説明

消臭分散液および消臭加工製品

【課題】
本発明は、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド系ガスに対する消臭性能が優れた消臭分散液を提供することであり、さらにはアルデヒド系ガス以外の種々の悪臭に対しても優れた消臭性能を有する消臭剤を提供することである。
【解決手段】
無機粉体とアミノグアニジン塩との分散液がアルデヒド系ガスの消臭剤として優れた性能を有することを見出し本発明を完成させたのである。更に当該消臭分散液は幅広い温度においても消臭性能を発揮するものである。更に、この消臭分散液で処理した基材において、これからから発生するアルデヒドガスの放散を抑制することもできる。即ち、本発明は、アミノグアニジン塩と無機粉体との分散液で、このpHが1〜7の物であるアルデヒド系ガス消臭分散液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド系ガスに対する消臭分散液および当該消臭分散液を含有するアルデヒド系ガス以外の種々の悪臭に対して優れた消臭能を有する消臭組成分散液に関する。更に、この消臭分散液または消臭組成分散液を添加させることにより優れた消臭性能を発揮する各種繊維、塗料、シート、成形品などの消臭性加工製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の特に煙草臭を対象とした消臭に対するニーズが急速に高まっている。アセトアルデヒドは、この煙草臭の主要成分である。また、シックハウス/シックビル症候群などに見られるように、ホルムアルデヒドによる健康障害も注目をされている。これらアルデヒド系ガスの除去剤として、アミン化合物からなるアルデヒド除去剤が主に検討されている。
アミン化合物はアルデヒド系ガスと親和性が高く、アルデヒド系ガスを含有する排ガスをアミン化合物が溶解した液と接触させることにより、排ガス中のアルデヒド系ガスを除去できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、液状のアミン化合物は強い不快臭を放つため、生活空間、例えば居間や台所を始めとする日常生活に応用するには不適であった。
【0003】
また、アミン化合物を無機物に担持させたガス吸収剤が知られており、このガス吸収剤は樹脂や抄紙、フィルムへ添加する際の加熱処理に耐えうる特徴を有している。
例えば、活性炭にアンモニウム塩やアニリンなどを担持させたり(例えば、特許文献2参照、特許文献3参照)、ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物に分子内に第1級アミノ基を有する化合物を担持させたり(例えば、特許文献4参照)、層状燐酸塩(α燐酸ジルコニウム)の層間にポリアミン化合物を担持させたガス吸収剤が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、水に対する溶解度性が25℃で5g/リットル以下であるヒドラジン誘導体(例えば、特許文献5参照)や、ケイ酸マグネシウム粘土鉱物と分子内に第1級アミノ基を有する化合物からなる消臭剤(例えば、特許文献6参照)、合成樹脂中にヒドラジド化合物を含む組成物(例えば、特許文献7参照)がアルデヒド系ガス消臭剤として知られている。しかし、これらのガス吸収剤は、アルデヒド系ガスに対する吸収能が実用的水準にないばかりか、繊維や塗料に添加することによって、更にアルデヒド吸着能力が低下してしまう。
【0005】
また、シリカの表面にアミノ基を含有する有機ケイ素化合物を担持させることによりアセトアルデヒドの消臭性能を発現させたものが知られている(例えば、特許文献8参照)。この材料についても、塩基性ガスや硫黄系ガスに効果の高い消臭剤を併用すると本来発揮されるはずの消臭性能が十分に発揮されないことが明らかになった。
【0006】
また、空気清浄用に用いられるフィルターをアルデヒド類除去用の薬剤を活性炭などの担持体に担持したもので形成するものが示され、アルデヒド類除去用の薬剤としてアミノグアニジン硫酸塩が示されている(例えば、特許文献9参照)。
【0007】
また、アミノグアニジン塩と水を含有することを特徴としたアルデヒドキャッチャー剤が知られている(例えば、特許文献10参照)。アミノグアニジン塩は、アルデヒド吸収性が高いことは知られており、水溶性のため水に溶解して様々な製品に使用が可能である。しかし、アミノグアニジン塩は使用条件によっては効果が発現しないばかりか、分解して変異原性を示すため、最適な使用条件があることについては何等開示も示唆もされていない。
○先行文献
【特許文献1】特開昭51−44587号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開昭53−29292号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭56−53744号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開平9−28778号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開平8−280781号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開平9−28778号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特開平10−36681号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】特開平9−173830号公報(特許請求の範囲)
【特許文献9】特開平10−235129号公報(特許請求の範囲)
【特許文献10】特開2005−97340号広報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】津波古ら,PHARM.TECH.JAPAN,1996年,12巻,12号,p.77−87
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド系ガスに対する消臭性能が優れた消臭分散液を提供することであり、さらにはアルデヒド系ガス以外の種々の悪臭に対しても優れた消臭性能を有する消臭組成物分散液を提供することである。また、優れた消臭性能を発揮する繊維、塗料、シート、成形品などの消臭性製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が鋭意検討した結果、無機粉体とアミノグアニジン塩との分散液がアルデヒド系ガスの消臭剤として優れた性能を有することを見出し本発明を完成させたのである。更に当該消臭分散液は幅広い温度においても消臭性能を発揮するものである。また、無機粉体とアミノグアニジン塩との混合物を加熱処理することにより耐水性に優れたものとすることができる。更に、この消臭分散液を含有するものにおいて、これからから発生するアルデヒドガスの放散を抑制することもできる。即ち、本発明は、
(1)少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体と水とを含有し、pHが1〜7であることを特徴とするアルデヒド系ガス消臭分散液であり、
(2)上記1記載のアミノグアニジン塩が精製水に分散または溶解させた時のpHが1〜7である物であり、上記1記載の無機粉体が精製水に分散させた時のpH2〜8である物である、上記1記載のアルデヒド系ガス消臭分散液であり、
(3)上記2記載の無機粉体がケイ酸塩化合物、4価金属リン酸塩化合物、ゼオライトおよびシリカゲルの中から選ばれる少なくとも1種以上のものである上記1または2に記載のアルデヒド系ガス消臭分散液であり、
(4)上記1〜3にそれぞれ記載のアルデヒド系ガス消臭分散液に更に分散剤を含有するアルデヒド系ガス消臭分散液であり、
(5)硫黄系ガス消臭剤、塩基性ガス消臭剤および有機酸性ガス消臭剤から選ばれる少なくとも1種以上の消臭剤と上記1〜4にそれぞれ記載のアルデヒド系ガス消臭分散液とを含有する含有する消臭組成分散液であり、
(6)上記1〜4にそれぞれ記載のアルデヒド系ガス消臭分散液または上記5に記載の消臭組成分散液を用いた消臭加工製品であり、
(7)少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体と水とを混合し、pHを1〜7に調整することを特徴とするアルデヒド系ガス消臭分散液の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアルデヒド系ガス消臭分散液は、アルデヒド系ガスに対する消臭性能に優れることから、室内や車内などの密閉空間から効率的にアルデヒド系ガスを除去することができる。また、本発明のアルデヒド系ガス消臭分散液を含有した繊維、塗料、シート、成形品などの消臭加工製品が消臭性能優れること、およびこの消臭加工製品から揮発するアルデヒド系ガスを低減することができる。また、本発明の消臭組成分散液は、アルデヒド系ガス消臭以外の悪臭も効率よく除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。
【0012】
○アルデヒド系ガス消臭分散液
本発明におけるアルデヒド系ガス消臭分散液(以下、本発明の消臭分散液と称する)は、アミノグアニジン塩と無機粉体とを含有する水分散液で、この分散液のpHが室温において1〜7の物である。このアミノグアニジン塩は、精製水に分散または溶解させた時のpH1〜7であるものであものが好ましい。またこの無機粉体は、精製水に分散させた時のpH2〜8であるものが好ましい。
本発明の消臭分散液は、固形分が5重量%の分散液において、上清のpHが7以下であり、好ましくは6.0以下であり、より好ましくは5.7以下であり、pH1以上であり、好ましくは1.5以上である。
【0013】
○アミノグアニジン塩
本発明におけるアミノグアニジン塩は、無機粉体との分散液において、このpHが1〜7になるものであれば如何様な物でもよい。更には当該アミノグアニジン塩は、この5重量%の水溶液または分散液のpHが1〜7であるものが好ましく、pHが2〜6より好ましく、更に好ましくはpH3.0〜5.0である。即ち、当該アミノグアニジン塩がこの範囲であるとアルデヒド消臭性能を充分に発揮できることから好ましい。
