説明

消防車

【課題】特に林野火災に対して有効に対応できる消防車を提供する。
【解決手段】運転席を有するキャビンスペース10と、通信作業を行うとともに消火作業を行えるオペレーションデッキスペース20と、消防活動用資機材を搭載する荷台スペース50とを備え、車輌ボディが、キャビンスペース10及びオペレーションデッキスペース20を形成する車輌前部ボディ1と、荷台スペース50を形成する車輌後部ボディ2とから構成され、車輌前部ボディ1の前方にキャビンスペース10を配置し、車輌前部ボディ1の後方にオペレーションデッキスペース20を配置し、オペレーションデッキスペース20の車輌両側部には開口部21が形成され、開口部21には、セーフティーバー22が回動自在に設けられ、開口部21の車輌内方には、立ち見用デッキ24を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に林野火災に用いられる消防車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から消防車は、その用途に応じた機能を発揮するために各種のタイプが提案されている。
例えば、図9に示す消防車は、開閉自在な扉を有する後部ボディ101内に可搬ポンプや発電機などの消防活動用資機材とともに救助活動用資機材を積載している(特許文献1)。
図9に示す消防車は、多くの作業者が乗員できるようにダブルキャビンとなっており、運転席102の後方に後部席103を有する空間を形成し、運転席用のドアとは別に後部席103用にもドアが設けられている。
図10に示す消防車は、荷台に搭載するボディの前方に救急機能部104を有し、ボディの後方に消防機能部105を有するものである(特許文献2)。
図11に示す消防車は、荷台に搭載するボディの後方に救急機能部104を有し、ボディの中央部に消防機能部105を有するものである(特許文献3)。
図10及び図11に示す消防車は、運転席を有するキャビン以外に、荷台に搭載するボディを備え、ボディを2つの空間に仕切り、救急機能部104を有する空間と消防機能部105を有する空間を形成し、それぞれの空間には開閉扉を有している。
一方、一般的な消防車は、車輌から消火ホースを引き出して放水作業を行うが、放水銃を備えた消防車も既に実用化されている。
図12は既に実用化されている消防車の斜視図である。
図12に示す消防車は、運転席を有するキャビンの天井面に放水銃を備えている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1352983号公報
【特許文献2】意匠登録第1250650号公報
【特許文献3】意匠登録第1352984号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】MAF−125A 空港用化学消防車カタログ、株式会社モリタ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、林野火災に対しては、空からの消火活動とともに地上での消火活動が行われる。地上での消火活動は、地表の残り火を隈無く探して完全に消火することで、再発火や延焼を防止するもので、過酷な現場での作業となる。また、山林地帯の悪路や坂道での消火活動が求められ、気象の変化に応じた迅速な移動が求められる。従って、車輌は走破性に優れるとともに、人員及び物資などの積載はもちろん、林野火災用の消防活動用資機材を十分に搭載できるものでなければならない。
一方、近年では情報通信の発達により、空からの火災状況に関するデータや現場近くでの風向き変化などの詳細なデータを相互に共有することも可能となっているが、このような情報を有効に利用できる林野火災用消防車は未だ提案されていない。移動のタイミングの遅れや移動経路の選択の間違いは命にもかかわる問題となるため、特に、刻々と変化する火災状況のデータを瞬時に把握し、風向風力変化のデータに基づく延焼予測を行え、更には地上だけでなく空からの消火活動との連携を行うことが求められる。
しかし、運転席に配備可能なモニター程度では十分でなく、悪条件下においても、瞬時に各種情報の把握や分析を行う上では、複数画面表示や入力操作部材の配置と操作が可能なオペレーション空間の確保が不可欠となる。
以上のことから、特に林野火災にも適用できる消防車は、走破性を損なわないためにコンパクト性を維持しつつ、情報通信による情報活用が行えるスペースの確保を行うこと、また停車時だけでなく移動時にも消火作業を継続できることが今後重要になってくる。
