液体から磁性粒子を分離する装置および方法
第1容器(10)と、第2容器(20)と、上記第1容器(10)の内部から上記第2容器(20)の内部まで延在する接続表面(11、21、30;200)と、磁界を提供する少なくとも一個の磁石(40)と、案内要素(50)であって、該案内要素により上記磁界は上記接続表面(11、21、30;200)の一側面に沿い移動可能であるという案内要素(50)とを備える、液体から磁性粒子を分離する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体から磁性粒子を分離する装置、および、液体から磁性粒子を分離する方法に関する。上記装置および方法は、たとえば、生化学、分子遺伝学、微生物学、医学的診断学または法医学における用途に適している。
【背景技術】
【0002】
診断または分析の研究のための、特に核酸の分離のためのサンプル調製の分野において、特異的および/または非特異的に結合する磁性粒子の磁気的分離に基づく方法は次第に重要となりつつある。このことは特に自動的方法に当てはまり、なぜなら、この様にすれば多数のサンプルが短時間内に調製され得ると共に、労働集約的な遠心分離段階が省略され得るからである。これらの手段によれば、高いサンプル・スループットによる効率的なスクリーニングに対する要件が満足される。このことは相当に重要であり、なぜなら、実際問題として非常に多数のサンプルを純粋に手作業で処理することは殆ど不可能だからである。磁性粒子の別の重要な用途は、可能的な有効薬剤成分を特定するための医薬的スクリーニングである。
【0003】
複雑な混合物から物質を磁気的に分離する基本原理は、分離されるべき目標物質に対して磁性粒子は、たとえば該磁性粒子の表面の化学的処理により特異的結合特性を備えるという事実に基づいている。かかる磁性粒子のサイズは概略的に約0.05〜500μmの範囲内であることから、該磁性粒子は結合反応に対して大きな表面を提供する。更に上記磁性粒子は、該磁性粒子自体が懸濁される液体の密度と同様の密度を有し得る。この場合に磁性粒子の沈降は好適に、数時間かけて行われ得る。
【0004】
公知の分離方法において磁性粒子は、たとえば永久磁石による磁力もしくは磁界の付与により、ひとつの位置に固定化される。磁性粒子の集積物は、ペレットとも称される。引き続いて液体の上澄みは、たとえば、吸い上げまたは傾斜法により除去され、排除される。磁性粒子は磁力により固定化されるので、磁性粒子が上澄みと共に分離されることは本質的に阻止される。
【0005】
典型的に、固定化された磁性粒子は引き続いて再び懸濁される。この目的のために、目標物質分子が磁性粒子から解放される様に目標物質と磁性粒子との間の結合を破壊し得る溶出液体または溶出緩衝液が用いられる。次に、目標物質分子は上記溶出液体と共に分離され得る一方、磁性粒子は磁界の作用により固定化される。上記溶出段階の前に、一回以上の洗浄段階が実施され得る。
【0006】
磁性粒子に対するかかる分離方法を実施する種々の装置が記述されている。故に特許文献1は、液体中に懸濁された磁性粒子を含む第1反応容器内に磁性ロッドが浸漬されるという装置を記述している。其処で磁性ロッドは、磁性粒子が該ロッドに対して付着する様に磁性粒子を引き付ける。付着した磁性粒子と共に上記磁性ロッドは、上記第1反応容器から引き出されて、第2反応容器内へと導入される。其処で上記ロッドの磁力は、磁性粒子が該ロッドから解放されて上記第2反応容器内に収容された液体中に懸濁される様に、減少もしくは切断される。同様の方法は、特許文献2および特許文献3からも知られる。
【0007】
対照的に特許文献4からは、磁性粒子と、該磁性粒子が懸濁された液体とがピペット内へ吸引されるという装置が公知である。ピペット先端は、磁石により磁界が印加され得るという特殊な分離領域を有する。この様にして磁性粒子は、上記ピペット先端の内側にペレットとして固定化される。上記ピペットの液体は次に、ピペット機能により上記ピペット先端から除去される。次に、上記分離領域における磁界は解消され得、これにより、上記ペレット内に固定化された磁性粒子は再び解放される。特許文献5には、同様の方法および同様の装置が記述される。
【0008】
特許文献6は、磁性粒子を分離するための別の原理を記述している。ここで、磁性粒子は同一の反応容器内に留まる一方、この容器内の液体が交換される。この様にしてペレットは、それぞれの処理段階に適合するために上記反応容器の側壁上に所望の高さで固定化され得る。これは、枢動担体の種々のアームであって回転軸心から対応して異なる距離における種々のアーム上に取付けられたそれぞれの磁石の配備により実施される。上記担体の回転により特定のアームが、故に特定の磁石が、それぞれの場合において、上記反応容器の側壁の近傍へともたらされ得る。次に磁性粒子は、この位置においてペレットとして固定化される。
【0009】
言及された従来の装置および方法は全て、それらが全ていわゆる開放システムとして構成されるという共通特徴を有しており、なぜなら、それらの個々の動作モードによれば磁性ロッドまたはピペットは反応容器内に一回もしくは数回にわたり挿入されねばならないからである。故に、これら従来の装置および方法によると、エアゾールもしくは小滴の形成により他の反応容器が相互汚染する恐れが存在する。結果として、実験結果の質が低下し、または、使用不能とさえなり得る。
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0022948号
【特許文献2】米国特許第6,065,605号
【特許文献3】国際公開WO 2005/005049号
【特許文献4】欧州特許第0965842号
【特許文献5】米国特許第6,187,270号
【特許文献6】欧州特許第0905520号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
故に本発明の課題は、上述の現状技術の問題を少なくとも部分的に克服するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1に係る装置および請求項29に係る方法により解決される。本発明の更なる詳細、利点および見地は、従属請求項、詳細な説明および添付図面により明らかとなる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、第1容器と、第2容器と、上記第1容器の内部を上記第2容器の内部に対して接続する接続表面と、磁界を提供する少なくとも一個の磁石と、案内要素であって、該案内要素により上記磁界は上記接続表面の一側面に沿い移動可能であるという案内要素とを備える、液体から磁性粒子を分離する装置が提供される。
【0013】
かかる装置によれば、磁性ロッドまたはピペット先端を第1容器内に導入せずに、上記第1容器内に配置された液体中に懸濁された磁性粒子がこの液体から分離され得る。更に、上記磁性粒子は磁界によりペレットとして形成され得ると共に、このペレットは、上記容器の外部に装着された上記案内要素により上記接続表面に沿い上記第2容器内へと搬送され得る。この様にして、たとえば磁性ロッドまたはピペット先端から離間落下する液体による相互汚染の恐れが相当に低減され、あるいは、排除さえされる。更に、上記装置は閉鎖系として提供され得ることから、相互汚染の恐れが更に低減され得る。
【0014】
それぞれの用途に依存して、上記接続表面の長さは、たとえば粒子の乾燥などの一切の影響が支援されるか又は低減される様に選択され得る。
【0015】
本発明の別の実施例によれば、上記接続表面は、上記第1容器の第1側壁と、上記第2容器の第2側壁と、上記第1および第2側壁を接続する橋絡区画とにより形成される。
【0016】
この様にすれば、別体的な接続表面が配備される必要は無い。特に、上記第1および第2容器は微量滴定プレートのウェルとして形成され得る。この実施例に対する代替策として、上記第1および第2容器および接続表面は、別体的要素として配備され得る。ここで、たとえば、上記接続表面は橋体または管体として構成され得る。
【0017】
本発明の別の実施例によれば、永久磁石が用いられる。この様にすれば、上記磁界はコスト効率的に提供され得る。その場合に上記案内要素は、上記磁石が上記接続表面に沿い機械的に移動可能である様に構成される。これに対する代替策は、上記磁石の内の少なくともひとつの磁石が電磁石として構成されることでもあり得る。この場合にも、上記電磁石は上記接続表面に沿い機械的に導向され得る。更に、たとえば上記接続表面の下側面上に数個の電磁石が順次に取付けられても良い。その場合に上記案内要素は各電磁石を時的シーケンスで制御して起動および起動解除することから、各電磁石により生成された磁界は上記第1容器から上記第2容器へと上記接続表面に沿い移動する。
【0018】
本発明の更なる実施例によれば、上記案内要素は、上記少なくとも一個の磁石が上記接続表面から所定の固定距離において移動可能である様に構成される。特に、上記所定の固定距離はゼロであることから、上記磁石は自身が上記接続表面に沿い移動するときに該接続表面と接触する。
【0019】
この様にして、上記第1容器から上記第2容器への途中、ペレットへと形状化された磁性粒子に対しては本質的に一定の磁界が確実に印加され得る。この様にして、磁力の脆弱化の結果として上記ペレットから磁性粒子が分離することが効果的に阻止され得る。
【0020】
本発明の別の実施例によれば、上記接続表面上には、たとえば加熱ワイヤまたはペルチェ素子などの少なくとも一個の加熱および/または冷却素子が配備される。加熱および/または冷却素子を使用することにより、磁性粒子は途中で所定温度に保持され得る。
【0021】
本発明の別の実施例によれば、上記接続表面は、少なくとも一個の磁石の経路に沿う円弧として形状化される。その場合に上記案内要素は典型的には、弧状経路に沿い少なくとも一個の磁石が移動可能である様に形状化され、その場合に上記弧状経路の半径は、上記接続表面を形成する円弧の半径と類似または同一である。
【0022】
この様にすれば、一定半径を有する円形軌道上または円弧に沿い磁石が移動されるという特に簡素な形態の制御が実施され得る。上記案内要素はシャフト上に取付けられ得、該シャフトによれば、上記案内要素の駆動および制御は特に簡素に構成され得る。これにより、操作手順の単純な自動化も許容される。
【0023】
本発明の更なる実施例によれば、上記第1または第2容器に対して第2接続表面により接続された少なくとも一個の第3容器、並びに、少なくとも一個の更なる磁石が取付けられた第2案内要素が更に配備される。この様にして、上記第3容器と協働する上記第1または第2容器、上記第2接続表面、上記第2案内要素、および、上記更なる磁石は、上述の如く磁性粒子を分離する更なる装置を形成する。
【0024】
故に、上記第1容器内における液体から磁性粒子が最初に分離された後、または、数個の容器および案内要素が相互接続されたとき、磁性粒子が溶出溶液へと搬送される前に、数回の洗浄段階が実施され得る。
【0025】
本発明の更なる別の実施例によれば、上記容器の内の少なくともひとつの容器は、機能要素、特に吐出口および/またはフィルタを有する。この機能要素によれば、たとえばPCR段階(ポリメラーゼ連鎖反応)の如き後続的な分析段階に対する準備がなされ得る。上記吐出口は好適には、該吐出口の助けにより例えば反応管が該吐出口に対して取付けられ得るという取付け可能性を有する。
【0026】
本発明の更なる実施例によれば、上記各容器はカートリッジとして構成され得る。これによりコンパクトな構成が許容され、この様にして、特にいわゆるラボ・オン・チップが実現され得る。かかるラボ・オン・チップにおいては、研究を実施するために必要な全ての装置がチップまたはカートリッジ上に一体化され得る。
【0027】
本発明の別の見地によれば、
(a)第1容器と、第2容器と、上記第1容器の内部を上記第2容器の内部に対して接続する接続表面と、少なくともひとつの磁界を導向する案内要素とを配備する段階と、
(b)上記第1容器内における第1液体中に磁性粒子の懸濁液を配備する段階と、
(c)上記第1容器の内部における上記接続表面の領域にて上記案内要素により少なくともひとつの磁界を配備することで、この領域にて磁性粒子のペレットが形成されるという段階と、
(d)上記少なくともひとつの磁界を上記案内要素により上記接続表面の一側面に沿い、上記第2容器の内部に配置された上記接続表面の領域まで導向することから、磁性粒子の上記ペレットは上記接続表面に沿い上記第2容器の内部における上記接続表面の領域まで搬送されるという段階と、