【0014】
当該アミノグアニジン塩としては、アミノグアニジン硫酸塩、アミノグアニジン塩酸塩、ジアミノグアンニジン塩酸塩、ジアミノグアニジン硫酸塩、およびトリアミノグアニジン塩酸塩などが例示できる。これらは単独または混合して本発明に用いることができる。当該アミノグアニジン塩としては、安全性を考慮するとアミノグアニジン塩酸塩またはアミノグアニジン硫酸塩が特に好ましい。
本発明の消臭の対象するアルデヒド系ガスとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ノネナールなどが例示できる。しかし、消臭するものは、アルデヒド系ガスを含有していればよく、他の種類との複合ガスでもよい。
【0015】
○無機粉体
本発明における無機粉体は、アミノグアニジン塩との混合物の懸濁液において、このpHが1〜7になるものであれば如何様な物でもよい。更に当該無機粉体は、この5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、8.0以下のものであり、より好ましくはpH3.0〜7.5であり、更に好ましくはpH4.0〜7.0である。当該無機粉体を5重量%分散させた時のpHが上記範囲であると、アミノグアニジン塩のアルデヒド消臭性能がより以上に発現できるため更に好ましく、且つ変異原性が陰性であるため好ましい。
本発明における無機粉体は、アミノグアニジン塩と混合ができ、上記pH内であれば成分や形状に限定はなく使用することができ、更に本発明の消臭剤の耐水性が向上できるものがより好ましい。
当該無機粉体としては、ケイ酸塩化合物、4価金属リン酸塩化合物、ゼオライト、シリカゲル、および5重量%で分散させた時のpHを上記の範囲に調整した無機粉体などを例示することができ、特にケイ酸塩化合物、4価金属リン酸塩化合物、シリカゲル、pH調整した雲母などが消臭性能を向上できるため好ましい。この5重量%で分散させた時のpHを上記の範囲に調整した無機粉体とは、雲母、ハイドロタルサイト、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、ゼオライトY型などが例示できる。このpH調整に用いる酸としては、無機酸であることが好ましく、より好ましくは硫酸またはリン酸である。
【0016】
○ケイ酸塩化合物
本発明において、ケイ酸塩化合物としては、精製水に5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、8.0以下のものが好ましく、無機粉体とアミノグアニジン塩との混合物の耐水性を向上できるものであれば更に好ましい。
具体的には、ケイ酸アルミニウムまたはケイ酸マグネシウムが好ましく、非晶質ケイ酸アルミニウムまたは非晶質ケイ酸マグネシウムが耐水性の向上の点からより好ましく、非晶質ケイ酸アルミニウムがアミノグアニジン塩と混合した混合物の高温の雰囲気下でのアルデヒド消臭性能が高いためより好ましい。また、これらは天然物あるいは合成物であっても良い。例えば合成のケイ酸アルミニウムは下記式(1)で表されるものである。
Al23・nSiO2・mH2O (1)
但し、式(1)中のnは6以上の正数であり、より好ましくはnが6〜50で且つmが1〜20の正数であり、特に好ましくはnが8〜15でmが3〜15である。
またケイ酸マグネシウムは下記式(2)で表されるものである。
MgO・nSiO2・mH2O (2)
但し、式(2)中のnは1以上の正数であり、より好ましくはnが1〜20で且つmが0.1〜20の正数であり、更に好ましくはnが1〜15でmが0.3〜10であり、特に好ましくはnが3〜15でmが1〜8である。
【0017】
合成品のケイ酸塩化合物は、例えば以下のような手段によって合成することができる。アルミニウム塩またはマグネシウム塩の水溶液とケイ酸アルカリ金属塩の水溶液とを混合し、室温、大気圧条件下に必要に応じて酸もしくはアルカリを加えて、pH約3〜約7の条件に維持して共沈せしめ、これを、例えば約40℃〜約100℃程度において熟成し、もしくは熟成せずに共沈物を水洗、脱水、乾燥することにより合成することができる。
【0018】
ケイ酸アルミニウムの合成におけるアルミニウムの水溶性塩とケイ酸アルカリ金属塩との使用量は、SiO2/Al23のモル比が6以上、例えば6〜50の範囲、より好ましくは8〜15の範囲となるように選択することができる。
ケイ酸マグネシウムの合成におけるマグネシウムの水溶性塩とケイ酸アルカリ金属塩との使用量は、SiO2/MgOのモル比が1以上、例えば1〜20の範囲、より好ましくは1〜15の範囲となるように選択することができる。
また、他の合成手段としては、例えば、シリカゾルに、アルミニウムまたはマグネシウムの水溶液を加え、更に、酸またはアルカリにより、系のpHを約3〜7に維持して、十分に均一に混合し、更に、例えば約40℃〜約100℃程度に加温して、熟成しまたは熟成しないで、その後、水洗、脱水、乾燥することにより、形成することができる。この際、シリカゾルとアルミニウムまたはマグネシウムの水溶性塩の使用量は、上記SiO2/Al23、SiO2/MgOと同じように選択することができる。いままでの説明は、非晶質ケイ酸アルミニウムおよび非晶質ケイ酸マグネシウムを各々単独で合成する例のものであるが、アルミニウムまたはマグネシウムの水溶性塩の混合水溶液から両金属を含有した化合物を合成することもできる。
上記水溶性塩としては、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化塩、沃化塩、臭化塩のごとき水溶性塩を例示することができる。
更に、上記合成で用いるアルカリまたは酸の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア水などのアルカリ類、塩酸、硫酸、硝酸などの酸類を例示することができる。
【0019】
○4価金属リン酸塩化合物
本発明において、4価金属リン酸塩化合物としては、水に対して不溶性または難溶性の4価金属リン酸塩化合物であり、精製水に5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、7.0以下のものが好ましく、無機粉体とアミノグアニジン塩との混合物の耐水性を向上できるものであれば更に好ましい。
好ましいこの具体例として、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズなどがある。これらの化合物には、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、ナシコン型結晶など、種々の結晶系を有する結晶質のものと非晶質のものがあるが、いずれも使用できる。なかでも、α型結晶質化合物は耐水性を向上できる度合いが高く、また、アミノグアニジン塩と混合した混合物の高温の雰囲気下でのアルデヒド消臭性能が高く、且つアンモニア消臭性も有しているため好ましい。
【0020】
○シリカゲル
本発明において、シリカゲルとしては、精製水に5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、7.0以下のものが好ましく、無機粉体とアミノグアニジン塩との混合物の耐水性を向上できるものであれば更に好ましい。
シリカゲルは製造方法により表面積、細孔径を調整し様々な特徴を有するものがあるが、上記pH範囲以内であれば公知のものはいずれも使用できる。この製造例としては水ガラスに硫酸を添加し得られたゲルを水洗し、乾燥後粉砕することで得られる。
【0021】
○ゼオライト
本発明において、ゼオライトとしては、精製水に5重量%で分散させた時のpHが2.0以上であり、8.0以下のものであり、pHが7.0以下がより好ましい。更に、ゼオライトとアミノグアニジン塩との混合物の耐水性を向上できるものであれば更に好ましい。
当該ゼオライトは、天然物あるいは合成物であっても良い。ゼオライトの構造は多様であるが公知のものはいずれのものも使用できる。この構造として例えば、A型、X型、Y型、α型、β型、ZSM−5等があるが、分散液のpHが2〜8以外のものは、この範囲内に調整して使用することもできる。
【0022】
○本発明の消臭分散液の製造方法
本発明の消臭分散液の製造法の概略について説明する。
本発明の消臭分散液の製造方法は、無機粉体またはこの分散液と、アミノグアニジン塩またはこの溶液若しくはこの分散液とから製造することにおいて、この分散液のpHが1〜7であるものを製造するものである。
【0023】
本発明の消臭分散液は、無機粉体を室温から60℃程度において攪拌し、これにアミノグアニジン塩を添加し、良く混合し、これを水に分散させて製造することができる。または、本発明の消臭分散液は、無機粉体をアミノグアニジン塩の分解温度以下で攪拌しながらアミノグアニジン塩を添加し、良く混合し、これを水に分散させて製造することもできる。これらの製造方法において、室温から60℃程度の温度で本発明の消臭分散液を製造することがより好ましい。
また、本発明の消臭分散液は、無機粉体を室温から60℃程度で攪拌し、これにアミノグアニジン塩の溶液を滴下あるいは噴霧して添加し、良く混合し、これを水に分散させて製造することもできる。なお、この混合物は、乾燥を行っても良い。この乾燥は60〜120℃が好ましく、より好ましくは80〜110℃であり、減圧下に行っても良い。なお、乾燥工程の処理時間は、乾燥温度、処理量および装置により最適な時間があるので、条件により設定すれば良い。
【0024】
また、本発明の消臭分散液は、室温から60℃程度で無機粉体の分散液を攪拌し、これにアミノグアニジン塩を添加し、良く混合して製造することもできる。
また、本発明の消臭分散液は、室温から60℃程度で無機粉体の分散液を攪拌し、これにアミノグアニジン塩の溶液またはこの分散液を添加し、良く混合して製造することもできる。
【0025】
これら例示した分散液の製造方法において、中間原料として無機粉体とアミノグアニジン塩との乾燥した混合物を用いた場合、この混合物の耐水性を向上させるために140〜240℃で加熱処理を行っても良い。この加熱処理の処理時間は、乾燥温度、処理量および装置により最適な時間があるので、条件により設定すれば良い。
