説明

消色装置

【課題】反射型LEDランプを用い該反射型LEDランプの両電極端子の影による照射ムラを無くし均一な消色が得られる消色装置を提供する。
【解決手段】光源基台26の長手方向に複数の高輝度反射型のLEDランプ27をネジ39によってランプ保持部36をネジ止め固定する。その際、LEDランプの向き50を矢印bで示す記録媒体の搬送方向に45°の方向に向けて並設する。消色用LEDヘッド24の記録媒体に対する照射光量分布を調べると、LEDランプの向き50に対応する両電極端子(31、32)が照射光を遮る低照射部分が消失し、LEDランプ27の配置と配置の間隙gに対応する光量が少なく照射幅hに対応する光量が多い光量分布となるが、いずれの場合も消色に必要な光量よりも多く、消色処理後の記録媒体には筋線の不完全消色部分の発生しない均一な完全消色状態が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型LED(light emitting diode)ランプを用い反射型LEDランプの両電極端子の影による照射ムラを無くし均一な消色が得られる消色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の一環として紙資源の節減が叫ばれている。画像形成装置等の紙資源の節減と再利用では、片面印刷した用紙の裏面の有効活用などは既に社会一般になされている。また、使用済み用紙を回収し用紙の原料とし、再生紙として再度用いることも一般に行われている。
【0003】
しかし片面印刷の用紙の再利用では、再使用の回数が通常1回に限られてしまう。また、原料として再利用する再には回収自体にエネルギーとコストがかかり、原料として加工する際にもエネルギーが掛かってしまう。
【0004】
そこで、オフィス内において用紙を複数回使用できるようにする取組みが種々為されている。トナー像により一度画像が形成された用紙を紙資源として再利用するには、トナーにより形成された用紙上の画像を物理的に除去または光で消色して再利用可能な用紙とすることが考えられている。
【0005】
画像を物理的に除去して用紙を再利用するためには、用紙の画像形成面にトナーを除去する処理液を塗布し、加熱してトナーを溶解させて画像を除去する方法や、用紙の画像形成面を研摩してトナー画像を削り落とす方法などがあるが、これらの方法は、手数がかかると共に、再利用する用紙に損傷が発生し易いため問題がある。
【0006】
また、感熱系の消色剤を用い、加熱オーブンタイプの消色装置により消色を行う方式もある。また、一部光エネルギーを用いて消色トナーを消去する方法も知られている。しかし、これらの消色装置をオフィスに設置するとなると、プリンタなどの印刷装置の他に消色装置が必要になるから電力も別に必要になり、消色装置の設置スペースも別に必要となって不経済である。
【0007】
そこで、消色装置をプリンタ等の装置内に組み込み、通常印刷の他に消色性トナーによる印字とその消色を行うことが出来るようにするのが望ましい。そして、そのような例として、消色性トナーを用いて現像、転写、定着を行って記録紙への印字を行う機能と、記録紙に印字された消色性トナーの文字や画像に消色用の光を照射して消色を行う機能とを備えた画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0008】
また、消色性トナーと消色装置に関しても多くの例が示されている。その中でも、赤外線によって消色を行うことが出来る増感色素とホウ素系化合物とを含む消色性トナーの印刷画像を加熱した後、赤外線により消色を行うことにより消色速度を格段に向上させた装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0009】
この特許文献2の装置では、消色用光源として、ハロゲンランプ、キセノンフラッシュランプ、LEDランプなど多くの光源を有効としている。中でもハロゲンランプについては多くの例が示されている。
【0010】
なお、ハロゲンランプは、遠赤外線を中心とする長波長領域のエネルギーも出すので熱源としても用いられることは良く知られている。特許文献2においても、ハロゲンランプは消色用の熱源としても有効であるとしている。
【0011】
また、キセノンフラッシュランプを消色用光源に用い、それで消色を行うことが出来る増感色素とホウ素系化合物それぞれの製法について詳細な化学式を示した消色装置についても提案がなされている。(例えば、特許文献3参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平05−289576号公報
