説明

消臭及び切花延命剤、及びその使用方法、並びにその製造方法

【課題】消臭効果が高く、使い易い、消臭及び切花延命剤、及びその使用方法、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】炭化装置によって炭化されたもみ殻炭、あるいは桐炭、あるいは杉炭は、消臭効果が高い。例えば、もみ殻炭101(炭化温度500℃)とシロップ600を混合して、加圧、加熱成形して成形体とし、これを消臭及び切花延命剤501とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭及び切花延命剤に関し、特に、炭化装置によって炭化された炭化物をシロップと混合して成型した固形物を主体とする消臭及び切花延命剤、及びその使用方法、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の切花延命剤に関しては、例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1には、粉末活性炭を用いた、切花延命剤について記載されている。
特許文献2には、木質などを炭化させた炭化物を用いた消臭剤について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−159235号公報
【特許文献2】特開2004−230051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の消臭及び切花延命剤に用いられる炭化物は、バッチ式の炭化炉によって炭化された炭化物であって、賦活工程などを行わなければ比表面積が小さいため、消臭効果が弱く、一定の消臭能力に留まっていた。また、賦活を行って活性炭とした場合には、消臭効果は高まるがコストも高く、利用範囲が限られていた。
【0005】
本発明の課題は、炭化装置によって炭化されたもみ殻炭、あるいは桐炭、あるいは杉炭を使用した消臭効果が高く、使い易い、消臭及び切花延命剤、及びその使用方法、並びにその製造方法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の消臭及び切花延命剤に使用される、もみ殻炭、桐炭あるいは杉炭は、被炭化物を通常の炭化装置にて炭化されたもの、あるいは無酸素雰囲気中で、攪拌しながら炭化される炭化装置にて炭化されたものを用い、これらの炭化物と、糖質であるシロップと混合した後、加圧、加熱して、ペレット形状とし、使い易い消消臭及び切花延命剤、及びその使用方法、並びにその製造方法を得ることができる。
【0007】
請求項1に係る発明は、炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱されて成形された成形物であることを特徴とする切花延命剤である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記炭化物の、前記切花延命剤100重量部に対する割合は、30重量部〜70重量部とすることを特徴とする請求項1記載の切花延命剤である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記炭化物は、もみ殻炭、あるいは、桐炭、あるいは杉炭とすることを特徴とする請求項1または2記載の切花延命剤である。
【0010】
請求項4に係る発明は、炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱されて成形された成形物であることを特徴とする消臭剤である。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記炭化物の、前記消臭剤100重量部に対する割合は、30重量部〜70重量部とすることを特徴とする請求項4記載の消臭剤である。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記炭化物は、もみ殻炭、あるいは、桐炭、あるいは杉炭とすることを特徴とする請求項4または5記載の消臭剤である。
【0013】
請求項7に係る発明は、炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱されて成形された成形物を、花を生けた花瓶の中の水に浸漬させて、切花の寿命を長持ちさせることを特徴とする切花延命剤の使用方法である。
【0014】
請求項8に係る発明は、炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱されて成形された成形物を、花瓶の中の水に浸漬させて、水質の劣化を防止することにより消臭することを特徴とする消臭剤の使用方法である。
【0015】
請求項9に係る発明は、炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱して成形することを特徴とする切花延命剤の製造方法であって、前記切花延命剤100重量部に対して、前記炭化物の割合を、30重量部〜70重量部とすることを特徴とする切花延命剤の製造方法である。
