説明

消去装置、消去装置における画像消去方法および画像形成消去装置

【課題】画像消去後のシート間の貼り付きを防止する。
【解決手段】本発明の一実施態様によれば、消去装置は、使用済シート積載トレイ、画像消去部、待機トレイ、待機トレイ駆動部および消色シート積載トレイを備える。
使用済シート積載トレイは、所定の加熱処理によって消色する消色性着色剤によって画像形成された使用済シートを積載する。画像消去部は、使用済シート積載トレイからシート単位で取り込んだ使用済シートに対して加熱処理を施し、使用済シートに形成されている画像を消去した消色シートを排出する。待機トレイは、所定方向に駆動可能な機構を有し、画像消去部が排出した消色シートを載置する。待機トレイ駆動部は、待機トレイを駆動し、消色シートを自由落下させる。消色シート積載トレイは、待機トレイの下方に配置され、待機トレイから自由落下した消色シートを積載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、消去装置、消去装置における画像消去方法および画像形成消去装置における画像消去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置で画像形成した用紙などのシートを再利用できるようにするために、ロイコ染料を含有するインクなどの、色を消去できる消色性着色剤を用いて印刷することが行われている。消去装置は、画像形成装置において消色性着色剤を用いて印刷されたシートを加熱して化学反応が起こし、消色性着色剤の色を消去して排紙トレイ上に積載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−94959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の消去装置においては、画像の消去が行われたシートが温度の高い状態で積載されるため、シート同士の貼り付きを招く可能性があった。このため、消去済みのシートを再利用するために消去装置内に取り込む際、シートの重送が生じ、搬送路内でシートが詰まってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、画像消去後のシート間の貼り付きを防止可能な消去装置、消去装置における画像消去方法および画像形成消去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様によれば、消去装置は、使用済シート積載トレイ、画像消去部、待機トレイ、待機トレイ駆動部および消色シート積載トレイを備える。
【0007】
使用済シート積載トレイは、所定の加熱処理によって消色する消色性着色剤によって画像形成された使用済シートを積載する。画像消去部は、使用済シート積載トレイからシート単位で取り込んだ使用済シートに対して加熱処理を施し、使用済シートに形成されている画像を消去した消色シートを排出する。
【0008】
待機トレイは、所定方向に駆動可能な機構を有し、画像消去部が排出した消色シートを載置する。待機トレイ駆動部は、待機トレイを駆動し、消色シートを自由落下させる。消色シート積載トレイは、待機トレイの下方に配置され、待機トレイから自由落下した消色シートを積載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施態様における消去装置の概略構成図。
【図2】図1に示す消去装置の要部拡大図。
【図3】図1に示す消去装置のハードウェアおよびソフトウェア構成例を示すブロック図。
【図4】図1に示す待機トレイに使用済シートが積載された状態を示す上面図。
【図5】図1に示す消色シート積載トレイに消色シートが積載された状態を示す上面図。
【図6】図1に示す待機トレイによる効果を説明する図。
【図7】本発明の第2の実施態様における画像形成消去装置の概略構成図。
【図8】図7に示す画像形成消去装置のハードウェアおよびソフトウェア構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
本発明の一実施態様によれば、消去装置は、使用済シート積載トレイ、画像消去部、待機トレイ、待機トレイ駆動部および消色シート積載トレイを備える。
【0011】
使用済シート積載トレイは、所定の加熱処理によって消色する消色性着色剤によって画像形成された使用済シートを積載する。画像消去部は、使用済シート積載トレイからシート単位で取り込んだ使用済シートに対して加熱処理を施し、使用済シートに形成されている画像を消去した消色シートを排出する。
【0012】
待機トレイは、所定方向に駆動可能な機構を有し、画像消去部が排出した消色シートを載置する。待機トレイ駆動部は、待機トレイを駆動し、消色シートを自由落下させる。消色シート積載トレイは、待機トレイの下方に配置され、待機トレイから自由落下した消色シートを積載する。
【0013】
<第1の実施態様>
以下、本発明の第1の実施態様について図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施態様における消去装置の概略構成図である。
