説明

液体または粉末用の、リストバンドに取り付けられたディスペンサ

本発明は、日焼け止め剤または殺菌剤などの液体または粉末の物質を分配するためのディスペンサを備えた、手首の上に着用するための腕輪を提供する。このディスペンサは手首の手のひら側にあり、ユーザがアクチベータを押すと、ユーザの手のひら上に前記物質の一部を放出する。このディスペンサはほぼ腕時計のサイズである。このディスペンサの好ましい態様は、任意の方向で作動するポンプを利用する。このポンプは、ピストンの運動によって生じた空気圧の違いを使用して、物質をチャンバへ引き込み、一方向バルブを通してチャンバから物質を吐き出す。このポンプの好ましい態様における一方向バルブは、それが圧力の違いに応答して屈曲するときに開くシリコンダイヤフラムと、ダイヤフラムが一方向のみに屈曲することを可能にするダイヤフラムのための支持体とから作られる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2005年9月15日に出願された米国仮特許出願第60/717,507号、John Yapaola、Wrist-mounted dispenser for hand-applied materials、ならびに2006年6月5日に出願された、同第60/811,008号、John YapaolaおよびDavid Conroy、Wristband-mounted topical lotion/liquid dispenserからの優先権を主張する。これらの仮特許出願の各々は、すべての目的のために、参照により本特許出願に組み入れられる。
【0002】
連邦政府によって資金援助された研究または開発に関する陳述
適用なし。
【0003】
配列表の参照
適用なし
【背景技術】
【0004】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、液体および粉末のディスペンサに関し、より詳細には、個別の量で液体または粉末を分配するようなディスペンサに関する。
【0005】
2.関連分野の説明
局所用ローションまたは粉末を手によって頻繁に塗布することが望ましい状況は多く存在する。1つの例は、ローションまたは殺菌剤溶液の手への塗布であり;別の例は日焼け止めまたは日焼けローションの塗布であり;第3の例は虫よけ剤の塗布である。ローションまたは粉末の容器を用いることが不便な可能性がある職場または海辺などの環境において塗布する必要が起こるという事実によって、頻繁な塗布は、しばしば、より困難にされる。必要な場合に利用可能である溶液または粉末を持つという問題を解決するための1つのアプローチの開示は、www.wristbands.com.au/sun_screen_wristbands.htm(非特許文献1)において、2006年4月14日に見い出すことができた。そこに開示されている日焼け防止剤リストバンドは、50 mLの日焼け防止剤の入ったチューブである。このチューブはキャップで閉められ、手首または腕に着用できる腕輪の形態をとる。日焼け防止剤を塗布するには、腕から腕輪を取り外し、次いで、日焼け防止剤の通常のチューブから塗布するのと同様に、日焼け防止剤を塗布する:キャップを開け、片方の手を使ってチューブから他方の手のひらに日焼け防止剤を絞り出し、次いで日焼け止めを塗布する。このアプローチは、2時間おき位に行うだけでよい日焼け防止剤の塗布のためには有用であるが、多数の実用的および美的な欠点を有する。
・腕輪を取り外す段階、キャップを開く段階、および日焼け止めを絞り出す段階を含む塗布のプロセスは、はるかにより頻繁な間隔で塗布しなくてはならない、殺菌剤などの物質を伴う使用のためには時間がかかり過ぎる。
・この腕輪は、一定量の日焼け止めを提供するための機構を有さない。
・この腕輪は補充不可能である。
・この腕輪は、通常の白またはピンク色の仕事服とともに着用するにはかさばり過ぎ、かつ目立ち過ぎる。
【0006】
物質を分配し、しかしより容易に使用でき、一定量の物質を提供し、補充可能であり、かつ通常の白またはピンク色の仕事服とともに着用されてもよいリストバンドが必要とされている。このようなリストバンドを提供することが本発明の目的である。
【0007】
【非特許文献1】www.wristbands.com.au/sun_screen_wristbands.htm(2006年4月14日検索)
【発明の開示】
【0008】
発明の簡単な概要
本発明の目的は、物質を分配するためのディスペンサに取り付けられた腕輪によって達成される。このディスペンサは、物質のための空間、ノズル、およびアクチベータを有し、アクチベータの上の指の圧力に応答して、ノズルを通して空間中の物質の一部を放出する。本発明のさらなる局面は以下を含む。
