説明

液体の輸送用および貯蔵用容器

【課題】輸送用および貯蔵用容器を高剛性で内部容器を適切に位置決め可能にする。
【解決手段】内部容器11、特に金属格子フレームまたはシートスチールから成る外殻14、およびスタッカートラック、スタッカークレーン、または類似した輸送手段を用いてハンドリング可能に設けられたパレット様の基台13を有する、液体の輸送用および貯蔵用容器10であって、基台13は、内部容器11、および支持足20,22,23を有するベースフレーム19を補強する床部18を呈し、床部18は、内部容器11のための支持表面30、および床仕切28によって上記支持表面30と分離され、外殻14の下端部17とベースフレーム19との間に配置された支持端部27を呈し、外殻14の下端部17は、少なくとも1つの接合部32で、支持端部27を介してベースフレーム19に作用する結合装置によって、ベースフレーム19に摩擦によって連結され、上記床仕切28は、接合部32の領域で、下仕切29を呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部に従った液体の輸送用および貯蔵用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックの内部容器に加えて、公知の液体輸送用および貯蔵用容器は、特に金属格子フレームまたはシートスチールから成る外殻、およびスタッカートラック、スタッカークレーン、または類似した輸送手段を用いてハンドリング可能に設けられたパレット様の基台を含む。基台は、内部容器、および支持足を有するベースフレームを補強する床部を呈する(exhibits)。床部は、内部容器のための支持表面、および床仕切によって上記支持表面と分離され、外殻の下端部とベースフレームとの間に配置された支持端部を呈する(規定する)。外殻の下端部は、少なくとも1つの接合部で、支持端部を介してベースフレームに作用する結合装置によって、ベースフレームに摩擦によって連結される。
【0003】
それゆえ、公知の輸送用および貯蔵用容器におけるベースフレーム上の床部は、プラスチックの内部容器のための受け領域の下方の境界を成す。外郭は、側方の境界、および上方の境界を成す。
【0004】
換言すると、ベースフレーム上の床部と外殻との組み合わせは、このように、プラスチック内部容器のための包囲構造を形成し、内部容器が完全にまたは部分的に収容され、特に充填された状態で、位置が保持される(remains positioned)。例えば内部容器の上昇力、または移送中における充填物の急激な変動の結果、包囲構造に力が作用した場合、機械的なストレスが包囲構造を強烈な荷重または変形にさらし得る。
【0005】
過度な荷重または変形された包囲構造によって内部容器が損傷する虞を回避するためには、包囲構造の剛性をできるだけ高く設計して、対応する包囲構造の荷重または変形をできるだけ小さく抑えることが好ましい。一方、当然の目的は、少なくとも包囲構造内の内部容器を位置決めすることであり、そのために、特に、床部の支持表面を形成する床仕切が設計される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、少なくとも機械的な観点からは、この床仕切は床部の剛性を低下させるソフトスポットを形成し、床仕切は、可能な最も高い剛性の包囲構造を確立するという点で否定的な影響を有している。
【0007】
そこで、本発明の目的は、一方で、床仕切が床部の支持表面を形成し、他方で、可能な最も高い剛性の包囲構造を呈しつつ、好ましい位置への内部容器の配置を可能にする液体の輸送用および貯蔵用容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を呈する(有する)輸送用および貯蔵用容器によって達成される。
【0009】
本発明によれば、支持表面を支持端部から分離する床仕切を有する輸送用および貯蔵用容器の床部は、力が外殻から床部に導かれる少なくとも1つの接合部において、低減された仕切の高さ(下仕切を意味する。)を呈する。この下仕切は、仕切の好ましい位置の効果を減じることのないように、接合部の領域に形成され、接合部に直接隣接する床部を他の領域よりも高剛性にさせる。剛性が高められた結果、接合部の領域の床部は、床部の変形、および、したがって対応する包囲構造の変形を伴うことなく、比較的大きな張力を吸収することができる。
【0010】
本発明によって可能になる上記効果を得るためには、仕切の高さが支持表面のレベルまで低くされることが特に有利である。しかし、本発明の教示は、基本的に既に、接合部における比較的わずかな仕切高さの低下または低減を介して、有利な剛性の向上を達成するのに用いられ得る。
【0011】
仕切が、1つの仕切の畝(crest)から支持表面に向けてランプ(ramp)の形で連続的に低下されることは特に有利であり、それによって、断面の急変を回避し、したがって、フラックス(flux)の方向の変化は、単なる比較的小さなものとなる。特に、これは、接合部の領域でクラック(cracks)が形成されるのを未然に防止する。
【0012】
