海生物付着防止方法
【課題】長期にわたって効果が減衰することがなく、しかも付着する海生物の種類や幼生密度の変化に応じて対応できて環境保全と省エネルギーを図ることができる海生物付着防止方法を提供する。
【解決手段】海水との混合比である(二酸化炭素ガス/海水)を0.1〜4/100として、二酸化炭素ガスを海水に注入することにより、海水中に、直径寸法が十〜数十μmである二酸化炭素ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルにて二酸化炭素ガスを海水に溶解させて海水のpHを6.4〜8.1の範囲内とし、前記pH範囲内での海生物の付着防止が可能とした。
【解決手段】海水との混合比である(二酸化炭素ガス/海水)を0.1〜4/100として、二酸化炭素ガスを海水に注入することにより、海水中に、直径寸法が十〜数十μmである二酸化炭素ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルにて二酸化炭素ガスを海水に溶解させて海水のpHを6.4〜8.1の範囲内とし、前記pH範囲内での海生物の付着防止が可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置や設備において、海生物の付着を防止する海生物付着防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海水を取水するプラントにおいて、海水中の細菌や大型生物が付着する等の汚れによって、機器・配管類の性能や健全性が損なわれ、エネルギーを浪費する。例えば、フジツボ、二枚貝等の海生物が海水管系統に付着すると、通路を閉塞し、海水流量の不足により主機関や補機がオーバーヒートするという重大な影響を及ぼすおそれがある。また、スライム(主として微生物の繁殖によって生じる粘性塊状・泥状物質)が熱交換器の伝熱面に付着すると、これが被膜となって海水の熱交換を妨げるおそれがある。このため、これらの問題を解決するために、海洋生物の付着を防止する方法が提案されている。例えば、細菌や大型生物の付着を防止すべき箇所に、汚れ止め機能を有する水中防汚材を塗装することが知られている(特許文献1)。また、塩素系の殺菌剤(電解塩素、次亜塩素酸ソーダ等)を取水路中の海水に注入する塩素処理が知られている(特許文献2)。さらには、塩素系の殺菌剤を注入することなく、燃焼排ガスを海水に吹き込むことにより二酸化炭素を注入して、海水のpHを5〜6に低下させる方法が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−104125号公報
【特許文献2】特開平6−153744号公報
【特許文献3】特許第3605128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載のように防汚塗装を施すものは、径の細い配管や水抜きができない場所には施工できないという問題がある。また、効果に寿命があるので、寿命となると設備の運用を一旦休止して塗り替えなければならず、その間継続して使用ができないという問題や、手間やコストがかかるという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載のように塩素処理を施すものは、全ての範囲に適用でき、運転を継続しながら実施することができるが、次亜塩素酸等が消費されて残留塩素が減衰するという問題がある。つまり、残留塩素による海洋生物への影響を考慮して、放水の残留塩素濃度が検出されない濃度で処理することが条件となっている。このために、設備の下流部や支流部において、海生物の付着防止に有効な残留塩素濃度が保持できないことが原因で被害が発生するおそれがある。また、塩素処理で許容される最大の濃度で処理が行われているため、環境に及ぼす影響を最小限度に抑えることができない。さらには、常にある一定濃度で処理が行われるため、付着する海生物の幼生密度の変化に応じて濃度を変化させる等して対応することができない。
【0006】
特許文献3に記載のものは、塩素処理を行う必要がないため、前記したような塩素処理により生じる弊害は解消することができる。しかしながら、特許文献3に記載されている方法、つまり、燃焼排ガスを吹き込むことによって二酸化炭素を注入する方法でpHを5〜6に下げると、多量の燃焼排ガスを使用しなければならず、現実的ではない。また、海生物の殻の生成を抑えることを目的としてpHを5〜6としているため、有機物の付着防止には効果があるが、スライム等の無機物の付着までも抑えられるものではない。しかも、pHが5〜6のような低いpH環境では魚等に悪影響を及ぼすおそれがあり、好ましい環境ではない。このため、海水のpHを低下させると同時に適度な範囲に留めることが必要であり、必要最小限のpHに調整する必要がある。また、前記のような低いpH環境は、水質規制値(公共用水域水質環境基準)の範囲外であり、放流すると環境汚染が発生する。従って、一旦このような低いpH環境とすると、別の装置を用いて再度pHを高くし、水質規制値(公共用水域水質環境基準)の範囲内にまで戻す必要がある。従って、工程数の増加や、コストの増加という問題を招来することになる。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、長期にわたって効果が減衰することがなく、しかも付着する海生物の種類や幼生密度の変化に応じて対応できて環境保全と省エネルギーを図ることができる海生物付着防止方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の海生物付着防止方法は、海水との混合比である(二酸化炭素ガス/海水)を0.1〜4/100として、二酸化炭素ガスを海水に注入することにより、海水中に、直径寸法が十〜数十μmである二酸化炭素ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルにて二酸化炭素ガスを海水に溶解させて海水のpHを6.4〜8.1の範囲内とし、前記pH範囲内での海生物の付着防止を可能とするものである。本発明において、海生物とは、フジツボ、二枚貝等の有機物、及び微生物の繁殖によって生じる粘性塊状・泥状物質等の無機物(いわゆるスライム)を含むものとする。
【0009】
本発明の海生物付着防止方法では、直径寸法が十〜数十μmの二酸化炭素のマイクロバブルを発生させ、二酸化炭素ガスを海水に溶解しやすくして、海水に均一に分散させる。すなわち、発生したマイクロバブルは、海水中で表面積が大となり、海水への二酸化炭素ガスの溶解が促進される。これにより、効率よくpHを6.4〜8.1に下げることができて、このpH範囲内での海生物の付着を防止することができる。なお、海生物(特に、貝類等の殻を有する有機物)の付着防止には、低いpH範囲である程、殻の生成抑止効果が高く、海生物の付着防止には効果的である。ところが、pHが6.4未満(例えば、pH5〜6)のような低いpH環境では魚等に悪影響を及ぼすおそれがあり、好ましい環境ではない。そこで、pH6.4〜8.1の中性領域又はその近傍とすることにより、海水のpHを低下させると同時に適度な範囲に留めることができ、必要最小限のpHとすることができる。これにより、魚等に悪影響を及ぼすことなく低いpH環境を実現することができる。また、pH6.4〜8.1の中性領域又はその近傍では、水質規制値(公共用水域水質環境基準)の範囲内であるため、再度pHを高くするという作業、及びそれに用いる装置を省略することができる。
【0010】
