説明

液中の全有機炭素濃度測定方法及び測定装置

【課題】 装置全体の小型化及び低コスト化を図りつつ、難分解性有機成分が含まれている液であっても、TOC成分を高精度に測定することができる液中のTOC濃度測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】 試料液をUV照射状態にある反応管2内において往復流動させ、この反応管2内に供給する前の試料液の導電率及び往復流動後に反応管2から排出される試料液の導電率を導電率検出器8により検出して、その両検出導電率の差を演算することにより試料液の有機成分中のTOC濃度を算出するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体の洗浄に用いられる純水の清浄度などの水質管理に好適なものであって、各種の製造工程や製薬プロセス工程で使用される液に含まれている有機成分中の全有機炭素(Total Organic Carbon:以下、TOCと称する)濃度を測定するTOC濃度測定方法及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のTOC濃度測定に用いる装置として、従来一般的には、図4に概略的に示すように、紫外線(以下、UVと称する)ランプを備えた反応管50内に測定対象となる試料液を一方向(矢印x方向)に向けて連続的に流動させる流路配管51の前記反応管50の前後にそれぞれ導電率検出器52,53を設置し、試料液が前記反応管50内に流入される前に一方の導電率検出器52により試料液の導電率を検出するとともに、反応管50内を通過流動する試料液にUVを照射して該試料液に含まれている有機成分を酸化させた後、他方の導電率検出器53により再び試料液の導電率を検出し、これらUV照射前後に検出される導電率の差を演算することによって、TOC濃度を測定するように構成されたものが知られている。なお、図4中の55は反応管50内の流量を定量に初期設定するための流量調整器、56は絞り弁である。
【0003】
上記のような従来一般的な装置によるTOC濃度測定方法では、二つの導電率検出器52,53の感度特性や温度特性のばらつきによる器差の発生が避けられないために、測定精度の向上にも自ずと限界がある。また、試料液に含まれる高濃度の有機成分の酸化効率は反応管50内における試料液の滞留時間長さ及びUV照射光量で決まるものであるから、難分解性有機成分が含まれている液を測定対象とする場合、反応管50内の流量を少量に制限するために、図4中にも示しているように、前記流路配管51の途中に流量調整器54を設けるか、もしくは、UVランプの長さ又は容量及び反応管50の長さ又は容積を大きくしてUV照射時間を十分に長く確保するか、が必要となり、このことと二つの導電率検出器52,53を用いていることとが相俟って、装置全体が大型化しコスト高となるという問題がある。
【0004】
このような従来一般的なTOC濃度測定方法及び測定装置が有する問題点を解消するものとして、従来、反応管に試料液を送給する流路に圧力制御によって試料液の流量を制御するレギュレータを設け、このレギュレータを通過後の試料液を分岐流路を介して導電率検出器に送り込んでその導電率を検出するとともに、この導電率検出器から別の分岐流路を経て反応管内に供給される試料液にUV照射して有機成分を酸化させた後、その反応管から排出される試料液を更に別の分岐流路を介して前記導電率検出器に導いて酸化後の試料液の導電率を検出し、これらUV照射前後に検出される導電率の差を演算することによって、TOC濃度を測定するように構成したTOC濃度測定装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−177164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1で提案されている従来のTOC濃度測定装置においては、UV照射前後の試料液の導電率を一つの導電率検出器で検出することが可能であり、二つの導電率検出器を用いる従来一般の場合のような器差の発生がなく、それだけ測定精度の向上が図れるとともに、導電率検出器も一つで済む反面、UV照射前後の試料液を一つの導電率検出器に導くために多くの分岐流路を要し、それだけ流路配管構成が複雑になるだけでなく、反応管内での試料液の流れ方向は一方向であるから、高濃度の有機成分及び難分解性有機成分が含まれている液を測定対象とする場合において有機成分の酸化効率を高く保持させるためには、前記したレギュレータのような流量制御手段を装備させるか、もしくは、長さ又は容量、容積の大きいUVランプ及び反応管を使用しなければならず、したがって、装置全体の大型化及びコスト高になるという問題はなんら解消することができないという問題があった。