(e)上記第2容器の内部における上記接続表面の領域から上記案内要素により上記少なくともひとつの磁界を除去することにより、上記ペレットを形成する上記磁性粒子は再び解放されるという段階とを備える、
液体から磁性粒子を分離する方法が提供される。
【0028】
かかる方法は、たとえば本発明の一実施例に係る装置において自動化形態で単純に実施され得る。かかる分離方法においては現状技術と比較して相互汚染の恐れが相当に低減され、なぜなら、容器内への磁性ロッドまたはピペット先端の挿入が不要だからである。故に、磁性ロッドまたはピペット先端から液体が落下する恐れは排除される。
【0029】
以下においては、添付図面を参照して種々の実施例に基づいて本発明の詳細が例示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の種々の実施例に関する以下の記述において、機能的に同一である種々の実施例の特徴は同一の参照番号が付される。
【0031】
図1Aは、本発明の一実施例に係る装置の概略図である。第1容器10内には、磁性粒子60が懸濁された液体15が配置される。更に第2容器20が示され、該容器内には、たとえば洗浄溶液または溶出溶液などの第2液体25が配置される。第1容器10は、橋絡区画30により第2容器20の第2側壁21に対して接続された第1側壁11を有する。この実施例において第1側壁11、第2壁部21および橋絡区画30は、第1容器10の内部から第2容器20の内部へと延在する接続表面を形成する。但しかかる接続表面は、上記第1および第2容器とは別体的に構成された逆U字の形態の橋体であって、上記第1および第2容器内に挿入される橋体としても提供され得る。更に上記接続表面は、一端が上記第1容器の内部に配置され且つ他端が上記第2容器の内部に配置された管体としても形成され得る。
【0032】
更に、ネオジム永久磁石または電磁石の形態とされ得る磁石40が配備される。磁石40は、案内要素50に対して取付けられる。案内要素50は、該案内要素が磁石40を、故に該磁石により生成された磁界を、第1容器10の内部から第2容器20の内部への接続表面に沿い導向し得る様に配置される。本実施例において、このことは、案内要素50が磁石40を、第1側壁11に沿い、且つ、橋絡区画30の下側面に沿い第2側壁21まで導向し得ることを意味する。本出願において後に更に説明される如く、案内要素50としては円筒状ローラまたは回転アームが使用され得る。磁石40はたとえば、側壁11および21に沿い且つ橋絡区画30の下側面に沿い導向された可撓ベルト上に配置され得ることも可能である。案内要素50は、該案内要素が、上記接続表面から、すなわち側壁11、21と橋絡区画30の下側面とから所定の固定距離に磁石40を保持する様に構成される。上記所定の固定距離は、磁石40が側壁11までもたらされたときに懸濁磁性粒子60に対して該磁石が及ぼす磁気的吸引力が、懸濁粒子をペレット61として側壁11上に固定化するに十分である様に選択される(図1Bを参照)。特に、磁石40と、側壁11、21および橋絡区画30の下側面との間の距離はゼロとされ得る。この場合に磁石40は、該磁石が通過導向されるときに、側壁11、21および橋絡区画30の下側面と接触する。
【0033】
本発明の更なる実施例によれば、上記接続表面は溝の形態で構成され得る。図7は、第1容器10と第2容器20との間において当該橋絡区画30の上側面にて溝状凹所の形態で構成された橋絡区画30の断面を示している。この様にすれば、橋絡区画30の上部において当該第1液体15を離脱しつつあるペレット61に対して付着することで相互汚染に繋がることもある第1液体15の一切を阻止し得る。上記第1容器から第2容器へのペレット61の移動の間に液体が実際に離脱されるとしても、これは上記溝内において上記第1または第2容器内へと戻される。
【0034】
以下においては図1A乃至図1Eに基づき、本発明の各実施例の内の一実施例に係る方法が記述される。図1Aには初期状態が示され、その場合に磁性粒子60は第1容器10内の液体15中に懸濁される。磁石40は、第1容器10の側壁11の領域の外部に配置される。図1Bが示す様に、磁石40は案内要素50により第1容器10の側壁11までもたらされる。其処でそれは磁性粒子60を引き付け、該磁性粒子は側壁11上にペレット61として固定化される。次に磁石40は案内要素50により、側壁11に沿い、橋絡区画30にわたり、第2容器20の第2壁部21まで導向されるが、図1Cおよび図1Dを参照されたい。磁力によりペレット61へと形成された磁性粒子は、磁気的吸引力の結果として磁石40の移動に追随する。この様にしてペレット61は、上記接続表面に沿い、すなわち、内側11に沿い橋絡区画30の上側面にわたり第2容器20の内壁21まで搬送される。図1Eに示された如く磁石40は最終的には、ペレット61を形成する磁性粒子が再び解放される様に、第2容器20の側壁21から離脱される。磁性粒子60は、たとえば洗浄溶液もしくは溶出溶液などの第2容器20の液体25内に再懸濁される。
【0035】
次に、図2A乃至図2Eに基づき本発明の更なる実施例が記述される。ここでも、接続表面11、21、30により相互に対して接続された第1および第2容器10、20が配備される。上記接続表面は再び、側壁11、第2壁部21および橋絡区画30により形成される。ここで、上記接続表面、すなわちここでは第1側壁11、第2壁部21および橋絡区画30は、半径Rを有する円弧を形成すべく形状化される。典型的に、側壁11、21および橋絡区画30は接続表面として一体片で構成される。上記にて既に説明された如く、上記第1および第2容器ならびに上記接続表面は、分離可能要素としても提供され得る。図5に拡大して示された如く案内要素50は4本アーム・スパイダとして構成される。
【0036】
図5において上記案内要素は、シャフト55上に回転可能に取付けられた4本の回転アーム51、52、53、54を有する。回転アーム51、52、53、54の各々上には、シャフト55から離間して磁石40、41、42、43が配置される。磁石40、41、42、43を含めて回転アーム51、52、53、54の全長rは円弧の半径R以下であることから、磁石40、41、42、43は側壁11、21および橋絡区画30に沿いR-rの距離で導向され得る。もし上記全長rが円弧半径Rと同一なら、磁石40、41、42、43が側壁11、21および橋絡区画30を通るときに、それらに対して接触する。この場合には、側壁11、21および橋絡区画30に接触する磁石40、41、42、43の表面が湾曲されることで、その曲率半径が円弧半径Rより小さければ有用である。
【0037】
図5によれば上記4本の回転アームは一体化されるが、それらは個別的な回転アームとして構成されて各々がシャフト55上に取付けられ得る。これに加え、4本の回転アームの本数は単に例示的であり、用途に依存して更に少ない又は更に多い本数の回転アームが配備され得る。特に、単に一本の回転アームのみを配備することが可能である。更に、図5における4本の枢動アームは相互に対して90°にオフセットされ、すなわち、上記スパイダにより掃引される円周2πrにわたり等しく分散されている。但し用途に依存して、2本以上の枢動アームもまた相互に対して任意の適切な角度的距離でオフセットして配置され得る。
【0038】
図6には、図2Aに示された上記装置において使用され得る案内要素50の別の実施例が示される。ここで案内要素50は、円弧半径R以下である半径rを備えた円筒状のローラまたはホィールの形態で構成される。図6によれば、3個の磁石40、41、42はそれぞれハウジング56、57、58内とされて120°だけオフセットされる。但し、各磁石を円筒状の案内要素の表面上に配置することも有用であり、その場合には、各磁石の厚みを含む半径rが円弧半径R以下とされねばならない。当然ながらここでも、磁石の個数および相対位置はそれぞれの用途の要求に従い変更され得る。特に、磁石の個数が1個からハウジングの個数まで変更され得る様に磁石40、41、42がハウジング56、57、58から取出され得ることが有用である。
【0039】
図2Aに示された実施例の機能モードは、図2A乃至図2Eに示される。最初に磁石40は第1容器10の側壁11まで上に動かされ、其処で磁性粒子がペレット61を形成する(図2B)。次に磁石40は上記円弧に沿い導向され、その場合に該磁石はペレット61により追随される(図2Cおよび図2D)。次にペレット61は第2容器20内へと搬送され(図2E)、且つ、最終的に磁石40は第2側壁21から離脱されることから、磁性粒子は上記第2容器内に収容された液体中に再懸濁される(不図示)。この様にしてペレットは、上記第1容器の内部から接続表面に沿い上記第2容器の内部まで搬送される。
【0040】
図3A乃至図3Cには、本発明の更なる実施例が示される。ここでは、第2橋絡区画80を介して第2容器20に接続された第3容器70が付加的に配備される。この様にして、上記第2および第3の容器の側壁と上記第2橋絡区画とは、半径R'を備えた円弧として形成される第2接続表面を形成する。円弧半径R'は典型的には、上記第1および第2容器間の円弧半径Rに等しいが、用途の性質に依存してRとは異なる様にも選択され得る。更に、上記第2および第3容器のそれぞれの対向側壁間には、少なくとも一個の更なる磁石90を備えた第2案内要素100が載置される。磁石90および第2案内要素100の助けにより、容器10から容器20まで搬送されて其処で再懸濁された磁性粒子は、上記第2容器の側壁にて結合されて第2ペレット62となる。上記第1および第2容器の間におけるのと同一様式で、ペレット62は上記第2容器から上記第2接続表面にわたり第3容器70内へと移送され得る。磁石90が第3容器70の側壁から引き離されたなら、磁性粒子は第3容器70内に載置された液体75内に再懸濁され得る。たとえば、この装置によれば、上記第2容器内には洗浄溶液が、且つ、上記第3容器内には溶出溶液が配備され得る。この場合、溶出された磁性粒子は上記第2案内要素の逆回転により上記第2容器へと再び戻し搬送されてから廃棄され得る。更に、当然ながら、接続表面を備えた更なる複数の容器と、磁石と共にそれらの間に取付けられた案内要素とが配備され得、その場合には厳密な方法に対して必要とされる液体がそれぞれの容器内に配備され得る。
【0041】
本発明の更なる実施例によれば、図3Aに示された装置は以下の如く洗浄プロセスを実施するためにも使用され得る。先ず第1ペレット61が第1容器10から、洗浄溶液が充填された第2容器20内へと移送される。其処で磁石40は第1の回転方向に沿い上記第2容器の側壁から離脱されることから、磁性粒子は上記洗浄溶液内に再懸濁される。第2案内要素100上に取付けられた磁石90は第1の回転方向に沿い上記第2容器の逆側の側壁までもたらされることから、磁性粒子は其処で第2ペレット62を形成する。その場合、第1案内要素50の第1回転方向は、第2案内要素100の第1回転方向と逆である。次に磁石90は、第2回転方向に沿い上記第2容器の側壁から離脱される。すると、第2ペレット62が崩壊し、磁性粒子は上記洗浄溶液内に再懸濁される。次に、第1案内要素50上に取付けられた磁石40は第2回転方向に沿い上記第2容器の逆側の側壁までもたらされることから、磁性粒子は第1ペレット61を再形成する。その場合に上記第1案内要素50の第2回転方向は、第2案内要素100の第2回転方向と逆である。その場合、上記第1案内要素の第1および第2の回転方向は同一または逆とされ得る。同様に、上記第2案内要素の第1および第2の回転方向もまた同一または逆とされ得る。上記手順は、洗浄処置が成功裏に終わるまで、必要な回数だけ反復され得る。
【0042】
以下においては、図8に基づき本発明の更なる実施例が記述される。ここで第1容器10および第2容器20は、別体の容器として配備される。接続表面200は逆U字の形態の橋体として形状化され、その場合に接続表面200の第1端部は第1容器10内に配置され、且つ、接続表面200の第2端部は第2容器20内に配置される。典型的に接続表面200は、その上側表面に溝形成されている。接続表面200内には、第1容器10から第2容器20にかけて相互に順次に取付けられた数個の電磁石40が一体化される。たとえば接続表面200は、電磁石が埋設されて射出成形により構成され得る。各電磁石は単一の案内要素50により個別的に制御され得、すなわち、各々の場合に起動および起動解除され得る。
【0043】