特に過酷な林野火災の現場においては、乗員の相互の状況が把握でき、迅速な判断と対応がとれなければならない。また走行中の消火活動も、悪路条件や地形、気象変化に迅速に対応できなければ、乗員の生命に危険をもたらしてしまう。
このような課題の中で、図9に示すダブルキャビンでは、後部席の確保による乗車人員を増やすという機能を果たすにすぎない。
図10及び図11に示す消防車では、救急機能部104を有する空間と消防機能部105を有する空間に仕切ることで、車輌に複数機能を持たせているが、そもそも乗員の相互の状況を図るというものではなく、迅速な乗員同士の相互把握は困難であり、オペレーション空間という考えはない。
一方、図12に示す消防車は、放水銃によって消火作業が行えるもので、停車時はもちろん走行時にも消火作業を行える。
しかし、図12に示す放水銃は、車室内から遠隔操作によって放水銃を操作するものであり、走行時の車体の傾きや状況変化に対応した迅速な消火活動には対応しづらい。
以上のように、従来においては、走行時に、通信作業を行うとともに消火作業を行えるオペレーション空間を車輌に設けるという考えはなく、今後の林野火災に対応できる消防車が必要である。
【0006】
そこで本発明は、特に林野火災に対して有効に対応できる消防車を提供することを目的とする。
特に本発明は、通信作業を行うとともに消火作業を行えるオペレーション空間について作業性、機能性が高い消防車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明の消防車は、運転席を有するキャビンスペースと、通信作業を行うとともに消火作業を行えるオペレーションデッキスペースと、消火用消防活動用資機材を搭載する荷台スペースとを備え、車輌ボディが、前記キャビンスペース及び前記オペレーションデッキスペースを形成する車輌前部ボディと、前記荷台スペースを形成する車輌後部ボディとから構成され、前記車輌前部ボディの前方に前記キャビンスペースを配置し、前記車輌前部ボディの後方に前記オペレーションデッキスペースを配置し、前記オペレーションデッキスペースの車輌両側部には開口部が形成されたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の消防車において、前記開口部には、セーフティーバーが回動自在に設けられたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の消防車において、前記開口部の車輌内方には、立ち見用デッキを設けたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の消防車において、前記開口部を、前記オペレーションデッキスペースの上方を覆う天面部材と、前記立ち見用デッキとの間に形成し、前記開口部の中間高さ位置における中間開口部の幅を最も広く形成したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項2に記載の消防車において、前記セーフティーバーには放水銃を備えたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項3に記載の消防車において、一対の前記立ち見用デッキの間には作業用デッキを配置したことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の消防車において、前記立ち見用デッキ及び前記作業用デッキを、一対の前輪タイヤフェンダーより車輌後方側に配置したことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項7に記載の消防車において、一対の前輪タイヤの間に連結される駆動軸の上方に、前記キャビンスペースと前記オペレーションデッキスペースとを繋ぐ通路、及び前記キャビンスペースと前記オペレーションデッキスペースとを隔離する前方壁面を配置したことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1から請求項8に記載の消防車において、前記オペレーションデッキスペースの車輌後方側に位置する後方壁面に、ディスプレイ及び操作盤を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の消防車によれば、オペレーションデッキスペースがキャビンスペース近くに配置されているので、運転者と意思疎通を図りつつ、通信作業や消火作業を行うことができる。特に立ち見用デッキに立った状態でオペレーションデッキに形成された開口部から消火作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例による消防車の前方からの外観斜視図