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、装置全体の小型化及び低コスト化を図りつつ、高濃度の有機成分及び難分解性有機成分が含まれている液を測定対象とする場合であっても、TOC成分を高精度に測定することができる液中のTOC濃度測定方法及び測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る液中のTOC濃度測定方法は、反応管の内部を流動する試料液にUVを照射することにより、その試料液に含まれる有機成分を酸化させ、UV照射前後の前記試料液の導電率の差に基づいて、試料液の有機成分中のTOC濃度を測定する液中のTOC濃度測定方法であって、前記試料液をUV照射状態にある前記反応管内において往復流動させ、この反応管内への試料液の供給口部に設けた導電率検出器により該反応管内に供給する前の試料液の導電率を検出する第一の検出工程と、往復流動後に前記反応管から排出される試料液の導電率を前記導電率検出器により検出する第二の検出工程と、前記第一の検出工程で検出された試料液の導電率と前記第二の検出工程で検出された試料液の導電率との差を演算して試料液の有機成分中のTOC濃度を算出する算出工程とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0009】
また、上記と同一の目的を達成するため、本発明に係る液中のTOC濃度測定装置は、反応管の内部を流動する試料液にUVを照射することにより、その試料液に含まれる有機成分を酸化させ、UV照射前後の前記試料液の導電率の差に基づいて、試料液の有機成分中のTOC濃度を測定する液中のTOC濃度測定装置であって、前記反応管内において試料液を往復流動させる切替弁付の流路配管と、前記反応管内への試料液の供給口部に設置されて反応管内に供給される前の試料液の導電率及びUV照射状態で反応管内を往復流動した後に排出される試料液の導電率をそれぞれ検出する導電率検出器と、この導電率検出器により検出された前記両導電率の差を演算して試料液の有機成分中のTOC濃度を算出する演算手段とを備えていることを特徴としている。(請求項5)
【発明の効果】
【0010】
上記のような特徴構成を有する請求項1及び請求項5に係る本発明によれば、反応管内において試料液を往復流動させることによって、反応管への試料液の供給口部に単一の導電率検出器を設置するだけで、この単一の検出器によりUV照射前後の導電率を器差なく検出することが可能であり、それだけTOC濃度の測定精度の向上を図ることができる。しかも、反応管内での試料液の往復流動により、長さ又は容量の小さいUVランプ及び長さ又は容積の小さい反応管を用いながらも、十分に高い酸化効率を発揮させることができる。したがって、上記した単一の導電率検出器の使用と、長さ又は容量の小さいUVランプ及び長さ又は容積の小さい反応管の使用とにより、装置全体の小型化及び低コスト化を図りつつ、高濃度の有機成分及び難分解性有機成分が含まれている試料液を測定対象とする場合でも、器差のない導電率検出性能と高い酸化効率の発現性能とが相乗じて、所定のTOC濃度を非常に精度よく測定することができるという効果を奏する。
【0011】
本発明において、前記反応管内における試料液の流量を設定変更可能な手段を備えた構成(請求項2,6)、あるいは、前記反応管内における試料液の往復流動速度及び反応管内での流動停止時間を制御する手段を備えた構成(請求項3,7)を採用することによって、測定対象試料液の種類等に対応して適切な流量制御あるいは流速及び滞留時間制御を行って酸化効率を調整することが可能であり、これによって、測定対象試料液の種類や有機成分濃度に関係なく、常に精度のよいTOC濃度測定を実現することができる。
【0012】