(二酸化炭素ガス/海水)が1〜4/100の範囲内では、pHは6.4以上、7.7以下の範囲となる。この場合、比較的低いpH範囲となり、このpH範囲内で有機物の付着の抑止効果が高まるとともに、スライム等の無機物の付着も防止することができる。一方、(二酸化炭素ガス/海水)が0.1〜1未満/100の範囲内では、pHは7.7を越え、8.1以下となる。この場合、比較的高いpH範囲となり、このpH範囲内で、特にスライム等の無機物の付着を防止することができる。このようにして、海水とガスとの比が100対0.1〜4の範囲内において、付着する海生物の種類や幼生密度の変化に応じてガスの注入量を調整することができる。
【0011】
二酸化炭素ガスを注入することにより、環境保全を図りつつ海水を酸化させることができる。特に、二酸化炭素は発電所等の排ガス中に10〜13%程度含まれており、無償の廃棄物となっている。この二酸化炭素を、海生物の付着の防止が必要な海水設備の上流で海中に注入することによって、排ガスを有効利用できる。
【0012】
しかも、前記したように、二酸化炭素ガスをマイクロバブルの状態で海水に溶解させると、海水中でその表面積を大とすることができるため、注入する二酸化炭素のガス量を少なくすることができる。なお、1個体のマイクロバブルとは体積が小さな微細な気泡をいい、本発明では、発生させるマイクロバブルの直径寸法を十〜数十μmとしている。仮にマイクロバブルの直径寸法が100μm以上のサイズであると、バブルが浮上して泡と水とが分離され、海生物の付着を十分に防止することができない。そこで、本発明ではマイクロバブルの直径寸法を十〜数十μmとすることにより、バブルが浮上することなく海水中に均一に分散させることができて、海生物の付着防止効果を一層高めることができる。
【0013】
本発明の他の海生物付着防止方法は、海水との混合比である(ガス/海水)を0.1〜4/100として、大気、又は窒素のガスを海水に注入することにより、海水中に、直径寸法が十〜数十μmである前記ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを海水に分散させて、マイクロバブルが海生物を擦り取ることにより海生物の付着防止が可能なものである。
【0014】
本発明の他の海生物付着防止方法では、海水とガスとの混合比を0.1〜4/100として、ガスを海水に注入することによりマイクロバブルを発生させると、マイクロバブルの表面積が大となるため、海水にガスを均一に分散させることができる。しかも、ガスは大気、又は窒素を使用しているので、ガスが海水に溶存することなく、多数の微細な泡として海水に存在する。この泡が、海水中にある各種の装置や設備に付着した海生物を擦り取って、海生物の付着を防止することができる。さらに、海水とガスとの比が100対0.1〜4の範囲内において、海生物の幼生密度の変化によりガスの注入量を調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の海生物付着防止方法によれば、前記pHの範囲内において効果的に海生物の付着を防止することができ、特に発電所で主な被害の対象となっている海水中の生物の付着、及び設備の表面に被膜を形成するスライムの付着を、少ないガス量で効率よく防止することができる。しかも、設備の寿命によるメンテナンスや設備の入替作業を省略することができ、設備の運用を継続しながら実施できるとともに、低コスト化を図ることができる。また、設備を長年使用しても効果が減衰することがなく、さらには、ガスの注入量を調整することができるため、付着する海生物の幼生密度の変化やスライム層の厚み及び付着範囲に応じて対応でき、環境に及ぼす影響を最小限度に抑えつつ行えるため、環境保全と省エネルギーを図ることができる。
【0016】
マイクロバブルを発生させた後の海水のpHを6.4〜8.1にすると、再度pHを高くするという作業、及びそれに用いる装置を省略することができ、作業効率の向上、及びコストの低減を図ることができる。
【0017】
前記ガスを二酸化炭素ガスとすると、pH調整機器等の設備が不要となり、また、排ガスを有効利用できて低コスト化を図ることができる。さらに、二酸化炭素は熱交換器の熱伝導に影響を与えないので、省エネルギー効果を一層期待することができる。加えて、二酸化炭素は短時間で海水中に溶解し、pHを容易に6.4〜8.1とすることができる。なお、二酸化炭素は大気中へ排出されると、環境に悪影響を及ぼすことが知られている一方で、二酸化炭素は一旦海水中に溶け込むと大気中へ出にくいことがわかっている。本発明では海水中に二酸化炭素を溶解させているので、二酸化炭素が大気中へ出る可能性は少なく、環境に悪影響を及ぼすおそれは少ない。
【0018】
本発明の他の海生物付着防止方法のように、海水に注入するガスを大気とすると、ボンベやタンク等の設備を省略することができ、装置全体の大型化を防止することができる、コストの低減を図ることができる等の利点がある。一方、窒素ガスとすると、大気と比較して海生物の付着を一層防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
本発明の海生物付着防止方法は、海水を取水して利用する装置や設備において、海生物の付着を防止するものである。図1に示すマイクロバブル発生装置10に海水が流れる場合について説明する。本発明において「海生物」とは、フジツボ、二枚貝等の有機物、及び微生物の繁殖によって生じる粘性塊状・泥状物質等の無機物(いわゆるスライム)を含むものとする。
【0021】
マイクロバブル発生装置10は、その両端が海水を送液するための配管(図示省略)に接続される。マイクロバブル発生装置10は下流側に開口し、配管から送液される海水が流入し流出する海水流路12が形成されている。海水流路12は、周方向に沿って等間隔で(図示例では120°ピッチ)設けられている。
【0022】
マイクロバブル発生装置10には、海水に混合するガスを導入するガス流路11が配置され、ガス流路11は、マイクロバブル発生装置10の径方向に沿って延びて、マイクロバブル発生装置10の外径側に開口する径方向部13と、マイクロバブル発生装置10の軸方向に沿って延びて、マイクロバブル発生装置10の下流側に開口する軸方向部14とからなる。ガス流路11の軸方向部14は、マイクロバブル発生装置10の軸心に設けられ、ガス流路11の外周側に海水流路12が設けられている。
【0023】
次に、本発明の第1実施形態に係る海生物付着防止方法を用いて海生物の付着を防止する方法を説明する。取水した海水は、矢印Aのようにマイクロバブル発生装置10の海水流路12を流れ、下流側の開口部近傍で減圧される(例えば、海水流量30L/min、圧力約0.08MPa)。そして、矢印Bのように、ガス流路11から二酸化炭素ガスを注入する。この場合、海水と二酸化炭素ガスとの比を100対0.1〜4とする。これにより、混合部15にて、減圧された海水に二酸化炭素ガスが溶解して直径寸法が十〜数十μmのマイクロバブルを発生することができる。マイクロバブルとは、表面積が小さな微細な気泡をいう。マイクロバブルが多量に発生すると、マイクロバブルの表面積が大となるため、海水に対してガスの溶解が促進される。そして、海水にガスが均一に分散され、海水のpHを6.4〜8.1に低下させる。このようにしてpHが低下された海水がマイクロバブル発生装置の先端から矢印Cの方向に流出し、流出した液体を、海生物の付着の防止が必要な海水設備の上流で海中に注入する。これにより、前記pH範囲内において、海生物の付着を防止することができる。
【0024】
