説明

液体クロマトグラフィーのための試料注入システム

注入装置10は、キャリア入口40、試料入口46、廃棄物出口44、および分離カラム66に取り付けられたチャンバ出口64を含む。バルブ52、54、56を用いて流れを制御し、試料がチャンバ22に流れ込み、チャンバ出口42に輸送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年1月23日に出願された米国特許仮出願第60/538,683号の優先権を主張する。これらの出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、液体クロマトグラフィーに関し、より詳細には、液体クロマトグラフィーを高圧、超高圧、および極超高圧で作動することに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で使用するとき、用語「高圧液体クロマトグラフィー」(HPLC)は、最大4000psiの圧力下で実行されるクロマトグラフィーを意味する。毎平方インチ当たり(psi)6000ポンドから20000ポンドでの超高圧液体クロマトグラフィー(VHPLC)、および20000psiから120000psiでの極超高圧液体クロマトグラフィー(UHPLC)など、高圧で液体クロマトグラフィーを実行することに関心が集まっている。6000psiよりも高い圧力では、HPLC用途で一般的に用いられる注入バルブは、漏洩が原因で故障する。
【0004】
液体クロマトグラフィーの分離カラムを用いてオンライン作動を実行すると、機器は、カラムに溶質を供給することとと、カラムに試料を供給することとの間で切り換えなければならない。バルブは、溶質と試料との間を切り換えるために使用される主要な手段であった。1つの機構は回転注入バルブであり、このバルブでは、溶質が、バルブのある位置でカラムに導かれ、また溶質は、バルブの他の位置で試料を含むループを通して導かれ、したがって試料を個別のプラグとして流れに導入する。この機構は、注入するのに必要な圧力が5000psi未満であるときに有効に作用する。しかし、直径がより小さい粒子が充填されたカラム(カラムを通して液体を移動させるのにより高い圧力を必要とする)のクロマトグラフの分解能が向上したため、産業界では高圧力が必要なカラムの方に移行している。回転注入器に結合されたバルブを強化すると、最大15000psiまで回転注入バルブを作動させることができるが、磨耗が過大となり、バルブの寿命がより短くなる。
【0005】
ナノスケールの毛細管およびチャネル(ナノスケールの毛細管およびチャネルとは、内径が200μ未満のものである)内の流体を利用して、その液体を凍結融解することによってオン/オフバルブとして作用させる方法が、当技術分野で知られている。例えば、米国特許第6,159,744号および米国特許第5,795,788号を参照されたい。チューブまたはチャネルのナノスケール部分内に含まれる液体を単に凍結および融解することによって、液体の流れを停止するか、または別のチャネルまたはチャンバに逸らすことができることが判明している。この、「凍結融解バルブ」と呼ばれる流量切換装置は、何ら可動部を必要とせず、もっとも重要なことに、分析システム内に無駄な容積を生じない。凍結融解バルブシステムは、4000psiより高い圧力を伴う液体クロマトグラフィー内の流体接続およびカラムに一般に用いられる溶融シリカ毛細管で作動する、本質的にはオン/オフ流体バルブである。これらバルブの起動時間は、1秒以下の範囲内にあるが、開くときよりも閉じるときの方が遅い(典型的には5秒)。凍結融解バルブに関するさらなる情報は、本出願人の米国で出願した国際出願第PCT/US/03/28910号、および米国特許第6,557,575号において見ることができる。これらは、全内容が参照により明らかに本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
