説明

涙管インプラント及び関連する方法

涙点及び眼の関連小管内に安全で楔留め可能な保持を提供する涙管インプラント及び関連する方法が開示される。涙管インプラントは、涙点を通って涙小管に少なくとも部分的に挿入するために構成されたインプラント本体から構成されることができる。インプラント本体は、第1及び第2の部分を含むことができ、かつ、長手遠位軸を画定する第2部分の遠位端部に長手近位軸を画定する第1の部分の近位端部から拡張することができる。インプラント本体は、一体化型拡張器を使用して埋設されるときに、角度の付いた交差部分が近位及び遠位の軸の間に存在するように構成されることができる。このようにして、インプラント本体の少なくとも一部は、涙小管の湾曲部分に又は湾曲部分より遠位にある涙小管の少なくとも一部に対してバイアスすることができ、それによって解剖学的構造を用いて涙管インプラントの埋設位置を保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2009年2月23日に出願された「涙管インプラント及び関連する方法(LACRIMAL IMPLANTS AND RELATED METHODS)」と題する米国仮特許出願番号第61/154,693号、2009年3月2日に提出された「涙管インプラント及び関連する方法(LACRIMAL IMPLANTS AND RELATED METHODS)」と題する第61/209,036号、2009年3月9日に出願された「涙管インプラント及び関連する方法(」と題する第61/209,630号、2009年7月27日に出願された「涙管インプラント及び関連する方法(LACRIMAL IMPLANTS AND RELATED METHODS)」と題する第61/271,862号、2009年10月15日に出願された「涙管インプラント及び関連する方法(LACRIMAL IMPLANTS AND RELATED METHODS)」と題する第61/252,057号から優先権の利益を主張する。これらは全て係属中であり、かつ、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本出願は、2008年9月5日に出願された「涙管インプラント及び関連する方法(LACRIMAL IMPLANTS AND RELATED METHODS)」と題する係属中の米国特許出願番号第12/231,989号に関連している。
【0003】
本特許文書は、一般的に眼科デバイスに関するものであり、具体的には人工眼に関するものである。より具体的には、限定はしないが、本特許文書は、涙管インプラント、そのようなインプラントを製作する方法、及びそのようなインプラントを使用して眼球、呼吸器、内耳、又は他の疾病若しくは疾患(例えば、肺疾患若しくは免疫疾患)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
乾性角結膜炎を含む、ドライアイは、治療を必要とする場合がある一般的な眼症状である。ドライアイは、広範な年齢層の人々が経験しており、また高齢者によく見られる。様々な現行治療法がドライアイにかかわる生理学的状態をターゲットとしており、これは正常な涙液の増大、涙液膜成分産生の強化、及び目から出て涙小管内に入り通過する涙液の流れをブロックするなどの涙の滞留時間を延ばす方法を含む。
【0005】
多くの現行の涙液流ブロック技術には、性質上不可逆であることを含む、短所がある。例えば、いくつかの涙液流ブロック技術は、涙点開口部を縫って閉じるか、又は電気若しくはレーザー焼灼を使用して涙点開口部を封止することによって涙小管導管を閉じることを伴う。このような処理では、涙液流をブロックしてドライアイを治療する所望の結果が得られるけれども、再建外科手術を行わないと症状を改善することはできない。
【0006】
ドライアイ症状緩和に加えて、目、鼻道、又は内耳への適切な薬物又は他の治療薬送達を含む、眼球、呼吸器、及び内耳の疾病若しくは疾患の管理の分野において、患者も医者も様々な難題に直面する。例えば、眼球管理では、多数の現行の眼ドラッグデリバリー(眼用薬物送達)システムは、手作業による反復投与を必要とし、患者の薬剤服用順守(患者コンプライアンス)が欠如していたり、又は眼球に到達する薬物濃度が不適切であったりして効果がない場合が多い。一例として、点眼薬を目にさすと、結膜嚢(つまり、目と眼瞼との間のポケット)をいっぱいにしすぎて眼瞼縁からあふれ出て頬へとこぼれるため液滴のかなりの部分が失われることが多い。それに加えて、眼球表面に残っている液滴の大部分は、涙小管内に入り通過して洗い流されてしまい、目を吸収治療する前に薬物の濃度が希釈されうる。さらに、局所的適用薬物は、薬物適用後約2時間の間に眼球内効果がピークに達し、その後、所望の薬物治療的有用性を維持するためにさらに薬物を投与すべきであるが、たいていは投与されない。
【0007】
眼球管理と異なる分野では、呼吸器関連(例えば、アレルギー)及び内耳疾病又は疾患の制御は、多くの場合、医薬品(例えば、薬物又は他の治療薬)の手作業による反復消化又は摂取を必要とし、そのようなものとして、患者の薬剤服用順守又は非局所薬物送達の欠如により効果がないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の発明者は、目における涙の滞留時間及び目、鼻道、内耳、又は他の系への薬物若しくは治療薬の送達を高める様々な有望な技術のあることを認識している。これらの技術は、取外し可能な、また適宜薬物放出する、涙管インプラントを涙点内に通し、関連する涙小管内に留置することを含みうる。鼻涙ドレナージ系の特徴を利用する涙管インプラントを設計することによって(例えば、涙小管の形状を模倣することによって)患者の安心及び眼球解剖構造内のインプラント保持が満足されうる。このようにして、本発明の涙管インプラントは、性質上不可逆であることなどの現在のドライアイ緩和、及び患者の薬剤服用不順守、無駄、適切でないタイミングでの適用、又は非局所送達などの手作業による液滴滴下又は消化を前提とする薬物投与に付随する欠点の一部を解消することができる。
【0009】
さらにそれでも、本発明の発明者は、涙管インプラントには、涙点又は関連する涙小管に大きなバイアスをかけずに容易に埋設及び除去を行えること、適宜特定の涙点又は涙小管に合わせて事前にサイズを決めなくても、埋設後に涙小管内に安全に保持可能であるようにできること、涙液、薬物、又は他の薬剤を鼻涙系内に流し込めるようにできること、及び薬物送達システムとして製作され使用される場合に、長期間にわたって所望の治療レベルで1つ又は複数の薬物又は他の治療薬の局所的持続放出を行わせることができること、のうちの1つ又は複数の利点があることを認識している。
【0010】
これらの認識から、疾病又は疾患を治療するための涙管インプラントが開示される。より具体的には、涙管インプラント、そのようなインプラントを製作する方法、及びそのようなインプラントを使用して眼球、呼吸器、内耳、肺、又は免疫系の疾病若しくは疾患を治療する方法を開示する。安全性、耐容性、快適性、取り扱いの容易さ、挿入及び除去を評価する臨床試験では、本特許文献に開示されている様々な涙管インプラントの保持、有効性及び投与は、図12、図13及び図43A〜図43Cに示した涙管インプラント等の涙管インプラントが、臨床試験の患者に効果的かつ十分な耐用性があることを示す。加えて、図13に示したタイプの涙管インプラント等の特定の涙管インプラントの定着率は、8週間で約60%以上、12週間で約47%以上であることが判明している一方、このようなタイプ図12及び図43A〜Cに示したタイプのような他の涙管インプラントの定着率は、8週間後に約75%以上であることが判明している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書で説明されている発明対象をさらにわかりやすくするために、例示的な態様及び実施形態の限定しない一覧を以下に示す。
【0012】
1.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定するとともに、その周囲に非等間隔で横方向に突出する保持突起部を備え、
前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されることを特徴とする涙管インプラント。
【0013】
2.前記第1の部分の保持突起部の近位端部は、その周囲に非等間隔な横方向距離で外側に突出するとともに、第1の部分の遠位端部の外径まで先細りすることを特徴とする態様1に記載の涙管インプラント。
【0014】
3.前記第1の部分の近位端部から少なくとも部分的に突出する把持可能突起部を備え、該把持可能突起部は、インプラント本体が埋設されるときに、涙小管に又は涙小管付近に装着されるように構成され、
前記第1の部分の保持突起部の近位端部は、前記把持可能突起部の境界線に数値的に略等しい境界線を含むことを特徴とする態様2に記載の涙管インプラント。
【0015】
4.前記第1の部分の保持突起部の近位端部は、第3及び第4の側面に対立する外径から外側に突出することなく、第1及び第2の側面に対立する反対方向において外側に突出することを特徴とする態様2または3に記載の涙管インプラント。
【0016】
5.1つ又は複数の治療薬を更に含むことを特徴とする態様1乃至4に記載の涙管インプラント。
【0017】
6.前記1つ又は複数の治療薬は、少なくとも部分的に前記第1の部分内に配置された薬物挿入体内に提供され、前記薬物挿入体は、1つ又は複数の治療薬を徐放性送達するように構成されていることを特徴とする態様5に記載の涙管インプラント。
【0018】
7.態様1乃至6に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【0019】
8.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定し、
前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定するとともに、その周囲に非等間隔で横方向に突出する保持突起部を備え、前記保持突起部は、保持突起部の近位端部又は保持突起部の遠位端部の一方において外側横方向段差を備え、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されることを特徴とする涙管インプラント。
【0020】
9.前記横方向段差は、前記第2の部分が延在する方向から方向境界線の横方向外側に延在し、前記横方向段差は、約0.14mm以上であることを特徴とする態様8に記載の涙管インプラント。
【0021】
10.前記横方向段差は、前記保持突起部の近位端部に配置されるとともに、前記保持突起部の遠位端部において前記第2の外径に向かって先細りすることを特徴とする態様8または9に記載の涙管インプラント。
【0022】
11.前記保持突起部の遠位端部は、涙小管内にインプラント本体を埋設することを容易にする一体化型拡張器を備えることを特徴とする態様10に記載の涙管インプラント。
【0023】
12.1つ又は複数の治療薬を更に含むことを特徴とする態様8乃至11に記載の涙管インプラント。
【0024】
13.前記1つ又は複数の治療薬は、少なくとも部分的に前記第1の部分内に配置された薬物挿入体内に提供され、前記薬物挿入体は、1つ又は複数の治療薬を徐放性送達するように構成されていることを特徴とする態様12に記載の涙管インプラント。
【0025】
14.前記薬物挿入体は、前記1つまたは複数の治療薬を少なくとも約44マイクログラム含むことを特徴とする態様13に記載の涙管インプラント。
【0026】
15.前記薬物挿入体は、前記1つまたは複数の治療薬を少なくとも約81マイクログラム含むことを特徴とする態様13に記載の涙管インプラント。
【0027】
16.態様8乃至15に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【0028】
17.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
前記涙小管の垂直断面内に配置可能な近位端部から、前記涙小管の水平断面内に配置可能な遠位端部へ非線形に拡張するとともに、その間に中間部分を持つインプラント本体を備え、
前記中間部分は、前記涙小管に埋設される時に、前記近位端部に向かう第1の方向に部分的に拡張するとともに、前記遠位端部に向かう第2の方向に部分的に拡張し、
前記中間部分は、拡張可能材料を格納する凹部を備え、該拡張可能材料は、前記インプラント本体が埋設される時に、実質的に前記第2の方向とは反対の涙小管膨大部に向かう第3の方向に部分的に拡大するように構成されることを特徴とする涙管インプラント。
【0029】
18.前記拡張可能材料は、ヒドロゲルを含むことを特徴とする態様17に記載の涙管インプラント。
【0030】
19.前記拡張可能材料は、前記インプラント本体が埋設される時に、前記第2の方向に対して横方向に部分的に拡張し、前記横方向の拡張は、前記涙小管の壁に対して外側の前記インプラント本体の1つまたは複数の周囲部分を圧迫することを特徴とする態様17または18に記載の涙管インプラント。
【0031】
20.前記近位端部又は前記遠位端部の少なくとも一方は、隣接するインプラント本体部分よりも大きい横断サイズを持つ少なくとも1つの中間配置保持突起部を備えることを特徴とする態様17乃至19に記載の涙管インプラント。
【0032】
21.1つ又は複数の治療薬を更に含むことを特徴とする態様17乃至20に記載の涙管インプラント。
【0033】
22.前記1つ又は複数の治療薬は、少なくとも部分的に前記近位端部分に配置された薬物挿入体内に提供され、前記薬物挿入体は、1つ又は複数の治療薬を徐放性送達するように構成されていることを特徴とする態様21に記載の涙管インプラント。
【0034】
23.態様17乃至22に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【0035】
24.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定するとともに、その周囲に非等間隔で横方向に突出する保持突起部を備え、
前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
前記保持突起部はその近位端部において外側横方向の段差を備えるとともに、前記第2の部分内の方向に先細りし、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されることを特徴とする涙管インプラント。
【0036】
25.前記保持突起部の長さは、約0.96mm以上であることを特徴とする態様24に記載の涙管インプラント。
【0037】
26.前記保持突起部の遠位端部は、涙小管内にインプラント本体を埋設することを容易にする一体化型拡張器を備えることを特徴とする態様24または25に記載の涙管インプラント。
【0038】
27.1つ又は複数の治療薬を更に含むことを特徴とする態様24乃至26に記載の涙管インプラント。
【0039】
28.前記1つ又は複数の治療薬は、少なくとも部分的に前記第1の部分内に配置された薬物挿入体内に提供され、前記薬物挿入体は、1つ又は複数の治療薬を徐放性送達するように構成されていることを特徴とする態様27に記載の涙管インプラント。
【0040】
29.前記薬物挿入体は、前記第1の部分の第1のキャビティ内に配置され、前記第1のキャビティは、少なくとも焼く0.56mmの半径を持つことを特徴とする態様28に記載の涙管インプラント。
【0041】
30.前記薬物挿入体は、前記1つまたは複数の治療薬を少なくとも約81マイクログラム含むことを特徴とする態様28または29に記載の涙管インプラント。
【0042】
31.態様24乃至28に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【0043】
32.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
前記涙小管の垂直断面内に配置可能な近位端部から、前記涙小管の水平断面内に配置可能な遠位端部へ非線形に拡張するとともに、中間部分を持つインプラント本体を備え、
前記中間部分は、前記涙小管に埋設される時に、前記近位端部に向かう第1の方向に部分的に拡張するとともに、一般に狭くなる方式で前記遠位端部に向かう第2の方向に部分的に拡張し、前記インプラント本体は前記涙小管内に埋設されたときに、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、前記第2の方向における拡張は前記第1の方向の長手方向長さの4倍未満の長手方向長さを持ち、
前記中間部分は、前記インプラント本体が埋設される時に、実質的に前記第2の方向とは反対の涙小管膨大部に向かう第3の方向に部分的に拡張し、前記第3の方向における拡張は平らな船体形状を含むことを特徴とする涙管インプラント。
【0044】
33.前記近位端部から少なくとも部分的に突出する把持可能突起部を備え、該把持可能突起部は、卵形の形状を含むことを特徴とする態様32に記載の涙管インプラント。
【0045】
34.平らな船体形状は、約0.4〜0.5ミリメートルの間の長さと、約0.5〜0.6ミリメートルの厚さとを含むことを特徴とする態様32または33に記載の涙管インプラント。
【0046】
35.治療薬を更に含むことを特徴とする態様32乃至34に記載の涙管インプラント。
【0047】
36.前記インプラント本体とは分けられて前記近位端部のキャビティ内に配置された少なくとも1つの薬物挿入体から構成され、該薬物挿入体は、前記治療薬を含む高分子基質から構成されることを特徴とする態様35に記載の涙管インプラント。
【0048】
37.前記治療薬は、前記インプラント本体の1つ又は複数の部分に一体化されていることを特徴とする態様35または36に記載の涙管インプラント。
【0049】
38.態様32乃至37に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【0050】
39.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定するとともに、前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、
前記第1の部分の近位端部から少なくとも部分的に延在する把持可能突起部を備え、該把持可能突起部は、前記第1の部分内のキャビティに張り出す内側拡張保持リップを備えることを特徴とする涙管インプラント。
【0051】
40.前記インプラント本体とは分けられて前記近位端部のキャビティ内に配置された少なくとも1つの薬物挿入体から構成され、該薬物挿入体は、前記治療薬を含む高分子基質から構成されることを特徴とする態様39に記載の涙管インプラント。
【0052】
41.前記内側拡張保持リップは、前記キャビティ内に完全装着されるとき、前記薬物挿入体の近位面に張り出し、それによって挿入体の位置を固定することを特徴とする態様40に記載の涙管インプラント。
【0053】
42.前記張り出しは、前記薬物挿入体内に格納された薬物の放出速度に明らかに影響しないことを特徴とする態様41に記載の涙管インプラント。
【0054】
43.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントを製造する方法であって、
第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成する工程を備え、該工程は、
前記第1の本体部分にキャビティを形成する工程と、
前記第1の本体部分の長手方向の長さの4倍未満である長手方向の長さまで前記第2の本体部分を拡張する工程と、
前記近位軸及び前記遠位軸はそれぞれ、前記インプラント本体が前記涙小管内に埋設されたときに、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されるような角度で交差する近位軸及び遠位軸を定義するように構成され、
前記第1の本体部分の前記近位端部上に薬物挿入体表面を晒すように位置決めする工程を含み、前記インプラント本体とは分けて前記第1の本体部分のキャビティ内に前記薬物挿入体を配置する工程と
を備えることを特徴とする涙管インプラントの製造方法。
【0055】
44.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
前記涙小管の垂直断面内に配置可能な近位端部から、前記涙小管の水平断面内に配置可能な遠位端部へ拡張するとともに、それらの間に中間部分を持つインプラント本体を備え、
前記中間部分は、前記涙小管に埋設される時に、前記近位端部に向かう第1の方向に部分的に拡張するとともに、一般に狭くなる方式で前記遠位端部に向かう第2の方向に部分的に拡張し、前記インプラント本体は前記涙小管内に埋設されたときに、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、
前記遠位端部のところに、又は前記遠位端部付近に配置された保持突起部を備えることを特徴とする涙管インプラント。
【0056】
45.前記第2の方向の拡張は、前記第1の方向の拡張に対して一般的な湾曲形状を含み、前記一般的な湾曲形状の半径は、涙小管曲率の半径未満であることを特徴とする態様44に記載の涙管インプラント。
【0057】
46.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
少なくとも1つのキャビティを含むインプラント本体を備え、
前記インプラント本体とは分かれて前記少なくとも1つのキャビティ内に配置された薬物挿入体を備え、該薬物挿入体は高分子基質及び治療薬を含み、
前記インプラント本体は、1つ又は複数の本体部分と一体化された治療薬を含むことを特徴とする涙管インプラント。
【0058】
47.前記薬物挿入体の1つ又は複数の表面を囲むシース本体を更に備えることを特徴とする態様46に記載の涙管インプラント。
【0059】
48.インプラント本体外表面の1つ又は複数の部分に塗布される被覆を更に備えることを特徴とする態様46または47に記載の涙管インプラント。
【0060】
49.第1の被覆厚が第1のインプラント本体表面部分に塗布され、前記第1の被覆厚とは異なる第2の被覆厚が第2のインプラント本体表面部分に塗布されることを特徴とする態様48に記載の涙管インプラント。
【0061】
50.被覆は、パリレン、セラミック、又は銀の少なくとも1つを含むことを特徴とする態様48または49に記載の涙管インプラント。
【0062】
51.薬物挿入体は治療薬の第1の供給を含み、インプラント本体は治療薬の第2の供給を含むことを特徴とする態様46乃至50に記載の涙管インプラント。
【0063】
本発明の涙管インプラント及び方法のこれら及び他の実施形態、利点、及び態様は、以下の「発明を実施するための形態」において一部述べられている。この「発明の概要」は、本特許出願の発明対象の概要を述べることを意図している。本発明の排他的又は網羅的な説明を行うことは意図されていない。「発明を実施するための形態」は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれている。
【0064】
図面中、類似番号は、いくつかの図面全体を通して類似のコンポーネントを記述するために使用されうる。異なる英字添え字を持つ類似の番号は、類似しているコンポーネントの異なる形態を表すために使用されうる。これらの図面は、一般に、例えば、限定はしないが、本明細書で説明されている様々な実施形態を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、涙管インプラントを使用できる好適な環境をもたらす、目に関連する解剖学的組織構造の概略を示す図例である。
【図2】図2は、涙管インプラントを使用できる好適な環境をもたらす、目に関連する解剖学的組織構造の概略を示す図例である。
【図3A】図3Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、第1のインプラント本体部分と第2のインプラント本体部分との間に実質的に垂直な角度をなす交差部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図3B】図3Bは、直線3B−3Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面、及びインプラント収容解剖学的組織構造の拡張を示す図例である。
【図4】図4は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一体型拡張器を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図5】図5は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの薬物挿入体を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図6A】図6Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図6B】図6Bは、直線6B−6Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図7A】図7Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、環状把持可能突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図7B】図7Bは、直線7B−7Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図8A】図8Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備え、挿入しやすくする陥凹部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図8B】図8Bは、直線8B−8Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図9】図9は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、挿入をしやすくする陥凹部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図10A】図10Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図10B】図10Bは、直線10B−10Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図11】図11は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図12】図12は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図13】図13は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図14】図14は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図15】図15は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図16】図16は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図17】図17は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図18】図18は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている涙管インプラントであって、各涙管インプラントが非線形の第2のインプラント本体部分を含む例である。
