説明

液体を添加した混合ガスの噴射装置

【課題】液体を添加した定量の混合ガスを間欠的に被噴射体に噴射させる液体を添加した混合ガスの噴射装置を得る。
【解決手段】炭酸ガスボンベBを取り付けたガス供給手段2と、薬液容器Mを取り付けた薬液供給手段3と、供給された高圧ガスと液体を混合して噴射する噴射手段5と、操作手段1とから成り、操作手段1の操作により高圧ガス及び液体を噴射手段5に導入し、噴射手段5から液体を含む混合ガスを得る装置であって、操作手段1は操作押釦の操作によりガス供給手段2、薬液供給手段3に対する操作部を機械的に作動して、定量の高圧ガス及び液体を得て、噴射手段5であるノズルから定量の混合ガスをパルス的に噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被噴射体に作用させるための液体を添加した混合ガスの噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばオーラルケアにおいて、薬液を添加した所定量の混合ガスを歯間に間欠的に噴射し、歯間を清掃する機器が要望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願人は例えば特許文献1において、定量の高圧ガスを供給するガス供給装置を提案しているが、この供給装置を用いて薬剤と混合した混合ガスを噴射する装置についてはまだ実現されていない。
【0004】
本発明の目的は、液体を添加した定量の混合ガスを間欠的に被噴射体に噴射する液体を添加した混合ガスの噴射装置を提供することにある。
【0005】
【特許文献1】特開平8−141450号公報
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る液体を添加した混合ガスの噴射装置は、ガス供給手段と、液体供給手段と、供給された高圧ガスと液体を混合する気液混合手段と、該気液混合手段による混合ガスを噴射する噴射手段と、前記ガス供給手段、液体供給手段を作動させる操作手段とから成り、該操作手段の操作により前記高圧ガス及び液体を前記気液混合手段に導入し、前記噴射手段から前記液体を含む前記混合ガスを得る液体を添加した混合ガスの噴射装置であって、前記操作手段は押釦の操作により前記液体供給手段の弁部を作動して液体を得ると共に、カム機構により前記ガス供給手段の弁部を作動して前記高圧ガスを得て、前記液体及び前記高圧ガスを前記気液混合手段を経て前記噴射手段から定量の前記混合ガスとして噴射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る液体を添加した混合ガスの噴射装置によれば、操作手段の操作により液体入りの所定量の混合ガスが噴射手段から噴射される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は液体を添加した混合ガスの噴射装置の正面図、図2は側面図を示し、操作手段1と、ガス供給手段2と、薬液供給手段3と、気液混合手段4、噴射手段5とから構成されている。ガス供給手段2には炭酸ガスボンベB、薬液供給手段3には液体、例えば清涼剤を充填した薬液容器Mが取り付けられている。また、薬液供給手段3と気液混合手段4との間には薬液配管6が接続されている。更に、気液混合手段4からはノズルから成る噴射手段5が上方に突出されている。
【0009】
そして、これらの手段の主な材料は、特に精密度を要する金属部品、耐久性を要する金属部品、ゴム製品を除いては、合成樹脂製とされている。
【0010】
図3は要部の縦断面図を示し、操作手段1はボディ11内に構成されており、水平方向に設けられた第1のシリンダ孔12内に、左端に操作押釦13を設けた第1のピストンロッド14が、間隔をおいて配置された2つのOリング15a、15bに内接して左右に移動自在に配置されている。2つのOリング15a、15b間の第1のピストンロッド14の周囲には、円筒カムから成るカム機構が形成されており、右方から左方に小径カム16、傾斜カム17、大径カム18が設けられ、これらのカム16〜18の周囲の空間はガス供給室19とされている。また、ボディ11には外部へのガス排出孔20が設けられ、ボディ11の内部において、ガス供給室19に連通されている。また、ガス排出孔20はボディ11の外部においては、気液混合手段4の混合室に連通されている。
【0011】
