説明

消臭剤

【課題】
常温だけでなく高温の環境下でも、アルデヒド系の悪臭成分の除去に優れるだけでなく、除去した悪臭成分の再放出が少ない、自動車などの車両の室内に設置されるのに好適な消臭剤を提供する。
【解決手段】
ヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする消臭剤。消臭剤は、ヒドラジド化合物100重量部に対して両イオン性界面活性剤を15〜100重量部含有することが好ましい。消臭剤は、例えば繊維構造体に塗布又は含浸されて使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内のような周囲環境にさらされやすい過酷な環境下において、タバコ臭の主成分や室内VOCであるアルデヒド系の悪臭成分の除去に優れ、しかも除去した悪臭成分を再び放出しにくい特徴を有する消臭剤に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコの煙や内装の接着剤等に含まれるアルデヒド系の成分は、人体に悪影響を与えることが良く知られている。例えば、自動車の室内のような狭い密閉された空間では、ホルムアルデヒドが多量に存在すると、その中にいる人間が不快感を持つだけでなく、健康を損なう原因になりやすい。従って、これらの成分を積極的に除去することが望まれる。
【0003】
アルデヒド系の悪臭成分を除去する消臭剤としては、ヒドラジド化合物と陰イオン界面活性剤を含有するもの(特許文献1参照)、ヒドラジド化合物と非イオン界面活性剤を含有するもの(特許文献2〜4参照)が提案されている。これらの消臭剤は、もっぱら建材に使用されることを意図されており、アルデヒド成分の除去効果とその持続性を得ようと開発されたものである。従って、建物内で使用した場合のアルデヒド除去効果の持続性や木質材料との適合性に主な関心があり、屋外で高温にさらされる環境下での使用が全く考慮されていない。
【0004】
これらの従来の消臭剤は、建物内のような穏やかな環境下では、アルデヒド除去効果やその持続性を比較的容易に達成することができるが、屋外の環境にさらされる自動車の室内のような狭い密閉された空間では、真夏に直射日光が当たると、室温が容易に60℃以上になり、消臭剤が既に除去したアルデヒド成分を保持できず、再び放出しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−299878号公報
【特許文献2】特開2000−300652号公報
【特許文献3】特開2004−141222号公報
【特許文献4】特開2004−173726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、常温だけでなく高温の環境下でも、アルデヒド系の悪臭成分の除去に優れるだけでなく、除去した悪臭成分の再放出が少ない、自動車などの車両の室内に設置されるのに好適な消臭剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、高温環境下でもアルデヒド成分の高い除去率と少ない再放出率の特徴を併せ持つ消臭剤について鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(6)の構成を有するものである。
(1)ヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする消臭剤。
(2)ヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤を水及び/又は有機溶剤に溶解、分散又は乳化させてなることを特徴とする消臭剤。
(3)ヒドラジド化合物100重量部に対して両イオン性界面活性剤を15〜100重量部含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の消臭剤。
(4)消臭剤全量中にヒドラジド化合物を0.1〜20重量%、両イオン性界面活性剤を0.01〜10重量%含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の消臭剤。
(5)車両の室内に使用されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の消臭剤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の消臭剤が塗布又は含浸されていることを特徴とする繊維構造体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の消臭剤は、ヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤を含有することにより、常温だけでなく高温の環境下においても、アルデヒド系の悪臭成分の除去に優れるだけでなく、除去した悪臭成分の再放出が生じにくいという効果を奏することができる。本発明の消臭剤は、過酷な高温環境にさらされる狭い自動車などの車両の室内に使用するのに極めて好適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の消臭剤は、ヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。
【0011】
本発明で使用されるヒドラジド化合物は、アルデヒド系の悪臭成分を吸収する役割を有するものであり、例えば、分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物、分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物、分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物等を挙げることができる。
【0012】
モノヒドラジド化合物は、下記一般式で表わすことができる:
R−CO−NHNH
(式中、Rは水素原子、アルキル基又は置換基を有することのあるアリール基を示す。)
【0013】
Rで示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を挙げることができる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。また、アリール基の置換基としては、例えば、水酸基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基等を挙げることができる。
【0014】
モノヒドラジド化合物としては、ラウリル酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、p−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド等を例示することができる。
【0015】
ジヒドラジド化合物は、下記一般式で表わすことができる:
NHN−X−NHNH
(式中、Xは−CO−又は−CO−A−CO−を示し、Aはアルキレン基又はアリーレン基を示す。)
【0016】
Aで示されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基等の炭素数1〜12の直鎖状アルキレン基を挙げることができる。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等を挙げることができる。上記アルキレン基及びアリーレン基の置換基としては、例えば、水酸基を挙げることができる。