また、本発明において、前記反応管内に気泡を導入する手段及びその導入された気泡が反応管内を通過するに要した時間から流量を算出する流量計測工程(又は流量計測手段)を組み込む(請求項4,8)ことによって、所定のTOC濃度測定が完了し次のTOC濃度測定を開始するまでの間の適宜時期において、例えば羽根車式や液体マスフローセンサなどの専用の流量計測装置を使用することなく、当該測定装置が有する構成要素を有効利用して流量を精度よく計測して装置の流量特性や反応管での酸化効率(分解率)特性を把握し記憶することができるので、その把握した流量特性や酸化効率特性を所定のTOC濃度測定に反映させることによって、精度の高いTOC濃度測定性能を長期間に亘って安定維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る液中のTOC濃度測定方法に用いられるTOC濃度測定装置の概略構成図である。このTOC濃度測定装置1は、反応管2と、この反応管2の内部を流動する測定対象の試料液にUVを照射して該試料液に含まれる有機物を酸化させUVランプ3と、前記反応管2の内部において前記試料液を往復流動させる二つの電磁三方弁(切替弁の一例)4,5付の流路配管6と、前記反応管2内への試料液の一端側供給口部7に設置されて反応管2内に供給される前の試料液の導電率及び前記UVランプ3によるUV照射状態で前記反応管2内を往復流動した後に前記供給口部7から排出される試料液の導電率をそれぞれ検出する導電率検出器8と、この導電率検出器8による検出信号S1を受信し増幅して前記両導電率の差を演算することで試料液中のTOC濃度を算出する増幅・演算部9と、前記一方の電磁三方弁5を介して流路配管6に接続された流量制御型ポンプ10と、試料液の排出管路11に設置されて試料液の流量を計測する流量計測手段12と、この流量計測手段12による計測流量信号S2を受信して前記反応管2内における試料液の流量を自動的に変更すべく前記ポンプ10に流量制御信号S3を出力するとともに、前記両電磁三方弁4,5に流路切替信号S4を出力する制御部13と、を備えている。
【0014】
ここで、上記構成のTOC濃度測定装置1における各構成要素の具体的仕様について説明すると、前記反応管2としては、スパイラル石英管またはセル長さが1〜3mmの石英セル構造のものが用いられ、UVランプ3としては、3〜15W程度の低圧ランプが用いられ、導電率検出器8としては、セル定数が0.01〜0.1/cmで常時演算補正を行う温度補償センサ内蔵型のものが用いられ、流量制御型ポンプ10としては、チュービングポンプなどが用いられ、流量計測手段12としては、ガラス計量管方式または液体用マスフローセンサが用いられる。また、前記二つの電磁三方弁4,5としては、その接液部材が炭化水素(Hydro−Carbon)による汚染の少ない、例えばフッ素樹脂製のものが用いられる。
【0015】
次に、上記構成のTOC濃度測定装置1による試料液中のTOC濃度測定方法について図2で示す導電率検出信号パターンを参照しながら説明する。なお、前記電磁三方弁4,5に対する流路切替信号S4は一定の周期で出力されるものであり、以下の説明においては試料液が図1の矢印a方向に流動するように流路切替えした場合をOFF、図1の矢印b方向に流動するように流路切替えした場合をONと記載する。
【0016】
まず、TOC濃度測定前に電磁三方弁4,5を一定周期でOFF−ONさせて流路配管6を通して反応管2内に供給される標準液を往復流動させ、この標準液の有機物酸化前の導電率と往復流動に伴い有機物が酸化された後の標準液の導電率とを検出し、それら両導電率検出信号パターンをモニタリングすることにより、前記電磁三方弁4,5のOFF−ON時間内に安定した指示値が得られるように、制御部13からポンプ10に流量制御信号S3を出力して反応管2内における試料液流量を初期設定する。
【0017】
上記した流量の条件設定が終了したならば、UVランプ3及びポンプ10の作動を開始するとともに、制御部13から出力される流路切替信号S4により前記電磁三方弁4,5を一定の周期でOFF−ONして、流路配管6を通して反応管2内に測定対象となる試料液を供給する。そして、OFF時に供給口部7に設置した導電率検出器8により反応管2内に供給される前の未酸化試料液の導電率C0が検出され(第一の検出工程)、その検出信号S1が増幅・演算部9に送信される。
【0018】
続いて、前記反応管2内に供給された試料液は該反応管2内を往行流動したのち、前記電磁三方弁4,5のONに伴い反応管2の排出口部側から導入される試料液に押されて該反応管2内を復行流動する。この反応管2内において往復流動する試料液に向けてUVランプ3からUVが照射されることによって、長さ又は容積の小さい反応管2及び長さ又は容量の小さいUVランプ3を用いながらも試料液中に含まれる有機物が非常に効率よく酸化される。そして、往復流動後に反応管2から排出される酸化試料液の導電率Cmaxが前記導電率検出器8により検出され(第二の検出工程)、その検出信号S1が増幅・演算部9に送信される。