【特許文献2】特開平05−204278号公報
【特許文献3】特開平06−175537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献1、2に示される従来技術では、ハロゲンランプを消色用光源として用いているが、ハロゲンランプは、遠赤外線を中心とする長波長領域のエネルギーも出すので熱源としても用いられる。したがって、特許文献2は、消色反応を助成する目的の熱源としても、ハロゲンランプの有効性が示されている。
【0014】
ところが、ハロゲンランプは、近赤外線だけではなく紫外線領域、可視光領域、近赤外線領域〜遠赤外線領域まで含んだ光である。したがって、増感色素の吸収波長だけではなくのその他の消色反応に寄与しない多くの余分な波長のエネルギーも放射しており不経済なエネルギー源である。
【0015】
また、キセノンフラッシュランプ又はハロゲンランプを消色に用いた場合、両ランプとも発熱が大きく、長時間の使用では装置本体に悪影響を引き起こす虞が多分にある。また、用紙JAM等が発生した場合に用紙が発熱部に接触したり、また何らかの滞留によって用紙が長時間加熱された場合には発火する問題もある。
【0016】
ところで、キセノンフラッシュランプやハロゲンランプ以外の発熱量が少ない光源については、特許文献2には一例としてLEDランプなどの記載はあるものの具体的な消色条件における光源の設定についての記載はない。
【0017】
そこで仮にLEDランプをライン上に配置して消色ヘッドとして使用した場合、キセノンフラッシュランプやハロゲンランプに比べて光量不足となることは明らかで、この光量不足を補うためには、消色処理の処理速度を遅くしなければならないから、処理に時間が掛るという問題が発生する。
【0018】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、高い発光出力を得られる高輝度反射型LEDランプを消色ヘッドの構成に用い、照射ムラの無い均一な消色が得られる消色装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の消色装置は、光感応性トナーを用いて消色性トナー画像を形成された記録媒体の上記消色性トナー画像を消色する消色装置において、上記記録媒体の搬送方向に対して90°方向にライン状に延在して配置された光源基台と、該光源基台上に消色用光源として並設された複数の反射型LED(light emitting diode)ランプと、を少なくとも有する光消色部を備え、上記反射型LEDランプは、LED素子を発光駆動する駆動電極端子と接地電極端子の両電極端子が直線状に配置された直線方向を上記記録媒体の搬送方向を0°としたとき該搬送方向に対し0°を超え180°未満の範囲の方向に向けて並設されているように構成される。
【0020】
上記反射型LEDランプは、例えば、上記LED素子を発光駆動する上記両電極端子が直線状に配置された上記直線方向を上記記録媒体の搬送方向を0°としたとき該搬送方向に対し90°の方向に向けて並設されているように構成される。
【0021】
また、上記反射型LEDランプは、例えば、上記LED素子を発光駆動する上記両電極端子が直線状に配置された上記直線方向を上記記録媒体の搬送方向を0°としたとき該搬送方向に対し45°又は135°の方向に向けて並設されているように構成される。上記反射型LEDランプは、高輝度反射型LEDランプである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、高い発光出力を得られる高輝度反射型LEDランプを消色ヘッドの構成に用い、照射ムラの無い均一な消色が得られる消色装置を提供することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例2に係る消色装置を備えた画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施例3に係る消色装置を含むその近傍の構成をより詳しく示す拡大図である。
【図3】(a)は本発明の実施例4に係る光消色部に使用される反射型LEDランプの斜視図、(b)はその平面図、(c)はそのA−A断面矢視図、(d)は比較のため従来からある砲弾型のLEDランプを示す図である。