・腕輪は、手首の手のひら側にディスペンサがくるよう手首に着用され、ノズルは、放出される物質がその手首に付随した手の手のひらに向けて方向付けられるように、ディスペンサ上に配置される。
・このディスペンサは狙いを定めることができる。このディスペンサの狙いを定める1つの方法は、腕輪を曲げることによる。
・空間は物質で補充されてもよい。
・物質は容器中に入っており、空間は該空間にこの容器を配置することによって補充される。
・物質は液体または粉末であってもよく、殺菌特性または日焼け止め特性を有してもよい。
・このディスペンサは、アクチベータ上の指の圧力に応答して、ノズルを通して前記空間から物質を汲み出すポンプを備える。このポンプは、ディスペンサの方向による影響を受けない。
・このディスペンサは、ほぼ腕時計の中の時計のサイズであり、腕輪は、腕輪一般が使用されてきたかまたは使用される任意の方法でさらに使用されてもよい。
【0009】
ディスペンサの好ましい態様において使用されるポンプは、チューブ内を動くピストンを有する。このチューブは、末端、およびチューブの壁の中に第1の一方向バルブを有する。この一方向バルブは、チューブへの空気は許容するが、チューブから空気が出て行くことを妨げる。このポンプはさらに、第2の一方向バルブによって物質の供給源に接続可能である、チューブの末端に接続されている気密チャンバを有する。第2の一方向バルブは、チャンバ内の圧力が物質の供給源中の物質に対する圧力よりも低いときにのみ開く。この気密チャンバは、チャンバ内の圧力がバルブの他方の側の圧力よりも高いときにのみ開く第3の一方向バルブにさらに接続される。物質の供給源がチャンバに接続されるときのポンプの操作は以下の通りである:ピストンがチューブの末端から遠ざかるとき、チャンバ内の圧力は減少し、結果として、ピストンが第1の一方向バルブを通過するまで、物質の一部が、供給源から第2の一方向バルブを通してチャンバへ移動する。次いで、ピストンがチューブの末端に向けて戻ってくるときに、チューブ内の圧力は増加し、結果として、チャンバ内の物質は第3の一方向チューブを通して移動する。
【0010】
他の局面において、供給源からチャンバへ移動する物質の量は、チューブの末端に対する第1の一方向バルブの位置に依存し、それによりチャンバ内の圧力が増加するその量は、チューブ内のピストンの開始位置とチューブの末端との間の距離に依存する。
【0011】
好ましい態様のポンプは、可撓性ダイヤフラムおよびダイヤフラムの片側の支持体から作られる一方向バルブを備える。可撓性ダイヤフラムは、異なる圧力であり得る空間の間に配置される。ダイヤフラムは、ダイヤフラムが平坦であるときに閉じ、ダイヤフラムが圧力間の違いに応答して屈曲するにつれて次第に開く開口部を有する。支持体は、ダイヤフラムが空間の一方に向けて屈曲することは許容するが、他方に向けて屈曲することは許容しない。
【0012】
発明の詳細な説明
発明の概要
図1は、液体または粉末を分配するディスペンサ腕輪101の外観図を提供する。ディスペンサ腕輪101は、それが腕時計のように着用できるようにリストバンド103を備える。リストバンド103に取り付けされるものは、物質のタンク(示さず)を含むディスペンサ104、ポンプ105、およびピストン107である。ディスペンサ104は、ほぼ大きな腕時計のサイズである。ディスペンサ腕輪を作動させるには、ユーザは、腕輪を着用しながら、ピストン107を押す。ユーザがそうすると、分配される物質の少量がスピットバルブ109から噴出する。ユーザは、スピットバルブがユーザの手のひらに面するよう、彼または彼女の手首の下部側で腕輪101を着用する。ユーザが彼または彼女の他方の手の指でピストンを押すと、物質が、その手首にディスペンサ腕輪101を有する手の手のひらまたは指に付着する。次いで、ユーザは、所望に応じて物質を塗り広げることができる。ディスペンサ腕輪101は、使い捨て型または補充可能型のいずれかであり得、単一の区画または複数の区画のディスペンサであり得、異なる量および種類の物質を保存する。ディスペンサ101を使用して分配できる物質の中には、可能性のあるほんの少数のみを挙げると、消毒手洗浄液、日焼けローション、日焼け止め、香水、または虫よけ剤がある。
【0013】