この実施例において磁性粒子の分離は以下の如く行われる:先ず、接続表面200の下側の全ての電磁石40が起動解除され、該接続表面は示された如く第1および第2容器内に配置される。次に案内要素50は、上記第1容器内に載置された上記接続表面の第1端部における下側の単一もしくは複数の電磁石を起動する。磁気的吸引力の結果として、磁性粒子のペレットが形成される。接続表面200に沿い配置されて隣接する電磁石であって上記第2容器内に載置された端部に近い電磁石は、時的シーケンスで順次に起動されると共に、各電磁石は上記接続表面の第1端部から再び起動解除される。この様にして、磁界は上記接続表面の第1端部から該接続表面の第2端部まで移動し、磁気的吸引力の結果として上記ペレットはこの移動を完了する。上記ペレットが最終的に上記第2容器の内部に一旦到達したなら、各電磁石は起動解除されると共に、上記ペレットを形成する磁性粒子は第2容器20内の液体25中に再懸濁される。この様にして、移動部分を必要とする装置なしで、磁性粒子の分離が行われ得る。この様にして上記装置は、特に高信頼性であり且つ保守は殆ど不要である。
【0044】
以下においては、図9に基づき本発明の更なる実施例が記述される。ここでは、接続表面11、21、30を介して相互に接続された第1および第2容器10、20が配備される。一方、上記接続表面は、第1側壁11、第2側壁21および橋絡区画30で形成される。更に、接続表面11、21、30上には加熱要素110が配備される。磁性粒子の温度は上記加熱要素により高められ得ることから、たとえば粒子の乾燥が支援され得る。
【0045】
接続表面11、21、30上には、磁性粒子と、該磁性粒子に対して付着している材料との冷却を行うために、上記加熱要素の代わりに例えばペルチェ素子などの冷却素子も配備され得る。実施される分析がそれを必要とするなら、この様にすると粒子の乾燥が緩和され得る。
【0046】
更に、図9に示された実施例における容器20は、引き続く分析段階の準備に資する付加的な機能要素120、130を有する。容器20は自身の基部において、内部にフィルタ130が嵌装された吐出ポート120を有する。
【0047】
直上に記述された実施例の種々の見地は、当然ながら、先に記述された実施例とも組み合わされ得る。故に、たとえば、個別的に制御可能な電磁石が、第1側壁、橋絡区画および第2側壁に沿い配置され得る。同様に、たとえばドラムもしくは回転アームなどの機械的な案内要素が、別体的な橋体として別体的に構成された接続表面に沿い導向され得る。
【0048】
上述の全ての実施例において、上記接続表面は溝の形態で構成され得る。更に、記述された全ての実施例において上記案内要素は、上記接続表面に沿い磁界が移動する速度が制御可能である様に構成され得る。特に上記速度はゼロに設定され得ることから、ペレットはその現在位置にて固定化され得る。更に、記述された全ての実施例において上記案内要素は、上記接続表面に沿い磁界が移動する方向が制御可能である様に構成され得る。特に、その場合にはペレットの移動の方向反転が可能である。更に、上記で言及された全ての実施例は、閉鎖系として構成され得る。
【0049】
図10には、本発明の更なる別の実施例が概略的に示される。これは、カートリッジ1000内に第1および第2容器1010、1020が一体化されたいわゆるラボ・オン・チップである。第1および第2容器1010、1020は、橋絡区画1030により相互に接続される。2つの容器1010、1020は、カートリッジ1000内におけるチャンバとして構成され、液体が充填される。第2容器1020は典型的には、溶出フィルタを収容し得る。この点に関し、図10は、第1および第2容器が等しいサイズであるという概略的表示にすぎないことが指摘される。当然ながら、個々の容器のサイズは相互から異なり得る。特に、溶出容器の体積は典型的に、洗浄容器のそれよりも小さい。
【0050】
蓋体1100は各液体の混合を阻止する。但し、上記カートリッジを使用する間に蓋体1100は取り外され得る。選択的に蓋体1100は、取外しの後で該蓋体が再び閉成位置に戻されて再び蓋体として作用し得る様に構成される。カートリッジ1000は典型的に、2つのアクセス開口1012および1022が在る蓋体を備える。アクセス開口1012、1022は、磁性粒子を各容器内へと導入すべく、且つ、磁性粒子を再び取出す役割を果たす。アクセス開口1012、1022はカバーを備え得る。最後に上記カートリッジは、案内要素1050により、第1容器1010の壁部、橋絡区画1030に沿い、第2容器1020の壁部まで導向され得る磁石1040を有する。特に磁石1040は、側壁に沿うだけでなく、カバー・プレート、すなわちカートリッジ1000の蓋体もしくは基部に沿っても導向され得る。
【0051】
以下においては、図10に示された本発明の実施例の動作モードが図11A乃至図11Fに関して記述される。図11Aに示された如く、第1容器1010内へとアクセス開口1012を介して磁性粒子1060が導入される。もしこれらの粒子1060が今や第1容器1010内に載置された液体から取出されるべきであれば、磁石1040は案内要素1050により所定位置へと載置される。この様にして、第1容器1010の側壁上に固定化されたペレット1061が形成される(図11Bを参照)。次にペレット1061は、蓋体1100へと導向される(図11Cを参照)。今や蓋体1100は開かれ、橋絡区画1030内へのペレット1061に対する進路が自由とされる(図11Dを参照)。次にペレット1061は磁石1040により第2容器1020まで搬送され(図11Eを参照)、其処でペレットは次に解放され得る(図11Fを参照)。もし磁性粒子1060が第2アクセス開口1022を介して第2容器1020から取出されるべきであれば、磁石1040を用いて磁性粒子1060をもう一度、開口1022を介して容易に取出され得るというコンパクトなペレット1061へと形成することが可能である。磁性粒子1060なしで、第2アクセス開口1022を介して液体を取出すことも等しく可能である。典型的に、液体の取出しの間において磁石1040は、磁性粒子の追随なしで上記液体の取出しを許容するために、アクセス開口1022から所定距離にペレット1061を保持する。
【0052】
図12には、本発明の更なる実施例が示される。その構成は本質的に、図10に示された構成に対応するが、図8に示されたのと類似した磁石機構が配備される。カートリッジ1000内には、第1容器1010から第2容器1020に掛けて連続的に順番に配置された数個の電磁石1040が一体化される。たとえばカートリッジ1000は、電磁石1040が埋設された射出成形構成要素として構成され得る。各電磁石は案内要素1050により個別的に選択され、すなわち、各々が個別的に起動および起動解除される。この様にして、第1容器1010から橋絡区画1030を通り第2容器1020に至る磁界が生成される。その場合、ペレットの形成、および、第1容器1010から第2容器1020までのペレットの搬送は図8に示された実施例と同様に行われ、その故に、更に詳細な説明はここでは省略される。
【0053】
図13は、本発明の更なる実施例の斜視図を示している。ここでカートリッジ1000の内部は本質的に、図10に示された構成を示している。但し、磁石1040はカートリッジ1000の外側に配置される。案内要素1050の助力により該磁石は、磁力の影響下でペレットが第1容器から橋絡区画を越えて第2容器まで移動する如き様式でカートリッジ1000の表面に沿い導向され得る。これに加え、磁石1040は案内要素1050により上記表面に向けて且つ該表面から離間して移動され得る。この様にして、たとえば磁石1040を第1容器の上方にて上記カートリッジの表面上へと下降させることによりペレットが形成され得る。同様に、磁石1040が再び上記カートリッジの表面から上昇されると、結合してペレットとされた磁性粒子は再び解放され得る。
【0054】
図14には、本発明の更なる実施例が示される。ここでカートリッジ1000は、可動担体として構成された案内要素1050上に配置される。担体1050はその平面内で移動可能であるが、好適には該平面に対して垂直にも移動可能であることから、その上に位置されたカートリッジ1000は所定経路にわたり移動され得る。磁石1040は、保持器1045により本質的に堅固に所定位置に保持される。担体1050を上昇もしくは下降することにより、カートリッジ1000の表面は磁石1040の近傍へともたらされ得る。担体1050をその平面内で移動させることにより、カートリッジ1000は磁石1040の下方にて所定経路内を移動される。故に基本的に、図14に示された実施例は図13に示された原理の逆を表している。
【0055】
図15は、図10に示された実施例の発展例を示している。ここでは、第1および第2容器1010、1020に加えて、カートリッジ1000上には第3容器1070が配置される。この第3容器1070は、第2蓋体1200により第3容器1070から分離される。この様にして、第2容器1020は洗浄溶液を収容し得ると共に、第3容器1070は溶出溶液を収容し得る。任意数の付加的な容器がカートリッジに一体化され得ると共に、容器の厳密な個数、ならびに、それらに収容されるそれぞれの液体は、それぞれの用途に適合されることを理解すべきである。
【0056】
上述された本発明の各実施例によれば、液体からの磁性粒子の分離が可能とされることで、相互汚染の恐れが相当に低減され、または、排除さえされる。特に上記実施例に係る装置は、閉鎖系として構成かつ操作され得る。本発明の各実施例に係る上記装置および方法は、簡素であり、且つ、相当程度まで自動化に適合している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図1C】図1Cは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図1D】図1Dは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図1E】図1Eは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2B】図2Bは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2C】図2Cは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2D】図2Dは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2E】図2Eは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図3A】図3Aは、本発明の更なる別の実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図3B】図3Bは、本発明の更なる別の実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図3C】図3Cは、本発明の更なる別の実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施例に係る洗浄段階の概略図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施例に係る洗浄段階の概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例に係る案内要素を示す図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施例に係る案内要素を示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施例に係る橋絡区画の断面図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の更なる実施例を示す図である。
【図10】図10は、本発明がカートリッジにおいて実現されたという本発明の更なる実施例の概略図である。
【図11A】図11Aは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11B】図11Bは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11C】図11Cは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11D】図11Dは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11E】図11Eは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11F】図11Fは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図12】図12は、図10に示された本発明の実施例の変更例の概略図である。
