説明

海洋生物を用いたin−vitroでの真珠の生産方法

本発明は、概して海洋生物を用いた真珠の生産に関する。より具体的には、本発明は、真珠の形状、サイズ、及び色を制御可能なin−vitroでの真珠生産に関する。本発明では、ビーズが容易に固定される半固体倍値が用いられる。ビーズ上及びビーズの周囲に細胞が成長し、培養開始から15日以内で真珠層が堆積される。真珠貝(Pinctada fucata、ベニコチョウガイ)の外套膜組織の器官培養で処理される貝殻ビーズを、異なる期間毎に採取した。走査型電子顕微鏡は、10ヶ月まで真珠層の成長が継続したことを示した。同様に、アワビ(Haliotis varia、イボアナゴ)外套膜組織の器官培養で、真珠層の形成を実験した。結果は、継続的な真珠層形成が見られ、全ての貝殻ビーズが真珠層コーティングされたことを示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真珠生産におけるin−vitroプロセスに関する。より具体的には、本発明は、海洋生物を用いたin−vitroでの真珠生産に関する。
【背景技術】
【0002】
真珠は生きた真珠貝の中で生産されており、真珠貝は自然環境に完全に左右される。環境に何らかの変化があると、変化に非常に敏感な真珠貝の全個体数に影響が出る。1991年9月の水産養殖誌の発表によると、世界の天然真珠(淡水、海水のいずれも)の供給は枯渇するところにまで達しており、養殖真珠の発明がなければ、今日の真珠産業はなく、天然真珠ネックレスの価格はとてつもなく高くなっただろう。
【0003】
これに加えて、現存する全ての真珠生産のin−vitroプロセスは、例えば自然環境における真珠貝の生存が不確実であること、真珠の品質が保障されていないこと、真珠生産プロセスを操作する機会がないこと、製造コストが高いこと、及び、生体の外套膜中にビーズを置くのが困難であること、などの種々の欠点を本質的に有する。
【0004】
更に、海洋汚染が地球規模で増加しているため、挿核された真珠貝が自然生息環境中で生存することは保障されていない。アワビの足は力強く動くため、アワビの場合に遊離した球状真珠を生産することは、実際は実現不可能である。しかしながら、アワビの外套膜と貝殻との間に貝殻ビーズ核を固定することによって、半球形の真珠を生産できることが立証されている。半球形真珠の生産技術は、生産される真珠を貝から強制的に採取し、加工しなければならないため、限界がある。これは、半球形真珠の大規模養殖にとって障害となる。従って、不確実さとその結果を克服する代替的方法が保証されるのは、組織培養による真珠の生産方法である。これにより、真珠生産において自然環境への依存を完全に回避でき、アワビから遊離した有色真珠を容易に生産することができる。
【0005】
Wada(1961年)は、真珠貝(Pinctada fucata、ベニコチョウガイ)の殻形成及び再生の間に、結晶を成長させるためのサブミクロンの核から核生成が誘発されることを発見し、結晶成長とその後の真珠層形成について報告した。
【0006】
Machii(1974年)は、ガラス製のペトリ皿を用いた凝固血漿法により、真珠貝(Pinctada fucata (Gould)、ベニコチョウガイ)の外套膜組織の器官培養を実施した。培養では、丸型の上皮様細胞、色素上皮様細胞、紡錘状筋細胞、あるいは針状筋束が、外套膜組織から出現した。培養開始から12日後に、再生上皮から有機物質の堆積が発生した。
【0007】
Machii及びWada(1989年)は、外植片組織の変色が発生する真珠貝(Pinctada fucata、ベニコチョウガイ)の外套膜組織の移植片培養を体系化した。外植片の表面で、有機物質の分泌が記録された。本培養を長時間維持した後で、外植片自体の縁で、トレフォイル状の堆積物となった。この堆積物の形状は、真珠形成及び殻再生の初期にin−vitroで形成される柱状結晶と似ていた。
【0008】
Samataら(1994年)は、真珠貝(Pinctada fucata、ベニコチョウガイ)の外套膜組織の培養実験を実施し、培養開始後15日から30日後に外植片上に黒色分泌物が発生することを見出した。黒色分泌物は結晶成長を誘発した。走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分析装置(EDS)により結晶を分析し、多量のカルシウム及びイオウが存在することが明らかとなった。
【0009】