腕輪101の異なる態様は、連続した流れでまたは所定の固定量で物質を分配できる。この腕輪は、ユーザの指からのアクチベータ(ここではピストン107)上の圧力に応答して物質を分配する。このアクチベータは、押すことに感受性であるトリガーまたは回転式ホイールトリガー(rotating wheel trigger)であってもよい。本発明の特に単純な態様において、腕輪のディスペンサ部分は可撓性プラスチックから作られるリザーバであってもよく、リザーバ内部の圧力が外側の圧力よりも高いときにのみ開くノズルを有する。このような態様において、アクチベータはリザーバの壁であり、ユーザは、単にリザーバの壁を押すことまたは圧迫することによってディスペンサを作動させる。ある態様において、リストバンドは、リストバンドに対してディスペンサ104の位置を変化させることによって、ユーザが物質の狙いを定めることを可能にするために十分に可撓性であり得る。他の態様において、接続は、バンドと、ユーザーが物質の狙いを定めることを可能にするディスペンサとの間に提供されてもよい。例えば、この接続は、ユーザが、バンドの上でディスペンサを回転させることを可能にさせてもよい。
【0014】
ディスペンサ104の詳細
第1の態様:図2
図2は、ディスペンサ104の第1の態様の詳細図201である。図201の主要な構成要素は、ポンプ105の図203であり、これは、詳細な上面図204、断面側面図216、および背面図206を含む。ディスペンサ104の三次元図は222に示す。これらの図において、対応する要素は同じ参照番号を有する。好ましい態様において、ディスペンサ101は使い捨て型のものである。分配される物質は、ポンプ105の区画221の中のゲルバッグ223に入っている。ディスペンサ101の使い捨て可能な態様において、ゲルバッグは、ディスペンサ101が製造されるときに区画221の中に配置され;補充可能な態様において、ユーザは、物質のゲルバッグを別で購入し、それを区画221に配置してもよい。このような態様において、フロントキャップ205を取り外すことによって区画221へのアクセスを得てもよい。
【0015】
まず上面図204から始めると、ポンプ105の好ましい態様はフロントキャップ205を有する。フロントキャップ205が備えるものは、一方向スピットバルブ215である。一方向スピットバルブ215は、物質の小塊がポンプ105から出て行くことを許容するが、ポンプ105に空気が入ることを許容しない。ポンプハウジング207は、ピストン209がその中を動くチューブ217、およびピストン209のためのガイドレール211を備える。一方向エアバルブ213は、空気がチューブ217に入ることを許容するが、空気がチューブ217を出て行くことを許容しない。ピストン209は、ディスペンサ101のユーザによって押されたときに、チューブ217内で前方へ動く。ピストン209の部分212は、チューブ217内のピストン209の行程の一部の間に、一方向エアバルブ213の開口部を覆うことが注意されるべきである。
【0016】
続いて側面図216では、ピストン209は、ばね210に対抗して作用する。ユーザは、ばねに対抗してピストン209を押し、ばね210はその前の位置までピストンを押し戻す。ピストン209はその前向きと後ろ向きの両方のストロークにおいて作用する。ピストンは、後ろ向きのストロークにおいてゲルバック223から物質を吸い上げ、前向きのストロークにおいてノズル215を介して物質をポンプ205からを押し出す。ポンプの操作は、ピストン209およびチューブ217に加えて、一方向エアバルブ213、一方向スピットバルブ215、一方向バルブ225、ならびにチャンバ219および221に関わる。
・チャンバ221はゲルバック223を含み、常に周囲の大気圧である。
・チューブ217の末端およびチャンバ219は、開口部218によって相互接続される。チャンバ219内の圧力は、チューブ217内のピストン209の動作、および一方向エアバルブ213とのピストン209の相互作用によって決定される。
【0017】
ポンプ105の操作サイクルは以下の通りである:
1.第1のストロークは開始ストロークである。操作の初めにおいて、ピストン209は、チューブ217内のその後方位置にあり、チャンバ219は大気圧にあり、かつ分配される物質のレベルは、チャンバ219内の一方向スピットバルブ215の下にある。ユーザがチューブ217内でピストン209を前方に押すと、チャンバ219内の空気圧が上昇し、この圧力により一方向スピットバルブ215が開かれる。
2.前向きのストロークの最後には、ばね210はピストン209を戻す。後ろ向きのストロークには2つのパートが存在する:一方向エアバルブ213がピストン209の部分212によって覆われる第1のパート、および一方向エアバルブ213が部分212によって覆われない第2のパート。
(a)エアバルブ213は後ろ向きのストロークの第1のパートの間、覆われるので、チャンバ219内で減圧が生じる。減圧に応答して、一方向スピットバルブ215は閉じたままであり、チャンバ221の周囲の大気圧がゲルバッグ223に対して作用して、物質の内容物をチャンバ219に出させる。チューブ217およびチャンバ219の寸法ならびにチューブ217内の一方向エアバルブ213の位置は、出された物質の量がチャンバ219の大部分を満たすように選択される。
