説明

消臭機能を付与した棚板

【課題】吸臭性、調湿性、化学物質の吸着性を有する竹炭を、収納家具の棚板内に収容可能にし、収納家具の使用に際して竹炭が手に触れることがないが、収納家具内の空気と十分に接触でき、また簡易に取り出しも可能にした、消臭機能をもつ棚板を提供する。
【解決手段】棚板本体3が、上面板3bと、該上面板の前後端及びそれらの間に位置して該上面板から垂下する複数の連結板3dと、隣接する連結板の先端間を、竹炭ボード2を収容する連結板間の部分を除いて相互に連結する裏面板3cとを、合成樹脂で一体成形して構成する。竹炭ボード2は、竹炭の粉粒体を圧縮して板状に形成して構成される。棚板本体の竹炭ボードを収容する収容空間3aに、棚板本体の裏面側から嵌着して弾性的に係止する蓋板4には、全面的に多数の通気孔4aを設ける。棚板本体の上面板と裏面板との間の閉じられた空間7に補強部材5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹炭が有するすぐれた吸臭性、調湿性、化学物質の吸着性を利用し、主として履き物等の異臭を発することが多いものの収納空間を形成する棚板として用いるのに適するように構成してなる消臭機能を付与した棚板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、竹炭の粉粒体を圧縮して板状化した竹炭ボードを建物の内装材等として用いることは既に知られている(例えば特許文献1参照)。
この竹炭ボードは、建物の内装材や家具等の一部に配設する場合に、直接的に竹炭に触れて衣服を汚したり、人や他物が接触して竹炭粉が散乱したりするのを抑制しなければ、現実的な使用には問題があり、かといって、ボンド材を多くして竹炭粉の散乱を抑制したり、表面を保護する通気性の被覆材等を用いて生活環境から極度に隔離したりすると、竹炭の気孔による吸着効果等が低下することになり、そのため、上記竹炭ボードは、人がそれに接触することがない状態ではあるが、できるだけ周囲の空気と接触する状態で多量に使用し、しかも、においの発生源に近いところに配設することが望まれる。
【0003】
かかる観点からすれば、特に、履き物等の異臭を発するもの、あるいは、においと湿気を出す食品等の収納家具において、多数枚使用されるところの棚板に竹炭ボードを付設して用いるのが、収納空間の容積に比して竹炭ボードの使用量を多くし、あるいはその量を調整して効果的に吸臭性や調湿性、化学物質の吸着性を発揮させるのに有効である。
一方、この竹炭ボードは、すぐれた吸臭性や化学物質の吸着性を有し、比較的長期にわたる使用によってその効果が低下しても、簡単な手段によってその機能を再生させることができるので、吸臭性や化学物質の吸着性の再生を容易に実施できる状態で、つまり、容易に取り出せる状態で使用することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−158419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、竹炭が有するすぐれた吸臭性、調湿性、化学物質の吸着性を住環境において利用するに当たり、主として履き物等の異臭を発することが多いものの収納家具の棚板において用いるのが有効であるとの観点に基づき、該収納家具の利用に際して竹炭ボードが手に触れるようなことがなく、しかしながら、該竹炭ボードは該収納家具内の空気と十分に接触させることができ、また、竹炭ボードを簡易に取り出し可能にして効果が低下したものの再生を容易に実施できるようにしたところの、消臭機能を付与した棚板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によれば、棚板本体が、載置面を形成する上面板と、該上面板の前後端及びそれらの間に位置して該上面板から垂下する複数の連結板と、隣接する上記連結板の先端間を、竹炭ボードを収容する連結板間の部分を除いて相互に連結する裏面板とを、合成樹脂で一体成形することにより構成され、上記竹炭ボードは、竹炭の粉粒体を圧縮して板状に形成することにより構成され、上記棚板本体の竹炭ボードを収容する連結板間の収容空間に該棚板本体の裏面側から嵌着する蓋板が、全面的に多数の通気孔を有し、該収容空間の両側の連結板に弾性的に係止する係脱自在の係止突条を備えたものとして構成され、上記棚板本体と、上記竹炭ボードと、上記蓋板と、上記棚板本体における上面板と裏面板との間の閉じられた空間に嵌入される補強部材とを備えていることを特徴とする消臭機能を付与した棚板が提供される。
【0007】
本発明に係る上記棚板の好ましい実施形態においては、上記竹炭ボードの収容空間を形成する棚板本体の上面板及び蓋板に、該収容空間に収容した竹炭ボードを支持して、上記上面板及び蓋板と該竹炭ボードとの間に通気用隙間を形成するリブが設けられる。
また、上記棚板の他の好ましい実施形態においては、上記補強部材が金属形材により形成され、更に、上記竹炭ボードの収容空間の両側に位置する連結板の背後に、それぞれ上記補強部材を収容する空間が形成される。