【0016】
請求項10に係る発明は、炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱して成形することを特徴とする消臭剤の製造方法であって、前記消臭剤100重量部に対して、前記炭化物の割合を、30重量部〜70重量部とすることを特徴とする消臭剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、2、3に係る切花延命剤によれば、通常の設備にて、量産性のある切花延命剤を提供できる。
【0018】
請求項4、5,6に係る消臭剤によれば、通常の設備にて、量産性のある消臭剤を提供できる。
【0019】
請求項7に係る切花延命剤の使用方法によれば、花瓶に生けた切花を長持ちさせることができる。
【0020】
請求項8に係る消臭剤の使用方法によれば、花瓶の水の劣化による臭いを確実に消すことができる。
【0021】
請求項9に係る切花延命剤の製造方法によれば、通常の設備にて、量産性のある切花延命剤の製造を提供できる。
【0022】
請求項10に係る消臭剤の製造方法によれば、通常の設備にて、量産性のある消臭剤の製造方法を提供できる。
【0023】
本発明によれば、炭化装置によって炭化されたもみ殻炭、あるいは桐炭、あるいは杉炭を使用した消臭効果が高く、使い易い、消臭及び切花延命剤、及びその使用方法、並びにその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の消臭及び切花延命剤に使用されるもみ殻炭(500℃で炭化)のSEM写真である。
【図2】本発明の消臭及び切花延命剤使用されるもみ殻炭(600℃で炭化)のSEM写真である。
【図3】本発明の消臭及び切花延命剤に使用される桐炭(500℃で炭化)のSEM写真である。
【図4】本発明の消臭及び切花延命剤に使用される杉炭(500℃で炭化)のSEM写真である。
【図5】本発明の消臭及び切花延命剤に使用されるもみ殻炭、あるいは桐炭、あるいは杉炭を炭化するための、炭化装置の1例の構成図である。
【図6】本発明の消臭及び切花延命剤の斜視図。
【図7】切花延命の比較実験の初期状態の写真。
【図8】切花延命の比較実験の5日後の経過の写真。
【図9】切花延命の比較実験の7日後の経過の写真。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の消臭及び切花延命剤に使用される炭化物である、もみ殻炭、あるいは桐炭、または杉炭は、通常の炭化装置にて炭化されるか、あるいは無酸素囲気中にて、撹拌しながら炭化される炭化装置にて炭化されることを特徴としている。使用する炭化装置としては、被炭化物が、炭化される炭化装置であれば、その形式は問わない。
【0026】
ここで、無酸素囲気中にて、撹拌しながら炭化される炭化装置の一例として、図5に本発明のもみ殻、あるいは桐、または杉を炭化するための、炭化装置の1例の構成図を示した。図5に示すように、本発明で使用される炭化装置(還元炭化処理装置)は、内部に螺旋羽と攪拌羽を配置した回転する一つのキルン2と、この一つのキルン2の内部に投入された廃棄物を含む有機物等を無酸素雰囲気の還元状態で間接加熱しつつ有機物等に蓄熱して一つのキルン2の内部全体に熱を供給する燃焼室3と、燃焼室3内に臨むバーナー等の加熱源4と、キルン2の内部に投入された有機物等に含まれる水分を燃焼室3の間接加熱によって蒸発させるようにキルン2の内部にエリア設定された乾燥部2aと、乾燥部2aで乾燥処理された有機物等を間接加熱分解させることで炭化させるようにキルン2の内部にエリア設定された炭化部2bと、を備えている。
本装置は還元滅菌炭化加工機SUMIX(株式会社ガイア環境技術研究所製)と称し、本装置によって製造される炭化物を以後SUMIX炭と称する。もみ殻炭に関しては、SUMIXもみ殻炭と称し、桐炭に関しては、SUMIX桐炭と称し、杉炭に関しては、SUMIX杉炭と称する。
【0027】
図1は、本発明の消臭及び切花延命剤であるもみ殻炭(500℃で炭化)のSEM写真である。
図2は、本発明の消臭及び切花延命剤であるもみ殻炭(600℃で炭化)のSEM写真である。
図3は、本発明の消臭及び切花延命剤である桐炭(500℃で炭化)のSEM写真である。
図4は、本発明の消臭及び切花延命剤である杉炭(500℃で炭化)のSEM写真である。
【0028】
SUMIX炭は、素材の天然構造を維持したままで、高純度の炭素固定がなされており、且つ一部ガス賦活がなされているため、ミクロ孔からマクロ孔まで幅広く分布している。
これは主にミクロ孔が発達した活性炭と比較して、吸着速度において優れた特徴を有する。
また、活性炭よりもずっと安価であるため、大量使用するのにも適している。
このようなSUMIX炭の特徴は、使い捨ての消臭及び切花延命剤に好適である。
【実施例】
【0029】
本発明の消臭、あるいは切花延命剤の実施例について、以下説明する。
(実施例1)
【0030】
図6は、本発明は、本発明の切花延命剤の斜視図である。図6にて、切花延命剤501は、加圧、加熱されて成形された形状であり、使い易い、取り扱い易い形体である。
