説明

消色装置および消色装置の制御方法

【課題】少なくとも消色部が高温状態である間、ユーザが消色部へ接触することを抑制することができる消色装置および消色装置の制御方法を提供する。
【解決手段】
実施形態の消色装置は、消色可能な色材で画像が形成されたシートを搬送する搬送部材と、搬送部材によって搬送されるシートに形成された画像を消色する消色部と、消色部を開閉する開閉機構と、開閉機構による前記消色部の開放を注意するためのメッセージを出す報知部と、消色部による消色処理が停止した場合に、報知部に開放を注意するメッセージを報知させる制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、シート上に形成された画像の色を消す消色装置および消色装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成されたシートから画像の色を消す消色装置がある。この消色装置は、消色可能な色材により画像を形成されたシートに、加熱処理を施してシート上の画像(色材)の色を消色する。また、消色装置は、消色処理の対象となるシートについて消色可能か否かの判定や消色処理が成功したか否かの判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−113337公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消色装置の消色部は、搬送されるシートを加熱することにより、シート上の画像の色を消す。消色部は、消色処理中あるいは消色処理後しばらくの間は高温となっている。したがって、少なくとも消色部が高温状態である間は、ユーザが消色部へ接触することを抑制できることが好ましい。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、少なくとも消色部が高温状態である間は、ユーザが消色部へ接触することを抑制することができる消色装置および消色装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、実施形態の消色装置は、消色可能な色材で画像が形成されたシートを搬送する搬送部材と、搬送部材によって搬送されるシートに形成された画像を消色する消色部と、消色部を開閉する開閉機構と、開閉機構による前記消色部の開放を注意するためのメッセージを出す報知部と、消色部による消色処理が停止した場合に、報知部に開放を注意するメッセージを報知させる制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】消色装置の構成を説明する概略図。
【図2】消色装置のハードウェア構成を説明するブロック図。
【図3(a)】消色装置の開閉カバーが閉じた状態を示す概略図。
【図3(b)】消色装置の開閉カバーが開いた状態を示す概略図。
【図4】第1の実施の形態の消色装置の処理を説明するフローチャート。
【図5】報知部を説明するための概略図。
【図6(a)】報知部としての発光部を説明するための概略図。
【図6(b)】報知部としての発光部が点灯した状態を説明するための概略図。
【図7】第2の実施の形態の消色装置の処理を説明するフローチャート
【図8】報知部を説明するための概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、消色装置の構成を説明する概略図である。消色装置100は、消色可能トナーや消色可能インク等の「消色可能色材」により画像を形成されたシートに対して、消色性可能色材(以下、単に記録材料と呼ぶ)による画像の色を消す「消色処理」を施す。消色装置100は、給紙トレイ102、給紙部材104、読取部106、消色部108、第1トレイ110、第2トレイ112、排出部材114、116、搬送路118、および操作部124を備える。
【0010】
給紙トレイ102は、再利用するための用紙を積載する。給紙トレイ102は、A4、A3、B5等、様々なサイズのシートを積載する。給紙トレイ102が積載するシートは、例えば、所定温度以上に加熱することにより消色する記録材料で画像形成されたシートである。給紙部材104は、ピックアップローラ、シート供給ローラ、および分離ローラ等を有し、給紙トレイ102上のシートを1枚ずつ消色装置100内部の搬送路118に供給する。また、給紙トレイ102は、給紙トレイ102上のシートの有無を検知する検知センサ103を有する。検知センサ103は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。
【0011】
