説明

液位センサ内蔵容器及び保護具付液位センサ

【課題】 液位センサ20への気泡や汚れ等の付着による動作不良の発生を抑える。
【解決手段】 液体を貯留する容器10と、容器10に貯留された液体の液位を検知する液位センサ20と、液位センサ20を取り囲むように設けられた保護具30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液位センサ内蔵容器及び保護具付液位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人らは、例えば特許文献1等において、バイオマスガス化システムを提案している。このバイオマスガス化システムは、バイオマスに非金属触媒を混合してスラリーを生成し、このスラリーを反応器にて超臨界水を用いて処理することにより、バイオマスを分解させて水素やメタン等の燃料ガスを生成し、この生成ガスと、灰分、非金属触媒、水とを含む混合液を気液分離器によりガスと液体とに分離するものである。
【0003】
例えば、このようなバイオマスガス化システムで用いられる気液分離器には、液位センサが設けられており、混合液から分離されて内部に貯留される液体の液位を検知して、その液位が所定レベルになると、液体を排出することで、気液分離器内の液位を適切に保つようにしている。
【0004】
しかし、このような気液分離器においては、貯留された液体の液面付近に気泡が発生し、この気泡が液位センサに付着することに起因して、液位センサが動作不良を起こすことがある。この場合、液位を検知できないため液位を適切に保つことができなくなってしまう。
【0005】
これに対して、特許文献2には、一対の電極の水中に浸漬されることによる電極間の電気抵抗値の変化をもって水位を検知する水位センサが開示されている。この水位センサでは、電極間に遮断部を設けて隔離することで、水滴等の付着による電極間の短絡を防止し、誤動作が生じないようにしている。
【特許文献1】特開2007−269946号公報
【特許文献2】特開2002−107203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に開示された水位センサにおいても、電極の周囲に気泡が付着すると、電極が水中に浸漬されていても、電極間で電流が流れず、水位を適正に検知できないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、液位センサへの気泡や汚れ等の付着による動作不良の発生を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、液体を貯留する容器と、
前記容器に貯留された液体の液位を検知する液位センサと、
前記液位センサを取り囲むように設けられた保護具と、
を備えることを特徴とする液位センサ内蔵容器である。
【0009】
第2の発明は、前記保護具は、上端が前記容器内での液位の上限レベルより高い位置となり、下端が前記容器内での液位の上限レベルよりも低い位置となるように設けられていることを特徴とする第1の発明に記載の液位センサ内蔵容器である。
【0010】
第3の発明は、前記保護具は、前記液位センサを内部に収容するように設けられた、上下が開口した筒体であることを特徴とする第1又は2の発明に記載の液位センサ内蔵容器である。
【0011】
第4の発明は、前記容器は気液分離器であることを特徴とする第1〜3の発明のうち何れかに記載の液位センサ内蔵容器である。
【0012】
第5の発明は、液体の液位を検知する液位センサと、当該液位センサを取り囲むように設けられた保護具と、を備えることを特徴とする保護具付液位センサである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液位センサへの気泡や汚れ等の付着による動作不良の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明が、例えばバイオマスガス化システムにおける気液分離器に適用された場合の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、実施形態の気液分離器10を示す図である。同図に示すように、気液分離器10の内部には、液位センサ20及び保護具30が設けられている。
【0016】
気液分離器10の側面上部には、供給管40が接続されている。供給管40は、バイオマスのスラリーに対して超臨界水により所定の高温高圧処理を行う不図示の反応器から、この反応器で生成されたガス、灰分、触媒(活性炭)、及び水を含んだ混合液を気液分離器10に供給する。
【0017】
また、気液分離器10の下面には排液管50が接続されている。排液管50は、気液分離器10において混合液から分離された液体を、例えば不図示の固液分離器へ排出する。この排液管50には、第1開閉弁51が設けられ、さらに、その下側に第2開閉弁52が設けられている。第1開閉弁51及び第2開閉弁52は後述する制御部70からの制御によって開閉する。
【0018】
一方、気液分離器10の上面には排気管60が接続されている。排気管60は、気液分離器10により混合液から分離されたガスを例えば不図示のガスタンクへ排出する。
【0019】
液位センサ20は、液体に浸漬されたことを検知するセンサである。すなわち、液位センサ20が液体を検知すると、液位が液位センサ20の設置レベル(以下、レベルLとする)以上であると判定できる。この液位センサ20の検出信号は制御部70へ送信される。なお、液位センサ20として、液圧検知式、電気抵抗検知式、光学式等、各種方式のものを用いることができる。
【0020】
制御部70は、液位センサ20からの検出信号に基づいて、第1開閉弁51及び第2開閉弁52の開閉を制御する。具体的には、液位センサ20から液体を検知したことを示す検出信号を受信しない場合(つまり、気液分離器10内の液面レベルがレベルL未満の場合)は、第1開閉弁51及び第2開閉弁52を共に閉状態とする。一方、液位センサ20から液体を検知したことを示す検出信号を受信すると(つまり、液面レベルがレベルLに達すると)、まず、第2開閉弁52を閉じたまま第1開閉弁51を開き、気液分離器10内の液体を、第1開閉弁51と第2開閉弁52との間の排液管50に排出する。次に第1開閉弁51を閉じた後に第2開閉弁52を開き、第1開閉弁51と第2開閉弁52の間の排液管50内の液体を排出する。なお、第1開閉弁51及び第2開閉弁52の上記開閉処理を繰り返して、液体の排出処理を複数回行うこととしてもよい。そして、液体の排出が完了すると、第1開閉弁51及び第2開閉弁52を共に閉状態とする。このように、上側の第1開閉弁51を開けた後、第1開閉弁51を閉じた状態で、第2開閉弁52を開けて液体を排出することにより、液体の排出時に、第1開閉弁51及び第2開閉弁52の少なくとも一方が閉じているため、排液管50の接続先である固液分離器等の機器から気液分離器10内へ空気が侵入するのを防止できる。