【図13】図13は、図10に示された本発明の実施例の別の変更例の概略図である。
【図14】図14は、図10に示された本発明の実施例の更なる変更例の概略図である。
【図15】図15は、図10に示された本発明の実施例の更なる発展例の概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体から磁性粒子を分離する装置、および、液体から磁性粒子を分離する方法に関する。上記装置および方法は、たとえば、生化学、分子遺伝学、微生物学、医学的診断学または法医学における用途に適している。
【背景技術】
【0002】
診断または分析の研究のための、特に核酸の分離のためのサンプル調製の分野において、特異的および/または非特異的に結合する磁性粒子の磁気的分離に基づく方法は次第に重要となりつつある。このことは特に自動的方法に当てはまり、なぜなら、この様にすれば多数のサンプルが短時間内に調製され得ると共に、労働集約的な遠心分離段階が省略され得るからである。これらの手段によれば、高いサンプル・スループットによる効率的なスクリーニングに対する要件が満足される。このことは相当に重要であり、なぜなら、実際問題として非常に多数のサンプルを純粋に手作業で処理することは殆ど不可能だからである。磁性粒子の別の重要な用途は、可能的な有効薬剤成分を特定するための医薬的スクリーニングである。
【0003】
複雑な混合物から物質を磁気的に分離する基本原理は、分離されるべき目標物質に対して磁性粒子は、たとえば該磁性粒子の表面の化学的処理により特異的結合特性を備えるという事実に基づいている。かかる磁性粒子のサイズは概略的に約0.05〜500μmの範囲内であることから、該磁性粒子は結合反応に対して大きな表面を提供する。更に上記磁性粒子は、該磁性粒子自体が懸濁される液体の密度と同様の密度を有し得る。この場合に磁性粒子の沈降は好適に、数時間かけて行われ得る。
【0004】
公知の分離方法において磁性粒子は、たとえば永久磁石による磁力もしくは磁界の付与により、ひとつの位置に固定化される。磁性粒子の集積物は、ペレットとも称される。引き続いて液体の上澄みは、たとえば、吸い上げまたは傾斜法により除去され、排除される。磁性粒子は磁力により固定化されるので、磁性粒子が上澄みと共に分離されることは本質的に阻止される。
【0005】
典型的に、固定化された磁性粒子は引き続いて再び懸濁される。この目的のために、目標物質分子が磁性粒子から解放される様に目標物質と磁性粒子との間の結合を破壊し得る溶出液体または溶出緩衝液が用いられる。次に、目標物質分子は上記溶出液体と共に分離され得る一方、磁性粒子は磁界の作用により固定化される。上記溶出段階の前に、一回以上の洗浄段階が実施され得る。
【0006】
磁性粒子に対するかかる分離方法を実施する種々の装置が記述されている。故に特許文献1は、液体中に懸濁された磁性粒子を含む第1反応容器内に磁性ロッドが浸漬されるという装置を記述している。其処で磁性ロッドは、磁性粒子が該ロッドに対して付着する様に磁性粒子を引き付ける。付着した磁性粒子と共に上記磁性ロッドは、上記第1反応容器から引き出されて、第2反応容器内へと導入される。其処で上記ロッドの磁力は、磁性粒子が該ロッドから解放されて上記第2反応容器内に収容された液体中に懸濁される様に、減少もしくは切断される。同様の方法は、特許文献2および特許文献3からも知られる。
【0007】
対照的に特許文献4からは、磁性粒子と、該磁性粒子が懸濁された液体とがピペット内へ吸引されるという装置が公知である。ピペット先端は、磁石により磁界が印加され得るという特殊な分離領域を有する。この様にして磁性粒子は、上記ピペット先端の内側にペレットとして固定化される。上記ピペットの液体は次に、ピペット機能により上記ピペット先端から除去される。次に、上記分離領域における磁界は解消され得、これにより、上記ペレット内に固定化された磁性粒子は再び解放される。特許文献5には、同様の方法および同様の装置が記述される。
【0008】
特許文献6は、磁性粒子を分離するための別の原理を記述している。ここで、磁性粒子は同一の反応容器内に留まる一方、この容器内の液体が交換される。この様にしてペレットは、それぞれの処理段階に適合するために上記反応容器の側壁上に所望の高さで固定化され得る。これは、枢動担体の種々のアームであって回転軸心から対応して異なる距離における種々のアーム上に取付けられたそれぞれの磁石の配備により実施される。上記担体の回転により特定のアームが、故に特定の磁石が、それぞれの場合において、上記反応容器の側壁の近傍へともたらされ得る。次に磁性粒子は、この位置においてペレットとして固定化される。
【0009】
言及された従来の装置および方法は全て、それらが全ていわゆる開放システムとして構成されるという共通特徴を有しており、なぜなら、それらの個々の動作モードによれば磁性ロッドまたはピペットは反応容器内に一回もしくは数回にわたり挿入されねばならないからである。故に、これら従来の装置および方法によると、エアゾールもしくは小滴の形成により他の反応容器が相互汚染する恐れが存在する。結果として、実験結果の質が低下し、または、使用不能とさえなり得る。
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0022948号
【特許文献2】米国特許第6,065,605号
【特許文献3】国際公開WO 2005/005049号
【特許文献4】欧州特許第0965842号
【特許文献5】米国特許第6,187,270号
【特許文献6】欧州特許第0905520号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
故に本発明の課題は、上述の現状技術の問題を少なくとも部分的に克服するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1に係る装置および請求項29に係る方法により解決される。本発明の更なる詳細、利点および見地は、従属請求項、詳細な説明および添付図面により明らかとなる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、第1容器と、第2容器と、上記第1容器の内部を上記第2容器の内部に対して接続する接続表面と、磁界を提供する少なくとも一個の磁石と、案内要素であって、該案内要素により上記磁界は上記接続表面の一側面に沿い移動可能であるという案内要素とを備える、液体から磁性粒子を分離する装置が提供される。
【0013】
かかる装置によれば、磁性ロッドまたはピペット先端を第1容器内に導入せずに、上記第1容器内に配置された液体中に懸濁された磁性粒子がこの液体から分離され得る。更に、上記磁性粒子は磁界によりペレットとして形成され得ると共に、このペレットは、上記容器の外部に装着された上記案内要素により上記接続表面に沿い上記第2容器内へと搬送され得る。この様にして、たとえば磁性ロッドまたはピペット先端から離間落下する液体による相互汚染の恐れが相当に低減され、あるいは、排除さえされる。更に、上記装置は閉鎖系として提供され得ることから、相互汚染の恐れが更に低減され得る。
【0014】
それぞれの用途に依存して、上記接続表面の長さは、たとえば粒子の乾燥などの一切の影響が支援されるか又は低減される様に選択され得る。
【0015】
本発明の別の実施例によれば、上記接続表面は、上記第1容器の第1側壁と、上記第2容器の第2側壁と、上記第1および第2側壁を接続する橋絡区画とにより形成される。
【0016】
この様にすれば、別体的な接続表面が配備される必要は無い。特に、上記第1および第2容器は微量滴定プレートのウェルとして形成され得る。この実施例に対する代替策として、上記第1および第2容器および接続表面は、別体的要素として配備され得る。ここで、たとえば、上記接続表面は橋体または管体として構成され得る。
【0017】
本発明の別の実施例によれば、永久磁石が用いられる。この様にすれば、上記磁界はコスト効率的に提供され得る。その場合に上記案内要素は、上記磁石が上記接続表面に沿い機械的に移動可能である様に構成される。これに対する代替策は、上記磁石の内の少なくともひとつの磁石が電磁石として構成されることでもあり得る。この場合にも、上記電磁石は上記接続表面に沿い機械的に導向され得る。更に、たとえば上記接続表面の下側面上に数個の電磁石が順次に取付けられても良い。その場合に上記案内要素は各電磁石を時的シーケンスで制御して起動および起動解除することから、各電磁石により生成された磁界は上記第1容器から上記第2容器へと上記接続表面に沿い移動する。
【0018】
本発明の更なる実施例によれば、上記案内要素は、上記少なくとも一個の磁石が上記接続表面から所定の固定距離において移動可能である様に構成される。特に、上記所定の固定距離はゼロであることから、上記磁石は自身が上記接続表面に沿い移動するときに該接続表面と接触する。
【0019】
この様にして、上記第1容器から上記第2容器への途中、ペレットへと形状化された磁性粒子に対しては本質的に一定の磁界が確実に印加され得る。この様にして、磁力の脆弱化の結果として上記ペレットから磁性粒子が分離することが効果的に阻止され得る。
【0020】
本発明の別の実施例によれば、上記接続表面上には、たとえば加熱ワイヤまたはペルチェ素子などの少なくとも一個の加熱および/または冷却素子が配備される。加熱および/または冷却素子を使用することにより、磁性粒子は途中で所定温度に保持され得る。
【0021】
本発明の別の実施例によれば、上記接続表面は、少なくとも一個の磁石の経路に沿う円弧として形状化される。その場合に上記案内要素は典型的には、弧状経路に沿い少なくとも一個の磁石が移動可能である様に形状化され、その場合に上記弧状経路の半径は、上記接続表面を形成する円弧の半径と類似または同一である。
【0022】
この様にすれば、一定半径を有する円形軌道上または円弧に沿い磁石が移動されるという特に簡素な形態の制御が実施され得る。上記案内要素はシャフト上に取付けられ得、該シャフトによれば、上記案内要素の駆動および制御は特に簡素に構成され得る。これにより、操作手順の単純な自動化も許容される。
【0023】
本発明の更なる実施例によれば、上記第1または第2容器に対して第2接続表面により接続された少なくとも一個の第3容器、並びに、少なくとも一個の更なる磁石が取付けられた第2案内要素が更に配備される。この様にして、上記第3容器と協働する上記第1または第2容器、上記第2接続表面、上記第2案内要素、および、上記更なる磁石は、上述の如く磁性粒子を分離する更なる装置を形成する。
【0024】
故に、上記第1容器内における液体から磁性粒子が最初に分離された後、または、数個の容器および案内要素が相互接続されたとき、磁性粒子が溶出溶液へと搬送される前に、数回の洗浄段階が実施され得る。
【0025】
本発明の更なる別の実施例によれば、上記容器の内の少なくともひとつの容器は、機能要素、特に吐出口および/またはフィルタを有する。この機能要素によれば、たとえばPCR段階(ポリメラーゼ連鎖反応)の如き後続的な分析段階に対する準備がなされ得る。上記吐出口は好適には、該吐出口の助けにより例えば反応管が該吐出口に対して取付けられ得るという取付け可能性を有する。
【0026】
本発明の更なる実施例によれば、上記各容器はカートリッジとして構成され得る。これによりコンパクトな構成が許容され、この様にして、特にいわゆるラボ・オン・チップが実現され得る。かかるラボ・オン・チップにおいては、研究を実施するために必要な全ての装置がチップまたはカートリッジ上に一体化され得る。
【0027】
本発明の別の見地によれば、
(a)第1容器と、第2容器と、上記第1容器の内部を上記第2容器の内部に対して接続する接続表面と、少なくともひとつの磁界を導向する案内要素とを配備する段階と、
(b)上記第1容器内における第1液体中に磁性粒子の懸濁液を配備する段階と、
(c)上記第1容器の内部における上記接続表面の領域にて上記案内要素により少なくともひとつの磁界を配備することで、この領域にて磁性粒子のペレットが形成されるという段階と、
(d)上記少なくともひとつの磁界を上記案内要素により上記接続表面の一側面に沿い、上記第2容器の内部に配置された上記接続表面の領域まで導向することから、磁性粒子の上記ペレットは上記接続表面に沿い上記第2容器の内部における上記接続表面の領域まで搬送されるという段階と、