【0014】
同図に示されるように、消去装置1は、使用済シート積載トレイ10と、使用済シート搬送ローラ11と、画像消去部12と、消色シート搬送ローラ13と、待機トレイ14と、消色シート積載トレイ16を備えている。
【0015】
使用済シート積載トレイ10は、所定の加熱処理によって消色する消色性着色剤によって画像形成されたシート(以下、「使用済シートP」と呼ぶ。)を積載するトレイである。
【0016】
使用済シート搬送ローラ11は、使用済シート積載トレイ10に積載されている使用済シートPを画像消去部12へ搬送するローラである。
【0017】
画像消去部12は、使用済シート積載トレイ10からシート単位で取り込んだ使用済シートPに対して加熱処理を施し、使用済シートPに形成されている画像を消去したシート(以下、「消色シートP′」と呼ぶ)を排出する装置である。
【0018】
消色シート搬送ローラ13は、画像消去部12が排出した消色シートP′を待機トレイ14へ搬送するローラである。
【0019】
待機トレイ14は、所定方向に駆動可能なトレイ駆動機構15を有し、画像消去部12が排出した消色シートP′を載置するトレイである。図2は、図1に示す消去装置の要部拡大図である。同図に示されるように、本実施形態における待機トレイ14は、シート排出口の左端部近傍および右端部近傍から排出方向へそれぞれ延伸して形成された一対のトレイ部材14a、14bを有している。尚、トレイ駆動機構15は、一対のトレイ部材14a、14bを水平方向に駆動可能に設けられているが、一対のトレイ部材14a、14bの支柱部14g、14hを軸として上下方向に回動可能に設けてもよい。
【0020】
消色シート積載トレイ16は、待機トレイ14の下方に配置され、待機トレイ14から自由落下した消色シートP′を受け止め、積載するトレイである。
【0021】
図3は、図1に示す消去装置のハードウェアおよびソフトウェア構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、消去装置1は、プロセッサ21と、メモリ22と、HDD23と、シート搬送部24と、消去処理部25と、待機トレイ駆動部26を備えている。
【0022】
プロセッサ21は、操作パネル(図示省略する)からの入力などに基づいて、HDD23に記憶されている各種プログラムをメモリ22へ展開し、使用済シートP上に形成された画像の消去処理を実行する制御装置である。プロセッサ21としては、CPU(Central Processing Unit)や、CPUと同等の演算処理を実行可能なMPU(Micro Processing Unit)などを用いることができる。
【0023】
メモリ22は、消去装置1における処理を実行する各種プログラムが展開される主記憶装置である。メモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリ等から構成されることができる。
【0024】
HDD23は、消去装置1における消去消色シート搬送処理および待機トレイ14の駆動などを行う各種プログラムや環境情報を記憶する補助記憶装置である。なお、本実施形態においては補助記憶装置としてHDDを例示したがこれに限られず、例えば、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)やHDD以外の磁気ディスクなどを利用することもできる。
【0025】
シート搬送部24は、プロセッサ21からの指令に基づいて使用済シート搬送ローラ11および消色シート搬送ローラ13の回転駆動を制御し、シートの搬送を行う制御プログラムである。消去処理部25は、プロセッサ21からの指令に基づいて画像消去部12における消去処理を行う制御プログラムである。
【0026】
待機トレイ駆動部26は、プロセッサ21からの指令に基づいて一対のトレイ部材14a、14bのトレイ駆動機構15を水平方向にスライドし、消色シートP′を消色シート積載トレイ16上に自由落下させる制御プログラムである。また、待機トレイ駆動部26は、消色シートP′を待機トレイ14上に積載してから所定時間経過後に一対のトレイ部材14a、14bを駆動する制御も行う。消色シートP′を積載してから一対のトレイ部材14a、14bの駆動を開始するまでの待機時間、すなわち、消色シートP′の放冷時間は、シート間での貼り付きを防止するため、シート温度を貼り付きが生じない所定の温度まで下げられる長さに設定するものとする。この放冷時間は、消去装置1におけるシートの搬送速度や待機トレイ14への排出時におけるシート温度の計測値、貼り付き発生の有無などを考慮して予め設定することが好ましい。
【0027】
次に、上記のように構成された消去装置1の作用を説明する。
【0028】
先ず、操作入力ボタン(図示省略する)の押下等によりユーザからの消去要求が入力されると、プロセッサ21はシート搬送部24を起動し、使用済シート搬送ローラ11を回転駆動させて使用済シート積載トレイ10上に積載された使用済シートPをシート単位で取り込み、画像消去部12へ搬送する。