【図19】図19は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている涙管インプラントであって、各涙管インプラントが非線形の第2のインプラント本体部分を含む例である。
【図20】図20は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、第2の本体部分を屈曲させるための1つ又は複数の材料切欠部を備える、涙管インプラントの例である。
【図21A】図21Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図21B】図21Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図22A】図22Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図22B】図22Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図23A】図23Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体の一部の周りに配置されている拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図23B】図23Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体の一部の周りに配置されている拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図24】図24は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている涙管インプラントの概略図例である。
【図25A】図25Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凹型の形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図25B】図25Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凹型の形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図26】図26は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凸状の形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図27】図27は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、起伏のある形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図28】図28は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図29】図29は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図30】図30は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図31】図31は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図32】図32は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図33】図33は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図34A】図34Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、方向付けられた把持可能突起部を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図34B】図34Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、方向付けられた把持可能突起部を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図35】図35は、把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図36】図36は、把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図37】図37は、把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図38】図38は、把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図39A】図39Aは、薬物挿入体及び取り外しやすくするフィラメントの等角図例である。
【図39B】図39Bは、薬物挿入体及び取り外しやすくするフィラメントの等角図例である。
【図40】図40は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている涙管インプラントを製造する方法を示す図例である。
【図41】図41は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図42A】図42Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、階段を含み得る遠位の第2のセグメント上の保持機構等の少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図42B】図42Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、階段を含み得る遠位の第2のセグメント上の保持機構等の少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図42C】図42Cは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、階段を含み得る遠位の第2のセグメント上の保持機構等の少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図42D】図42Dは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、階段を含み得る遠位の第2のセグメント上の保持機構等の少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図43A】図43Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位部のセグメントへ先細りになり得る近位部上の保持機構等の少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの例である。
【図43B】図43Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位部のセグメントへ先細りになり得る近位部上の保持機構等の少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの例である。
【図43C】図43Cは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位部のセグメントへ先細りになり得る近位部上の保持機構等の少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの例である。
【図44A】図44Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位のセグメントの近位端部分から延びる凹部を備える、涙管インプラントの例である。
【図44B】図44Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位のセグメントの近位端部分から延びる凹部を備える、涙管インプラントの例である。
【図44C】図44Cは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位のセグメントの近位端部分から延びる凹部を備える、涙管インプラントの例である。
【図45A】図45Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位のセグメントの近位端部分から延びるとともにそこに拡張可能な材料を含む凹部を備える、涙管インプラントの例である。
【図45B】図45Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位のセグメントの近位端部分から延びるとともにそこに拡張可能な材料を含む凹部を備える、涙管インプラントの例である。
【図45C】図45Cは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位のセグメントの近位端部分から延びるとともにそこに拡張可能な材料を含む凹部を備える、涙管インプラントの例である。
【図46】図46は、遠位のセグメントの近位端部分から延びるとともに、そこに拡張可能な材料を含む凹部を備える涙管インプラントの実験結果例を示す。
【図47】図47は、遠位のセグメントの近位端部分から延びるとともに、そこに拡張可能な材料を含む凹部を備える涙管インプラントの実験結果例を示す。
【図48A】図48Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な強固な突起部を備える、涙管インプラントの例である。
【図48B】図48Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な強固な突起部を備える、涙管インプラントの例である。
【図48C】図48Cは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な強固な突起部を備える、涙管インプラントの例である。
【図48D】図48Dは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な強固な突起部を備える、涙管インプラントの例である。
【図48E】図48Eは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な強固な突起部を備える、涙管インプラントの例である。
【図49A】図49Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体腔内に別個の薬物挿入体を保護するために構成された保持リップを備える、涙管インプラントの例である。
【図49B】図49Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体腔内に別個の薬物挿入体を保護するために構成された保持リップを備える、涙管インプラントの例である。
【図49C】図49Cは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体腔内に別個の薬物挿入体を保護するために構成された保持リップを備える、涙管インプラントの例である。
【図49D】図49Dは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体腔内に別個の薬物挿入体を保護するために構成された保持リップを備える、涙管インプラントの例である。
【図49E】図49Eは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体腔内に別個の薬物挿入体を保護するために構成された保持リップを備える、涙管インプラントの例である。
【図49F】図49Fは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体腔内に別個の薬物挿入体を保護するために構成された保持リップを備える、涙管インプラントの例である。
【図50A】図50Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、増量薬物挿入体を備える、涙管インプラントの例である。
【図50B】図50Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、増量薬物挿入体を備える、涙管インプラントの例である。
【図51】図51は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位端部分又はその近傍の保持要素を備える、涙管インプラントの例である。
【図52】図52は、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、遠位端部分又はその近傍の保持要素を備える、涙管インプラントの例である。
【図53A】図53Aは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、別個の薬物挿入体又はインプラント本体内に一体化された薬剤のいずれか又は両方を備える、涙管インプラントの例である。
【図53B】図53Bは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、別個の薬物挿入体又はインプラント本体内に一体化された薬剤のいずれか又は両方を備える、涙管インプラントの例である。
【図53C】図53Cは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、別個の薬物挿入体又はインプラント本体内に一体化された薬剤のいずれか又は両方を備える、涙管インプラントの例である。
【図53D】図53Dは、涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、別個の薬物挿入体又はインプラント本体内に一体化された薬剤のいずれか又は両方を備える、涙管インプラントの例である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本特許文書では、目の涙点及び関連小管内に安全でくさび留め可能な保持を行う涙管インプラント及び関係する方法が説明される。涙管インプラントは、少なくとも部分的に涙点を通して、関連する小管内に挿入するように構成されているインプラント本体を備えることができる。インプラント本体は、第1及び第2の部分を含み、長手方向近位軸を画定する第1の部分の近位端部から長手方向遠位軸を画定する第2の部分の遠位端部へ延在するものとすることができる。インプラント本体は、一体型拡張器を使用して埋設されたときに少なくとも45度の角度をなす交差部が、例えば、近位軸と遠位軸との間に存在するように構成されうる。このようにして、インプラント本体の少なくとも一部分にバイアスをかけて、小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に当たるようにし、これにより、解剖学的構造物を使用して涙管インプラントの埋設位置を保持することができる。
【0067】
様々な実施例において、涙管インプラントは、インプラント本体の第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも一方の中に配置される薬物挿入体を含む薬物挿入体を備え、これにより、薬物又は他の治療薬の眼球、鼻道、又は内耳系のうちの1つ又は複数への持続放出を行うことができる。
【0068】
図1〜図2は、目100に付随する解剖学的組織構造の概略図例である。図に示されている解剖学的組織構造は、本明細書で説明されている様々な涙管インプラント及び方法を使用する治療に好適である。図に示されているように、目100は、外側の強膜102、中間の脈絡膜層104、及び内側の網膜106の3つの層を有する壁を備える球体構造である。強膜102は、内層を保護する強靱な繊維質の被覆を備える。これは、前面の透明領域を除き大部分白色であり、一般に角膜108と称され、光を目100に入れることができる。
【0069】
強膜102の内側に位置する脈絡膜層104は多数の血管を含んでおり、色素虹彩110として目100の前で修正される。瞳孔のちょうど背後に両凸レンズである水晶体112が位置する。水晶体112の背後にある眼房114は、ゼラチン状物質である硝子体液で満たされている。前眼房及び後眼房116は、それぞれ角膜108と虹彩110との間に位置し、房水で満たされている。目100の後ろに、光を検出する網膜106がある。
【0070】
角膜108は、像を目100の後ろに伝える光学的に透明な組織である。これは、涙液と房水とによる水浴を介して、さらには角膜108と強膜102との間の接合部の内側を覆っている血管から栄養素と酸素が供給される無血管組織を含む。角膜108は、目100の中に薬物を浸透させるための経路を含む。
【0071】
次に図2を参照すると、分泌系230、分配系、及び排泄系を含む、涙ドレナージ系を含む目100に付随する他の解剖学的組織構造が示されている。分泌系230は、涙液の蒸発によるまばたき及び温度変化の刺激を受ける分泌線及び遠心性副交感神経分布を有し、物理的な、又は感情的な刺激に対する応答として涙を分泌する反射分泌腺を備える。分配系は、眼瞼202と開いている目の眼瞼縁の周りの涙液メニスカスを含み、これにより、まばたきで眼表面上に涙液が拡散し、乾燥領域の発生を低減する。
【0072】
涙ドレナージ系の排泄部は、流体排出のため、涙点、涙小管、涙嚢204、及び涙管206を備える。涙管206から、涙及び他の流動性物質が鼻涙系の流路内に排出される。涙小管は、上部(上)涙小管208及び下部(下)涙小管210を備え、それぞれ上涙点212及び下涙点214で終端する。上涙点212及び下涙点214は、結膜嚢218の近くのまつげ部分と涙器部分との接合点216の眼瞼縁の内側端に小隆起する。上涙点212及び下涙点214は、一般的に、組織の結合リングによって囲まれている円形の、又はわずかに卵形の開口部である。涙点212、214はそれぞれ、各涙小管の垂直部分220、222内に至り、その後、小管湾曲部250で水平方向に近づくように回転して涙嚢204の入口部で互いに接合する。涙小管208、210は、一般的にチューブ状の形状を有し、涙小管を拡張させる弾性組織で囲まれた層状扁平上皮で裏打ちされている。図に示されているように、涙小管膨大部252は、それぞれの小管湾曲部250の外縁の近くに存在する。
【0073】
図3Aは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な涙管インプラント300の一実施例を示している。涙点212、214を通して関連する小管208、210内に涙管インプラント300を挿入することで、中を通る涙液流の抑制又はブロック(例えば、ドライアイを治療するため)、あるいは薬物又は他の治療薬を目(例えば、感染、炎症、緑内障、又は他の眼疾病若しくは疾患を治療するため)、鼻道(例えば、洞若しくはアレルギー疾患を治療するため)、又は内耳系(例えば、目まい若しくは片頭痛を治療するため)に持続送達することのうちの1つ又は複数を行うことができる。
【0074】
この実施例で示されているように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができ、また第1の部分304の近位端部308から第2の部分306の遠位端部310に延在するようにできる。様々な実施例において、近位端部308は、長手方向近位軸312を画定することができ、遠位端部310は、長手方向遠位軸314を画定することができる。インプラント本体300は、涙点及び関連する小管内に埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間に少なくとも45度の角度をなす交差部分316が存在し、インプラント本体302の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。いくつかの実施例において、インプラント本体302は、交差部分316のなす角度が約45度から約135度までの範囲であるように構成されうる。この実施例において、インプラント本体302は、交差部分316のなす角度が約90度であるように構成される(つまり、交差部316はほぼ垂直である)。様々な実施例において、第1の部分304の遠位端部326は、第2の部分306と第2の部分306の近位端部328のところで又は近位端部328の近くで一体となるようにできる。
【0075】
いくつかの実施例において、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318又は遠位端部310の近くに配置されている第2のキャビティ320のうちの一方又は両方を含むある角度で配置されている円筒状構造を備えることができる。この実施例において、第1のキャビティ318は第1の部分304の近位端部308から内向きに延在しており、第2のキャビティ320は第2の部分306の遠位端部310から内向きに延在している。任意の方法で、インプラント本体302の1つ又は複数の部分は、解剖学的な取り付けの目的のために卵形の断面形状を含めることができる。
【0076】
第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出挿入物(例えば、薬物コア)322を第1のキャビティ318内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出挿入物(例えば、薬物コア)324を第2のキャビティ320内に配置して、例えば鼻道又は内耳への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。インプラント本体の隔壁330は、第1のキャビティ318と第2のキャビティ320との間に位置決めされ、また第1の薬物挿入体322と第2の薬物挿入体324との間の材料(例えば、薬剤)の連通を抑制又は防止するために使用されうる。いずれも薬物又は他の薬剤濃度の記載を含めてその全体が参照により組み込まれている、「緑内障及び高眼圧症を治療する活性剤の徐放性送達(SUSTAINEDRELEASE DELIVERY OFACTIVE AGENTS TOTREAT GLAUCOMA ANDOCULAR HYPERTENSION)」と題して2009年5月8日に出願されたButunerらが共同の受ける権利を有する米国特許出願第12/463、279号、及び、「治療薬の眼内徐放性のための薬剤コアの改善(IMPROVEDDRUG CORES FORSUSTAINTED OCULAR RELEASEOF THERAPEUTIC AGENTS)」と題して2009年9月18日に出願されたUtkhedeらが共同の受ける権利を有する米国特許出願第61/277,000号において更に議論されるように、様々な実施例において、第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出挿入物322、又は第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出挿入物324のいずれか又は両方が、少なくとも21マイクログラム、少なくとも42マイクログラム、少なくとも44マイクログラム、少なくとも81マイクログラム、少なくとも95マイクログラムの薬剤(例えば、ラタノプロスト)を含むことができる。
【0077】
いくつかの実施例において、インプラント本体302は、薬物放出又は他の薬剤放出挿入体を受容するための1つ又は複数のキャビティ又は他の空隙を含んでいないという事実において実質的に固体である。むしろ、インプラント本体302は、1つ又は複数の身体部分全体に一体化された1つ又は複数の薬物又は他の薬剤を受容するように構成することができる。このように、インプラント本体302全体又はその一部は、薬物放出又は他の薬剤放出挿入体として機能することができるとともに、薬剤放出は、インプラント本体302の部分を囲む不浸透性又は実質的に不透過性のカバー(例えば、パリレンのカバー)に予め形成された開口部を用いて注入することができる。他の実施例において、透過性のカバー材が、薬物又は他の薬剤の放出を可能にするために使用することができる。
【0078】
