説明

消臭機能剤及び該消臭機能剤を用いた消臭機能材

【課題】 本発明は、ゼオライト、シリカ及び医王石を所定の粒径及び配合比で混合することより最大効率の相乗消臭機能を具備させ、しいては従来にない程にトリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニアの強力な消臭を可能とするばかりか、特に硫化水素を短時間で完全に消臭することが出来るという極めて優れた消臭機能剤及び該消臭機能剤を用いた消臭機能材を提供するものである。
【解決手段】 消臭機能剤が、1μ以下の粒径に加工された粉末状ゼオライトと1μ以下の粒径に加工された粉末状シリカと1μ以下の粒径に加工された粉末状医王石とを混合すると共に、該粉末状ゼオライトと粉末状シリカとの混合が70〜90重量%、粉末状医王石が10〜30重量%で構成され、且つ水性エマルジョンと攪拌混合させてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト、シリカ及び医王石の三種を混合して得られる消臭機能剤及び該消臭機能剤を用いた消臭機能材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種消臭機能を有するものとして、ゼオライトを用いた技術に関しては、特開2004−360150号公報、特開2004−218176号公報所載のものがあり、シリカを用いた技術としては、特開2006−122593号公報所載のものがあり、更に医王石を用いた技術としては、特開2005−218979号公報所載のものが存在する。
【0003】
上記公報所載の消臭機能剤は、何れのものも一般的に悪臭といわれるもの全般のみならず、特に4大悪臭と言われるトリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニア、硫化水素といった悪臭を吸着消臭する能力を備えたものである。
【特許文献1】 特開2004−360150号公報
【特許文献2】 特開2004−218176号公報
【特許文献3】 特開2006−122593号公報
【特許文献4】 特開2005−218979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、以下のとおりである。
即ち、上記各公報所載の消臭機能剤は、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニア、硫化水素といった4大悪臭を吸着することは出来るものの、その吸着力、即ち消臭力にそれぞれ違いがあるばかりか、特に硫化水素に至ってはゼオライト、シリカ、医王石を用いた消臭機能剤でも完全に消臭することが出来ないという問題が生じており、何らかの解決策が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、ゼオライト、シリカ及び医王石を所定の粒径及び配合比で混合することより最大効率の相乗消臭機能を具備させ、しいては従来にない程にトリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニアの強力な消臭を可能とするばかりか、特に硫化水素を短時間で完全に消臭することが出来るという極めて優れた消臭機能剤及び該消臭機能剤を用いた消臭機能材を提供することを課題とするものである。
【発明の効果】
【0006】
即ち、本発明における消臭機能剤は、1μ以下の粒径に加工された粉末状ゼオライトと1μ以下の粒径に加工されたシリカと1μ以下の粒径に加工された粉末状医王石とを混合すると共に、該粉末状ゼオライトと粉末状シリカとの混合が70〜90重量%、粉末状医王石が10〜30重量%で構成され、且つ水性エマルジョンと攪拌混合させてなることから、粒径が1μ以下のゼオライト、シリカ及び医王石の各々が適正な配合比で水性エマルジョンに均等拡散されて完全に溶け込むことで最大効率の相乗消臭機能を引き出すことが可能となり、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニアのみならず特に硫化水素に対しては完全とも言える顕著な消臭効果を得ることが出来るという格別な効果を奏する。
【0007】
更に、本発明の消臭機能剤によれば、粒径が1μ以下のゼオライト、シリカ及び医王石の各々が適正な配合比で混合されていることから、周囲の明暗にも全く関係なく、酸化還元作用を介して悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、また抗菌作用も備えるという格別な効果を奏する。
【0008】
更に、本発明の消臭機能剤によれば、消臭機能剤を使用用途に適応する各種水性エマルジョンと組み合わせることで、該消臭機能剤を各種基材に容易に付着させたり含有させることが可能となり、その結果として、極めて汎用性のある消臭機能剤を安価且つ簡単に市場に普及させることが出来るという効果を奏する。