【0021】
以上の構成によれば、供給管40を介して混合液が気液分離器10に供給され、気液分離器10内の液面レベルがレベルLに達すると、制御部70が第1開閉弁51及び第2開閉弁52を上記のように開閉させることにより、気液分離器10内の液体が排出される。そうすると、液位が低下し、これにより、液位センサ20が液体を検知しなくなると、制御部70が第1開閉弁51及び第2開閉弁52を閉じることにより、液体の排出が停止される。このように、気液分離器10内の液位は、所定のレベルに達すると液体が排出されることにより低下し、液位が低下すると液体の排出が停止する。すなわち、気液分離器10の液位は、所定のレベル範囲内に保たれることになる。
【0022】
ところで、上述のように、気液分離器10へ供給される混合液には、ガス、灰分、活性炭等が混合しているため、気液分離器10に貯留される液体の液面付近には、多量の気泡が浮遊した状態となる。この気泡が液位センサ20の検出部に付着すると、この気泡の影響で、あるいは、気泡により検出部に付着した汚れの影響で、液位センサ20が液位を正しく検知できなくなることがある。その場合、上述した制御部70による液体排出処理が行われず、気液分離器10内の液体がオーバーフローするといった問題が生じてしまう。
【0023】
これに対して、本実施形態の気液分離器10では、保護具30を設けることにより、上記の問題を防止している。
【0024】
保護具30は、上下両端が開口した筒状(円筒状でも角筒状でもよい)の部材であり、その内部に液位センサ20を収容している。すなわち、保護具30が液位センサ20を取り囲んでいる。保護具30は、その上端開口部31が、液位の上記所定のレベル範囲の上限よりも高いレベルに位置し、かつ、下端開口部32は、上記所定のレベル範囲の下限よりも低いレベルに位置するように配置されている。
【0025】
このように、液位センサ20が保護具30で囲まれることにより、図1に示すように、液面付近の気泡が液位センサ20に付着するのを防止することができる。また、保護具30の上端開口部31が液位の上限レベルよりも上方に位置するため、保護具30の内部に上端開口部31から液面付近の気泡が入ることはなく、また、下端開口部32が液位の下限レベルよりも下方に位置するため、下端開口部32は常に液体内に浸漬された状態となるので、液面付近の気泡が下端開口部32から保護具30内へ入ることもない。これにより、気泡が保護具30内に侵入して液位センサ20に付着するのを防止することができる。
【0026】
なお、保護具30の断面寸法を小さくすることで、液体の内部で発生した気泡が保護具30内に侵入し難くすることができるが、より確実に保護具30への気泡の侵入を防止するため、保護具30の下端に網状部材等、気泡を通さず、液体のみを通す部材を設けてもよい。
【0027】
以上の通り、本実施形態によれば、保護具30によって液位センサ20に気泡が付着することを防止でき、もって液位センサ20が液面を正しく検知できなくなるのを防止することができる。
【0028】
なお、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0029】
例えば、上記実施形態では、本発明が気液分離器に適用された場合について説明したが、本発明はこれに限らず、液位センサを内蔵する液体容器一般に広く適用が可能である。
【0030】
また、上記実施形態は、筒状に構成された保護具30の内部に液位センサ20が収容されることにより液位センサ20が保護具30により取り囲まれるものとしたが、これに限らず、例えば、図2の平面図に示すように、容器(上記実施形態では気液分離器10)の内壁面と、保護具30Aとで液位センサ20が取り囲まれる構成としてもよい。本発明において、保護具が液位センサを取り囲むとは、図2のような形態も含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明が適用された気液分離器の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明における保護具の変形例を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 気液分離器
20 液位センサ
30 保護具
31 上端開口部
32 下端開口部
40 供給管
50 排液管
51 第1開閉弁
52 第2開閉弁
60 排気管
70 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する容器と、
前記容器に貯留された液体の液位を検知する液位センサと、
前記液位センサを取り囲むように設けられた保護具と、
を備えることを特徴とする液位センサ内蔵容器。
【請求項2】
前記保護具は、上端が前記容器内での液位の上限レベルより高い位置となり、下端が前記容器内での液位の上限レベルよりも低い位置となるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液位センサ内蔵容器。
【請求項3】
前記保護具は、前記液位センサを内部に収容するように設けられた、上下が開口した筒体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液位センサ内蔵容器。
【請求項4】
前記容器は気液分離器であることを特徴とする請求項1〜3のうち何れかに記載の液位センサ内蔵容器。
【請求項5】
液体の液位を検知する液位センサと、当該液位センサを取り囲むように設けられた保護具と、を備えることを特徴とする保護具付液位センサ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−150784(P2009−150784A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329259(P2007−329259)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「バイオマスエネルギー高効率転換技術開発/バイオマスエネルギー転換要素技術開発/触媒懸濁スラリーによる家畜排泄物の高効率高温高圧ガス化技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(592148878)株式会社東洋高圧 (49)
【Fターム(参考)】