説明

消しゴム成形玩具

【課題】彩のある図柄,模様入りの消しゴムを成形可能な消しゴム成形玩具の提供を図る。
【解決手段】熱融着性を有する複数個の色違いの消しゴム部材1を用いて、これを所望の図柄,模様等になるように順次型枠容器2内に収容し、型枠容器2ごと加熱器で加熱することにより、消しゴム部材1の表面相互が融着して容器の型枠形状で色彩のある図柄,模様入りの消しゴムPが成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消しゴム成形玩具、とりわけ、適宜の色彩のある図柄,模様入りの消しゴムの成形玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消しゴム作成玩具として、例えば特許文献1に示されているように、加熱により硬化する粘土を用いて、該粘土を所要の成形型で立体形状に成形し、この粘土成形体を容器に適量の水と共に収容し、これを電子レンジで加熱することにより前記粘土成形体を硬化させて立体形状の消しゴムを作成するようにしたものが知られている。
【特許文献1】実用新案登録第3142498号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
年少の児童等には、色彩のある適宜の図柄,模様入りの消しゴムが要望されるが、前記従来の消しゴム作成玩具ではこのような図柄,模様入りの消しゴムを得ることはできない。
【0004】
また、消しゴムの作成に際しては、粘土の練り込み,成形型による粘土の型成形,粘土成形体の水入り容器内への含浸,および電子レンジによる加熱処理というように作成工程が多岐に亘るため、年少の児童等が安易に消しゴムを作成することは難しい。
【0005】
そこで、本発明は年少の児童等でも簡単に色彩のある図柄,模様入りの消しゴムを成形することができる消しゴム成形玩具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の消しゴム成形玩具にあっては、加熱により相互に融着可能な着色合成樹脂からなる複数の消しゴム部材と、前記消しゴム部材を接触状態で収容する型枠容器と、を備え、前記型枠容器に、複数の色違いの消しゴム部材を収容してそれらの端面で所要の図柄,模様等を形成し、前記型枠容器ごと加熱することにより、前記消しゴム部材の表面相互を融着させた消しゴムが成形可能であることを主要な特徴としている。
【0007】
前記消しゴム部材は、1個づつ例えばピンセット等で摘んで型枠容器の内面に沿って整然と接触状態で収容する。このとき、色違いの消しゴム部材を用いてこれを所望の図柄,模様等に順次型枠容器内に詰め込んで該型枠容器内を収容させる。これにより、前記消しゴム部材の端面で形成される所要面積の消しゴム部材収容平面に色彩のある所望の図柄,模様等が形成される。そこで、この消しゴム部材収容平面に適量の水を、例えばスポイトで垂らすことにより消しゴム部材相互間に適量の水が含浸される。この水を所要温度に加熱することにより、消しゴム部材の表面相互が融着して、容器の型枠形状で色彩のある図柄,模様入りの消しゴムが成形される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱融着性の着色合成樹脂からなる複数の消しゴム部材を、型枠容器に所望の図柄,模様等になるように接触状態で収容し、型枠容器ごと加熱して、消しゴム部材の表面相互を融着させることにより、所定の型枠形状で色彩のある図柄,模様入りの消しゴムを成形することができる。
【0009】
このように、消しゴムの成形は、複数の消しゴム部材を型枠容器に1個づつ接触状態で収容する詰め込み作業と、加熱処理で完了し、特別に難度の高い技工を必要としないので、年少の児童等でも容易に前記図柄,模様入りの消しゴムを成形することができる。
【0010】
しかも、色違いの消しゴム部材を型枠容器に接触状態で収容して行く過程で、所望の図柄,模様等が次第に完成されるので、年少の児童等の図柄,模様等の創作意欲を掻き立てて、児童等を魅了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