いくつかの実施例において、薬物又は他の治療薬放出は、少なくとも一部は、薬物挿入体322、324の露出している、シースで覆われていない表面を介して生じうる。いくつかの実施例において、露出表面の幾何学的形状を制御することによって、所定の薬物又は薬剤放出速度を達成することができる。例えば、露出表面は、外来患者来診の間の、急性又は慢性などに基づく、目100上への薬物又は他の治療薬の放出速度を制御するのに適している特定の幾何学的形状又は他の技術を用いて構成することができる。薬物挿入体322、324からの1つ又は複数の薬物若しくは他の治療薬の有効放出速度に関するさらなる詳細は、特に放出速度を得る記載を含む全体の参照によって本明細書に組み込まれる、「薬剤治療のための鼻涙ドレナージシステムインプラント(NASOLACRIMALDRAINAGE SYSTEM IMPLANTSFOR DRUG THERAPY)」という題して出願されたDeJuanらが共同の受ける権利を有する米国特許出願番号第11/695,545号に見られる。
【0079】
図3Bに示されているようないくつかの実施例において、薬物挿入体322、324の露出表面は、それぞれ第1の部分304の近位端部308又は第2の部分306の遠位端部310と同一平面上にあるか、又はそれよりわずかに低い位置にあるものとしてよく、薬物挿入体はインプラント本体302の外に突き出ることはない。図4に示されているようないくつかの実施例において、第1の薬物挿入体322の露出表面は、例えば、第1の薬物挿入体322がインプラント本体302の外に少なくとも部分的に突き出るように、近位端部308の上に位置決めすることもできる。
【0080】
インプラント本体302は、第1のインプラント本体部分304の近位端部308から、又は近位端部308の周りに横方向に少なくとも部分的に延在する1つ又は複数の突起部などの、把持可能な又は他の突起部332を備えることができる。いくつかの実施例において、把持可能な又は他の突起部332は、涙管インプラント300を埋設位置内に挿入するか、又は埋設位置から涙管インプラント300を取り外す際に使用する一組のウィングを備えることができる。インプラント本体302が非直線的構成であるため、小管湾曲部250及び適宜、涙小管膨大部252(図2)のサイズ又は形状をとることによってインプラント300の移動を防ぐことができるので、一組のウィング又は他の突起部332を、移動を念頭に置かずに構成することができる。いくつかの実施例において、把持可能又は他の突起部332は、涙管インプラント300が涙小管208、210内を完全に通るのを抑制又は防止するか、あるいは例えば、インプラントが完全に埋設されたかどうかを示す触覚的な、又は視覚的なフィードバック情報を、インプラントを埋設しているユーザに送るなどのために、涙点開口部212、214に当たる形で、又はその近くに位置するように構成されうる。
【0081】
図34A〜図34Bに示されているように、また以下で説明されるように、把持可能又は他の突起部332は、埋設されたときに目100と平行な方向で、又は目100から離れる方向で横方向に伸びうる。これにより、突起部の一部が目100に向かって延在する場合と比較して目100に対する炎症を軽減することができる。それに加えて、近位端部308からの突起部332の横方向延在方向は、例えば、図3A〜3Bに示されているように、第1のインプラント本体部分304の遠位端部326に関して第2のインプラント本体部分306の横方向延在方向と実質的に同じであるものとすることができる。これは、目に向かう延在を回避することもできる。第1の薬物挿入体322は、第1の薬物又は他の治療薬を目に持続放出するなどのために、突起部332の領域を部分的に通って延在することができる。
【0082】
様々な実施例において、インプラント本体302は、シリコーン、ポリウレタン、又は他のウレタン・ベースのポリマー若しくは共重合体、NuSil(例えば、2%の6−4800を含むNuSil 4840)又は非生体分解性、部分的生体分解性、又は生体分解性のアクリル(つまり、体内で腐食可能)などの弾性材料を使用して成形することができ、これにより、涙小管208、210内に埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間にある角度をなす交差部が存在するように構成されたインプラント本体302を形成することができる。シリコーンは、例えば、患者にとって快適であるように十分柔軟性であり、かつ介護者の医師にとって挿入を容易にするために十分剛性であると考えられている。様々な実施例において、患者及びその介護者により簡単にインプラントが見え、それが注入された位置に残っているかどうかを確認できるように、生体適合性の着色剤(例えば、緑色の着色剤)をインプラント本体302の弾性材料と混合することができる。いくつかの実施例において、生体適合性の着色剤は、インプラントのフィードバックのために、あるいは、インプラントのタイプ、サイズ、薬剤又は他の特性を示すために、薬物挿入体322の材料と混合することができる。
【0083】
いくつかの実施例において、生体分解性弾性材料は、ポリ(ビニル・アルコール)などの、架橋重合体を含むことができる。いくつかの実施例において、インプラント本体302は、シリコーン/ポリウレタン共重合体を含みうる。インプラント本体302を形成するために使用されうる他の共重合体として、限定はしないが、シリコーン/ウレタン、シリコーン/ポリ(エチレン・グリコール)(PEG)、及びシリコーン/2ヒドロキシエチル・メタクリレート(HEMA)が挙げられる。全体の参照によって本明細書に組み込まれる、「治療薬剤の持続放出のための薬物コア(DRUGCORES FOR SUSTAINEDRELEASE OF THERAPEUTICAGENTS)」と題して2008年9月5日付で出願されたUtkhedeらが共同の受ける権利を有する米国特許出願番号第12/231,986号(整理番号2755.045US1)において説明されているように、ウレタン・ベースのポリマー及び共重合体材料を使用することで、様々な処理方法を利用することが可能になり、またこれらの材料は互いによく結合する。
【0084】
図3Bは、図3Aの直線3B−3Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント300の断面を示す図例である。図3Bに示されているように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができ、また第1の部分304の近位端部308から第2の部分306の遠位端部310に延在するようにできる。様々な実施例において、近位端部308は、長手方向近位軸312を画定することができ、遠位端部310は、長手方向遠位軸314を画定することができる。インプラント本体300は、埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間に少なくとも45度の角度をなす交差部分316が存在し、インプラント本体302の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例において、インプラント本体300は、交差部分316のなす角度が約90度であるように構成される。
【0085】
様々な実施例において、第1の部分304の遠位端部326は、第2の部分306と第2の部分306の近位端部328のところで又は近位端部328の近くで一体となるようにできる。いくつかの実施例において、第2の部分306は、第1の部分304の長さの4倍未満の大きさを有する長さ部分を含むことができる。一実施例において、第2の部分306は、約10mm未満の長さ部分を含むことができ、図3Bに示されているのと似た構成を有することができる。他の実施例において、第2の部分306は、約2mm未満の長さ部分を含むことができ、図24に示されているのと似た構成を有することができる。
【0086】
様々な実施例において、第2の部分306は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造352を涙管インプラント300が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器350を備えることができる。このようにして、涙管インプラント300は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。拡張器350は、涙点212、214及び小管208、210の内層に外傷をもたらさないように形成できる。いくつかの実施例において、インプラント本体302の外面上に配置されている、又は含浸されている潤滑被覆は、涙管インプラント300を解剖学的組織352内に挿入するさらなる補助手段として使用できる。一実施例において、潤滑被覆は、シリコーン潤滑剤を含むことができる。
【0087】
拡張器350は、約0.6mmの直径から約0.2mmの直径までなど、第2の部分306の近位端部328の近くの場所から第2の部分306の遠位端部310へ一般的に狭まるものとすることができる。いくつかの実施例において、拡張器350の外面勾配は、第2の部分306の近位端部328の近くの場所から第2の部分306の遠位端部310まで測定したときに、長手方向遠位軸314に関して約1度から約10度までの範囲(例えば、2度、3度、4度、又は5度)であるものとしてよい。いくつかの実施例において、拡張器350の勾配は、長手方向遠位軸314に関して45度未満とすることができる。とりわけ、与えられたインプラント配置に対する望ましい拡張器350の決定は、埋設後に柔らかい、柔軟な、また適合するインプラント本体を備える(例えば、涙小管解剖学的構造に適合する)ことを望んでいる場合に埋設に望ましいインプラント本体302の強度のバランスをとることによって行える。いくつかの実施例において、拡張器先端部354の直径は、約0.2mmから約0.5mmまでの範囲とすることができる。
【0088】
いくつかの実施例において、第2のインプラント本体部分306の近位端部328は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素356を備えることができる。この実施例において、保持要素356は、拡張器350の延在するのと反対の方向などの方向で、第1のインプラント本体部分304と第2のインプラント本体部分306との間の交差部分から近位に突き出る。膨大部252中に存在し、埋設されたときに、保持要素356は、涙点開口部212、214に当てて把持可能又は他の突起部332の設置位置を固定するのを補助することができる。
【0089】
いくつかの実施例において、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318を備える。この実施例において、第1のキャビティ318は、近位端部308から約2mm以下の長さだけ内向きに延在し、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体322を収納し、目への薬物又は他の薬剤の持続放出を行う。いくつかの実施例において、薬物挿入体322は、基質362内に分散されうる、複数の治療薬包含物360を含むことができる。いくつかの実施例において、包含物360は、治療薬の濃縮(例えば、結晶)形態を含みうる。いくつかの実施例において、基質362は、シリコーン・基質又は同様の物質を含むことができ、基質内の包含物360の分布は実質的に均質又は不均質とすることができる。いくつかの実施例において、薬剤360は、ラタノプロスト油などの油滴を含みうる。さらに他の実施例において、薬剤包含物360は、結晶形態のビマトプロスト粒子などの固形粒子を含みうる。いくつかの実施例において、薬物挿入体322は、目又は周辺組織中に送達可能な治療薬包含物を含むウレタン・ベース(例えば、ポリウレタン)のポリマー又は共重合体を含む。包含物は、多くのサイズ及び形状をとりうる。例えば、包含物は、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルまでのオーダーの寸法を有する微小粒子を含みうる。薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体のさらなる説明は、全体の参照によって本明細書に組み込まれる、「治療薬剤の持続放出のための薬物コア(DRUGCORES FOR SUSTAINEDRELEASE OF THERAPEUTICAGENTS)」と題して2008年9月5日付で出願されたUtkhedeらが共同の受ける権利を有する米国特許出願番号第12/231,986号(整理番号2755.045US1)に見られる。
【0090】
様々な実施例において、薬物挿入体322は、少なくとも1つの挿入物露出表面368を画定する挿入物の少なくとも一部の上に配置されたシース本体366を含みうる。露出表面368は、例えば、インプラント本体302の近位端部308のところに、又は近位端部308の近くに配置することができ、これにより、涙管インプラント300が涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入されたときに長時間にわたって薬物挿入体322から薬物又は他の治療薬を涙液又は涙液膜流体に直接接触させ、放出することが可能である。
【0091】
図4は、涙管インプラント400のインプラント本体402の第2の部分406の他の一体型拡張器450の側面図例である。この実施例において、拡張器450は、第2の部分406の遠位端部410の近くで急に狭まる。図に示されているように、インプラント本体の第1の部分404は、近位端部408の近くに配置されている第1のキャビティ418を備える。この実施例において、第1のキャビティ418は、近位端部408から内向きに延在し、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体422を収納し、例えば、目に薬物又は他の治療薬の持続放出を行う。いくつかの実施例において、薬物又は他の治療薬は、薬物挿入体422の露出している、シースで覆われていない表面468を介して目に放出されうる。この実施例において、薬物挿入体422の露出表面468は、薬物挿入体422がインプラント本体402の外に少なくとも部分的に突き出るように、近位端部408の上に位置決めされる。
【0092】
様々な実施例において、インプラント本体402の外面482は、細菌が涙管インプラント400に付着してインキュベートするのを阻害するために一般的に滑らかになるように形成されるか、又は表面処理されうる。一般的に滑らかな外面482は、埋設時に、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210(図2)などの収容解剖学的組織の内層に損傷が生じるのを防ぐこともできる。さらに全体の参照によって本明細書に組み込まれる、「インプラントの表面処理及び関連する方法(SURFACETREATMENT OF IMPLANTS AND RELATED METHODS)」と題して2008年9月5日付で出願されたRapackiらが共同の受ける権利を有する米国特許出願番号第12/83,002号(整理番号2755.036US1)において説明されているように、インプラント本体402の外面482は、研磨プロセスを用いて一般的に滑らかになるように表面処理することができる。研磨プロセスは、本体402が拡大膨張状態にある現在進行している期間中に成形インプラント本体402に研磨媒体を当てて衝撃を与えることを含むことができる。これで、インプラント本体402の1つ又は複数の表面又は縁を滑らかにすることができる。様々な実施例において、研磨媒体は、約3mmを超える直径を有する少なくともいくつかの顆粒を含むことができる。
【0093】
様々な実施例において、抗菌被覆484を外面482の少なくとも一部の上に配置するか、又は含浸することで、インプラント本体402上の細菌増殖をさらに防止することができる。いくつかの実施例において、抗菌被覆484は、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、7−エチル・ビシクロオキサゾリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジル・アルコール、ホウ酸、ブロノポール、塩化セチルピリジニウム、ジグルコン酸クロルヘキシジン、クロロアセトアミド、クロロブタノール、クロロメチル・イソチアゾリノン及びメチル・イソチアゾリン、ジメトキサン、ジメチル・オキサゾリジン、ジメチル・ヒドロキシメチル・ピラゾール、クロロキシレノール、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、ジクロロベンジル・アルコール、DMDMヒダントイン、エチル・アルコール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサクロロフェン、ヘキセチジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、イソチアゾリノン、メテンアンモニウム・クロリド、メチルジブロモ・グルタロニトリル、MDMヒダントイン、ミノサイクリン、オルト・フェニルフェノール、p−クロロ−m−クレゾール、パラベン(ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン)、フェネチル・アルコール、フェノキシエタノール、ピロクトン・オラミン、ポリアミノプロピル・ビグアニド、ポリメトキシ双環状オキサゾリジン、ポリオキシメチレン、ポリクオタニウム−42、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、クオタニウム−15、リファンピン、サリチル酸、二硫化セレン、ホウ酸ナトリウム、よう化ナトリウム、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ピリチオン・ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、トリクロサン、トリクロカルバン、ウンデシレン酸、フェノールスルホン酸亜鉛、及び亜鉛ピリチオンからなる群から選択された薬剤を含むことができる。いくつかの実施例において、抗菌被覆484は、乳酸銀、リン酸銀、クエン酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、ヨウ素酸銀、硝酸銀、スルファジアジン銀、パルミチン酸銀、あるいはこれらの1つ又は複数の混合物からなる群から選択された材料を含むことができる。いくつかの実施例において、抗菌被覆484は、抗生物質又は防腐薬のうちの少なくとも一方を含むことができる。例えば、抗菌被覆484は、平均して数時間から1日程度は持続する一時麻酔剤を含むことができる。さらに他の実施例において、抗菌被覆484は、即効性を求めて、ボーラスなどの、基礎疾患を治療するために使用される薬剤又は他の治療薬を含むことができる。
【0094】
図5は、下部涙点214及び関連する小管210内に埋設される、図3に示されている涙管インプラント300等の、涙管インプラントの概略図例である。いくつかの実施例において、涙管インプラント300は、上部涙点212及び小管208内に埋設されうる。上述のように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができる。様々な実施例において、インプラント本体302は、埋設されたときにインプラント本体302の少なくとも一部分にバイアスをかけて小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250により遠位に配置されている涙小管210の少なくとも一部に当たるようにし、インプラント300の埋設位置を確実に保持するように構成されうる。図に示されているように、第1の部分304は、涙点214を通して関連する小管210内に挿入され、涙点開口部と涙小管膨大部252との間に静止するように構成され、その一方で、第2の部分306は、涙点214を通して小管210内に挿入され、涙小管膨大部252と涙嚢204との間に静止するように構成されうる。いくつかの実施例において、第2の部分306の近位端部から突き出ている保持要素356は、バイアスがかけられ埋設されたときに涙小管膨大部252の少なくとも一部の中に入り、また当たるように構成されうる。様々な実施例において、第1の部分304及び第2の部分306は、眼球解剖学的構造を過度に引き伸ばすことなく適切な解剖学的埋設嵌め込みを維持するため望み通りに曲げ、引き伸ばし、又は潰しが施されるように構成できる。
【0095】
いくつかの実施例において、インプラント300を涙点214及び小管210内にさらに固定するために、又はインプラント本体302のサイズを調節できるようにするために、インプラント本体302の外面部分にヒドロゲル又は他の流体膨張可能材料を配置(例えば、被覆)することができる。流体膨張可能材料は、埋設されたときにインプラント本体302の外面直径部分を効果的に拡張することができる。いくつかの実施例において、インプラント本体302の外面は、インプラント本体302の周りを流体が流れるように長手方向チャネル若しくは溝又はウィッキング材料の被覆を備えることができる。これらの技術の1つ又は組合せを使用することで、中に埋設されたときに涙小管208、210を完全に閉塞するか、又は一部のみ閉塞するように涙管インプラント300を構成することができる。例えば、インプラント本体302の第1の部分304又は第2の部分306の一方又は両方で長手方向チャネル又は溝を使用することにより、量を減らすか、又は涙液排出を行わせることができ、薬物挿入体からの薬物又は他の治療薬の放出を潜在的に促進することができる。
【0096】
涙点212、214を通して関連する小管208、210内に涙管インプラント300を埋設するために鉗子又は他の挿入工具が使用できる。いくつかの実施例において、全体の参照によって本明細書に組み込まれる、「涙管インプラントの挿抜器具(INSERTIONAND EXTRACTION TOOLS FOR LACRIMALIMPLANTS)」と題して2008年9月5日付で出願されたDe Juanらが共同の受ける権利を有する米国特許出願番号第12/231,984号(整理番号2755.018US1)で説明されているような挿入工具が、涙管インプラント300を埋設するために使用されうる。様々な実施例において、インプラント本体302の第2の部分306を、把持可能又は他の突起部332が存在している場合に涙点開口部212に当たるまで挿入器工具を操作して涙小管208、210の深さまで送り込むことができる。涙管インプラント300を取り外したい場合には、例えば鉗子で突起部332を把持し、涙点開口部212、214から抜き出すことができる。
【0097】
様々な実施例において、涙点のサイズが測定され、適切なサイズのインプラント300(例えば、小、中、又は大)が選択された後、涙点212,214は、必要に応じて挿入前又は挿入時に(例えば、インプラントの一体型拡張器を経由して)瞳孔を開くことができる。インプラント300は、鉗子又は他の挿入器具で第2の部分306を把持され、垂直に涙点212,214に導入されることができる。インプラント300は、その後、涙小管208,210の水平部分にインプラント300をヒールのような保持要素356まで回し込むことができる。鉗子又は他の挿入器具は更に、把持可能な又は他のキャップ状の突起部332が涙点で装着できるように、涙点212,214にインプラント300を回し込むためにインプラント300の保持要素356部分を把持するように使用することができる。
【0098】
涙管インプラント300を除去したい場合には、突起部332を、例えば、鉗子で把持し、穏やかに揺さぶり動かすことよって涙点開口部212,214から取り出すことができる。必要に応じて、インプラント300の除去前に麻酔薬を1、2滴投与することができる。このとき突起部332が破れたり分離したりする可能性があるので、突起部332の最も外側の縁を把持しないように注意する必要がある。
【0099】
いくつかの実施例において、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318又は遠位端部310の近くに配置されている第2のキャビティ320のうちの一方又は両方を備えることができる。この実施例において、第1のキャビティ318は第1の部分304の近位端部308から内向きに延在しており、第2のキャビティ320は第2の部分306の遠位端部310から内向きに延在している。第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入体322を第1のキャビティ318内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い(例えば、感染、炎症、緑内障、又は他の眼疾病若しくは疾患を治療するため)、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入体324を第2のキャビティ320内に配置して、例えば鼻道(例えば、洞若しくはアレルギー疾患を治療するため)又は内耳系(例えば、目まい若しくは片頭痛を治療するため)への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。
【0100】
図6A〜図6Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント600の一実施例を示している。この実施例において、涙管インプラント600は、第1の部分604及び第2の部分606を含むインプラント本体602を備えることができ、また第1の部分604の近位端部608から第2の部分606の遠位端部610に延在するようにできる。近位端部608は、長手方向近位軸612を画定することができ、遠位端部610は、長手方向遠位軸614を画定することができる。インプラント本体600は、埋設されたときに近位軸612と遠位軸614との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0101】
この実施例において、第2のインプラント本体部分606の近位端部628は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素656を備えることができる。この実施例において、インプラント本体602は、第1のインプラント本体部分604の近位端部608の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体を収容するように構成されている、第1のキャビティ618を備える。またこの実施例において、インプラント本体602は、例えば約1mmの組み合わせた長さを有し、近位端部308から横方向に延在する一組のウィングなどの把持可能又は他の突起部632を備えることができる。