第1のピストンロッド14の内部には、同軸に右方を開放し左方を閉塞した第2のシリンダ孔21が形成されており、この第2のシリンダ孔21内に第2のピストンロッド22が左右動自在に取り付けられている。第2のピストンロッド22の中間にはフランジ部23が設けられ、第2のピストンロッド22の前端は細径とされ、ボディ11に設けられた孔部から外方に突出され、その先端には半球形のプッシュ部材24が固定されている。フランジ部23の左側の第2のシリンダ孔21内には第1の圧縮コイルばね25が配置され、フランジ部23の右側のボディ11の壁部との間に第2の圧縮コイルばね26が配置され、それぞれ第2のピストンロッド22に周設されている。第2の圧縮コイルばね26は第1の圧縮コイルばね25よりも付勢力が弱くされているので、常時は第1のピストンロッド14は左方に付勢され、第1、第2のピストンロッド14、22は図1の位置に保持されている。
【0012】
ガス供給手段2の下部には、液化高圧炭酸ガスを充填した金属製の炭酸ガスボンベBが、ガス供給源としてボディ31に設けたボンベ取付口32に、螺合により交換可能に取り付けられている。
【0013】
ボンベ取付口32の奥部には、炭酸ガスボンベBの口金をシールするための円環状のゴムパッキン33が固定されている。ボンベ取付口32の中央には炭酸ガスボンベBの口金内に刺し込む穿刺部34が設けられ、穿刺部34の中心に導通孔34aが形成されている。
【0014】
穿刺部34の上方には、異物の混入を防ぐフィルタ35を取り付けたフィルタ保持部36が設けられ、その上方にボディ31と螺合し、第1、第2、第3の内部ホルダ37、38、39を内蔵したボディ40が設けられ、更にボディ40はボディ11と螺合している。
【0015】
第1、第2の内部ホルダ37、38は上下に連結され、これらの中央部に円筒形の計量室41が設けられている。計量室41の下部の第1の内部ホルダ37には下部細径孔42が形成され、この下部細径孔42の下方にゴム製のOリング43が配置されている。一方、計量室41の上部の第2の内部ホルダ38には上下方向に中径孔44が設けられ、この中径孔44の上方に連通して、第3の内部ホルダ39に上下方向に上部細径孔45が形成され、更に第3の内部ホルダ39内には上部細径孔45と連通する大径孔46が設けられている。
【0016】
計量室41内には上下動自在に可動軸部47が挿入され、圧縮コイルばね48により上方に付勢されている。この可動軸部47の上部は、計量室41の内径よりも稍々小さな径を有するフランジ49とされ、中部の軸50の径は周囲に圧縮コイルばね48を配置する大きさとされている。可動軸部47の下部には、下部細径孔42内を通過可能で先端を錐状とした小径の下部閉止軸51が設けられており、Oリング43が下部閉止軸51と共働して計量室41の下部を密閉するようにされている。
【0017】
また、可動軸部47の上部には、上部閉止軸52が固定されている。この上部閉止軸52の基部53は中径孔44を通過する径を有し、基部53の上部には上方に進むにつれ径が小さくなるテーパ部54を経て、先端に上部細径孔45内を通過する押圧ピン55が形成されている。第2、第3の内部ホルダ38、39の間には第2のOリング56が介在され、上部閉止軸52のテーパ部54との間で、計量室41の上部を密閉するようにされている。
【0018】
また、第3の内部ホルダ39内に設けられた大径孔46の上部に連通して、ボディ11の上下方向に第3のシリンダ孔57が形成されている。第3のシリンダ孔57内には、上部閉止軸52の押圧ピン55の上端と当接し、圧縮コイルばね58により上方に付勢されたピストンロッド59が配置されている。
【0019】
ピストンロッド59上には、図4に示すように第1のピストンロッド14の移動方向と直交する方向に向けて回転自在のローラ60が設けられており、ローラ60の上部は第1のピストンロッド14に設けたカム機構に当接され、またローラ60の下部はピストンロッド59に形成された凹部61により位置決めされている。また、ローラ60の軸62はボディ11に設けられた上下方向のスロット軸受63に沿って上下動自在とされている。
【0020】
このガス供給手段2において、ボディ31と穿刺部34の間、ボディ31とボディ40の間、第2の内部ホルダ38とボディ40の間、第2の内部ホルダ38と第3の内部ホルダ39の間、ボディ11と第3の内部ホルダ39の間に、シールのためのOリング64が配置されている。
【0021】