図1は本発明に係る消しゴム成形玩具のセットの一例を示す斜視図、図2はデザインシートとスペーサのセットを、(A)にデザインシートを平面図として、(B)にスペーサの背面を斜視図として、(C)にスペーサの正面を斜視図として示す説明図、図3はデザインシートとスペーサの異なるセットを、(A)にデザインシートを平面図として、(B)にスペーサの背面を斜視図として、(C)にスペーサの正面を斜視図として示す説明図である。図4は型枠容器を(A)に側面図として、(B)に斜視図として示す説明図、図5は型枠容器の展開斜視図、図6は図5に示した型枠容器を下側から見た平面図である。図7〜図10は消しゴム成形玩具の使用例を示すのもので、図7はデザインシートのセット途上を示す断面図、図8は消しゴム部材の収容途上を示す斜視図、図9は消しゴム部材相互間への水分供給途上を示す斜視図、図10は消しゴム成形品の型抜き状態を示す斜視図である。
【0013】
本実施形態の消しゴム成形玩具は、図1に示すように、複数の同一形状の消しゴム部材1と、型枠容器2と、デザインシート3と、スペーサ4と、ピンセット5等がセットとして揃えられる。
【0014】
前記消しゴム部材1は、加熱により相互に融着可能な着色合成樹脂をもって予め所定の断面形状に形成されている。この消しゴム部材1は、最終成形品の消しゴムPの厚み相当の長さで適宜の同一断面サイズ(スティック状)として同一形状に構成され、例えば数mm角の小サイズの方形断面に形成されている。これにより例えば球状の消しゴム部材同士の点接触による融着と比較して、より広範囲での面接触による融着が可能となり、より強固に固定されることになる。
【0015】
また、前記消しゴム部材1は、単一に成形してもよいが、本実施形態にあっては同一色の消しゴム部材1の複数が、相互の断面角部で切離可能な薄肉部1aを境にして所要長さの短冊状に連設された連設片11として色別毎に構成され、前記薄肉部1aから1個づつ切り離して用いるようにされている。
【0016】
前記消しゴム部材1は、後述する加熱器(例えば電子レンジ)による加熱で、密接した表面相互が融着可能な材料であればよく、例えば、スチレン・ブタジエン系エラストマー65〜70%、オレフィン30〜35%、その他、炭酸カルシウム,植物油,鉱物油,非金属交連剤,抗化剤各1%程度の配合からなる合成樹脂を用いることができる。
【0017】
前記型枠容器2は、前記消しゴム部材1を接触状態で収容するもので、加熱器の加熱に耐える耐熱性の合成樹脂、例えば、ポリアミド樹脂,ポリイミド樹脂,ABS樹脂,フッ素樹脂等の合成樹脂で構成されている。
【0018】
この型枠容器2は、図4〜図7に示すように前記消しゴム部材1を縦置きに収容する上側が開放した所要形状の型枠部22を有する容器本体21と、該容器本体21の周側部にヒンジ機構24を介して回動可能に連結されて、前記型枠部22の上側開放部を閉止可能な蓋部材23とで構成されている。
【0019】
本実施形態では、前記型枠部22を方形に形成して、その方形の角部の1つが前記ヒンジ機構24を配設した側に配置された形状とされている。
【0020】
また、前記容器本体21は、円形の底板21a上に前記型枠部22を所定高の周壁に形成すると共に、該型枠部22の上側開口縁に前記底板21aと同心の円板上にフランジ22aを形成して、全体として略円形に形成されている。
【0021】
一方、蓋部材23は前記型枠部22のフランジ22a上に重合する該フランジ22aと略同一径の円板上に形成されている。
【0022】
前記型枠部22の上側開口縁は斜状に面取り成形されている一方、前記蓋部材23の前記型枠部22に対応する中央部分には、周縁が前記上側開口縁の面取り成形部分22bに嵌合する僅かに突出した段部23aが形成されていて、この段部23aが型枠部22の上側開口縁に進入することにより、型枠部22内を封止可能とされている。
【0023】
