説明

液体エゼクター

【課題】ノズルから噴出する駆動流体が変位することを防止して、理論値とおりの吸引力を発生することのできる液体エゼクターを提供する。
【解決手段】 液体エゼクター4を、吸込室1とノズル部2とディフューザ部3とで構成する。ノズル部2と吸込室1の間に、吸込室1へ吸引される廃蒸気を旋回させる旋回部材5から成る気液分離部材を配置する。ディフューザ部3をタンク10に接続すると共に、循環ポンプ14と熱交換器15を介在して駆動流体供給管9をノズル部2と接続する。
液体エゼクター4に吸引される廃蒸気は、旋回部材5に衝突しながら旋回され、ノズル部2の駆動流体周辺の全体から吸引されることで、ノズル部2から噴出する駆動流体と効率良く混合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体エゼクターに関する。液体エゼクターは、水などの駆動流体をノズルから噴出させて、その流体の速度エネルギーによって吸込室に吸引力を発生して、ガスや蒸気などの流体を吸引するもので、排ガスの吸引排除や、蒸気の回収等各種の真空源として用いられている。
【背景技術】
【0002】
液体エゼクターは、ノズル部の細孔を比較的径の大きな細孔を中心に配置して、比較的径の小さな複数の細孔を、径の大きな細孔の周囲に配置したもので、液体エゼクターとして多量の気体を吸引することができると共に、設置方向が限定されることがないものである。
【0003】
この液体エゼクターにおいては、吸込室へ吸引されるガスや蒸気などの気体の流れによって、ノズル部から噴出する水などの駆動流体が変位されてしまい、理論値とおりの吸引力が発生できなくなってしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−94000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、ノズルから噴出する駆動流体が変位することを防止して、理論値とおりの吸引力を発生することのできる液体エゼクターを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流体を絞る細孔から成るノズル部と、当該ノズル部の周囲に形成した吸込室と、当該吸込室及びノズル部と連通したディフューザ部とから成るエゼクターにおいて、ノズル部と吸込室との間に、吸込室へ吸引される気体を旋回させる旋回部材から成る気液分離部材を配置したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液体エゼクターは、ノズル部と吸込室との間に、吸込室へ吸引される気体を旋回させる旋回部材から成る気液分離部材を配置したことによって、吸込室へ吸引されるガスや蒸気などの気体が、まず旋回部材に衝突して旋回させられた後で、ノズル部の駆動流体周辺の全体から吸引されることで、ノズル部から噴出する駆動流体が変位することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の液体エゼクターの実施例を示す構成図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ノズル部と吸込室の間に、旋回部材から成る気液分離部材を配置するものであるが、旋回部材は、吸込室へ吸引される気体の流れによって、この気体に遠心力を付与して旋回させることができるものが好適である。
【実施例1】
【0010】
本実施例においては図1に示すように、廃蒸気回収装置25に液体エゼクター4を用いた例を示す。液体エゼクター4を、吸込室1とノズル部2とディフューザ部3、及び、ノズル部2と吸込室1との間に配置した旋回部材5とで構成する。本実施例においては、旋回部材5で気液分離部材を形成する。
【0011】
吸込室1の右側中央部に吸込通路6を設けて、廃蒸気源と接続した図示しない廃蒸気通路を接続する。廃蒸気通路から吸込通路6に供給された廃蒸気が、液体エゼクター4の吸込室1へ吸引されるものである。
【0012】
液体エゼクター4の旋回部材5は、略円錐状で内部にノズル部2を収納する。旋回部材5の上面7には、図示はしないが複数の貫通孔を設ける。また、旋回部材5の下端部8は、吸込通路6より少しだけ下方に配置する。
【0013】
ノズル部2を後述する駆動流体供給管9と接続することで、駆動流体供給管9から供給される駆動流体、具体的には水、がノズル部2に供給されることによって、吸引力を発生して吸込通路6から廃蒸気を吸引するものであるが、ノズル部2の外周に旋回部材5を配置したことで、吸込通路6から吸引される廃蒸気は、旋回部材5に衝突しながら旋回され、上面7の複数の貫通孔及び下端部8を通ってノズル部2の駆動流体周辺の全体から吸引されることで、ノズル部2から噴出する駆動流体が、斜め横方向に変位することを防止することができるものである。
【0014】
液体エゼクター4のディフューザ部3の下部にタンク10を接続する。タンク10には、液体エゼクター4から供給される駆動流体としての水と、廃蒸気の凝縮した凝縮水が所定量溜まる。タンク10の左側面上部にオーバーフロー管11を接続すると共に、タンク10の上面に冷却水補給管12を接続する。また、タンク10の上面には、廃蒸気に混入して吸引された空気を外部に排出する空気排出管13を接続する。
【0015】
タンク10の下方に循環ポンプ14と熱交換器15を介在して駆動流体供給管9を連通してノズル部2と接続する。循環ポンプ14は、タンク10内の水を吸引して熱交換器15と駆動流体供給管9へと吐出するものである。
【0016】
熱交換器15は、循環ポンプ14から供給される駆動流体の熱を奪うもので、冷却水供給管16から熱交換器15へ供給される冷却水で熱を奪われた駆動流体が駆動流体供給管9からノズル部2へ供給され、一方、駆動流体から熱を奪った冷却水が冷却水排出管17から系外へ排出される。
【0017】
吸込通路6から液体エゼクター4に吸引される空気を含んだ廃蒸気は、旋回部材5から成る気液分離部材に衝突しながら旋回され、上面7の複数の貫通孔及び下端部8を通ってノズル部2の駆動流体周辺の全体から吸引されることで、ノズル部2から噴出する駆動流体と効率良く混合されて、廃蒸気は凝縮してタンク10へ至る。
【0018】
ノズル部2から噴出する駆動流体が、旋回部材5により変位することを防止され、理論値とおりの吸引力を発生することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、各種蒸気使用装置から廃棄される廃蒸気を、熱交換して回収するものに利用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 吸込室
2 ノズル部
3 ディフューザ部
4 液体エゼクター
5 旋回部材
6 吸込通路
9 駆動流体供給管
10 タンク
14 循環ポンプ
15 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を絞る細孔から成るノズル部と、当該ノズル部の周囲に形成した吸込室と、当該吸込室及びノズル部と連通したディフューザ部とから成るエゼクターにおいて、ノズル部と吸込室との間に、吸込室へ吸引される気体を旋回させる旋回部材から成る気液分離部材を配置したことを特徴とする液体エゼクター。

【図1】
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【公開番号】特開2012−36880(P2012−36880A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180500(P2010−180500)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】