(e)上記第2容器の内部における上記接続表面の領域から上記案内要素により上記少なくともひとつの磁界を除去することにより、上記ペレットを形成する上記磁性粒子は再び解放されるという段階とを備える、
液体から磁性粒子を分離する方法が提供される。
【0028】
かかる方法は、たとえば本発明の一実施例に係る装置において自動化形態で単純に実施され得る。かかる分離方法においては現状技術と比較して相互汚染の恐れが相当に低減され、なぜなら、容器内への磁性ロッドまたはピペット先端の挿入が不要だからである。故に、磁性ロッドまたはピペット先端から液体が落下する恐れは排除される。
【0029】
以下においては、添付図面を参照して種々の実施例に基づいて本発明の詳細が例示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の種々の実施例に関する以下の記述において、機能的に同一である種々の実施例の特徴は同一の参照番号が付される。
【0031】
図1Aは、本発明の一実施例に係る装置の概略図である。第1容器10内には、磁性粒子60が懸濁された液体15が配置される。更に第2容器20が示され、該容器内には、たとえば洗浄溶液または溶出溶液などの第2液体25が配置される。第1容器10は、橋絡区画30により第2容器20の第2側壁21に対して接続された第1側壁11を有する。この実施例において第1側壁11、第2壁部21および橋絡区画30は、第1容器10の内部から第2容器20の内部へと延在する接続表面を形成する。但しかかる接続表面は、上記第1および第2容器とは別体的に構成された逆U字の形態の橋体であって、上記第1および第2容器内に挿入される橋体としても提供され得る。更に上記接続表面は、一端が上記第1容器の内部に配置され且つ他端が上記第2容器の内部に配置された管体としても形成され得る。
【0032】
更に、ネオジム永久磁石または電磁石の形態とされ得る磁石40が配備される。磁石40は、案内要素50に対して取付けられる。案内要素50は、該案内要素が磁石40を、故に該磁石により生成された磁界を、第1容器10の内部から第2容器20の内部への接続表面に沿い導向し得る様に配置される。本実施例において、このことは、案内要素50が磁石40を、第1側壁11に沿い、且つ、橋絡区画30の下側面に沿い第2側壁21まで導向し得ることを意味する。本出願において後に更に説明される如く、案内要素50としては円筒状ローラまたは回転アームが使用され得る。磁石40はたとえば、側壁11および21に沿い且つ橋絡区画30の下側面に沿い導向された可撓ベルト上に配置され得ることも可能である。案内要素50は、該案内要素が、上記接続表面から、すなわち側壁11、21と橋絡区画30の下側面とから所定の固定距離に磁石40を保持する様に構成される。上記所定の固定距離は、磁石40が側壁11までもたらされたときに懸濁磁性粒子60に対して該磁石が及ぼす磁気的吸引力が、懸濁粒子をペレット61として側壁11上に固定化するに十分である様に選択される(図1Bを参照)。特に、磁石40と、側壁11、21および橋絡区画30の下側面との間の距離はゼロとされ得る。この場合に磁石40は、該磁石が通過導向されるときに、側壁11、21および橋絡区画30の下側面と接触する。
【0033】
本発明の更なる実施例によれば、上記接続表面は溝の形態で構成され得る。図7は、第1容器10と第2容器20との間において当該橋絡区画30の上側面にて溝状凹所の形態で構成された橋絡区画30の断面を示している。この様にすれば、橋絡区画30の上部において当該第1液体15を離脱しつつあるペレット61に対して付着することで相互汚染に繋がることもある第1液体15の一切を阻止し得る。上記第1容器から第2容器へのペレット61の移動の間に液体が実際に離脱されるとしても、これは上記溝内において上記第1または第2容器内へと戻される。
【0034】
以下においては図1A乃至図1Eに基づき、本発明の各実施例の内の一実施例に係る方法が記述される。図1Aには初期状態が示され、その場合に磁性粒子60は第1容器10内の液体15中に懸濁される。磁石40は、第1容器10の側壁11の領域の外部に配置される。図1Bが示す様に、磁石40は案内要素50により第1容器10の側壁11までもたらされる。其処でそれは磁性粒子60を引き付け、該磁性粒子は側壁11上にペレット61として固定化される。次に磁石40は案内要素50により、側壁11に沿い、橋絡区画30にわたり、第2容器20の第2壁部21まで導向されるが、図1Cおよび図1Dを参照されたい。磁力によりペレット61へと形成された磁性粒子は、磁気的吸引力の結果として磁石40の移動に追随する。この様にしてペレット61は、上記接続表面に沿い、すなわち、内側11に沿い橋絡区画30の上側面にわたり第2容器20の内壁21まで搬送される。図1Eに示された如く磁石40は最終的には、ペレット61を形成する磁性粒子が再び解放される様に、第2容器20の側壁21から離脱される。磁性粒子60は、たとえば洗浄溶液もしくは溶出溶液などの第2容器20の液体25内に再懸濁される。
【0035】
次に、図2A乃至図2Eに基づき本発明の更なる実施例が記述される。ここでも、接続表面11、21、30により相互に対して接続された第1および第2容器10、20が配備される。上記接続表面は再び、側壁11、第2壁部21および橋絡区画30により形成される。ここで、上記接続表面、すなわちここでは第1側壁11、第2壁部21および橋絡区画30は、半径Rを有する円弧を形成すべく形状化される。典型的に、側壁11、21および橋絡区画30は接続表面として一体片で構成される。上記にて既に説明された如く、上記第1および第2容器ならびに上記接続表面は、分離可能要素としても提供され得る。図5に拡大して示された如く案内要素50は4本アーム・スパイダとして構成される。
【0036】
図5において上記案内要素は、シャフト55上に回転可能に取付けられた4本の回転アーム51、52、53、54を有する。回転アーム51、52、53、54の各々上には、シャフト55から離間して磁石40、41、42、43が配置される。磁石40、41、42、43を含めて回転アーム51、52、53、54の全長rは円弧の半径R以下であることから、磁石40、41、42、43は側壁11、21および橋絡区画30に沿いR-rの距離で導向され得る。もし上記全長rが円弧半径Rと同一なら、磁石40、41、42、43が側壁11、21および橋絡区画30を通るときに、それらに対して接触する。この場合には、側壁11、21および橋絡区画30に接触する磁石40、41、42、43の表面が湾曲されることで、その曲率半径が円弧半径Rより小さければ有用である。
【0037】
図5によれば上記4本の回転アームは一体化されるが、それらは個別的な回転アームとして構成されて各々がシャフト55上に取付けられ得る。これに加え、4本の回転アームの本数は単に例示的であり、用途に依存して更に少ない又は更に多い本数の回転アームが配備され得る。特に、単に一本の回転アームのみを配備することが可能である。更に、図5における4本の枢動アームは相互に対して90°にオフセットされ、すなわち、上記スパイダにより掃引される円周2πrにわたり等しく分散されている。但し用途に依存して、2本以上の枢動アームもまた相互に対して任意の適切な角度的距離でオフセットして配置され得る。
【0038】
図6には、図2Aに示された上記装置において使用され得る案内要素50の別の実施例が示される。ここで案内要素50は、円弧半径R以下である半径rを備えた円筒状のローラまたはホィールの形態で構成される。図6によれば、3個の磁石40、41、42はそれぞれハウジング56、57、58内とされて120°だけオフセットされる。但し、各磁石を円筒状の案内要素の表面上に配置することも有用であり、その場合には、各磁石の厚みを含む半径rが円弧半径R以下とされねばならない。当然ながらここでも、磁石の個数および相対位置はそれぞれの用途の要求に従い変更され得る。特に、磁石の個数が1個からハウジングの個数まで変更され得る様に磁石40、41、42がハウジング56、57、58から取出され得ることが有用である。
【0039】
図2Aに示された実施例の機能モードは、図2A乃至図2Eに示される。最初に磁石40は第1容器10の側壁11まで上に動かされ、其処で磁性粒子がペレット61を形成する(図2B)。次に磁石40は上記円弧に沿い導向され、その場合に該磁石はペレット61により追随される(図2Cおよび図2D)。次にペレット61は第2容器20内へと搬送され(図2E)、且つ、最終的に磁石40は第2側壁21から離脱されることから、磁性粒子は上記第2容器内に収容された液体中に再懸濁される(不図示)。この様にしてペレットは、上記第1容器の内部から接続表面に沿い上記第2容器の内部まで搬送される。
【0040】
図3A乃至図3Cには、本発明の更なる実施例が示される。ここでは、第2橋絡区画80を介して第2容器20に接続された第3容器70が付加的に配備される。この様にして、上記第2および第3の容器の側壁と上記第2橋絡区画とは、半径R'を備えた円弧として形成される第2接続表面を形成する。円弧半径R'は典型的には、上記第1および第2容器間の円弧半径Rに等しいが、用途の性質に依存してRとは異なる様にも選択され得る。更に、上記第2および第3容器のそれぞれの対向側壁間には、少なくとも一個の更なる磁石90を備えた第2案内要素100が載置される。磁石90および第2案内要素100の助けにより、容器10から容器20まで搬送されて其処で再懸濁された磁性粒子は、上記第2容器の側壁にて結合されて第2ペレット62となる。上記第1および第2容器の間におけるのと同一様式で、ペレット62は上記第2容器から上記第2接続表面にわたり第3容器70内へと移送され得る。磁石90が第3容器70の側壁から引き離されたなら、磁性粒子は第3容器70内に載置された液体75内に再懸濁され得る。たとえば、この装置によれば、上記第2容器内には洗浄溶液が、且つ、上記第3容器内には溶出溶液が配備され得る。この場合、溶出された磁性粒子は上記第2案内要素の逆回転により上記第2容器へと再び戻し搬送されてから廃棄され得る。更に、当然ながら、接続表面を備えた更なる複数の容器と、磁石と共にそれらの間に取付けられた案内要素とが配備され得、その場合には厳密な方法に対して必要とされる液体がそれぞれの容器内に配備され得る。
【0041】
本発明の更なる実施例によれば、図3Aに示された装置は以下の如く洗浄プロセスを実施するためにも使用され得る。先ず第1ペレット61が第1容器10から、洗浄溶液が充填された第2容器20内へと移送される。其処で磁石40は第1の回転方向に沿い上記第2容器の側壁から離脱されることから、磁性粒子は上記洗浄溶液内に再懸濁される。第2案内要素100上に取付けられた磁石90は第1の回転方向に沿い上記第2容器の逆側の側壁までもたらされることから、磁性粒子は其処で第2ペレット62を形成する。その場合、第1案内要素50の第1回転方向は、第2案内要素100の第1回転方向と逆である。次に磁石90は、第2回転方向に沿い上記第2容器の側壁から離脱される。すると、第2ペレット62が崩壊し、磁性粒子は上記洗浄溶液内に再懸濁される。次に、第1案内要素50上に取付けられた磁石40は第2回転方向に沿い上記第2容器の逆側の側壁までもたらされることから、磁性粒子は第1ペレット61を再形成する。その場合に上記第1案内要素50の第2回転方向は、第2案内要素100の第2回転方向と逆である。その場合、上記第1案内要素の第1および第2の回転方向は同一または逆とされ得る。同様に、上記第2案内要素の第1および第2の回転方向もまた同一または逆とされ得る。上記手順は、洗浄処置が成功裏に終わるまで、必要な回数だけ反復され得る。
【0042】
以下においては、図8に基づき本発明の更なる実施例が記述される。ここで第1容器10および第2容器20は、別体の容器として配備される。接続表面200は逆U字の形態の橋体として形状化され、その場合に接続表面200の第1端部は第1容器10内に配置され、且つ、接続表面200の第2端部は第2容器20内に配置される。典型的に接続表面200は、その上側表面に溝形成されている。接続表面200内には、第1容器10から第2容器20にかけて相互に順次に取付けられた数個の電磁石40が一体化される。たとえば接続表面200は、電磁石が埋設されて射出成形により構成され得る。各電磁石は単一の案内要素50により個別的に制御され得、すなわち、各々の場合に起動および起動解除され得る。
【0043】