【0029】
次に、プロセッサ21は、消去処理部25を起動して画像消去部12において使用済シートPの消去処理を実行し、消色シートP´として排出する。画像消去部12において、使用済シートPに対して所定の温度での加熱を行うと、消色性着色剤で形成された使用済シートP上の画像は消去される。
【0030】
次に、プロセッサ21はシート搬送部24を起動し、消色シート搬送ローラ13の回転駆動させて画像消去部12から待機トレイ14へ消色シートP´を搬送する。図4は、図1に示す待機トレイ14に消色シートP´が載せられた状態を示す上面図である。待機トレイ14に消色シートP´が一枚蓄積されると、待機トレイの駆動機構により一対のトレイ部材14a、14bが水平方向に開き、消色シートP′は自重により消色シート積載トレイ16に落下される。以下、この動作を「アクティブドロップ」と呼ぶ。また、一対のトレイ部材14a、14bがスライドして開き始めると、一対のトレイ部材14a、14bは用紙後端側の面積が狭く、かつ、積載面上には突出部14c、14dが突出形成されていることから、消色シートP′は後端側から消色シート積載トレイ16へ先に落下する。消色シートP′が後端側から落下するので、消色シートP′の整列が行い易い利点がある。
【0031】
次に、プロセッサ21は、待機トレイ駆動部26を起動し、待機トレイ14上に消色シートP´を載せてから一定時間経過すると、一対のトレイ部材14a、14bを外側へ水平方向に駆動し、消色シートP´を消色シート積載トレイ16に向けて自由落下させる。尚、これら一対のトレイ部材14a、14bは、消色シートP´を落下させるために駆動を行った後には、消色シートP´を受け止めるために再びホームポジションに戻る。
【0032】
そして、消色シート積載トレイ16は、待機トレイ14から順次落下する消色シートP´を受け止め、積載する。図5は、図1に示す消色シート積載トレイ16に用紙が積載された状態を示す上面図である。
【0033】
このように、本実施形態の消去装置1によれば、画像消去部12における加熱処理によって消色した消色シートが待機トレイ14上に一旦載せられ、シート温度が十分に下がった後に消色シート積載トレイ16に積載されるため、シート間の貼り付きを防止することができる。図6は、図1に示す待機トレイ14による効果を説明する図である。ここでは、消色シートP´の排紙速度、消色シートP´の貼り付き有無およびアクティブドロップ機能の有無の関係を示す図である。以下、排紙速度が65cpm以下の場合、すなわち、排紙速度が遅い消去装置1を例として説明する。アクティブドロップ機能を備えない消去装置1の場合には、シート間での貼り付きが生じてしまうことを示している(図6:NG)。これは、排紙速度が遅いために消色後にシートが十分に冷却されず、消色シートP´がシート温度が高いまま消色シート積載トレイ16上に積載されたからである。これに対し、アクティブドロップ機能を備えた消去装置1の場合には、排紙速度が同じ場合でも、消色後に十分な放冷時間が得られるため、シート間の貼り付きを防止できる効果があることを示している(図6:OK)。尚、排紙速度が70cpm以上の消去装置1の場合には、搬送時にシートが冷却されるためアクティブドロップの有無による効果の差異は認められなかったが、一般的に用いられる消去装置1の排紙速度は50cpm程度であることから、アクティブドロップを設けると好適である。
【0034】
<第2の実施態様>
次に、本発明の第2の実施態様について図7および図8を参照して説明する。尚、前述の第1の実施態様で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0035】
図7は、本実施形態の画像形成消去装置100の概略構成図である。この画像形成消去装置100は、画像形成装置4および用紙後処理装置5が一体化した装置であり、画像読取処理、画像形成処理および画像消去処理等の様々な処理を行うMFP(Multi Function Peripheral)である。また、画像形成消去装置100は、所定の温度で加熱すると化学反応によって色が消える消色性着色剤を用いた第1の画像形成処理モード(以下、「リライタブルプリントモード(Rewritable print mode)」と呼ぶ。)と、上記所定の温度に加熱しても色が消えない非消色性着色剤を用いた第2の画像形成処理モード(以下、「ノーマルプリントモード」と呼ぶ。)の二種類の画像形成処理モードを実行できる。ただし、リライタブルプリントモードは、シートの再利用を目的とない場合にも実行可能である。
【0036】
また、用紙後処理装置5は、第1の実施形態の消去装置1と同様に、使用済シート積載トレイ10、使用済シート搬送ローラ11、画像消去部12、消色シート搬送ローラ13、待機トレイ14および消色シート積載トレイ16を備えている。更に、用紙後処理装置5は、整合処理やステイプル処理などを行うシート後処理部51、シート後処理部51から排出された使用済シートPを積載する積載トレイ52、消色シート積載トレイ16から消色シートP´を取り込み、画像形成装置4側へ再利用シートとして搬送する再利用シート搬送ローラ17も備えている。