試料をカラムに充填する別の手段は、充填目的に専用の高圧容器を用いる、手動プロセスである。HPLCカラムの一端は、大気圧であるこの容器のチャンバ内に置かれている。チャンバは試料で充填され、次に容器内を高圧にし、それによって試料の一部がカラムの先端に押しやられる。既知量の試料をカラムに充填するのに必要な時間長さの間、高圧が維持される。充填作業の後、圧力は大気圧に戻され、その後、充填されたカラムが充填容器から取り外される。充填されたカラムは、即座に分離機器に手で取り付けられるか、または保存されて後に分離されてもよい。分離機器では、高圧ポンプがカラムに直接接続され、カラムを通して、溶離液を質量分析計などの検出装置に向かって押し出す。この一連の動作は、分析されるそれぞれの試料について繰り返す必要がある。
【0007】
自動化された方法で、試料をカラムに置き、高圧でカラムによって分離できる機器を実現する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、HPLCカラムを通して1つ以上の流体を推進させる装置に関する。装置は、多数の開口を備えるハウジングと、開口内の導管と、導管内の流れを制御する少なくとも1つのバルブ手段とを備える。HPLCカラムは、装置から出る導管に接続されている。
【0009】
ハウジングは、加圧下で1つ以上の流体を収容および/または保持するチャンバと、外面とを有する。ハウジングは、第1の出口開口と、第1の入口開口と、第2の出口開口と、第2の入口開口とを少なくとも有している。各開口は、チャンバから外面へと延びている。各開口は、導管を受け入れることができる。
【0010】
第1の出口導管手段、第1の出口開口によって受け入れられる。第1の出口導管手段は、チャンバに連通され、チャンバから第1の出口開口の外に流体を輸送する。第1の出口導管手段は、HPLCカラムなどの分析装置と接続するために使用される。第1の入口開口は、第1の入口導管手段を受け入れる。第1の入口導管手段は、チャンバに連通され、第1の流体をチャンバ内に輸送する。第1の入口導管手段は、ポンプなどの第1の供給装置と接続するために使用される。
【0011】
第2の入口開口は、第2の入口導管手段を受け入れる。第2の入口導管手段は、チャンバに連通され、第2の流体をチャンバ内に輸送する。第2の入口導管手段は、貯蔵器またはポンプなど第2の供給装置に接続するために使用される。第2の出口導管手段は、第2の出口開口によって受け入れられる。第2の出口導管手段は、チャンバに連通され、チャンバから第2の出口開口の外に流体を輸送する。第2の出口導管手段は、廃棄物容器またはリサイクル手段に接続するために用いられる。
【0012】
少なくとも1つのバルブ手段が、第1の出口導管手段、第2の出口導管手段、および第2の入口導管手段の少なくとも1つに配置されている。少なくとも1つのバルブ手段はそれぞれ、最大120000psiのバルブ手段に加わる圧力差でも動作可能である。各バルブ手段は、流体がバルブ手段を通って流れるのを防ぐ閉位置と、流体がバルブ手段を通って流れることが可能な開位置とを有する。各バルブ手段は、信号に応答して一方の位置をとる。したがって、チャンバは、第1の入口導管手段と第2の入口導管手段のそれぞれから流体を受け入れ、かつ第1の出口導管手段と第2の出口導管手段を通して流体を排出するように構成される。好ましくは、第1の流体は溶質であり、一方第2の流体は試料流体である。
【0013】
一実施形態において、少なくとも1つのバルブ手段は、凍結融解バルブである。特に、この実施形態は、第1の出口導管手段に挿置された第1の出口導管バルブ手段を有する。第1の出口導管手段は、第1の出口開口内の第1の端部と、ハウジングの外側の中央部分と、入力端と出力端とを備える液体クロマトグラフィーカラムとして形成された第2の端部とを有する、毛細管とすることができる。第1の出口導管バルブ手段は、第1の出口導管手段の中央部分に置かれている。別の実施形態において、毛細管の第1の端部が、チャンバ内に延び、毛細管の第1の端部の先端は、チャンバ内で第2の入口開口と第2の出口開口との間に位置する。
【0014】
一実施形態において、第2の出口導管バルブ手段が、第2の出口導管手段に挿置されている。好ましくは、第2の入口導管バルブ手段は、第2の入口導管手段に挿置されている。第2の流体源を第2の入口導管に接続して、第2の流体を供給することができる。一実施形態において、装置は、また、第1の入口導管手段に接続された第1の供給装置を備える。第1の供給装置は、第1の流体を最大圧力までの圧力で供給する供給状態を有する。第1の供給装置は、また、第1の流体を供給しない停止状態を有する。第1の供給装置は、供給信号に応答して状態の一方をとる。