【0102】
図6Bは、図6Aの直線6B−6Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント600の断面を示す図例である。図6Bに示されているように、第1の部分604の遠位端部626は、第2の部分606と第2の部分606の近位端部628のところで又は近位端部628の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分606は、近位端部608から遠位軸614まで測定された第1の部分604の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸612から遠位端部610まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例において、第1の部分は、約1.54mmの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約4.5mmから約5.42mmまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができる。
【0103】
様々な実施例において、第2の部分606は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント600が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器650を備えることができる。いくつかの実施例において、第2の部分606は、約0.50mmから約0.75mmまでの範囲の近位端部の直径部分から約0.36mmの拡張器先端部654の直径部分へ先細りになっている。
【0104】
図7A〜図7Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント700の一実施例を示している。この実施例において、涙管インプラント700は、第1の部分704及び第2の部分706を含むインプラント本体702を備えることができ、また第1の部分704の近位端部708から第2の部分706の遠位端部710に延在するようにできる。近位端部708は、長手方向近位軸712を画定することができ、遠位端部710は、長手方向遠位軸714を画定することができる。インプラント本体700は、埋設されたときに近位軸712と遠位軸714との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。図7Aの実施例に示されているように、第1の部分704と第2の部分706との間に滑らかな遷移が存在しうる。
【0105】
この実施例において、インプラント本体702は、第1のインプラント本体部分704の近位端部708の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体を収容するように構成されている、第1のキャビティ718を備える。またこの実施例において、インプラント本体702は、近位端部708から横方向に延在し、また近位端部708の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部732を備えることができる。いくつかの実施例において、把持可能又は他の突起部732は、約0.75mmのトリムされた幅を有し、近位端部708の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0106】
図7Bは、図7Aの直線7B−7Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント700の断面を示す図例である。図7Bに示されているように、第1の部分704の遠位端部726は、第2の部分706と第2の部分706の近位端部728のところで又は近位端部728の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分706は、近位端部708から遠位軸714まで測定された第1の部分704の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸712から遠位端部710まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例において、第1の部分は、約1.5mmの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約5mmの長手方向長さ部分を含むことができる。
【0107】
様々な実施例において、第2の部分706は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント700が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器750を備えることができる。いくつかの実施例において、第2の部分706は、約0.46mmの近位端部の直径部分から約0.36mmの拡張器先端部754の直径部分へ先細りになっている。
【0108】
図8A〜8Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント800の一実施例を示している。この実施例において、涙管インプラント800は、第1の部分804及び第2の部分806を含むインプラント本体802を備えることができ、また第1の部分804の近位端部808から第2の部分806の遠位端部810に延在するようにできる。近位端部808は、長手方向近位軸812を画定することができ、遠位端部810は、長手方向遠位軸814を画定することができる。インプラント本体800は、埋設されたときに近位軸812と遠位軸814との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0109】
この実施例において、第2のインプラント本体部分806の近位端部828は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素856を備えることができる。保持要素856は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部875又は他の把持手段を備えることができる。この実施例において、インプラント本体802は、第1のインプラント本体部分804の近位端部808の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体を収容するように構成されている、第1のキャビティ818を備える。またこの実施例において、インプラント本体802は、近位端部808から横方向に延在し、また近位端部808の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部832を備えることができる。いくつかの実施例において、把持可能又は他の突起部832は、近位端部808の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0110】
図8Bは、図8Aの直線8B−8Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント800の断面を示す図例である。図8Bに示されているように、第1の部分804の遠位端部826は、第2の部分806と第2の部分806の近位端部828のところで又は近位端部828の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分806は、近位端部808から遠位軸814まで測定された第1の部分804の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸812から遠位端部810まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例において、第1の部分は、約1.725mmから約1.77mmまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約4.77mmから約5mmまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができる。
【0111】
様々な実施例において、第2の部分806は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント800が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器850を備えることができる。いくつかの実施例において、第2の部分806は、約0.46mmの近位端部828の直径部分から約0.36mmの拡張器先端部854の直径部分へ先細りになっている。
【0112】
図9は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント900の一実施例を示している。この実施例において、涙管インプラント900は、第1の部分904及び第2の部分906を含むインプラント本体902を備えることができ、また第1の部分904の近位端部908から第2の部分906の遠位端部910に延在するようにできる。近位端部908は、長手方向近位軸912を画定することができ、遠位端部910は、長手方向遠位軸914を画定することができる。インプラント本体900は、埋設されたときに近位軸912と遠位軸914との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0113】
図に示されているように、第1の部分904と第2の部分906との間に滑らかな遷移が存在しうる。この実施例において、滑らかな遷移は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部975又は他の把持手段を備えることができる。またこの実施例において、インプラント本体902は、近位端部908から横方向に延在し、また近位端部908の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部932を備えることができる。いくつかの実施例において、把持可能又は他の突起部932は、近位端部908の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0114】
図10A〜図10Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1000の一実施例を示している。この実施例において、涙管インプラント1000は、第1の部分1004及び第2の部分1006を含むインプラント本体1002を備えることができ、また第1の部分1004の近位端部1008から第2の部分1006の遠位端部1010に延在するようにできる。近位端部1008は、長手方向近位軸1012を画定することができ、遠位端部1010は、長手方向遠位軸1014を画定することができる。インプラント本体1000は、埋設されたときに近位軸1012と遠位軸1014との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0115】
この実施例において、第2のインプラント本体部分1006の近位端部1028は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素1056を備えることができる。保持要素1056は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部1075又は他の把持手段を備えることができる。この実施例において、インプラント本体1002は、第1のインプラント本体部分1004の近位端部1008の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体を収容するように構成されている、第1のキャビティ1018を備える。またこの実施例において、インプラント本体1002は、近位端部1008から横方向に延在し、また近位端部908の周りに完全に広がる約1.3mmの直径を有する環状突起部などの把持可能又は他の突起部1032を備えることができる。いくつかの実施例において、把持可能又は他の突起部1032は、近位端部1008の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0116】
図10Bは、図10Aの直線10B−10Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント1000の断面を示す図例である。図10Bに示されているように、第1の部分1004の遠位端部1026は、第2の部分1006と第2の部分1006の近位端部1028のところで又は近位端部1028の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分1006は、近位端部1008から遠位軸1014まで測定された第1の部分1004の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸1012から遠位端部1010まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例において、第1の部分は、約1.5mmの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約5mmの長手方向長さ部分を含むことができる。
【0117】
様々な実施例において、第2の部分1006は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント1000が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器1050を備えることができる。いくつかの実施例において、第2の部分1006は、約0.46mmの近位端部1028の直径部分から約0.36mmの拡張器先端部1054の直径部分へ先細りになっている。
【0118】
図11〜図17は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700の実施例を示している。これらの実施例において、それぞれの涙管インプラント1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700は、第1の部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704及び第2の部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706を含むインプラント本体1102、1202、1302、1402、1502、1602、1702を備えることができ、第1の部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704の近位端部1108、1208、1308、1408、1508、1608、1708から第2の部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706の遠位端部1110、1210、1310、1410、1510、1610、1710に伸びうる。それぞれのインプラント本体1102、1202、1302、1402、1502、1602、1702は、涙管インプラントの埋設位置を潜在的にさらに固定するため少なくとも1つの中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792を備えることができる。中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792は、第1のインプラント本体部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704又は第2のインプラント本体部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706のうちの一方又は両方の中に位置決めされ、環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部の形態をとりうる。中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792は、隣接するインプラント本体部分よりも大きいサイズを有する断面を備えることができ、また使用期間中インプラントを動かさないよう(図2)、固定具合を高めるために小管壁の一部を少し変形させることもできる。
【0119】
例えば涙管インプラントによる下部涙小管210の閉塞は、小管210内の逆圧増大を引き起こし、これにより、インプラントを埋設位置から追い出すことができる。この逆圧は、例えば、まばたき(涙液がポンプで涙ドレナージ系の下で目の前面から汲み上げられる)又はくしゃみ(圧力が肺系統から発生し上昇する)の際に発生する可能性がある。従って、少なくとも1つの中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792の形態で、ここで示されている追加の保持特徴のうちの1つ又は複数を使用して、インプラント移動を防ぎ、埋設された涙管インプラント位置をさらに固定することができる。これらの追加の保持特徴は、インプラント埋設の困難を明らかに増大させずに近位方向への移動を防ぐように設計されうる。
【0120】
現在進行中の臨床試験は、本特許文献に開示されている様々な涙管インプラントの安全性、耐容性、快適性、取り扱い及び挿入/除去の容易さ、保存、有効性及び投与を評価するために実施されている。予備的なレポートには、図12、図13、図43A〜図43Cに示した涙管インプラント等の涙管インプラントは、臨床試験に参加した患者に効果的かつ耐容性があることを示している。例えば、図13に示したタイプの涙管インプラントの埋設後4週間のフォローアップで測定した予備的なデータに基づくと、全体的な有害事象の範囲は、有害事象が認められた僅か1.7%から11.7%までである。最も一般的な有害事象は、目のかゆみ(一般的に初期インプラントの摩耗と通常の適応の一部で見られる)、流涙、眼の刺激(それぞれ11.7%、6.7%、及び5.0%)である。前者よりも少ない頻度で報告された他の有害事象は、灼熱感、眼の不快感、点状表層角膜炎が含まれる。結膜又は眼充血は、フォローアップの4週間では観察されなかった。第4週で患者が報告した44μgのラタノプロスト薬の挿入体を含むインプラントの快適さと涙量のスコアは以下の通りであった:患者の88%が快適さを「無意識」又は「軽度の意識」と評価したが、その一方で、患者の76%は涙量を「無し」と評価した。図12、13、43A〜43Cに示したタイプの涙管インプラントの評価を取り扱う医師は、図12、43A〜43Cに示したタイプのインプラントを容易に挿入(80%)及び除去(100%)できると評価した医師によって、涙管インプラントは挿入及び除去が容易であることを示している。
【0121】
図12に一般的に示すような実施例において、近位端部1208は、例えば約1.2mmの外径と、第1の部分1204の長手方向に約0.13mm〜約0.19mmのキャップの厚さとを有するキャップ等の突起部を設けることができる。この実施例において、近位端部1208のキャップ部分は、約0.56mmの外径と約0.6mmの長手方向の軸の長さを持ち得る軸部分等によって、第1の部分1204の保持突起部1292から分離することができる。この実施例において、第1の部分1204の保持突起部1292は、軸部文の外径以下の遠位外径(第1の部分1204と第2の部分1206が接触する場所等)に先細りし得る約0.9mmの近位外径を持つことができる。より優れた保持は、他の実施例において、約1.1mmの近位外径を代わりに持つことができる、第1の部分1204のより鋭く先細る保持突起部1292によって得ることができる。さらに他の実施例において、近位端部1208は、約1.4mmの外径を有するキャップを代わりに設けることができ、第1の部分1204の保持突起部1292の近位外径は代わりに約1.4mmであり得る。
【0122】
同様の寸法及び寸法変量は、図11〜図17に一般的に示される実施例を含む本明細書に記載した他の実施例に適用することができる。例えば、図13に一般的に示すように、第1の部分1304の保持突起部1392は、約0.56mm〜約0.70mmの開始直径から外側に膨張していてもよい。第1の部分1304内の第1のキャビティは、0.42mm程度(約0.0165インチ)の直径及び約1.22mm(約0.048インチ)の深さを持つことができる。このような第1のキャビティのサイズは、少なくとも約0.07mmのキャビティを囲む第1の部分の壁厚になる可能性がある。いくつかの実施例において、(薬物荷重の約33%と仮定する)約44マイクログラム(μg)のラタノプロストを有する薬物挿入体が第1のキャビティ内に挿入されて固定される。必要に応じて、多かれ少なかれ、薬物又は他の薬剤は、その中に配置することができるキャビティ及び薬物挿入体のサイズ(例えば、直径又は深さ)をそれぞれ増減することによって、第1のキャビティ内に挿入することができる。一実施例として、図43A〜図43Cに関連して図示及び記載したように、第1のキャビティは、約0.56mm(約0.022インチ)の直径、及び1.22mm(約0.048インチ)の深さを持つことができる。このような第1のキャビティのサイズは、(薬物荷重の約33%と仮定する)約81μgのラタノプロストを有する薬物挿入体を受容することができる。
【0123】
図18〜19は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1800、1900の実施例を示している。これらの実施例において、各涙管インプラント1800、1900は、第1の部分1804、1904及び第2の部分1806、1906を含むインプラント本体1802、1902を備えることができ、また第1の部分1804、1904の近位端部1808、1908から第2の部分1806,1906の遠位端部1810、1910に延在するようにできる。図示されているように、各インプラント本体1802、1902の中間部分1896、1996は、涙管インプラントのインプラント位置をさらに潜在的に固定させるために、第1のインプラント本体部分1804、1904または第2のインプラント本体部分1806、1906のいずれか1つまたは両方に対して角度を付けることができる。
【0124】
中間部分1896、1996に角度を付けると、涙点212、214及び小管208、210の解剖学的構造を捕捉し、角度を付けて涙小管に当たるようにすることによって印加される指向性の力などを介して、涙管インプラント1800、1900を埋設位置に保持しやすくなると考えられる。この指向性の力は、涙点212、214と同一平面上でフィードバック又は他の突起部1832、1932を連続的に押しやるように設計されうる。
【0125】
図20は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2000の一実施例を示している。この実施例において、涙管インプラント2000は、第1の部分2004及び第2の部分2006を含むインプラント本体2002を備えることができ、また第1の部分2004の近位端部2008から第2の部分2006の遠位端部2010に延在するようにできる。近位端部2008は、長手方向近位軸2012を画定することができ、遠位端部2010は、長手方向遠位軸2014を画定することができる。インプラント本体2000は、埋設されたときに近位軸2012と遠位軸2014との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。様々な実施例において、第1の部分2004の遠位端部2026は、第2の部分2006と第2の部分2006の近位端部2028のところで又は近位端部2028の近くで一体となるようにできる。
【0126】
この実施例において、1つ又は複数の材料切り欠き2080は、インプラント本体2002の外面に形成される。その結果、近位軸2012と遠位軸2014との間のある角度をなす交差部は、想像線で示されているように、埋設時に、より直線的に揃えられるため、涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入しやすくすることができる。
【0127】
図21A〜図21B及び図22A〜図22Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2100、2200の側面図例である。これらの実施例において、それぞれの涙管インプラント2100、2200は、第1の部分2104、2204及び第2の部分2106、2206を含むインプラント本体2102、2202を備えることができ、また第1の部分2104、2204の近位端部2108、2208から第2の部分2106、2206の遠位端部2110、2210に延在するようにできる。それぞれの第2の部分2106、2206は、1つ又は複数のアーム部材2170、2270がインプラント本体に隣接する第1の構成と1つ又は複数のアーム部材2170、2270がインプラント本体の側面から横方向に延在する第2の構成との間で移動可能な1つ又は複数のアーム部材2170、2270を備えることができる。第1の構成では、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、狭い外形を形成することによって涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入しやすくする。第2の構成では、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、横方向に延在して、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)又は小管208、210のうちの少なくとも一方を満たす。適宜、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、ヒドロゲルなどの流体膨張可能材料を備え、水和したときに涙小管膨大部252又は小管208、210内の埋設涙管インプラントをさらに固定することができる。