注入する二酸化炭素のガス量は、外部の環境、海生物の除去対象となる設備等に応じて適宜決定することができる。例えば、有機物が多量に発生する環境や、海水管系統のように、有機物が設備の性能に特に悪影響を及ぼす場合等では、(二酸化炭素ガス/海水)を1〜4/100とするのが好ましい。このとき、pHは6.4以上、7.7以下の範囲となって、特に有機物の付着を抑えることができ、スライムの付着も併せて抑えることができる。一方、熱交換器プレートのように、スライムの付着が設備の性能に特に悪影響を及ぼす場合等では、(二酸化炭素ガス/海水)を0.1〜1未満/100とするのが好ましい。このとき、pHは7.7越え、8.1以下となって、特にスライム等の無機物の付着を抑えることができる。
【0025】
このように、本発明の第1実施形態の海生物付着防止方法は、前記pHの範囲内において効果的に海生物の付着を防止することができ、特に発電所で主な被害の対象となっている海水中の生物の付着、及び設備の表面に被膜を形成するスライムの付着を、少ないガス量で効率よく防止することができる。しかも、設備の寿命によるメンテナンスや設備の入替作業を省略することができ、設備の運用を継続しながら実施できるとともに、低コスト化を図ることができる。また、設備を長年使用しても効果が減衰することがなく、さらには、ガスの注入量を調整することができるため、付着する海生物の幼生密度の変化やスライム層の厚み及び付着範囲に応じて対応でき、環境に及ぼす影響を最小限度に抑えつつ行えるため、環境保全と省エネルギーを図ることができる。
【0026】
また、第2実施形態として、海水との混合比である(ガス/海水)を0.1〜4/100として、大気又は窒素を海水に注入することもできる。この場合も、海水中にガスのマイクロバブルを発生させることにより、マイクロバブルの表面積が大となるため、海水にガスを均一に分散させることができる。しかも、ガスは海水に溶解しにくい大気又は窒素ガスを使用しているので、ガスが海水に溶存しにくく、多数の微細な泡として海水に存在する。この泡が、海水中にある各種の装置や設備に付着した海生物を擦り取って、海生物の付着を防止することができる。このようにして微細な泡が形成された海水がマイクロバブル発生装置の先端から図1の矢印Cの方向に流出し、流出した液体を海生物の付着の防止が必要な海水設備の上流で海中に注入する。これにより、貝やフジツボ等の有機物やスライム等の無機物を擦り取ることができ、これらの生物の付着を防止することができる。
【0027】
このように、本発明の第2実施形態の海生物付着防止方法によれば、マイクロバブルを発生させることによって、マイクロバブルを均一に分散させることができ、海水に多数の微細な泡を発生させることができる。この泡が供給されると、貝やフジツボ、スライム等の海生物を擦り取ることができ、これらの海生物の付着を防止することができる。
【0028】
なお、前記第1実施形態及び第2実施形態において、取水された海水中に、塩素系の殺菌剤を注入することも可能である。すなわち、従来の塩素処理と本発明の第1実施形態の海生物付着防止方法とを併用することができる。従来の塩素処理と併用すると、従来の塩素処理の殺菌効果と相俟って、海生物の付着を一層防止することができる。
【実施例】
【0029】
まず、マイクロバブルによる窒素ガスと二酸化炭素ガスの注入率とpHの関係を調べた。pHの測定は、センサー(自記式多項目水質計In‐Situ社TROLL9000)、(東亜DKK:電気伝導率・pH計 WM‐22EP)を用いた。図2に窒素と二酸化炭素の注入率とpHの関係を示す。窒素は、海水中に6.6%注入するとpHを僅かに低下させるに留まったが、二酸化炭素は、海水中に6.6%注入すると8.14から5.93まで低下した。
【0030】
また、図3に示すように、窒素と二酸化炭素を注入した際には、マイクロバブルの生成状況に違いが認められることがわかった。二酸化炭素を注入した場合、窒素に比べて明らかに細かいマイクロバブルが生成した。なお、図3において、左側が窒素のマイクロバブル、右側が二酸化炭素のマイクロバブルであり、ガス量はいずれも2L/min、海水流量は30L/minである。
【0031】
窒素のマイクロバブルのガス注入率と付着防止率の関係を図4に示す。図中の四角印は湿重量による付着防止率、丸印は個体数による付着防止率を示す。曲線は、湿重量による付着防止率の近似曲線である。試験を行った窒素ガスの注入率7%以下の範囲では、付着防止率は最大でも80%台であり、これ以上の効果は認めがたい。このため、窒素のマイクロバブルを適用するのであれば、3〜4割程度の付着を許容できる場所や設備において、注入率2〜3%の比較的少ないガス量で運用するのが特に好ましい。また、窒素ガスを0.1%注入した場合、海生物の付着防止率は約4%である。一方、窒素ガスを4%注入することで、海生物の付着防止率が約80%であることが確認できた。これにより、実用的に海生物の付着を防止するためには、窒素ガスの注入率を0.1%〜4%の範囲とするのがよい。窒素ガスの注入率が0.1%未満であると、海生物の付着防止効果が十分に得られ難い。また、窒素ガスの注入率が4%を超えると、それ以上窒素ガスを注入することによる効果は少なく、さらには窒素ガスの注入量が多くなり、実用的ではない。
【0032】
窒素のマイクロバブル注入による付着防止効果として、参考のため付着物重量は図5に、付着生物数を図6に示す。付着物の湿重量は、窒素ガス注入率が5.7%のとき、対照区の付着量を100%として付着率が17.9%であり、注入率6.7%では付着率が16.6%であった。付着生物数は、窒素ガス注入率が3.3%のとき付着率が24.2%、注入率が5.7%のとき付着率は33.1%、注入率が6.7%では付着率14.7%となった。このように、一部に例外があるものの、窒素ガスの注入率と付着防止効果については概ね相関が認められた。
【0033】
二酸化炭素のマイクロバブルのガス注入率と付着防止率の関係を図7に示す。図中の丸印は個体数による付着防止率、三角印は湿重量による付着防止率を示す。さらに比較のため、四角印は窒素ガスの湿重量の付着防止率を示す。注入率が6.7%では、窒素のマイクロバブルによる湿重量の付着防止率が83.4%であるのに対し、二酸化炭素では95.4%となり、同じ注入率では二酸化炭素の方がより効果的であることがわかった。高い付着防止効果が要求されるプレート型熱交換器の付着防止法として、窒素のマイクロバブルよりも適しているといえる。また、二酸化炭素ガスを0.1%注入した場合、海生物の付着防止率が約4%である。一方、二酸化炭素ガスを4%注入することで、海生物の付着防止率が約95%あることが確認できた。これにより、実用的に海生物の付着を防止するためには、二酸化炭素ガスの注入率を0.1%〜4%の範囲とするのがよい。二酸化炭素ガスの注入率が0.1%未満であると、海生物の付着防止効果が十分に得られ難い。また、二酸化炭素ガスの注入率が4%を超えると、それ以上二酸化炭素ガスを注入することによる効果は少なく、さらには、二酸化炭素ガスの注入量が多くなり、実用的ではない。
【0034】
二酸化炭素のマイクロバブル注入による付着防止効果として、参考のため付着物重量は図8に、付着生物数を図9に示す。二酸化炭素では、付着物重量と付着生物数とで共に、注入率と付着率とに負の相関が認められた。
【0035】
次に、二酸化炭素注入による熱伝導率への影響確認試験を行った。図10に熱伝達率影響確認装置を示す。この装置は、発電所復水器細管の汚れ係数を測定するためのもので、アルミ黄銅管の外面に熱伝対を取付けて、管の外側から電気式ヒーターで加熱し、通水した水の入口と出口との温度差から汚れ係数を測定して、熱貫流率を計算する。この装置の上流に、図1に示すようなマイクロバブル発生装置を設置し、二酸化炭素ガスのマイクロバブルを発生させる。
【0036】