Unoは、早くて1957年に、Haliotis discus(クロアワビ)、H. gigantea(メガイアワビ)及びH. sieboldii(メガイアワビ)などのアワビで半球状真珠を生産した。Fankboner(1991年、1993年)は、Haliotis kamatschatkana(ピントアワビ)に核を移植し、北アメリカで宝石品質の海洋真珠を生産した。Fankboner(1994年a、1994年b)は更に、ビーズ核生成真珠生産の実験を行い、8mmの完全に遊離形成された組織―核生成パールを数個養殖したと主張した。Victorら(2001年)は、インドにおいて、熱帯アワビであるHaliotis varia(イボアナゴ)で半円真珠の生産実験を行ったと報告した。
【0010】
Current Science、86巻5号、730〜734頁に、淡水での組織培養では完全な真珠層が形成されず、ペトリ皿で開放型培養を実施したことが開示されている。R. Rinkevichは、Journal of Biotechnology、1999年、70巻1−3号、133−153ページにおいて、海洋性無脊椎動物の細胞培養を明らかにしている。139頁8−19行に、以下のように記載されている。「真珠貝からの外套膜組織培養についての研究は、同様に期待はずれである。真珠貝の細胞培養は、約25年前(Machii、1974年)に組織外植片を用いて開始された。この培養系では、有機物の分泌がin−vitroで実施された。1年後、同じ研究室が、外套膜組織からの細胞培養における有糸分裂を報告した。真珠貝産業の重要性があるにも拘らず、近年の研究(Awaji、1991年、1997年、及びその中に記載の文献)は、1970年代の細胞培養研究と比較して著しい発展が示されていない。」140ページ14−24行に、以下のように記載されている。「例えば組織滅菌、細胞増殖、細胞精製/評価、及ストラウスキトリウム科の汚染などの軟体動物の初代培養と共通した問題がいまだ存在する(このリストの一部はAwaji(1997年)に要約されている)。上記研究は、神経生物学に通常用いられる巨大ニューロン(Tamseら、1995年)、真珠層形成(Awaji、1991年、1997年、及びその中の文献、Samataら、1994年)といった各種軟体動物に独特の特徴である4つの培養状態を包含する。」上記調査は、1999年から2004年の間に海洋性無脊椎動物の細胞培養の分野における活動を分析し、過去10年(1988年−1998年)の結果と比較している。最近5年間で、たった6分類群(海綿動物門、刺胞動物門、甲殻類、軟体動物門、棘皮動物門、尾索類)に属する海洋生物についての初代細胞培養の研究が、90報発表されている。近年では、細胞培養方法を改良することを目的とした研究は減少し、既存の方法の応用への関心が高まっている。これは、新たな研究者や科学分野を本分野に集めたことへの短期培養の効果を反映している。第2に、前の10年では発表の30%であるのに対し、近年の発表のたった17・8%が長時間培養を用いているだけである。第3に、近年では、細胞培養の研究は、より少ないモデル種をより広範囲に亘って(主に、Botryllus schlosseri(ウスイタボヤ)、Crassostrea(マガキ属)、Mytilus(イガイ属)、Penaeus(ウシエビ属)、Suberites domuncula(カイメン))研究されてきた。これは、より種々の生物を調査した従前の研究からシフトしたことを示している。さらに、如何なる海洋性無脊椎動物から、樹立細胞株ですらいまだに得られていない。しかしながら、新たな細胞ツール、ゲノムツール及びプロテオームツールを用いることにより、海洋性無脊椎動物からの細胞培養を発展させるための我々の方略が抜本的に変更されるだろう。
【0011】
更に、ビーズが液体培地中で回転し、細胞がその周りに成長し真珠層を生成することができないため、既存の工程ではビーズ上に層を形成することができず、in−vitro真珠を形成することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記技術課題を解決するために、本発明は、ビーズが容易に固定され、ビーズ及び形成された完全な真珠層の上や周囲に細胞を成長させる半固体培地を含む。
【0013】
以下の説明の始めに、下記の説明は本発明の特定の形態を説明するに過ぎないことを理解されたい。しかしながら、この特定の形態は例示的実施形態であり、本発明の範囲を限定することを意味するものではない。従って、下記の説明は例示的実施形態として理解されるべきであり、本発明の解釈は制限されない。
【0014】