【図2】同消防車の後方からの外観斜視図
【図3】同消防車の天面パネルを外した状態の平面図
【図4】本実施例による車輌ボディの側方からの外観斜視図
【図5】本実施例による車輌前部ボディの前方からの外観斜視図
【図6】本実施例による車輌前部ボディの上方からの外観斜視図
【図7】本実施例によるオペレーションデッキスペース内の車輌後方側の斜視図
【図8】オペレーションデッキスペース内の車輌前方側の斜視図
【図9】従来の消防車の外観斜視図
【図10】従来の他の消防車の外観斜視図
【図11】従来の更に他の消防車の外観斜視図
【図12】放水銃を備えた従来の消防車の外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の実施の形態による消防車は、運転席を有するキャビンスペースと、外部通信を行うとともに消火作業を行えるオペレーションデッキスペースと、消防活動用資機材を搭載する荷台スペースとを備え、車輌ボディが、キャビンスペース及びオペレーションデッキスペースを形成する車輌前部ボディと、荷台スペースを形成する車輌後部ボディとから構成され、車輌前部ボディの前方にキャビンスペースを配置し、車輌前部ボディの後方にオペレーションデッキスペースを配置し、オペレーションデッキスペースの車輌両側部には開口部が形成されたものである。本実施の形態によれば、オペレーションデッキスペースがキャビンスペース近くに配置されているので、運転者と意思疎通を図りつつ、通信作業や消火作業を行うことができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による消防車において、開口部には、セーフティーバーが回動自在に設けられたものである。本実施の形態によれば、オペレーションデッキスペースでの作業性に優れている。
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による消防車において、開口部の車輌内方には、立ち見用デッキを設けたものである。立ち見用デッキに立った状態でオペレーションデッキに形成された開口部から消火作業を行うことができる。本実施の形態によれば、立ち見用デッキに立った状態でオペレーションデッキに形成された開口部から消火作業を行うことができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態による消防車において、開口部を、オペレーションデッキスペースの上方を覆う天面部材と、立ち見用デッキとの間に形成し、開口部の中間高さ位置における中間開口部の幅を最も広く形成したものである。本実施の形態によれば、立ち見用デッキにおける作業性に優れている。
本発明の第5の実施の形態は、第2の実施の形態による消防車において、セーフティーバーには放水銃を備えたものである。本実施の形態によれば、放水銃の操作性に優れ、広範囲に対する消火活動を行うことができる。
本発明の第6の実施の形態は、第3の実施の形態による消防車において、一対の立ち見用デッキの間には作業用デッキを配置したものである。本実施の形態によれば、立ち見用デッキの間には作業用デッキが配置されることで、広い作業空間が確保され、左右の立ち見用デッキの移動も容易となる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による消防車において、立ち見用デッキ及び作業用デッキを、一対の前輪タイヤフェンダーより車輌後方側に配置したものである。本実施の形態によれば、立ち見用デッキ及び作業用デッキを低い位置に形成しやすく、作業者が立った状態で各種の作業を行うことができる。
本発明の第8の実施の形態は、第1から第7の実施の形態による消防車において、一対の前輪タイヤの間に連結される駆動軸の上方に、キャビンスペースとオペレーションデッキスペースとを繋ぐ通路、及びキャビンスペースとオペレーションデッキスペースとを隔離する前方壁面を配置したものである。本実施の形態によれば、高さ方向に制約を受ける駆動軸上方を、キャビンスペースとオペレーションデッキスペースとの間の通路と前方壁面とすることで、限られた車輌寸法の中で特にオペレーションデッキスペースを確保することができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1から第8の実施の形態による消防車において、オペレーションデッキスペースの車輌後方側に位置する後方壁面に、ティスプレイ及び操作盤を配置したものである。本実施の形態によれば、オペレーションデッキスペースの後方壁面を有効に利用するので、情報通信などの作業性に優れている。