また、この型枠部22は、その半周部が前記容器本体21に対して着脱可能な可動枠22Aで構成されている。本実施形態では前記型枠部22の前記ヒンジ機構24を隣設した側と反対側の半部が、一対角線上で前記フランジ22aと共に分割して別体成形された可動枠22Aとされ、容器本体21の底板21aと一体成形されて前記ヒンジ機構24を隣設した側の半部が固定枠22Bとされている。
【0024】
前記可動枠22Aと固定枠22Bとの分割部分の両端部には、容器本体21の周側部に突設された突起25aと、可動枠22Aの周側部に形成されて前記突起25aに対して容器本体21の底板21aの面直方向と面方向とに係脱可能な溝部25bとからなる位置決め部25が構成されている。
【0025】
また、前記可動枠22Aの底部外縁は、前記容器本体21の底板21a面に摺接する略半円状の平板面として形成されている。
【0026】
一方、前記ヒンジ機構24は、前記容器本体21の周側部に突設した一対のブラケット24aと、前記蓋部材23の周側部に突設したアーム24bとからなり、このアーム24bの外側面に突設したヒンジピン24cを介して該アーム24bを前記ブラケット24aに回動可能に連結して構成されている。
【0027】
また、このヒンジ機構24のヒンジ点は、前記型枠部22のフランジ22a面の略延長上に設定されていて、蓋部材23を閉じた際に該フランジ22a面上に平行に当接し得るようにされている。
【0028】
前述のように本実施形態では前記型枠部22の半周部を可動枠22Aとして構成しているため、前記蓋部材23を閉じた際に可動枠22Aの離脱方向の遊動を拘束する可動枠固定機構26が設けられている。この可動枠固定機構26は、例えば、前記可動枠22Aのフランジ22aに設けた一対の係止溝26bと、蓋部材23の自由端部側の内面に突設されて、該蓋部材23を閉じた際に前記係止溝26bに嵌入する一対の係止突起26aとで構成することができる。
【0029】
前記容器本体21の前記ヒンジ機構24を配設した側(蓋部材23を連結した側)と反対側の部位には、前記蓋部材23の自由端部に延設した舌片23bに係脱可能な蓋ロック用の係止具27を備えている。
【0030】
この係止具27は、一対のアーム部27aの外側面に突設したヒンジピン27bを、容器本体21の周側部に突設した一対のブラケット27cに回動可能に連結して構成され、その自由端部には蓋部材23の自由端部に延設した舌片23bに係脱するフック部27dを備えている。
【0031】
また、この係止具27は、図7に示すように容器本体21の下方側に向けて該容器本体21の周側部で回動規制される略90度に回動することにより、該容器本体21を所要の角度に傾斜して定置する脚立を構成し得るようにされている。
【0032】
そして、前記容器本体21と蓋部材23の外側面には、複数の放熱フィン28が設けられている。本実施形態では、前記容器本体21にあってはその下面と周側部、即ち、前記底板21aの下面、および底板21aと前記型枠部22のフランジ22aとの間に、前記放熱フィン28が細かな格子状に形成されている。また、蓋部材23にあっては、その上面に前記放熱フィン28が同様に細かな格子状に形成されており、この蓋部材23の放熱フィン28は全体として弧状凸面に形成されて、蓋部材23を閉じた型枠容器2の全体形状が円形ドーム状の外観を呈するように構成されている。
【0033】
前記消しゴム部材1は、連設片11から1個づつ切り離して前記型枠容器2の型枠部22に縦置きに収容して、所望の図柄,模様等を描くのであるが、図2,図3に示すように所要の図柄,模様等を印刷したデザインシート3を用いて、年少の児童等でもこのデザインシート3の図柄,模様等に倣って容易に同様の図柄,模様等を作成し得るようにしている。
【0034】
このデザインシート3の図柄,模様等は、前記消しゴム部材1の断面形状が連鎖して描かれた枡目31に所要の彩色を施して描かれ、このデザインシート3を前記型枠部22の底面上に定置して、前記枡目31を目安にその桝目の色彩に倣って色違いの消しゴム部材1を収容するようにしている。
【0035】