(b)第2のパートの間、一方向エアバルブ213は、チューブ217が大気圧の空気で満たされるように、覆われない。
3.次の前向きストロークにおいて、一方向エアバルブ213は、チャンバ217内の空気がチャンバから出て行くことを防ぎ、それゆえに、圧縮空気はチャンバ219への開口部218を介してその通路を見い出し、空気は、先行する後ろ向きのストロークの第1のパートの間にチャンバに吸い込まれた物質を、一方向スピットバルブ215の外へ出させる。出された物質の量は、チャンバ217のサイズ、チャンバ内の一方向スピットバルブ215の位置、および一方向バルブの後のピストンのストロークの長さに依存する。
次の後ろ向きのストロークにおいて、チャンバ219は物質で満たされ、チューブ217はちょうど説明したように再び空気で満たされ、このサイクルが継続する。
【0018】
一方向バルブ213および225は、関連技術における標準的な要素である。一方向スピットバルブ215は、ケチャップ容器で使用されるアンチドリップバルブの適応である。これらのアンチドリップバルブは、その2つの側の圧力の違いに応答して膜が隆起する(bulge)ときに開き、圧力の違いが終了するときに再度閉じるスリットを備えたシリコン膜である。アンチドリップバルブは自動的に閉じるので、ケチャップは、滴らずに一気に容器から出る。同じ理由により、前記物質がチャンバ219から出されるとき、これは滴らずに一気に出る。
【0019】
ケチャップ容器のものと同様にアンチドリップバルブをスピットバルブ215に使用することに伴う問題は、ケチャップ容器内の空気圧が大気圧よりも低いときにもまた、アンチドリップバルブは空気がケチャップ容器に入ることを可能にするために開くことである。このことはケチャップ容器においては望ましいが、チャンバ219内に減圧が存在するときには、一方向スピットバルブ215は開いてはならない。バルブ215の一方向作用は支持体220の手段によって達成され、これは、チャンバ219内に減圧が存在するときに、スピットバルブ221が隆起してそれによって空気が入ることを許容するために開くのを防ぐが、しかし、チャンバ219の内容物が、スピットバルブ215に達することを完全に妨げるわけではない。従って、チャンバ215の圧力が大気圧よりも高いとき、チャンバ219に含まれる空気または物質は一方向スピットバルブ215を介して出ることができるが、チャンバ219内に減圧が存在するとき、一方向スピットバルブは閉じたままである。
【0020】
第2の態様:図3〜5
図3は、ディスペンサ104の第2の態様301の種々の図を示す。ディスペンサ301は、第1の態様201と同じ一般的原理に従って作動する。303において側面図が示され、311において上面図が示され、および313において端面図が示される。前面および背面からの三次元図は313に示され;分配される物質を含むゲルバッグ317は一方向バルブ319を有する。この文脈において関心対象であるディスペンサ301の構成要素は、ハウジング305、フロントキャップ309、ピストン307、およびノズル315である。ディスペンサ301において、フロントキャップ309は取り外し可能であり、ゲルバッグ317の交換を可能にする。
【0021】
図4は、ディスペンサ301の分解図401および断面図413を示す。分解図401の左から始めると、ノズル315のための穴402を有するフロントキャップ309、および2つの構成要素:スピットバルブ403と、スピットバルブ403が右側に屈曲することを防ぐ支持体405とを有するノズル315が見られる。物質チャンバ407は、ピストン307がその中を動くチューブへの通路によって接続され、ピストン307が後ろに動くときにゲルバッグ317からの物質で満たされるキャビティーを有する。次いで、一方向バルブ319を有するゲルバッグ317、ゲルバッグ317のためのチャンバ408を有するハウジング305、および物質チャンバ407とチューブとを接続する通路にある穴409、ピストン307のためのばね411、および最後にピストンそれ自体が来る。
【0022】
断面図401は、物質チャンバ407の中のキャビティー419、およびキャビティー419を穴409に接続する通路421をさらに示す。穴409は、次には、ピストン307がその中を動くチューブ415に接続される。一方向バルブ423は、ゲルバッグ317のためのチャンバ408にチューブ415を接続する。通路425は、チャンバ408が大気圧のままであることを保証する。ディスペンサ301は、ディスペンサ201とちょうど同じ様式で作動する。ディスペンサ301の利点には以下が含まれる:
