説明

浴槽排水部の接続構造

【課題】ポップアップ式の排水栓を設置するに当たり、施工しやすい浴槽排水部の接続構造を提供する。
【解決手段】浴槽と、排水口14と、排水口14に開閉自在に設けられた開閉栓21と、開閉栓21を開閉駆動させるレリースと、排水口14に対応する位置に排水開口52が設けられた浴槽パン51と、排水開口52を覆う蓋部4とを備え、レリースが蓋部4の下方で折り返されて蓋部4を上下に貫通した浴槽排水部の取付構造である。蓋部4には、浴槽に固定するための浴槽固定部42が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽排水部の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽と浴槽パンとの排水部における取付構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この種の排水部の取付構造は、図7,8に示されるように、浴槽110と、浴槽110を受ける浴槽パン111とを備える。浴槽110は、浴槽110の底面に設けられた排水口112と、この排水口112に開閉自在に設けられた開閉栓(図示せず)と、この開閉栓を開閉駆動させるレリース114とを備える。浴槽パン111は、浴槽110の排水口112に対応する位置に設けられた排水開口115と、排水開口115を覆うよう浴槽パン111に固定された蓋部116と、蓋部116に設けられて排水口112に連通する連通孔117とを備えている。
【0004】
この従来の取付構造によれば、浴槽110を浴槽パン111に取り付けるに当たり、図7に示されるように、浴槽パン111の上方から浴槽110を載置する。このとき施工者は、開閉栓やレリース114が取り付けられていない浴槽110を、浴槽パン111の連通孔117上に連通させるようにして、浴槽パン111上に載置する。この後、施工者は、浴槽パン111に固定された蓋部116の上方から、レリース挿通用孔118にレリース114を挿通してゆく。そして、ラジオペンチ等の工具を浴槽110の排水口112に挿入してレリース114の先端をつかみ、そのままレリース114を浴槽110の排水口112から引き出す。この後、レリース114を開閉栓に連結する。この状態で開閉栓を排水口112に装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−295343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来の取付構造は、浴槽を設置する際には、蓋部が浴槽パンに固定されており、つまり、あらかじめ排水開口が蓋部により閉塞されている。このため施工者は、蓋部にレリースを貫通させ、排水栓に連結するには、非常に手間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ポップアップ式の排水栓を設置するに当たり、施工しやすい浴槽排水部の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の浴槽排水部の接続構造は、浴槽と、前記浴槽の底面に設けられた排水口と、前記排水口に開閉自在に設けられた開閉栓と、前記開閉栓に連結されて当該開閉栓を開閉駆動させるレリースと、前記排水口に対応する位置に排水開口が設けられた浴槽パンと、前記排水開口を覆うと共に前記排水口と前記排水開口とを連通する連通孔が設けられた蓋部とを備え、前記レリースが前記連通孔に通されると共に前記蓋部の下方で折り返されて当該蓋部を上下に貫通した浴槽排水部の取付構造であって、前記蓋部には、前記浴槽に固定するための浴槽固定部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
またこの浴槽排水部の接続構造において、前記蓋部は、前記レリースを上下に貫通した状態で保持していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の浴槽排水部の接続構造によれば、ポップアップ式の排水栓を設置するに当たり、施工しやすいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1の浴槽排水部において、浴槽パンに浴槽を設置する直前を示す側断面図である。
【図2】実施形態1の浴槽排水部の側断面図である。
【図3】実施形態1の排水トラップ部の平面図である。
【図4】実施形態1の洗い場側トラップ部の側断面図である。
【図5】実施形態2の浴槽排水部の側断面図である。
【図6】実施形態2の排水トラップ部の平面図である。
【図7】従来の浴槽排水部の断面図である。
【図8】従来の浴槽排水部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0013】
