説明

浴水浄化装置

【課題】 浴槽の浴水を入水し、所定の浄化処理を施した後、再び該浴水を浴槽に出水する浴水浄化装置において、浴水浄化装置内部の洗浄に関する運転の記録を簡単に得られる浴水浄化装置を提供する。
【解決手段】 浴水浄化装置内部の洗浄に関する運転の記録を制御内容及び表示と告知の内容がその運転時間と共に逐次運転記録され、該記憶装置に記憶された薬剤注入装置による薬剤注入についての実施内容を任意に取り出す。これにより、データの解析を用意に行うことができ、消毒の記録などを簡単に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽水の浴水を入水して所定の浄化処理を加えた後に浴槽に出水し、この行程を繰り返すことにより浴水を循環浄化する浴水浄化装置が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
該浴水浄化装置において、定期的なメンテナンスなどのために、前回のメンテナンスの記録や故障の記録或いは運転時間などの記録が必要であるが、従来は手書きの記録が主として行われていた。またこれらの情報を記憶装置に記憶するものもあるが、表示内容が記号化されており、熟練者でも対応表等が必要であった。また、該記憶内容をデータとして取り出すことはできない問題があった。
また、近年薬剤の注入などによる殺菌の必要性が求められているが、これら薬剤注入の記録を残すものはなかった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、浴槽の浴水を入水し、所定の浄化処理を施した後、再び該浴水を浴槽に出水する浴水浄化装置において、浴水浄化装置の運転制御を行う制御装置と、浴水浄化装置の運転記録を逐次記憶するための記憶装置と、該記憶装置に記憶されたデータを着脱又は送信等により外部に取り出し可能とし、更に殺菌をするための薬剤注入装置を備え、前記記憶装置には浴水浄化装置内部の洗浄及び前記薬剤注入装置による薬剤注入を含む制御内容及び表示と告知の内容がその運転時間と共に逐次運転記録され、該記憶装置に記憶された前記薬剤注入装置による薬剤注入についての実施内容を任意に取り出せるようにしたことを特徴とする浴水浄化装置とすることで課題を解決した。
また本発明は、更に前記記憶装置に記憶される運転記録が、浄化装置の停止記録と共に記録されるメンテナンスの記録、故障の記録、運転時間の記録、の1以上を含むようにした浴水浄化装置とすることで課題を解決した。
また本発明は、更に前記着脱可能な記憶装置が、浴水浄化装置の制御プログラムを格納し、
前記制御装置が、該プログラムをダウンロードして、該プログラムに基づいて浴水浄化装置の制御を実行するようにした浴水浄化装置とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
本発明の浴水浄化装置は、
浴水浄化装置の運転記録を逐次記憶し、該データを外部に取り出すことができるから、データの解析を用意に行うことができ、消毒の記録などを簡単に行うことができる。
その運転記録には、薬剤注入装置を備えて、該薬剤注入量、薬剤注入時間、薬剤注入濃度のうちの1以上を時間の記録と共に含むようにし、薬剤注入の記録を時間経過と共に逐次記録できるようにしたことで殺菌に関する運転状態が正確に把握できる。
そして、記憶装置に記憶されたデータを着脱又は送信等により外部に取り出し可能としたことにより、該殺菌に関する運転記録報告の作成等を簡単に行うことができる。その殺菌に関する運転状態のデータをプリントアウトし、殺菌管理状態の報告として保健所などに提出することも可能である。
これにより、浴水浄化装置の信頼性を使用者も管理者も共有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
浴槽の浴水を入水し、所定の浄化処理を施した後、再び該浴水を浴槽に出水する運転制御を行う浴水浄化装置に、浴水浄化装置の運転記録を逐次記憶するための記憶装置を設け、該記憶装置に記憶されたデータを着脱又は送信等により外部に取り出し可能とし、該記憶装置には浴水浄化装置内部の洗浄及び前記薬剤注入装置による薬剤注入を含む制御内容及び表示と告知の内容がその運転時間と共に逐次運転記録し、該記憶装置に記憶された前記薬剤注入装置による薬剤注入についての実施内容を任意に取り出せるようにしたことで実現した。
【実施例】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、循環ポンプ20の稼働により浴槽Tの浴水は吸込口24から浴水浄化装置Yに入水し、ヘアキャッチャー23を通り、湯温検知センサ28を経由して循環ポンプ20を通って、更に管路切替バルブ27を経由し、ろ過タンク21においてろ過される。そして、加熱装置22により所定温度まで加温され管路切替バルブ26を通って吐出口25から浴槽Tに出水され、この循環を繰り返して浄化されるように構成されている。
【0008】
管路切替バルブ26から吐出口25の間に塩素注入器である殺菌装置1が設けられており、塩素流量計2と逆止弁50を介して配管40に接続している。
またヘアキャッチャー23と循環ポンプ20の間の配管41には塩素濃度測定装置3が設けられている。
【0009】
浴水浄化装置Y内部の洗浄を行う場合には、管路切替バルブ26と管路切替バルブ27をA−C接続とする。これにより浴水は循環ポンプ20から管路切替バルブ26を介して加熱装置22に逆方向から流入し、更にろ過タンク21へと逆方向から流入して洗浄する。洗浄後の汚れた水は、管路切替バルブ27を通って排水管42から排水されるようになっている。
【0010】