1.キャビティー408に向けて開くような一方向エアバルブ423の位置が、ディスペンサ301の全体の高さを減少し、エアバルブ423を保護する。
2.物質チャンバ419は、ゲルバッグ317からチャンバ419へ引き出される物質中の空気のポケットの形成を最小化するように設計されている。このようなポケットは、ピストンがチューブ415の末端に向けて動くときに、生成した空気の噴射がチャンバ419内のすべての物質を押し出さないようにする。空気の噴射の力を最大化することは、より高粘度の物質において特に重要である。
3.スピットバルブは、ゲルバッグのノズル318とともに一直線上にあるように再配置されている。この新たな位置もまた、チャンバ419内の物質の中で空気のポケットが形成されることを防ぐ。
【0023】
一方向スピットバルブ315の詳細:図5
一方向スピットバルブ315は、Seaquist Closures, 711 Fox St., Mukwonago, WI 53149によって、名称SimpliSqueeze(登録商標)の下で製造されている型のシリコンバルブ403を組み込んでいる。図5の403に示されるように、バルブ403はスリット501を有するシリコンダイヤフラム502である。ダイヤフラム502の両側の間の圧力の違いにより、ダイヤフラム502が、より低い圧力を有する側に向けて隆起するときに、スリット501によって定義されたフラップが押し戻り、物質はスリット間のダイヤフラムの一部を通して通過することができる。バルブ403のようなシリコンバルブは、典型的には、ケチャップ容器のような用途において使用される。ケチャップ容器が圧迫されるとき、バルブは外側に隆起して開き、ケチャップの小塊が外に出て、バルブは外側に隆起することを止めて閉じ、次いで再度、内側に隆起して開いて空気がケチャップ容器に入ることを許容する。一旦、バルブの両側の圧力が等しくなると、バルブは隆起を止めて閉じる。
【0024】
シリコンバルブ403が一方向スピットバルブ315において使用されるとき、チャンバ419内の圧力が大気圧よりも大きいときにはこれは外側に隆起して開かなければならないが、しかし、チャンバ419内の圧力が大気圧よりも小さいときには、閉じたままでなくてはならない。チャンバ419内の圧力が大気圧よりも小さいときに、このバルブが内側に隆起することが許容されなければ、このバルブは閉じたままである。バルブ403が内側に隆起することを防ぐために、好ましい態様は支持体405を利用する。支持体405はまた、バルブ403が開いているときにチャンバ419内の物質が支持体405を通過することを許容するためのスロット505と、チャンバ419が大気圧よりも小さい圧力であるときに、ダイヤフラム402を支え、かつバルブ403が内側に隆起して開くことを防ぐ表面503とを有する。507において、その中に設置された一方向スピットバルブ315の構成要素403および405を有するフロントキャップ309の詳細な断面が示される。
【0025】
結論
前述の詳細な説明は、腕輪およびディスペンサ、ならびにディスペンサの好ましい態様において利用されるポンプおよび一方向バルブを備えた、物質を分配するための装置をいかにして作製および使用するかを関連技術の当業者に対して開示し、さらに、物質を分配するための装置、ポンプ、および一方向バルブを作製することおよび使用することの、本発明者らに公知である最良の形態を開示してきた。しかし、本明細書に開示された原理に従って作動する、物質を分配するための装置、ポンプ、または一方向バルブが、本明細書に開示された好ましい態様から多くの方法で異なって作製され得ることは、関連技術分野における当業者には直ちに明らかになる。例えば、ディスペンサは、ユーザがアクチベータを押すときに、ディスペンサのリザーバからユーザの手のひらへ物質を移すための任意の利用可能な技術を使用してもよく、物質はその様式で有用に分配することができる任意の物質であってもよく、および腕輪は目的に適した任意の様式で作製することができる。本明細書に開示されたポンプの原理に従って作製されたポンプは任意のサイズであってもよく、それらの構成要素は互いに対して多くの異なる配置を有してもよい。同様に、本明細書に開示された一方向バルブのダイヤフラムは、それが屈曲されるときに、屈曲することおよび開くことに関して必要な特性を有する任意の物質から作られてもよく、支持体は、ダイヤフラムが一方向に屈曲することを許容する任意の方向で取り付けられてもよく、ダイヤフラムが他の方に屈曲することを防ぐ。前述の理由のすべてについて、詳細な説明は、すべての点において例示的でありかつ限定的ではないと見なされるべきであり、本明細書に開示された本発明の広さは、詳細な説明からは決定されず、むしろ、特許法によって許容される全体の広さを有すると解釈される特許請求の範囲から決定される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】物質のためのディスペンサを有するリストバンドの1つの態様の図である。