【0037】
図8は、図7に示す画像形成消去装置100のハードウェアおよびソフトウェア構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、画像形成消去装置100は、画像形成装置4および用紙後処理装置5が一体化されており、画像形成装置4側には、プロセッサ401と、メモリ402と、HDD403(Hard Disc Drive)と、画像読取部41と、非消色性着色剤によって画像形成処理を行う第1画像形成部42と、消色性着色剤によって画像形成を行う第2画像形成部43と、シート供給部44と、操作入力部404と、FAX装置405と、表示パネル406を備えている。
【0038】
プロセッサ401は、ネットワークを介して接続されたクライアント端末(図示省略する)や操作入力部404から送信される画像形成ジョブや操作入力などに基づいて、画像形成処理や画像読取処理等の様々な処理を実行する。そして、本実施形態のプロセッサ401は、リライタブルプリントモードで画像形成する場合には、シートに対して画像形成ジョブで取得した画像データを、第1画像形成部42によって非消色性着色剤で画像形成する制御を行う。また、プロセッサ401は、ノーマルプリントモードで画像形成する場合には、第2画像形成部43によって消色性着色剤で画像形成する制御を行う。プロセッサ401としては、CPU(Central Processing Unit)や、CPUと同等の演算処理を実行可能なMPU(Micro Processing Unit)などを用いることができる。
【0039】
メモリ402は、画像形成消去装置100による各処理を実行するためのプログラムを記憶する。また、メモリ402は、画像形成処理において、画像読取処理により生成された画像データを一時的に格納したり、各種アプリケーションのワークエリアとして使用される。さらに、メモリ402は、ネットワークを介して取得される画像形成ジョブなどの信号や、操作入力部404からの操作入力信号などを一時的に記憶する機能を有する。メモリ402は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリ等から構成されることができる。
【0040】
HDD403は、画像形成消去装置100における様々な情報を記憶する補助記憶装置である。なお、本実施形態においては画像形成消去装置100の補助記憶装置としてHDD403を例示したがこれに限られず、例えば、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)やHDD以外の磁気ディスクなどを利用することもできる。
【0041】
操作入力部404は、コピーやスキャンの条件を指定したり、FAX番号を入力したりする操作を行う。操作入力部404は、例えば、数字等の入力キー、キーボード(Keyboard)、マウス(Mouse)、タッチパネル(touch panel)、タッチパッド(touchpad)、ペンタブレット(graphics tablet)、専用ボタン等から構成されることができる。
【0042】
画像読取部41は、コピー機やイメージスキャナなどに備えられる一般的な画像読取装置である。画像形成消去装置100を用いて、原稿のコピーを行ったり、原稿をスキャンしたりする際に用いられる。
【0043】
第1画像形成部42は、通常の電子写真方式による画像形成である、ノーマルプリントモードを実行する装置である。第1画像形成部42は、図7に示すように、感光体ドラム42K、42C、42M、42Yと、中間転写ベルト42Bと、定着装置42Fを備える。
【0044】
感光体ドラム42K〜42Yは、画像形成する画像データを構成する、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のそれぞれの色データに対応する静電潜像を、それぞれの感光体ドラム42K〜42Yの感光体面上に形成し、不図示の現像ローラから供給される現像剤(トナー)によって静電潜像が顕在化された現像剤像を形成する。感光体ドラム42K〜42Yに形成された現像剤像は、中間転写ベルト42Bに転写(いわゆる、一次転写)される。
【0045】
中間転写ベルト42Bは、転写された現像剤像を図7に示す転写位置Tで、画像形成対象のシートに転写(いわゆる、二次転写)する。定着装置42Fは、転写位置Tでシートに転写された現像剤像を、シートに対して熱定着させる。
【0046】
第2画像形成部43は、消色性着色剤である消色インクを用いて、インクジェット方式による画像形成、リライタブルプリントモードを実行する装置である。第2画像形成部43は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各消色インクにそれぞれ対応する、プリントヘッド43K、43C、43M、43Yを備えており、各プリントヘッドから対応するインクを吐出して、シート上に消色インクによる画像を形成する。