これら例示した製造方法において、無機粉体とアミノグアニジン塩との添加方法を逆にしても良い。即ち、本発明の消臭分散液は、アミノグアニジン塩の溶液またはこの分散液を室温から60℃程度で攪拌し、これに無機粉体を添加し、良く混合して製造することもできる。この例示した他の製造方法についても同様に行うことができる。
これらの製造方法において、アミノグアニジン塩の溶液を用いる製造方法が更に好ましい。
【0026】
本発明に用いるこのアミノグアニジン塩の溶液は、水溶液でもアルコールやメタノールなどの有機溶媒を用いてもよいが、好ましくは水溶液である。無機粉体の分散液は、水溶液でもアルコールやメタノールなどの有機溶媒を用いてもよいが、好ましくは水溶液である。
【0027】
本発明の消臭分散液における無機粉体とアミノグアンニジン塩との割合は、無機粉末100重量部に対してアミノグアニジン塩が0.1〜800重量部であり、好ましくは3〜100重量部であり、更に好ましくは10〜50重量部である。アミノグアニジン塩の混合比が0.1重量部より少ないと十分な消臭効果が得られない。またアミノグアニジン塩の混合比が800重量部より多いと、80℃の雰囲気下におけるアセトアルデヒド消臭性能が十分得られないことがあるので好ましく、アミノグアニジン塩が無機粉体に十分に担持されないため、添加量に応じた消臭効果が期待できないことがあるので好ましくない。
【0028】
○他の消臭剤との混合
本発明の消臭分散液は、アルデヒド系ガスに対して有効であり、アルデヒド系ガスとしては、例えばアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ノネナールなどがある。また、本発明の消臭分散液は、本発明の消臭分散液以外のアルデヒドガス消臭剤と一緒に用いても良い。当該アルデヒドガス消臭剤としては、硫酸アンモニウム、ポリアリルアミン塩酸塩、EDTA・ナトリウム塩、トリエタノールアミン、ピリジン、ジメチルヒダントイン、カゼイン、尿素、チオ尿素、カゼインナトリウム、グリシン、ヘキサメチレンテトラミン、硝酸グアニジン、硫酸ヒドロヒシルアミンなどが例示できる。
本発明の消臭分散液の使用方法は、アルデヒド系ガス単独を対象とすることもあるが、アルデヒド系ガス以外の消臭剤と混合(消臭組成分散液)したり、それらと併用して使用することもできる。また、本発明の消臭分散液または消臭組成分散液は、ケイ酸マグネシウム質粘土と混合して用いることにより消臭性を向上させることもできる。
【0029】
本発明の消臭分散液と混合または併用する具体的な例としては、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性ガスを消臭するための塩基性ガス消臭剤がある。塩基性ガス消臭剤としては、水に対して不溶性または難溶性の4価金属リン酸塩化合物が例示できる。当該4価金属リン酸塩化合物の好ましい具体例として、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズなどがある。これらの化合物には、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、ナシコン型結晶など、種々の結晶系を有する結晶質のものと非晶質のものがあるが、ガス吸着性を有するものは、いずれも本発明の消臭剤と混合または併用することができる。
【0030】
また、本発明の消臭分散液は、硫化水素、メチルメルカプタンなどの硫黄系ガスを消臭するための硫黄性ガス消臭剤と混合または併用して用いることができる。例えば、本発明の消臭分散液は、銅、亜鉛、マンガンから選ばれる少なくとも1種以上の金属イオンを担持した4価金属リン酸塩化合物、酸化亜鉛、またはケイ酸亜鉛と混合または併用することができる。当該4価金属リン酸塩化合物に担持する金属イオンの中でも特に銅イオンが硫化水素などの消臭効果が高いことから好ましい。
【0031】
4価金属リン酸塩化合物に金属イオンを担持させるには、4価金属リン酸塩化合物を、金属イオンの塩溶液に接触させ、イオン交換などにより担持させればよい。
金属イオンの担持量は、4価金属リン酸塩化合物のイオン交換容量内であれば、100%まで所望により自由に調整することができる。
また、酸化亜鉛、ケイ酸銅およびケイ酸亜鉛については比表面積の大きいものが消臭性能が高く好ましい。
【0032】
また、本発明の消臭分散液は、酢酸、イソ吉草酸、酪酸などの悪臭を消臭するための有機酸性ガス消臭剤と混合または併用して用いることができる。例えば、水和酸化ジルコニウム、水和酸化チタンと本発明の消臭分散液とを混合することにより消臭組成分散液とすることができる。
水和酸化ジルコニウムは、オキシ塩化ジルコニウム水溶液などのジルコニウム含有溶液を、水やアルカリ溶液で加水分解することにより作製することができる。なお、水和酸化ジルコニウムは、オキシ水酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、含水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム水和物など、いろいろな言い方がなされる場合があるが、水和酸化ジルコニウムと同じである。
【0033】
ケイ酸マグネシウム質粘土は、ケイ酸マグネシウムを主成分とする粘土鉱物で、孔径約1nm細孔を有することからガス吸着性能を有する。ケイ酸マグネシウム質粘土を添加した本発明の消臭分散液または消臭組成分散液は、塩基性悪臭ガス、酸性悪臭ガス、含硫黄悪臭ガス、アルデヒドガスに対する消臭性能を更に向上させることができる。このことから、本発明においては、消臭分散液または消臭組成分散液にケイ酸マグネシウム質粘土を添加することが好ましい。特に、ケイ酸マグネシウム質粘土を添加することによりタバコ臭の主成分の一つであるピリジン、ニコチンなどに対する消臭性能が向上する。
本発明に用いるケイ酸マグネシウム質粘土の具体例として、セピオライト、シロタイル、ラフリナイト、およびアタパルジャイト等が挙げられる。
本発明の消臭分散液中の固形分100重量部に対して、ケイ酸マグネシウム質粘土を0.2〜20重量部配合することが好ましく、更に0.5〜10重量部配合することが好ましい。ケイ酸マグネシウム質粘土が0.2重量部より少ないと、消臭性能の向上が期待できないことがあり、20重量部より多く配合しても消臭性能の向上ができないことがあるかまたは他の悪臭ガスに対する消臭性能が悪くなることがある。
【0034】
上述した本発明における消臭分散液または消臭組成分散液は、平均粒径が0.01〜50μmであり、より好ましくは0.02〜20μmである。平均粒径が0.01μm未満では取扱いが困難であり、再凝集しやすいといった問題があり好ましくない。また、50μmより大きいと、成形用樹脂へ添加する場合、成形機のフィルターが目詰まりをおこしたり、分散不良がおこったりするなどの問題があり好ましくない。
【0035】
本発明の消臭組成分散液は、本発明の消臭分散液と;4価金属リン酸塩化合物、ケイ酸亜鉛、銅、亜鉛およびマンガンから選ばれる少なくとも1種以上の金属イオンを担持した4価金属リン酸塩化合物、水和酸化ジルコニウム、水和酸化チタン、並びに酸化亜鉛などから選ばれる少なくとも1種以上の物質とを混合し分散させたものである。これらの混合割合は特に制限はなく、消臭組成分散液を使用する環境により適宜変化させることができる。
【0036】
○高温消臭性
本発明の消臭分散液は、高温の雰囲気下でアルデヒド系ガスの消臭性能が高いことも特長のひとつである。高温の雰囲気下での消臭性能とは、例えば本発明の消臭分散液で処理した繊維や樹脂成型品などを加熱した際に発生するアルデヒド系ガスを抑制できることである。ここでいう高温の雰囲気下での消臭性能が高いとは、40℃〜90℃の環境下での消臭性が確保され、問題ないレベルまでアルデヒド系ガス濃度が低下できることである。言い換えると、室温での消臭性能に比べ大きく低下しないものである。
【0037】
○加工方法
本発明の消臭分散液は、スプレー状の消臭剤とすることも可能である。その他に、本発明の消臭分散液を用いて各種製品に含有させて各種消臭性加工品とすることも可能である。
【0038】
○分散液
本発明の消臭分散液は、通常無機粉末の分散液を作製する方法のいずれをも用いることができる。例えば、当該分散液の製造は、水などの分散媒にアミノグアニジン塩、無機粉体および必要に応じて分散剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、粘度調整剤等を添加し、サンドミル、ディスパー、ボールミルなどにより攪拌し分散させればよい。
【0039】
当該分散媒は、水溶性、親水性を有するものであれば制限なく用いることができる。この具体的にはプロトン性溶媒としては水、アルコールが挙げられる。また、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、アセトンなどが挙げられる。これらを単独で用いても複数混合させても良い。当該分散媒としては、水および/またはアルコールが好ましく、より好ましくは水である。
【0040】
本発明で使用する分散剤に特に制限はないが、アルケニルコハク酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,アルキルナフタレンスルホン酸塩,アルキル硫酸エステル塩,高級アルコール硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩,ジアルキルスルホサクシネート塩,アルキルリン酸エステル塩,リン酸エステル系共重合体,ポリカルボン酸型高分子界面活性剤などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル,有機変性オルガノポリシロキサンなどのノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第四アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、アルキルベタイン,アミドベタインなどのベタイン型両性界面活性剤、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、トリエタノ−ネアミンなどのポリアミンなどが例示できる。
【0041】