薬液供給手段3に固定される薬液容器Mは合成樹脂材から成る柔軟で偏平な容器であり、液体が充填されている。薬液容器Mの上部には定量の薬液が貯留する貯留室が設けられており、弁部をプッシュ部材24により押圧することにより、薬液容器Mからポンプ作用によって貯留室内の薬液が排出管から押し出されるようになっている。
【0022】
気液混合手段4の混合室には、ガス供給手段2からボディ11のガス排出孔20及び薬液供給手段3からの薬液配管6が連通されており、混合室から外方に噴射手段5が突出されている。
【0023】
使用に際しては、ガス供給手段2に炭酸ガスボンベBを固定し、薬液供給手段3に薬液容器Mをそれぞれ固定する。炭酸ガスボンベBをボンベ取付口32に螺合すると、炭酸ガスボンベBの口金はゴムパッキン33により密閉され、同時に穿刺部34が口金を覆う金属薄板を突き破る。これにより、炭酸ガスボンベBの内部の液化高圧炭酸ガスが気化して、例えば60kg/cm2の圧力の高圧炭酸ガスとなり、穿刺部34の導通孔34a、フィルタ35、下部細径孔42と下部閉止軸51との間を経て計量室41内に充填される。可動軸部47は圧縮コイルばね48の付勢力により上方に移動しており、上部閉止軸52のテーパ部54が第2のOリング56に密着しているので、計量室41内の高圧炭酸ガスが外部に漏れることはない。
【0024】
薬液容器Mはその排出管を薬液供給手段3の薬液配管6に接続すると共に、上部を薬液供給手段3に固定する。この固定により定量の薬液が貯留室に押し出されることになる。
【0025】
ここで、ガス供給手段2、炭酸ガスボンベBを片手で握り、操作手段1の操作押釦13、つまり第1のピストンロッド14を親指で押し込むと、図5に示すように、第1のピストンロッド14は第1の圧縮コイルばね25の付勢力に抗して図2の右方に移動し、第2のピストンロッド22も第2の圧縮コイルばね26の付勢力に抗して右方に押されるが、第2の圧縮コイルばね26の付勢力は弱いので、第2のピストンロッド22は早めに右方に動き出す。
【0026】
この作動によりプッシュ部材24は、薬液供給手段3に取り付けた薬液容器Mの弁部を押すことにより、薬液容器Mの貯留室内の薬液が押し出され、薬液は薬液配管6を介して気液混合手段4の混合室に導入される。また、薬液容器Mにおいては、薬液は再び貯留室内に押し出されることになる。
【0027】
ほぼ同時に、ローラ60に接する第1のピストンロッド14のカム機構は小径カム16から大径カム18に移行し、ローラ60は大径カム18により軸62を中心に回転をしながら下方に押圧される。ローラ60の下降によりピストンロッド59、押圧ピン55を介して可動軸部47が押し下げられる。この可動軸部47の下方への移動により、可動軸部47の下部閉止軸51がOリング43に挿入され、計量室41の下部は密閉される。一方、可動軸部47の上部においては、上部閉止軸52のテーパ部54はOリング56から離れるので、計量室41内に充填されていた高圧炭酸ガスは、中径孔44、上部細径孔45と押圧ピン55との間を経て、大径孔46内に急速に流れ込む。
【0028】
更に、大径孔46の高圧炭酸ガスはボディ11の第3のシリンダ孔57を経てガス供給室19に入り込み、ガス排出孔20を経て気液混合手段4の混合室に放出される。混合室においては、高圧炭酸ガスが噴射手段5から噴射する過程で薬液を混合しながら、噴射手段5の先端から薬液を含んだ混合ガスがパルス状に急速に噴射される。この混合ガスを例えば噴射手段5から歯間に噴き付けて歯間の清掃等を行う。この噴射される混合ガスは、1回当り、計量室41に充填された炭酸ガス量に相当する。
【0029】
操作押釦13から指を離すと、圧縮コイルばね25、26の付勢力により第1、第2のピストンロッド14、22は元の左側位置に移行する。この過程で、圧縮コイルばね48、57の付勢力によりローラ60はピストンロッド59、可動軸部47と共に押し上げられ、ローラ60の当接は大径カム18、傾斜カム17を経て小径カム16に移行する。
【0030】
また、可動軸部47の上昇により、計量室41の上部は上部閉止軸52のテーパ部54とOリング56により密閉され、計量室41の下部は、下部閉止軸51が引き上げられることから、Oリング43との間が開放され、炭酸ガスボンベBからの高圧炭酸ガスが再び計量室41内に充填される。
【0031】
そして、操作押釦13を押すことにより、再び前述の過程を経て噴射手段5から混合ガスが噴出される。このように、操作手段1の操作押釦13の操作を繰り返すことにより、混合ガスを反復して噴出することができる。