本発明の第1の目的は、海洋性生物を用いたin−vitro真珠の生産を開発することである。更に、本発明の別の目的は、ビーズの動きを抑制するために真珠生産用半固体培地を開発することである。更に、本発明の別の目的は、真珠層形成時間を削減するために、種々の処理のパラメータを最適化することである。また、本発明の目的は、真珠の形状、大きさ、及び色を制御する方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、概して、真珠生産に関する。特に、本発明は、組織培養によりin−vitro真珠を生産する新規の方法に関する。本発明では、ビーズを容易に固定する半固体培地を用い、ビーズ上またはビーズの周囲に細胞が成長し、培養開始から15日以内に真珠層を形成が形成される。
【0016】
真珠貝(Pinctada fucata、ベニコチョウガイ)の外套膜組織の器官培養で処理された貝殻ビーズを、異なる間隔で採取した。走査型電子顕微鏡により、10ヶ月まで真珠層の成長が継続したことが示される。同様に、アワビ(Hariotis varia、イボアナゴ)外套膜組織の器官培養で、真珠層の形成を実験した。結果は、継続的な真珠層形成が見られ、全ての貝殻ビーズが真珠層コーティングされたことを示した。
【発明の効果】
【0017】
1.従来の方法では、真珠貝の寿命の間に、一つの真珠貝中で真珠を3つ生産することができる。一方、組織培養法では、2mm角の外套膜片でin−vitro真珠を生産することができる。生きた真珠貝は多数の外套膜片を産出するため、より多くの真珠を生産できる。
2.本技術では、遊離した真珠をアワビ中で生産することが実現できる。
3.大型の真珠が生産できる可能性がある。
4.種々の大きさ、形状、色の真珠が生産される。
5.本発明では、ビーズを容易に固定できる半固体状培地が使用され、細胞がビーズ上及びビーズの周囲にて成長し、完全な真珠層が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】貝殻ビーズを配置する方法。
【図2】真珠貝外套膜の器官培養において外植片がある場合の貝殻ビーズ核。
【図3】真珠貝中でのビーズ上への結晶堆積。
【図4】真珠貝中での真珠層及び有機基質形成。
【図5】アワビ外套膜の器官培養において外植片がある場合の貝殻ビーズ核。
【図6】アワビ中でのビーズ上への結晶堆積。
【図7】アワビ中での真珠層及び有機基質形成。
【図8】Pinctada fucata(ベニコチョウガイ)中にて3ヶ月成長させた真珠層。
【図9】Pinctada fucata(ベニコチョウガイ)中にて6ヶ月成長させた真珠層。
【図10】Pinctada fucata(ベニコチョウガイ)中にて3ヶ月成長させた真珠層。
【図11】Pinctada fucata(ベニコチョウガイ)中にて10ヶ月成長させた真珠層。
【図12】Haliotis varia(イボアナゴ)中にて3ヶ月成長させた真珠層。
【図13】Haliotis varia(イボアナゴ)中にて6ヶ月成長させた真珠層。
【図14】Haliotis varia(イボアナゴ)中にて9ヶ月成長させた真珠層。
【図15】Haliotis varia(イボアナゴ)中にて14ヶ月成長させた真珠層。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、概して、真珠生産に関する。特に、本発明は、海洋性生物を用いたin−vitoでの真珠の生産に関する。実験の前に、真珠貝(pinctada fucata、ベニコチョウガイ)及びアワビ(Haliotis varia、イボアナゴ)は、3日間海水を流しながら紫外線照射して浄化される。浄化された真珠貝の外殻表面は、70%アルコールを用いて拭かれ、真珠貝が滅菌ナイフを用いて開けられる。外套膜組織が、両方の殻弁から切除される。洗浄の前に、外套膜外側の自由縁及び内部結合組織上の外套器官が、滅菌ナイフを用いて切断されることにより、除去される。選択された外套膜片は、粘液や他の付着粒子が完全に除去されるまで、滅菌された自然海水で十分に洗浄される。その後、外套膜片は、ストレプトマイシン及びペニシリンを含む抗生物質溶液中で処理される。更に、滅菌海水中での洗浄を行い、抗生物質溶液の影響が除かれる。処理された外套片膜は、クリーンベンチにて2mm角の小片に切断される。各外套膜小片は、滅菌された貝殻ビーズとともに、富栄養培地を入れた培養瓶に配置される。円形の上皮状細胞が、外套膜組織から急速に増殖し、貝殻ビーズ上に広がった。貝殻ビーズ上への上記細胞の蓄積により、真珠袋が形成された。真珠袋の細胞は、有機基質を生成した。有機基質は、細胞が結晶を分泌しビーズ上に堆積させることを誘発する。