【0008】
上記構成を有する本発明の消臭機能を付与した棚板は、履き物等の異臭を発するもの、あるいは、においと湿気を出す食品等の収納家具において、多数枚使用されるところの棚板に竹炭ボードを付設して用いるので、収納空間の容積に比して竹炭ボードの使用量を多くし、あるいはその量を調整して効果的に吸臭性や調湿性、化学物質の吸着性を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上に詳述した本発明によれば、竹炭が有するすぐれた吸臭性、調湿性、化学物質の吸着性を住環境において利用するに当たり、主として履き物等の異臭を発することが多いものの収納家具の棚板の下面側に竹炭ボードを収容しているので、該収納家具の利用に際して竹炭ボードが手や衣服等に触れるようなことがなく、しかしながら、該収納家具の扉の開閉に伴って内部の空気が流動するので、該竹炭ボードを該収納家具内の空気と十分に接触させることができ、また、竹炭ボードを簡易に取り出し可能にしているので、効果が低下したものの再生を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る棚板の実施例を示す横断面図である。
【図2】同実施例の要部拡大断面図である。
【図3】同下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜図3は、本発明に係る消臭機能を付与した棚板の実施例を示している。この棚板1は、履き物等の異臭を発するもの、あるいは、においと湿気を出す食品等の収納家具のように、吸臭性や調湿性、化学物質の吸着性を持たせるのが望ましい収納家具において用いるものであり、この種の収納家具においては棚板が多数枚使用されることから、その棚板内に竹炭ボード2の収容空間を設けて、異臭や湿気の量に応じて該竹炭ボード2の収容量を調整できるようにしている。つまり、収納家具の他の部位に竹炭ボード2を収容する場合に比して、該竹炭ボード2を多量に収容できるので、必要に応じて、収納家具内において上記竹炭ボード2を収容した棚板1と他の棚板とを混用することができる。上記竹炭ボード2とは、竹炭を粉砕したうえで、厚さ数mm〜拾数mm程度の厚さ方向に通気性を持つ平板状に圧縮成形し、それを所要の幅をもつ長尺板状に形成したものである。
【0012】
上記棚板1の構成について更に具体的に説明すると、該棚板1は、概略的には、その主要部を構成する棚板本体3と、該棚板本体3内に形成された収容空間3aに収容される上記竹炭ボード2と、該収容空間3aを覆う蓋板4と、上記棚板本体3内にその補強のために嵌入する補強部材5とを備えている。この棚板1は、図1において紙面に垂直な方向に伸びる長尺材として構成され、収納家具においては、それを所要の長さに切断し、必要に応じてその切断端に端板を取り付けて使用されるものである。
【0013】
上記棚板本体3は、収納家具への収納品の載置面を形成する上面板3bと、該上面板3bの前後端及びそれらの間に位置して該上面板3bから垂下する複数の連結板3dと、隣接する上記連結板3d,3dの先端間を、竹炭ボード2を収容する連結板3d,3d間の部分を除いて相互に連結する裏面板3cとを、合成樹脂で一体成形することにより構成している。したがって、上記棚板本体3においては、裏面板3cを設けていない二つの連結板3d,3d間に竹炭ボード2を収容するための収容空間3aが形成され、該収容空間3aには上記棚板本体3の裏面側から蓋板4を嵌着するようにしている。
【0014】
該蓋板4は、その下面に全面的に多数の通気孔4aを有し、幅方向両側端の脚部4b,4bには先端側が広がる傾斜を持たせて弾性的に内側に変形可能とし、該脚部4bの先端側に、上記竹炭ボード2の収容空間3aの両側の連結板3d,3dに設けた係止部3eに弾性的に係止する係脱自在の係止突条4cを備えたものとして構成している。また、上記竹炭ボード2の収容空間3aを形成する棚板本体3の上面板3b及び蓋板4の内側面には、該収容空間3aに収容した竹炭ボード2を支持して、上記上面板3b及び蓋板4と該竹炭ボード2との間に通気用間隙6を形成する複数のリブ3f,4dがそれぞれ設けられている。上記リブ3f,4dは、竹炭ボード2の上下面や幅方向端に当接して、上記収容空間3a内における竹炭ボード2の遊動を抑制する機能をも備えるものである。
【0015】
なお、上記蓋板4における脚部4b,4bの先端間の幅は、それを嵌着する連結板3d,3d間の間隔よりも僅かに小さくしておくことにより、該蓋板4の脚部4b,4bを上記連結板3d,3d間に嵌めて蓋板4を押しつけるだけで、該蓋板4が収容空間3aを覆う位置においてリブ3f,4dにより竹炭ボード2が所定の位置に装着され、該竹炭ボード2の収容を完了することができる。
【0016】