熱貫流率の測定結果を図11、及び表1に示す。熱貫流率は、3.197〜3.292kcal/m2h℃の範囲で、新管比は98.7〜101.2%の範囲にあり、注入量に比例した影響はなかった。これにより、二酸化炭素のマイクロバブルによる熱伝達に及ぼす影響がないことがわかり、省エネルギー効果が期待できることがわかった。
【0037】
【表1】
【0038】
二酸化炭素の脱気試験の結果を図12に示す。二酸化炭素をマイクロバブルで注入した直後のpHは直ちに5.31まで下がり、この時点を試験開始とした。その後、室温で温度とpHのデータを記録した。途中、超音波洗浄機で脱気を試みたが、pHは5.31から5.63に上昇した程度であった。図12からもわかるように、pHの値は温度が8.32℃から22℃まで上昇するに伴って上昇したが、15分間でpHはわずか0.32上がったのみで、回復したとはいえなかった。そこで、温度をヒーターにより加温し、天然の海水温度では起りえない45℃まで加熱したが、図12に示すように応答は見られなかった。これにより、二酸化炭素が一旦海水中に溶け込むと、海水から大気中へ出にくいことがわかった。
【0039】
次に、参考例として図13に示す装置を用いて、空気、窒素ガス、二酸化炭素ガスのマイクロバブル注入量と、付着防止効果の関係を把握するために、海水を連続通水する試験を行った。揚水ポンプ(ツルミ製作所 50TM 2.75)1台を用いて、500Lのヘッドタンクに揚水し、不要な海水はオーバーフローさせ、ヘッドタンクの水位を一定に保った。ヘッドタンクには、独立した3つの系統毎に水中ポンプ(ツルミ製作所 50TM 2.75)を設置した。海水の流量は、面積式流量計とボールバルブによって調節し、樹脂製Y型ストレーナを経て、図1に示すようなマイクロバブル発生装置に給水し、海水と注入されたエアーまたはガスが試験水槽を通じて排水される。ストレーナとマイクロバブル発生装置の間に圧力計を設置し、マイクロバブルの生成条件を把握した。エアーまたはガスの流量は、0.2〜2L/minのガラス製ガス流量計とニードル式バルブを用いて調整した。マイクロバブル発生装置は、海水流量が30L/min、圧力が約0.08MPaの条件に適用可能な、オーラテック社インライン式マイクロバブル発生装置(タイプ1:PVC製)を使用した。また、試験水槽は、アクリル製の試験水槽(長さ300mm、幅210mm、厚さ50mm、容積約2L)を用いた。
【0040】
試験条件は、1ヶ月間を1期間とし、表2に示すように設定した。
【0041】
【表2】
【0042】
海生物の付着状況は、実験終了後に試験水槽を回収し、ふたを外して目視観察を行った後、試験水槽のハコ側及びフタ側の写真撮影を行った。また、付着防止効果は、付着防止率(%)によって行った。なお、付着防止率(%)=100−(試験区の付着数÷対照区の付着数)×100で付着防止率を計算した。
【0043】
図14に第1期における試験水槽の海生物の付着状況、表3に第1期における付着量測定結果、図15に対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。これにより、エアーのマイクロバブルは、対照区の45.7%、窒素のマイクロバブルは、33.1%に付着量が抑えられ、窒素のマイクロバブルの有効性が確認できた。
【0044】
【表3】
【0045】
図16に第2期における試験水槽の海生物の付着状況、表4に第2期における付着量測定結果、図17に対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。これにより、窒素のマイクロバブルは、対照区の14.7%、二酸化炭素のマイクロバブルは、0.4%に付着量が抑えられ、注入率が同じであれば、二酸化炭素のマイクロバブルによる効果が際立つ結果となった。
【0046】
【表4】
【0047】
図18に第3期における試験水槽の海生物の付着状況、表5に第3期における付着量測定結果、図19に対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。これにより、二酸化炭素のマイクロバブルの0.75L/min(海水に対する二酸化炭素ガス注入率2.5%)は対照区の12.2%、二酸化炭素のマイクロバブルの1.5L/min(海水に対する二酸化炭素ガス注入率5.0%)は対照区の10.5%に付着量が抑えられた。
【0048】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の海生物付着防止方法にて海水を流すマイクロバブル発生装置を示し、(a)は断面図、(b)は右側面図である。
【図2】窒素と二酸化炭素の注入率とpHの関係を示すグラフ図である。
【図3】N2マイクロバブルとCO2マイクロバブルを示す写真である。
【図4】窒素のマイクロバブルのガス注入率と付着防止率との関係を示すグラフ図である。
【図5】窒素のマイクロバブル注入による付着防止効果について、海生物の付着物重量を示すグラフ図である。
【図6】窒素のマイクロバブル注入による付着防止効果について、海生物の付着生物数を示すグラフ図である。
【図7】二酸化炭素のマイクロバブルのガス注入率と付着防止率との関係を示すグラフ図である。
【図8】二酸化炭素のマイクロバブル注入による付着防止効果について、海生物の付着物重量を示すグラフ図である。
【図9】二酸化炭素のマイクロバブル注入による付着防止効果について、海生物の付着生物数を示すグラフ図である。
【図10】二酸化炭素注入による熱伝導率への影響確認試験を行った装置の簡略図である。
【図11】熱貫流率の測定結果を示すグラフ図である。
【図12】二酸化炭素の脱気試験の結果を示すグラフ図である。
【図13】空気、窒素ガス、二酸化炭素ガスのマイクロバブル注入量と、付着防止効果の関係を把握するために行った実験の試験装置を示す簡略図である。
【図14】第1期における試験水槽の海生物の付着状況を示す写真である。
【図15】第1期において、対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。
【図16】第2期における試験水槽の海生物の付着状況を示す写真である。
【図17】第2期において、対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。
【図18】第3期における試験水槽の海生物の付着状況を示す写真である。
【図19】第3期において、対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。
【符号の説明】
【0050】
10 マイクロバブル発生装置
11 ガス流路
12 海水流路
13 径方向部
14 軸方向部
15 混合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置や設備において、海生物の付着を防止する海生物付着防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海水を取水するプラントにおいて、海水中の細菌や大型生物が付着する等の汚れによって、機器・配管類の性能や健全性が損なわれ、エネルギーを浪費する。例えば、フジツボ、二枚貝等の海生物が海水管系統に付着すると、通路を閉塞し、海水流量の不足により主機関や補機がオーバーヒートするという重大な影響を及ぼすおそれがある。また、スライム(主として微生物の繁殖によって生じる粘性塊状・泥状物質)が熱交換器の伝熱面に付着すると、これが被膜となって海水の熱交換を妨げるおそれがある。このため、これらの問題を解決するために、海洋生物の付着を防止する方法が提案されている。例えば、細菌や大型生物の付着を防止すべき箇所に、汚れ止め機能を有する水中防汚材を塗装することが知られている(特許文献1)。また、塩素系の殺菌剤(電解塩素、次亜塩素酸ソーダ等)を取水路中の海水に注入する塩素処理が知られている(特許文献2)。さらには、塩素系の殺菌剤を注入することなく、燃焼排ガスを海水に吹き込むことにより二酸化炭素を注入して、海水のpHを5〜6に低下させる方法が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−104125号公報