結晶は、核生成として知られるプロセスによって形成されたサブミクロンの核から成長する。有機基質は、結晶形成のための核生成サイトを提供し、生成する結晶の種類に影響を与える。真珠層は、培養開始から15日以内に堆積される。上記結晶をより多く添加することにより、真珠層が形成される。上記真珠層を形成することにより、in−vitro真珠が形成される。有機基質及び真珠層の形成は、実験室条件で真珠貝(Pinctada fucata、ベニコチョウガイ)及びアワビ(Haliotis varia、イボアナゴ)の外套組織の小片を用いることにより、明らかに証明されている。その結果は、いずれの場合も、走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)により確認された。
【0020】
【表1】

【0021】
真珠層の形成が示されるin−vitro真珠生産における基本的技術が成功したため、培養の間真珠層が継続して成長するのか、あるいは、in−vitro条件の特定の時点で成長が停止するのかを調査するために、更に実験を行った。具体的に、上記と同じ方法で、両種について滅菌された球状の貝殻ビーズを用いて実験し、特定期間毎に真珠層の成長を評価した。真珠貝(Pinctada fucata、ベニコチョウガイ)の外套組織の器官培養で処理された貝殻ビーズは、種々の期間毎に、すなわち3,6,9,10ヶ月で採取された。貝殻ビーズは、走査型電子顕微鏡で分析され、10ヶ月まで真珠層の成長が継続されたことが確認された。
【0022】
同様に、アワビ(Haliotis varia、イボアナゴ)の外套組織の器官培養で、真珠層の成長を試験した。本培養での貝殻ビーズは、種々の期間毎に、すなわち3,6,9,14ヶ月で採取された。各期間での真珠層の成長は、SEMを用いて評価された。結果は、継続的な真珠層形成が見られ、全ての貝殻ビーズが真珠層コーティングされたことを示した。
【0023】
実験的目的及び都合上、ここでは球形の貝殻ビーズが使用される。これとは別に、本方法では、如何なる形状(正方形、楕円形など)を用いることができる。貝殻ビーズの大きさが2mmから8mm以上の貝殻ビーズであると、本培養系に容易に適応させることができる。本技術により、培地の組成を操作することで、所望の色の真珠が生産する機会を十分に得られる。
【0024】
富栄養培地の組成
(a)57.2mlの3回蒸留水中に、0.8gの寒天粉末を溶解させた。
(b)補助塩溶液は以下の組成からなる。
NaCl:102.1g/l、
KCl:1.8g/l、
CaCl:1g/l、
MgCl:8g/l、
MgSO:16.7g/l、
M 199 10x:2ml、
FCS:10ml、
ラクトアルブミン加水分解物(10%):5ml、
NaHCO(5%):0.7ml、
カナマイシン(0.1g/ml):1ml。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
貝殻ビーズの配置
本発明では、貝殻ビーズの回転を防止する半固体状培地を用いる。培地内に滅菌ビーズを配置した後、組織の一端が培地に接触するように、外套膜片がビーズの一端に付着される。
【0026】
(実施例2)
培養を準備する前に、真珠貝は2〜5日間浄化され、表面は60〜80体積%のアルコールを用いて滅菌された。滅菌された動物から切除された外套組織は、滅菌海水中で洗浄することにより処理され、ストレプトマイシン500〜1500μg/ml及びペニシリン1000〜3000IU/mlの抗生物質溶液中で処理されることによって滅菌された。
【0027】
上記の工程に続いて、組織外植片を付着させた滅菌貝殻ビーズを培養瓶中の富栄養培地に配置する真珠貝の外套組織の器官培養で、一連の実験を実施した。上記培養瓶は、温度25〜30℃で培養された。真珠袋及び有機基質の形成、細胞による結晶の分泌、有機基質上への結晶の堆積及び真珠層の形成が、各々の種で達成できた。各々の種の器官培養で処理された貝殻ビーズは、培養10〜14ヶ月後に収集され、その後、表面構造を走査型電子顕微鏡(SEM)により一度に分析した。その結果は、真珠層の構造及び真珠層の発達パターンは、種特有であることを示した。
【0028】
(実施例3)
培養を実施する前に、アワビは2〜5日間浄化され、表面が60〜80体積%のアルコールを用いて滅菌された。滅菌された動物から切除された外套組織は、滅菌海水中で洗浄することにより処理され、ストレプトマイシン500〜1500μg/ml及びペニシリン1000〜3000IU/mlの抗生物質溶液中で処理されることによって滅菌された。
【0029】