【図4】本発明の実施例5に係る消色装置の光消色部において光源基台に取り付けられる反射型LEDランプの配置例を示す図(その1)である。
【図5】(a),(b)は実施例5における反射型LEDランプの配置において強力な駆動電力で反射型LEDランプを発光駆動した場合の消色性画像の消色効果を示す図である。
【図6】(a),(b)は図4に示す高輝度反射型LEDランプの配置において省電力駆動で高輝度反射型LEDランプを発光駆動した場合の消色性画像の消色効果を示す図である。
【図7】図4に示す高輝度反射型LEDランプの配置において省電力駆動で高輝度反射型LEDランプを発光駆動した場合の消色用LEDヘッドの光量分布を示す図である。
【図8】実施例6に係る消色装置の光消色部において光源基台に取り付けられる高輝度反射型LEDランプの配置例を示す図(その2)である。
【図9】図8に示す高輝度反射型LEDランプの配置において省電力駆動で高輝度反射型LEDランプを駆動したときの消色用LEDヘッドから記録媒体に対して照射される照射光の光量分布を示す図である。
【図10】実施例7に係る消色装置の光消色部において光源基台に取り付けられる高輝度反射型LEDランプの配置例を示す図(その3)である。
【図11】図10に示す高輝度反射型LEDランプの配置において省電力駆動で高輝度反射型LEDランプを駆動したときの消色用LEDヘッドから記録媒体に対して照射される照射光の光量分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
<消色性トナーの製法>
先ず、本発明において用いられる消色性トナーの製法について、実施例1として説明する。最初に、817nmに感度を持つ赤外線感光色素「IRT」(昭和電工製)を1.5質量部、有機ホウ素化合物消色剤「P3B」(昭和電工製)を7.5質量部、トナー用ポリエステル結着樹脂(花王製)を87質量部、負電荷調整剤「LR−147」(日本カーリット製)を1.5質量部、カルナバWAX1号粉末(加藤洋行社輸入品)を2.5質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山製)に投入し、混合する。
【0026】
続いて上記の混合物を、二軸混練機で溶融混練する。これで得られた混練物をロートプレックス(ホソカワミクロン製)で粗砕して粗砕物を得る。得られた粗砕物を衝突式粉砕機にて、平均粒径が9μmになるように粉砕する。
【0027】
この粉砕により得られた粉砕物100質量部に、外添剤としてシリカ「R972」(日本アエロジル製)を1質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して消色性トナーを得ることができる。
【実施例2】
【0028】
<消色装置を備えた画像形成装置の構成と動作>
図1は本発明の実施例2に係る消色装置を備えた画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この画像形成装置1は、本体装置筐体2の内部中央において、水平方向に延在する無端状の転写ベルト3を備えている。
【0029】
転写ベルト3は、不図示の張設機構によって張設されながら、駆動ローラ4と従動ローラ5に掛け渡され、駆動ローラ4により駆動されて、図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動する。
【0030】
転写ベルト3の上循環移動面に接して一つの画像形成ユニット6の感光体ドラム7が配設されている。感光体ドラム7には、その周面を取り巻くように接触又は近接して、図示を省略したクリーナ、初期化帯電器、光書込ヘッド、現像ローラ等が配置されている。
【0031】
上記の現像ローラは、トナー容器8の側部開口部に配置されている。トナー容器8の中には消色性トナーRが収容されている。消色性トナーRは実施例1で述べた消色性トナーである。
【0032】
上記の現像ローラは、トナー容器8に収容されている消色性トナーRの薄層を表面に担持して、光書込ヘッドによって感光体ドラム7の周面上に形成されている静電潜像に消色性トナーRの画像を現像する。
【0033】
感光体ドラム7の下部には、転写ベルト3を介して一次転写ローラ9が圧接して、ここに一次転写部を形成している。一次転写ローラ9には、不図示のバイアス電源からバイアス電圧を供給される。
【0034】
一次転写ローラ9は一次転写部において、バイアス電源から供給されるバイアス電圧を転写ベルト3に印加して、感光体ドラム7の周面上に現像されている消色性トナーRの画像を転写ベルト3に転写する。