この実施例において磁性粒子の分離は以下の如く行われる:先ず、接続表面200の下側の全ての電磁石40が起動解除され、該接続表面は示された如く第1および第2容器内に配置される。次に案内要素50は、上記第1容器内に載置された上記接続表面の第1端部における下側の単一もしくは複数の電磁石を起動する。磁気的吸引力の結果として、磁性粒子のペレットが形成される。接続表面200に沿い配置されて隣接する電磁石であって上記第2容器内に載置された端部に近い電磁石は、時的シーケンスで順次に起動されると共に、各電磁石は上記接続表面の第1端部から再び起動解除される。この様にして、磁界は上記接続表面の第1端部から該接続表面の第2端部まで移動し、磁気的吸引力の結果として上記ペレットはこの移動を完了する。上記ペレットが最終的に上記第2容器の内部に一旦到達したなら、各電磁石は起動解除されると共に、上記ペレットを形成する磁性粒子は第2容器20内の液体25中に再懸濁される。この様にして、移動部分を必要とする装置なしで、磁性粒子の分離が行われ得る。この様にして上記装置は、特に高信頼性であり且つ保守は殆ど不要である。
【0044】
以下においては、図9に基づき本発明の更なる実施例が記述される。ここでは、接続表面11、21、30を介して相互に接続された第1および第2容器10、20が配備される。一方、上記接続表面は、第1側壁11、第2側壁21および橋絡区画30で形成される。更に、接続表面11、21、30上には加熱要素110が配備される。磁性粒子の温度は上記加熱要素により高められ得ることから、たとえば粒子の乾燥が支援され得る。
【0045】
接続表面11、21、30上には、磁性粒子と、該磁性粒子に対して付着している材料との冷却を行うために、上記加熱要素の代わりに例えばペルチェ素子などの冷却素子も配備され得る。実施される分析がそれを必要とするなら、この様にすると粒子の乾燥が緩和され得る。
【0046】
更に、図9に示された実施例における容器20は、引き続く分析段階の準備に資する付加的な機能要素120、130を有する。容器20は自身の基部において、内部にフィルタ130が嵌装された吐出ポート120を有する。
【0047】
直上に記述された実施例の種々の見地は、当然ながら、先に記述された実施例とも組み合わされ得る。故に、たとえば、個別的に制御可能な電磁石が、第1側壁、橋絡区画および第2側壁に沿い配置され得る。同様に、たとえばドラムもしくは回転アームなどの機械的な案内要素が、別体的な橋体として別体的に構成された接続表面に沿い導向され得る。
【0048】
上述の全ての実施例において、上記接続表面は溝の形態で構成され得る。更に、記述された全ての実施例において上記案内要素は、上記接続表面に沿い磁界が移動する速度が制御可能である様に構成され得る。特に上記速度はゼロに設定され得ることから、ペレットはその現在位置にて固定化され得る。更に、記述された全ての実施例において上記案内要素は、上記接続表面に沿い磁界が移動する方向が制御可能である様に構成され得る。特に、その場合にはペレットの移動の方向反転が可能である。更に、上記で言及された全ての実施例は、閉鎖系として構成され得る。
【0049】
図10には、本発明の更なる別の実施例が概略的に示される。これは、カートリッジ1000内に第1および第2容器1010、1020が一体化されたいわゆるラボ・オン・チップである。第1および第2容器1010、1020は、橋絡区画1030により相互に接続される。2つの容器1010、1020は、カートリッジ1000内におけるチャンバとして構成され、液体が充填される。第2容器1020は典型的には、溶出フィルタを収容し得る。この点に関し、図10は、第1および第2容器が等しいサイズであるという概略的表示にすぎないことが指摘される。当然ながら、個々の容器のサイズは相互から異なり得る。特に、溶出容器の体積は典型的に、洗浄容器のそれよりも小さい。
【0050】
蓋体1100は各液体の混合を阻止する。但し、上記カートリッジを使用する間に蓋体1100は取り外され得る。選択的に蓋体1100は、取外しの後で該蓋体が再び閉成位置に戻されて再び蓋体として作用し得る様に構成される。カートリッジ1000は典型的に、2つのアクセス開口1012および1022が在る蓋体を備える。アクセス開口1012、1022は、磁性粒子を各容器内へと導入すべく、且つ、磁性粒子を再び取出す役割を果たす。アクセス開口1012、1022はカバーを備え得る。最後に上記カートリッジは、案内要素1050により、第1容器1010の壁部、橋絡区画1030に沿い、第2容器1020の壁部まで導向され得る磁石1040を有する。特に磁石1040は、側壁に沿うだけでなく、カバー・プレート、すなわちカートリッジ1000の蓋体もしくは基部に沿っても導向され得る。
【0051】
以下においては、図10に示された本発明の実施例の動作モードが図11A乃至図11Fに関して記述される。図11Aに示された如く、第1容器1010内へとアクセス開口1012を介して磁性粒子1060が導入される。もしこれらの粒子1060が今や第1容器1010内に載置された液体から取出されるべきであれば、磁石1040は案内要素1050により所定位置へと載置される。この様にして、第1容器1010の側壁上に固定化されたペレット1061が形成される(図11Bを参照)。次にペレット1061は、蓋体1100へと導向される(図11Cを参照)。今や蓋体1100は開かれ、橋絡区画1030内へのペレット1061に対する進路が自由とされる(図11Dを参照)。次にペレット1061は磁石1040により第2容器1020まで搬送され(図11Eを参照)、其処でペレットは次に解放され得る(図11Fを参照)。もし磁性粒子1060が第2アクセス開口1022を介して第2容器1020から取出されるべきであれば、磁石1040を用いて磁性粒子1060をもう一度、開口1022を介して容易に取出され得るというコンパクトなペレット1061へと形成することが可能である。磁性粒子1060なしで、第2アクセス開口1022を介して液体を取出すことも等しく可能である。典型的に、液体の取出しの間において磁石1040は、磁性粒子の追随なしで上記液体の取出しを許容するために、アクセス開口1022から所定距離にペレット1061を保持する。
【0052】
図12には、本発明の更なる実施例が示される。その構成は本質的に、図10に示された構成に対応するが、図8に示されたのと類似した磁石機構が配備される。カートリッジ1000内には、第1容器1010から第2容器1020に掛けて連続的に順番に配置された数個の電磁石1040が一体化される。たとえばカートリッジ1000は、電磁石1040が埋設された射出成形構成要素として構成され得る。各電磁石は案内要素1050により個別的に選択され、すなわち、各々が個別的に起動および起動解除される。この様にして、第1容器1010から橋絡区画1030を通り第2容器1020に至る磁界が生成される。その場合、ペレットの形成、および、第1容器1010から第2容器1020までのペレットの搬送は図8に示された実施例と同様に行われ、その故に、更に詳細な説明はここでは省略される。
【0053】
図13は、本発明の更なる実施例の斜視図を示している。ここでカートリッジ1000の内部は本質的に、図10に示された構成を示している。但し、磁石1040はカートリッジ1000の外側に配置される。案内要素1050の助力により該磁石は、磁力の影響下でペレットが第1容器から橋絡区画を越えて第2容器まで移動する如き様式でカートリッジ1000の表面に沿い導向され得る。これに加え、磁石1040は案内要素1050により上記表面に向けて且つ該表面から離間して移動され得る。この様にして、たとえば磁石1040を第1容器の上方にて上記カートリッジの表面上へと下降させることによりペレットが形成され得る。同様に、磁石1040が再び上記カートリッジの表面から上昇されると、結合してペレットとされた磁性粒子は再び解放され得る。
【0054】
図14には、本発明の更なる実施例が示される。ここでカートリッジ1000は、可動担体として構成された案内要素1050上に配置される。担体1050はその平面内で移動可能であるが、好適には該平面に対して垂直にも移動可能であることから、その上に位置されたカートリッジ1000は所定経路にわたり移動され得る。磁石1040は、保持器1045により本質的に堅固に所定位置に保持される。担体1050を上昇もしくは下降することにより、カートリッジ1000の表面は磁石1040の近傍へともたらされ得る。担体1050をその平面内で移動させることにより、カートリッジ1000は磁石1040の下方にて所定経路内を移動される。故に基本的に、図14に示された実施例は図13に示された原理の逆を表している。
【0055】
図15は、図10に示された実施例の発展例を示している。ここでは、第1および第2容器1010、1020に加えて、カートリッジ1000上には第3容器1070が配置される。この第3容器1070は、第2蓋体1200により第3容器1070から分離される。この様にして、第2容器1020は洗浄溶液を収容し得ると共に、第3容器1070は溶出溶液を収容し得る。任意数の付加的な容器がカートリッジに一体化され得ると共に、容器の厳密な個数、ならびに、それらに収容されるそれぞれの液体は、それぞれの用途に適合されることを理解すべきである。
【0056】
上述された本発明の各実施例によれば、液体からの磁性粒子の分離が可能とされることで、相互汚染の恐れが相当に低減され、または、排除さえされる。特に上記実施例に係る装置は、閉鎖系として構成かつ操作され得る。本発明の各実施例に係る上記装置および方法は、簡素であり、且つ、相当程度まで自動化に適合している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図1C】図1Cは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図1D】図1Dは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図1E】図1Eは、本発明の一実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2B】図2Bは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2C】図2Cは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2D】図2Dは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図2E】図2Eは、本発明の更なる実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図3A】図3Aは、本発明の更なる別の実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図3B】図3Bは、本発明の更なる別の実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図3C】図3Cは、本発明の更なる別の実施例に係る装置および方法の概略図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施例に係る洗浄段階の概略図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施例に係る洗浄段階の概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例に係る案内要素を示す図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施例に係る案内要素を示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施例に係る橋絡区画の断面図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の更なる実施例を示す図である。
【図10】図10は、本発明がカートリッジにおいて実現されたという本発明の更なる実施例の概略図である。
【図11A】図11Aは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11B】図11Bは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11C】図11Cは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11D】図11Dは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11E】図11Eは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図11F】図11Fは、図10に示された実施例において本発明に係る方法が如何に実現されるかを示す概略図である。