【0047】
ここで、消色性着色剤である消色インクは、ロイコ染料などの染料を用いることができる。そして、この消色インクは、加熱すると80〜100℃程度で消色する。
【0048】
表示パネル406は、画像形成消去装置100の設定情報や動作状況などの様々な情報を表示する。表示パネル406は、例えば、電子ペーパ、LCD(Liquid crystal display)、EL(Electronic Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode Ray Tube)等から構成されることができる。また、表示パネル406をタッチパネルディスプレイで構成することにより、表示パネル406が操作入力部404の機能の一部または全部を実現することもできる。
【0049】
シート供給部44は、画像形成先である用紙などのシートを第1画像形成部42または第2画像形成部43に供給する。本実施形態のシート供給部44は、まだ一度も画像形成されていない新しい用紙を供給する新規シート供給部44aと、消色性着色剤による画像形成がされていたが、再利用のために消色処理がされて画像が消失している再利用シートを供給する再利用シート供給部44bと、手差しシート供給部44cと、を備える。
【0050】
FAX装置405は、画像形成消去装置100においてファクシミリの信号を送受信する装置である。
【0051】
また、上述のように、用紙後処理装置5は、画像形成装置4において複数部印刷を行う場合に、設定した部数ごとに仕分けするシート後処理部51を備えている。ただし、複数部印刷を行わない場合でも、排出されたシートを載置する排出部としての役割も果たすことができる。
【0052】
更に、用紙後処理装置5は、シート後処理部51の他に、第1の実施形態の消去装置1と同様に、シート搬送部24、消去処理部25および待機トレイ駆動部26を備えている。各部の機能は第1の実施形態と共通しているため、ここでは詳細な説明は省略する。尚、本実施形態では、シート搬送部24、消去処理部25および待機トレイ駆動部26は用紙後処理装置5側に別途設けられたプロセッサ(図示省略する)等と画像形成装置4のプロセッサ401等との協働によって実行されるものとする。
【0053】
次に、上記のように構成された画像形成消去装置100のリライタブルプリントモードでの画像消去処理を説明する。尚、使用済シート積載トレイ10上には、消色性着色剤を用いて画像形成された使用済シートPが既に積載されているものとする。
【0054】
先ず、操作入力ボタン(図示省略する)の押下等によりユーザからの消去要求が入力されると、プロセッサ401はシート搬送部24を起動し、使用済シート搬送ローラ11を回転駆動させて使用済シート積載トレイ10上に積載された使用済シートPをシート単位で取り込み、画像消去部12へ搬送する。
【0055】
次に、プロセッサ401は、消去処理部25を起動して画像消去部12において使用済シートPの消去処理を実行し、消色シートP´として排出する。画像消去部12において、使用済シートPに対して所定の温度での加熱を行うと、消色性着色剤で形成された使用済シートP上の画像は消去される。
【0056】
次に、プロセッサ401はシート搬送部24を起動し、消色シート搬送ローラ13の回転駆動させて画像消去部12から待機トレイ14へ消色シートP´を搬送する。
【0057】
次に、プロセッサ401は、待機トレイ駆動部26を起動し、待機トレイ14上に消色シートP´を載せてから一定時間経過すると、一対のトレイ部材14a、14bを外側へ水平方向に駆動し、消色シートP´を消色シート積載トレイ16に向けて自由落下させる。尚、これら一対のトレイ部材14a、14bは、消色シートP´を落下させるために駆動を行った後には、消色シートP´を受け止めるために再びホームポジションに戻る。
【0058】
そして、消色シート積載トレイ16は、待機トレイ14から順次落下する消色シートP´を受け止め、積載する。
【0059】
続いて、画像形成消去装置100のリライタブルプリントモードにおける画像形成処理を説明する。
【0060】
先ず、表示パネル406等によりユーザからリライタブルプリントモードでの画像形成要求が入力されると、プロセッサ401は画像読取部41においてスキャナ等によって原稿からシートに印刷する画像データを読み取り、メモリ402内に記憶する。
【0061】
次に、プロセッサ401は用紙後処理装置5のシート搬送部24を起動し、再利用シート搬送ローラ17を回転駆動させて消色シート積載トレイ16上に積載されている消色シートP´をシート単位で取り込み、画像形成装置4の再利用シート供給部44bへ搬送する。
【0062】
そして、プロセッサ401は再利用シート供給部44bを起動して第2画像形成部43に再利用シートを供給させると、第2画像形成部43は消色性着色剤によって画像形成を行い、使用済シートとして用紙後処理装置5側に送られる。
【0063】