上記の工程に続いて、組織外植片を付着させた滅菌貝殻ビーズを培養瓶中の富栄養培地に配置するアワビの外套組織の器官培養で、一連の実験を実施した。上記培養瓶は、温度25〜30℃で培養された。真珠袋及び有機基質の形成、細胞による結晶の分泌、有機基質上への結晶の堆積及び真珠層の形成が、各々の種で達成できた。各々の種の器官培養で処理された貝殻ビーズは、培養10〜14ヶ月後に収集され、その後、表面構造を走査型電子顕微鏡(SEM)により一度に分析した。結果は、真珠層の構造及び真珠層の発達パターンは、種特有であると示した。
【0030】
(実施例4)
より大きい外套組織片を付着させた8mm以下の種々の大きさの貝殻ビーズを用いて、種々の大きさの真珠を得る。種々の形状の真珠を得るために、同様の手順を用いて、円形の貝殻ビーズの代わりに種々の形状のビーズを培地に配置する。同じ培地にマンガン、銅、亜鉛、鉄などの種々の金属を添加して、同様の手順により着色真珠が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 生物から、前処理が施された外套片を所定の大きさで得るステップと、
(b) 前記工程(a)の外套片を貝殻ビーズ核に取り付け、該貝殻ビーズ核を富栄養培地中に配置するステップと、
(c) 真珠袋を形成するために、前記外套片を前記貝殻ビーズ核上に成長させる工程と、
(d) 前記富栄養培地中で前記工程(c)の真珠袋を培養し、有機基質を生成する工程と、
(e) 前記(d)工程の有機基質により前記外套片の細胞を誘発して、核を生成させる工程と、
(f) 前記(e)工程の核上に真珠層を堆積させて、真珠を得る工程とを備える真珠をin−vitroで生産する方法。
【請求項2】
前記生物が、海洋性生物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理が、ストレプトマイシン及びペニシリンからなる群から選択される抗生物質によって実施される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前処理が施された外套片の所定の大きさが、1mm角から3mm角の範囲内である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記富栄養培地が、
(a)57.2mlの3回蒸留水に溶解した0.8gの寒天粉末と、
(b)NaCl:102.1g/l、
KCl:1.8g/l、
CaCl:1g/l、
MgCl:8g/l、
MgSO:16.7g/l、
M 199 10x:2ml、
FCS:10ml、
ラクトアルブミン加水分解物(10%):5ml、
NaHCO(5%):0.7ml、
カナマイシン(0.1g/ml):1ml
からなる補助塩溶液とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記(f)工程において、前記真珠層が培養開始から15日以内に堆積される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所定の色が、前記真珠に与えられる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
所定の形状が、前記真珠に与えられる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記真珠の大きさが、前記(b)工程において2mmから8mmの範囲の貝殻ビーズ核を用いることによって制御される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生物が、海洋性軟体動物、イガイ、巻貝の群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記生物が、Pinctada fucata(ベニコチョウガイ)及びHaliotis varia(イボアナゴ)である請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−509933(P2010−509933A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537706(P2009−537706)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003299
【国際公開番号】WO2008/062248
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509142818)
【Fターム(参考)】