【0015】
一実施形態において、装置は、さらに制御手段を備え、開位置と閉位置の一方をとるように、信号をバルブ手段に送って少なくとも1つのバルブ手段のそれぞれを制御する。好ましくは、制御手段はさらに、供給状態と停止状態のうちの一方をとるように、供給信号を供給装置に送ることによって第1の供給装置を制御する。
【0016】
一実施形態において、制御手段は、供給信号を第1の供給装置に送って、第1の供給装置の供給状態を実現する。制御手段はさらに、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送り、全ての導管バルブ手段の閉位置を実現して、チャンバを充填し加圧する。さらに、制御手段は、供給信号を第1の供給装置に送って第1の供給装置の停止状態を実現し、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送って、第1の出口導管バルブ手段の閉位置と、第2の入口導管バルブ手段と第2の出口導管手段の開位置とを実現することにより、現在チャンバ内にある流体を第2の流体に置き換える。装置は、第2の出口導管手段を通って流れる流体を監視する流体モニタを備えることもできる。流体モニタは、チャンバを出る流体の成分についての情報を制御手段に与えるためのものである。制御手段は、第2の出口導管における流体を監視し、第2の流体の濃度を決定する。
【0017】
好ましくは、制御手段は、供給信号を第1の供給装置に送って第1の供給装置の停止状態を実現し、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送って、第1の出口バルブ手段と第2の入口バルブ手段の閉位置と、第2の出口バルブ手段の開位置とを実現することにより、チャンバから流体を排出する。さらに、制御手段は、供給信号を第1の供給装置に送って第1の供給装置の供給状態を実現し、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送って、第2の入口バルブ手段と第2の出口バルブ手段の閉位置と、第1の出口バルブ手段の開位置とを実現することにより、第1の出口導管手段を通して加圧流体を推進させる。
【0018】
一実施形態において、チャンバは、略大気圧と最大圧力との間の圧力で流体を保持するよう設計および構成される。一実施形態において、最大圧力は、約5000psiにまで及んでもよい。別の実施形態において、最大圧力は、約15000psiまで及んでもよい。第3の実施形態において、最大圧力は、約120000psiまで及んでもよく、特にチャンバ内の圧力は、流体が第1の出口開口を通して推進される場合には、約30000psiから100000psiの間にある。
【0019】
好ましくは、実施形態はさらに、ハウジング内でチャンバから外面に延びた、ベント導管手段を受け入れるベント開口を備える。ベント開口で受け入れられるベント導管手段は、チャンバと連通し、流体をチャンバからベント開口を出るように輸送する。ベント導管手段を、ベント導管バルブ手段に接続することもできる。ベント導管手段に挿置されるベント導管バルブ手段は、流体がベント導管バルブ手段を通って流れることが可能な開位置と、流体がベント導管バルブ手段を通って流れるのを防ぐ閉位置とを有する。ベント導管バルブ手段は、信号に応答して位置の一方をとる。
【0020】
一実施形態において、制御手段は、供給信号を第1の供給装置に送って、第1の供給装置の停止状態を実現する。制御装置はさらに、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送り、第1の出口バルブ手段と第2の入口導管バルブ手段の閉位置と、第2の出口導管バルブ手段とベント導管バルブ手段の開位置とを実現することにより、流体をチャンバから排出する。
【0021】
好ましくは、実施形態はさらに、導管手段を開口内で高圧に保持するために、開口と開口に結合される導管手段との間に配置された少なくとも1つの嵌合部を備える。嵌合部は、開口と結合される導管手段との間で流体密封を形成し、チャンバ内の圧力が上昇した場合に、結合される導管手段を開口内で保持する。好ましくは、嵌合部は、15000psiから120000psiの間のチャンバ圧力で導管手段を開口内で保持する。