読取部106は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)スキャナあるいはCMOSセンサ等の読取ユニットを有する。本実施の形態では、読取部106は、搬送ローラ対120によって搬送されるシートの第1面および第2面のそれぞれの画像を読み取る。すなわち、読取部106は、搬送路118に沿って配置される2つの読み取りユニットからなり、搬送されるシートの画像の両面読取を可能とする。読取部106が読み取った画像は、後述する記憶部210へ保存される。例えば、消色処理する前に読取部106が読み取ったシート上の画像を電子化して記憶部へ保存することにより、後で消色された画像のデータが必要となった場合に、画像データを取得することができる。また、後述する制御部200は、読取部106が読み取った画像に基づいて、消色可能なシートか否か、あるいは、再利用可能なシートか否かを判断する。
【0012】
消色部108は、搬送されるシートの画像の色を消す。例えば、消色部108は、搬送されるシートへ接触した状態で、シートを所定の消色温度まで加熱することにより、記録材料によりシート上に形成された画像の色を消色する。例えば、本実施の形態の消色装置100の消色部108は、シートの第1面消色用および第2面消色用の2つの消色ユニット108a、108bを有する。消色ユニット108aおよび108bは、搬送路118を挟んで対向配置される。消色ユニット108aは、シートの一方の面側からシートへ当接して加熱する。消色ユニット108bは、シートの他方の面側からシートへ当接して加熱する。すなわち、消色部108は、搬送されるシート両面の画像を一度の搬送で消色する。消色部108は、消色ユニット108aおよび108bの加熱部の温度を検知する温度センサ109a、109bを有する。温度センサ109a、109bは、接触式であっても非接触式であっても良い。
【0013】
搬送路118は、シートを読取部106、消色部108、第1トレイ110および第2トレイ112へ搬送する。消色装置100は、搬送路118上に、複数の搬送ローラ対120と、公知の複数の分岐部材122を有する。搬送ローラ対120は、例えば、駆動ローラと従動ローラの対で構成される。分岐部材122は、搬送路118上の各分岐点において、搬送されるシートの搬送方向を切り替える。例えば、消色装置100は、給紙部材104から供給されたシートを、分岐部材122を制御して、読取部106、消色部108、読取部106の順に搬送することができる。また、搬送路118には、搬送されるシートを検知する複数の検知センサ123がある。検知センサ123は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。図1においては、例示的に、消色部106の付近の検知センサ123を示すが、検知センサ123は、搬送路118の適切な位置に配置すればよい。
【0014】
消色装置100本体の上部に配置された操作部124は、タッチパネル式の表示部126と各種の操作キーとを有する。操作キーは、例えば、テンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。ユーザは、操作部124を介して、消色の開始あるいは消色するシートの画像の読み込み等の消色装置100の機能動作を指示する。表示部126は、消色装置100の設定情報や動作ステータス、ログ情報、あるいは、後述するユーザへのメッセージを表示する。
【0015】
排出部材114,116は、シートを、本体の下部に上下に配置された第1トレイ110、第2トレイ112へ排出する。たとえば、第1トレイ110は、シート上の画像が消色され、再利用可能となったシートを積載する。第2トレイ112は、再利用不可と判断されたシートを積載する。以下、第1トレイ110をリユーストレイ、第2トレイ112をリジェクトトレイと呼ぶ。なお、リユーストレイ110とリジェクトトレイ112は、受け入れる対象とするシートを入れ替えることも可能である。それぞれのトレイがどのようなシートを積載するかの設定、すなわち、シートの搬送先の設定は、例えば、操作部124から設定すればよい。
【0016】
シートの搬送経路は、消色装置100が実行する処理モードに基づいて適宜変更される。消色装置100は、複数の処理モードを有する。消色装置100は、例えば、画像読取を行わず、消色処理のみを行う第1消色モード、画像の読み取り後、消色処理を行う第2消色モード、消色前の読取処理を行わず、消色処理後、用紙Pの再利用可否の分別を実施する第3消色モード、画像の読み取り後、消色処理を実施し、さらに分別処理を実施する第4消色モード、画像消色を行わず、画像の読取処理を実施する読取モードを有する。上述の各モードは、消色装置100の操作部124で選択できる。また、各処理モードの選択は、消色装置100の操作部124に限らず、外部のユーザ端末から設定しても良い。第1乃至第4の消色モードでは、シートは必ず消色部108へ搬送される。一方、読取モードでは、適切な分岐部材122を制御して、シートは消色部108へ搬送されることなく、読取部106を経由して排出される。
【0017】
図2は、消色装置のハードウェア構成を説明するブロック図である。消色装置100は、制御部200と、記憶部210と、検知部212と、通信インターフェース(通信I/F)214と、読取部106と、消色部108と、操作部124と、を有する。
【0018】