【図12】図12は、図10に示された本発明の実施例の変更例の概略図である。
【図13】図13は、図10に示された本発明の実施例の別の変更例の概略図である。
【図14】図14は、図10に示された本発明の実施例の更なる変更例の概略図である。
【図15】図15は、図10に示された本発明の実施例の更なる発展例の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1容器(10;1010)と、
第2容器(20;1020)と、
前記第1容器(10)の内部から前記第2容器(20)の内部まで延在する接続表面(11、21、30;200)と、
磁界を提供する少なくとも一個の磁石(40)と、
案内要素(50)であって、該案内要素により前記磁界は前記接続表面(11、21、30;200)の一側面に沿い移動可能であるという案内要素(50)とを備える、
液体から磁性粒子を分離する装置。
【請求項2】
前記接続表面は、前記第1容器の第1側壁(11)と、前記第2容器の第2側壁(21)と、前記第1および第2側壁を接続する橋絡区画(30)とにより形成される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一個の磁石(40)は永久磁石である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも一個の磁石(40)は電磁石である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記案内要素(50)は、前記少なくとも一個の磁石(40)が前記接続表面(11、21、30;200)の前記側面から所定の固定距離において移動可能である様に構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記所定の固定距離はゼロであることから、前記磁石は自身が前記接続表面(11、21、30;200)に沿い移動するときに該接続表面の前記側面と接触する、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記案内要素(50)は、第1磁石(40)から空間的に離間された少なくとも一個の更なる磁石(41、42、43)を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記接続表面(11、21、30;200)には少なくとも一個の加熱および/または冷却要素(110)が配備される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記接続表面(11、21、30;200)は円弧として形状化される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記案内要素(50)は前記少なくとも一個の磁石(40)が円形経路上を移動可能である様に構成され、
前記円形経路の半径(r)は、前記接続表面(11、21、30;200)により形成される円弧の半径(R)以下である、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記案内要素(50)は少なくとも一本の回転アーム(51)を有し、その一端は回転シャフト(55)上に取付けられ、且つ、その他端上には前記少なくとも一個の磁石(40)が取付けられる、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記案内要素(50)は一本以上の更なる回転アーム(52、53、54)を有し、
それぞれの場合、一端は前記回転シャフト(55)上に取付けられ、且つ、それぞれの他端には前記少なくとも一個の更なる磁石(41、42、43)が取付けられる、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記回転アーム(51、52、53、54)は一体化される、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記案内要素(50)は、回転シャフト(55)の回りに取付けられた円筒体の形態を取る、請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一個の磁石(40)および/または前記更なる磁石(41、42)は前記円筒状案内要素(50)の表面上に取付けられる、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも一個の磁石(40)および/または前記更なる磁石(41、42)は、各々の場合、前記円筒状案内要素(50)内に構成されたハウジング(56、57、58)内に取付けられる、請求項14記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも一個の磁石(40)および前記一個以上の磁石(41、42、43)は、各々の場合、相互に対して同一角度にてオフセットされる、請求項12、13、15または16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記案内要素(50)は、該案内要素が前記一個の磁石(40)および/または数個の更なる磁石(41、42、43)を前記接続表面(11、21、30;200)に沿い導向する速度が制御可能である様に構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記案内要素(50)は、該案内要素が前記一個の磁石(40)および/または数個の更なる磁石(41、42、43)を前記接続表面(11、21、30;200)に沿い導向する方向が制御可能である様に構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1または第2容器に対して第2接続表面により接続された少なくとも一個の第3容器(70)と、
少なくともひとつの更なる磁界を導向する第2案内要素(100)とを更に備え、
前記第3容器(70)と協働する前記第1または第2容器(10、20)、前記第2接続表面、前記第2案内要素(100)、および、前記更なる磁界は請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置を形成する、
先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記第1および第2案内要素(50、100)は前記第2容器(20)の両側部に対してそれぞれ取付けられる、請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記第2容器(20)は洗浄溶液を収容し且つ前記第3容器は溶出溶液を収容する、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
前記容器(10、20、70)の内の少なくともひとつの容器は、機能要素、特に吐出口および/またはフィルタを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記接続表面(30)は溝の形態で構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記第1および第2容器(1010、1020)および/または前記第3容器(1070)はカートリッジ(1000)内に配置される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
各々の場合において隣接する容器(1010、1020;1020、1070)は、取外し可能な蓋体(1100、1200)により相互から分離される、請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記カートリッジ(1000)は、第1容器(1010)への第1アクセス開口(1012)と、第2容器への第2アクセス開口(1022、1072)とを有するカバーを有する、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記案内要素(1050)は前記カートリッジ(1000)を磁石(1040)に沿い案内すべく構成される、請求項25乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
(a)第1容器(10)と、第2容器(20)と、前記第1容器の内部を前記第2容器(20)の内部に対して接続する接続表面(11、21、30;200)と、少なくともひとつの磁界(40)を導向する案内要素(50)とを配備する段階と、
(b)前記第1容器(10)内における第1液体(70)中に磁性粒子(60)の懸濁液を配備する段階と、
(c)前記第1容器(10)の内部における前記接続表面の領域(11)にて前記案内要素(50)により少なくともひとつの磁界を配備することで、この領域(11)にて磁性粒子のペレット(61)が形成されるという段階と、
(d)前記少なくともひとつの磁界を前記案内要素(50)により前記接続表面(11、21、30;200)の一側面に沿い導向することから、磁性粒子の前記ペレット(61)は前記接続表面(11、21、30;200)の逆側面に沿い前記第2容器(20)の内部における前記接続表面の領域(21)まで搬送されるという段階と、
(e)前記第2容器(20)の内部における前記接続表面の領域(21)から前記案内要素(50)により前記少なくともひとつの磁界を除去することにより、前記ペレット(60)を形成する前記磁性粒子(60)は再び解放されるという段階とを備える、
液体から磁性粒子を分離する方法。
【請求項30】
前記第2容器(20)に対して第2接続表面により接続された少なくとも一個の第3容器と、少なくともひとつの更なる磁界を導向する第2案内要素とが更に配備され、
前記磁性粒子(60)は前記段階(e)の後で前記第2容器(20)内で洗浄され、且つ、
前記磁性粒子(60)は次に、前記第2案内要素および前記更なる磁界により前記段階(a)乃至(e)と同様に前記第2容器(20)から前記第3容器内へと搬送される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記第2容器内で前記磁性粒子を洗浄する段階は以下の部分的段階:
前記第1案内要素(50)により前記少なくともひとつの磁界を除去することで、1個のペレット(61)を形成する磁性粒子(60)を解放する段階、
前記第2案内要素により前記少なくともひとつの更なる磁界を提供することでペレット(62)を形成する段階、
前記第2案内要素により前記少なくともひとつの更なる磁界を除去することにより、1個のペレット(62)を形成する磁性粒子(60)を解放する段階、
前記第1案内要素(50)により前記少なくともひとつの磁界を提供することによりペレット(61)を形成する段階、
を備える、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記少なくともひとつの磁界および前記少なくともひとつの更なる磁界を提供する段階は前記第1または第2案内要素を第1回転方向に回転させることにより実施され、それによって前記第1案内要素の前記第1回転方向は前記第2案内要素の前記第1回転方向と逆であり、且つ、
前記少なくともひとつの磁界または前記少なくともひとつの更なる磁界の除去は、前記第1または第2案内要素を前記第1回転方向の逆である第2回転方向に回転させることにより実施され、ここで前記第1案内要素の前記第2回転方向は前記第2案内要素の前記第2回転方向と逆である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記段階(d)において前記案内要素(1050)は前記容器(1010、1020)を前記磁石(1040)に沿い導向する、請求項29乃至31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
第1容器(10;1010)と、
第2容器(20;1020)と、
前記第1容器(10)の内部から前記第2容器(20)の内部まで延在する接続表面(11、21、30;200)と、