【実施例】
【0011】
以下本発明の一実施例による山林火災用消防車について説明する。
図1は本実施例による消防車の前方からの外観斜視図、図2は同消防車の後方からの外観斜視図、図3は同消防車の天面パネルを外した状態の平面図である。
本実施例による消防車は、運転席を有するキャビンスペース10と、外部通信を行うとともに消火作業を行えるオペレーションデッキスペース20と、消防活動用資機材を搭載する荷台スペース50とを備えている。
車輌ボディは、キャビンスペース10及びオペレーションデッキスペース20を形成する車輌前部ボディ1と、荷台スペース50を形成する車輌後部ボディ2とから構成される。
車輌前部ボディ1の前方にキャビンスペース10を配置し、車輌前部ボディ1の後方にオペレーションデッキスペース20を配置している。
オペレーションデッキスペース20の車輌両側部には開口部21が形成され、開口部21には、セーフティーバー22が回動自在に設けられている。セーフティーバー22には放水銃23を備えている。
【0012】
図3に示すように、荷台スペース50の中央部には、水タンク51と放水ユニット52とが配置されている。水タンク51には消火用水が貯留され、放水ユニット52にはポンプ、コンプレッサー、及び泡薬剤が設けられている。水タンク51は荷台スペース50の前方に、放水ユニット52は荷台スペース50の後方に配置している。
水タンク51及び放水ユニット52の側方の扉60との間のスペースには、消防活動用資機材を保管する昇降棚53を配置している。
荷台スペース50は、天面、側面、及び後面がパネルによって覆われ、側面が扉60によって開閉される。
車輌後部ボディ2の両側面には、それぞれの扉60及びそれぞれの扉60に設けられた照明手段65の制御を行う操作部65aを設けている。操作部65aには、扉60の開閉動作を指示する操作ボタンや、照明手段65の手動オンオフや自動オンオフを指示する操作ボタンが設けられている。また、この操作部65aに、昇降棚53の動作を指示する操作ボタンや、キャビンスペース10やオペレーションデッキスペース20の作業員に緊急警告を出力する非常ボタンを設けてもよい。
【0013】
図4は本実施例による車輌ボディの側方からの外観斜視図、図5は本実施例による車輌前部ボディの前方からの外観斜視図、図6は本実施例による車輌前部ボディの上方からの外観斜視図である。
図に示すように、車輌前部ボディ1は、車輌後部ボディ2とは別パネル部材として形成されている。車輌前部ボディ1には、キャビンスペース10の前方に設けられる前方開口部11と、キャビンスペース10の両側方に設けられる側方開口部12と、キャビンスペース10の上方に設けられる上方開口部13と、オペレーションデッキスペース20の車輌両側部に設けられる開口部21とを形成している。前方開口部11は、所定の高さ寸法で車輌前部の両側部に渡って形成されている。側方開口部12は、車両前部側が前方開口部11の高さ寸法と一致する大きさで、車輌後部側が狭くなるように形成されている。上方開口部13は、天面部材14の車輌前部側に形成されている。前方開口部11、側方開口部12、及び上方開口部13にはガラスが設けられる。
車輌前部ボディ1には、複数の補強フレーム15,16、17、18、19が形成されている。第1の補強フレーム15は、開口部21の上方に位置して天面部材14の車輌側部に配置されている。第2の補強フレーム16は、開口部21の下方に位置して立ち見用デッキ24の車輌側部に配置されている。第1の補強フレーム15と第2の補強フレーム16は平行に配置されている。
第3の補強フレーム17と第4の補強フレーム18は、開口部21の車輌後方側の側部に配置されている。第3の補強フレーム17の上端は第1の補強フレーム15の車輌後方側の一端と連接し、第3の補強フレーム17の下端は第4の補強フレーム18の上端と連接している。第4の補強フレーム18の下端は、第2の補強フレーム16の車輌後方側の一端と連接している。第3の補強フレーム17は上端より下端が車輌後方側に配置し、第4の補強フレーム18は下端より上端が車輌後方側に配置することで、開口部21の中間高さ位置における中間開口部の幅が最も広くなるように形成している。
【0014】