【0009】
又、上記の如く水性エマルジョンと攪拌混合して得られた消臭機能剤を20%以内に希釈した場合には、水性エマルジョンをバインダーとして消臭機能剤を基材の表面に剥離しないように均等拡散させて定着することが可能になるという効果を奏する。
【0010】
更に、前記消臭機能剤を、面状基材に18〜25g/mで塗布して得られる消臭機能材によれば、各種の悪臭に限らず、特に4大悪臭と言われるトリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニア、硫化水素に対して最大効率の相乗消臭機能を引き出すことが可能な基材を、例えば、各種建築物において、ホルムアルデヒド等の有害物を吸着して消臭可能な各種建築材料や生ゴミ等の腐敗による悪臭を吸着して消臭可能な筐体、シート、パーツ等に加工して市場に普及させることが出来るという格別な効果を有する。
【0011】
又、前記面状基材に消臭機能剤が18〜25g/mで塗布された後、100〜150℃で乾燥させて得られる消臭機能材によれば、水性エマルジョンを消失させつつ強固に消臭機能剤を面状基材に薄膜状に拡散固着させることが出来るという効果を奏する。
【0012】
更に、前記消臭機能剤を、繊維材に18〜25g/mで付着又は含有させて得られる消臭機能材によれば、悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、更に抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品、例えばカーテン、カーペット、衣類等の繊維製品に利用することが出来るという効果を奏する。
【0013】
更に、前記消臭機能剤を、樹脂材に18〜25g/mで付着又は含有させて得られる消臭機能材によれば、悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、更に抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品、例えばトイレ等にて使用される消臭置物、その他種々の成形商品に利用することが出来るという効果を奏する。
【0014】
更に、前記消臭機能剤を、不織布に18〜25g/mで付着又は含有させて得られる消臭機能材によれば、悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、更に抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品、例えば、生ゴミ収納袋やなまもの専用シート、生理用品やおしめ等のケア製品等に利用することが出来るという効果を奏する。
【0015】
又、前記消臭機能剤を、紙製造の紙透き工程時の紙材に、18〜25g/mで付着又は含有して得られる消臭機能材によれば、悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、更に抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品、例えば、家屋用の障子紙、壁紙等に利用することが出来るという効果を有する。
【0016】
更に、前記消臭機能材を、複数接触重合させて得られる消臭機能材によれば、洗浄、洗濯を行った場合でも水性エマルジョンを介して定着した消臭機能剤が流出することが防止されて消臭能力の低下のない、しかも抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品を普及させることが可能となるが、消臭機能材が通気性を有してなる場合には、更なる顕著な相乗消臭機能を得ることが出来るという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、表1において、本発明における消臭機能材の消臭性試験結果について説明する。
かかる消臭機能材は、1μ以下の粒径に加工された粉末状ゼオライトと1μ以下の粒径に加工された粉末状シリカと1μ以下の粒径に加工された粉末状医王石とを混合すると共に、該粉末状ゼオライトと粉末状シリカとの混合が80重量%、粉末状医王石が20重量%で構成され、且つ布用の水性エマルジョンと攪拌混合させて得られたものであり、20%に希釈した後、繊維から形成された面状基材に18g/mで塗布したものである。
ちなみに、本試験の場合において、上記粉末状ゼオライトと粉末状シリカとは6:4の比率とする。(試験場所:財団法人日本繊維製品品質技術センター,試験方法:アパレル製品等品質性 能対策協議会法準拠による消臭試験[温度20℃ 湿度65%RH],資料10cm× 10cm/5Lテドラーバック中ガス3L,硫化水素の検知管(4LT)は検知限度0.05ppm)
【0018】
【表1】