【特許文献2】特開平6−153744号公報
【特許文献3】特許第3605128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載のように防汚塗装を施すものは、径の細い配管や水抜きができない場所には施工できないという問題がある。また、効果に寿命があるので、寿命となると設備の運用を一旦休止して塗り替えなければならず、その間継続して使用ができないという問題や、手間やコストがかかるという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載のように塩素処理を施すものは、全ての範囲に適用でき、運転を継続しながら実施することができるが、次亜塩素酸等が消費されて残留塩素が減衰するという問題がある。つまり、残留塩素による海洋生物への影響を考慮して、放水の残留塩素濃度が検出されない濃度で処理することが条件となっている。このために、設備の下流部や支流部において、海生物の付着防止に有効な残留塩素濃度が保持できないことが原因で被害が発生するおそれがある。また、塩素処理で許容される最大の濃度で処理が行われているため、環境に及ぼす影響を最小限度に抑えることができない。さらには、常にある一定濃度で処理が行われるため、付着する海生物の幼生密度の変化に応じて濃度を変化させる等して対応することができない。
【0006】
特許文献3に記載のものは、塩素処理を行う必要がないため、前記したような塩素処理により生じる弊害は解消することができる。しかしながら、特許文献3に記載されている方法、つまり、燃焼排ガスを吹き込むことによって二酸化炭素を注入する方法でpHを5〜6に下げると、多量の燃焼排ガスを使用しなければならず、現実的ではない。また、海生物の殻の生成を抑えることを目的としてpHを5〜6としているため、有機物の付着防止には効果があるが、スライム等の無機物の付着までも抑えられるものではない。しかも、pHが5〜6のような低いpH環境では魚等に悪影響を及ぼすおそれがあり、好ましい環境ではない。このため、海水のpHを低下させると同時に適度な範囲に留めることが必要であり、必要最小限のpHに調整する必要がある。また、前記のような低いpH環境は、水質規制値(公共用水域水質環境基準)の範囲外であり、放流すると環境汚染が発生する。従って、一旦このような低いpH環境とすると、別の装置を用いて再度pHを高くし、水質規制値(公共用水域水質環境基準)の範囲内にまで戻す必要がある。従って、工程数の増加や、コストの増加という問題を招来することになる。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、長期にわたって効果が減衰することがなく、しかも付着する海生物の種類や幼生密度の変化に応じて対応できて環境保全と省エネルギーを図ることができる海生物付着防止方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の海生物付着防止方法は、海水との混合比である(二酸化炭素ガス/海水)を0.1〜4/100として、二酸化炭素ガスを海水に注入することにより、海水中に、直径寸法が十〜数十μmである二酸化炭素ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルにて二酸化炭素ガスを海水に溶解させて海水のpHを6.4〜8.1の範囲内とし、前記pH範囲内での海生物の付着防止を可能とするものである。本発明において、海生物とは、フジツボ、二枚貝等の有機物、及び微生物の繁殖によって生じる粘性塊状・泥状物質等の無機物(いわゆるスライム)を含むものとする。
【0009】
本発明の海生物付着防止方法では、直径寸法が十〜数十μmの二酸化炭素のマイクロバブルを発生させ、二酸化炭素ガスを海水に溶解しやすくして、海水に均一に分散させる。すなわち、発生したマイクロバブルは、海水中で表面積が大となり、海水への二酸化炭素ガスの溶解が促進される。これにより、効率よくpHを6.4〜8.1に下げることができて、このpH範囲内での海生物の付着を防止することができる。なお、海生物(特に、貝類等の殻を有する有機物)の付着防止には、低いpH範囲である程、殻の生成抑止効果が高く、海生物の付着防止には効果的である。ところが、pHが6.4未満(例えば、pH5〜6)のような低いpH環境では魚等に悪影響を及ぼすおそれがあり、好ましい環境ではない。そこで、pH6.4〜8.1の中性領域又はその近傍とすることにより、海水のpHを低下させると同時に適度な範囲に留めることができ、必要最小限のpHとすることができる。これにより、魚等に悪影響を及ぼすことなく低いpH環境を実現することができる。また、pH6.4〜8.1の中性領域又はその近傍では、水質規制値(公共用水域水質環境基準)の範囲内であるため、再度pHを高くするという作業、及びそれに用いる装置を省略することができる。
【0010】
(二酸化炭素ガス/海水)が1〜4/100の範囲内では、pHは6.4以上、7.7以下の範囲となる。この場合、比較的低いpH範囲となり、このpH範囲内で有機物の付着の抑止効果が高まるとともに、スライム等の無機物の付着も防止することができる。一方、(二酸化炭素ガス/海水)が0.1〜1未満/100の範囲内では、pHは7.7を越え、8.1以下となる。この場合、比較的高いpH範囲となり、このpH範囲内で、特にスライム等の無機物の付着を防止することができる。このようにして、海水とガスとの比が100対0.1〜4の範囲内において、付着する海生物の種類や幼生密度の変化に応じてガスの注入量を調整することができる。
【0011】
二酸化炭素ガスを注入することにより、環境保全を図りつつ海水を酸化させることができる。特に、二酸化炭素は発電所等の排ガス中に10〜13%程度含まれており、無償の廃棄物となっている。この二酸化炭素を、海生物の付着の防止が必要な海水設備の上流で海中に注入することによって、排ガスを有効利用できる。
【0012】
しかも、前記したように、二酸化炭素ガスをマイクロバブルの状態で海水に溶解させると、海水中でその表面積を大とすることができるため、注入する二酸化炭素のガス量を少なくすることができる。なお、1個体のマイクロバブルとは体積が小さな微細な気泡をいい、本発明では、発生させるマイクロバブルの直径寸法を十〜数十μmとしている。仮にマイクロバブルの直径寸法が100μm以上のサイズであると、バブルが浮上して泡と水とが分離され、海生物の付着を十分に防止することができない。そこで、本発明ではマイクロバブルの直径寸法を十〜数十μmとすることにより、バブルが浮上することなく海水中に均一に分散させることができて、海生物の付着防止効果を一層高めることができる。
【0013】
本発明の他の海生物付着防止方法は、海水との混合比である(ガス/海水)を0.1〜4/100として、大気、又は窒素のガスを海水に注入することにより、海水中に、直径寸法が十〜数十μmである前記ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを海水に分散させて、マイクロバブルが海生物を擦り取ることにより海生物の付着防止が可能なものである。