切花延命剤501は、炭化物である、もみ殻炭101(炭化温度500℃)とシロップ600が混合されている。もみ殻炭(炭化温度500℃)は、切花延命剤の100重量部に対する割合を、30重量部〜70重量部に設定している。
【0031】
ここで、もみ殻炭101は、SUMIXもみ殻炭であって、は、(0024)〜(0026)にて説明した、もみ殻炭が用いられる。
(実施例2)
【0032】
図7は、実施例1での切花延命剤501を、花瓶に浸漬した花と、水のみを用いた花との、切花延命の状態の比較実験の初期状態の写真である。図7にて、右側の花瓶が、切花延命剤501が浸漬された花瓶である。
【0033】
図8は、切花延命の比較実験の5日後の経過の写真であり、図9は、切花延命の比較実験の7日後の経過の写真である。図8、図9より、5日後にやや差が見られ、7日後には、明らかに、差が出ており、花持ち剤501を、花瓶に浸漬した花の方が、長持ちしていることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の消臭及び切花延命剤には、もみ殻炭、あるいは桐炭、あるいは杉炭を使用し、加圧、加熱されて成形された形状であり、消臭及び切花延命剤を花瓶などの水の中に浸漬する用途にて、切花を長持ちさせることができ、且つ、臭いを消すことができる。
【符号の説明】
【0035】
2…キルン
2a 乾燥部
2b 炭化部
2d 蓄熱部
2c 内部空間
2in 入口
2out 出口
3…燃焼室
3a…排気管
4…加熱源
5…配管部
6…冷却部
7…脱臭部
8…乾留ガス回収部
9…補助加熱源
10…蒸気煙経路
11…油化部
12…配水管
13…ファン
14…ホッパ
15…原料供給配管
16…供給スクリュー
17…第2排出配管
18…冷却装置
19…接続管(下流側排ガス管)
19a 下流側排ガス管上管
19b 下流側排ガス管下管
20…搬送スクリュー
21…搬送スクリュー
22…蒸気抜きパイプ(上流側排ガス管)
22a 上流側排ガス管上管
22b 上流側排ガス管下管
23 煙突部
24 循環管
25 ガス抜きパイプ
30 接続部
60 回収部
P 投入素材
Q 炭化された素材
101 もみ殻炭
600 シロップ
501 消臭及び切花延命剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱されて成形された成形物であることを特徴とする切花延命剤。
【請求項2】
前記炭化物の、前記切花延命剤100重量部に対する割合は、30重量部〜70重量部とすることを特徴とする請求項1記載の切花延命剤。
【請求項3】
前記炭化物は、もみ殻炭、あるいは、桐炭、あるいは杉炭とすることを特徴とする請求項1または2記載の切花延命剤。
【請求項4】
炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱されて成形された成形物であることを特徴とする消臭剤。
【請求項5】
前記炭化物の、前記消臭剤100重量部に対する割合は、30重量部〜70重量部とすることを特徴とする請求項4記載の消臭剤。
【請求項6】
前記炭化物は、もみ殻炭、あるいは、桐炭、あるいは杉炭とすることを特徴とする請求項4または5記載の消臭剤。
【請求項7】
炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱されて成形された成形物を、花を生けた花瓶の中の水に浸漬させて、切花の寿命を長持ちさせることを特徴とする切花延命剤の使用方法。
【請求項8】
炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱されて成形された成形物を、花瓶の中の水に浸漬させて、水質の劣化を防止することにより消臭することを特徴とする消臭剤の使用方法。
【請求項9】
炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱して成形することを特徴とする花持ち剤の製造方法であって、前記切花延命剤100重量部に対して、前記炭化物の割合を、30重量部〜70重量部とすることを特徴とする切花延命剤の製造方法。
【請求項10】
炭化装置にて炭化された炭化物を、シロップと混合し、加圧、加熱して成形することを特徴とする消臭剤の製造方法であって、前記消臭剤100重量部に対して、前記炭化物の割合を、30重量部〜70重量部とすることを特徴とする消臭剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−211119(P2012−211119A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78771(P2011−78771)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(508314283)株式会社ガイア環境技術研究所 (5)
【出願人】(511083433)株式会社ゼロエミッション (1)
【Fターム(参考)】