【0032】
なお、上述の実施例はオーラルケアに使用するものとして説明したが、これに限定するものではなく、各種用途に使用可能である。また、ガスは炭酸ガスに限定されることなく、液体も薬液や各種液体が使用できる。炭酸ガスボンベBB、薬液容器Mは外筐により覆うようにしてもよく、薬液配管6は外部に露出しないようにすることもできる。更に、噴射手段5は気液混合手段4の位置を変えると共に、任意の方向に向けることができる。
【0033】
噴射手段5からの混合ガスの噴射速度、ガス到達距離、噴射量、薬液の粒径などは、ノズルの径を始めとし各部材の設計値を適宜に設定することにより調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】正面図である。
【図2】側面図である。
【図3】要部の拡大縦断面図である。
【図4】ローラ機構の側面図である。
【図5】作動状態の要部の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 操作手段
2 ガス供給手段
3 薬液供給手段
4 気液混合手段
5 噴射手段
6 薬液配管
11、31、40 ボディ
12、21、57 シリンダ孔
13 操作押釦
14、22、59 ピストンロッド
19 ガス供給室
24 プッシュ部材
25、26、48、57 圧縮コイルばね
32 ボンベ取付口
37、38、39 内部ホルダ
41 計量室
42、45 細径孔
47 可動軸部
51、52 閉止軸
54 テーパ部
55 押圧ピン
60 ローラ
B 炭酸ガスボンベ
M 薬液容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給手段と、液体供給手段と、供給された高圧ガスと液体を混合する気液混合手段と、該気液混合手段による混合ガスを噴射する噴射手段と、前記ガス供給手段、液体供給手段を作動させる操作手段とから成り、該操作手段の操作により前記高圧ガス及び液体を前記気液混合手段に導入し、前記噴射手段から前記液体を含む前記混合ガスを得る液体を添加した混合ガスの噴射装置であって、前記操作手段は押釦の操作により前記液体供給手段の弁部を作動して液体を得ると共に、カム機構により前記ガス供給手段の弁部を作動して前記高圧ガスを得て、前記液体及び前記高圧ガスを前記気液混合手段を経て前記噴射手段から定量の前記混合ガスとして噴射することを特徴とする液体を添加した混合ガスの噴射装置。
【請求項2】
弁部は前記カム機構によるカム動作によって、前記ガス供給手段の前記弁部を押圧して作動させることを特徴とする請求項1に記載の液体を添加した混合ガスの噴射装置。
【請求項3】
前記ガス供給手段には高圧ガスボンベを取り付け、前記液体供給手段には液体容器を取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の液体を添加した混合ガスの噴射装置。
【請求項4】
前記ガス供給手段には計量室を設け、前記操作手段により前記計量室から前記気液混合手段への定量の高圧ガスを排出し、前記計量室に前記高圧ガスボンベから定量の高圧ガスの充填を行うことを特徴とする請求項3に記載の液体を添加した混合ガスの噴射装置。
【請求項5】
前記計量室内に可動軸部を配し、該可動軸部の上部及び下部には前記弁部としてそれぞれ閉止軸及びOリングを設け、前記可動軸部の上下動により前記上下の閉止軸を交互に作動することを特徴とする請求項4に記載の液体を添加した混合ガスの噴射装置。
【請求項6】
前記高圧ガスは高圧炭酸ガスとした請求項1〜5の何れか1つの請求項に記載の液体を添加した混合ガスの噴射装置。
【請求項7】
前記操作部により前記液体容器の弁部を作動して、前記液体供給手段から所定量の液体を供給させることを特徴とする請求項3に記載の液体を添加した混合ガスの噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−5563(P2010−5563A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169249(P2008−169249)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(390009818)日本炭酸瓦斯株式会社 (11)
【Fターム(参考)】