【0019】
ここで、測定対象試料液に含まれているTOC成分が易分解性成分である場合は、図2の点線で示すような導電率検出信号パターンが得られ、また、測定対象試料液に含まれているTOC成分が難分解性成分である場合は、図2の実線で示すような導電率検出信号パターンが得られることになり、これら両検出信号パターンのピーク値により測定対象試料液に含まれているTOC成分が易分解性TOC成分であるか、または、難分解性TOC成分であるかを判定(判別)することが可能である。
【0020】
前記単一の導電率検出器8により検出された未酸化試料液の導電率C0及び酸化試料液の導電率Cmaxの各検出信号S1を受信した増幅・演算部9においては、それら両導電率の差、すなわち、導電率変化値ΔC(Cmax−C0)を演算する。これによって、導電率変化値ΔCに比例する関係にあるTOC成分濃度を算出する(濃度算出工程)。
【0021】
上記したように、本実施の形態に係るTOC濃度測定装置1は、反応管2内において試料液を往復流動させて該反応管2への試料液の供給口部7に設置した単一の導電率検出器8により、UV照射前後、つまり、酸化前の試料液及び酸化後の試料液の導電率を器差なく検出することが可能である。また、反応管2内での試料液の往復流動により、長さ又は容量の小さいUVランプ3及び長さ又は容積の小さい反応管2を用いながらも、十分に高い酸化効率を発揮させることが可能である。したがって、単一の導電率検出器8の使用と、長さ又は容量の小さいUVランプ3及び長さ又は容積の小さい反応管2の使用とにより、装置全体の小型化及び低コスト化を図りつつ、測定対象試料液が高濃度の有機成分及び難分解性有機成分を含むものであっても、器差のない導電率検出性能と高い酸化効率の発現性能とが相乗じて、所定のTOC濃度測定の精度を高めることができる。
【0022】
なお、上述したようなTOC濃度測定時において前記電磁三方弁4,5の一定の周期でのOFF−ONにより図2で示すような導電率検出信号パターンが得られない場合は、流量計測手段12による計測流量信号S2を受信した制御部13から前記ポンプ10に流量制御信号S3を出力して前記反応管2内における試料液の流量あるいは流速及び流動停止時間(滞留時間)を任意適切に制御することによって、酸化効率を調整して測定対象試料液の種類や有機成分濃度に関係なく、常に精度のよいTOC濃度測定を実現することができる。
【0023】
また、上記実施の形態では、反応管2への試料液の一端側供給口部7に単一の導電率検出器8を設置したものについて説明したが、図1の仮想線で示すように、反応管2の排出口部側にも導電率検出器8´を設置してもよい。この場合は、電磁三方弁4,5のOFF−ONに対応して反応管2内に順方向及び逆方向から交互に試料液を供給し往復流動させることにより、図2の仮想線で示すような導電率検出信号パターンも同時に得ることが可能で、応答待ち時間を短縮することが可能である。
【0024】
図3は本発明に係る液中のTOC濃度測定装置の他の実施の形態を示す概略構成図であり、二つの電磁三方弁4,5付の流路配管6に大気又は気泡混入の校正液導入用配管14を電磁式開閉弁15を介して接続し、制御部13からの信号S5により開閉弁15を開放して前記配管14から大気又は気泡混入校正液を導入するとともに、これを前記流路配管6を経て反応管2内に導入して該気泡Bが該反応管2内を通過するのに要した時間からの演算により試料液流量を算出する流量計測工程(流量計測手段)を組み込んだものである。
【0025】
この場合の流量演算式は、求める試料液流量をQ(ml/min)、反応管2の容積をV(ml)、気泡Bが反応管2内を通過するのに要した時間をt(min)としたとき、Q=V×tである。ここで、t(min)は前記反応管2の長さ方向両端に設置した二つの光センサ(図示省略する)の検出信号により求めることも、また、反応管2の両端部に導電率検出器8,8´を設置する場合は、それら両導電率検出器8,8´による気泡B通過時の導電率ゼロ信号により求めることも可能である。また、大気の導入によつて導電率検出器8,8´の表面に付着する細かい気泡をパージして(拭い去って)検出誤差要因をなくすることが可能である。
【0026】