制御部(コントローラ)200は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサ202、メモリ204を有する。制御部200は、読取部106、消色部108、操作部124を制御する。メモリ204は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)206と、プロセッサ202に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)208とを有する。例えば、ROM206は、再利用可否の閾値とする用紙の印字率、画像が消色されたか否かを判断するための濃度閾値等を格納する。RAM208は、読取部106で読み取った画像を一時的に保存しても良い。消色装置100の各コンポーネントは、バス216を介して接続される。
【0019】
制御部200は、例えば、操作部124で設定された上記処理モードに応じて、読取部106、消去部108、およびその他の構成を制御する。例えば、第1乃至第4の消色モードが選択された場合には、制御部200は、消色部108にシートの画像を消色させる。消色部108へシートが搬送される前に、読取部106がシートを読み取る場合には(第2消色モード、第4消色モード)、制御部200は、読取部106で読み取った画像を記憶部210へ保存する。ここで、制御部200は、読取部106が読み取ったシート画像のデータ中に機密データ等の消色を禁止すべき禁止データが含まれているか否かを判定してもよい。また、制御部200は、消色部108がシートの画像を消色した後に、この消色されたシートの画像を読取部106が読み取る場合には(第3消色モード、第4消色モード)、読取部106が読み取った画像のデータに基づいて、シートの消色残りの状態から、シートが再利用可能か否かを判定する。制御部200は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先を決定する。画像消色を行わずに、画像を読み取る読取モードが設定された場合には、制御部200は、各分岐部材122を制御して、シートを、消色部108を経由することなく読取部106へ搬送し、読取部106で読み取った画像を記憶部210へ保存する。
【0020】
制御部200は、検知部212からの信号に基づいて、装置内部の各構成を制御する。検知部212は、図1に示す検知センサ103、温度センサ109a、109b、検知センサ123、および図3に示すカバー開閉検知センサ304等を有する。
【0021】
制御部200は、検知センサ103からの信号に基づいて給紙トレイ102上のシートの有無を判断する。また、制御部200は、温度センサ109a、109bを用いて消色ユニット108aおよび108bの加熱部の温度を検知するとともに、消色ユニット108aおよび108bの加熱部の温度を制御する。また、制御部200は、検知センサ123を用いて、搬送路118内のシートの位置を把握する。例えば、制御部200は、消色部108近傍の検知センサ123を用いて、消色部108を通過したシートを検知する。カバー開閉検知センサ304については後述する。
【0022】
記憶部210は、アプリケーションプログラムおよびOSを記憶する。アプリケーションプログラムは、読取部106による読取機能、消色部の消色機能といった消色装置が有する機能を実行するプログラムを含む。アプリケーションプログラムは、更には、Webクライアント用のアプリケーション(Webブラウザ)やその他のアプリケーションを有する。記憶部210は、読取部106で読み取った画像を保存する。また、記憶部210は、消色装置100で処理したシートの処理枚数を記憶する。記憶部210としては、例えば、ハードディスクドライブやその他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、フラッシュ・メモリ等の半導体記憶装置またはこれらの任意の組合せであってよい。
【0023】
通信I/F214は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F214は、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE3304等の適切な無線または有線を介してネットワーク上の外部装置と通信する。通信I/F214は、更に、USB規格の接続端子が接続されるUSB接続部やパラレルインタフェース等を含んでも良い。制御部200は、通信I/F214を介して複合機、その他外部機器と通信する。例えば、読取部106が読み取った画像は、消色装置100の記憶部210が記憶するとしたが、これに限定されなくともよい。例えば、外部機器であるユーザ端末(Personal Computer)や複合機、あるいはサーバと通信I/F214を介して通信し、これら外部機器の記憶部へ保存するようにしても良い。外部機器へ保存された画像データは、複合機の操作部やユーザ端末から読みだすようにすればよい。また、消色装置100が、使用者を個人認証するため、ログイン、ログアウト機能を備える場合には、消色装置100のログアウト時に、消色装置100のRAM208あるいは記憶部210に保存された画像のデータを外部装置に送信し、保存するようにしても良い。