当該分散剤は、酸性官能基を有する分散剤がよく、界面活性効果を有しても良い。この分散剤は複数使用してもよく、本発明の消臭剤を分散媒に分散できるものであれば限定するものではない。酸性官能基を有する分散剤に、非イオン形の分散剤を使用しても良い。
【0042】
当該分散剤は、酸性官能基を含む共重合体を含むものがより好ましい。当該基本骨格はエステル連鎖、ビニル連鎖、アクリル連鎖、エーテル連鎖及びウレタン連鎖等で構成されているものが例示でき、これら分子中の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。これらの中でもアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアルキド樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂とポリエステル樹脂が好適である。当該酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン基およびリン酸基などが例示され、なかでもリン酸基が好ましい。
【0043】
本発明における酸性官能基を有する分散剤の酸価は、5〜150mgKOH/gであることが好ましく、30〜130mgKOH/gが特に好ましい。酸価が5mgKOH/g未満であると消臭剤粒子表面への吸着力が不足することがあるため分散安定性が低下するので好ましくない。また酸価が150mgKOH/gを超えると消臭剤粒子の表面に吸着した分散剤の立体的反発層の比率が少なくなり、十分な消臭剤粒子の分散安定性が得られないことがある。当該酸性官能基は、樹脂の分子中に全くランダムに配置されていてもよいが、ブロック又はグラフト構造により、酸性官能基が分子中の末端部分に配置されているものが消臭剤粒子が吸着したときに溶媒和による消臭剤粒子の分散安定化構造をとり易いため好ましい。当該カウンターカチオンとしては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアミン塩などが例示でき、特にアルキルアンモニウム塩が好適である。
【0044】
当該酸性官能基を有する分散剤の好ましい重量平均分子量は800〜100,000の範囲で、より好ましくは800〜10,000である。分子量が800未満では分散効果が低下する場合があり、また100,000を上回ると凝集作用や粘度上昇が起こる恐れがあるため好ましくない。
【0045】
本発明の消臭分散液における分散剤の添加量は、無機粉体100重量部に対して、0.1〜15重量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜12重量部であり、特に好ましくは1〜10重量部である。当該分散剤の添加量が0.1重量部より少ないと、分散性が十分でなく再凝集しやすいことがあり好ましくない。また、当該分散剤の添加量が15重量部より多いと過剰な分散剤の影響で分散性が低下したり、または消臭性が低下することがあるので好ましくない。
【0046】
酸性官能基を有する分散剤の具体例として、BYK−Chemie社製のDisperbyk−110、Disperbyk−170、Disperbyk−180および190など、SERVODELDEN BV社製のSER−AD FA192など、ゼネカ カラーズ製のソルスパース3000、9000、13240、13940、17000、17240、17940、21000、24000、26000および27000など、共栄社化学株式会社製のフローレンG−700、味の素株式会社製のアジスパーPA111などを挙げることができる。
【0047】
本発明の消臭分散液における消泡剤は、破泡性、抑泡性、脱泡性のものがあるがいずれのものを用いてもよい。破泡性の例としてはポリシロキサン溶液をあげることができる。
本発明の消臭分散液における粘度調整剤は、いずれのものも用いることができ、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系増粘剤、アラビアガム、トランガンガム、グアーガム等の天然多糖類、各種ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールなどがある。
【0048】
本発明の消臭分散液における固形分は、1〜60重量%が好ましく、3〜40重量%がより好ましく、5〜25重量%が更に好ましい。消臭剤固形分が1重量%以下であると、分散液の粘度が低いため分散安定性が悪くなることがあり、分散液の粘度を上げるために粘度調整剤などの添加剤を添加することは可能だが、添加剤により消臭性能が低下することがあるので好ましくない。消臭剤固形分が60重量%を超えると、分散液の粘度が高くなりすぎて製造が難しく、また製品のハンドリング性が悪くなるため好ましくない。
【0049】
本発明の消臭分散液には、アクリル酸系やウレタン系などの繊維、不織布、シート等の表面処理に通常使用されているバインダー樹脂を混合することもできる。このとき、バインダー樹脂と分散液中の消臭剤固形分との合計は、分散液の5〜50重量%が好ましい。また、当該分散液における消臭剤固形分とバインダー樹脂との混合比は、消臭剤固形分100重量部に対し、バインダー樹脂固形分が10〜300重量部が好ましい。バインダー樹脂固形分が10重量部未満であると、繊維、不織布、シート等に消臭分散液を添着させる際、固着力が十分ではないため、消臭剤が脱落し消臭性能が低下することがあるため好ましくない。また、バインダー樹脂固形分が300重量部を超えると、繊維、不織布、シート等に加工した際に、消臭剤が樹脂で覆われ消臭性能が十分発現しないため好ましくない。
【0050】
○用途
本発明の消臭分散液は、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ノネナールなどのアルデヒド系ガスに対して消臭効果を有する。また、本発明の消臭組成分散液は、アルデヒド系ガスの消臭以外にアンモニア、硫化水素、メチルメルカプタンなどの種々の悪臭に対する消臭効果に優れている。このことから、本発明の消臭分散液または消臭組成分散液は、活性炭など、従来の消臭剤が使用されている種々の分野、例えば、タバコ臭消臭、生活臭消臭、体臭消臭、糞尿臭消臭、ゴミ臭消臭などの分野で有効である。
また、本発明の消臭分散液は、基材自身からアルデヒドを発生する材料、例えば、合板、集成材、フローリング材、パーティクルボード、断熱材等の建材、フロア−カーペット、消音パット、クッション材、カーシート、ヘッドレスト、アームレスト、トアトリム、成形天井、サンバイザー、リアパッケージトレイ、インストルメントパネル、ダッシュインシュレーサーなどに使用することにより、基材自身から揮発アルデヒドを低減することができる。更に、消臭組成分散液においてもこれら用途に使用することができる。
【0051】
本発明の消臭分散液で処理した消臭加工製品としては、消臭性繊維、消臭性塗料、消臭性シートおよび消臭性樹脂成形品などが例示できる。
本発明の消臭分散液で処理した消臭繊維としては、消臭性を必要とする各種の分野で利用可能である。例えば、当該消臭繊維は、衣類、肌着、ストッキング、靴下、布団、布団カバー、座布団、毛布、じゅうたん、カーテン、ソファー、カバー、シート、カーシート、カーマット、エアーフィルターを始めとして、多くの繊維製品に使用できる。繊維製品への添加方法は繊維製品の表面あるいは裏面にバインダー樹脂を用いて添着する方法や繊維樹脂に練りこむ方法がある。又、本発明の消臭分散液で処理した消臭塗料としては、消臭性を必要とする各種の分野で利用可能である。例えば、当該消臭塗料は、建物の内壁、外壁、鉄道車両の内壁などで使用できる。又、本発明の消臭分散液で処理した消臭性シートとしては消臭性を必要とする各種の分野で利用可能である。例えば、当該消臭性シートは、医療用包装紙、食品用包装紙、鮮度保持紙、紙製衣料、空気清浄フィルター、壁紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、不織布、紙、フィルター、フィルムなどで使用できる。また、本発明の消臭分散液で処理した消臭性成形品としては消臭性を必要とする各種の分野で利用可能である。例えば、当該消臭性成形品は、空気清浄器、冷蔵庫などの家電製品や、ゴミ箱、水切りなどの一般家庭用品、ポータブルトイレなどの各種介護用品、日常品などで使用できる。
【0052】
○実施態様
室温から60℃程度において無機粉体とアミノグアニジン塩の溶液とを混合して製造することを特徴とする消臭分散液。
無機粉体、アミノグアニジン塩と水とを混合し、このpHが1〜7であるアルデヒド系ガス消臭分散液の製造方法。
無機粉体の分散液とアミノグアニジン塩の溶液との混合により製造することを特徴とする消臭分散液。
無機粉体の分散液とアミノグアニジン塩の溶液とを混合し、pHを1〜7に調製して製造することを特徴とする消臭分散液。
無機粉体の分散液とアミノグアニジン塩の溶液とを良く混合した後、分散剤を加えて製造することを特徴とする消臭分散液。
無機粉体の分散液とアミノグアニジン塩の溶液とをpHを1〜7に調製して良く混合した後、分散剤を加えて製造することを特徴とする消臭分散液。
無機粉体の分散液とアミノグアニジン塩の溶液とを良く混合した後、酸性官能基を有する分散剤を加えて製造することを特徴とする消臭分散液。
無機粉体の分散液とアミノグアニジン塩の溶液とをpHを1〜7に調製して良く混合した後、酸性官能基を有する分散剤を加えて製造することを特徴とする消臭分散液。
上記にそれぞれ記載の消臭分散液の製造方法。
【0053】
<実施例>
以下、本発明を更に具体的に説明するが、これに限定されるものではない。なお、%は重量%である。
消臭剤組成物の試料調製方法と得られたサンプルの各種評価試験方法およびその結果は以下の通りである。
【0054】
○ケイ酸アルミニウム
実施例で用いたケイ酸アルミニウムは、この合成時のSiO2:Al23のモル比が9:1のものであり、これを精製水に5%で懸濁させた時のpHは6.5であった。
【0055】
○消臭剤Aの作製
100重量部のケイ酸アルミニウムを撹拌しながら50重量部の30%アミノグアニジン塩酸塩水溶液を室温で添加した。添加後、均一になるまで撹拌した。その後、100℃で30分間乾燥後、180℃で30分間加熱処理を行い、消臭剤Aを得た。なお、精製水に消臭剤Aを5重量%で懸濁させた時のpHは5.5であった。