前記デザインシート3を型枠部22の底面上に定置するため、該型枠部22の周壁基部には図7に示すようにスリット29が設けられ、このスリット29より前記デザインシート3を型枠部22の底面上に挿脱可能とされている。
【0036】
本実施形態では、前記型枠部22の可動枠22Aの底面と底板21aとの間に前記スリット29を構成しており、該可動枠22Aの位置決め部25の突起25aと溝部25bとの上下方向の係合高さ位置を調整することによって、該スリット29をデザインシート3の厚みよりも僅かに大きな間隙として形成されている。また、スリット29の両側部に位置する前記位置決め部25の一対の突起25a,25aを挿入ガイドとして、前記デザインシート3を型枠部22の底面上に挿脱するようにしている。
【0037】
従って、前記デザインシート3は、前記一対の突起25a,25a間の幅寸法に対応したシート幅で短冊状に形成され、差し込み側端部3aは固定枠22Bの周壁内面形状に対応した三角形状に形成されて、この三角形状の差し込み側端部3aの片面もしくは両面に前述の図柄,模様等が印刷される。
【0038】
一方、前記型枠部22は、その周壁内面に沿って挿脱可能なスペーサ4により型枠サイズが可変とされ、例えば、本実施形態ではスペーサ4を前記固定枠22Bの周壁内面に沿うL字形に形成して、該スペーサ4を固定枠22Bの周壁内面に沿って挿脱するようにされている。
【0039】
このように、スペーサ4によって型枠部22の型枠サイズを可変としているため、図2,図3に示すように前記デザインシート3は、その差し込み側端部3a上の図柄,模様等の印刷サイズが大小異なる複数種類が揃えられる。
【0040】
また、このデザインシート3は、型枠部22の底面上への定置に際しては、可動枠22Aを固定枠22Bに突き合わせてセットした状態で前記スリット29から挿入するか、該可動枠22Aを外した状態でデザインシート3を、その差し込み側端部3aを固定枠22Bの周壁内面に整合させて底板21a上に定置して、その上から可動枠22Aを固定枠22Bに突き合わせてセットするかの、何れの手段を用いてもよい。何れの場合でも、消しゴム部材1の詰め込み途中で該デザインシート3がスリット29から抜け方向にずれ動くのを防止するため、前記可動枠22Aの底面外周縁には、前記係止具27が連結された一対のブラケット27c,27c間に突出して配置されて、図7に示すように下面にデザインシート3面に軽く圧接する小突子22dを有するシート押え片22cが形成されている。
【0041】
次に、以上の玩具セットを用いて色彩のある図柄,模様入りの消しゴムを成形する手順を以下に詳述する。
【0042】
先ず、図7に示すように型枠容器2の蓋部材23を開き、係止具27を容器本体21の下方側に向けて規制位置まで略90度に回動する。
【0043】
これにより、容器本体21を前記係止具27を脚立として、テーブル,机上等に所定の角度に傾斜した状態で定置することができる。
【0044】
次いで、型枠部22の可動枠22Aを外し、もしくはそのままの状態でスリット29から所望のデザインシート3を該型枠部22の底面上に定置する(図7参照)。
【0045】
そして、連結片11から消しゴム部材1を1個づつ切り離して、図8に示すようにピンセット5により摘んで型枠部22に縦置きに収容する。このとき、容器本体21は固定枠22Bの隅角部を下側にして所定角度に傾斜して定置されているので、この隅角部を詰め込み開始点として消しゴム部材1を前記デザインシート3の枡目を目安にその桝目の色彩に倣って色違いのものを選択して順次縦置きに詰め込んで、該型枠部22内に収容させる。
【0046】
これにより、前記消しゴム部材1の端面で、デザインシート3に印刷されたものと同一の図柄,模様等が形成されるから、前記スリット29からデザインシート3を型枠部22外に抜き取る。
【0047】
そして、この複数個の消しゴム部材1の収容平面に図9に示すように図外のスポイトで適量の水を垂らし、あるいは霧吹きにより前記収容平面を濡らして消しゴム部材1の相互間に適量の水を含浸させる。