もし、下仕切が、支持端部における少なくとも2つの対向する領域に形成されれば、剛性向上効果は、より強調される。
【0013】
下仕切がベースフレームの支持足の近傍に形成され、これによってさらにこの位置での支持足における、床部補強効果を強調することは特に有利である。
【0014】
もし、下仕切が、内部容器の排出口のための低床部と対向して配置された後部中央支持足の領域に形成されれば、強化された引張応力軸が、後部中央支持足の領域内の下仕切と連携して作用するように形成され得る。
【0015】
輸送用および貯蔵用容器の特に好ましい実施例においては、ベースフレームは、2つの対向する支持足を横断的に連結する補強プレートを呈し、下仕切は、2つの対向する支持足の領域に形成され、支持足の領域の床仕切は、さらに補強プレートの床部補強効果を増大させる。
【0016】
以下、本発明の実施例が図面に基づいて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】輸送用および貯蔵用容器の斜視図である。
【図2】支持足を有するベースフレームの斜視図である。
【図3】図2のベースフレーム上に配置された床部の斜視図である。
【図4】図3の床部における領域IVの部分断面図である。
【図5】図3の床部における領域Vの部分断面図である。
【図6】図1の輸送用および貯蔵用容器における断面線VI−VIに沿った、内部容器を省略した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、内部容器11を伴う輸送用および貯蔵用容器10を示し、内部容器11は、その内部容器11を機械的な荷重から遮蔽する包囲構造12内に配置される。輸送用および貯蔵用容器10の包囲構造12は、パレット様の基台13上に配置された外殻14を呈し、本例では、互いに交差して格子構造を形成する複数の水平ロッド15および垂直ロッド16から成っている。
【0019】
外殻14は、ここでは下方の水平ロッド15によって構成される下端部17で基台13の床部18上に載置される。本例では、剛性を高めるために、外殻14の上端に、さらにトラバースロッド35が設けられる。
【0020】
図2と図3とを併せて参照すれば明らかなように、図3に示される床部18は、特に図2に示されるベースフレーム19上に配置されている。ベースフレーム19は、連続フレームチューブ36を呈し、フレームの角に設けられた4つの支持足20と、補強プレート21の端部領域によって形成された支持足22と、図1に関連して見出され得るように、前部中央支持足26を含む低床部25(lowered floor)と反対側に位置する後部中央支持足23とを有している。
【0021】
図2と図3とを併せて参照すれば明らかなように、床部18は、支持端部27(bearing edge)によって支持足20,22,23上に載置され、床仕切28(floor barrier)を呈する。床仕切28は、支持端部27に平行に延び、内部容器11を支持するための床部18の支持表面30(supporting surface)を支持端部27から分離し、そして中央の支持足22の領域に、それぞれの下仕切29(lowered barrier)が設けられている。
【0022】
図4は、下仕切29の領域における床部18の部分断面の大幅に簡略化した概略図を示す。これに対して、図5は、床仕切28の領域における床部18の部分断面を示す。図4に示されるように、下仕切29の領域の床部18は、支持端部27によって、支持足22の連結ウェブ33上に載置される。支持端部27は、外殻14の下端部17と連結ウェブ33との間に設けられ、連結ピン37が、下端部17と床部18とを支持足22の連結ウェブ33に接合し、連結摩擦接合による接合部32を確立する。下仕切29の結果として、表された典型的な実施例における支持端部27から支持表面30への変化は、実質的に等しい。
【0023】
図5に示される支持端部27は、また、床部18の支持表面30の平面内に位置する。しかし、支持端部27と支持表面30との間の床仕切28は、床部18内で波部を形成し、床部18は、図4および図5に示される張力Fが作用したときに、床仕切28の領域で比較的低下した強度を呈する。床仕切28、または床仕切28によって床部18に形成される波部の結果、床部18に用いられる材料の降伏強度よりも小さい張力が作用したときに、図4に示される下仕切29の場合には、床部18は伸びない一方、図5に示される床仕切28の領域では、実質的に床仕切28の高さhに対応する範囲だけ、張力Fの方向に床部18が伸びる。したがって、床部18の平面内で働く張力が作用する、図5に示される床仕切28の領域内よりも、図4に示される下仕切29の領域の方が、床部18は強いと明言される(must be stated)。
【0024】
また、図1〜図4から見出されるように、床部18の支持端部27は、床部18が、それぞれ支持足20,22,23の位置によって定義される接合部32において、外殻14の下端部17、およびベースフレーム19と同時に接合されるようにして、支持足20,22,23と、外殻14の下端部17との間に、設けられる。この目的のため、接合部32には、既に上記したように連結ピン37が設けられる。