【0056】
○消臭剤Bの作製
100重量部のケイ酸アルミニウムを撹拌しながら50重量部の30%アミノグアニジン硫酸塩水溶液を室温で添加した。添加後、均一になるまで撹拌した。その後、100℃で30分間乾燥後、210℃で30分間加熱処理を行い、消臭剤Bを得た。なお、精製水に消臭剤Bを5重量%で懸濁させた時のpHは5.5であった。
【0057】
○消臭剤Cの作製
100重量部のケイ酸アルミニウムを撹拌しながら50重量部の30%ジアミノグアニジン塩酸塩水溶液を室温で添加した。添加後、均一になるまで撹拌した。その後、100℃で30分間乾燥後、180℃で30分間加熱処理を行い、消臭剤Cを得た。なお、精製水に消臭剤Cを5重量%で懸濁させた時のpHは5.5であった。
【0058】
○消臭剤Dの作製
100重量部のケイ酸アルミニウムを撹拌しながら50重量部の30%トリアミノグアニジン塩酸塩水溶液を室温で添加した。添加後、均一になるまで撹拌した。その後、100℃で30分間乾燥後、180℃で30分間加熱処理を行い、消臭剤Dを得た。なお、精製水に消臭剤Dを5重量%で懸濁させた時のpHは5.5であった。
【0059】
○消臭剤Eの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにαリン酸ジルコニウム(水に5%で分散させた時のpHは2.9。以下同じものを使用した)を用いたこと以外は、消臭剤Aの作製と同様に操作し、消臭剤Eを得た。なお、精製水に消臭剤Eを5重量%で懸濁させた時のpHは2.2であった。
【0060】
○消臭剤Fの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにαリン酸ジルコニウムを用いたこと以外は、消臭剤Bの作製と同様に操作し、消臭剤Fを得た。なお、精製水に消臭剤Fを5重量%で懸濁させた時のpHは2.2であった。
【0061】
○消臭剤Gの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにαリン酸ジルコニウムを用いたこと以外は、消臭剤Cの作製と同様に操作し、消臭剤Gを得た。なお、精製水に消臭剤Gを5重量%で懸濁させた時のpHは2.2であった。
【0062】
○消臭剤Hの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにαリン酸ジルコニウムを用いたこと以外は、消臭剤Dの作製と同様に操作し、消臭剤Hを得た。なお、精製水に消臭剤Hを5重量%で懸濁させた時のpHは2.2であった。
【0063】
○消臭剤Iの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにシリカゲル(富士シリシア化学(株)サイリシア740、水に5%を分散させた時のpHは6.0。以下同じものを使用した)を用いたこと以外は、消臭剤Aの作製と同様に操作し、消臭剤Iを得た。なお、精製水に消臭剤Iを5重量%で懸濁させた時のpHは4.8であった。
【0064】
○消臭剤Jの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにシリカゲルを用いたこと以外は、消臭剤Bの作製と同様に操作し、消臭剤Jを得た。なお、精製水に消臭剤Jを5重量%で懸濁させた時のpHは4.8であった。
【0065】
○消臭剤Kの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにシリカゲルを用いたこと以外は、消臭剤Cの作製と同様に操作し、消臭剤Kを得た。なお、精製水に消臭剤Kを5重量%で懸濁させた時のpHは4.8であった。
【0066】
○消臭剤Lの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにシリカゲルを用いたこと以外は、消臭剤Dの作製と同様に操作し、消臭剤Lを得た。なお、精製水に消臭剤Lを5重量%で懸濁させた時のpHは4.8であった。
【0067】
○消臭剤組成物Aの作製
消臭剤Aを70重量部、α型層状リン酸ジルコニウムを10重量部、銅結合型α型層状リン酸ジルコニウムを10重量部および水和酸化ジルコニウムを10重量部、を室温で良く混合して消臭剤組成物Aを作製した。
【0068】
○消臭剤組成物Bの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Bを用いた以外は消臭剤組成物Aの作製と同様に操作し、消臭剤組成物Bを作製した。
【0069】
○消臭剤組成物Cの作製
消臭剤Aの代わりに消臭剤Cを用いた以外は消臭剤組成物Aの作製と同様に操作し、消臭剤組成物Cを作製した。
【0070】
○消臭剤組成物Dの作製
消臭剤Aの消臭剤Dを用いた以外は消臭剤組成物Aの作製と同様に操作し、消臭剤組成物Dを作製した。
【0071】
○比較の試料aの作製
ケイ酸アルミニウムを用いた代わりにハイドロタルサイト KW−2100(水に5重量%を分散させた時のpHは10.5、協和化学工業(株)製。以下同じものを使用した)を用いたこと以外は、消臭剤Aの作製と同様に操作し試料aを作製した。なお、精製水に試料aを5重量%で懸濁させた時のpHは10.0であった。
【0072】
○比較の試料bの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにハイドロタルサイト KW−2100を用いたこと以外は、消臭剤Bの作製と同様に操作し試料bを作製した。なお、精製水に試料bを5重量%で懸濁させた時のpHは10.0であった。
【0073】
○比較の試料cの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにハイドロタルサイト KW−2100を用いたこと以外は、消臭剤Cの作製と同様に操作し試料cを作製した。なお、精製水に試料cを5重量%で懸濁させた時のpHは10.0であった。
【0074】
○比較の試料dの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりにハイドロタルサイト KW−2100を用いたこと以外は、消臭剤Dの作製と同様に操作し試料dを作製した。なお、精製水に試料dを5重量%で懸濁させた時のpHは10.0であった。
【0075】
○比較の試料eの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりに合成膨潤性雲母 ソマシフME−100(コープケミカル(株)製、水に5重量%を分散させた時のpHは10.7。以下同じものを使用した)を用いたこと以外は、消臭剤Aの作製と同様に操作し試料eを作製した。なお、精製水に試料eを5重量%で懸濁させた時のpHは10.4であった。
【0076】
○比較の試料fの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりに合成膨潤性雲母 ソマシフME−100を用いたこと以外は、消臭剤Bの作製と同様に操作し試料fを作製した。なお、精製水に試料fを5重量%で懸濁させた時のpHは10.4であった。
【0077】
○比較の試料gの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりに合成膨潤性雲母 ソマシフME−100を用いたこと以外は、消臭剤Cの作製と同様に操作し試料gを作製した。なお、精製水に試料gを5重量%で懸濁させた時のpHは10.4であった。
【0078】
○比較の試料hの作製
ケイ酸アルミニウムの代わりに合成膨潤性雲母 ソマシフME−100を用いたこと以外は、消臭剤Dの作製と同様に操作し試料hを作製した。なお、精製水に試料hを5重量%で懸濁させた時のpHは10.4であった。
【実施例1】
【0079】
精製水100部に対して消臭剤Aを50部、分散剤Disperbyk−180(リン酸基を含むブロック共重合体のアルキルアンモニウム塩、酸価94mgKOH/g、アミン価94mgKOH/g、平均分子量1000、BYK−Chemie社製)を2部、防腐剤ベストサイド#300(大日本インキ化学工業株式会社製)を0.3部、消泡剤Disperbyk−022(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.2部および増粘剤メトロースSH15000(信越化学工業株式会社製)の4%水溶液を5部添加し、サンドミルにて3000rpm、20分間攪拌し、消臭分散液Aを得た。
【実施例2】
【0080】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Bを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Bを作製した。
【実施例3】
【0081】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Cを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Cを作製した。
【実施例4】
【0082】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Dを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Dを作製した。
【実施例5】
【0083】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Eを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Eを作製した。
【実施例6】
【0084】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Fを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Fを作製した。
【実施例7】
【0085】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Gを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Gを作製した。
【実施例8】