【0022】
一実施形態において、チャンバは、円筒壁と、第1の端壁と、第2の端壁とを有する。この実施形態において、第1の入口開口は、第1または第2の端壁のいずれかに位置し、第1の出口開口は、他方の端壁に位置している。第2の入口開口は、第1の出口開口と隣接した円筒壁を貫通して位置し、第2の出口開口は、第1の入口開口に隣接した円筒壁を貫通して位置している。ベント開口がある場合には、ベント開口は、第2の入口開口のほぼ正反対側の円筒壁を貫通して位置している。
【0023】
チャンバを囲むハウジングは、ステンレス鋼、チタニウム、または使用される流体に対して不活性な他の金属であってよい、不活性材料からできている。
【0024】
1つ以上の流体を高圧で出口導管に注入する方法は、多数の開口を有するハウジング、開口内の導管、および導管内の流れを制御する少なくとも1つのバルブ手段とを備える装置を利用する。この方法は、加圧下で1つ以上の流体を収容および/または保持するチャンバと外面とを有する、ハウジングを提供することを含んでいる。ハウジングは、第1の出口開口と、第1の入口開口と、第2の出口開口と、第2の入口開口とを少なくとも有する。各開口は、チャンバから外面に延びている。各開口は、導管を受け入れることができる。
【0025】
第1の出口導管手段は、第1の出口開口によって受け入れられる。第1の出口導管手段は、チャンバと連通し、チャンバから第1の出口開口の外に流体を輸送する。第1の出口導管手段は、HPLCカラムなど分析装置との接続のために用いられている。好ましくは、第1の出口導管手段は、毛細管である。第1の入口開口は、第1の入口導管手段を受け入れる。第1の入口導管手段は、チャンバに連通し、第1の流体をチャンバ内に輸送する。第1の入口導管手段は、ポンプなどの第1の供給装置に接続するために用いられる。
【0026】
第2の入口開口は、第2の入口導管手段を受け入れる。第2の入口導管手段は、チャンバと連通し、第2の流体をチャンバ内に輸送する。第2の入口導管手段は、貯蔵器またはポンプなどの第2の供給装置との接続のために用いられる。好ましくは、第1の流体は溶質であり、第2の流体は試料流体である。第2の出口導管手段は、第2の出口開口により受け入れられる。第2の出口導管手段は、チャンバと連通し、チャンバから第2の出口開口の外に流体を輸送する。第2の出口導管手段は、廃棄物容器またはリサイクル手段と接続するために用いられる。
【0027】
少なくとも1つのバルブ手段が、第1の出口導管手段、第2の出口導管手段、および第2の入口導管手段の少なくとも1つに配置されている。少なくとも1つのバルブ手段はそれぞれ、15000psiから120000psiの間のバルブ手段に加わる圧力差で作動可能である。バルブ手段は、流体がバルブ手段を流れるのを防ぐ閉位置と、流体がバルブ手段を流れることができる開位置とを有している。バルブ手段は、信号に応答し一方の位置をとる。好ましくは、バルブ手段は、凍結融解バルブである。
【0028】
この方法は、第1の入口導管手段と第2の入口導管手段のそれぞれから流体を受け入れることと、第1の出口導管手段と第2の出口導管手段とから流体を排出することとを含む。
【0029】
好ましくは、この方法はさらに、第1の供給装置、第2の流体源、および制御手段を提供することを含む。第1の供給装置は、第1の入口導管手段に接続されている。第1の供給装置は、第1の流体が最大圧力までの圧力で供給される供給状態と、第1の流体が供給されない停止状態とを有する。第1の供給装置は、供給信号に応答して状態の一方をとる。第1の供給装置は、ポンプであってもよい。第2の流体源は、第2の入口導管手段と流体連通している。制御手段は、開位置および閉位置の一方をとるように信号をバルブ手段に送って、少なくとも1つのバルブ手段のそれぞれを制御し、供給および停止状態の一方を取るように第1の供給装置に供給信号を送って、第1の供給装置を制御する。
【0030】