【0024】
図3は、消色装置100の消色部108を開閉する開閉機構を説明するための概略外観図である。図3(a)は、開閉カバー300が閉じた状態を示す。図3(b)は開閉カバー300が開いた状態を示す。
【0025】
消色装置100は、開閉機構として、開閉カバー300、カバー開スイッチ302を有する。図3(a)に示すカバー開スイッチ302が押されることにより、開閉カバー300は、図3(b)に示すように開く。消色装置100の本体側には、カバー開閉検知センサ304がある。カバー開閉検知センサ304は、開閉カバー300が開いた状態か閉じた状態かを検知する。カバー開閉検知センサ304は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。開閉カバー300には、消色ユニットの一方である消色ユニット108aが取り付けられている。また、開閉カバー300には、消色部100の上流側および下流側の搬送ローラ対120の一方が取り付けられている。消色装置100は、開閉カバー300が回動軸306周りに回動して開くことにより、消色部108の消色ユニット108aおよび108bの間の空間(搬送路)を開放する。したがって、ユーザは、開放された消色部108の汚れた部分をクリーニングすることや、消色部108近傍で停止したシートの除去が容易となる。なお、消色ユニット108aは、開閉カバー300に取り付けられているものに限定されるものではない。例えば、開閉カバー300と消色ユニット108aとがそれぞれ別部材として開閉するように構成し、開閉カバー300を開いた後に、消色ユニット108aを回動させて消色ユニット108aおよび108bの間の空間を開放しても良い。
【0026】
ところで、消色部108の消色ユニット108a、108bは、消色処理中あるいは消色処理後しばらくの間は高温となっている。したがって、少なくとも消色部が高温状態である間は、ユーザが消色部へ接触することを抑制できることが好ましい。本実施の態様にかかる消色装置100は、消色部108による消色処理が停止したか否かを判断し、消色処理が停止した場合に、消色部の開放を防止、即ちユーザに注意を促すためのメッセージを表示部126から報知する。
【0027】
図4は、本実施の形態の消色装置100の処理を説明するフローチャートである。操作部124から上述した処理モードのいずれかが選択され、消色処理の開始が指示されると、消色装置100の制御部200は、給紙トレイ102からシートを1枚給紙し、消色部108へ搬送する。制御部200は、消色部108によってシートの画像を消色する(ACT401)。ACT402において、制御部200は、消色部108による消色処理が停止したか否かを判断する。ここで、“消色処理の停止”は、シートへの消色処理が終了した後に消色部108が停止する場合、消色処理中に搬送路118内の何処かで用紙ジャムが発生することによって、消色部108が停止する場合を含む。
【0028】
消色処理が停止した場合(ACT402のYes)、制御部200は、消色部108の開放を防止するためのメッセージを報知部に報知させる(ACT403)。例えば、制御部200は、図5に示すように、表示部126へ、開放を防止するためのメッセージ画面500を表示する。なお、報知部は、消色部100の表示部126に限定されない。例えば、外部I/F214を介して外部のユーザ端末の表示部へ表示する画面データ、もしくはメッセージを送信する構成としても良い。あるいは、消色装置100は、図6(a)に示すように、報知部として発光部600を有する構成であってよい。発光部600は、LEDのような光源体である。制御部200は、消色処理が停止した場合に、図6(b)に示すように、発光部600を発光させる。あるいは、報知部は、音声によってユーザへ報知する構成としても良い。これにより、ユーザは、消色部108の開放する行為をしばらく待つか、開放する場合であっても注意して開放することが出来る。
【0029】
制御部200は、ACT404において、所定のタイミングか否か判断する。制御部200は、所定のタイミングであると判断した場合には(ACT404のYes)、報知部によるメッセージの報知を終了する(ACT405)。例えば、御部200は、図5に示す開放を防止するためのメッセージ画面500を消す。報知部が図6に示すような発光部600である場合には、制御部200は、発光部600の発光を止める。制御部200は、所定のタイミングに至っていないと判断した場合には(ACT404のNo)、制御部200は、報知部によるメッセージの報知を継続する。即ち、ここで、所定のタイミングとは、消色部108が停止して、消色部108の温度が、ユーザが触れても問題のない値以下に下がった時である。
【0030】