【0035】
転写ベルト3の図に示す右端部が掛け渡されている従動ローラ5には、転写ベルト3を介して二次転写ローラ11が圧接して、二次転写部を形成している。二次転写ローラ11には、不図示のバイアス電源からバイアス電圧が供給される。
【0036】
二次転写ローラ11は二次転写部において、バイアス電源から供給されるバイアス電圧を転写ベルト3に印加し、転写ベルト3に一次転写されている消色性トナーRの画像を、画像形成搬送路12に沿って図の下方から搬送されてくる記録媒体13に転写する。
【0037】
上記の記録媒体13は、給紙カセット等から成る記録媒体収容部14に積載されて収容され、不図示の給紙ローラ等により最上部の一枚ごとに取り出され、給紙搬送路15に送出され、更に画像形成搬送路12を搬送されて、上記の二次転写部を通過しながら消色性トナーRの画像を転写される。
【0038】
消色性トナーRの画像を転写されながら二次転写部を通過した記録媒体13は、定着搬送路16に沿って定着部17へと搬送される。定着部17の加熱ローラ18と押圧ローラ19は、記録媒体13を挟持し、熱と圧力を加えながら搬送する。
【0039】
これにより、記録媒体13は、二次転写されている消色性トナーRの画像を紙面に定着され、加熱ローラ18と押圧ローラ19により更に搬送されて、本体装置筐体2の上面に形成されている排紙トレー21に排紙される。
【実施例3】
【0040】
<消色装置の構成と動作>
ところで、上記の記録媒体収容部14から二次転写部までの間、つまり給紙搬送路15と画像形成搬送路12との間には、消色性トナーRによる画像を形成された記録媒体13の画像を消色するための実施例3としての消色装置22が配置されている。
【0041】
消色装置22は、消色すべき消色性トナーRの画像を画像形成面の裏面から加熱するための消色用ヒータローラ23と、この加熱された消色性トナーRの画像を効率よく消色するための光消色部としての消色用LEDヘッド24から成る。
【0042】
図2は、実施例3に係る消色装置22を含むその近傍の構成を、より詳しく示す拡大図である。尚、図2には、図1に示した構成と同一構成部分には、図1と同一の番号を付与して示している。図2に示すように、記録媒体13は、搬送ガイド25により案内されて給紙搬送路15から画像形成搬送路12へと矢印bで示す図の上方向に搬送される。
【0043】
搬送ガイド25は網状または複数の線条からなり、消色用ヒータローラ23から輻射される熱をよく通過させ、これにより記録媒体13は裏面から加熱される。この加熱と同時に消色用LEDヘッド24から消色に合った波長の光を照射されて、表面に形成されている消色性トナーRの画像を消色される。
【0044】
上記の消色用LEDヘッド24は、記録媒体13の搬送方向に対して90°方向(図面奥行き方向)に延在して配置された光源基台26と、消色用光源として光源基台26の長手方向に並設された複数の高輝度反射型LEDランプ27と、この高輝度反射型LEDランプ27の照射面に近接して配置されたF3.0のフレネルレンズ28を備えている。
【0045】
上記の消色用ヒータローラ23からの熱輻射により記録媒体13の消色性トナー画像形成面は140℃に加熱される。また、高輝度反射型LEDランプ27は記録媒体13の紙面から7mmの距離に設置されている。
【実施例4】
【0046】
<光消色部に使用される反射型LEDランプの構成と機能>
図3(a)は、本発明の実施例4に係る光消色部に使用される高輝度反射型LEDランプ27の斜視図であり、同図(b)はその平面図、同図(c)はそのA−A断面矢視図、同図(d)は比較のため従来からある砲弾型のLEDランプを示す図である。
【0047】
図3(a),(b),(c)に示すように、高輝度反射型LEDランプ27は、箱体29の開口部の対向する2側縁から細く中央に伸びだす駆動電極端子31と接地電極端子32と、接地電極端子32の先端部に固定されたLED素子33、このLED素子33と駆動電極端子31とを接続するAu細線34と、箱体29の底面に配置された反射鏡35から成る。
【0048】
高輝度反射型LEDランプ27は、接地電極端子32のLED素子33が固定された端部とは反対側端部と一体なランプ保持部36を備えている。ランプ保持部36には、高輝度反射型LEDランプ27を光源基台26に後述するネジ39でネジ止め固定するためのネジ孔37が形成されている。
【0049】