【図2】図1のリストバンドにおいて使用してもよいディスペンサの1つの態様の一連の詳細図である。
【図3】図1のリストバンドとともに使用してもよいディスペンサの別の態様の一連の図である。
【図4】図3のディスペンサの分解図および断面図を提示する。
【図5】一方向スピットバルブの好ましい態様の詳細図である。
【0027】
図中の参照番号は3桁またはそれ以上の桁を有する:右側の2桁は、残りの桁によって示される図面における参照番号である。従って、参照番号203を有する要素は、図2において要素203としてまず現れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕輪;および
物質のための空間と、ノズルと、アクチベータとを含む、該腕輪に取り付けられた、物質のためのディスペンサを備え、
前記ディスペンサが、アクチベータ上の指の圧力に応答して、ノズルを通して前記空間中に前記物質の一部を放出する、
物質を分配するための装置。
【請求項2】
ディスペンサが手首の手のひら側にあるように、腕輪が手首の上に着用され;かつ
放出された物質が該手首に付随した手の手のひらに向けて方向付けられるように、ノズルがディスペンサ上に位置している、
請求項1記載の、物質を分配するための装置。
【請求項3】
腕輪が可撓性であり、
それによって、ディスペンサが狙いを定めることができる、
請求項2記載の、物質を分配するための装置。
【請求項4】
ディスペンサが狙いを定めることができる、
請求項1記載の、物質を分配するための装置。
【請求項5】
腕輪が可撓性であり;かつ
ディスペンサが、腕輪を曲げることによって狙いを定めることができる、
請求項4記載の、物質を分配するための装置。
【請求項6】
空間が物質で補充され得る、
請求項1記載の、物質を分配するための装置。
【請求項7】
物質が容器中に入っており;かつ
空間が、該空間に該容器を配置することによって補充される、
請求項6記載の、物質を分配するための装置。
【請求項8】
物質が液体である、請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項9】
物質が粉末である、請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項10】
物質が殺菌特性を有する、請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項11】
物質が日射に対して皮膚を保護する特性を有する、請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項12】
ディスペンサが、
ノズルを通して前記空間から物質を汲み出すために、アクチベータ上の指の圧力に応答性であるポンプをさらに備える、
請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項13】
ポンプの操作がディスペンサの方向による影響を受けない、請求項12記載の装置。
【請求項14】
ディスペンサが、ほぼ腕時計の中の時計のサイズである、請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項15】
腕輪が、腕輪一般が使用されてきたかまたは使用される任意の方法で、さらに使用されてもよい、請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項16】
チューブ内を動くピストンであって、該チューブが末端および該チューブの壁の中の第1の一方向バルブを有し、該一方向バルブが、空気がチューブ内に入ることを許容するが、そこから空気が逃げることを妨げる、ピストンと;
物質の供給源が、チャンバ内の圧力が供給源中の物質の圧力よりも低いときに開く第2の一方向バルブによって接続されることが可能である気密チャンバであって、チューブの末端に、およびチャンバ内の圧力が第3の一方向バルブの他の側の圧力よりも高いときにのみ開く第3の一方向バルブに、さらに接続される気密チャンバとを備え、
物質の供給源がチャンバに接続され、ピストンがチャンバ内の圧力を低下させるためにチューブの末端から遠ざかるときに作動し、それによって、ピストンが第1の一方向バルブを通過するまで、物質の一部を供給源から第2の一方向バルブを通してチャンバへ移動させ、次いで、ピストンがチャンバ内の圧力を上昇させるためにチューブの末端に向けて戻っていくときに作動し、それによって、チャンバ内の物質を第3の一方向バルブを通して移動させる、