この方法は、制御手段が、第1の出口導管手段を通して1つ以上の流体を移動させるために、1つ以上の信号をバルブ手段と第1の供給装置に送って一連の位置と状態を実現することを含む。ある量の第1の流体を出口導管手段に注入するために、制御手段は、a.信号を全ての導管バルブ手段に送って閉状態を実現して、チャンバを密封する動作と、b.供給信号を第1の供給装置に送って供給状態を実現して、第1の流体を供給し、かつ第1の流体の圧力をチャンバ内で推進圧にまで高める動作と、c.信号を第1の出口導管バルブ手段に送って開位置を実現して、ある一定量の第1の流体を第1の出口導管手段に注入する動作とを実行する。
【0031】
第1の流体をチャンバから除去し、第2の流体を出口導管手段に注入するために、制御手段が、チャンバ内の圧力を低減することによって始動する。制御手段は、信号を第1の出口導管バルブ手段に送って閉位置を実現する動作と、供給信号を第1の供給装置に送って停止状態を実現する動作と、信号を第2の出口導管バルブ手段に送って開位置を実現する動作とを実行する。その後、チャンバ内の圧力が大気圧に達すると、制御手段は、信号を第2の入口導管バルブ手段に送って開位置を実現する。制御手段によって、第2の流体が第1の流体に置き換わるまで、第2の流体がチャンバに供給される。その後、制御手段は、信号を第2の入口導管バルブ手段と第2の出口導管バルブ手段に送ることによって閉位置を実現し、かつ供給信号を第1の供給装置に送ることによって供給状態を実現することにより、チャンバ内の圧力を推進圧にまで高める。チャンバ内の圧力を推進圧に維持している間、制御手段は、信号を第1の出口導管バルブ手段に送って所定期間の間の開位置を実現して、第2の流体を第1の出口導管手段に注入する。
【0032】
装置が、第2の出口導管を流れる流体を監視する流体モニタをさらに備えている場合、モニタは、チャンバを出る流体の成分についての情報を制御手段に供給する。流体モニタ情報を用いて、流体モニタからの情報が、第2の流体が第1の流体に置き換わったことを示すまでの間だけ、第2の流体をチャンバに供給することによって、制御手段は第2の流体を節約する。これは、第1の流体が確実に置き換えられるのに十分な期間だけ、第2の流体を流す方法より、第2の流体を節約する。
【0033】
チャンバ内の圧力を低減し、かつ流体をチャンバから排出するために、制御手段は、信号を第1の出口導管バルブ手段に送って閉位置を実現し、信号を第2の出口導管バルブ手段に送って開位置を実現する。装置が、ハウジング内のベント開口と、ベント導管手段と、ベント導管バルブ手段とをさらに備える場合、制御手段はまた、信号をベント導管バルブ手段に送って開位置を実現する。これによって、流体をチャンバからより迅速に排出できる。ベント開口は、チャンバから外面へと延びて、ベント導管手段を受け入れる。ベント導管手段は、ベント開口によって受け入れられ、チャンバに連通して、チャンバからベント開口の外に流体を輸送する。ベント導管手段は、廃棄物収集手段と接続するためのものである。ベント導管バルブ手段は、ベント導管手段に挿置されている。ベント導管バルブ手段は、開位置および閉位置を有する、先に述べた種類の手段である。バルブ手段は、信号に応答して一方の位置をとる。
【0034】
ベント開口、ベント導管手段、およびベント導管バルブ手段を組み込んでいる装置では、制御手段が、異なるシーケンスを実行して、第1の流体をハウジングから除去し、第2の流体を出口導管手段に注入することもできる。制御手段は、信号を第1の出口導管バルブ手段に送って閉位置を実現する動作と、供給信号を第1の供給装置に送って停止状態を実現する動作と、信号を第2の出口導管バルブ手段とベント導管バルブ手段に送って開位置を実現する動作とを実行することによって、ハウジングの圧力を低減することで始まる。その後、ハウジング内の圧力が大気圧に達すると、制御手段は、信号をベント導管バルブ手段に送って閉位置を実現し、信号を第2の入口導管バルブ手段に送って開位置を実現する。制御手段によって、第2の流体が第1の流体と置き換わるまで、第2の流体をチャンバに供給できる。その後、制御手段は、信号を第2の入口導管バルブ手段と第2の出口導管バルブ手段とに送ることによって閉位置を実現し、かつ供給信号を第1の供給装置に送ることによって供給状態を実現することによって、チャンバ内の圧力を推進圧にする。チャンバ内の圧力が推進圧に達すると、制御手段は、信号を第1の出口導管バルブ手段に送って所定の期間の開位置を実現し、第2の流体を毛細管に注入する。