上記のように、TOC濃度測定装置1に気泡を利用した流量計測工程(又は流量計測手段)を組み込むことによって、所定のTOC濃度測定が完了し次のTOC濃度測定を開始するまでの間の適宜時期において、例えば羽根車式や液体マスフローセンサなどの専用の流量計測装置を使用することなく、当該TOC濃度測定装置1が有する構成要素を有効利用して流量を精度よく計測することが可能である。したがって、TOC濃度測定装置1の流量特性や反応管での酸化効率(分解率)特性を把握し記憶し、その把握した流量特性や酸化効率特性を所定のTOC濃度測定に反映させることにより、既述したような精度の高いTOC濃度測定性能を長期間に亘って安定維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る液中のTOC濃度測定方法に用いられるTOC濃度測定装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】TOC濃度測定方法による導電率検出信号パターン例を示す図である。
【図3】本発明に係る液中のTOC濃度測定装置の他の実施の形態を示す概略構成図である。
【図4】従来一般的なTOC濃度測定装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0028】
1 液中のTOC濃度測定装置
2 反応管
3 UVランブ
4,5 電磁三方弁(切替弁)
6 流路配管
7 反応管への試料液供給口部
8,8´ 導電率検出器
9 増幅・演算部
10 流量制御型ポンプ
13 制御部
14 大気又は気泡混入の校正液導入用配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管の内部を流動する試料液に紫外線を照射することにより、その試料液に含まれる有機成分を酸化させ、紫外線照射前後の前記試料液の導電率の差に基づいて、試料液の有機成分中の全有機炭素濃度を測定する液中の全有機炭素濃度測定方法であって、
前記試料液を紫外線照射状態にある前記反応管内において往復流動させ、この反応管内への試料液の供給口部に設けた導電率検出器により該反応管内に供給する前の試料液の導電率を検出する第一の検出工程と、往復流動後に前記反応管から排出される試料液の導電率を前記導電率検出器により検出する第二の検出工程と、前記第一の検出工程で検出された試料液の導電率と前記第二の検出工程で検出された試料液の導電率との差を演算して試料液の有機成分中の全有機炭素濃度を算出する算出工程とを有することを特徴とする液中の全有機炭素濃度測定方法。
【請求項2】
前記反応管内における試料液の流量を設定変更可能な手段が備えられている請求項1に記載の液中の全有機炭素濃度測定方法。
【請求項3】
前記反応管内における試料液の往復流動速度及び反応管内での流動停止時間を制御する手段が備えている請求項1または2に記載の液中の全有機炭素濃度測定方法。
【請求項4】
前記反応管内に気泡を導入して、この気泡が反応管内を通過するに要した時間から流量を算出する流量計測工程が組み込まれている請求項1〜3のいずれかに記載の液中の全有機炭素濃度測定方法。
【請求項5】
反応管の内部を流動する試料液に紫外線を照射することにより、その試料液に含まれる有機成分を酸化させ、紫外線照射前後の前記試料液の導電率の差に基づいて、試料液の有機成分中の全有機炭素濃度を測定する液中の全有機炭素濃度測定装置であって、
前記反応管内において試料液を往復流動させる切替弁付の流路配管と、前記反応管内への試料液の供給口部に設置されて反応管内に供給される前の試料液の導電率及び紫外線照射状態で反応管内を往復流動した後に排出される試料液の導電率をそれぞれ検出する導電率検出器と、この導電率検出器により検出された前記両導電率の差を演算して試料液の有機成分中の全有機炭素濃度を算出する演算手段とを備えていることを特徴とする液中の全有機炭素濃度測定装置。
【請求項6】
前記反応管内における試料液の流量を設定変更可能な手段が備えられている請求項5に記載の液中の全有機炭素濃度測定装置。
【請求項7】
前記反応管内における試料液の往復流動速度及び反応管内での流動停止時間を制御する手段が備えられている請求項5または6に記載の液中の全有機炭素濃度測定装置。
【請求項8】
前記反応管内に気泡を導入する手段及びその導入された気泡が反応管内を通過するに要した時間から流量を算出する流量計測手段が組み込まれている請求項5〜7のいずれかに記載の液中の全有機炭素濃度測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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