【0014】
本発明の他の海生物付着防止方法では、海水とガスとの混合比を0.1〜4/100として、ガスを海水に注入することによりマイクロバブルを発生させると、マイクロバブルの表面積が大となるため、海水にガスを均一に分散させることができる。しかも、ガスは大気、又は窒素を使用しているので、ガスが海水に溶存することなく、多数の微細な泡として海水に存在する。この泡が、海水中にある各種の装置や設備に付着した海生物を擦り取って、海生物の付着を防止することができる。さらに、海水とガスとの比が100対0.1〜4の範囲内において、海生物の幼生密度の変化によりガスの注入量を調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の海生物付着防止方法によれば、前記pHの範囲内において効果的に海生物の付着を防止することができ、特に発電所で主な被害の対象となっている海水中の生物の付着、及び設備の表面に被膜を形成するスライムの付着を、少ないガス量で効率よく防止することができる。しかも、設備の寿命によるメンテナンスや設備の入替作業を省略することができ、設備の運用を継続しながら実施できるとともに、低コスト化を図ることができる。また、設備を長年使用しても効果が減衰することがなく、さらには、ガスの注入量を調整することができるため、付着する海生物の幼生密度の変化やスライム層の厚み及び付着範囲に応じて対応でき、環境に及ぼす影響を最小限度に抑えつつ行えるため、環境保全と省エネルギーを図ることができる。
【0016】
マイクロバブルを発生させた後の海水のpHを6.4〜8.1にすると、再度pHを高くするという作業、及びそれに用いる装置を省略することができ、作業効率の向上、及びコストの低減を図ることができる。
【0017】
前記ガスを二酸化炭素ガスとすると、pH調整機器等の設備が不要となり、また、排ガスを有効利用できて低コスト化を図ることができる。さらに、二酸化炭素は熱交換器の熱伝導に影響を与えないので、省エネルギー効果を一層期待することができる。加えて、二酸化炭素は短時間で海水中に溶解し、pHを容易に6.4〜8.1とすることができる。なお、二酸化炭素は大気中へ排出されると、環境に悪影響を及ぼすことが知られている一方で、二酸化炭素は一旦海水中に溶け込むと大気中へ出にくいことがわかっている。本発明では海水中に二酸化炭素を溶解させているので、二酸化炭素が大気中へ出る可能性は少なく、環境に悪影響を及ぼすおそれは少ない。
【0018】
本発明の他の海生物付着防止方法のように、海水に注入するガスを大気とすると、ボンベやタンク等の設備を省略することができ、装置全体の大型化を防止することができる、コストの低減を図ることができる等の利点がある。一方、窒素ガスとすると、大気と比較して海生物の付着を一層防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
本発明の海生物付着防止方法は、海水を取水して利用する装置や設備において、海生物の付着を防止するものである。図1に示すマイクロバブル発生装置10に海水が流れる場合について説明する。本発明において「海生物」とは、フジツボ、二枚貝等の有機物、及び微生物の繁殖によって生じる粘性塊状・泥状物質等の無機物(いわゆるスライム)を含むものとする。
【0021】
マイクロバブル発生装置10は、その両端が海水を送液するための配管(図示省略)に接続される。マイクロバブル発生装置10は下流側に開口し、配管から送液される海水が流入し流出する海水流路12が形成されている。海水流路12は、周方向に沿って等間隔で(図示例では120°ピッチ)設けられている。
【0022】
マイクロバブル発生装置10には、海水に混合するガスを導入するガス流路11が配置され、ガス流路11は、マイクロバブル発生装置10の径方向に沿って延びて、マイクロバブル発生装置10の外径側に開口する径方向部13と、マイクロバブル発生装置10の軸方向に沿って延びて、マイクロバブル発生装置10の下流側に開口する軸方向部14とからなる。ガス流路11の軸方向部14は、マイクロバブル発生装置10の軸心に設けられ、ガス流路11の外周側に海水流路12が設けられている。
【0023】
次に、本発明の第1実施形態に係る海生物付着防止方法を用いて海生物の付着を防止する方法を説明する。取水した海水は、矢印Aのようにマイクロバブル発生装置10の海水流路12を流れ、下流側の開口部近傍で減圧される(例えば、海水流量30L/min、圧力約0.08MPa)。そして、矢印Bのように、ガス流路11から二酸化炭素ガスを注入する。この場合、海水と二酸化炭素ガスとの比を100対0.1〜4とする。これにより、混合部15にて、減圧された海水に二酸化炭素ガスが溶解して直径寸法が十〜数十μmのマイクロバブルを発生することができる。マイクロバブルとは、表面積が小さな微細な気泡をいう。マイクロバブルが多量に発生すると、マイクロバブルの表面積が大となるため、海水に対してガスの溶解が促進される。そして、海水にガスが均一に分散され、海水のpHを6.4〜8.1に低下させる。このようにしてpHが低下された海水がマイクロバブル発生装置の先端から矢印Cの方向に流出し、流出した液体を、海生物の付着の防止が必要な海水設備の上流で海中に注入する。これにより、前記pH範囲内において、海生物の付着を防止することができる。
【0024】
注入する二酸化炭素のガス量は、外部の環境、海生物の除去対象となる設備等に応じて適宜決定することができる。例えば、有機物が多量に発生する環境や、海水管系統のように、有機物が設備の性能に特に悪影響を及ぼす場合等では、(二酸化炭素ガス/海水)を1〜4/100とするのが好ましい。このとき、pHは6.4以上、7.7以下の範囲となって、特に有機物の付着を抑えることができ、スライムの付着も併せて抑えることができる。一方、熱交換器プレートのように、スライムの付着が設備の性能に特に悪影響を及ぼす場合等では、(二酸化炭素ガス/海水)を0.1〜1未満/100とするのが好ましい。このとき、pHは7.7越え、8.1以下となって、特にスライム等の無機物の付着を抑えることができる。
【0025】
このように、本発明の第1実施形態の海生物付着防止方法は、前記pHの範囲内において効果的に海生物の付着を防止することができ、特に発電所で主な被害の対象となっている海水中の生物の付着、及び設備の表面に被膜を形成するスライムの付着を、少ないガス量で効率よく防止することができる。しかも、設備の寿命によるメンテナンスや設備の入替作業を省略することができ、設備の運用を継続しながら実施できるとともに、低コスト化を図ることができる。また、設備を長年使用しても効果が減衰することがなく、さらには、ガスの注入量を調整することができるため、付着する海生物の幼生密度の変化やスライム層の厚み及び付着範囲に応じて対応でき、環境に及ぼす影響を最小限度に抑えつつ行えるため、環境保全と省エネルギーを図ることができる。
【0026】
また、第2実施形態として、海水との混合比である(ガス/海水)を0.1〜4/100として、大気又は窒素を海水に注入することもできる。この場合も、海水中にガスのマイクロバブルを発生させることにより、マイクロバブルの表面積が大となるため、海水にガスを均一に分散させることができる。しかも、ガスは海水に溶解しにくい大気又は窒素ガスを使用しているので、ガスが海水に溶存しにくく、多数の微細な泡として海水に存在する。この泡が、海水中にある各種の装置や設備に付着した海生物を擦り取って、海生物の付着を防止することができる。このようにして微細な泡が形成された海水がマイクロバブル発生装置の先端から図1の矢印Cの方向に流出し、流出した液体を海生物の付着の防止が必要な海水設備の上流で海中に注入する。これにより、貝やフジツボ等の有機物やスライム等の無機物を擦り取ることができ、これらの生物の付着を防止することができる。