【0017】
ジヒドラジド化合物としては、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド等の2塩基酸ジヒドラジド等を例示することができる。更に、特公平2−4607号公報に記載の各種2塩基酸ジヒドラジド化合物、2,4−ジヒドラジノ−6−メチルアミノ−sym−トリアジン等もジヒドラジド化合物として使用することができる。
【0018】
ポリヒドラジド化合物としては、具体的には、ポリアクリル酸ヒドラジド等を例示することができる。
【0019】
上記のヒドラジド化合物の中では、ジヒドラジド化合物が好ましく、カルボヒドラジドや2塩基酸ジヒドラジドが特に好ましい。2塩基酸ジヒドラジドの中では、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド等がさらに好ましい。
【0020】
上記ヒドラジド化合物は、1種を単独で使用するか又は2種以上を併用することができる。
【0021】
本発明の消臭剤におけるジヒドラジド化合物の含有量は、その種類、併用する界面活性剤の種類や含有量等に応じて変化しうるが、一般的に本発明消臭剤全量の0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0022】
本発明の消臭剤は、上述のヒドラジド化合物以外に、両イオン性界面活性剤を必須成分として含有する。両イオン性界面活性剤は、ヒドラジド化合物を均一に分散してアルデヒド成分の吸着能力を高めるだけでなく、吸着したアルデヒド成分が常温だけでなく高温の環境下でも保持されたままに維持する役割を有する。陽イオン性界面活性剤は、吸着能力の点で問題があり、陰イオン性界面活性剤は、高温下での保持能力の点で問題があり、非イオン性界面活性剤は、吸着能力及び高温下での保持能力の点で問題があり、好ましくない。
【0023】
本発明で使用される両イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン型,アミドプロピルベタイン型,イミダゾリン型,アミンオキシド型の界面活性剤が挙げられる。
【0024】
アルキルベタイン型界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン等を例示することができる。
【0025】
アミドプロピルベタイン型界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等を例示することができる。
【0026】
イミダゾリン型界面活性剤としては、2−ラウロイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等を例示することができる。
【0027】
アミンオキシド型界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンN‐オキシド、オレイルジメチルアミンN‐オキシド等を例示することができる。
【0028】
上記の両イオン性界面活性剤の中では、アルキルベタイン型界面活性剤が好ましく、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが特に好ましい。上記両イオン性界面活性剤は、1種を単独で使用するか又は2種以上を併用することができる。
【0029】
本発明の消臭剤における両イオン性界面活性剤の含有量は、その種類、併用するヒドラジド化合物の種類や含有量等に応じて変化しうるが、一般的に0.005〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%である。また、本発明の消臭剤は、ヒドラジド化合物100重量部に対して両イオン性界面活性剤を15〜100重量部含有することが好ましい。両イオン性界面活性剤の量には、性能の面で上限はないが、あまり多すぎると、消臭剤に泡が多く発生し、基材へ塗布する際に支障をきたすおそれがある。
【0030】
本発明の消臭剤は、上述のヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤を水及び/又は有機溶剤に溶解、分散又は乳化させたものであることができる。有機溶剤としては、消臭機能に影響を与えない限り、いかなる公知のものも使用可能であるが、例えば、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族飽和アルコール類、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール類、エチレングリコール等の多価アルコール類、炭素数1〜8の鎖状又は分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルキル部分が炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖状アルキルであるジアルキルエーテル類、ジアリールエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ケトン類、エステル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、リン酸エステル類等を使用することができる。これらの中では、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族飽和アルコール類及び芳香族炭化水素類が好ましい。上記有機溶剤は、1種を単独で使用するか又は2種以上を併用することができる。
【0031】
本発明の消臭剤には、その効果が損なわれない範囲内で、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、殺菌剤、防カビ剤、防虫剤、顔料、着色剤、着香料等の一般的な添加剤を配合することができる。
【0032】
本発明の消臭剤は、機械的混合手段又は手での攪拌により、所定量のヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤と必要により添加剤を水及び/又は有機溶剤と混合することにより容易に得られることができる。
【0033】
本発明の消臭剤を適用する基材としては、繊維構造体、木材、紙、金属、セラミックス、無機物、合成樹脂等の材料の1種又は2種以上で構成されたものが挙げられるが、繊維構造体が好ましい。
【0034】
本発明の消臭剤を基材へ塗布又は含浸する方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、刷毛塗り、スプレー塗布、浸漬等の方法を使用することができる。本発明の消臭剤の塗布又は含浸量は、特に限定されないが、消臭剤の量が1cmあたり1mg〜1g程度、好ましくは10mg〜100mg程度となるように塗布又は含浸すればよい。
【0035】
本発明の消臭剤の基材への塗布又は含浸後は、風乾、ドライヤー等による乾燥、恒温機等の乾燥機内での乾燥によって、乾燥を実施すればよい。
【0036】
上記のようにして調製された本発明の消臭剤は、アルデヒド成分の吸着性能が高く、しかも吸着されたアルデヒド成分の保持性能が極めて高い。そして、これらの性能は、常温(例えば25℃)だけでなく高温(例えば80℃)の環境下でも十分に発揮される。従って、本発明の消臭剤は、自動車、列車などの車両の室内に設置される消臭剤として極めて有用である。