この高輝度反射型LEDランプ27は、駆動電極端子31と接地電極端子32の両電極により発光駆動されると、LED素子33から箱体29の底面方向に広がって照射される光を、反射鏡36により箱体29の開口部方向へ平行光38として照射する。
【0050】
図3(c)に示す砲弾型のLEDランプ40は、二本のリード線41(41a、41b)の一方のリード線41aに繋がる接地電極42、接地電極42に電導性接着剤43を介して一方の電極を固定されたLED素子44、LED素子44の他方の電極に一方の端部を接続されたAu(金)線45、及びAu線45の他方の端部を接続され他方のリード線41bに繋がる駆動極極46が、エポキシ樹脂47に埋め込まれて構成されている。
【0051】
一般に砲弾型のLEDランプ40は、広い照射角度をもつLEDランプであり、LED素子44の発光による照射光は、エポキシ樹脂47の放射面48から、広がり幅49(49a、49b)の鈍角を成す照射角度の範囲で照射される。このような砲弾型のLEDランプ40の光の利用効率は30〜40%とされている。
【0052】
これに対して、高輝度反射型LEDランプ27は、LED素子33から放射された殆ど全ての光を箱体29の底面にある反射鏡36で反射させ、平行な軸状に制御された光として外部へ照射する。これにより、90%以上の光利用効率を得ることができる。ここに本例の消色用光源として高輝度反射型LEDランプ27を採用した理由がある。
【0053】
次に、本例の消色装置22の光消色部(消色用LEDヘッド24)において使用される高輝度反射型LEDランプ27の光源基台26に対して配置される各種の配置例において、その消色機能を、その完全消色のための使用電力も含めて説明する。
【実施例5】
【0054】
図4は、実施例5に係る消色装置22の光消色部(消色用LEDヘッド24)において光源基台26に取り付けられる高輝度反射型LEDランプ27の配置例を示す図(その1)である。
【0055】
図4に示すように、光源基台26には、その長手方向に複数の高輝度反射型LEDランプ27が、マイナス型ドライバ用の頭溝を切られたネジ39によってランプ保持部36をネジ止め固定されて並設されている。
【0056】
そして、それらの高輝度反射型LEDランプ27は、LED素子を発光駆動する駆動電極端子31と接地電極端子32の両電極端子が直線状に配置されたその直線方向50を記録媒体13(図2参照)の搬送方向(図2の矢印b参照)に平行に配置されている。
【0057】
以下、この高輝度反射型LEDランプ27のLED素子を発光駆動する駆動電極端子31と接地電極端子32の両電極端子が直線状に配置されたその直線方向50を、単に「LEDランプの向き50」ということにする。
【0058】
ここで、図1及び図2に示すように、消色性トナーRによる消色性画像を形成された記録媒体13を消色装置22へと搬送し、砲弾型のLEDランプ40を消色用に発光駆動するときと同様の強力な駆動電力で高輝度反射型LEDランプ27を発光駆動する試験を行った。
【0059】
図5(a),(b)は、上記図4に示す高輝度反射型LEDランプ27の配置において、砲弾型のLEDランプ40を消色用に発光駆動するときと同様の強力な駆動電力で高輝度反射型LEDランプ27を発光駆動した場合の消色性画像の消色効果を示す図である。
【0060】
図5(a)は記録媒体13に形成されている消色前の消色性トナー画像51と、画像の形成されていない白無地領域52を模式的に示している。そして、図5(b)は消色前の消色性トナー画像51が完全に消色された状態53を示している。
【0061】
尚、図5(b)において、消色性トナー画像の完全消色状態53の部分を灰色で示しているのは消色前の消色性トナー画像51が在った部分を比較のため示しているのであって、消色性が悪くて色残りしていることを示しているものではない。
【0062】
ここで、本来、高輝度反射型LEDランプ27は、砲弾型のLEDランプ40の光利用効率に対して2倍以上の光利用効率を得ることができるものであるから、高輝度反射型LEDランプ27の駆動電力をおよそ前回の1/2に下げた省電力の発光駆動を行って前回同様の消色試験を行った。
【0063】
図6(a),(b)は、上記図4に示す高輝度反射型LEDランプ27の配置において砲弾型のLEDランプ40を消色用に発光駆動するときの駆動電力の約1/2の省電力駆動で高輝度反射型LEDランプ27を発光駆動した場合の消色性画像の消色効果を示す図である。
【0064】