【0027】
このように、本発明の第2実施形態の海生物付着防止方法によれば、マイクロバブルを発生させることによって、マイクロバブルを均一に分散させることができ、海水に多数の微細な泡を発生させることができる。この泡が供給されると、貝やフジツボ、スライム等の海生物を擦り取ることができ、これらの海生物の付着を防止することができる。
【0028】
なお、前記第1実施形態及び第2実施形態において、取水された海水中に、塩素系の殺菌剤を注入することも可能である。すなわち、従来の塩素処理と本発明の第1実施形態の海生物付着防止方法とを併用することができる。従来の塩素処理と併用すると、従来の塩素処理の殺菌効果と相俟って、海生物の付着を一層防止することができる。
【実施例】
【0029】
まず、マイクロバブルによる窒素ガスと二酸化炭素ガスの注入率とpHの関係を調べた。pHの測定は、センサー(自記式多項目水質計In‐Situ社TROLL9000)、(東亜DKK:電気伝導率・pH計 WM‐22EP)を用いた。図2に窒素と二酸化炭素の注入率とpHの関係を示す。窒素は、海水中に6.6%注入するとpHを僅かに低下させるに留まったが、二酸化炭素は、海水中に6.6%注入すると8.14から5.93まで低下した。
【0030】
また、図3に示すように、窒素と二酸化炭素を注入した際には、マイクロバブルの生成状況に違いが認められることがわかった。二酸化炭素を注入した場合、窒素に比べて明らかに細かいマイクロバブルが生成した。なお、図3において、左側が窒素のマイクロバブル、右側が二酸化炭素のマイクロバブルであり、ガス量はいずれも2L/min、海水流量は30L/minである。
【0031】
窒素のマイクロバブルのガス注入率と付着防止率の関係を図4に示す。図中の四角印は湿重量による付着防止率、丸印は個体数による付着防止率を示す。曲線は、湿重量による付着防止率の近似曲線である。試験を行った窒素ガスの注入率7%以下の範囲では、付着防止率は最大でも80%台であり、これ以上の効果は認めがたい。このため、窒素のマイクロバブルを適用するのであれば、3〜4割程度の付着を許容できる場所や設備において、注入率2〜3%の比較的少ないガス量で運用するのが特に好ましい。また、窒素ガスを0.1%注入した場合、海生物の付着防止率は約4%である。一方、窒素ガスを4%注入することで、海生物の付着防止率が約80%であることが確認できた。これにより、実用的に海生物の付着を防止するためには、窒素ガスの注入率を0.1%〜4%の範囲とするのがよい。窒素ガスの注入率が0.1%未満であると、海生物の付着防止効果が十分に得られ難い。また、窒素ガスの注入率が4%を超えると、それ以上窒素ガスを注入することによる効果は少なく、さらには窒素ガスの注入量が多くなり、実用的ではない。
【0032】
窒素のマイクロバブル注入による付着防止効果として、参考のため付着物重量は図5に、付着生物数を図6に示す。付着物の湿重量は、窒素ガス注入率が5.7%のとき、対照区の付着量を100%として付着率が17.9%であり、注入率6.7%では付着率が16.6%であった。付着生物数は、窒素ガス注入率が3.3%のとき付着率が24.2%、注入率が5.7%のとき付着率は33.1%、注入率が6.7%では付着率14.7%となった。このように、一部に例外があるものの、窒素ガスの注入率と付着防止効果については概ね相関が認められた。
【0033】
二酸化炭素のマイクロバブルのガス注入率と付着防止率の関係を図7に示す。図中の丸印は個体数による付着防止率、三角印は湿重量による付着防止率を示す。さらに比較のため、四角印は窒素ガスの湿重量の付着防止率を示す。注入率が6.7%では、窒素のマイクロバブルによる湿重量の付着防止率が83.4%であるのに対し、二酸化炭素では95.4%となり、同じ注入率では二酸化炭素の方がより効果的であることがわかった。高い付着防止効果が要求されるプレート型熱交換器の付着防止法として、窒素のマイクロバブルよりも適しているといえる。また、二酸化炭素ガスを0.1%注入した場合、海生物の付着防止率が約4%である。一方、二酸化炭素ガスを4%注入することで、海生物の付着防止率が約95%あることが確認できた。これにより、実用的に海生物の付着を防止するためには、二酸化炭素ガスの注入率を0.1%〜4%の範囲とするのがよい。二酸化炭素ガスの注入率が0.1%未満であると、海生物の付着防止効果が十分に得られ難い。また、二酸化炭素ガスの注入率が4%を超えると、それ以上二酸化炭素ガスを注入することによる効果は少なく、さらには、二酸化炭素ガスの注入量が多くなり、実用的ではない。
【0034】
二酸化炭素のマイクロバブル注入による付着防止効果として、参考のため付着物重量は図8に、付着生物数を図9に示す。二酸化炭素では、付着物重量と付着生物数とで共に、注入率と付着率とに負の相関が認められた。
【0035】
次に、二酸化炭素注入による熱伝導率への影響確認試験を行った。図10に熱伝達率影響確認装置を示す。この装置は、発電所復水器細管の汚れ係数を測定するためのもので、アルミ黄銅管の外面に熱伝対を取付けて、管の外側から電気式ヒーターで加熱し、通水した水の入口と出口との温度差から汚れ係数を測定して、熱貫流率を計算する。この装置の上流に、図1に示すようなマイクロバブル発生装置を設置し、二酸化炭素ガスのマイクロバブルを発生させる。
【0036】
熱貫流率の測定結果を図11、及び表1に示す。熱貫流率は、3.197〜3.292kcal/m2h℃の範囲で、新管比は98.7〜101.2%の範囲にあり、注入量に比例した影響はなかった。これにより、二酸化炭素のマイクロバブルによる熱伝達に及ぼす影響がないことがわかり、省エネルギー効果が期待できることがわかった。
【0037】
【表1】
【0038】
二酸化炭素の脱気試験の結果を図12に示す。二酸化炭素をマイクロバブルで注入した直後のpHは直ちに5.31まで下がり、この時点を試験開始とした。その後、室温で温度とpHのデータを記録した。途中、超音波洗浄機で脱気を試みたが、pHは5.31から5.63に上昇した程度であった。図12からもわかるように、pHの値は温度が8.32℃から22℃まで上昇するに伴って上昇したが、15分間でpHはわずか0.32上がったのみで、回復したとはいえなかった。そこで、温度をヒーターにより加温し、天然の海水温度では起りえない45℃まで加熱したが、図12に示すように応答は見られなかった。これにより、二酸化炭素が一旦海水中に溶け込むと、海水から大気中へ出にくいことがわかった。
【0039】
次に、参考例として図13に示す装置を用いて、空気、窒素ガス、二酸化炭素ガスのマイクロバブル注入量と、付着防止効果の関係を把握するために、海水を連続通水する試験を行った。揚水ポンプ(ツルミ製作所 50TM 2.75)1台を用いて、500Lのヘッドタンクに揚水し、不要な海水はオーバーフローさせ、ヘッドタンクの水位を一定に保った。ヘッドタンクには、独立した3つの系統毎に水中ポンプ(ツルミ製作所 50TM 2.75)を設置した。海水の流量は、面積式流量計とボールバルブによって調節し、樹脂製Y型ストレーナを経て、図1に示すようなマイクロバブル発生装置に給水し、海水と注入されたエアーまたはガスが試験水槽を通じて排水される。ストレーナとマイクロバブル発生装置の間に圧力計を設置し、マイクロバブルの生成条件を把握した。エアーまたはガスの流量は、0.2〜2L/minのガラス製ガス流量計とニードル式バルブを用いて調整した。マイクロバブル発生装置は、海水流量が30L/min、圧力が約0.08MPaの条件に適用可能な、オーラテック社インライン式マイクロバブル発生装置(タイプ1:PVC製)を使用した。また、試験水槽は、アクリル製の試験水槽(長さ300mm、幅210mm、厚さ50mm、容積約2L)を用いた。
