説明

液体の供給機構

【課題】従来よりも供給不良が発生し難い液体の供給機構を提供しようとするもの。
【解決手段】液体7の貯留槽6を有し、前記液体7の供給時には加圧状態とすると共に、供給量に応じた加圧条件に設定するようにした。液体の供給時には加圧状態とするようにしたので、液体に対して従来のダイヤフラムポンプのような吸引圧(負圧)ではなく押圧力がかかり、液体はガスの発生等が押さえ込まれる状態にある。前記液体の供給時以外も貯留槽内の液体を所定の加圧状態としていることとしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プールや二十四時間風呂その他への次亜ハロゲン酸その他の液体の供給機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プール水や循環式浴槽を殺菌するために次亜塩素酸が利用されている。
例えば、前記プール水は給水口から引き出されてバランシングタンク、ヘアキャッチャー、循環ポンプ、濾過機、熱交換器などを介して浄化され、再びプールへと戻される(例えば、非特許文献1参照)。そして、次亜塩素酸はその貯留タンクからダイヤフラムポンプによって吸い上げられ前記循環流路の配管へと注入されていた。
しかし、次亜塩素酸溶液からガスが生じて供給不良が発生することがあるという問題があった。
【非特許文献1】株式会社タクミナ、“タクミナお役立ち情報/技術資料 プール/循環式浴槽向けシステム”、<URL:http://www.tacmina.co.jp/oyakudati/tech_info/sakkin/4-7.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこでこの発明は、従来よりも供給不良が発生し難い液体の供給機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の液体の供給機構は、液体の貯留槽を有し、前記液体の供給時には加圧状態とすると共に、供給量に応じた加圧条件に設定するようにしたことを特徴とする。
この液体の供給機構によると、液体の供給時には加圧状態とするようにしたので、液体に対して従来のダイヤフラムポンプのような吸引圧(負圧)ではなく押圧力がかかり、液体はガスの発生等が押さえ込まれる状態にある。また、供給量に応じた加圧条件に設定(加圧圧力や加圧時間、流路径など)するようにしたので、これにより供給量を制御することができる。具体的には、液体の注入量の調整は電磁バルブやオリフィスその他を利用して行うことができる。
ここで、前記液体として、次亜ハロゲン酸(次亜塩素酸や次亜臭素酸)含有溶液などの薬液を例示することができる。次亜ハロゲン酸含有溶液は、pH値、水温の上昇、紫外線照射環境によってハロゲンガスが発生し易い性質を有する。また、液体を加圧する手段として例えばコンプレッサーやブロワー、高圧ガス等を用いることができる。
【0005】
(2)前記液体の供給時以外も貯留槽内の液体を所定の加圧状態としていることとしてもよい。このように構成すると、供給時以外も液体からのガスの発生を抑制することができると共に供給の際の立ち上がりに優れたものとなる。
【発明の効果】
【0006】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
液体はガスの発生等が押さえ込まれる状態にあるので、従来よりも供給不良が発生し難い液体の供給機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施の形態を説明する(図1、図2参照)。
この実施形態では、プール水や浴槽を殺菌するための循環流路の配管12(〔背景技術〕の項参照)に、殺菌用の薬剤(次亜塩素酸を溶解させた水道水)を供給する機構を形成した。
【0008】
この液体の供給機構は、液体(次亜塩素酸を溶解させた水道水)の貯留槽6(圧力薬液チャンバー)を有し、前記液体の供給時には加圧状態とする。このため、前記貯留槽6にはチャッキバルブ8を介して加圧手段10を接続している。前記加圧手段10としてコンプレッサーやブロワー、高圧ガス等を用いることができる。9は圧力計である。また薬液の貯留槽6から、循環流路の配管12へと電磁バルブ11を介して接続している。ここで、前記液体の供給時以外の待機時も、貯留槽6内の液体を所定の加圧状態としている。
【0009】
前記液体の貯留槽6には、元の薬液貯蔵タンク1からオリフィスバルブ3と電磁バルブ4を介して薬液2を補充するようにしている。13は制御盤である。薬液の貯留槽6はレベルセンサー5により薬液7の液面を検知するようにしており、液面が低下してくると前記薬液貯蔵タンク1から補給する。
具体的には、貯留槽6の加圧時には薬液貯蔵タンク1との間の電磁バルブ4は閉じ、貯留槽6への薬液の補充時には加圧状態を解除するようにしている。図2に示すように、貯留槽6を2系統形成しておき、一方の貯留槽6が加圧状態の時には、他方の貯留槽6への薬液の補充をするようにすることができる。
【0010】
そして、液体の供給時には、循環流路の配管12への供給量に応じた加圧条件に設定(加圧圧力や加圧時間、流路径など)する。例えば、既述の待機時から加圧状態としている圧力値に対応して供給量に対応した時間のみ供給流路を開くようにすることができる。逆に、供給する際の圧力値を供給量に対応した設定とすることができる。液体の注入量の調整は、電磁バルブやオリフィスその他を利用して行うことができる。
【0011】
次に、この実施形態の液体の供給機構の使用状態を説明する。
この液体の供給機構によると、液体の供給時には加圧状態とするようにしたので、液体に対して従来のダイヤフラムポンプのような吸引圧(負圧)ではなく押圧力がかかり、液体はガスの発生等が押さえ込まれる状態にあり、従来よりも供給不良が発生し難いという利点がある。また、供給量に応じた加圧条件に設定するようにしたので、これにより供給量を制御することができるという利点がある。更に、前記液体の供給時以外も貯留槽内の液体を所定の加圧状態としており、供給時以外も液体からのガスの発生を抑制することができると共に供給の際の立ち上がりに優れたものとなるという利点がある。
【0012】
また、液体の供給に加圧状態を利用しているので、加圧圧力を高圧に設定して制御することにより液体の供給の定量性により優れることとなる。更に、前記液体が高粘度である場合も、加圧圧力を上げることにより対処することができる。そのうえ、ダイヤフラム方式と比較して液体との接液部がシンプルであり耐熱性・耐薬品性に優れ故障し難いと共に、1台の加圧手段で何系統の供給にも対応することができ設置スペースを小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
液体はガスの発生等が押さえ込まれる状態にあり従来よりも供給不良が発生し難いことによって、種々の液体の供給機構の用途に適用することができる。また、粉体の供給などにも考え方を発展させ得る可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の液体の供給機構の実施形態を説明する図。
【図2】この発明の液体の供給機構の他の実施形態を説明する図。
【符号の説明】
【0015】
6 貯留槽
7 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体7の貯留槽6を有し、前記液体7の供給時には加圧状態とすると共に、供給量に応じた加圧条件に設定するようにしたことを特徴とする液体の供給機構。
【請求項2】
前記液体7の供給時以外も貯留槽6内の液体7を所定の加圧状態としている請求項1記載の液体の供給機構。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−301479(P2007−301479A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132689(P2006−132689)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(399049981)株式会社オメガ (70)
【Fターム(参考)】