第5の補強フレーム19は、車輌両側部に配置される側部フレーム19aと車輌前部に配置される前部フレーム19bによって形成している。側部フレーム19aの車輌後方側の一端は、第1の補強フレーム15の車輌前方側の一端と連接し、側部フレーム19aの車輌前方側の一端は、車輌前部ボディ1の下部に配置している。そして、側部フレーム19aは、側方開口部12の下端に沿って、車輌後方から車両前方にかけて下方に傾斜して形成されている。
前部フレーム19bは、前方開口部11より下方の車輌前部ボディ1の下部に配置している。前部フレーム19bの両端は、それぞれの側部フレーム19aの車輌前方側の一端と連接している。
側部フレーム19aの車輌前方側の一端は、前輪タイヤフェンダー19cを介して第2の補強フレーム16の車輌前方側の一端と連接している。
側部フレーム19aと前輪タイヤフェンダー19cとの間に位置するパネル19dには、セーフティーバー22の回動部22aが設けられる。また、パネル19dは、開口部21の中間高さ位置における中間開口部の幅が最も広くなるように形成している。セーフティーバー22は、開口部21の中間開口部よりも低い位置に配置している。ここで、セーフティーバー22の上端が、開口部21の中間開口部よりも低い位置となるようにセーフティーバー22を配置することが好ましい。また、セーフティーバー22の上部には上部バー22bを設け、セーフティーバー22の下部には下部バー22cを設け、上部バー22bには放水銃23を回動自在に備えている。
【0015】
図7はオペレーションデッキスペース内の車輌後方側の斜視図である。
オペレーションデッキスペース20の開口部21の車輌内方には、一対の立ち見用デッキ24を設けている。また、一対の立ち見用デッキ24の間には作業用デッキ25を配置している。立ち見用デッキ24は、作業用デッキ25よりも低い位置に設けている。また、立ち見用デッキ24の車輌外方にはラダー26が設けられている。作業用デッキ25には、簡易シート25aが設けられている。
オペレーションデッキスペース20の車輌後方側に位置する後方壁面には、ティスプレイ27が設けられている。このディスプレイ27の下方には、トラックボール、キーボード、ジョイステックなどの操作盤28を配置している。またディスプレイ27の両側方には、それぞれの放水銃23に対応した、ポンプ操作盤、スロットル、圧力計、連成計などの放水銃用計器29を配置している。
本実施の形態によれば、オペレーションデッキスペース20の後方壁面を有効に利用して、情報通信などの作業性に優れている。
【0016】
図8はオペレーションデッキスペース内の車輌前方側の斜視図である。
立ち見用デッキ24及び作業用デッキ25は、一対の前輪タイヤフェンダー19cより車輌後方側に配置している。
一対の前輪タイヤの間に連結される駆動軸の上方には、キャビンスペース10とオペレーションデッキスペース20とを繋ぐ通路31、及びキャビンスペース10とオペレーションデッキスペース20とを隔離する前方壁面32を配置している。
前方壁面32は車輌両側部に位置し、通路31は一対の前方壁面32の間に配置している。図示はしないが、通路31には開閉扉を設けることが好ましい。
一対の前方壁面32には、折りたたみ式の椅子33を設けている。椅子33のシートが、使用状態では立ち見用デッキ24の上方に位置するように椅子33を配置している。
【0017】
以上のように本実施例によれば、オペレーションデッキスペース20がキャビンスペース10の近くに配置されているので、運転者と意思疎通を図りつつ、通信作業や消火作業を行うことができる。特に立ち見用デッキ24に立った状態でオペレーションデッキ20に形成された開口部21から消火作業を行うことができる。
また本実施例によれば、開口部21を、オペレーションデッキスペース20の上方を覆う天面部材14と立ち見用デッキ24との間に形成し、開口部21の中間高さ位置における中間開口部の幅を最も広く形成したことで、立ち見用デッキ24における放水銃23の操作性に優れている。
また本実施例によれば、セーフティーバー22を、中間開口部よりも低い位置に配置したことで、セーフティーバー22によって車輌外に放り出される心配がなく、放水銃23の操作性に優れている。
また本実施例によれば、セーフティーバー22に放水銃23を備えているので、放水銃23の操作性に優れ、広範囲に対する消火活動を行うことができる。
また本実施例によれば、一対の立ち見用デッキ24の間には作業用デッキ25を配置したことで、広い作業空間が確保され、左右の立ち見用デッキ24の移動も容易となる。
また本実施例によれば、立ち見用デッキ24及び作業用デッキ25を、一対の前輪タイヤフェンダー19cより車輌後方側に配置したことで、立ち見用デッキ24及び作業用デッキ25を低い位置に形成しやすく、作業者が立った状態で各種の作業を行うことができる。