制御部200は、消色部108の温度、あるいは消色処理の停止後の経過時間の少なくともいずれかの情報に基づいて、所定のタイミングか否か判断する。消色部108の温度に基づく場合には、制御部200は、温度センサ109を介して消色部108の温度を計測し、消色部108の温度が予め設定された所定の温度以下になるまで、メッセージを報知させる。所定の温度は、メモリ204あるいは記憶部210が記憶する。所定の温度は、メーカによる設計で一意に定められたものであっても、ユーザが設定変更できるものであっても良い。一方、消色処理の停止後の経過時間に基づく場合には、制御部200は、消色処理が停止した後に経過した時間を計測し、計測した時間が予め設定された所定の時間に達するまで、メッセージを報知させる。所定の時間は、メモリ204あるいは記憶部210が記憶する。所定の時間は、メーカによる設計で一意に定められたものであっても、ユーザが設定変更できるものであっても良い。これにより、消色装置100は、消色部108の温度が十分低下するまで、ユーザに注意を促すことができる。
【0031】
上記実施の形態によれば、消色装置100は、少なくとも消色部が高温状態である間、ユーザが消色部108へ不用意に接触することを抑制することが出来る。
【0032】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、消色処理が停止した場合に、ユーザに注意を促すメッセージを報知したが、第2の実施の形態では、制御部200は、消色部108を開放する必要がある場合には、報知部によりユーザに注意を促すメッセージを報知し、消色部108を開放する必要がない場合には、消色部108を開放する必要が無い旨を報知する。本実施の形態の各部について、以下、上記実施の形態の消色装置の各部と同一部分に同一符号を付し、本実施の形態の特徴部分を説明する。
【0033】
図7は、本実施の形態の消色装置100の処理を説明するフローチャートである。操作部124から上述した処理モードのいずれかが選択され、消色処理の開始が指示されると、消色装置100の制御部200は、給紙トレイ102からシートを1枚給紙し、消色部108へ搬送する。制御部200は、消色部108によってシートの画像を消色する(ACT701)。続いて、制御部200は、消色処理が停止したか否かを判断する。
【0034】
制御部200は、消色処理中に搬送路118内で用紙ジャムが発生したか否かを判断する(ACT702)。用紙ジャムが発生していない場合には(ACT702のNo)、制御部200は、シートへの消色処理が終了したか否か判断する(ACT703)。シートへの消色処理が終了していない場合(ACT703のNo)、シートは消色処理を継続する。
【0035】
一方、用紙ジャムが発生したことにより消色処理が停止した場合(ACT702のYes)、制御部200は、搬送路118にある検知センサ123からの信号に基づき、シートの位置を判断する(ACT704)。制御部200は、検知したシートの位置から、このシートを除去するために、消色部108を開放する必要があるか否かを判断する(ACT705)。消色部108を開放する必要があると判断した場合には(ACT705のYes)、制御部200は、例えば、図5に示すように、表示部126へ開放を防止するためのメッセージ画面500を表示する(ACT706)。一方、消色部108を開放する必要がないと判断した場合には(ACT705のNo)、制御部200は、図8に示すように、表示部126へ、消色部108を開放する必要が無い旨を示すメッセージ画面800を表示させる(ACT707)。これにより、消色装置100は、ジャムが発生した場合に、消色部108の開放が必要である場合に、ユーザに注意を促すことが出来るとともに、必要が無いにもかかわらず消色部108を開放してしまう状況を回避できる。
【0036】
また、ACT703において、全てのシートへの消色処理が終了することにより、消色部が停止する場合には、制御部200は、図6(b)に示す発光部600を発光させる(ACT708)。単に通常の消色処理が終了する毎に、図5や図8に示すような画面を表示する場合、ユーザは煩わしいと感じる虞がある。そこで、シートへの消色処理が終了することにより消色部が停止する場合には、消色装置100は、発光体である発光部600を光らせることにより、ユーザにとっての煩わしさを減じることが出来る。さらに、消色装置100は、発光部600を光らせることにより、消色部108が熱い旨を示す。これにより、消色装置100は、ユーザの注意を促す効果も奏する。
【0037】
ACT709、ACT710においては、制御部200は、図4に示すACT404とACT405と同様の処理を行う。
【0038】
上記実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、より適切にユーザの注意を促すことができる。
【0039】
なお、ACT708において、発光部600を光らせるのではなく、図8に示すメッセージ画面800を表示して消色部108を開放する必要が無い旨を示しても当然良い。
【0040】