(実施形態1)
実施形態1の浴槽排水部の接続構造は、浴槽1と、防水パン5と、防水パン5の下方に取り付けられた排水トラップ部6とを備えている。
【0014】
防水パン5は、浴槽1の下方に敷設される浴槽パン51(図1参照)と、浴槽パン51に隣接した洗い場となる洗い場パン53(図4参照)とを備えている。さらに防水パン5は、浴槽パン51と洗い場パン53との間に、堰部54(図4参照)を有している。なお、防水パン5は、浴槽パン51と洗い場パン53とが別体となった分割型の防水パン5であってもよいし、浴槽パン51と洗い場パン53とが一体成形された一体型の防水パン5であってもよい。
【0015】
浴槽パン51は、浴槽1の排水口14に対応する位置に排水開口52が設けられている。排水開口52には、排水トラップ部6が取り付けられる。排水開口52は、平面視円形をしている。なお、図3中符号80は、略楕円形状の連通開口83が形成されたトラップカバーであり、このトラップカバー80が、平面視円形をした排水開口52に嵌め込まれている。
【0016】
洗い場パン53は、図4に示されるように、その底部に、洗い場の湯水を排水するための洗い場側排水口55が設けられている。洗い場側排水口55にも排水トラップ部6が取り付けられる。なお、この排水トラップ部6は、洗い場側排水口55と浴槽パン51側の排水開口52とに跨って取り付けられている。
【0017】
排水トラップ部6は、浴槽1側の排水開口52から排水される湯水を、洗い場側排水口55から排水される湯水に合流させて排水する連通型の排水トラップである。排水トラップ部6は、図3に示されるように、浴槽側トラップ部7と、洗い場側トラップ部9と、これらを連通する連通経路61とを備えている。排水トラップ部6は、防水パン5の下方(裏側)に取り付けられている。
【0018】
浴槽側トラップ部7は、図1に示されるように、浴槽1からの排水を受ける浴槽トラップ本体71と、浴槽トラップ本体71を浴槽パン51に取り付けるための浴槽側内筒体72とを備えている。
【0019】
浴槽トラップ本体71は、浴槽パン51の排水開口52に連通接続される浴槽側トラップ開口部73と、洗い場側トラップ部9側に向けて開口する浴槽側流出部74とを備えている。浴槽側トラップ開口部73は、上方に開口する筒状部75と、この筒状部75の上端から外方に向けて突出した下フランジ部76とを備えている。筒状部75の内周面には、第1のねじ部(図示せず)が形成されている。
【0020】
浴槽側内筒体72は、筒状部75の内側にねじ込まれる円筒部77と、円筒部77の上端から径外方向に突出した上フランジ部78とを備えている。また浴槽側内筒体72は、その下端部に、径内方向に突出する受け片79を有している。円筒部77は、その外周面に、第1のねじ部に螺合する第2のねじ部(図示せず)が形成されている。
【0021】
浴槽側トラップ部7を浴槽パン51に取り付けるには、次のようにして施工する。施工者は、浴槽トラップ本体71の下フランジ部76を浴槽パン51の排水開口52の周縁部下面にパッキンを介して当接させる。この状態で施工者は、浴槽側内筒体72を浴槽トラップ本体71の内側に螺合する。すると浴槽側トラップ部7は、上フランジ部78と下フランジ部76との間に、浴槽パン51の排水開口52の周縁を挟持する。これにより、浴槽側トラップ部7は浴槽パン51の排水開口52に固定される。
【0022】
浴槽側トラップ部7は、浴槽側内筒体72の内側に取り付けられたトラップカバー80を有している。トラップカバー80は、図3に示されるように、浴槽パン51の排水開口52の一部を覆う。トラップカバー80は、図1,2に示されるように、浴槽側内筒体72の内周面側にパッキンを介して嵌め込まれる立面部81と、立面部81から径内側に突出した覆い部82とを備えている。立面部81は、その下端が浴槽側内筒体72の受け片79に載置される。覆い部82は、図3に示されるように、その中央部分に、略楕円形の連通開口83が設けられている。この連通開口83は、浴槽1側に固定された後述の蓋部4により、浴槽1を浴槽パン51に載置するのと同時に閉塞される。覆い部82は、図1に示されるように、連通開口83の開口周縁に設けられた垂下片84を有している。垂下片84は、下方に向けて突出しており、連通開口83の全周に亘って設けられている。
【0023】
洗い場側トラップ部9は、図4に示されるように、洗い場からの排水を受ける洗い場トラップ本体91と、洗い場トラップ本体91を洗い場パン53に取り付けるための洗い場側内筒体92とを備えている。
【0024】
洗い場トラップ本体91は、洗い場側排水口55に連通接続される洗い場側トラップ開口部93と、浴槽側トラップ部7側に臨んで開口する流入部94とを備えている。洗い場側トラップ開口部93は、上方に開口する筒状部95と、この筒状部95の上端から外方に向けて突出した下フランジ部96とを備えている。筒状部95の内周面には、第1のねじ部(図示せず)が形成されている。