【0086】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Hを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Hを作製した。
【実施例9】
【0087】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Iを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Iを作製した。
【実施例10】
【0088】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Jを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Jを作製した。
【実施例11】
【0089】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Kを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Kを作製した。
【実施例12】
【0090】
消臭剤Aの代わりに消臭剤Lを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液Lを作製した。
【実施例13】
【0091】
実施例1において分散剤Disperbyk−180の代わりにポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(ノニオン系分散剤)を用いること以外同様に操作し消臭分散液A1を作製した。
【実施例14】
【0092】
実施例1において分散剤Disperbyk−180の代わりにヘキサメタリン酸ナトリウム(無機系分散剤)を用いること以外は同様に操作して消臭分散液A2を作製した。
【実施例15】
【0093】
実施例1において分散剤を水100部に対して10部(消臭剤100部に対して20部)添加すること以外は同様に操作して消臭分散液A3を作製した。
【実施例16】
【0094】
実施例1において分散剤を水100部に対して0.015部(消臭剤100部に対して0.03部)添加すること以外は同様に操作して消臭分散液A4を作製した。
【実施例17】
【0095】
消臭剤Aの代わりに消臭剤組成物Aを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭組成物分散液Aを作製した。
【実施例18】
【0096】
消臭剤Aの代わりに消臭剤組成物Bを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭組成物分散液Bを作製した。
【実施例19】
【0097】
消臭剤Aの代わりに消臭剤組成物Cを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭組成物分散液Cを作製した。
【実施例20】
【0098】
消臭剤Aの代わりに消臭剤組成物Dを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭組成物分散液Dを作製した。
【実施例21】
【0099】
消臭剤Aの代わりにケイ酸アルミニウム45部とアミノグアニジン硫酸塩5部とを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液B1を作製した。
【実施例22】
【0100】
消臭剤Aの代わりにαリン酸ジルコニウム45部とアミノグアニジン硫酸塩5部とを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液F1を作製した。
【実施例23】
【0101】
消臭剤Aの代わりにシリカゲル45部とアミノグアニジン硫酸塩5部とを用いた以外は実施例1と同様に操作し、消臭分散液J1を作製した。
【0102】
<比較例1>
消臭剤Aの代わりに10部の試料aを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液aを作製した。
【0103】
<比較例2>
消臭剤Aの代わりに10部の試料bを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液bを作製した。
【0104】
<比較例3>
消臭剤Aの代わりに10部の試料cを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液cを作製した。
【0105】
<比較例4>
消臭剤Aの代わりに10部の試料dを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液dを作製した。
【0106】
<比較例5>
消臭剤Aの代わりに10部の試料eを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液eを作製した。
【0107】
<比較例6>
消臭剤Aの代わりに10部の試料fを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液fを作製した。
【0108】
<比較例7>
消臭剤Aの代わりに10部の試料gを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液gを作製した。
【0109】
<比較例8>
消臭剤Aの代わりに10部の試料hを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液hを作製した。
【0110】
<比較例9>
消臭剤Aの代わりに9部のハイドロタルサイト KW−2100と1部のアミノグアニジン硫酸塩とを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液b1を作製した。
【0111】
<比較例10>
消臭剤Aの代わりに9部の合成膨潤性雲母 ソマシフ ME−100と1部のアミノグアニジン硫酸塩とを用いた以外は実施例1と同様に操作し、分散液f1を作製した。
【実施例24】
【0112】
○各分散液の安定性評価
実施例および比較例で作製した各分散液の分散性について、室温で24時間放置後、目視で観察した。その結果を表1および2に示した。
また、各分散液を1Lのポリエチレン製の瓶に入れ、30℃で1ヶ月間静置保存した。その後、上澄み液の高さを測り沈降性を評価した。その結果を表1および2に示した。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
本発明の分散液は、比較例に比べ分散が良好であり保存性もよい。このことから本発明の分散液は、加工製品に対し均質に消臭剤を添着することができるとともに、長期間分散状態を保持できることから保存性にも優れるものである。
【実施例25】
【0116】
○消臭性繊維Aの作製
精製水100重量部に対して消臭分散液Aを10重量部、アクリル系バインダー(KB−1300、東亞合成(株)製)を3重量部添加した懸濁液を作製した。この懸濁液をポリエステル繊維100重量部に対して50重量部を塗布し、150℃で乾燥して消臭性繊維A(消臭剤の含有量は樹脂100重量部に対して1.5部)を得た。
【実施例26】
【0117】
○消臭性繊維Bの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Bを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Bを作製した。
【実施例27】
【0118】
○消臭性繊維Cの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Cを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Cを作製した。
【実施例28】
【0119】
○消臭性繊維Dの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Dを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Dを作製した。
【実施例29】
【0120】
○消臭性繊維Eの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Eを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Eを作製した。
【実施例30】
【0121】
○消臭性繊維Fの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Fを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Fを作製した。
【実施例31】
【0122】
○消臭性繊維Gの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Gを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Gを作製した。
【実施例32】
【0123】
○消臭性繊維Hの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Hを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Hを作製した。
【実施例33】
【0124】
○消臭性繊維Iの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Iを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Iを作製した。
【実施例34】
【0125】
○消臭性繊維Jの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Jを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Jを作製した。
【実施例35】
【0126】
○消臭性繊維Kの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Kを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Kを作製した。