殺菌装置1から塩素の注入がなされると、該塩素は塩素流量計2と逆止弁50を介して配管40に送られ、更に吐出口25から浴槽T内に吐出する。そして、吸込口24から吸引されてヘアキャッチャー23を経由して塩素濃度測定装置3においてその塩素濃度が検出されるようになっている。
【0011】
なお、29は水不足検知センサ、50、51、52はそれぞれ逆止弁である。
【0012】
図2にこの実施形態の制御装置の構成を示す。制御装置30はマイクロコンピュータを主体に構成されており、浴水浄化装置Y全体の制御を行っている。該制御装置30には表示部31と操作部32が設けられており、操作部32からユーザなどが種々の指令を入力する。表示部31は様々な表示を行うものであって、種々の表示や告知などを表示部31において行うようになっている。
【0013】
制御装置30は、循環ポンプ20の運転制御、水不足検知センサ29からの情報に基づく循環ポンプ20の停止等の制御、管路切替バルブ26と管路切替バルブ27の開閉制御による通常運転モードと熱洗浄モードの切替、湯温検知センサ28からの情報に基づく加熱装置22の加温制御、殺菌装置1による塩素注入による殺菌、塩素流量計2に基づく塩素注入量の制御、塩素濃度測定装置3からの情報に基づく塩素濃度の制御、等を行うようになっている。またこれらの制御の際に、種々の表示及び告知を表示部31において行うように構成されている。
なお、4は各種オプションである。
【0014】
制御装置30には実装メモリ33が設けられており、上記した制御内容及び表示と告知の内容がその時間と共に逐次記録されるようになっている。またメンテナンスや故障が生じた場合には、浄化装置の停止記録と共に記録されるようになっている。
【0015】
制御装置30には更にICメモリなどの着脱メモリ34が着脱可能に設けられており、操作部32からの所定の操作により実装メモリ33に記録された運転記録データを着脱メモリ34に書き込むことができるようになっている。
更にこの実施形態では通信装置35を備えており、実装メモリ33のデータを外部に送信することができるようになっている。
【0016】
着脱メモリ34にコピーされ、或いは通信装置35により送信されたデータは種々の作業に利用可能である。例えば、故障の際には該データを専門技術者に送り、故障箇所の診断等を行わせることが可能である。また該データをプリントアウトし、保健所などに提出することも可能である。
【0017】
着脱メモリ34には更に制御プログラムが格納可能になっている。この制御プログラムを制御装置30にダウンロードすれば、該制御プログラムにより浴水浄化装置Yを駆動制御することが可能になる。これにより仕様変更やオプションの追加や変更などにも簡単に対応可能になる
【0018】
以上説明した実施形態によれば、制御装置30による制御に基づく運転の記録、或いはその他の運転の記録、表示部31における表示や告知の記録が実装メモリ33に記憶される。実装メモリ33の記憶内容は着脱メモリ34又は通信機器35により任意に取り出すことが可能であり、故障診断や運転記録報告の作成等を簡単に行うことが可能になる。
また、着脱メモリ34に制御プログラムを格納し、制御装置30にダウンロードして用いることにより仕様変更等が設置後であっても簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態の制御装置を示すブロック図。
【符号の説明】
【0020】
1:殺菌装置
2:塩素流量計
3:塩素濃度測定装置
4:各種オプション
20:循環ポンプ
21:ろ過タンク
22:加熱装置
23:ヘアキャッチャー
24:吸込口
25:吐出口
26:管路切替バルブ
27:管路切替バルブ
28:湯温検知センサ
29:水不足検知センサ
30:制御装置
31:表示部
32:操作部
33:実装メモリ
34:着脱メモリ
35:通信装置
40:配管
41:配管
42:排水管
50:逆止弁
51:逆止弁
52:逆止弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の浴水を入水し、所定の浄化処理を施した後、再び該浴水を浴槽に出水する浴水浄化装置において、
浴水浄化装置の運転制御を行う制御装置と、
浴水浄化装置の運転記録を逐次記憶するための記憶装置と、
該記憶装置に記憶されたデータを着脱又は送信等により外部に取り出し可能とし、
更に殺菌をするための薬剤注入装置を備え、
前記記憶装置には浴水浄化装置内部の洗浄及び前記薬剤注入装置による薬剤注入を含む制御内容及び表示と告知の内容がその運転時間と共に逐次運転記録され、該記憶装置に記憶された前記薬剤注入装置による薬剤注入についての実施内容を任意に取り出せるようにしたことを特徴とする、
浴水浄化装置。
【請求項2】
前記記憶装置に記憶される運転記録が、浄化装置の停止記録と共に記録されるメンテナンスの記録、故障の記録、運転時間の記録、の1以上を含む、
請求項1に記載の浴水浄化装置。
【請求項3】
前記着脱可能な記憶装置が、浴水浄化装置の制御プログラムを格納し、
前記制御装置が、該プログラムをダウンロードして、該プログラムに基づいて浴水浄化装置の制御を実行する、
請求項1又は2に記載の浴水浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−200506(P2008−200506A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63461(P2008−63461)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【分割の表示】特願平11−285753の分割
【原出願日】平成11年10月6日(1999.10.6)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】