【0019】
消臭機能材の消臭性試験結果の結果、2時間後にトリメチルアミンは1.6ppm,24時間後に0.6ppmへと減少し、同じく2時間後にメチルメルカプタンは3.7ppm,24時間後に1.5ppmへと減少し、同じく2時間後にアンモニアは0.5ppm,24時間後に0.2ppm以下(計測不能)、同じく硫化水素に至っては、2時間後に0.0ppmとなり、完全に吸着消臭するに至った。よって、4大悪臭を最大効率で消臭することが確認された。
【0020】
次に、表2において、本発明における消臭機能材を用いて室内空気中化学物質を測定した際の分析データについて説明する。
(採取者:株式会社ファルコバイオシステムズ,採取場所:社内,分析結果は25℃における気中濃度の換算値)
【0021】
【表2】

【0022】
室内空気中化学物質を測定した結果、室内温度指針値から、ホルムアルデヒド0.017ppm、トルエン0.012ppm、キシレン0.020ppm未満、パラジクロロベンゼン0.004ppm未満、エチルベンゼン0.088ppm未満、スチレン0.005ppm未満となり、極めて高効率に室内空気中の悪性物質を吸着消臭できることが確認された。特にホルムアルデヒドに関しては建築基準値からも大幅に低減することができるということが立証された。
【0023】
よって、上記試験結果により、本発明の消臭機能剤によれば、粒径が1μ以下のゼオライト、シリカ及び医王石の各々が適正な配合比で水性エマルジョンに均等拡散されて完全に溶け込むことで最大効率の相乗消臭機能を引き出すことが可能となり、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニアのみならず特に硫化水素に対して顕著な消臭効果を得ることが出来る。
【0024】
更に、消臭機能剤が、粒径が1μ以下のゼオライト、シリカ及び医王石の各々が適正な配合比で混合されていることから、周囲の明暗にも全く関係なく、酸化還元作用を介して悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、また抗菌作用も備えるに至った。
【0025】
更に、消臭機能剤を使用用途に適応する各種水性エマルジョンと組み合わせることで、該消臭機能剤を各種基材に容易に付着させたり含有させることが可能となり、その結果として、極めて汎用性のある消臭機能剤を安価且つ簡単に市場に普及させることが出来る。
【0026】
又、上記の如く水性エマルジョンと攪拌混合して得られた消臭機能剤を20%以内に希釈した場合には、水性エマルジョンをバインダーとして消臭機能剤を基材の表面に剥離しないように均等拡散させて定着させることが出来る。
【0027】
更に、上記試験では、消臭機能剤を面状基材に18g/mで塗布したが、必ずしも限定されるものではなく、最大効率の相乗消臭機能を引き出す場合には、面状基材に18〜25g/mで塗布するのが好ましい。この場合には、各種の悪臭に限らず、特に4大悪臭と言われるトリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニア、硫化水素に対して最大効率の相乗消臭機能を引き出すことが可能な基材を、例えば、各種建築物において、ホルムアルデヒド等の有害物を吸着して消臭可能な各種建築材料や生ゴミ等の腐敗による悪臭を吸着して消臭可能な筐体、シート、パーツ等に加工して市場に普及させることが出来る。
【0028】
更に、面状基材に消臭機能剤が18〜25g/mで塗布された後、100〜150℃で乾燥させた消臭機能材によれば、水性エマルジョンを消失させつつ強固に消臭機能剤を面状基材に薄膜状に拡散固着させることが出来る。
【0029】
更に、消臭機能剤を、繊維材に18〜25g/mで付着又は含有させて得られる消臭機能材によれば、悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、更に抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品、例えばカーテン、カーペット、衣類等の繊維製品に利用することが出来る。
【0030】
更に、消臭機能剤を、樹脂材に18〜25g/mで付着又は含有させて得られる消臭機能材によれば、悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、更に抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品、例えばトイレ等にて使用される消臭置物、その他種々の成形商品に利用することが出来る。
【0031】
更に、消臭機能剤を、不織布に18〜25g/mで付着又は含有させて得られる消臭機能材によれば、悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、更に抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品、例えば、生ゴミ収納袋やなまもの専用シート、生理用品やおしめ等のケア製品等に利用することが出来る。
【0032】
又、消臭機能剤を、紙製造の紙透き工程時の紙材に、18〜25g/mで付着又は含有して得られる消臭機能材によれば、悪臭の吸着及び分解を長期間に渡って繰り返し維持することが出来るだけでなく、消臭能力の低下もみられず、更に抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品、例えば、家屋用の障子紙、壁紙等に利用することが出来る。
【0033】
更に、消臭機能材を、複数接触重合させて得られる消臭機能材によれば、洗浄、洗濯を行った場合でも水性エマルジョンを介して定着した消臭機能剤が流出することが防止されて消臭能力の低下のない、しかも抗菌作用も有して最大効率の相乗消臭機能を備えた各種製品を普及させることが可能となるが、消臭機能材が通気性を有してなる場合には、更なる顕著な相乗消臭機能を得ることが出来る。
【0034】
而して、本発明の消臭機能剤が用いられる面状基材、繊維材、樹脂材及び紙材等の消臭機能材の具体的な材質、性質、構造、種類等も決して限定されないのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ゼオライト、シリカ及び医王石を1μ以下の粒径で、しかも実験からも立証されたように所定の配合比で混合することで最大効率の相乗消臭機能を具備させ、しいては従来にない程にトリメチルアミン、メチルメルカプタン、アンモニアの強力な消臭を可能とするばかりか、特に硫化水素を短時間で完全に消臭することが出来る消臭機能剤及び該消臭機能剤を用いた消臭機能材に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1μ以下の粒径に加工された粉末状ゼオライトと1μ以下の粒径に加工された粉末状シリカと1μ以下の粒径に加工された粉末状医王石とを混合すると共に、該粉末状ゼオライトと粉末状シリカとの混合が70〜90重量%、粉末状医王石が10〜30重量%で構成され、且つ水性エマルジョンと攪拌混合させて得られることを特徴とする消臭機能剤。
【請求項2】
前記水性エマルジョンと攪拌混合させて得られた消臭機能剤を希釈すると共に該希釈率を20%以内にとどめることを特徴とする請求項1記載の消臭機能剤。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の消臭機能剤を、面状基材に18〜25g/mで塗布して得られることを特徴とする消臭機能材。
【請求項4】
前記面状基材に消臭機能剤が18〜25g/mで塗布された後、100〜150℃で乾燥させて得られることを特徴とする請求項3記載の消臭機能材。
【請求項5】
前記請求項1又は2に記載の消臭機能剤を、繊維材に18〜25g/mで付着又は含有させて得られることを特徴とする消臭機能材。
【請求項6】
前記請求項1又は2に記載の消臭機能剤を、樹脂材に18〜25g/mで付着又は含有させて得られることを特徴とする消臭機能材。
【請求項7】
前記請求項1又は2に記載の消臭機能剤を、不織布に18〜25g/mで付着又は含有させて得られることを特徴とする消臭機能材。
【請求項8】
前記請求項1又は2に記載の消臭機能剤を、紙製造の紙透き工程時の紙材に、18〜25g/mで付着又は含有して得られることを特徴とする消臭機能材。
【請求項9】
前記消臭機能材を、複数接触重合させて得られることを特徴とする請求項3乃至8の何れかに記載の消臭機能材。

【公開番号】特開2008−80076(P2008−80076A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289241(P2006−289241)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(503335364)有限会社エバーライフ (1)
【Fターム(参考)】