【0128】
いくつかの実施例において、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、インプラント本体2102、2202を形成するためにも使用される鋳型の中に組み込むことができる。1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、その代わりに、既存のインプラント本体2102、2202上に成形するか、又は接着剤で接着することによって取り付けられうる。1つ又は複数のアーム部材2170、2270に対し異なる厚さ及び形状を用いて、異なる剛性及び固定/取外し特性を持たせることができる。ヒドロゲルだけでなく、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、眼球内レンズなどのハプティクスに使用される材料などの他の材料で作ることもできる。
【0129】
図23A〜図23Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2300の側面図例である。この実施例において、涙管インプラント2300は、第1の部分2304及び第2の部分2306を含むインプラント本体2302を備えることができ、また第1の部分2304の近位端部2308から第2の部分2306の遠位端部2310に延在するようにできる。第2の部分2306は、少なくとも一部は、拡張すると第2の部分2306がバイアスをかけられて涙小管壁から離れるように構成されている拡張可能保持要素(例えば、膨張可能バルーン)2372によって囲むことができる。
【0130】
いくつかの実施例において、拡張可能保持要素2372は、目又は鼻涙系の組織に送達すべき薬剤を含むか、又は薬剤によって膨らませることができる。いくつかの実施例において、膨張可能保持要素2372は、薬物挿入体又は他の薬剤保持構造物から分離している1つ又は複数のバルーンを使用することができる。これら1つ又は複数のバルーンは、適宜、バルーン・カテーテルで使用されるバルーンに類似するものとしてよく、バルーンを制御しつつ膨張させられるように膨張内腔又は同様のものがインプラント挿入工具内に適宜備えられている。このような実施例において、涙管インプラント2300は、図23Aに示されているように、萎ませたバルーンとともに挿入することができる。涙管インプラント2300が適所に置かれた後、次いで、バルーンを膨らませて、図23Bに示されているように、インプラントの埋設位置を固定することができる。
【0131】
バルーンを萎ませて、涙管インプラント2300の取外しをしやすくすることもできる。バルーンは、小管208、210のサイズ及び形状の変化に適宜部分的に又は実質的に適合するようにできる。バルーンの代替実施例は、バルーンの穿孔又は開口部を通して水を吸収することによるヒドロゲルの膨張など、バルーン内に配置されている材料の膨張によって膨らませることができる。1つ又は複数のバルーンは、支持インプラント本体の周りに配置されている環状構造物とすることができるか、又はインプラント本体の軸を中心として偏心配置することができる。図23Bに示されているように、バルーンは、涙液排出管の水平部分内に留置されるか、又は涙液排出管の水平部分に隣接して留置されるか、又は涙ドレナージ系の涙管膨大部内に留置されるか、又は涙ドレナージ系の涙管膨大部に隣接して留置されるか、また同様の形で配置されるように十分遠位に配置できる。代替実施例は、より近位にある1つ又は複数のバルーンを備えることができる。
【0132】
図24は、下部涙点214及び関連する小管210を通じて埋設された他の涙管インプラント2400の概略図例である。涙管インプラント2400は、第1の部分2404及び第2の部分2406を含むインプラント本体2402を備えることができる。様々な実施例において、インプラント本体2402は、埋設されたときにインプラント本体2402の少なくとも一部分にバイアスをかけて小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250により遠位に配置されている涙小管210の少なくとも一部に当たるようにし、インプラント2400の埋設位置を確実に保持するように構成されうる。この実施例において、第2の部分2406は、第1の部分2404の直径より大きく2mm未満であるサイズなどの、約2mm未満の長手方向長さ部分を含む。またこの実施例において、インプラント本体2402は、第1のインプラント本体部分2404の近位端部の周りに横方向に少なくとも部分的に延在するような、把持可能な又は他の突起部2432を備えることができる。
【0133】
図25A〜図25Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2500の一実施例を示している。これらの実施例において、涙管インプラント2500は、第1の部分2504及び第2の部分2506を含むインプラント本体2502を備えることができ、また第1の部分2504の近位端部2508から第2の部分2506の遠位端部2510に延在するようにできる。インプラント本体は、例えば患者が快適に、また安全に保持できるように小管208、210の解剖学的特徴と一般的に一致しうる一般的な形状を備えることができる。近位端部2508は、長手方向近位軸2512を画定することができ、遠位端部2510は、長手方向遠位軸2514を画定することができる。インプラント本体2502は、埋設されたときに近位軸2512と遠位軸2514との間に45〜90度の角度をなす交差部分が存在し、例えばインプラント本体2502の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0134】
図25A〜図25Bの実施例において、インプラント本体2502は、近位端部2508の近くに配置されている第1のキャビティ2518又は遠位端部2510の近くに配置されている第2のキャビティ2520のうちの両方を備えることができる。第1のキャビティ2518は第1の部分2504の近位端部2508から内向きに延在しており、第2のキャビティ2520は第2の部分2506の遠位端部2510から内向きに延在している。第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入体を第1のキャビティ2518内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入体を第2のキャビティ2520内に配置して、例えば鼻道又は内耳系への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。いくつかの実施例において、図26に示されているように、第1のキャビティ2518は、第1の部分2504の近位端部2508から第2の部分2506の遠位端部2510の近くの位置まで内向きに延在することができ、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体で満たされる。いくつかの実施例において、第2のキャビティ2520は、第2の部分2506の遠位端部2510から第1の部分2504の近位端部2508の近くの位置まで内向きに延在することができ、第2の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体で満たされる。
【0135】
いくつかの実施例において、第2の部分2506は、涙点212、214又は小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント2500が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器2550を備える。このようにして、涙管インプラント2500は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。これらの実施例において、一体型拡張器2550は、第1の部分2504に関係する一般的に凹型の形状を有する。いくつかの実施例において、凹型の形状は、小管湾曲部250の半径より小さい半径を有する。いくつかの実施例において、凹型の形状は、小管湾曲部250の半径と実質的に同じ半径を有する。図25Bの実施例に示されているように、第1の部分2504と第2の部分2506との間に滑らかな遷移が存在しうる。
【0136】
いくつかの実施例において、第2のインプラント本体部分2506の近位端部2528は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素2556を備えることができる。図25Aの実施例において、保持要素2556は、第1のインプラント本体部分2504と第2のインプラント本体部分2506との間から近位に突き出る。
【0137】
図26は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2600の一実施例を示している。この実施例において、涙管インプラント2600は、第1の部分2604及び第2の部分2606を含むインプラント本体2602を備え、また第1の部分2604の近位端部2608から第2の部分2606の遠位端部2610に延在する。近位端部2608は、長手方向近位軸2612を画定することができ、遠位端部2610は、長手方向遠位軸2614を画定することができる。インプラント本体2600は、埋設されたときに近位軸2612と遠位軸2614との間に90〜135度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0138】
いくつかの実施例において、インプラント本体2602は、近位端部2608の近くに配置されている第1のキャビティ2618を備えることができる。この実施例において、第1のキャビティ2618は第1の部分2604の近位端部2608から第2の部分2606の遠位端部2610の近くの位置へ内向きに延在している。約0.2立方センチメートルから約0.25立方センチメートルまでの範囲の体積を有する第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体を、例えば、第1のキャビティ2618内に配置して、目に長期間にわたって薬物又は他の治療薬の持続放出を行うようにすることができる。
【0139】
いくつかの実施例において、第2の部分2606は、涙点212、214又は小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント2600が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器2650を備える。このようにして、涙管インプラント2600は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。この実施例において、拡張器2650は、第1の部分2604に関して一般的に凸型の形状を有する。いくつかの実施例において、凸型の形状は、小管湾曲部250の半径より小さい半径を有する。いくつかの実施例において、凸型の形状は、小管湾曲部250の半径と実質的に同じ半径を有する。
【0140】
いくつかの実施例において、第2のインプラント本体部分2606の近位端部2628は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素2656を備えることができる。この実施例において、保持要素2656は、第1のインプラント本体部分2604と第2のインプラント本体部分2606との間から近位に突き出る。図29〜図30に示されているようないくつかの実施例において、第2のインプラント本体部分2606の近位端部2628は、インプラント本体2602が埋設されるときに涙小管膨大部252内に広がるように構成されている、ヒドロゲル保持要素を含む保持要素2656を備えることができる。
【0141】
図27は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2700の側面図例である。この実施例において、涙管インプラント2700は、埋設する前に互いに対して直線的である、第1の部分及び第2の部分を含むインプラント本体2702を備える。インプラント本体2702は、第1の部分の近位端部2708から第2の部分の遠位端部2710へ延在する。近位端部2708は、長手方向近位軸2712を画定することができ、遠位端部2710は、長手方向遠位軸2714を画定することができる。インプラント本体2702は、埋設されたときに近位軸2712と遠位軸2714との間に約45〜135度の角度をなす交差部分が存在し、例えばインプラント本体2702の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例において、インプラント本体2702の第2の部分は、インプラント本体2702にバイアスをかけて涙小管208、210の一部分に当たりやすくする少なくとも1つの起伏部2790を備える。
【0142】
図28は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2800の側面図例である。この実施例において、涙管インプラント2800は、埋設する前に互いに対して直線的である、第1の部分及び第2の部分を含むインプラント本体2802を備える。インプラント本体2802は、第1の部分の近位端部2808から第2の部分の遠位端部2810へ延在する。近位端部2808は、長手方向近位軸2812を画定することができ、遠位端部2810は、長手方向遠位軸2814を画定することができる。インプラント本体2802は、埋設されたときに近位軸2812と遠位軸2814との間に約45〜135度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体2802の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例において、インプラント本体2802の第2の部分は、肋骨のような環状突起部などの少なくとも1つの中間配置保持突起部2892を備える。保持突起部2892は、隣接するインプラント本体部分より大きな断面サイズを有し、インプラント本体2802の埋設位置の固定をしやすくすることができ、隣接するより細いインプラント本体部分は、インプラント本体2802にバイアスをかけて涙小管208、210の一部分に当てやすくすることができる。
【0143】
図29〜図32は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2900、3000、3100、3200の側面図例である。これらの実施例において、それぞれの涙管インプラント2900、3000、3100、3200は、第1の部分2904、3004、3104、3204及び第2の部分2906、3006、3106、3206を含むインプラント本体2902、3002、3102、3202を備えることができ、また第1の部分2904、3004、3104、3204の近位端部2908、3008、3108、3208から第2の部分2906、3006、3106、3206の遠位端部2910、3010、3110、3210に延在するようにできる。近位端部2908、3008、3108、3208は、長手方向近位軸2912、3012、3112、3212を画定することができる。
【0144】
第2の部分2906、3006、3106、3206は、インプラント本体2902、3002、3102、3202が埋設されたときに近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294を備えることができる。様々な実施例において、流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294は、拡大方向又は拡張量のうちの一方又は両方が制御できるように形成されうる。例えば、流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294は、涙管インプラントを確実に固定するために他方の平面に比べて一方の平面内でより拡大するようにできる。いくつかの実施例において、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)から離れる方向で、近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された部分を備える。図29〜30に示されているようないくつかの実施例において、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)に向かう方向で、近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された部分を備える。
【0145】
いくつかの実施例において、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、涙点212、214を通して細い特性の関連する小管208、210内に挿入可能である、ヒドロゲルを含むことができる。挿入した後、ヒドロゲル又は他の流体膨張保持要素は、水和して、幅広の構成形状になるまで拡大しうる。少なくとも1つの中間配置保持突起部2992、3092、3192、3292などの突起部は、ヒドロゲル又は他の膨張可能要素が拡大している間に涙管インプラントの埋設位置を保持するために使用されうる。
【0146】
図33は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント3300の側面図例である。これらの実施例において、涙管インプラント3300は、第1の部分3304及び第2の部分3306を含むインプラント本体3302を備えることができ、また第1の部分3304の近位端部3308から第2の部分3306の遠位端部3310に延在するようにできる。図に示されているように、第2の部分3306は、コイル、組紐、ステント、メッシュ・チューブ、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、又は形状記憶材料のうちの少なくとも1つを含む拡張可能保持要素3393を備えることができる。拡張可能保持要素3393は、インプラント本体が埋設されたときに、第1の部分3304によって定められた近位軸3312に関して、横方向に拡大するように構成できる。少なくとも1つの中間配置保持突起部3392などの突起部は、涙管インプラントの埋設位置を潜在的にさらに固定するために使用できる。
【0147】
図34A〜図34Bは、他の涙管インプラント3400及びインプラント環境の概略図例である。様々な実施例において、インプラント本体3402は、第1のインプラント本体部分の近位端部3408から、又は近位端部3408の周りに横方向に少なくとも部分的に延在する1つ又は複数の突起部などの、把持可能な又は他の突起部3432を備えることができる。図34Bに示されているようないくつかの実施例において、突起部3432は、涙管インプラント3400を埋設位置内に挿入するか、又は埋設位置から涙管インプラント3400を取り外す際に使用する一組のウィングを備えることができる。埋設されたインプラント本体3402が非直線的構成であるため、小管湾曲部250及び適宜、涙小管膨大部252のサイズ又は形状をとることによって移動を防ぐことができるので、一組のウィングを、移動を念頭に置かずに構成することができる。
【0148】
図34A〜図34Bの実施例において、1つ又は複数の突起部3432は、埋設されたときに目100と平行な方向で、又は目100から離れる方向で横方向に延在する。このようにして、突起部3432は、そのまま、把持可能又はフィードバック特徴として働くことができるが、涙管インプラント3400が埋設されるときの患者の不快感を制限することができる。それに加えて、突起部3432は、目100から離すことにより、組織に埋没することがなく、患者又は医師が簡単に認識することができる。これにより、目100の周囲の軟組織を掘り起こして調べなくても涙管インプラント3400が適切な場所に留置されているかどうかの判定を素早く下すことができる。いくつかの場合において、下眼瞼をただ単に引っ張るだけで、目100から離れる方向を指している突起部3432を露出させることができる。図34Bの実施例において、近位端部3408からの少なくとも1つの突起部3432の横方向延在は、第1のインプラント本体部分の遠位端部に関する第2のインプラント本体部分の横方向延在方向と実質的に同じである。
【0149】
図35〜図38は、涙管インプラント3500、3600、3700、3800の近位端部から延在している様々な把持可能突起部又は他の把持手段3532、3632、3732、3832の等角図例である。把持可能又は他の突起部3532、3632、3732、3832は、インプラント挿入又は取外し時にユーザが把持できる構造物を備えて、関連する涙管インプラントが涙点212、214及び関連する涙小管208、210(図2)内を完全に通るのを抑制又は防止することを含む様々な機能に対し、あるいは例えば、インプラントが完全に埋設されたかどうかを示す触覚的な、又は視覚的なフィードバック情報をユーザに送るために、使用できる。
【0150】
図35に示されているようないくつかの実施例において、把持可能突起部3532は、涙点の外側に配置されるサイズを有する2つ又はそれ以上の拡張可能アーム部材を備えることができる。アーム部材は、例えば、成形、接着、又は溶接を用いて、インプラント本体3502に取り付けることができる。拡張可能アーム部材は、涙点212、214を通して関連する小管208、210内に入る涙管インプラント3500の貫通を制限するために拡張するようにできる。2つのアーム部材が示されているが、4つのアーム部材など、2つよりも多いアーム部材を備えるものもある。拡張可能アーム部材は、インプラント本体の直径の約2倍に対応する拡張特性分離距離3505をとり、これにより近位にある拡張可能アーム部材の近位端部は、涙点の外側に留まる。拡張可能アーム部材は、細い外形構成から拡張特性構成へ様々な方法で拡張することができ、また、コイル、組紐、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、Nitinol、形状記憶材料、ポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、天然繊維、ステンレス鋼、ポリメチルメタクリレート、又はポリイミドのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施例において、拡張可能アーム部材は、小管内腔208、210内に涙管インプラントが位置決めされた後に、例えば、医師が手作業で拡張させることができる。
【0151】
図36に示されているようないくつかの実施例において、把持可能突起部3632は、ループへの近位張力を用いて、例えば、鉗子を使ってインプラントを取り外せるように涙管インプラント3600の近位端部内に埋め込まれたフィラメントのループを備えることができる。いくつかの実施例において、フィラメントのループは、涙管インプラントを容易に取り外せるようにループとともに涙管インプラントから延在しているハンドバックのハンドルに似た形状をとる。フィラメントは、熱活性化可能材料、Nitinol、形状記憶材料、ポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、天然繊維、ステンレス鋼、ポリメチルメタクリレート、又はポリイミドのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態において、フィラメントは、吸収性熱可塑性ポリマー、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、又はポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)のうちの少なくとも1つを含むことができる。フィラメントを涙管インプラントに固定するために、フィラメントの遠位端部をインプラント本体3602内に埋め込むか、又は成形するか、又は他の方法で貼り付けることができる。
【0152】
図37に示されているように、いくつかの実施例において、把持可能突起部3732は、涙小管208、210の一番外側部分にバイアスをかけるように構成されている、インプラント本体3702と結合された少なくとも1つの軸方向に延在する突起部を備えることができる。小管の外向きのバイアスに対する自然な収縮により、軸方向に延在する突起部と小管との間の相互作用が関連する涙管インプラント3700の過剰挿入を抑制する。
【0153】
図38に示されているように、いくつかの実施例において、インプラント本体3802内の長手方向凹み、チャネル、又は他の陥凹部3832を把持可能突起部の代わりに使用して、涙管インプラント3800の挿入又は取外しを行うことができる。凹み、チャネル、又は他の陥凹部3832は、インプラント本体の一部にのみ沿って軸方向に、関連する涙管インプラントの取外しを行いやすくするのに十分な距離だけ延在するものとしてよい。他の実施例において、涙管インプラントは、インプラント本体内に成形され、涙点からインプラントを取り外せるように近位に延在するフィラメントを備えることができる。
【0154】
図39A〜図39Bは、薬物挿入体322及び取り外しやすくするフィラメント3999の等角図例である。図39Aに示されているように、いくつかの実施例において、フィラメント3999は、薬物挿入体322から延在するものとしてよく、取外しのために中に成形される。とりわけ、フィラメント3999は、縫合糸、熱硬化性ポリマー、又は形状記憶合金を含むものとしてよい。図39Bに示されているように、いくつかの実施例において、フィラメント3999は、インプラント本体3902に隣接する薬物挿入体322に沿って延在し、また取外しのために挿入物の遠位端部に接着される。フィラメントは、シアノアクリレート、アクリル、エポキシ、ウレタン、又はホット・メルト接着剤などの接着剤で薬物コア挿入物の遠位端部に接着することができる。
【0155】