【0048】
次いで、蓋部材23を閉じて係止具27により容器本体21に固定して、前記型枠部22の上側開放部を封止状態にし、この型枠容器2を図外の加熱器に入れて加熱する。なお、蓋部材23を閉じることにより前記収容平面に垂らした水が押圧され消しゴム部材1同士の接触面に浸透する。
【0049】
この加熱器での加熱は、例えば、730W・40秒、もしくは500W・60秒で行われ、これにより前記消しゴム部材1の表面相互に存在した水分子の熱誘導で、これら消しゴム部材1の表面相互の加熱が促進されて、該消しゴム部材1の表面相互が融着する。
【0050】
そこで、この加熱終了後、型枠容器2を加熱器から取り出して自然冷却した後、図10に示すように前記蓋部材23を開いて型抜きすれば、両面に所望の色彩のある図柄,模様入りのブロック状の消しゴム成形品Pが完成される。
【0051】
この消しゴム成形品Pの型抜きは、前記可動枠22Aを外すことによって簡単に行うことができる。
【0052】
ここで、前記消しゴムの成形に際して、消しゴム部材1の収容部分の所要部位を、該消しゴム部材1と非融着性の材料、例えばガラス,金属等からなる中子Sで形成すれば、前記加熱,型抜き後、該中子Sを抜き取ることにより、所要部分に貫通孔S´のある図柄,模様入りの消しゴム成形品P´が完成される。
【0053】
以上のように本実施形態の消しゴム成形玩具によれば、熱融着性の着色合成樹脂からなる複数個の同一形状の消しゴム部材1を、型枠容器2に所望の図柄,模様等に色違いに収容し、適量の水を消しゴム部材1の相互間に含浸させた状態でこの水を所要温度に加熱して、消しゴム部材1の表面相互を融着させることにより、所定の型枠形状でブロック状に色彩のある図柄,模様入りの消しゴムPを成形することができる。 このように、消しゴムPの成形は、複数個の消しゴム部材1を型枠容器2に1個づつ接触状態で収容する詰め込み作業と、これら消しゴム部材1の相互間に適量の水を含浸させた状態での加熱処理で完了し、特別に難度の高い技工を必要としないので、年少の児童等でも容易に前記図柄,模様入りの消しゴムPを成形することができる。
【0054】
しかも、色違いの消しゴム部材1を型枠容器2に接触状態で収容して行く過程で、所望の図柄,模様等が次第に完成されるので、年少の児童等の図柄,模様等の創作意欲を掻き立てて、児童等を魅了することができる。
【0055】
ここで、特に本実施形態にあっては、前記型枠容器2は耐熱性を有し、消しゴム部材1の複数個を縦置きに収容する上側が開放した型枠部22を有する容器本体21と、該容器本体21に回動可能に連結されて前記型枠部22の上側開放部を閉止可能な蓋部材23と、を備えていて、前記型枠部22内に消しゴム部材1を順次縦置きに収容し、その収容平面を水で濡らして蓋部材23を閉じて、この型枠容器2ごと加熱器で加熱することができるので、年少の児童等でも容易に前記消しゴム部材1の収容作業および加熱処理を行うことができる。
【0056】
また、前記容器本体21と蓋部材23の外側面には複数本の放熱フィン28が設けられているので、型枠容器2の放熱効果が高く、該型枠容器2および成形品の冷却時間を短くして成形サイクルを短縮化でき、徒らに成形時間が長引くのを回避することができる。
【0057】
しかも、この放熱フィン28は格子状に形成されていて、児童等が手で型枠容器2を掴んだ場合に指の接触面積が可及的に小さくなるようにされているので、加熱終了後に、該型枠容器2を加熱器から取り出す際に火傷する危険をなくすことができる。
【0058】
また、前記蓋部材23を閉じてこれを容器本体21に固定する蓋ロック用の係止具27は、前記容器本体21の下方側に回動すれば容器本体21を所要の角度に傾斜して定置する脚立として機能するので、該容器本体21を斜めに傾けて立て掛けた状態で消しゴム部材1を縦置きに詰め込み収容することにより、該消しゴム部材1が倒れ崩れることがなく、この詰め込み作業を容易に行えることができる。
【0059】
