説明

消臭、殺菌、除菌、滅菌および防カビ剤

【課題】消臭、殺菌を単一の薬品で遂行するための有機リン化合物を提供する。
【解決手段】ジクロルフェニルフォスフィンにイソプレンもしくはブタジエンを反応して得られるホスホレン誘導体、ホスホレン生成反応の終盤の未反応物に高級カルボン酸、もしくは高級アルコールを反応して得られるホスホレン誘導体、ホスホレン生成反応の終盤の未反応物に1,4ブチンヂオールを反応して得られるホスホレン誘導体、ジクロルフェニルフォスフィンに共役二重結合を有する長鎖ハイドロカーボンを反応せしめて得られるホスホレン誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は消臭、殺菌、除菌、滅菌および防カビ分野に係わる発明に関する新規発明物質に関するものである。現在まで、消臭と滅菌、防カビの性能を備えた物質は存在しなかった。消臭なら消臭のみ、防カビなら防カビのみ、殺菌なら殺菌のみの単独作用の薬剤が多かった。
【0002】
そこで、本願発明者は該諸作用が複合せる、薬剤を開発すべく、研究を重ねた結果、以下に記述する発明に到達した。以下、該発明の詳細は順を追って詳細に説明する。
【背景技術】
【0003】
防カビ剤に関する出願は多数存在するが、消臭、脱臭に関する出願は殆ど見られない、ましてや、消臭、脱臭と殺菌、除菌を兼ねた出願はほとんど見られない。そこでそれら所望の効果を兼ね備えた該薬剤の開発が望まれるものである。
【0004】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許公開2008−138149、特公2008−133359、特公2006−233012、特公2005−008703 特公2000−351921、特公平1010031、特公平08−291276、特公平07−153061
【発明の概要】
【0006】
ホスホレンを製造するに当たり2成分の反応中に第三物質を反応の適宜中途で加えることにより性質の異なる第三物質を取り出す事が出来る。
また反応が完全に完結する前、加水分解中に置換物質を加えることにより、エステル化して、所望の物質を得る事が出来る。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ホスホレンは消臭効果があることが既に判明していたが、該物質に抗菌性、殺菌性を付与するには抗菌性の物質を混合するか添加する必要があった。そこで1つの薬品で消臭、抗菌、防カビを兼ね備えたものが出来ないものかと鋭意検討を重ねた結果ついに研究が結実した。
【発明を解決するための手段】
【0008】
先ず、第一はジクロルフェニルフォスフィンとイソプレンを反応してホスホレンを合成するときに、反応の週末にヂヒロロキシブチンヂオールを添加して反応を終結せしめるものである。更に、もう一つはホスホレンを作る反応の終結直前の加水分解反応の際、高級脂肪酸もしくは高級アルコールでホスホレンの一部をエステル化することにより、この反応でできた物質は消臭性、殺菌性、防カビ性を有する物質となる。
【発明の効果】
【0009】
ホスホレンを合成する手段は複雑でかつ困難であるが、反応が順調に遂行されれば後の反応は比較的楽である。そこで反応の終結直前、故意に副反応を行うものである。
ホスホレンの生成反応は(1)で示される。
該生成物は加水分解前の形態である。これから順を追ってさらに詳しく説明する。
【0010】
ホスホレンの生成段階であるがイソプレンとジクロルフェニルフォスフィンを反応せしめて、ホスホレンのジクロル付加物を得る。
(1)CH=CH(CH)CH=CH + φ−PCl→ φ−PC10Cl
φ−PC10Cl=ホスホレンのジクロル付加物
ただし、φ=フェニル基、φ−PC10Cl=加水分解前のホスホレンであり、またイソプレン、ブタジエンはPを介した環状モノエンを形成している。
加水分解後はφ−PO−C10(ホスホレン)となる。
加水分解前の生成物に脂肪酸を反応せしめればリン酸エステルが生成する。
【0011】
加水分解前のホスホレンのジクロル付加物にカルボン酸やアルコール類を付加することが出来る。
(2)φ−PC10Cl+RCOOH or R−OH→φ−PC10POCOR or φ−PC10POCR
ただし、R−COOH=高級脂肪酸R−OH=高級アルコール
【0012】
ホスホレン生成反応後残留した僅かなジクロルフェニルフォスフィンとHOCHC≡CCHOH(1,4ブチンジオール)を反応せしめることによりジクロルフェニルフォスフィンの2付加物が得られる。

ただし、 HOCHC≡CCHOH=1,4ブチンジオール
φ−PCl=ジクロルフェニルホスヒン
更に未反応のジクロルフェニルフォスフィンに1,4ブチンジオールのリン酸エステルが生成する。
【0013】
またリノレイン酸やカルダノールのように共役2重結合を有する炭化水素もホスホレンを形成することができる