【0025】
洗い場側内筒体92は、筒状部77の内側にねじ込まれる円筒部97と、円筒部97の上端から径外方向に突出した上フランジ部98とを備えている。また洗い場側内筒体92は、その下端部に、径内方向に突出して後述のトラップ筒102を支持する受け片99を有している。円筒部97は、その外周面に、第1のねじ部に螺合する第2のねじ部(図示せず)が形成されている。
【0026】
洗い場側トラップ部9を洗い場パン53に取り付けるには、次のようにして施工する。施工者は、洗い場トラップ本体91の下フランジ部96を洗い場パン53の洗い場側排水口55の周縁部下面にパッキンを介して当接させる。この状態で施工者は、洗い場側内筒体92を洗い場トラップ本体91の内側に螺合する。すると洗い場側トラップ部9は、上フランジ部98と下フランジ部96との間に、洗い場パン53の洗い場側排水口55の周縁を挟持する。これにより、洗い場側トラップ部9は洗い場パン53の洗い場側排水口55に固定される。
【0027】
なお、洗い場パン53の洗い場側排水口55は、洗い場パン53の底部に設けられた凹所56の奥面に形成されている。凹所56には、洗い場パン53の洗い場部と略面一となるよう排水蓋57が設けられている。
【0028】
洗い場側トラップ部9は、洗い場トラップ本体91の内部に設けられて封水を形成するための封水部100を備えている。封水部100は、洗い場トラップ本体91の内底面から上方に向けて突出する外筒部101と、その下端が外筒部101の内側に挿入されたトラップ筒102とを備えている。外筒部101は、外筒部101の内部と流入部94とを連通する連通口104を有している。トラップ筒102は、その上端が洗い場側排水口55に連通接続されている。トラップ筒102は、その下端が、洗い場トラップ本体91の内底面とは離間している。
【0029】
洗い場側トラップ部9は、浴槽1側排水と洗い場側排水とを合流させた上で排水するための流出口筒部103を備えている。流出口筒部103は、排水管(図示せず)に接続される。
【0030】
連通経路61は、浴槽側トラップ部7の浴槽側流出部74と洗い場側トラップ部9の流入部94とを連通接続する。連通経路61は、蛇腹状の可撓性を有する連通管により構成されている。
【0031】
湯水が洗い場側排水口55又は浴槽1の排水口14に流入すると、湯水は、排水トラップ部6の内部の液面が、外筒部101の上端高さに位置するまで貯留される。これにより、洗い場側トラップ部9及び浴槽側トラップ部7のいずれにも、封水が形成される。封水が形成された状態で、さらに湯水が流入すると、外筒部101の上端からオーバーフローした湯水は、流出口筒部103に向けて流出し、排水管を介して排水される。
【0032】
浴槽1は、湯水が貯められる貯留部11と、貯留部11の上端から外方に向けて突出したフランジ片12とを備えている。浴槽1は、フランジ片12と防水パン5の堰部54との間に設けられたエプロン部13を備えている。浴槽1の底面には、上下方向に貫通した排水口14が設けられている。浴槽1の排水口14には、当該排水口14を開閉自在に閉塞する開閉栓装置2が設けられている。開閉栓装置2は、いわゆるポップアップ式の開閉栓21であり、遠隔操作が可能となっている。
【0033】
開閉栓装置2は、排水口14を開閉する開閉栓21と、開閉栓21を開閉駆動するメカボックス22と、メカボックス22を介して開閉栓21に連結されるレリース23と、レリース23における開閉栓21とは反対側の端部に設けられた操作部24とを備えている。
【0034】
操作部24は、例えば浴槽1のフランジ片12に設けられる。本実施形態の操作部24は、操作ボタンにより構成されている。操作部24は、押圧することで開閉栓21を開放し、再び押圧することで開閉栓21を閉塞する。言い換えると操作部24は、ユーザーに押圧される毎に、開閉栓21の開閉動作を繰り返し行わせる。
【0035】
開閉栓21は、排水口14を閉塞する栓部211と、栓部211をメカボックス22に取り付けるための取付部212とを備えている。開閉栓21は、取付部212を介してメカボックス22に取り付けられる。
【0036】
メカボックス22は、下端部にレリース23が取り付けられ、上端部に開閉栓21が取り付けられる。メカボックス22は、レリース23のインナーワイヤー(図示せず)が押し込まれると上方に向けて開閉栓21を駆動し、これにより排水口14を開放する。またメカボックス22は、レリース23のインナーワイヤーが引っ張られると下方に向けて開閉栓21を駆動し、これにより排水口14を閉じる。言い換えるとメカボックス22は、レリース23のインナーワイヤーの挿入・引き出しにより、開閉栓21を開閉駆動する。メカボックス22は、排水口14に取り付けられる排水口金具3内に収納配置される。