上記棚板本体3における隣接する連結板3d,3dの先端間に裏面板3cを設けた部分では、上面板3bと裏面板3cとの間に閉じられた空間7が形成されるが、この空間7には棚板本体3の長手方向に沿う金属材からなる補強部材5を離散的に嵌入している。上述したように上面板と裏面板との間が中空状になるような板材を合成樹脂によって構成する場合、一般的には上記連結板3dに相当するものをほぼ一定の間隔で上面板と裏面板との間に設けることにより、強度的な補強が行われるが、上記棚板1においては、その内部に竹炭ボード2を収容するために連結板3dを必ずしも必要数だけ設けることができず、強度不足になる可能性もあり、そのため、上記補強部材5を上記空間7に嵌入している。
【0017】
上記補強部材5を収容する空間7は、図示しているように、竹炭ボード2の収容空間3aの両側の連結板3d,3dの背後に位置させるのが望ましいが、必ずしもそこに限るものではない。また、上記補強部材5として、図示する実施例では、断面がコ字状をなす金属板により形成した金属形材を、そのコ字状の開口側が上又は下を向くようにして上記空間7に嵌入しているが、上記上面板3bと裏面板3cとの間の閉じられた空間7に嵌入できるような任意断面形状のものを用いることができる。その素材としては、アルミニウムまたは鉄材が用いられる。
【0018】
上記収納家具の棚板1に上記竹炭ボード2を収容できるようにすると、収納家具の天板や周壁内に竹炭ボードを入れる場合に比して、収納家具における収納空間の容積に対する竹炭ボード2の使用量を多くすることができ、効果的に吸臭性や調湿性、化学物質の吸着性を発揮させることができる。
【0019】
上記構成を有する棚板1を用いた収納家具は、その使用に際して竹炭ボード2が手や衣服に直接接触してそれらを汚したり、外力等により破損して竹炭粉が散乱するようなことはなく、そのため、竹炭ボード2としては、竹炭の粉粒体をボンド材によって安定的に固結しておく必要はなく、竹炭の粉粒体を圧縮成形するに際してボンド材を使用しないか、たとえそれを使用するにしても、竹炭の気孔による吸着効果等を殆ど減殺しない範囲内とすることができる。しかも、上記収納家具ではその扉の開閉に伴って内部の空気が流動するので、該竹炭ボード2を収納家具内の空気と十分に接触させることができ、また、竹炭ボード2を簡易に取り出し可能にしているので、効果が低下したものの再生を容易に実施することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 棚板
2 竹炭ボード
3 棚板本体
3a 収容空間
3b 上面板
3c 裏面板
3d 連結板
3f リブ
4 蓋板
4a 通気孔
4b 脚部
4c 係止突条
4d リブ
5 補強部材
6 通気用間隙
7 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板本体が、載置面を形成する上面板と、該上面板の前後端及びそれらの間に位置して該上面板から垂下する複数の連結板と、隣接する上記連結板の先端間を、竹炭ボードを収容する連結板間の部分を除いて相互に連結する裏面板とを、合成樹脂で一体成形することにより構成され、
上記竹炭ボードは、竹炭の粉粒体を圧縮して板状に形成することにより構成され、
上記棚板本体の竹炭ボードを収容する連結板間の収容空間に該棚板本体の裏面側から嵌着する蓋板が、全面的に多数の通気孔を有し、該収容空間の両側の連結板に弾性的に係止する係脱自在の係止突条を備えたものとして構成され、
上記棚板本体と、上記竹炭ボードと、上記蓋板と、上記棚板本体における上面板と裏面板との間の閉じられた空間に嵌入される補強部材とを備えている、
ことを特徴とする消臭機能を付与した棚板。
【請求項2】
上記竹炭ボードの収容空間を形成する棚板本体の上面板及び蓋板に、該収容空間に収容した竹炭ボードを支持して、上記上面板及び蓋板と該竹炭ボードとの間に通気用隙間を形成するリブを備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の消臭機能を付与した棚板。
【請求項3】
上記補強部材が金属形材により形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の消臭機能を付与した棚板。
【請求項4】
上記竹炭ボードの収容空間の両側に位置する連結板の背後に、それぞれ上記補強部材を収容する空間が形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の消臭機能を付与した棚板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−382(P2012−382A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140773(P2010−140773)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000107930)セイキ販売株式会社 (57)
【Fターム(参考)】