この(RCHCH=CHCHCHR’)部分はPを包含する環状化合物を示す。
ただし、R=アルキル基、アシル基、アリル基、等
R’=カルボキシル基、ヒドロキル基、スルホキシル基等を有する炭化水素基である。
上記の反応による生成物が本発明の主たる目的の機能材料となる。なおこれらの反応せしめるハイドロカーボンはカーボン数10以上24以下のハイドロカーボンに限られる。
【発明の実施形態】
【0014】
本願発明は該例に挙げたものに限定するものでは無いが、解りやすい例として例記したものにすぎない。また消臭効果はホスホレンのみで十分であるが、より強力な殺菌作用を求める反応終結に預からない未反応物は10%以下あることと、該未反応残留物を有効活用するために2次的反応を遂行して、反応を完結することにより、所望の目的物を得るので、理想的かつ合理的な手段である。該反応方式は反応の終結法の一手段であり、副反応を抑えるのに有効な手段である。
【0015】
反応の実施の形態は具体的に実施例を用いて詳細に説明する。ここに挙げる実施例は技術的な制限をするものではなく、単なる一例に過ぎない。
反応終結の安定化と該安定化による、微量の生成物を混在せしめることによって、生成物を所望の性能を更に高めることができる。
【0016】
以下実施例をもちいて具体的に説明する。
【実施例1】
700mlのトルエン溶剤に178gジクロルフェニルフォスフィンを溶解し、68gのイソプレンを加えて約40℃の温度で72時間反応させた後、冷却下10ccの水を加えて、pHが7〜8になるまで重曹水を加え40から50℃で48時間かけて加水分解する。反応後上層の油層はホスホレンであり、該生成物は1%未満の未加水分解物を含む。該化合物は本願所望の目的物として使用可能である。なお純品にするには蒸留して使用する、
【実施例2】
【0017】
実施例1で得た0.5%の未加水分解生成物を含むホスホレンを生成せず溶剤を含有したまま、5gのステアリン酸を加え溶剤を常圧で留去する、150℃になったら加熱を中止し、活性炭で脱色し所望の製品を得る。
【実施例3】
【0018】
実施例1の第一次反応終了後、加水分解前の反応生成物に10gの1,4ブチンジオールを加え、45℃で24時間反応し氷水を加え、重層でPHを7〜8に中和し、油層を分離し溶剤を留去し蒸留により精製したものは、本願所望の目的に十分満足するもであった。
【実施例4】
【0019】
1000mlのトルエンに200gのジクロルフェニルフォスフィンを溶かし65gのブタジエンを零下24〜26℃に冷却し、攪拌しながら徐々に加える。そのままの状態で12時間保持し、徐々に温度を常温に戻す、密閉状態で1か月ほど経過したら、氷水を加え、重曹水を加えて、中和し、pHを6から7に中和する。油層を分離し、8gの1,4ブチンヂオールを加え反応を完結させる。活性炭による脱色後、所望の目的別を得た。
【実施例5】
【0020】
実施例4で得られた1,4ブチンヂオールを添加する前の生成物に5gのカルダノールを加へ、活性炭で脱色し使用した溶剤を留去したものは優れた消臭性と殺菌性を示した。
【実施例6】
【0021】
1000mlのトルエンに200gのジクロルフェニルフォスフィンを加え、常温下350gのカルダノールを加え40から50℃に加温して攪拌しながら48から50時間攪拌する。冷水を加え重曹水でpHを6から8に中和して、油層分離し使用した溶剤を留去して、活性炭で脱色して所望の製品を得た。該生成物は満足する消臭性と殺菌性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホレン基を基体としたホスホレン誘導体
【化】

φ−PC10Cl=ホスホレンのジクロル付加物
ただし、φ=フェニル基、φ−PC10Cl=加水分解前のホスホレン
【請求項2】
ホスホレンを基体とするものに一部にカルボキシル基を有する炭化水素もしくは高級アルコールを付加せるホスホレン誘導体。
【化2】

ただし、R−COOH=高級脂肪酸R−OH=高級アルコール
【請求項3】
ホスホレンに部分的に1,4ブチンジオールを付加せるホスホレン誘導体。
【化3】

ただし、HOCHC≡CCHOH=1,4ブチンジオール
φ−PCl=ジクロルフェニルホスヒン
【請求項4】
ジクロルフェニルフォスフィンと共役二重結合を有する化合物を反応せしめることにより合成する、ホスホレン誘導体。
【化4】

この(RCHCH=CHCHCHR’)部分はPを包含する環状化合物を示す。