【0037】
排水口金具3は、浴槽1の排水口14内に上方から挿入される上金具34と、排水口14の下方に配置されて上金具34に螺合される下金具34とを備えている。上金具34は、円筒形状をしており、その上端に、外方に突出する上鍔部32を有している。上金具34は、その外周面に第一ねじ部(図示せず)が設けられている。下金具34は、円筒形状をしており、その上端に、外方に突出する下鍔部35を有している。下金具34は、内周面に第二ねじ部(図示せず)が設けられている。下金具34の第二ねじ部は、上金具34の第一ねじ部に螺合する。
【0038】
排水口金具3は、次のようにして取り付けられる。施工者は、下金具34を浴槽1の排水口14に臨ませ、下金具34の下鍔部35を浴槽1の下面に当接する。施工者は、シスターパッキンが装着された上金具34を、排水口14及び下金具34内に挿入し螺合する。これにより排水口金具3は、下鍔部35と上鍔部32とで、浴槽1底面を挟持し、これにより浴槽1の底部に固定される。なお、排水口金具3は金属でなくてもよい。
【0039】
レリース23は、アウターチューブと、このアウターチューブ内に配設されたインナーワイヤーとを備える。インナーワイヤーは、アウターチューブに対し相対的に進退自在に移動する。レリース23は、第1端が、浴槽1の排水口14に設けられたメカボックス22に取り付けられ、第1端とは反対側の第2端が操作部24に取り付けられている。レリース23は、操作部24が操作されると、インナーワイヤーが進退移動し、これによりメカボックス22を駆動する。
【0040】
浴槽1には、浴槽パン51の排水開口52を覆う蓋部4が固定されている。本実施形態の蓋部4は、排水開口52の一部を覆う。この蓋部4は、浴槽パン51に設置されると、トラップカバー80の連通開口83内に嵌め込まれ、トラップカバー80の上面と面一となる。蓋部4は、浴槽1の排水口14と浴槽側トラップ部7とを連通する連通孔41を有している。連通孔41は、上下方向に開口する円筒状流路410により構成されている。
【0041】
蓋部4は、連通孔41を浴槽1の排水口14に連通した状態で同浴槽1に固定するための浴槽固定部42が設けられている。これにより蓋部4は、浴槽1に固定されると共に、浴槽パン51には非固定となっている。本実施形態の浴槽固定部42は、蓋部4の上面から上方に突出する蛇腹状の固定筒420により構成されている。本実施形態の固定筒420は、上端が、排水口金具3の下金具34の下鍔部35と浴槽1下面との間に挟持されることで浴槽1に固定されている。また固定筒420は、下端が、蓋部4に設けられた断面逆L字状の固定片43に係合されることで蓋部4に固定されている。これにより蓋部4は、浴槽1の排水口14と蓋部4の連通孔41とを連通した状態で、浴槽1に固定されている。
【0042】
蓋部4は、その外縁に設けられた内嵌部44を有している。内嵌部44は、トラップカバー80の連通開口83の内周縁と接続される。内嵌部44は、下方に突出する縦片440により構成されている。縦片440は、蓋部4の全周に亘って設けられている。縦片440は、トラップカバー80の連通開口83の垂下片84と対向配置される。内嵌部44は、垂下片84との間に止水材を介して接続される。
【0043】
蓋部4は、レリース23を上下方向に通すためのレリース用貫通孔45を有している。レリース用貫通孔45は、その孔内部にゴムブッシュ46が取り付けられる。ゴムブッシュ46は、レリース23をレリース用貫通孔45内に保持する。レリース用貫通孔45に通されたレリース23は、ゴムブッシュ46により、その取付位置が保持される。
【0044】
レリース23は、図2に示されるように、第1端がメカボックス22に連結された状態で、第2端が、連通孔41に通されると共に、蓋部4の下方で折り返されて、当該蓋部4のレリース用貫通孔45に下方から上方に向けて通される。レリース23の第2端は、浴槽1のフランジに設けられた操作部24に連結される。
【0045】
このような構成の本実施形態の浴槽1は、例えば、次のようにして浴槽パン51上に取り付け施工される。
【0046】
施工者は、浴槽パン51に設置される前の浴槽1に、開閉栓装置2を設置する。施工者は、浴槽1の排水口14に排水口金具3を取り付ける。このとき下金具34と浴槽1との間に浴槽固定部42の上端を挟み、この状態で上金具34と下金具34とを締結する。施工者は、浴槽固定部42の下端に蓋部4を固定する。
【0047】
この後施工者は、レリース23の第一端を、蓋部4の連通孔41に下方から通した状態で、この第一端にメカボックス22を連結する。この後、メカボックス22を排水口金具3内に配置する。
【0048】
次いで施工者はレリース23の第二端を、浴槽1に固定された蓋部4のレリース用貫通孔45に、下方から挿通する(図1参照)。
【0049】