図40は、涙点を通し関連する小管内に少なくとも部分的に挿入可能であるように構成されている涙管インプラントを製造する方法4000の一実施例を示すブロック図である。4002で、第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成する。様々な実施例において、近位端部は、長手方向近位軸を画定するように形成され、また遠位端部は、長手方向遠位軸を画定するように形成される。インプラント本体の形成は、埋設されたときに近位軸と遠位軸は少なくとも45度の角度で交差し、これによりインプラント本体の少なくとも一部に横方向バイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されうる。必要に応じて、インプラント本体の形成は、1つ又は複数の薬剤又は他の治療剤粒子を本体内に一体化することもできる。インプラント本体は、必要に応じて、患者の身体組織に所望するように薬剤放出を方向付ける透過性又は不浸透性材料で被覆することができる。
【0156】
いくつかの実施例において、様々なサイズのインプラント本体が、様々な患者の解剖学的構造に合うように形成される。患者の涙点サイズを決定するために、患者が彼/彼女の瞼を短時間(例えば、約60秒)閉じて横になっているときに、局所点眼麻酔薬を1、2滴点眼することができる。その後、上部又は下部涙点のいずれか又は両方の直径を測定するために涙点ゲージを使用することができる。ゲージ上の段階に対応する測定値が読み取られるとともに記録されることができる時、わずかな抵抗がゲージに感じられるまで涙点ゲージを涙点に促すことができる。
【0157】
いくつかの実施例において、第2の本体部分は、第2の本体部分の近位端部の近くの場所から第2の本体部分の遠位端部へ一般的に狭まってゆく拡張器を備えるように形成される。いくつかの実施例において、拡張器は、インプラント本体の第2の部分の外面を長手方向遠位軸に関して約1度から約10度までの角度で傾斜させることによって形成される。いくつかの実施例において、第2のインプラント本体部分の外面は、約0.2mmから約0.5mmまでの範囲の拡張器先端部へと傾斜している。
【0158】
いくつかの実施例において、インプラント本体は、第1の本体部分の近位端部から横方向に延在する把持可能又は他の突起部を備えるように形成される。いくつかの実施例において、突起部は、第1の本体部分に関して第2の本体部分の横方向延在方向と実質的に揃うように形成される。いくつかの実施例において、突起部は、埋設されたときに目と平行な方向又は目から離れる方向で第1の本体部分の近位端部から横方向に延在するように形成される。
【0159】
4004で、第1の本体部分又は第2の本体部分のうちの少なくとも一方の中に薬物挿入体を配置する。様々な実施例において、薬物挿入体は、露出した薬物挿入体表面が例えば目、鼻道、又は内耳に薬物又は他の治療薬を持続放出するために近位端部又は遠位端部のうちの少なくとも一方に隣接して留置されるように位置決めされる。いくつかの実施例において、第1の薬物挿入体は、第1の本体部分内に配置され、第2の薬物挿入体は、第2の本体部分内に配置される。様々な実施例において、1つ又は複数の薬物挿入体は、薬物又は他の治療薬を含む薬物コアを備える。
【0160】
4006で、インプラント本体の外面部分を流体膨張材料、潤滑被覆、又は抗菌被覆のうちの少なくとも1つで被覆する。様々な実施例において、インプラント本体の外面部分は、研磨プロセスを使用して研磨される。
【0161】
(その他の実施例)
【0162】
図41は、第1の部分1204の保持機構1292が、その周囲に等間隔に横方向に突出する必要はないように、図12の実施例等の涙管インプラントを変更することができる実施例を示す。代わりに、図41に示すような実施例においては、第1の部分1204の保持機構4192の近位端部は、その円周に沿って横方向の距離が等しくならないように横方向に外側に突出することができ、かつ、第1の部分1204の保持機構4192は、保持機構4192の遠位端において、第1の部分1204の外径まで先細ることができる。この実施例において、保持機構4192の近位端部は、第1の部分1204の近位端部で、キャップ1208又は他の突起部の境界線と数値的に等しい境界線を含むことができる。
【0163】
この実施例において、第1の部分1204の保持機構4192の近位端部は、(3番目と4番目の側面は、第1及び第2の側面で画定された第1の横方向に略直交する第2横方向を画定することを特徴とする)保持機構の第3の側面及び第4の側面に対立する軸部分の外寸法から外側に突出することなく、第1の部分1204の保持機構4192の第1及び第2の側面に対立する反対方向等の外側に対側性に突出することができる。このように、第1の部分1204の保持機構4192の対側性突出部分は、図12に関連して図示し記載したような第1の部分1204の保持機構1292の近位端部の突出外径にほぼ等しくなり得る第1の横方向において、端末間の横方向距離を画定することができる。
【0164】
インプラントの様々な他の選択肢も可能である。組織の炎症や損傷を軽減するような滑らかな角が必要に応じて提供されてもよい。保持を強化するような鋭い角が必要に応じて提供されてもよい。しかしながら、垂直な第2の横方向において、第1の部分1204の保持機構4192の外側の軸径を超えて突起が存在することはできない。一実施例において、第1の部分1204の保持機構4192の反対に突出する部分の第1の横方向は、第2の部分1206が、優れた保持力を提供できる第1の部分1204から延びる方向と実質的に直交している。しかしながら、他の実施例において、第1の部分1204の保持機構4192の対側性に突出する第1の横方向は、第2の部分1206が第1の部分1204から延びる方向と実質的に平行にすることができる。更に他の実施例において、第1の部分1204の保持機構4192の対側性に突出する第1の横方向は、第2の部分1206が第1の部分1204から延びている方向を基準にして他の角度(例えば、0度と90度の間)に置くことができる。
【0165】
図42A〜図42Dは、第2の部分1206の保持機構1292が第2の部分1206の横方向外側寸法の外形から外側に徐々に膨らむ必要はないように、図12及び図41の実施例に示したような涙管インプラントを変更することができる例を示す。より具体的には、図42Aは、涙管インプラント例の側面図を示し、図42Bは、図42Aに示した切断線AAに沿った断面図を示し、図42Cは、涙管インプラントの上面図を示し、かつ、図42Dは、第2の部分1206の近位端部から見たときのような涙管インプラントの端面図を示す。
【0166】
図42A〜図42Dの実施例において、第2の部分1206は、保持機構4292の近位端部4201、又は保持機構4292の遠位端部4202のいずれかにおいて、外側の横方向ステップのような、より突然変化する外形を持つ保持機構4292を含むことができる。例えば、保持機構4292は、その近位端部4201において、第2の部分1206の外径(例えば、約0.46mm〜約0.62mm)から少なくとも部分的に保持機構4292の近位端部4201の周方向に突出する外径(例えば、約0.76mm、約0.86mm又は約0.89mm)までのような、急峻なステップを含むことができる。組織の炎症や損傷を軽減するような滑らかな角が必要に応じて提供されてもよい。保持を強化するような鋭い角が必要に応じて提供されてもよい。この実施例において、保持機構4292の遠位端部4202が近づくように、保持機構4292の外径は、第2の部分1206の外径(例えば、約0.46mm〜約0.62mm)に対して後退して先細りになってもよい。
【0167】
図42A〜図42Dの実施例は、図41に関連して上記で説明したように、第2の部分1206が第1の部分1204から外側に延びる方向と平行な方向において横方向外側に延びることなく、第2の部分1206が第1の部分1204から外側に延びる方向と直交な方向において横方向外側に延びるとともに、第1の部分1204の近位キャップ1208と第1の部分1204の保持機構4192との間の狭く少なくとも部分的に円周状のネック4203を画定する軸部分を設ける、第1の部分1204の先細りした保持機構4192を含むことができる。狭く少なくとも部分的に円周状のネック部4204は、保持の目的のために、第1の部分1204と第2の部分1206との間の接合部において提供されることができる。涙小管の組織は、ネック部分4204内及び周囲を圧縮することができ、それによって涙管インプラントの埋設位置を確保する助けとなると考えられている。
【0168】
図43A〜図43Cは、第1の部分1204の保持機構1292、4192が第1の部分1204と第2の部分1206との間の接合部にネック部分を含む必要がないように、図12、図41、図42A〜図42Dの例に示したような涙管インプラントを変更することができる実施例を示す。より具体的には、図43Aは、涙管インプラント例の側面図を示し、図43Bは、涙管インプラントの底面図を示し、かつ、図43Cは、図43Bに示した切断線AAに沿った涙管インプラントの断面図を示す。
【0169】
図43A〜図43Cの実施例において、近位端部1208は、約1.1mmの外径及び第1の部分1204の長手方向に約0.13mmのキャップの厚さを有するキャップのような突起部を設けることができる。この実施例において、近位端部1208のキャップ部分は、約0.56mmの外径及び約0.66mmの長手方向の軸長を持つことができる軸部分等によって、第1の部分1204の保持突起部4392から分離することができる。この実施例において、第1の部分1204及び第2の部分1206の間の接合部4305にネック部分を設けないように、第1の部分1204の保持突起部4392は、第2の部分1206に直接約0.96mm以上先細る約1.1mmの近位外径を持つことができる。図42A〜図42Dに示したようなネック部分を除外することによって、保持突起4392の長さは、約1.1mmよりも大きい直径のような広い近位外径を効果的に長くし、及び/又は増加拡張、及びより緩やかなテーパー角を介する容易な挿入性を可能にすることができる。いくつかの実施例において、近位外側境界線は、保持を強化するような鋭い角を必要に応じて含むことができる。
【0170】
図43A〜図43Cの挿入例についての他の寸法選択は以下のようにすることができる。近位端部1208は、約1.4mmの外径を有するキャップ等の突起部を設けることができる。第1の部分1204の保持突起部4392は、約1.3mmの近位外径を持つことができる。近位キャップ1208と保持突起4392との間のネック部は、約0.7mmの直径を持つことができ、第1の部分1304内の第1のキャビティは、約0.56mmの直径を持つことができる。第1の部分1204及び第2の部分1206との間の接合部4305における保持突起部4392の厚さは、突起部4392の外側の収束面に対して垂直に測定した場合、第1キャビティの深さと、第1の部分1204に対する突起部4392の設定及び相対的な位置とに応じて、例えば、0.043mm、0.086mm、又は0.175mmであってもよい。
【0171】
特定の実施例において、第1の部分1204の保持機構1292、4192、4392又は第2の部分1206の保持機構1292、4292は必要に応じて、自己拡張型被覆が、図41、図42A〜図42D、及び図43A〜図43Cに示したものと一般的に類似する形状を形成するように拡張することを特徴とするプラグ本体上に、自己拡張型ヒドロゲルの被覆として埋設することができる。
【0172】
図44A〜図44C及び図45A〜図45Cは、比較的深い凹部4405又は比較的浅い凹部4505が、第2の部分1206に拡張するような第2の部分1206の近位端部から延長できるように、図12、図41、図42A〜図42D、及び図43A〜図43Cに示したような涙管インプラントを変更することができる実施例を示す。図44A及び図45Aは、それぞれ第2の部分1206の遠位端部及び近位端部から見たときのような涙管インプラント端面図例を示し、図44B及び図45Bはそれぞれ図44A及び図45Aに示した切断線AAに沿って切断した涙管インプラントの断面図例を示し、かつ、図44C及び図45Cは、涙管インプラントの上面図例を示す。
【0173】
一実施例において、凹部4405、4505は、凹部4405、4505に器具を挿入することを可能にする等して、埋設中に支援するために使用することができる。この実施例において、凹部4405、4505は、埋設され体液に晒される時に拡張することができるヒドロゲル(例えば、オハイオ州クリーブランドのルーブリゾール株式会社製“TG‐500”又は“TG‐2000”)等の拡張可能材料4407を含むことができる。この実施例において、凹部4405、4505は、埋設中に器具を挿入することができることと、保持を支援するような埋設時にヒドロゲルの拡大させることできることの両方の目的を果たすことができる。第2の部分1206の近位端部に対する凹部4405、4505の深さは、拡張可能材料4407が存在する場合は少なくとも一部の拡張を可能にするために十分であることができる。いくつかの実施例において、凹部の深さは、拡張可能材料4407の長手方向の2倍の長さである。いくつかの例において、凹部の深さは、拡張可能材料4407の長手方向の長さよりも僅かに大きい。
【0174】
拡張可能材料4407は、埋設時に、インプラント本体1202の外側又は涙小管壁に対して1つ又は複数の部分を圧迫するように、様々な方向に(例えば、風船のような方法で横方向及び/又は円周方向に)拡大するなど、凹部4405、4505内に設定するとともに配置できる。インプラント本体1202の外向付勢部と細管壁との間の噛合せを通じて、涙管インプラントはより安全に涙点中に保持することができる。任意に、第2の部分1206の凹部4405、4505内における拡張材料4407の位置は、所望の保持特性を達成するなど必要に応じて調整することができる。いくつかの実施例において、拡張時に拡張可能材料4407の一部が凹部4405、4505に対して外部に突出するように、拡張可能材料4407は凹部4405、4505内に配置される。他の実施例において、拡張時に拡張可能材料4407が実質的に凹部内に保持され、かつ実質的に凹部4405、4505に対して外部に突出していないように、拡張可能材料4407は凹部4405、4505内に配置される。
【0175】
様々な実施例において、インプラント本体1202は、拡張可能材料4407が吸収又はその他の流体を保持するように、インプラント本体1202の少なくとも部分的に外側に変形させるような、シリコーン、ポリウレタン又は他のウレタン系材料、又は非生分解性、部分的に生分解性、又は生分解性の性質(すなわち、体内分解性)のアクリル等の弾性材料から構成されることができる。いくつかの実施例において、インプラント本体1202の異なる部分は、異なる材料で製造されることができる。例えば、第1の部分1204は、より強固な拡張性の少ない材料から構成されることができ、第2の部分1206は、より弾性的な材料から構成されることができる。第2の部分1206はまた、流体を拡張性材料4407により良く浸透させることを促進又は可能にするような流体透過性材料から構成されることができる。必要に応じて、拡張可能部材4407が液体を吸収するかそうでなければ液体を保持するように、拡張可能部材4407を囲む第2の部分1206の壁厚は、外側の変形を容易にするために薄く形成されてもよい。
【0176】
図44B及び図45Bの実施例に示したように、拡張可能材料4407は、涙点を通って涙小管への挿入を助けることができる非拡張「乾燥」状態を持つことができる。一度涙小管に配置されると、拡張可能材料4407は、このような凹部4405、4505の開口を介して、又は材料4407の周囲の第2の部分1206又は内腔の液体透過性材料を介して等、小管又は他の体液を吸収する、あるいは保持することができる。いくつかの実施例において、拡張可能材料4407は、非生分解性である物質を含むことができる。いくつかの例において、拡張可能材料4407は、生分解性である物質を含むことができる。拡張可能材料4407は他のものを選択して使用することもできる。例えば、拡張可能材料4407は、インプラント本体1202を一体として成形されてもよく、あるいは、インプラント本体1202と別々に形成され、その後、インプラント本体1202に結合又はそうでなければ配置されてもよい。
【0177】
拡張可能材料4407の所望の膨張特性は、適切な材料の構成及び処理等を通して達成することができる。いくつかの実施例において、ヒドロゲル等の拡張可能な材料は、凹部4405、4505内に適するように構成された寸法(例えば、約0.3mmの直径)になるように高いドローダウン比で押し出される。高いドローダウン比で形成された押し出しは、長手方向の拡大よりも直径の拡大を大きくすることが可能であることが見出されている。いくつかの実施例において、拡張可能材料4407は、直径の拡大よりも長手方向の拡大を大きくするような所望の膨張特性になるように見出された温度及び圧力で成形される。例えば、いくつかの実施例において、拡張可能材料4407は、埋設時に涙点内で涙管インプラントの保持を支援する膨大部等に、凹部4405、4505の横方向外側に拡大するように構成され配置されている。拡張可能材料4407の横方向の拡大が、涙点と同じ高さの第1の部分1204の近位端部においてキャップ1208又は他の突起部を継続的に促すことができることが見出されている。一実施例において、拡張可能材料4407は、最大約1時間の「乾燥」体積、最大約10倍の「乾燥」体積、又は最大約20倍の「乾燥」体積まで拡張可能にすることができる。
【0178】
これは、埋設時の凹部4405、4505内の拡張可能材料4407の拡大が、涙点内の涙管インプラントの保持を支援するように、インプラント本体の第1の部分1204とインプラント本体の第2の部分1206との間の角の交差部分4450をロックする助けをすることができることが見出されている。拡張可能材料4407が凹部4405、4505内で様々な方向に膨張するため、インプラント本体1202の部分が大きくなるにつれ外側の弾力性が低下すると考えられている。
【0179】
図44B及び図45Bに示したように、涙管インプラントは、薬物放出又は他の薬剤放出挿入体(例えば、薬剤コア)を受容するように構成された第1のキャビティ又は凹部4418と第2凹部4405、4505との間等に、隔膜4430を含むことができる。隔膜4430は、拡張可能材料4407が薬物挿入体を受容する凹部4418内に拡大することを阻害又は防止するために使用することができる。しかし、一実施例において、隔膜4430は、薬物又は他の治療薬を挿入体から拡張可能材料4407を通過して涙小管組織周囲に移動させる内腔又は多孔質部分を含んでもよく、それによって全身の薬物又は他の薬剤放出を提供することができる。
【0180】
図48A〜図48Eは、涙小管膨大部内に配置可能な強固な保持要素4856と、埋設時に把持可能な卵形の突起部又は他の突起部4832とを含み、第1のインプラント本体部分4804又は第2のインプラント本体部分4806上に中間突起部を持たない涙管インプラント4800の例を示す。具体的には、図48Aは、涙管インプラント例の等角図を示し、図48Bは、涙管インプラント例の側面図を示し、図48Cは、図48Bに示した切断線AAに沿った断面図を示し、図48Dは、涙管インプラントの上面図を示し、かつ、図48Eは、第2の部分4806の近位端部から見たときのような涙管インプラントの端面図を示す。
【0181】
図48A〜48Dの例において、インプラント本体4802は、インプラント4800が完全に涙小管208、210内に挿入されたときに、に対して、又は涙点の開口部212、214(図2)に対して又は付近に装着するように構成されることができる卵形の把持可能突起部又はその他の突起部4832を含む。突起部4832は、インプラント4800が涙小管内を完全に通過することを阻害又は防止することができ、あるいは、埋設している介護者の医師に触覚的又は視覚的なフィードバック情報を提供することができる。いくつかの実施例において、卵形の形状は、約1.36ミリメートルの幅、約1.92ミリメートルの長さ、及び約0.30ミリメートルの厚さを含むことができる。
【0182】
第2のインプラント本体部4806の近位端部4828は、涙管インプラントが埋設されるときに涙小管膨大部252の少なくとも一部に対してバイアスするように構成されている強固な保持要素4856を含むことができる。保持要素4856は、第2の本体部分の長手方向の拡張器4850の拡張と反対方向に、第1のインプラント本体部分4804と第2のインプラント本体部分4806との間の交差部分から近位に突出する。いくつかの実施例において、保持要素4856は、約0.44ミリメートル近位に突起することができるとともに、約0.53ミリメートルの高さ又は厚さを有することができる。この実施例において、保持要素4856は、ボートの船体のような形状を含み、挿入器具によって把持される挿入を容易にする凹部4875を含むことができる。膨大部252に埋設するときに、保持要素4856は、涙点開口部212,214に対して把持可能突起部又は他の突起部4832の装着位置を確保することができる。
【0183】
様々な実施例において、第2の部分4806は、第1の部分4804の長さの4倍未満大きさを有する長さを含むことができる。一実施例において、第2の部分4806は、約10ミリメートル未満の長さを含むことができるとともに、長手方向の拡張器4850及び一定の直径部分4890を含む構成を持つことができる。いくつかの実施例において、インプラント本体4802は、近位端部4808付近に配置された第1のキャビティ4818を含む。この実施例において、第1のキャビティ4818は、近位端部4808から約1.22ミリメートル内側に延びており、約0.56mmの外径を有する第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体を収容する。
【0184】
図49A〜図49Fの例は、把持可能突起部又は他の突起部4932が保持リップ4990を含むように、図12のインプラント例等の涙管インプラント4900を変更することができる例を示す。保持リップ4990は、インプラント本体のキャビティ4918内に配置された薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入体の装着位置を確保するように構成されることができる。より具体的には、図49Aは、涙管インプラント例の等角図を示し、図49Bは、涙管インプラントの側面図を示し、図49Cは、図49Bに示した切断線AAに沿った断面図を示し、図49Dは、涙管インプラントの上面図を示し、図49Eは、第2の部分4906の近位端部から見たときのような涙管インプラントの端面図を示し、かつ、図49Fは、図49Cに示した断面BBの拡大図を示す。
【0185】
様々な実施例において、保持リップ4990は、挿入体に保存されている薬物又は他の薬剤の放出速度に明らかに影響を与えずに、インプラント本体のキャビティ4918に配置された薬物挿入体の位置を確保するように構成されることができる。いくつかの実施例において、保持リップ4990は、キャビティ4918の表面から約0.05ミリメートル(±0.02ミリメートル)内側まで拡張する。いくつかの実施例において、保持リップ4990は、約0.05ミリメートル(±0.02ミリメートル)の厚さを含む。インプラントのキャビティ4918内に薬物挿入体を確保するための他の選択は、薬物挿入体の外表面とキャビティの表面との間に1つ又は複数の緊密な締まりばめ、又は、挿入体の中間又は遠位部における薬物挿入体とキャビティとの間を重複する(例えば、スナップで留めるような)設計を含むことができる。
【0186】
保持リップ4990が存在することにより、インプラントのキャビティ4918に完全に装着された薬物挿入体の露出した外向きの表面は、第1の部分4904の近位端部4908又は第2の部分4906の遠位端部4910からわずかに下であってもよいが、この沈没した配置は挿入体から薬物又は他の薬剤の放出速度を制御するために使用されるためのいかなる種類の細孔も創り出すものではないし、かつかかる意図もない。
【0187】
図50A及び図50Bは、薬物挿入体5022の近位面が、完全に患者の中で埋設される前にインプラントの近位端部5008の上に位置するように、図44A〜図44Cの例のような涙管インプラント5000(凹部と拡張可能材料を除く)を変更することができる実施例を示す。より具体的には、図50Aは、涙管インプラント例の側面図を示すとともに、図50Bは、図50Aに示した切断線AAに沿った断面図を示す。
【0188】
いくつかの実施例において、薬物挿入体5022の近位面は、インプラントの近位端部5008上約0.25ミリメートル(±0.05ミリメートル)に配置されることができる。薬物挿入体5022の遠位端部面は、挿入体を受容するように構成されているインプラント本体のキャビティ5018の基部上に類似する量を配置することができる。このように、薬物挿入体5022の露出部分は、涙点を通って関連する涙小管に涙管インプラント5000を挿入することを容易にするために使用することができる。そして埋設後、薬物挿入体5022は、キャビティ5018内で、完全に又は完全に近く圧迫することができる。薬物挿入体5022がキャビティ5018内を圧迫されると、キャビティの直径に対して必要に応じて僅かに大きい挿入体径は、更にインプラントを固定させる涙小管の一部に対して外側のインプラント本体表面にバイアスを生じさせることもできる。
【0189】
図51及び図52は、図25A及び図25Bと同様に、涙点212、214を介して関連する涙小管208、210(図2)に挿入可能な他の涙管インプラント5100の実施例を示す。この実施例において、涙管インプラント5100は、第1の部分5104及び第2の部分5106を含むインプラント本体5102を含むことができ、かつ、第1の部分5104の近位端部5108から第2の部分5106の遠位端5110まで拡張することができる。インプラント本体は、涙小管208、210の解剖学的特徴と一般的に一致する形状を含むことができ、それによって患者に快適性及び安全な保持を提供することができる。いくつかの実施例において、第1の部分5104と第2の部分5106との間の凹面形状は、涙小管の曲率250(図2)の半径と略同じ半径を含む。
【0190】