このように、本実施形態の画像形成消去装置100によれば、画像形成装置4および用紙後処理装置5を一体化させることで、使用済シートPに形成された画像の消去による再利用シートの生成処理とこの再利用シートへの画像形成処理を連続して行うことができる。更に、再利用シートの利用が容易となるため、新たなシートの消費を抑制することができる。
【0064】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…消去装置
10…使用済シート積載トレイ
11…使用済シート搬送ローラ
12…画像消去部
13…消色シート搬送ローラ
14…待機トレイ
16…消色シート積載トレイ
21…プロセッサ
22…メモリ
23…HDD
24…シート搬送部
25…消去処理部
26…待機トレイ駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の加熱処理によって消色する消色性着色剤によって画像形成された使用済シートを積載する使用済シート積載トレイと、
前記使用済シート積載トレイからシート単位で取り込んだ前記使用済シートに対して前記加熱処理を施し、前記使用済シートに形成されている画像を消去した消色シートを排出する画像消去部と、
所定方向に駆動可能な機構を有し、前記画像消去部が排出した前記消色シートを載置する待機トレイと、
前記待機トレイを駆動し、前記消色シートを自由落下させる待機トレイ駆動部と、
前記待機トレイの下方に配置され、前記待機トレイから自由落下した前記消色シートを積載する消色シート積載トレイと、
を備えることを特徴とする消去装置。
【請求項2】
前記待機トレイは、前記消色シートの排出口の左端部近傍および右端部近傍から排出方向へそれぞれ延伸して形成された一対のトレイ部材からなることを特徴とする請求項1記載の消去装置。
【請求項3】
前記待機トレイ駆動部は、前記一対のトレイ部材を水平方向にスライドし、前記消色シートを前記消色シート積載トレイ上に自由落下させることを特徴とする請求項2記載の消去装置。
【請求項4】
前記待機トレイ駆動部は、前記一対のトレイ部材をシート積載面の外側の支柱を軸として上方または下方向に回動し、前記消色シートを前記消色シート積載トレイ上に自由落下させることを特徴とする請求項2記載の消去装置。
【請求項5】
前記待機トレイ駆動部は、前記消色シートを前記待機トレイ上に積載してから所定時間経過後に前記一対のトレイ部材を駆動することを特徴とする請求項3または請求項4記載の消去装置。
【請求項6】
使用済シート搬送ローラが、所定の加熱処理によって消色する消色性着色剤によって画像形成された使用済シートを使用済シート積載トレイからシート単位で取り込むステップと、
画像消去部が、前記取り込まれた前記使用済シートに対して加熱処理を施すステップと、
消色シート搬送ローラが、前記加熱処理によって画像が消去された前記使用済シートを消色シートとして前記画像消去部から排出するステップと、
所定方向に駆動可能な機構を有する待機トレイが、前記排出された前記消色シートを載置するステップと、
待機トレイ駆動部が、前記消色シートの載置から所定時間経過後に前記待機トレイを駆動し、前記待機トレイの下方に配置された消色シート積載トレイに向けて前記消色シートを自由落下させ、前記消色シートを前記消色シート積載トレイ上に積載するステップと、
を有することを特徴とする消去装置における画像消去方法。
【請求項7】
シートに画像形成するための画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部で取得された画像データに基づく画像を、所定の加熱処理によって消色する消色性着色剤を用いて、または、前記消色性着色剤が消色する前記加熱処理によっては消色しない非消色性着色剤を用いて、前記シートに形成する画像形成部と、
前記画像形成部で画像形成された前記シートを使用済シートとして積載する使用済シート積載トレイと、
前記使用済シート積載トレイからシート単位で取り込んだ前記使用済シートに対して前記加熱処理を施し、前記使用済シートに形成されている画像を消去した消色シートを排出する画像消去部と、
所定方向に駆動可能な機構を有し、前記画像消去部が排出した前記消色シートを載置する待機トレイと、
前記待機トレイを駆動し、前記消色シートを自由落下させる待機トレイ駆動部と、
前記待機トレイの下方に配置され、前記待機トレイから自由落下した前記消色シートを積載する消色シート積載トレイと、
前記消色シート積載トレイ上の前記消色シートを取り込み、前記画像形成部に再利用シートとして供給する再利用シート供給部と、
を備えることを特徴とする画像形成消去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−184202(P2011−184202A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47600(P2011−47600)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】