磁界を提供する少なくとも一個の磁石(40)と、
案内要素(50)であって、該案内要素により前記磁界は前記接続表面(11、21、30;200)の一側面に沿い移動可能であるという案内要素(50)とを備える、
液体から磁性粒子を分離する装置。
【請求項2】
前記接続表面は、前記第1容器の第1側壁(11)と、前記第2容器の第2側壁(21)と、前記第1および第2側壁を接続する橋絡区画(30)とにより形成される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一個の磁石(40)は永久磁石である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも一個の磁石(40)は電磁石である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記案内要素(50)は、前記少なくとも一個の磁石(40)が前記接続表面(11、21、30;200)の前記側面から所定の固定距離において移動可能である様に構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記所定の固定距離はゼロであることから、前記磁石は自身が前記接続表面(11、21、30;200)に沿い移動するときに該接続表面の前記側面と接触する、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記案内要素(50)は、第1磁石(40)から空間的に離間された少なくとも一個の更なる磁石(41、42、43)を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記接続表面(11、21、30;200)には少なくとも一個の加熱および/または冷却要素(110)が配備される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記接続表面(11、21、30;200)は円弧として形状化される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記案内要素(50)は前記少なくとも一個の磁石(40)が円形経路上を移動可能である様に構成され、
前記円形経路の半径(r)は、前記接続表面(11、21、30;200)により形成される円弧の半径(R)以下である、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記案内要素(50)は少なくとも一本の回転アーム(51)を有し、その一端は回転シャフト(55)上に取付けられ、且つ、その他端上には前記少なくとも一個の磁石(40)が取付けられる、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記案内要素(50)は一本以上の更なる回転アーム(52、53、54)を有し、
それぞれの場合、一端は前記回転シャフト(55)上に取付けられ、且つ、それぞれの他端には前記少なくとも一個の更なる磁石(41、42、43)が取付けられる、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記回転アーム(51、52、53、54)は一体化される、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記案内要素(50)は、回転シャフト(55)の回りに取付けられた円筒体の形態を取る、請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一個の磁石(40)および/または前記更なる磁石(41、42)は前記円筒状案内要素(50)の表面上に取付けられる、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも一個の磁石(40)および/または前記更なる磁石(41、42)は、各々の場合、前記円筒状案内要素(50)内に構成されたハウジング(56、57、58)内に取付けられる、請求項14記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも一個の磁石(40)および前記一個以上の磁石(41、42、43)は、各々の場合、相互に対して同一角度にてオフセットされる、請求項12、13、15または16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記案内要素(50)は、該案内要素が前記一個の磁石(40)および/または数個の更なる磁石(41、42、43)を前記接続表面(11、21、30;200)に沿い導向する速度が制御可能である様に構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記案内要素(50)は、該案内要素が前記一個の磁石(40)および/または数個の更なる磁石(41、42、43)を前記接続表面(11、21、30;200)に沿い導向する方向が制御可能である様に構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1または第2容器に対して第2接続表面により接続された少なくとも一個の第3容器(70)と、
少なくともひとつの更なる磁界を導向する第2案内要素(100)とを更に備え、
前記第3容器(70)と協働する前記第1または第2容器(10、20)、前記第2接続表面、前記第2案内要素(100)、および、前記更なる磁界は請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置を形成する、
先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記第1および第2案内要素(50、100)は前記第2容器(20)の両側部に対してそれぞれ取付けられる、請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記第2容器(20)は洗浄溶液を収容し且つ前記第3容器は溶出溶液を収容する、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
前記容器(10、20、70)の内の少なくともひとつの容器は、機能要素、特に吐出口および/またはフィルタを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記接続表面(30)は溝の形態で構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記第1および第2容器(1010、1020)および/または前記第3容器(1070)はカートリッジ(1000)内に配置される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
各々の場合において隣接する容器(1010、1020;1020、1070)は、取外し可能な蓋体(1100、1200)により相互から分離される、請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記カートリッジ(1000)は、第1容器(1010)への第1アクセス開口(1012)と、第2容器への第2アクセス開口(1022、1072)とを有するカバーを有する、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記案内要素(1050)は前記カートリッジ(1000)を磁石(1040)に沿い案内すべく構成される、請求項25乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
(a)第1容器(10)と、第2容器(20)と、前記第1容器の内部を前記第2容器(20)の内部に対して接続する接続表面(11、21、30;200)と、少なくともひとつの磁界(40)を導向する案内要素(50)とを配備する段階と、
(b)前記第1容器(10)内における第1液体(70)中に磁性粒子(60)の懸濁液を配備する段階と、
(c)前記第1容器(10)の内部における前記接続表面の領域(11)にて前記案内要素(50)により少なくともひとつの磁界を配備することで、この領域(11)にて磁性粒子のペレット(61)が形成されるという段階と、
(d)前記少なくともひとつの磁界を前記案内要素(50)により前記接続表面(11、21、30;200)の一側面に沿い導向することから、磁性粒子の前記ペレット(61)は前記接続表面(11、21、30;200)の逆側面に沿い前記第2容器(20)の内部における前記接続表面の領域(21)まで搬送されるという段階と、
(e)前記第2容器(20)の内部における前記接続表面の領域(21)から前記案内要素(50)により前記少なくともひとつの磁界を除去することにより、前記ペレット(60)を形成する前記磁性粒子(60)は再び解放されるという段階とを備える、
液体から磁性粒子を分離する方法。
【請求項30】
前記第2容器(20)に対して第2接続表面により接続された少なくとも一個の第3容器と、少なくともひとつの更なる磁界を導向する第2案内要素とが更に配備され、
前記磁性粒子(60)は前記段階(e)の後で前記第2容器(20)内で洗浄され、且つ、
前記磁性粒子(60)は次に、前記第2案内要素および前記更なる磁界により前記段階(a)乃至(e)と同様に前記第2容器(20)から前記第3容器内へと搬送される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記第2容器内で前記磁性粒子を洗浄する段階は以下の部分的段階:
前記第1案内要素(50)により前記少なくともひとつの磁界を除去することで、1個のペレット(61)を形成する磁性粒子(60)を解放する段階、
前記第2案内要素により前記少なくともひとつの更なる磁界を提供することでペレット(62)を形成する段階、
前記第2案内要素により前記少なくともひとつの更なる磁界を除去することにより、1個のペレット(62)を形成する磁性粒子(60)を解放する段階、
前記第1案内要素(50)により前記少なくともひとつの磁界を提供することによりペレット(61)を形成する段階、
を備える、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記少なくともひとつの磁界および前記少なくともひとつの更なる磁界を提供する段階は前記第1または第2案内要素を第1回転方向に回転させることにより実施され、それによって前記第1案内要素の前記第1回転方向は前記第2案内要素の前記第1回転方向と逆であり、且つ、
前記少なくともひとつの磁界または前記少なくともひとつの更なる磁界の除去は、前記第1または第2案内要素を前記第1回転方向の逆である第2回転方向に回転させることにより実施され、ここで前記第1案内要素の前記第2回転方向は前記第2案内要素の前記第2回転方向と逆である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記段階(d)において前記案内要素(1050)は前記容器(1010、1020)を前記磁石(1040)に沿い導向する、請求項29乃至31のいずれか一項に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−505090(P2009−505090A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526509(P2008−526509)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065451
【国際公開番号】WO2007/020294
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(599072611)キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (83)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065451
【国際公開番号】WO2007/020294
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(599072611)キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (83)
【Fターム(参考)】
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