この場合も図6(a)は記録媒体13に形成されている消色前の消色性トナー画像51と、画像の形成されていない白無地領域52を模式的に示している。ところが、この場合は図6(b)では、消色前の消色性トナー画像51が完全に消色された状態53にはならず、一定の間隔で消色不完全部分54が、矢印dで示す記録媒体13の搬送方向に平行な筋状の線となって現れている。
【0065】
図7は図4に示す高輝度反射型LEDランプ27の配置において、図6(b)に示す消色不完全部分54が平行な筋状の線となって現れるような省電力駆動で高輝度反射型LEDランプ27を発光駆動した場合の、消色用LEDヘッド24の光量分布を示す図である。
【0066】
図7は、横軸に消色用LEDヘッド24における高輝度反射型LEDランプ27の並設方向を示し、縦軸に光量を示している。尚、図の破線55は消色に必要な光量を示している。また、記録媒体13は、縦軸に示す光量分布の中を矢印bで示す方向に搬送されていく。
【0067】
この図7に示すように、光量分布は、高輝度反射型LEDランプ27の配置と配置の間隙対応部分57が、平行光照射対応部分56よりも大きく下がってはいるものの、消色に必要な光量55の線を越えている。
【0068】
しかし、LEDランプの向き50に対応する直線配置対応部分58では、平行光照射部の両電極端子によって遮られた低照射部分が、記録媒体13の搬送方向に沿っているため、消色に必要な光量55よりも大きく低下している。
【0069】
このように図4に示す高輝度反射型LEDランプ27の配置においては、記録媒体13の搬送方向に平行に沿って直線配置対応部分58の低照射部分が連続するため、図6(b)に示した消色不完全部分54が発生することは疑う余地がない。
【実施例6】
【0070】
そこで、本発明者は、光源基台26に対する高輝度反射型LEDランプ27の配置において、両電極端子(31、32)が直線状に配置された直線方向50が、記録媒体13の搬送方向に平行しないように設定した場合、消色不完全部分54が発生しないのではないかと考えた。
【0071】
図8は、実施例6に係る消色装置22の光消色部(消色用LEDヘッド24)において光源基台26に取り付けられる高輝度反射型LEDランプ27の配置例を示す図(その2)である。
【0072】
図8に示すように、この場合も光源基台26には、その長手方向に複数の高輝度反射型LEDランプ27が、ネジ39によってランプ保持部36をネジ止め固定され、但し本例では、LEDランプの向き50を、矢印bで示す記録媒体13の搬送方向に直角、すなわち90°の方向に向けて並設されている。
【0073】
この高輝度反射型LEDランプ27の配置において、砲弾型のLEDランプ40を消色用に発光駆動するときのおよそ1/2に下げた省電力の発光駆動を行って、図1及び図2に示すように消色性トナーRによる消色性画像を形成された記録媒体13を消色装置22へと搬送し、消色試験を行った。
【0074】
この試験結果では、消色性トナー画像が形成された記録媒体13の全面にわたって、不完全消色部分のような筋線の無い、図5(b)に示すと全く同様の、均一に消色された完全消色状態が得られた。
【0075】
図9は、図8に示す高輝度反射型LEDランプ27の配置において、図5(b)に示す完全消色状態が得られた省電力駆動で、高輝度反射型LEDランプ27を駆動したときの消色用LEDヘッド24から記録媒体13に対して照射される照射光の光量分布を示す図である。
【0076】
この図9の場合も、横軸に消色用LEDヘッド24における高輝度反射型LEDランプ27の並設方向を示し、縦軸に光量を示している。破線55は消色に必要な光量を示し、記録媒体13は、縦軸に示す光量分布の中を矢印bで示す方向に搬送される。
【0077】
この図9に示すように、光量分布は、高輝度反射型LEDランプ27の配置と配置の間隙対応部分57(図8の間隙eに対応する部分)が、平行光照射対応部分56よりも下がってはいるが、消色に必要な光量55の線よりも十分大きな光量となっている。
【0078】
そして、ここでは、図7に示したようなLEDランプの向き50に対応する直線配置対応部分58の低照射部分が消失している。代わって平行光照射対応部分56(図8の照射幅fに対応する部分)の光量分布幅が、高輝度反射型LEDランプ27の並設方向に大きく広がっている。
【0079】
図8に示す高輝度反射型LEDランプ27の配置にすると図9に示すような光量分布となることが、図5(b)に示す不完全消色部分のような筋線の無い均一に消色された完全消色状態が得られるための構成要因の一例であることは結果として明らかである。
【実施例7】
【0080】