特定の実施例において、保持要素5192は、第2のインプラント本体部5106の遠位端部5110に又は遠位端部5110付近に配置することができる。このように、インプラント5100は、埋設位置を固定するのに役立つように、より固い涙骨領域、及び涙小管のより小さく深い直径領域を活用することができる。更に、目から及びインプラント周囲に流れる涙液は、インプラントの保持を支援するために遠位に配置された保持要素5192の近位面に対して力を生成することがある。保持要素5192は、(例えば、ヒドロゲル又は他の拡張可能材料を使用して)受動的又は能動的にすることができる。いくつかの実施例において、第2のインプラント本体部分5106は、約10ミリメートル等、約6〜12ミリメートルの間の長さを含む。
【0191】
図52は、下部涙点214及び関連する涙小管210内に埋設された涙管インプラント5100の概略図例を示す。いくつかの実施例において、涙管インプラント5100は、上部涙点212及び涙小管208に埋設することができる。図示したように、第1の部分5104は、涙点214を介して関連する涙小管210に挿入され、かつ涙点開口部と涙小管膨大部252との間に留まるように構成することができ、一方で、第2の部分5106は、涙点214を介して涙小管210に挿入し、膨大部252と涙嚢204との間に留まるように構成されることができる。
【0192】
図41、図42A〜図42D、図43A〜図43C、図44A〜図44D、図45A〜図45D、図48A〜図48E、図49A〜図49F、及び図50〜図52に関連して図示されるとともに記載されたような類似の寸法及び寸法変化は、本特許文書全体を通して記載される他の実施例に適用することができる。
【0193】
図53A〜図53Dは、更に、個別の薬物挿入体5322、又はインプラント本体5302の1つ又は複数の部分と一体化された薬物のいずれか又は両方を含む涙点及び関連する涙小管の解剖学的構造内に保持されるように構成された涙管インプラント5300の実施例(その全体は図示せず)を示す。個別の薬物挿入体5322に保存されているか又はインプラント本体5302と一体化された薬物又は他の治療剤は、眼、鼻腔、又は内耳システムの1つ又は複数に、所望の速度で徐放性に基づいて送達することができる。薬物又は他の薬剤がより多量に所望される場合、インプラント本体5302は、そのより大きな容量のために、薬物挿入体5322と共に又は薬物挿入体5322なしで格納する機構として使用され得る可能性がある。
【0194】
図53A、図53B及び図53Cに示したようないくつかの実施例において、薬剤の第1の量は、薬物挿入体5322に格納され、薬剤の第2の量は、インプラント本体5302に格納されている。薬物荷重がインプラント本体の材質や強度の硬化に悪影響を及ぼす可能性があるので、このような配置が最大の薬剤保持容量を提供できると考えられている。従って、インプラント本体5302の薬物荷重量が制限される場合がある。必要に応じて、薬物挿入体5322は、挿入体5322の1つ又は複数の部分を覆うシース本体5366が含まれていない場合があり、その結果として、インプラント本体5302と挿入5322との間に薬物又は薬剤の拡散が可能となる。
【0195】
図53Dに示したようないくつかの実施例において、インプラント本体5302は、個別の薬物放出又は他の薬剤放出挿入体を受容するための1つ又は複数のキャビティ又は他の空隙を含まない事実において実質的に固体である。むしろ、インプラント本体5302は、1つ又は複数の身体の部分全体に一体化された1種類以上の薬物又は他の薬剤を受容するように構成されることができる。このように、インプラント本体5302全体、又はその一部では、薬物放出又は他の薬剤放出挿入体として機能することができ、かつ、薬剤放出は、インプラント本体5302の部分を囲む不浸透性又は実質的に不透過性カバー(例、パリレンのカバー)に予め形成された開口部を用いて注がれることができる。他の実施例において、透過性のカバー材は、薬物又は他の薬剤放出を可能にするために使用されることができる。
【0196】
被覆材料5396は、所望の放出速度及び方向に応じて、外側のインプラント本体表面の1つ又は複数の部分に対して厚さを変えるように適用することができる。図53Aに示したようないくつかの実施例において、被覆材料5396は、近位端部5308に位置する把持可能突起部又は他の突起部5332の表面を除いて、インプラント本体表面の大部分に適用される。図53Bに示したようないくつかの実施例において、被覆材料5396は、インプラント本体表面の大部分に適用されるが、薬物挿入体5322の露出面を覆わない。図53C及び図53Dに示したようないくつかの実施例において、第1の厚さ(例えば、約5〜6μm)を有する被覆材料5396は、インプラント本体表面の大部分に適用され、第2の厚さ(例えば、約1μm)を持つ被覆材料5398は、インプラント本体5302の近位表面5308及び/又は薬物挿入体5322に適用される。
【0197】
いくつかの好適な被覆材料は、パリレン、セラミック、及び銀であると考えられ、これらは全て良好な柔軟性を示すことができる。いくつかの実施例において、パリレン被覆材料が使用され、比較的低温でインプラント本体を有利に蒸着することができる。
【0198】
「実験例」
図44A〜図44C及び図45A〜図45Cの本発明の涙管インプラントがより完全に理解され得るために、以下の実施例が説明されるが制限されるものではない。
【0199】
(実験例1)
【0200】
図46は、インプラント本体の第2の部分の近位端部から延びる凹部を備える涙管インプラントを示す。凹部には、拡張可能なヒドロゲル材料が配置されている。ヒドロゲル材料によって流体が受容されるために、凹部の開口部は開いたままである。
【0201】
4602において、ヒドロゲル材料及び部分的な周囲のインプラント本体が30分の水和時で図示される。4604において、ヒドロゲル材料と部分的な周囲のインプラント本体が120分の水和時で図示される。4606において、ヒドロゲル材料と部分的な周囲のインプラント本体が240分の水和時で図示される。4608において、ヒドロゲル材料と部分的な周囲のインプラント本体が、1440分の水和時で図示される。図示したように、ヒドロゲル材料の拡大は、インプラント本体の周囲部分、特に、インプラント本体の第2の部分を、インプラントの所望の位置を確実に保持する涙小管壁の大きさ及び形状になるように外側に拡大させる。更に、ヒドロゲル材料の拡大は、薬物放出又は他の薬剤放出挿入体(例えば、薬剤コア)を保持している第1のキャビティ又は凹部と、ヒドロゲル材料を保持している第2の凹部とを分離する隔壁を押すことによって、インプラント本体の第1の部分及びインプラント本体の第2の部分との間の角の交差部分をロックする。
【0202】
(実験例2)
【0203】
図47は、インプラント本体の第2の部分の近位端部から延びる凹部を備える涙管インプラントを示す。凹部には、拡張可能なヒドロゲル材料が配置されている。ヒドロゲル材料によって流体が受容されるために、凹部の開口部は開いたままである。
【0204】
この実験例において、ヒドロゲル材料は、凹部から横方向に拡大し、埋設時に涙点内で涙管インプラントの保持を支援するために、膨大部様の領域4770に配置されるように構成される。図示したように、ヒドロゲル材料の横方向の膨張は、涙点様の面4772と同じ高さの第1の部分の近位端部においてキャップ又は他の突起部を圧迫する。
【0205】
(シース本体の例)
【0206】
様々な方法により、シース本体は、薬物挿入体から出る薬物又は他の治療薬の移動を制御するのに適した形状を有し、そのような材料を含むことができる。いくつかの実施例において、シース本体は、涙点又は関連する小管の解剖学的構造などの、インプラント解剖学的構造に適合できるように構成される。いくつかの実施例において、シース本体は、薬物挿入体を少なくとも部分的に覆うか、又は囲み、基質/薬剤混合物の外面に対しぴったりフィットするようにできる。その他の実施例においては、シース本体は1または複数の一体化した薬剤を含むインプラント本体の部分を被覆し、または取り囲む。シース本体は、薬物又は薬剤の移動速度がシース本体によって覆われていない薬物挿入体の露出した表面領域によって大部分が制御されるように薬物又は他の治療薬に対し実質的に不浸透性の材料から形成することができる。多くの実施例において、シース本体を通しての薬剤の移動は、薬物挿入体の露出表面を通しての薬剤の移動の約1/10以下としてよい。
【0207】
好適なシース本体材料として、とりわけ、ポリイミド、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、またはパリレンが挙げられる。シース本体は、外側基質/薬剤混合物の表面に隣接するシース表面から、外面から離れる方向に対向するシース表面まで定められた、約0.00025インチから0.0015インチまでの厚さを有することができる。薬物挿入体上に延在するシースの全直径は、約0.2mmから約1.2mmまでの範囲である。薬物挿入体は、シース本体中で基質を浸漬被覆することによって形成されうる。いくつかの実施例において、シース本体は、基質/薬剤混合物が導入されるチューブを備えることができる。シース本体は、基質/薬剤混合物の周りに浸漬被覆する、例えば事前形成基質/薬剤コアの周りに浸漬被覆することもできる。
【0208】
シース本体は、本明細書で説明されている涙管インプラントを臨床で使用しやすくするなどのために1つ又は複数の追加の特徴を備えることができる。例えば、シースは、インプラント本体が患者体内に埋設されている間、又はその取外し後に、その場で交換可能な薬物挿入体を収容することができる。いくつかの実施例において、シース本体は、シース本体から基質/薬剤混合物を排出させる、シース本体に力を印加する1つ又は複数の外部突起部を備えることができる。次いで、交換用薬物挿入体をシース本体に位置決めすることができる。
【0209】
(治療薬の例)
【0210】
治療薬(又は単に「薬剤」)としては、とりわけ、抗緑内障薬(例えば、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬(βブロッカー)、炭酸脱水酵素阻害薬(CAI、全身及び局所)、副交感神経興奮薬、プロスタグランジン及び降下圧脂質、及びこれらの組合せ)、抗菌薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、駆虫剤、抗真菌剤など)、コルチコステロイド又は他の抗炎症薬(例えば、NSAID若しくは他の鎮痛剤及び疼痛管理化合物)、充血除去剤(例えば、血管収縮薬)、アレルギー反応を修正するのを抑制する薬剤(例えば、抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害薬、ロイコトリエン阻害薬、IgE阻害薬、免疫調節剤)、マスト細胞安定化剤、毛様体筋麻痺薬、散瞳薬、又は同様の薬品、又はその同等物質、誘導体、若しくは類似体の1つ又は組合せから調製された薬物が挙げられる。
【0211】
例示的な利用可能な薬剤として、限定はしないが、トロンビン阻害剤、抗血栓症薬、血小板溶解薬、線維素溶解薬、血管攣縮阻害薬、血管拡張薬、降圧薬、抗生物質(テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフイソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウムなど)、抗真菌剤(アムホテリシンB及びミコナゾールなど)、及び抗ウイルス薬(イドクスウリジン・トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン)などの抗菌薬、表面糖タンパク質受容体の阻害薬、抗血小板薬、抗有糸分裂薬、微小管阻害剤、抗分泌薬、活性阻害剤、リモデリング抑制剤、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗物質、抗増殖剤(抗血管形成薬を含む)、抗癌化学療法薬、抗炎症薬(ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21−リン酸塩、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21−リン酸塩、酢酸プレドニゾロン、フロオロメタロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなど)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカム・インドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカム、及びナブメトンなど)が挙げられる。本発明の涙管インプラントとともに使用することについて考えられているこのような消炎ステロイド剤の例として、トリアムシノロンアセトニド(呼称)及び例えば、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、フルメトロン、及びこれらの誘導体を含むコルチコステロイド、抗アレルギー薬(クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、セチリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミンなど)、抗増殖剤(1,3−cis−レチノイン酸、5−フルオロウラシル、タクソール、ラパマイシン、マイトマイシンC、及びシスプラチンなど)、充血除去剤(フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリンなど)、縮瞳薬及び抗コリンエステラーゼ(ピロカルピン、サリチル酸塩、カルバコール、塩化アセチルコリン、フィゾスチグミン、エゼリン、ジイソプロピル・フルオロホスホネート、ホスホリン・ヨード、臭化デメカリウムなど)、抗新生物薬(カルムスチン、シスプラチン、フルオロウラシル3など、免疫薬(ワクチン及び免疫刺激剤など)、ホルモン剤(エストロゲン、−−エストラジオール、黄体ホルモン薬、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチド、及びバソプレッシン視床下部放出因子など)、免疫抑制剤、成長ホルモン拮抗薬、増殖因子(上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子β、スマトトラピン、フィブロネクチンなど)、血管形成阻害薬(アンギオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスポンジン、抗VEGF抗体など)、ドパミン作動薬、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外基質、成分、ACE阻害薬、フリー・ラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化薬、抗ポリメラーゼ、光線力学療薬、遺伝子療薬、及びチモロール、ベタキソロール、レボブノロール、アテノロール、及びビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロストなどのプロスタグランジン類似体などのβブロッカーを含む抗緑内障薬を含む、プロスタグランジン、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体などの他の治療薬、アセタゾラミド、ドルゾラミド、ブリンゾールアミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックスなどの炭酸脱水酵素阻害薬、ルベゾール、ニモジピン、及び関連する化合物などの神経保護薬、及びピロカルピン、カルバコール、フィゾスチグミン、及び同様の物質などの副交感神経刺激薬が挙げられる。
【0212】
本発明の涙管インプラントと併用できる追加の薬剤として、限定はしないが、米国連邦食品医薬品化粧品法の第505条又は公衆衛生法に従って認定されている薬物が挙げられ、その一部は米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイトhttp://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/indexに載っている。本発明の涙管インプラントは、紙形態の、又は電子的形態のオレンジブックに一覧として記載されている薬物とともに使用することもでき、これは、FDAオレンジブック・ウェブサイト(http://www.fda.gov/cder/ob/)に載っており、本特許文書の出願日と同じ日付、又は早い日付、又はそれよりも後の日付を有するか、又は記録している。例えば、これらの薬物は、とりわけ、ドルゾラミド、オロパタジン、トラボプロスト、ビマトプロスト、シクロスポリン、ブリモニジン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、ブリンゾラミド、アシクロビル・マレイン酸チモロール、ケトロラク・トロメタミン、酢酸プレドニゾロン、ヒアルロン酸ナトリウム、ネパフェナク、ブロンフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、スプロフェナク、ビノキサン、パタノール、デキサメタゾン/トブラマイシン併用、モキシフロキサシン、又はアシクロビルが挙げられる。
【0213】
上記の薬剤で治療できる疾病又は疾患の例として、限定はしないが、緑内障、外科手術前及び手術後眼球治療、ドライアイ、抗眼アレルギー、抗感染、外科手術後炎症又は疼痛、アレルギーなどの呼吸器関連疾患、目まい若しくは片頭痛などの内耳疾患、高血圧症、コレステロール管理、肺疾患、又は免疫不全などの他の全身性疾患が挙げられる。いくつかの実施例において、治療薬は、潤滑剤又は界面活性剤、例えばドライアイを治療するための潤滑剤を含むことができる。他の実施例において、治療薬は、目から涙を吸収することができる吸収剤を含むことができる。
【0214】
(薬物挿入体の例)
【0215】
薬物挿入体は、1つ又は複数の薬物又は他の治療薬を含むことができ、かつ、いくつかの実施例において、薬物又は他の治療薬を持続放出するための1つ又は複数の基質材を含むことができる。同様に、より多量の薬剤が所望される場合、インプラント本体の実質的な部分は、薬剤放出を提供するように構成された1つ又は複数の一体化された薬物又は他の薬剤、及び基質材料を含むことができる。
【0216】
1つ又は複数の薬物又は他の治療薬は、少なくとも一部は基質内の薬物又は薬剤の溶解度に基づき、薬物挿入体の露出表面からターゲットの組織(例えば、目の毛様体筋)に移動できる。露出表面からの薬物又は薬剤の移動速度は、基質内に溶解している薬物又は薬剤の濃度にも関係しうる。いくつかの実施例において、薬物挿入体中に溶解されている薬物又は薬剤の濃度は、薬物又は薬剤の放出速度が所望の放出速度となるように制御されうる。それに加えて、又は組み合わせて、露出表面からの薬物又は薬剤の移動速度は、シリコーン・基質製剤の特性など、薬物又は薬剤が溶解する基質の1つ又は複数の特性に関係しうる。いくつかの実施例において、薬物挿入体に含まれる薬物又は薬剤は、液体、固体、固体ゲル、結晶質固体、非晶質固体、固体粒子、又は溶解形態を含みうる。このような一実施例において、液体であるラタノプロスト液滴又は固体であるビマトプロスト粒子がシリコーン・基質内に分散される。
【0217】
薬物挿入体は、1つ又は複数の薬物又は薬剤を持続放出することができる1つ又は複数の生体適合性材料を含むことができる。薬物挿入体は、薬物又は薬剤の溶解可能な包含物が中に配置されている実質的に非生体分解性のシリコーン・基質を含む基質を含む実施例に関して主として上記で説明されているが、薬物挿入体は、薬物又は薬剤、例えば生体分解性基質、多孔質薬物挿入体、液体薬物挿入体、又は固体薬物挿入体を持続放出する他の構造物を備えることができる。薬物又は薬剤を含む基質は、生体分解性又は非生体分解性のポリマーから形成されうる。いくつかの実施例において、非生体分解性薬物挿入体としては、シリコーン、アクリレート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ヒドロゲル、ポリエステル(例えば、デラウェア州ウィルミントン所在のE.I.DuPont de Nemours and Company社のDACRON.RTM.)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ナイロン、押し出し成形コラーゲン、ポリマー発泡体、シリコーン・ゴム、ポリエチレン・テレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネート・ウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金(例えば、Nitinol)、チタン、ステンレス鋼、コバルト−クロム合金(例えば、イリノイ州エルジン所在のElginSpecialty Metals社のELGILOY.RTM.、ペンシルバニア州ワイオミッシング所在のCarpenterMetals Corp.社のCONICHROME.RTM.)が挙げられる。いくつかの実施例において、生体分解性薬物挿入体は、タンパク質、ヒドロゲル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(L−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコリド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ(アミノ酸)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグリコン酸塩、ポリ乳酸−ポリエチレン・オキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレート、ポリアンハイドライド、ポリホスホエステル、ポリ(αヒドロキシ酸)、及びこれらの組合せなどの1つ又は複数の生体分解性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施例において、薬物挿入体は、ヒドロゲル・ポリマーを含みうる。
【0218】
(結論)
【0219】
とりわけ、本明細書では目の涙点及び涙小管内で確実な保持を行う涙管インプラント及び関係する方法が説明されている。涙管インプラントは、少なくとも部分的に涙点を通して、小管内に挿入するように構成されているインプラント本体を備えることができる。インプラント本体は、第1及び第2の部分を含み、長手方向近位軸を画定する第1の部分の近位端部から長手方向遠位軸を画定する第2の部分の遠位端部へ延在するものとすることができる。インプラント本体は、一体型拡張器を使用して埋設されたときに少なくとも45度の角度をなす交差部が近位軸と遠位軸との間に存在するように構成されうる。これによりインプラント本体の少なくとも一部分にバイアスをかけて、小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に当たるようにし、これにより、解剖学的構造物を使用して涙管インプラントの埋設位置を保持することができる。様々な実施例において、涙管インプラントは、インプラント本体の第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも一方の中に配置される薬物挿入体を備え、これにより、例えば、薬物又は他の治療薬の眼球、鼻道、又は内耳系への持続放出を行うことができる。かかる薬物挿入体は、インプラント本体のキャビティ内にインプラント本体とは分けられて配置される薬剤コアを含むことができ、もしくは、1または複数のインプラント本体部分に薬剤またはその他の治療薬粒子の混合物を含むことができ、あるいは前記の両方を含むことができる。
【0220】
有利には、いくつかの実施例において、本発明の涙管インプラントを使用することで、首尾よく、数日から数カ月、数年といった様々な期間にわたって涙液の流れをブロックし、又は目、鼻道、又は内耳に薬物又は他の治療薬を持続送達することができる。それに加えて、必要に応じて第1及び第2のインプラント本体のキャビティまたは薬剤を放出するインプラント本体部分を備えることによって、薬物又は他の治療薬の二重放出特性が可能になるものとしてよい。例えば、2つの別々の薬物を2つの異なるインプラント位置から放出することができる。更に、本発明のインプラント本体の小管湾曲部保持構成により、涙点及び涙小管の過剰な引き伸ばし、並びにインプラントの不注意による脱落を低減することができる。本発明の涙管インプラントは、1つのサイズで全てにフィットする様式を提供するように実装できるが、必ずしもそのようにしなければならないわけではない。それは、インプラント本体、例えばインプラント本体の外面部分に拡張可能被覆又は他の拡張可能保持部材を施し、様々なサイズの中空組織構造にフィットするようにできるからであると考えられる。インプラントのいくつかの保持特徴が埋設後に活性化されることができるので、本発明の涙管インプラントの拡張可能な性質は埋設を容易にすることができる。
【0221】
本発明の涙管インプラントは、例えば、第1のインプラント部分の近位端部における突起状のキャップ、第2のインプラント部分の近位端部におけるヒール様の保持突起部、又は、第1又は第2のインプラント部分上に中間又は遠位に位置する1つ又は複数の突起部の組み合わせによって、患者の涙点及び涙小管内に更に良好に保持されることがある。更に上述のように、キャップ様の突起部は、インプラントが涙点より下に移動し涙小管に入り込むことを完全に阻害してもよい。中間、遠位、及びヒール様の突起部は、介護者の医師がそれを除去することを選択するまで、所定の位置にインプラントを保持するのに役立つ。
【0222】
上記の「発明を実施するための形態」は、「発明を実施するための形態」の一部をなす、付属の図面への参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施できる特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも称される。本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許文書は、参照により個別に組み込まれるとしても、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本明細書と参照によりこうして組み込まれたこれらの文書とで用語の使い方が食い違っている場合、組み込まれている参照文献の用語の使い方は、本明細書の用語の使い方を補足するものとみなすべきであり、相容れない食い違いについては、本明細書の用語の使い方が優先する。