ポンプ。
【請求項17】
供給源からチャンバへ移動する物質の一部のサイズが、チューブの末端に対する第1の一方向バルブの位置に依存する、請求項16記載のポンプ。
【請求項18】
ピストンが、そこから該ピストンがチューブの末端に向かって動く開始位置を有し;かつ
チャンバ内の圧力の上昇が、該開始位置とチューブの末端との間の距離に依存する、
請求項16記載のポンプ。
【請求項19】
ピストンを、チューブの末端から遠ざけて第1の一方向バルブの向こう側にある開始位置まで推進するばねを備える、請求項16記載のポンプ。
【請求項20】
ばねがチューブの内側に位置する、請求項16記載のポンプ。
【請求項21】
物質が供給源からチャンバへ移動させられるときに、物質中のエアポケットの形成を防ぐようにチャンバが構成されている、請求項16記載のポンプ。
【請求項22】
第2および第3の一方向バルブがチャンバ内で互いに実質的に反対側に位置する、請求項16記載のポンプ。
【請求項23】
第3の一方向バルブが、
ダイヤフラムが平坦であるときに閉じ、チャンバ内部の圧力とチャンバ外部の圧力との間の違いに応答して該ダイヤフラムが屈曲するにつれて次第に開く開口部を有する可撓性ダイヤフラムと;
チャンバ内部の圧力がチャンバ外部の圧力よりも高いときにダイヤフラムが屈曲することを許容するが、チャンバ外部の圧力がチャンバ内部の圧力よりも高いときに、ダイヤフラムが屈曲することを防ぐ支持体とを備える、
請求項16記載のポンプ。
【請求項24】
支持体が、チャンバから屈曲したダイヤフラムを通る物質の通過をさらに許容する、請求項23記載のポンプ。
【請求項25】
ポンプの構成要素が、チューブの末端に向けてピストンを動かすために指の圧力下で作動するアクチベータをその上に有する第1の側を有するモジュールを形成し、物質の供給源がチューブに平行なモジュール内の空間にあり、かつ第3の一方向バルブが第1の側の反対側であるモジュールの第2の側の上にある、請求項16記載のポンプ。
【請求項26】
チューブ内のピストン;チャンバに接続された1つの末端を有するチューブ;チューブに気体が入ることを許容するがチューブから気体が出ることを許容しない一方向バルブを有するチューブ;ピストンが一方向バルブを通過するまでチャンバ内の気体の圧力を減少させる、末端から遠ざかるピストンの運動;およびチャンバ内の気体の圧力を増加させる、末端に向かうピストンの運動によって特徴付けられ、
それによって、末端から遠ざかるピストンの運動に際してチャンバへ移動される物質の量が、チューブの末端に対する一方向バルブの位置に依存する、
気体の圧力の違いが、ポンプ内のチャンバへまたはポンプ内のチャンバから物質を移動させるために使用される型のポンプ。
【請求項27】
ピストンが、そこから該ピストンがチューブの末端に向かって動く開始位置を有し;かつ
チャンバ内の圧力の上昇が、該開始位置とチューブの末端との間の距離に依存する、
請求項16記載のポンプ。
【請求項28】
ダイヤフラムが平坦であるときに閉じ、圧力間の違いに応答して該ダイヤフラムが屈曲するにつれて次第に開く開口部を有する、異なる圧力であり得る空間の間に位置している可撓性ダイヤフラムと;
空間の1つに向かってダイヤフラムが屈曲することを許容するが、他の空間に向かって屈曲することは許容しない、ダイヤフラムの1つの側の支持体とを備える、
一方向バルブ。
【請求項29】
支持体が、屈曲したダイヤフラムを通る物質の通過をさらに許容する、請求項28記載の一方向バルブ。
【請求項30】
可撓性ダイヤフラムが第1のフレームを有し;
支持体が第2のフレームを有し;かつ
第1のフレームおよび第2のフレームが、可撓性ダイヤフラムに対して垂直である軸に関して同軸である、
請求項28記載の一方向バルブ。
【請求項31】
支持体が第2のフレームの中心の領域を占め;かつ
該支持体と該第2のフレームとの間に1個または複数の穴が存在する、請求項30記載の一方向バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−508673(P2009−508673A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531283(P2008−531283)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/035681
【国際公開番号】WO2007/035366
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(508080056)ピーリスタイン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】