上記の実施例6ではLEDランプの向き50を記録媒体13の搬送方向に対して90°となるように配置したが、本発明者は、LEDランプの向き50が記録媒体13の搬送方向に対して平行でさえなければ、光量の直線配置対応部分58の低照射部分が記録媒体13の同一部分に連続して照射されることが無くなるので、不完全消色部分の発現が解消されるのではないかと考えた。
【0081】
図10は、実施例7に係る消色装置22の光消色部(消色用LEDヘッド24)において光源基台26に取り付けられる高輝度反射型LEDランプ27の配置例を示す図(その3)である。
【0082】
図10に示すように、この場合も光源基台26には、その長手方向に複数の高輝度反射型LEDランプ27が、ネジ39によってランプ保持部36をネジ止め固定され、但し本例では、LEDランプの向き50を、矢印bで示す記録媒体13の搬送方向に45°の方向に向けて並設されている。
【0083】
この高輝度反射型LEDランプ27の配置において、砲弾型のLEDランプ40を消色用に発光駆動するときのおよそ1/2に下げた省電力の発光駆動を行って、図1及び図2に示すように消色性トナーRによる消色性画像を形成された記録媒体13を消色装置22へと搬送し、消色試験を行った。
【0084】
この試験結果でも、消色性トナー画像が形成された記録媒体13の全面にわたって、不完全消色部分のような筋線の無い、図5(b)に示すと全く同様の、均一に消色された完全消色状態が得られた。
【0085】
図11は、図10に示す高輝度反射型LEDランプ27の配置において、図5(b)に示す完全消色状態が得られた省電力駆動で、高輝度反射型LEDランプ27を駆動したときの消色用LEDヘッド24から記録媒体13に対して照射される照射光の光量分布を示す図である。
【0086】
この図11の場合も、横軸に消色用LEDヘッド24における高輝度反射型LEDランプ27の並設方向を示し、縦軸に光量を示している。破線55は消色に必要な光量を示し、記録媒体13は、縦軸に示す光量分布の中を矢印bで示す方向に搬送される。
【0087】
この図11に示すように、光量分布は、ここでも、図7に示したようなLEDランプの向き50に対応する直線配置対応部分58の低照射部分が消失している。
【0088】
そして、高輝度反射型LEDランプ27の配置と配置の間隙対応部分57(図10の間隙gに対応する部分)が、LEDランプの向き50が90°であった図9の場合よりも消色に必要な光量55の線よりも上に上がって光量が大きくなっている。
【0089】
代わって平行光照射対応部分56(図10の照射幅hに対応する部分)の光量分布幅が、高輝度反射型LEDランプ27の並設方向に大きく広がっていた図9の場合よりもやや狭くなっている。いずれにしても、光量分布の全体が消色に必要な光量55の線よりも上にあり、消色には十分な光量であることが分かる。
【0090】
このように、図10に示す高輝度反射型LEDランプ27の配置にすると図11に示すような光量分布となることが、図5(b)に示す不完全消色部分のような筋線の無い均一に消色された完全消色状態が得られるための構成要因の他の一例であることが結果として明らかである。
【0091】
上述した実施例6又は7によれば、高輝度反射型LEDを、記録媒体の搬送方向に平行ではない傾けた配置にしたことにより、LED素子の電極端子が平行照射光を遮る影による記録媒体に対する照射ムラを防止でき、均一な消色が得られるという効果がある。
【0092】
同様に高輝度反射型LEDを記録媒体の搬送方向に平行ではない傾けた配置にしたことにより、より少ない駆動電力でも照射ムラのない均一な消色が得られるので、省電力に貢献できるという効果がある。
【0093】
また、例えば、実施例7のように、高輝度反射型LEDを記録媒体の搬送方向に対して45°に傾けて配置すると、均一な消色が得られる照射光を出す高輝度反射型LEDをより高密度に配置できるので光量に余裕が生じ、消色処理の処理速度が向上するという効果がある。
【0094】
尚、実施例6及び7では、記録媒体13の搬送方向を0°として、LEDランプの向き50を記録媒体13の搬送方向に対し90°又は45°としたが、180°又は135°としても良い。
【0095】
また、90°、45°、180°又は135°と限ることなく、両電極端子により遮られる平行照射光の影が記録媒体の照射面に発生しない角度であれば何度でも良い。例えば1°〜45°(又は181°〜136°)の間でも効果は得られるが、好ましくは45°〜90°(又は180°〜135°)の間とするのが良い。