【実施例】
【0037】
本発明の消臭剤の効果を以下の実施例によって示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で測定した特性値は以下の方法に従った。
【0038】
(1)アセトアルデヒド濃度の測定方法
基材としてポリエステル100%のスパンボンドからなる繊維構造体(目付215g/m、面積100cm、東洋紡績製)を、実施例及び比較例で得られた消臭剤溶液に浸漬し、マングルで搾液し、更に基材を80℃で1時間乾燥することにより、消臭剤固形分が4.2g添着した消臭繊維構造体を得た。それを5リットルテドラーバッグに入れて密封した。次いで、20ppmのアセトアルデヒドガス3リットルをテドラーバッグに注入し、温度25℃、相対湿度50%にコントロールされた試験室内に静置した。ガスを注入してから2時間及び5時間経過後にテドラーバッグ内のガス濃度を検知管(ガステック製、アセトアルデヒド用No.92L)を用いて測定し、消臭率を算出した。次いで、前述の5時間経過後から、さらに10分経過後にテドラーバッグ内のガス濃度を検知管(ガステック製、アセトアルデヒド用No.92L)を用いて測定し、常温下での再放出率を算出した。その後に消臭繊維構造体とガスの入ったテドラーバッグをそのままの状態で80℃の恒温乾燥機内に入れた。10分経過後取り出し、直ちにテドラーバッグ内のガス濃度を検知管(ガステック製、アセトアルデヒド用No.92L)を用いて測定し、加熱後の再放出率を算出した。
【0039】
(2)消臭率の算出方法
消臭率は、上述の測定方法により測定された濃度から下記式に従って算出した。
消臭率(%)={1−(所定時間経過後のアセトアルデヒド濃度[ppm]/初期濃度[ppm])}
【0040】
(3)再放出率の算出方法
再放出率は、上述の測定方法により測定された濃度から下記式に従って算出した。
常温下の再放出率(%)={(常温5時間10分経過後のアセトアルデヒド濃度[ppm]−5時間後のアセトアルデヒド濃度[ppm])/(初期濃度[ppm]−5時間後のアセトアルデヒド濃度[ppm])}×100
加熱後の再放出率(%)={(80℃10分間加熱後のアセトアルデヒド濃度[ppm]−5時間後のアセトアルデヒド濃度[ppm])/(初期濃度[ppm]−5時間後のアセトアルデヒド濃度[ppm])}×100
【0041】
実施例1
アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学製)1.20gとラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(アルキルベタイン型両イオン性界面活性剤、濃度40質量%、松本油脂製「ビスターML」)0.60gを水78.20gに溶解して消臭剤溶液を得た。
【0042】
実施例2
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインの量を0.90gに、水の量を77.90gに変更した以外は、実施例1と同様にして消臭剤溶液を得た。
【0043】
実施例3
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインの量を1.20gに、水の量を77.60gに変更した以外は、実施例1と同様にして消臭剤溶液を得た。
【0044】
比較例1
アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学製)1.20gとジアルキルスルホサクシネート(スルホン酸型アニオン性界面活性剤、濃度11質量%、センカ製「ACS−32」)4.40gを水74.40gに溶解して消臭剤溶液を得た。
【0045】
比較例2
アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学製)1.20gとポリオキシエチレンオレイルエーテル(ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤、濃度22質量%、第一工業製薬製「ノイゲンHC」)2.20gを水76.60gに溶解して消臭剤溶液を得た。
【0046】
比較例3
アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学製)1.20gとN−ヒドロキシエチルプロピルアルキルアマイドニトレート(第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、濃度50質量%、松本油脂製「エフコール70」)0.96gを水77.84gに溶解して消臭剤溶液を得た。
【0047】
比較例4
アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学製)1.20gを水78.80gに溶解して消臭剤溶液を得た。
【0048】
実施例1〜3及び比較例1〜4の消臭剤溶液の詳細と評価結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
表1から明らかなように、両イオン性界面活性剤を使用する実施例1〜3は、他の種類の界面活性剤を使用する比較例1〜3や界面活性剤を使用しない比較例4に比べて、常温での消臭率(2時間後、5時間後)と80℃での再放出率が優れており、実施例1〜3の消臭繊維構造体が車両の室内に設置されるのに最も好適であることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の消臭剤は、常温だけでなく高温の環境においても高い消臭性と低い再放出性を併せ持つので、外部環境にさらされる自動車等の車両の室内に設置される消臭剤として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする消臭剤。
【請求項2】
ヒドラジド化合物と両イオン性界面活性剤を水及び/又は有機溶剤に溶解、分散又は乳化させてなることを特徴とする請求項1に記載の消臭剤。
【請求項3】
ヒドラジド化合物100重量部に対して両イオン性界面活性剤を15〜100重量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の消臭剤。
【請求項4】
消臭剤全量中にヒドラジド化合物を0.1〜20重量%、両イオン性界面活性剤を0.01〜10重量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の消臭剤。
【請求項5】
車両の室内に使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の消臭剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の消臭剤が塗布又は含浸されていることを特徴とする繊維構造体。

【公開番号】特開2011−200353(P2011−200353A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69210(P2010−69210)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(391021570)呉羽テック株式会社 (57)
【Fターム(参考)】