【実施例36】
【0127】
○消臭性繊維Lの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Lを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Lを作製した。
【実施例37】
【0128】
○消臭性繊維Mの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液A1を用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維A1を作製した。
【実施例38】
【0129】
○消臭性繊維Nの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液A2を用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維A2を作製した。
【実施例39】
【0130】
○消臭性繊維Oの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液A3を用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維A3を作製した。
【実施例40】
【0131】
○消臭性繊維Pの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液A4を用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維A4を作製した。
【実施例41】
【0132】
○消臭性繊維Acの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭組成物分散液Aを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Acを作製した。
【実施例42】
【0133】
○消臭性繊維Bcの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭組成物分散液Bを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Bcを作製した。
【実施例43】
【0134】
○消臭性繊維Ccの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭組成物分散液Cを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Ccを作製した。
【実施例44】
【0135】
○消臭性繊維Dcの作製
消臭分散液Aの代わりに消臭組成物分散液Dを用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維Dcを作製した。
【実施例45】
【0136】
○消臭性繊維B1の作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液B1を用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維B1を作製した。
【実施例46】
【0137】
○消臭性繊維F1の作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液F1を用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維F1を作製した。
【実施例47】
【0138】
○消臭性繊維J1の作製
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液J1を用いた以外は、実施例25と同様に操作し消臭性繊維J1を作製した。
【0139】
<比較例11>
○比較例用繊維aの作製
消臭分散液Aの代わりに分散液aを38重量部用いた以外は、実施例25と同様に操作し比較用繊維aを作製した(試料aの含有量は樹脂100重量部に対して1.5部)
【0140】
<比較例12>
○比較例用繊維bの作製
分散液aの代わりに分散液bを用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維bを作製した。
【0141】
<比較例13>
○比較例用繊維cの作製
分散液aの代わりに分散液cを用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維cを作製した。
【0142】
<比較例14>
○比較例用繊維dの作製
分散液aの代わりに分散液dを用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維dを作製した。
【0143】
<比較例15>
○比較例用繊維eの作製
分散液aの代わりに分散液eを用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維eを作製した。
【0144】
<比較例16>
○比較例用繊維cの作製
分散液aの代わりに分散液fを用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維fを作製した。
【0145】
<比較例17>
○比較例用繊維gの作製
分散液aの代わりに分散液gを用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維gを作製した。
【0146】
<比較例18>
○比較例用繊維hの作製
分散液aの代わりに分散液hを用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維hを作製した。
【0147】
<比較例19>
○比較例用繊維b1の作製
分散液aの代わりに分散液b1を用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維b1を作製した。
【0148】
<比較例20>
○比較例用繊維f1の作製
分散液aの代わりに分散液f1を用いた以外は、比較例11と同様に操作し比較用繊維f1を作製した。
【0149】
<比較例21>
○比較例用繊維2aの作製
消臭分散液Aの代わりにアミノグアニジン硫酸塩を3重量部用いた以外は、実施例25と同様に操作し比較用繊維2aを作製した(このアミノグアニジン硫酸塩含有量は樹脂100重量部に対して1.5部)
【0150】
<比較例22>
○比較例用繊維2bの作製
消臭分散液Aの代わりにアジピン酸ジヒドラジドを3重量部用いた以外は、実施例25と同様に操作し比較用繊維2bを作製した(このアジピン酸ジヒドラジド含有量は樹脂100重量部に対して1.5部)
【実施例48】
【0151】
○消臭性繊維に対する消臭効果の測定
消臭性繊維Aを20gテドラーバッグに入れ、悪臭ガス1リットル(アセトアルデヒドガスは40ppm、アンモニアガスは40ppm、硫化水素ガスは10ppmおよび酢酸ガスは40ppm含有)を注入し、室温に静置した。2時間後にテドラーバッグ中の残存ガス濃度を測定した。他の消臭性繊維および比較例用繊維についても同様に操作し、残存ガス濃度を測定した。
これらの結果を表3および4に示した。なお、表中のNDは、評価を行わなかったことを示す。以下、同様である。
【実施例49】
【0152】
○消臭性繊維の表面状態
本発明の消臭性繊維および比較例用繊維の表面状態を目視で観察し、その結果を表3および4に示した。
【0153】
【表3】

【0154】
【表4】

【0155】
この結果より、本発明の消臭分散液で処理した繊維はアセトアルデヒドに対して優れた消臭効果を発現する。また本発明の消臭組成分散液で処理した繊維はアセトアルデヒド、アンモニア、硫化水素、酢酸などの悪臭に対して優れた消臭効果を発現する。
【実施例50】
【0156】
○消臭カーペットA
精製水100重量部に対して消臭分散液Aを7重量部、ウレタン系バインダーKB−3000(東亞合成(株)製)を2.1重量部添加した懸濁液を作製した。
カーペットは、ポリプロピレン製の織布をカーペット基材とし、ポリエステル繊維からなるパイル糸をバッキング処理液(SBRラテックス100部に対して炭酸カルシウム200部、エマルゲン708(花王(株)製)を3部、水10部を添加し、機械発泡したもの)で目付け700g/m2でバッキング処理したものを使用した。このカーペットの表面繊維部に、上記懸濁液50g/m2を塗布し、室内に3時間静置して自然乾燥させ、消臭カーペットA(消臭剤の添着量は固形分として1g/m2、ウレタンバインダーは固形分として0.3g/m2)を作製した。
【実施例51】
【0157】
○消臭カーペットB
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Bを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットBを作製した。
【実施例52】
【0158】
○消臭カーペットC
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Cを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットCを作製した。
【実施例53】
【0159】
○消臭カーペットD
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Dを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットDを作製した。
【実施例54】
【0160】
○消臭カーペットE
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Eを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットEを作製した。
【実施例55】
【0161】
○消臭カーペットF
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Fを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットFを作製した。
【実施例56】
