64とが連通する状態に制御し、ポンプ65を駆動させる。これにより、浴槽2の残り湯の取水に先立って、取水配管5内の残水が排水管7を介して排出される。
【0031】
次に、制御部66は、所定時間(読み出した排水時間)が経過すると、ポンプ65の駆動を停止し、切替弁61を流路62と流路64とが連通する状態に制御する。この排水時間は、取水配管5内に残っていた残水が全て排水されるのに要する時間となるように設定されるのが好ましいものである。これにより、洗濯機3への配管32と取水配管5とが連通し、取水配管5を介して浴槽2の残り湯が洗濯機3へ取水可能な状態となる。
【0032】
これで、制御部66はフローを終了する。なお、制御部66は、フローを終了した後、自動で電源をOFFにしてもよいし、手動で電源スイッチがOFFにされてから電源をOFFにしてもよい。その後、洗濯機3の機器ポンプを動作させて、浴槽2の残り湯の取水が行われる。
【0033】
使用者が、排水時間を設定する場合は、電源スイッチをONにして制御部の動作を開始させた後、時間設定部67を操作し、所望の時間を入力して設定する。すると、記憶装置に前記設定された時間が排水時間として記憶され、次回に上記フローが実行される時に、この排水時間が用いられる。
【0034】
上記浴槽2の残り湯利用装置にあっては、浴槽2の残り湯が取水される際、取水配管5内に残っていた水質の悪い残水が排水され、その後、機器に取水されるため、水質の悪い残水が機器に取水されるのが防止される。これにより、水質の悪い残水による不都合(上記のように機器が洗濯機3である場合には、洗濯物の衣類が傷むこと)の発生を防止することができる。
【0035】
また、流路64がポンプ65を備えているため、機器から独立して動作させることができ、機器を動作させていなくても排水が行われる。
【0036】
また、このような流路切り替え装置6は、従来例のような浴槽の残り湯利用装置に後付けで取り付けることが可能であり、また、特に機器に繰み込んだり機器と連動させる必要もない。
【0037】
また、時間設定部67により、個々の取水配管5に応じて排水時間が設定可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 浴室
2 浴槽
21 取水口
3 洗濯機
31 給水口
32 配管
4 部屋
40 壁
41 取出口
5 取水配管
6 流路切り替え装置
60 ケーシング
61 切替弁
62 流路
63 流路
64 流路
65 ポンプ
66 制御部
67 時間設定部
7 排水管
8 給水手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内に設置される浴槽の側面または底面に取水口が形成され、機器ポンプを内蔵し取水を行う機器が設置される部屋の壁に取出口が形成され、前記取水口と前記取出口との間に接続される取水配管が壁内または床下に配設され、前記機器の給水口と前記取出口との間に途中に流路切り替え装置を備えた配管が接続され、前記流路切り替え装置は、前記取出口からの水が流入する上流側の流路と、前記給水口に流すための流路と、排水のための流路と、前記上流側の流路を流れてきた水を前記給水口に流すための前記流路に流すかまたは前記排水のための前記流路に流すかを切り替える切替弁と、前記排水のための前記流路に設けられるポンプと、前記切替弁と前記ポンプとを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記切替弁を前記上流側の流路を流れてきた水を前記給水口に流すための前記流路に流すように制御して、前記ポンプを駆動させ、前記ポンプを駆動させてから所定時間が経過すると、前記ポンプの駆動を停止し、前記切替弁を前記上流側の流路を流れてきた水を前記排水のための前記流路に流すように制御することを特徴とする浴槽の残り湯利用装置。
【請求項2】
使用者が前記所定時間を入力して設定する時間設定部が設けられることを特徴とする請求項1記載の浴槽の残り湯利用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−66500(P2013−66500A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205004(P2011−205004)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】