また、前記容器本体21の型枠部22は、その半周部が容器本体21に対して着脱可能な可動枠22Aで構成されているので、成形された消しゴムPの型抜き時には、該可動枠22Aを外すことで容易に型抜きを行える利点がある。
【0060】
更に、前記型枠部22の周壁基部のスリット29から該型枠部22内の底面上に挿脱されるデザインシート3は、その印刷された所要の図柄,模様等が前記消しゴム部材1の断面形状が連鎖して描かれた枡目31に所要の彩色を施して描かれているので、このデザインシート3を用いて前記枡目31を目安に該枡目31の色彩に倣って色違いの消しゴム部材1を縦置きに収容すれば、該消しゴム部材1でデザインシート3と同様の色彩の図柄,模様等を容易に作成することができる。
【0061】
また、前記型枠部22は、その周壁内面に沿って挿脱可能なスペーサ4によって型枠サイズが可変とされているので、このスペーサ4を用いて各種サイズの異なる消しゴムPを任意に得ることができる。
【0062】
一方、前記消しゴム部材1は、同一色の消しゴム部材1の複数個が切離可能な薄肉部1aを境にして短冊状に連設され、該薄肉部1aから1個づつ切り離して用いられる連設片11として構成されているため、複数個の消しゴム部材1をコンパクトにまとめて整理することができ、玩具セットのパッケージングはもとより、玩具使用後の収納整理を容易に行うことができる。
【0063】
また、前記型枠容器2内への消しゴム部材1の収容時に、収容部分の所要部位を消しゴム部材1と非融着性の材料からなる中子Sで形成し、成形終了後に該中子Sを抜き取れば、所要部分に貫通孔S´のある図柄,模様入りの消しゴム成形品P´が完成するから、例えば、人気アニメにおけるキャラクターの顔の目,口,鼻等に相当する部分を該中子Sで孔空き構成とすることができて、児童等の興趣をそそることができる。
【0064】
なお、前記実施形態では型枠部22を方形とした例を示したが、この型枠形状は多角形に限らず、任意の形状に設定することが可能である。
【0065】
また、適量の水を消しゴム部材1の相互間に含浸させたが、所定温度での加熱により相互に融着可能な材料(水分が含有されている材料)で消しゴム部材が構成される場合は、水を含浸させる必要はない。
【0066】
ここで、複数個の消しゴム部材1は断面サイズ,長さを同一サイズとした同一形状のものを型枠部22内に収容する場合を例示したが、場合によって部分的に異なる断面サイズ、異なる長さのものを収容するようにすることもできる。異なる長さの消しゴム部材を収容することで凹凸のある消しゴムPを得ることができる。
【0067】
更に、消しゴム部材1は前記方形断面形状に限らず、型枠部22内に収容した際に表面相互が接触可能な断面形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る消しゴム成形玩具のセットの一例を示す斜視図。
【図2】デザインシートとスペーサのセットを、(A)にデザインシートを平面図として、(B)にスペーサの背面を斜視図として、(C)にスペーサの正面を斜視図として示す説明図。
【図3】デザインシートとスペーサの異なるセットを、(A)にデザインシートを平面図として、(B)にスペーサの背面を斜視図として、(C)にスペーサの正面を斜視図として示す説明図。
【図4】型枠容器を(A)に側面図として、(B)に斜視図として示す説明図。
【図5】型枠容器の展開斜視図。
【図6】図5に示した型枠容器を下側から見た平面図。
【図7】デザインシートのセット途上を示す断面図。
【図8】消しゴム部材の収容途上を示す斜視図。
【図9】消しゴム部材相互間への水分供給途上を示す斜視図。
【図10】消しゴム成形品の型抜き状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0069】
1…消しゴム部材
1a…薄肉部
11…連設片
2…型枠容器
21…容器本体
22…型枠部
22A…可動枠
22B…固定枠
23…蓋部材
27…係止具
28…放熱フィン
29…スリット
3…デザインシート
31…枡目
4…スペーサ
P,P´…消しゴム成形品