【0223】
本明細書において、「1つの(「a」又は「an」)」という言い方は、特許文書においてよくあるように、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」の他の任意の場合又は使用とは無関係に、1つ又は複数であることを含むものとして使用される。本明細書では、「又は[あるいは、若しくは]」という語句は、断りのない限り、非排他的であることを指し、従って「A又は[あるいは、若しくは]B」は、「AであるがBでなく」、及び「BであるがAでなく」、及び「AかつB」を含む。本明細書では、「約(「about」)」は、述べられている量に近似的に等しい、ほぼ等しい、ほとんど等しい、等しい量に近い量を指すために使用される。
【0224】
本明細書では、「近位」という用語は、涙管インプラントを患者に埋設する医師の手に比較的近い位置を指し、「遠位」という用語は、特にインプラントを患者に埋設している最中に、医師の手から比較的遠い位置を指す。
【0225】
本明細書において、「ヒドロゲル」という用語は、例えば超吸収性ポリマー、親水コロイド、及び水吸収性親水性ポリマーなどの、吸収あるいは保持する材料(例えば、吸着材料)を指すために使用される。本発明の涙管インプラントで使用するためのヒドロゲルの例としては、とりわけ、親水性、脂肪族、及びポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン等の脂肪族熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。好適な熱可塑性ポリウレタンは、商標名Tecophilicのもとにオハイオ州クリーブランドのルーブリゾール株式会社から市販されているものが含まれる。特定の用途において、商品名“Tecophilic TG‐500”(又は単に“TG‐500”)及び”Tecophilic TG‐2000”(又は単に“TG‐2000”)のもとに市販のヒドロゲルを利用することができる。「ヒドロゲル」という用語は、ヒドロゲルが拡張されず、かつ水分重量がより少ないか無水である場合のような「乾燥」状態における超吸収性ポリマー粒子を指す。「ヒドロゲル」という用語は、また水和若しくは拡張状態、より具体的には、水の重量の数百倍など、少なくともその重量分の水を吸収したヒドロゲルを指す(例えば、TG−500は、重量の約500倍の水を吸収することができ、TG−2000は、重量の約2000倍の水を吸収することができる)。ヒドロゲル材料が、流体を吸収すると、そのサイズが増大(膨張)し、かつその形状が変化して、例えば、涙小管膨大部又は涙小管壁の少なくとも一部に対し当たるようにバイアスがかかり得るか、または周囲の材料がバイアスをかける原因となり得る。
【0226】
添付の請求項における英文中の「including(含む、備える)」及び「in which」という言葉は、「comprising(含む、備える)」及び「wherein」のそれぞれの言葉と等価であるものとして使用される。また、請求項では、「including(含む、備える)」及び「comprising(備える、含む)」という言葉は、制約がない、つまり、請求項中のそのような言葉の後に列挙されているものに加えて複数の要素を含むシステム、アセンブリ、デバイス、物品、又はプロセスは、その請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、請求項では、「first(第1の)」、「second(第2の)」、及び「third(第3の)」などの言葉は、単に、ラベルとして使用され、その対象に対する数値的要件を課すことを意図していない。
【0227】
上記の説明は、例示的であることを意図しており、制限するものではない。例えば、上述の実施例(あるいは1つ又は複数のその特徴)は、互いに組み合わせて使用することができる。1つの例として、示された、または記載された種々のインプラントの形態から導き出された1または複数の特徴をグループにし、所望の薬剤濃度を提供し得る携帯とすることもできる。他にも、例えば上記記載に接した当業者が利用できる携帯とすることもできる。また、上記の「発明を実施するための形態」では、開示を合理化するため様々な特徴をグループにまとめることができる。これは、未請求の開示されている特徴が請求項にとって本質的であるという意図であると解釈されるべきでない。むしろ、発明の主題は、特定の開示されている実施形態のすべてに満たない数の特徴にあると言える。従って、以下の請求項は、これにより「発明を実施するための形態」に組み込まれ、それぞれの請求項は独立の実施形態として自立している。本発明の範囲は、添付の請求項の対象である均等物の全範囲とともに、添付の請求項を参照しつつ、決定されるべきである。
【0228】
読者が技術的開示の性質を素早く確認できるように、米国特許法施行規則(37 C.F.R.)§1.72(b)に適合する要約をまとめてある。これは請求項の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないことを了解した上で提出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定するとともに、その周囲に非等間隔で横方向に突出する保持突起部を備え、
前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されることを特徴とする涙管インプラント。
【請求項2】
前記第1の部分の保持突起部の近位端部は、その周囲に非等間隔な横方向距離で外側に突出するとともに、第1の部分の遠位端部の外径まで先細りすることを特徴とする請求項1に記載の涙管インプラント。
【請求項3】
前記第1の部分の近位端部から少なくとも部分的に突出する把持可能突起部を備え、該把持可能突起部は、インプラント本体が埋設されるときに、涙小管に又は涙小管付近に装着されるように構成され、
前記第1の部分の保持突起部の近位端部は、前記把持可能突起部の境界線に数値的に略等しい境界線を含むことを特徴とする請求項2に記載の涙管インプラント。
【請求項4】
前記第1の部分の保持突起部の近位端部は、第3及び第4の側面に対立する外径から外側に突出することなく、第1及び第2の側面に対立する反対方向において外側に突出することを特徴とする請求項2に記載の涙管インプラント。
【請求項5】
1つ又は複数の治療薬を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の涙管インプラント。
【請求項6】
前記1つ又は複数の治療薬は、少なくとも部分的に前記第1の部分内に配置された薬物挿入体内に提供され、前記薬物挿入体は、1つ又は複数の治療薬を徐放性送達するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の涙管インプラント。
【請求項7】
請求項1に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項8】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定し、
前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定するとともに、その周囲に非等間隔で横方向に突出する保持突起部を備え、前記保持突起部は、保持突起部の近位端部又は保持突起部の遠位端部の一方において外側横方向段差を備え、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されることを特徴とする涙管インプラント。
【請求項9】
前記横方向段差は、前記第2の部分が延在する方向から方向境界線の横方向外側に延在し、前記横方向段差は、約0.14mm以上であることを特徴とする請求項8に記載の涙管インプラント。
【請求項10】
前記横方向段差は、前記保持突起部の近位端部に配置されるとともに、前記保持突起部の遠位端部において前記第2の外径に向かって先細りすることを特徴とする請求項8に記載の涙管インプラント。
【請求項11】
前記保持突起部の遠位端部は、涙小管内にインプラント本体を埋設することを容易にする一体化型拡張器を備えることを特徴とする請求項10に記載の涙管インプラント。
【請求項12】
1つ又は複数の治療薬を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の涙管インプラント。
【請求項13】
前記1つ又は複数の治療薬は、少なくとも部分的に前記第1の部分内に配置された薬物挿入体内に提供され、前記薬物挿入体は、1つ又は複数の治療薬を徐放性送達するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の涙管インプラント。
【請求項14】
前記薬物挿入体は、前記1つまたは複数の治療薬を少なくとも約44マイクログラム含むことを特徴とする請求項13に記載の涙管インプラント。
【請求項15】
前記薬物挿入体は、前記1つまたは複数の治療薬を少なくとも約81マイクログラム含むことを特徴とする請求項13に記載の涙管インプラント。
【請求項16】
請求項8に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項17】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
前記涙小管の垂直断面内に配置可能な近位端部から、前記涙小管の水平断面内に配置可能な遠位端部へ非線形に拡張するとともに、その間に中間部分を持つインプラント本体を備え、
前記中間部分は、前記涙小管に埋設される時に、前記近位端部に向かう第1の方向に部分的に拡張するとともに、前記遠位端部に向かう第2の方向に部分的に拡張し、
前記中間部分は、拡張可能材料を格納する凹部を備え、該拡張可能材料は、前記インプラント本体が埋設される時に、実質的に前記第2の方向とは反対の涙小管膨大部に向かう第3の方向に部分的に拡大するように構成されることを特徴とする涙管インプラント。
【請求項18】
前記拡張可能材料は、ヒドロゲルを含むことを特徴とする請求項17に記載の涙管インプラント。
【請求項19】
前記拡張可能材料は、前記インプラント本体が埋設される時に、前記第2の方向に対して横方向に部分的に拡張し、前記横方向の拡張は、前記涙小管の壁に対して外側の前記インプラント本体の1つまたは複数の周囲部分を圧迫することを特徴とする請求項17に記載の涙管インプラント。
【請求項20】
前記近位端部又は前記遠位端部の少なくとも一方は、隣接するインプラント本体部分っよりも大きい横断サイズを持つ少なくとも1つの中間配置保持突起部を備えることを特徴とする請求項17に記載の涙管インプラント。
【請求項21】
1つ又は複数の治療薬を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の涙管インプラント。
【請求項22】
前記1つ又は複数の治療薬は、少なくとも部分的に前記近位端部分に配置された薬物挿入体内に提供され、前記薬物挿入体は、1つ又は複数の治療薬を徐放性送達するように構成されていることを特徴とする請求項21に記載の涙管インプラント。
【請求項23】
請求項17に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項24】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定するとともに、その周囲に非等間隔で横方向に突出する保持突起部を備え、
前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
前記保持突起部はその近位端部において外側横方向の段差を備えるとともに、前記第2の部分内の方向に先細りし、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されることを特徴とする涙管インプラント。
【請求項25】
前記保持突起部の長さは、約0.96mm以上であることを特徴とする請求項24に記載の涙管インプラント。
【請求項26】
前記保持突起部の遠位端部は、涙小管内にインプラント本体を埋設することを容易にする一体化型拡張器を備えることを特徴とする請求項24に記載の涙管インプラント。
【請求項27】
1つ又は複数の治療薬を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の涙管インプラント。
【請求項28】
前記1つ又は複数の治療薬は、少なくとも部分的に前記第1の部分内に配置された薬物挿入体内に提供され、前記薬物挿入体は、1つ又は複数の治療薬を徐放性送達するように構成されていることを特徴とする請求項24に記載の涙管インプラント。
【請求項29】
前記薬物挿入体は、前記第1の部分の第1のキャビティ内に配置され、前記第1のキャビティは、少なくとも約0.56mmの半径を持つことを特徴とする請求項28に記載の涙管インプラント。
【請求項30】
前記薬物挿入体は、前記1つまたは複数の治療薬を少なくとも約81マイクログラム含むことを特徴とする請求項29に記載の涙管インプラント。
【請求項31】
請求項24に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項32】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
前記涙小管の垂直断面内に配置可能な近位端部から、前記涙小管の水平断面内に配置可能な遠位端部へ非線形に拡張するとともに、中間部分を持つインプラント本体を備え、
前記中間部分は、前記涙小管に埋設される時に、前記近位端部に向かう第1の方向に部分的に拡張するとともに、一般に狭くなる方式で前記遠位端部に向かう第2の方向に部分的に拡張し、前記インプラント本体は前記涙小管内に埋設されたときに、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、前記第2の方向における拡張は前記第1の方向の長手方向長さの4倍未満の長手方向長さを持ち、
前記中間部分は、前記インプラント本体が埋設される時に、実質的に前記第2の方向とは反対の涙小管膨大部に向かう第3の方向に部分的に拡張し、前記第3の方向における拡張は平らな船体形状を含むことを特徴とする涙管インプラント。
【請求項33】
前記近位端部から少なくとも部分的に突出する把持可能突起部を備え、該把持可能突起部は、卵形の形状を含むことを特徴とする請求項32に記載の涙管インプラント。
【請求項34】
前記平らな船体形状は、約0.4〜0.5ミリメートルの間の長さと、約0.5〜0.6ミリメートルの厚さとを含むことを特徴とする請求項32に記載の涙管インプラント。
【請求項35】
治療薬を更に含むことを特徴とする請求項32に記載の涙管インプラント。
【請求項36】
前記インプラント本体とは分けられて前記近位端部のキャビティ内に配置された少なくとも1つの薬物挿入体から構成され、該薬物挿入体は、前記治療薬を含む高分子基質から構成されることを特徴とする請求項35に記載の涙管インプラント。
【請求項37】
前記治療薬は、前記インプラント本体の1つ又は複数の部分に一体化されていることを特徴とする請求項35に記載の涙管インプラント。
【請求項38】
請求項32〜37の何れか一項に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項39】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定するとともに、前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、
前記第1の部分の近位端部から少なくとも部分的に延在する把持可能突起部を備え、該把持可能突起部は、前記第1の部分内のキャビティに張り出す内側拡張保持突起部を備えることを特徴とする涙管インプラント。
【請求項40】
前記インプラント本体とは分けられて前記近位端部のキャビティ内に配置された少なくとも1つの薬物挿入体から構成され、該薬物挿入体は、前記治療薬を含む高分子基質から構成されることを特徴とする請求項39に記載の涙管インプラント。
【請求項41】
前記内側拡張保持リップは、前記キャビティ内に完全装着されるとき、前記薬物挿入体の近位面に張り出し、それによって挿入体の位置を固定することを特徴とする請求項40に記載の涙管インプラント。
【請求項42】
前記張り出しは、前記薬物挿入体内に格納された薬物の放出速度に明らかに影響しないことを特徴とする請求項41に記載の涙管インプラント。
【請求項43】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントを製造する方法であって、
第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成する工程を備え、該工程は、
前記第1の本体部分にキャビティを形成する工程と、
前記第1の本体部分の長手方向の長さの4倍未満である長手方向の長さまで前記第2の本体部分を拡張する工程と、
前記近位軸及び前記遠位軸はそれぞれ、前記インプラント本体が前記涙小管内に埋設されたときに、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されるような角度で交差する近位軸及び遠位軸を定義するように構成され、
前記第1の本体部分の前記近位端部上に薬物挿入体表面を晒すように位置決めする工程を含み、前記インプラント本体とは分けて前記第1の本体部分のキャビティ内に前記薬物挿入体を配置する工程と
を備えることを特徴とする涙管インプラントの製造方法。
【請求項44】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
前記涙小管の垂直断面内に配置可能な近位端部から、前記涙小管の水平断面内に配置可能な遠位端部へ拡張するとともに、それらの間に中間部分を持つインプラント本体を備え、
前記中間部分は、前記涙小管に埋設される時に、前記近位端部に向かう第1の方向に部分的に拡張するとともに、一般に狭くなる方式で前記遠位端部に向かう第2の方向に部分的に拡張し、前記インプラント本体は前記涙小管内に埋設されたときに、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、
前記遠位端部のところに、又は前記遠位端部付近に配置された保持突起部を備えることを特徴とする涙管インプラント。
【請求項45】
前記第2の方向の拡張は、前記第1の方向の拡張に対して一般的な湾曲形状を含み、前記一般的な湾曲形状の半径は、涙小管曲率の半径未満であることを特徴とする請求項44に記載の涙管インプラント。
【請求項46】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
少なくとも1つのキャビティを含むインプラント本体を備え、
前記インプラント本体とは分かれて前記少なくとも1つのキャビティ内に配置された薬物挿入体を備え、該薬物挿入体は高分子基質及び治療薬を含み、
前記インプラント本体は、1つ又は複数の本体部分と一体化された治療薬を含むことを特徴とする涙管インプラント。
【請求項47】
前記薬物挿入体の1つ又は複数の表面を囲むシース本体を更に備えることを特徴とする請求項46に記載の涙管インプラント。
【請求項48】
インプラント本体外表面の1つ又は複数の部分に塗布される被覆を更に備えることを特徴とする請求項46に記載の涙管インプラント。
【請求項49】
第1の被覆厚が第1のインプラント本体表面部分に塗布され、前記第1の被覆厚とは異なる第2の被覆厚が第2のインプラント本体表面部分に塗布されることを特徴とする請求項48に記載の涙管インプラント。
【請求項50】
前記被覆は、パリレン、セラミック、又は銀の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項48に記載の涙管インプラント。
【請求項51】
前記薬物挿入体は治療薬の第1の供給を含み、前記インプラント本体は治療薬の第2の供給を含むことを特徴とする請求項46に記載の涙管インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図40】
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【図41】
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【図42A】
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【図42B】
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【図42C】
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【図42D】
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【図43A】
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【図43B】
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【図43C】
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【図44A】
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【図44B】
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【図44C】
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【図45A】
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【図45B】
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【図45C】
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【図46】
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【図47】
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【図48A】
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【図48B】
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【図48C】
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【図48D】
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【図48E】
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【図49A】
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【図49B】
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【図49C】
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【図49D】
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【図49E】
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【図49F】
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【図50A】
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【図50B】
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【図51】
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【図52】
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【図53A】
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【図53B】
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【図53C】
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【図53D】
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【図23A】
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【図23B】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2012−518494(P2012−518494A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551300(P2011−551300)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/025089
【国際公開番号】WO2010/096822
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(502254176)キュー エル ティー インク. (13)
【氏名又は名称原語表記】QLT Inc.
【Fターム(参考)】