【0040】
試験条件は、1ヶ月間を1期間とし、表2に示すように設定した。
【0041】
【表2】
【0042】
海生物の付着状況は、実験終了後に試験水槽を回収し、ふたを外して目視観察を行った後、試験水槽のハコ側及びフタ側の写真撮影を行った。また、付着防止効果は、付着防止率(%)によって行った。なお、付着防止率(%)=100−(試験区の付着数÷対照区の付着数)×100で付着防止率を計算した。
【0043】
図14に第1期における試験水槽の海生物の付着状況、表3に第1期における付着量測定結果、図15に対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。これにより、エアーのマイクロバブルは、対照区の45.7%、窒素のマイクロバブルは、33.1%に付着量が抑えられ、窒素のマイクロバブルの有効性が確認できた。
【0044】
【表3】
【0045】
図16に第2期における試験水槽の海生物の付着状況、表4に第2期における付着量測定結果、図17に対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。これにより、窒素のマイクロバブルは、対照区の14.7%、二酸化炭素のマイクロバブルは、0.4%に付着量が抑えられ、注入率が同じであれば、二酸化炭素のマイクロバブルによる効果が際立つ結果となった。
【0046】
【表4】
【0047】
図18に第3期における試験水槽の海生物の付着状況、表5に第3期における付着量測定結果、図19に対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。これにより、二酸化炭素のマイクロバブルの0.75L/min(海水に対する二酸化炭素ガス注入率2.5%)は対照区の12.2%、二酸化炭素のマイクロバブルの1.5L/min(海水に対する二酸化炭素ガス注入率5.0%)は対照区の10.5%に付着量が抑えられた。
【0048】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の海生物付着防止方法にて海水を流すマイクロバブル発生装置を示し、(a)は断面図、(b)は右側面図である。
【図2】窒素と二酸化炭素の注入率とpHの関係を示すグラフ図である。
【図3】N2マイクロバブルとCO2マイクロバブルを示す写真である。
【図4】窒素のマイクロバブルのガス注入率と付着防止率との関係を示すグラフ図である。
【図5】窒素のマイクロバブル注入による付着防止効果について、海生物の付着物重量を示すグラフ図である。
【図6】窒素のマイクロバブル注入による付着防止効果について、海生物の付着生物数を示すグラフ図である。
【図7】二酸化炭素のマイクロバブルのガス注入率と付着防止率との関係を示すグラフ図である。
【図8】二酸化炭素のマイクロバブル注入による付着防止効果について、海生物の付着物重量を示すグラフ図である。
【図9】二酸化炭素のマイクロバブル注入による付着防止効果について、海生物の付着生物数を示すグラフ図である。
【図10】二酸化炭素注入による熱伝導率への影響確認試験を行った装置の簡略図である。
【図11】熱貫流率の測定結果を示すグラフ図である。
【図12】二酸化炭素の脱気試験の結果を示すグラフ図である。
【図13】空気、窒素ガス、二酸化炭素ガスのマイクロバブル注入量と、付着防止効果の関係を把握するために行った実験の試験装置を示す簡略図である。
【図14】第1期における試験水槽の海生物の付着状況を示す写真である。
【図15】第1期において、対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。
【図16】第2期における試験水槽の海生物の付着状況を示す写真である。
【図17】第2期において、対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。
【図18】第3期における試験水槽の海生物の付着状況を示す写真である。
【図19】第3期において、対照区の海生物の付着数を100%とした海生物の付着率を示す。
【符号の説明】
【0050】
10 マイクロバブル発生装置
11 ガス流路
12 海水流路
13 径方向部
14 軸方向部
15 混合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水との混合比である(二酸化炭素ガス/海水)を0.1〜4/100として、二酸化炭素ガスを海水に注入することにより、
海水中に、直径寸法が十〜数十μmである二酸化炭素ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルにて二酸化炭素ガスを海水に溶解させて海水のpHを6.4〜8.1の範囲内とし、前記pH範囲内での海生物の付着防止が可能な海生物付着防止方法。
【請求項2】
海水との混合比である(ガス/海水)を0.1〜4/100として、大気、又は窒素のガスを海水に注入することにより、
海水中に、直径寸法が十〜数十μmである前記ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを海水に分散させて、マイクロバブルが海生物を擦り取ることにより海生物の付着防止が可能な海生物付着防止方法。
【請求項1】
海水との混合比である(二酸化炭素ガス/海水)を0.1〜4/100として、二酸化炭素ガスを海水に注入することにより、
海水中に、直径寸法が十〜数十μmである二酸化炭素ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルにて二酸化炭素ガスを海水に溶解させて海水のpHを6.4〜8.1の範囲内とし、前記pH範囲内での海生物の付着防止が可能な海生物付着防止方法。
【請求項2】
海水との混合比である(ガス/海水)を0.1〜4/100として、大気、又は窒素のガスを海水に注入することにより、
海水中に、直径寸法が十〜数十μmである前記ガスのマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを海水に分散させて、マイクロバブルが海生物を擦り取ることにより海生物の付着防止が可能な海生物付着防止方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図17】
【図19】
【図3】
【図10】
【図14】
【図16】
【図18】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図17】
【図19】
【図3】
【図10】
【図14】
【図16】
【図18】
【公開番号】特開2010−43060(P2010−43060A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42424(P2009−42424)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000157005)関電プラント株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000157005)関電プラント株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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