また、本実施の形態の消色装置100は、ジャム等の異常終了が発生した場合(ACT702のYes)に、必ずしも表示部126へ図5や図8に示すような画面を表示する構成に限定されない。消色装置100は、ジャム等の異常終了が発生した場合に、発光部600の点灯の態様を制御することによって、ユーザに注意を促しても良い。例えば、シートの位置から消色部108を開放する必要がある場合(ACT706)においては、制御部200は、発光部600を点滅させ、消色部108の開放が必要ない場合(ACT707)や、正常終了した場合(ACT708)には、制御部200は、発光部600を常時点灯させても良い。また、ACT706、707、および708における点灯の態様を全て異ならせても良い。あるいは、消色装置100は、点灯する光の色を異ならせる構成であっても良い。
【0041】
なお、上記実施の形態の各動作を実行する主体は例えば、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの複合体、ソフトウェア、及び実行中のソフトウェアなどといった、コンピュータに係る主体である。動作を実行する主体は例えば、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、スレッド、プログラムおよびコンピュータであるがこれらに限るものではない。また、プロセスやスレッドに、動作を実行する主体を複数演じさせてもよい。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
100 消色装置
106 読取部
108 消色部
108a、108b 消色ユニット
109 温度センサ
118 搬送路
120 搬送ローラ
103、123 検知センサ
124 操作部
126 表示部
200 制御部
204 メモリ
212 検知部
300 開閉カバー
302 カバー開スイッチ
600 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消色可能な色材で画像が形成されたシートを搬送する搬送部材と、
前記搬送部材によって搬送されるシートに形成された画像を消色する消色部と、
前記消色部を開閉する開閉機構と、
前記開閉機構による前記消色部の開放を注意するためのメッセージを出す報知部と、
前記消色部による消色処理が停止した場合に、前記報知部に前記開放を注意するメッセージを報知させる制御部と、
を備えたことを特徴とする消色装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記メッセージの報知として、発光する発光部、あるいは前記メッセージの報知として、メッセージ画面を表示する表示部の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の消色装置。
【請求項3】
搬送されるシートを検知する少なくとも1以上のシートセンサを有し、
前記報知部は、前記表示部を含み、
前記制御部は、用紙ジャムが発生した場合に、前記シートセンサからの信号に基づき、シートの位置を判断し、このシートを除去するために、前記開閉機構によって前記消色部を開放する必要がある場合には、前記表示部に前記消色部の開放を注意するメッセージ画面を表示させることを特徴とする請求項2に記載の消色装置。
【請求項4】
前記制御部は、用紙ジャムが発生した場合に、このシートを除去するために、前記開閉機構によって前記消色部を開放する必要がない場合には、前記表示部に前記消色部を開放する必要が無い旨のメッセージ画面を表示することを特徴とする請求項3に記載の消色装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記発光部を含み、
前記制御部は、消色処理が完了して前記消色部が停止した場合に、前記発光部を発光させることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の消色装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記消色部による消色処理が停止した後、前記消色部の温度が所定の温度以下になるまで、あるいは前記消色部による消色処理が停止した後、所定の時間が経過するまで、前記メッセージを報知させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の消色装置。
【請求項7】
搬送されるシートに消色可能色材により形成された画像を消色する消色部およびこの消色部を開閉する開閉機構を備える消色装置の制御方法であって、
前記消色部による消色処理が停止したか否かを判断し、
前記消色部による消色処理が停止した場合に、前記開閉機構による前記消色部の開放を注意するためのメッセージを報知することを特徴とする消色装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−252313(P2012−252313A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245081(P2011−245081)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】