【0096】
また、実施例6及び7では、高輝度反射型LEDランプを用いるとしたが、消色用に限ることなく、高輝度ではない反射型LEDランプの場合でも均一な照射光を得ることが必要な場合には、反射型LEDランプを被照射面の相対的移動方向に非平行に傾斜した配置にすることで同様な効果が得られる。
【0097】
また、反射型LEDランプには電極構造の異なる形状のものがあるが、実施例4に示した形状に限ることなく、LEDランプの向きを記録媒体の搬送方向に対して傾斜させることで両電極端子により遮られる平行照射光の影が記録媒体の照射面に発生しない反射型LEDランプであれば、どのような形状のものでも良い。
【0098】
また、実施例3では光消色部24の構成にF3.0のフレネルレンズを使用したが、フレネルレンズが無い構成でも良い。また他のレンズを設置した構成でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、反射型LEDランプを消色ヘッドの構成に用いて照射ムラの無い均一な消色が得られる消色装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 画像形成装置
2 本体装置筐体
3 転写ベルト
4 駆動ローラ
5 従動ローラ
6 画像形成ユニット
7 感光体ドラム
8 トナー容器
9 一次転写ローラ
R 消色性トナー
11 二次転写ローラ
12 画像形成搬送路
13 記録媒体
14 記録媒体収容部
15 給紙搬送路
16 定着搬送路
17 定着部
18 加熱ローラ
19 押圧ローラ
21 排紙トレー
22 消色装置
23 消色用ヒータローラ
24 消色用LEDヘッド(光消色部)
26 光源基台
27 高輝度反射型LEDランプ
28 フレネルレンズ
31 駆動電極端子
32 接地電極端子
33 LED素子
34 Au細線
35 反射鏡
36 ランプ保持部
37 ネジ孔
38 平行光
39 ネジ
40 砲弾型LEDランプ
41(41a、41b) リード線
42 接地電極
43 電導性接剤着
44 LED素子
45 Au(金)線
46 駆動極極
47 エポキシ樹脂
48 放射面
49(49a、49b) 照射光広がり幅
50 直線方向(LEDランプの向き)
51 消色前の消色性トナー画像
52 画像が形成されていない白無地部分
53 消色性トナー画像の完全消色状態
54 消色不完全部分
55 消色に必要な光量
56 平行光照射対応部分
57 配置と配置の間隙対応部分
58 両電極端子の直線配置対応部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光感応性トナーを用いて消色性トナー画像を形成された記録媒体の前記消色性トナー画像を消色する消色装置において、
前記記録媒体の搬送方向に対して90°方向にライン状に延在して配置された光源基台と、
該光源基台上に消色用光源として並設された複数の反射型LED(light emitting diode)ランプと、
を少なくとも有する光消色部を備え、
前記反射型LEDランプは、LED素子を発光駆動する駆動電極端子と接地電極端子の両電極端子が直線状に配置された直線方向を前記記録媒体の搬送方向を0°としたとき該搬送方向に対し0°を超え180°未満の範囲の方向に向けて並設されている、
ことを特徴とする消色装置。
【請求項2】
前記反射型LEDランプは、前記LED素子を発光駆動する前記両電極端子が直線状に配置された前記直線方向を前記記録媒体の搬送方向を0°としたとき該搬送方向に対し90°の方向に向けて並設されている、ことを特徴とする請求項1記載の消色装置。
【請求項3】
前記反射型LEDランプは、前記LED素子を発光駆動する前記両電極端子が直線状に配置された前記直線方向を前記記録媒体の搬送方向を0°としたとき該搬送方向に対し45°又は135°の方向に向けて並設されている、ことを特徴とする請求項1記載の消色装置。
【請求項4】
前記反射型LEDランプは、高輝度反射型LEDランプである、ことを特徴とする請求項1、2又3記載の消色装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−47864(P2012−47864A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188041(P2010−188041)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】