また本実施例によれば、一対の前輪タイヤの間に連結される駆動軸の上方に、キャビンスペース10とオペレーションデッキスペース20とを繋ぐ通路31、及びキャビンスペース10とオペレーションデッキスペース20とを隔離する前方壁面32を配置したことで、高さ方向に制約を受ける駆動軸上方を、通路31と前方壁面32とすることができ、限られた車輌寸法の中で、特にオペレーションデッキスペース20を確保することができる。
また本実施例によれば、椅子33のシートを、使用状態では立ち見用デッキ24の上方に配置したことで、通常は立ち作業を行う立ち見用デッキ24の空間を、椅子33の使用空間として利用することができる。
また本実施例によれば、オペレーションデッキスペース20の車輌後方側に位置する後方壁面に、ティスプレイ27及び操作盤28を配置したことで、オペレーションデッキスペース20の後方壁面を有効に利用して複数のディスプレイ27の設置が可能となり、情報通信などの作業性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の消防車は、特に林野火災用として適しているが、市街地における震災用にも利用できる。
【符号の説明】
【0019】
1 車輌前部ボディ
10 キャビンスペース
20 オペレーションデッキスペース
21 開口部
22 セーフティーバー
23 放水銃
24 立ち見用デッキ
25 作業用デッキ
27 ディスプレイ
28 操作盤
31 通路
32 前方壁面
33 椅子
50 荷台スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有するキャビンスペースと、通信作業を行うとともに消火作業を行えるオペレーションデッキスペースと、消防活動用資機材を搭載する荷台スペースとを備え、
車輌ボディが、前記キャビンスペース及び前記オペレーションデッキスペースを形成する車輌前部ボディと、前記荷台スペースを形成する車輌後部ボディとから構成され、
前記車輌前部ボディの前方に前記キャビンスペースを配置し、
前記車輌前部ボディの後方に前記オペレーションデッキスペースを配置し、
前記オペレーションデッキスペースの車輌両側部には開口部が形成されたことを特徴とする消防車。
【請求項2】
前記開口部には、セーフティーバーが回動自在に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の消防車。
【請求項3】
前記開口部の車輌内方には、立ち見用デッキを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の消防車。
【請求項4】
前記開口部を、前記オペレーションデッキスペースの上方を覆う天面部材と、前記立ち見用デッキとの間に形成し、
前記開口部の中間高さ位置における中間開口部の幅を最も広く形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の消防車。
【請求項5】
前記セーフティーバーには放水銃を備えたことを特徴とする請求項2に記載の消防車。
【請求項6】
一対の前記立ち見用デッキの間には作業用デッキを配置したことを特徴とする請求項3に記載の消防車。
【請求項7】
前記立ち見用デッキ及び前記作業用デッキを、一対の前輪タイヤフェンダーより車輌後方側に配置したことを特徴とする請求項6に記載の消防車。
【請求項8】
一対の前輪タイヤの間に連結される駆動軸の上方に、前記キャビンスペースと前記オペレーションデッキスペースとを繋ぐ通路、及び前記キャビンスペースと前記オペレーションデッキスペースとを隔離する前方壁面を配置たことを特徴とする請求項1から請求項7に記載の消防車。
【請求項9】
前記オペレーションデッキスペースの車輌後方側に位置する後方壁面に、ディスプレイ及び操作盤を配置したことを特徴とする請求項1から請求項8に記載の消防車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−200441(P2011−200441A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70803(P2010−70803)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000192073)株式会社モリタホールディングス (80)
【Fターム(参考)】