この状態で施工者は、浴槽1を浴槽パン51の上方に載置する。このとき浴槽1に固定された蓋部4を、トラップカバー80の連通開口83に嵌め込むようにして浴槽1を浴槽パン51に載置する。すると浴槽1に固定されたレリース23は、排水口・浴槽側トラップ部・レリース用貫通孔45を通った取り付け状態となる(図2参照)。
【0050】
この後施工者は、レリース23の第二端を浴槽1のフランジ部に設けられた操作部24に連結する。そして施工者は、フランジ片12と堰部54との間にエプロン部13を設置する。
【0051】
このように本実施形態の浴槽排水部の接続構造は、レリース23を挿通するレリース用貫通孔45が設けられた蓋部4に、浴槽固定部42が設けられている。このため浴槽1を設置するに当たり、施工者は、あらかじめ、レリース23について蓋部4の下方を通すと共に折返して同蓋部4を貫通させておくことができる。このため施工者は、レリース23を取り付けるために、浴槽1設置後に、浴槽側トラップ部7内の狭い部分にレリース23を通したりする作業を行なう必要がなく、当該レリース23を簡単に設置することができる。これにより本実施形態の浴槽排水部の接続構造は、作業性を向上させることができる。
【0052】
しかも本実施形態の蓋部4は、ゴムブッシュ46を介してレリース23が保持されているため、レリース23の取付位置を固定した状態で、浴槽1を浴槽パン51上に設置することができる。すなわち、設置前の状態でレリース23を所定の位置に保持することで、浴槽1を載置する際に蓋部4の下方のレリース23が長くなるのを防ぐことができる。これにより、浴槽1設置時に、蓋部4とトラップカバー80との間にレリース23がかみこんだりするのを防ぐことができる。
【0053】
(実施形態2)
次に、実施形態2について図5,6に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0054】
本実施形態の浴槽排水部の接続構造は、蓋部4が、トラップカバー80を兼ねている点で実施形態1の構造とは異なっている。なお、その他の構造は、実施形態1の構造と同じである。
【0055】
蓋部4は、実施形態1と同様、浴槽1設置前に予めレリース23を挿通しておくためのレリース用貫通孔45が設けられている。蓋部4は、浴槽1に固定するための浴槽固定部42が設けられている。なお、この浴槽固定部42及びレリース用貫通孔45の構成は、実施形態1と同様である。
【0056】
本実施形態の蓋部4は、浴槽パン51に設けられた排水開口52の略全部を覆うよう構成されている。本実施形態の蓋部4は、その外周縁に、浴槽側トラップ部7の浴槽側内筒体72に接続するための立面部81が設けられている。立面部81と、浴槽側内筒体72の内周面との間にはパッキンが配設される。立面部81は、その下端が、浴槽側内筒体72の受け片に載置されるよう構成されている。
【0057】
このように本実施形態の浴槽排水部の接続構造は、蓋部4がトラップカバー80を兼ねているため、実施形態1に比べ、構造をより簡略化することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 浴槽
14 排水口
2 開閉栓装置
21 開閉栓
22 メカボックス
23 レリース
24 操作部
3 排水口金具
31 上金具
32 上鍔部
34 下金具
35 下鍔部
4 蓋部
41 連通孔
410 円筒状流路
42 浴槽固定部
43 固定片
44 内嵌部
45 レリース用貫通孔
5 防水パン
51 浴槽パン
52 排水開口
53 洗い場パン
55 洗い場側排水口
56 凹所
57 排水蓋
6 排水トラップ部
61 連通経路
7 浴槽側トラップ部
80 トラップカバー
81 立面部
82 覆い部
83 連通開口
84 垂下片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の底面に設けられた排水口と、
前記排水口に開閉自在に設けられた開閉栓と、
前記開閉栓に連結されて当該開閉栓を開閉駆動させるレリースと、
前記排水口に対応する位置に排水開口が設けられた浴槽パンと、
前記排水開口を覆うと共に前記排水口と前記排水開口とを連通する連通孔が設けられた蓋部と
を備え、
前記レリースが前記連通孔に通されると共に前記蓋部の下方で折り返されて当該蓋部を上下に貫通した
浴槽排水部の取付構造であって、
前記蓋部には、前記浴槽に固定するための浴槽固定部が設けられている
ことを特徴とする浴槽排水部の接続構造。
【請求項2】
前記蓋部は、前記レリースを上下に貫通した状態で保持している
ことを特徴とする請求項1記載の浴槽排水部の接続構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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