説明

液位測定方法

【課題】
容器外から液体の音速が変化しても液位測定を正確に行う。
【解決手段】
超音波送受信器を2つ容器外壁に設け、一方から超音波を液体中に発信し、気液界面で反射させた後に受信することによりその経過時間を測定し、他方の超音波送受信器を容器外壁に取り付け、パルス状の超音波を液体中に発信し、対向する容器内壁又は容器内に設けた反射板にて反射させた後に受信することにより液体の音速を測定するすることに基づいて容器内の液体の液位を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学プロセス等を用い、容器内に貯留する液体の液位を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学プロセスの運転管理を適切に行うためには、容器内に貯留する液体の液位測定が欠かせない。このような液位測定方法として、容器の底面外壁に取り付けた超音波送受信器を用いて、超音波を、液体中を上方に伝搬させ、更に気液界面で反射させて、発信から、受信に至る経過時間の測定と液体中の音速から、容器底面から気液界面までの距離、即ち液面を測定する方法が知られていた。又、気液界面の上部に超音波送受信器を設置し、超音波を気体中に伝搬させる同様な方法が行われていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、容器内の液体の濃度や温度が変化する場合には、音速も変化するので、正確な液面測定が困難になるという問題があった。更に、液体が腐食性の場合や気液界面上部に超音波送受信器の設置スペースが確保できない場合には、腐食の観点と設置場所の制限から、液位測定に係わる機器を容器外に設置することが望ましい。本発明は、容器外から液体の音速が変化しても液位測定を正確に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。本発明は、超音波送受信器を2つ具備し、一つ目の超音波送受信器を底面外壁に取り付け、その送信器からパルス状の超音波を液体中に発信し、気液界面で反射させた後、その受信器で受信することにより、超音波が発信から受信にいたる経過時間を測定しつつ、二つ目の超音波送受信器を容器外の側面外壁又は底面外壁に取り付け、その送信器からパルス状の超音波を液体中に発信し、対向する容器内壁又は容器内に設けた反射板にて反射させた後、その受信器で受信することにより超音波が発信から受信にいたる時間の測定と伝達した距離から液体の音速を測定することにより、容器内に貯留する液体の液位を算出する方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、容器外に超音波送受信器を設置することにより、超音波送受信器が腐食することがない。又、設置時に何ら、容器を改変する必要がなく簡便である。更に、液体の音速が変化しても、液位測定を正確に行うことができる。更に又、気液界面上部に超音波送受信器を設置できなくとも、液面計測を実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を添付した図1を説明する。本例は、化学プロセスに用いる蒸留塔の釜部に本発明を適用したものである。蒸留塔容器は、腐食性の強い、ヨウ化水素酸を処理するもので、円筒形で外径110mmのガラス製であり、液位の最大値は、約200mmである。気液界面上部には充填材が充填されており、機器類を設置するスペースはない。
【0007】
超音波送受信器1を蒸留塔の底面外壁に取り付け、超音波送受信器2を容器外の側面外壁に取り付け、超音波送受信器から発信した超音波が液中を伝搬し、もとの超音波送受信器が受信するまでの経過時間はオシロスコープを用いて測定した。又、液体の音速に比してガラスの音速が早く、蒸留塔容器のガラス厚さが十分薄い場合において、超音波送受信器1による経過時間:t1、超音波受信器2による経過時間:t2、容器外径:dとすると、液位Lは、L=d/t2×t1と算出できる。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明は、化学プロセス等において用いられる塔類、反応器、貯槽等における液体の液位の測定に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の液位測定方法の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波送受信器を2つ具備したことを特徴とする容器中の液体の液位を測定する方法。
【請求項2】
超音波送受信器を底面外壁に取り付け、パルス状の超音波を液体中に発信し、気液界面で反射させた後、受信器で受信することにより、超音波が発信から受信にいたる経過時間を測定することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
超音波送受信器を容器外の側面外壁又は底面外壁に取り付け、パルス状の超音波を液体中に発信し、対向する容器内壁又は容器内に設けた反射板にて反射した超音波が、発信から受信にいたる時間の測定と超音波が伝達した距離から液体の音速を測定するか、又は超音波送受信器を容器外の底面外壁に取り付け、パルス状の超音波を液体中に発信し、容器内に設けた反射板にて反射した超音波が、発信から受信にいたる時間の測定と超音波が伝達した距離から液体の音速を測定することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
請求項2で得られた経過時間と請求項3で得られた音速を用いて、容器内に貯留する液体の液位を算出する請求項1記載の方法。










【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−322825(P2006−322825A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146645(P2005−146645)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】