【0162】
○消臭カーペットG
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Gを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットGを作製した。
【実施例57】
【0163】
○消臭カーペットH
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Hを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットHを作製した。
【実施例58】
【0164】
○消臭カーペットI
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Iを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットIを作製した。
【実施例59】
【0165】
○消臭カーペットJ
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Jを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットJを作製した。
【実施例60】
【0166】
○消臭カーペットK
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Kを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットKを作製した。
【実施例61】
【0167】
○消臭カーペットL
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液Lを用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットLを作製した。
【実施例62】
【0168】
○消臭カーペットB1
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液B1を用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットB1を作製した。
【実施例63】
【0169】
○消臭カーペットF1
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液F1を用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットF1を作製した。
【実施例64】
【0170】
○消臭カーペットJ1
消臭分散液Aの代わりに消臭分散液J1を用いたこと以外は実施例50と同様に操作し消臭カーペットJ1を作製した。
【0171】
<比較例23>
○比較用カーペットa
消臭分散液Aの代わりに分散液aを25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットaを作製した。
【0172】
<比較例24>
○比較用カーペットb
消臭分散液Aの代わりに分散液bを25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットbを作製した。
【0173】
<比較例25>
○比較用カーペットc
消臭分散液Aの代わりに分散液cを25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットcを作製した。
【0174】
<比較例26>
○比較用カーペットd
消臭分散液Aの代わりに分散液dを25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットdを作製した。
【0175】
<比較例27>
○比較用カーペットe
消臭分散液Aの代わりに分散液eを25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットeを作製した。
【0176】
<比較例28>
○比較用カーペットf
消臭分散液Aの代わりに分散液fを25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットfを作製した。
【0177】
<比較例29>
○比較用カーペットg
消臭分散液Aの代わりに分散液gを25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットgを作製した。
【0178】
<比較例30>
○比較用カーペットh
消臭分散液Aの代わりに分散液hを25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットhを作製した。
【0179】
<比較例31>
○比較用カーペットb1
消臭分散液Aの代わりに分散液b1を25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットb1を作製した。
【0180】
<比較例32>
○比較用カーペットf1
消臭分散液Aの代わりに分散液f1を25部用いたこと以外は実施例50と同様に操作し比較用カーペットf1を作製した。
【0181】
<比較例33>
○比較用カーペット2a
精製水100重量部に対してアミノグアニジン硫酸塩2.1重量部を溶解させた溶液を作製した。実施例50で用いたのと同様のカーペットの表面繊維部に、この溶液を50g/m2塗布し、室内に3時間放置して自然乾燥させ、比較用カーペット2aを作製した。
【0182】
<比較例34>
○比較用カーペット2b
アミノグアニジン硫酸塩の代わりにアジピン酸ジヒドラジドを用いたこと以外は比較例33と同様に操作し比較用カーペット2bを作製した。
【0183】
<比較例35>
○比較用カーペット2c
アミノグアニジン硫酸塩水溶液の代わりに精製水を用いたこと以外は比較例33と同様に操作し比較用カーペット2c(消臭剤無添加)を作製した。
【実施例65】
【0184】
○アルデヒド消臭性能の測定
消臭カーペットAを縦200mm×横200mmに切り取り試験片とした。この試験片をテドラーバックに封入し、更にアルデヒド系試験ガス3リットル(アセトアルデヒドガスは20ppm、ホルムアルデヒドは20ppm含有)を注入し、室温に静置した。2時間後にテドラーバッグ中の残存ガス濃度を測定した。他の消臭カーペットおよび比較用カーペットについても同様に操作し、残存ガス濃度を測定した。
これらの結果を表5に示した。
【0185】
【表5】

【0186】
本発明の消臭分散液で処理したカーペットは比較例のものに比べホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの消臭効果が高く、優れたアルデヒド消臭効果が発現していることがわかる。
【実施例66】
【0187】
○アルデヒド放散量の測定
消臭カーペットAを縦200mm×横200mmに切り取り試験片とした。この試験片をテドラーバックに封入し、更に窒素ガス4Lを注入した。このテドラーバッグを65℃で2時間加熱し、テドラーバッグ中のアルデヒドガスをDNPHカートリッジ(SUPELCO製)に捕集した。このDNPHカートリッジをアセトニトリルで抽出し、抽出液中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを高速液体クロマトグラフィ(日立製作所製L−6000)にて分析し、1試験片あたりのアルデヒド放散量(μg/試験片)を算出した。他の消臭カーペットおよび比較用カーペットについても同様に操作し、アルデヒド放散量を算出した。
これらの結果を表6に示す。
【0188】
【表6】

【0189】
本発明の消臭分散液で処理したカーペットは比較例のものに比べホルムアルデヒド、アセトアルデヒド放散量が少なくことがわかる。このことは、本発明のカーペットは揮発アルデヒド抑制効果に優れていることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明の消臭分散液は、それ単体でアセトアルデヒドに対する消臭性能に優れるのは勿論のこと、塩基性ガスおよび硫黄系ガスなどに対して優れた消臭性能を示す他の消臭剤と混合(消臭組成分散液)して使用しても、優れた塩基性ガスや硫黄系ガス消臭性能を保ちつつ、アセトアルデヒド消臭性能を十分発揮することができる。このことから、本発明の消臭分散液または消臭組成分散液は、繊維、塗料、シート、成形品、加工品などに優れた消臭性および揮発アルデヒド系ガスの低減効果を付与することができ、これらは消臭製品として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体と水とを含有し、pHが1〜7であることを特徴とするアルデヒド系ガス消臭分散液。
【請求項2】
請求項1記載のアミノグアニジン塩が精製水に分散または溶解させた時のpHが1〜7である物であり、請求項1記載の無機粉体が精製水に分散させた時のpH2〜8である物である、請求項1記載のアルデヒド系ガス消臭分散液。
【請求項3】
請求項2記載の無機粉体がケイ酸塩化合物、4価金属リン酸塩化合物、ゼオライトおよびシリカゲルの中から選ばれる少なくとも1種以上のものである請求項1または2に記載のアルデヒド系ガス消臭分散液。
【請求項4】
請求項1〜3にそれぞれ記載のアルデヒド系ガス消臭分散液に更に分散剤を含有するアルデヒド系ガス消臭分散液。
【請求項5】
硫黄系ガス消臭剤、塩基性ガス消臭剤および有機酸性ガス消臭剤から選ばれる少なくとも1種以上の消臭剤と請求項1〜4にそれぞれ記載のアルデヒド系ガス消臭分散液とを含有する含有する消臭組成分散液。
【請求項6】
請求項1〜4にそれぞれ記載のアルデヒド系ガス消臭分散液または請求項5に記載の消臭組成分散液を用いた消臭加工製品。
【請求項7】
少なくともアミノグアニジン塩と無機粉体と水とを混合し、pHを1〜7に調整することを特徴とするアルデヒド系ガス消臭分散液の製造方法。

【公開番号】特開2007−204892(P2007−204892A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27583(P2006−27583)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】