S…中子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により相互に融着可能な着色合成樹脂からなる複数の消しゴム部材と、
前記複数の消しゴム部材を接触状態で収容する型枠容器と、を備え、
前記型枠容器に、複数の色違いの消しゴム部材を収容してそれらの端面で所要の図柄,模様等を形成し、前記型枠容器ごと加熱することにより、前記消しゴム部材の表面相互を融着させた消しゴムが成形可能であることを特徴とする消しゴム成形玩具。
【請求項2】
前記消しゴム部材相互間に水を含浸させた状態でこの水を加熱することにより、前記消しゴム部材の表面相互を融着させることを特徴とする請求項1に記載の消しゴム成形玩具。
【請求項3】
前記型枠容器が、前記消しゴム部材を収容する上側が開放した所要形状の型枠部を有する容器本体と、
前記容器本体に回動可能に連結されて前記型枠部の上側開放部を閉止可能な蓋部材と、を備え、
前記型枠容器が耐熱性を有して、加熱器により該型枠容器ごと前記水を加熱することを特徴とする請求項2に記載の消しゴム成形玩具。
【請求項4】
前記容器本体と蓋部材の外側面には、複数の放熱フィンが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の消しゴム成形玩具。
【請求項5】
前記放熱フィンが格子状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の消しゴム成形玩具。
【請求項6】
前記容器本体は、前記蓋部材を連結した側と反対側の部位に回動可能に連結されて、該蓋部材の自由端部に係脱可能な係止具を備え、該係止具は容器本体の下方側に回動することにより、該容器本体を所要の角度に傾斜して定置する脚立を構成可能であることを特徴とする請求項3〜5の何れか1つに記載の消しゴム成形玩具。
【請求項7】
前記型枠部は、その半周部が容器本体に対して着脱可能な可動枠で構成されていることを特徴とする請求項3〜6の何れか1つに記載の消しゴム成形玩具。
【請求項8】
前記型枠部の周壁基部にはスリットが設けられ、このスリットより所要の図柄,模様等を印刷したデザインシートが前記型枠部内の底面上に挿脱可能とされ、該デザインシートの図柄,模様等が前記消しゴム部材の断面形状が連鎖して描かれた枡目に所要の彩色を施して描かれ、これらの枡目を目安にその色彩に倣って前記色違いの消しゴム部材が収容されることを特徴とする請求項3〜7の何れか1つに記載の消しゴム成形玩具。
【請求項9】
前記型枠部は、その周壁内面に沿って挿脱可能なスペーサにより、型枠サイズが可変とされていることを特徴とする請求項3〜8の何れか1つに記載の消しゴム成形玩具。
【請求項10】
前記消しゴム部材は、同一色の消しゴム部材の複数個が切離可能な薄肉部を境にして連設され、該薄肉部から1個づつ切り離して用いられることを特徴とする請求項1〜9の何れか1つに記載の消しゴム成形玩具。
【請求項11】
前記複数個の消しゴム部材の収容部分の所要部位が、該消しゴム部材と非融着性の材料からなる中子で形成されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1つに記載の消しゴム成形玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−131819(P2010−131819A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308759(P2008−308759)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【特許番号】特許第4278707号(P4278707)
【特許公報発行日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【出願人】(000116091)ロイヤル工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】