【0025】
図1の断面線VI−VIに沿った輸送用および貯蔵用容器10の断面において、図6は、輸送用および貯蔵用容器10が床に対して傾けられることによって、輸送用および貯蔵用容器10が下張り床(subfloor)に不均等に置かれる場合に生じ得る種類の荷重の例を示す。図6に例示される荷重において、降ろされる際に、輸送用および貯蔵用容器10の縦方向の端が、最初に寄りかかる(rests)。その結果、包囲構造12が押しつぶされ、または少なくとも圧縮力にさらされ、対応する反力Rと連携して、垂直ロッド16の方向により規定される圧縮力Fが、接合部32の領域で、接合部32に作用し、包囲構造12の形状が、床部18内で、中央部の支持足22の間に形成される荷重または引張軸34(loading or tensile axis)に沿って作用する張力Fを引き起こす。
【0026】
図6に表される力の例において、床部18は、一方で、床部18の下方に設けられ、その端部領域が支持足22を形成する補強プレート21によって、また、他方で、下仕切29が、接合部32の領域内の床仕切28内に形成されるという事実によって、引張応力によって定義される引張軸34の方向に効果的に補強される。床部18が、下仕切29の領域で接合部32の間に形成される床仕切28と比較して、低下された柔軟性を呈するという事実は、ここで床部18を補強する。
【符号の説明】
【0027】
10 輸送用および貯蔵用容器
11 内部容器
12 包囲構造
13 基台
14 外殻
15 水平ロッド
16 垂直ロッド
17 下端部
18 床部
19 ベースフレーム
20 支持足
21 補強プレート
22 支持足
23 後部中央支持足
25 低床部
26 前部中央支持足
27 支持端部
28 床仕切
29 下仕切
30 支持表面
32 接合部
33 連結ウェブ
34 引張軸
35 トラバースロッド
36 連続フレームチューブ
37 連結ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部容器(11)、
特に金属格子フレームまたはシートスチールから成る外殻(14)、および
スタッカートラック、スタッカークレーン、または類似した輸送手段を用いてハンドリング可能に設けられたパレット様の基台(13)を有する、液体の輸送用および貯蔵用容器(10)であって、
基台(13)は、内部容器(11)、および支持足(20,22,23)を有するベースフレーム(19)を補強する床部(18)を呈し、
床部(18)は、内部容器(11)のための支持表面(30)、および床仕切(28)によって上記支持表面(30)と分離され、外殻(14)の下端部(17)とベースフレーム(19)との間に配置された支持端部(27)を呈し、
外殻(14)の下端部(17)は、少なくとも1つの接合部(32)で、支持端部(27)を介してベースフレーム(19)に作用する結合装置によって、ベースフレーム(19)に摩擦によって連結され、
上記床仕切(28)は、接合部(32)の領域で、下仕切(29)を呈することを特徴とする液体の輸送用および貯蔵用容器。
【請求項2】
請求項1の液体の輸送用および貯蔵用容器であって、
上記下仕切(29)は、ランプの形で、連続的にデザインされていることを特徴とする液体の輸送用および貯蔵用容器。
【請求項3】
請求項1および請求項2のうち何れか1項の液体の輸送用および貯蔵用容器であって、
上記下仕切(29)は、支持端部(27)における少なくとも2つの対向する領域に形成されていることを特徴とする液体の輸送用および貯蔵用容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか1項の液体の輸送用および貯蔵用容器であって、
上記下仕切(29)は、支持足(20,22,23)の領域に形成されていることを特徴とする液体の輸送用および貯蔵用容器。
【請求項5】
請求項4の液体の輸送用および貯蔵用容器であって、
上記下仕切(29)は、内部容器(11)の排出口のための低床部(25)と反対側に位置する後部中央支持足(23)の領域に形成されていることを特徴とする液体の輸送用および貯蔵用容器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうち何れか1項の液体の輸送用および貯蔵用容器であって、
ベースフレーム(19)は、2つの対向する2つの支持足(22)を横断的に連結する補強プレート(21)を呈し、
下仕切(29)は、2つの対向する支持足(22)の領域に形成されていることを特徴とする液体の輸送用および貯蔵用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−56636(P2012−56636A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190378(P2011−190378)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(510094263)
【Fターム(参考)】