【0035】
ベント開口、ベント導管手段、およびベント導管バルブ手段を組み込んでいる装置では、ハウジング内の圧力を低減し、かつ第2の流体をチャンバから排出するために、制御手段は、信号を第1の出口導管バルブ手段に送って閉位置を実現し、信号を第2の出口導管バルブ手段とベント導管バルブ手段に送って開位置を実現する。
【0036】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面と詳細な説明を考察することによって、当業者に明らかであるかまたは明らかとなるであろう。全てのそのような追加的なシステム、方法、特徴および利点は、本明細書の説明に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されるものとする。
【0037】
本発明の多くの態様は、以下の図面を参照することでより詳細に理解できる。図面の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理をより明確に示すことに重点が置かれている。さらに、図面においては、同一参照符号は、複数の図面を通して類似の部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、一般に、液体クロマトグラフィーに関し、より詳細には、1つ以上の流体を高圧の液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを通して推進させる装置に関する。HPLCカラムは、装置から出る導管に接続されている。装置は、多数の開口を備えるハウジングと、開口内の導管と、導管の流れを制御する少なくとも1つのバルブ手段とを備える。
【0039】
図1に概略的に示されているように、装置10は、加圧下で1つ以上の流体を収容および/または保持するチャンバ22と、外面24とを有する、ハウジング20を備えている。ハウジング20は、第1の出口開口32と、第1の入口開口30と、第2の出口開口34と、第2の入口開口36とを少なくとも有する。各開口は、チャンバ22から外面24に延びている。各開口は、導管手段を受け入れるように構成されている。
【0040】
第1の出口導管手段42は、第1の出口開口32によって受け入れられている。第1の出口導管手段42は、チャンバ22から第1の出口開口32の外に流体を輸送するため、チャンバ22に連通している。第1の出口導管手段42は、HPLCカラム(図示せず)などの分析装置との接続のために用いられる。第1の入口開口30は、第1の入口導管手段40を受け入れている。第1の入口導管手段40は、第1の流体をチャンバ22に輸送するために、チャンバ22に連通している。第1の入口導管手段の内径は、約120μmから180μmの間である。第1の入口導管手段40は、ポンプなど第1の供給装置(図示せず)と接続するため用いられている。
【0041】
第2の入口開口36は、第2の入口導管手段46を受け入れる。第2の入口導管手段46は、第2の流体をチャンバに輸送するために、チャンバ22と連通している。第2の入口導管手段46は、貯蔵器またはポンプなど第2の供給装置(図示せず)と接続するために用いられる。第2の出口導管手段44は、第2の出口開口34によって受け入れられている。第2の出口導管手段44は、チャンバ22から第2の出口開口34の外に流体を輸送するために、チャンバ22に連通している。第2の出口導管手段44は、廃棄物容器またはリサイクル手段(図示せず)との接続のために用いられる。
【0042】
チャンバ22は、第1の入口導管手段40と第2の入口導管手段46から流体を受け入れ、第1の出口導管手段42と第2の出口導管手段44とから流体を排出するように構成される。好ましくは、第1の流体は溶質であり、一方第2の流体は試料流体である。チャンバ22はさらに、高圧、超高圧、および/または極超高圧で流体を保持するように構成される。
【0043】
少なくとも1つのバルブ手段が、第1の出口導管手段42、第2の出口導管手段44、および第2の入口導管手段46の少なくとも1つに配置されている。各バルブ手段は、約15000psiから120000psiのバルブ手段に加わる圧力差で動作可能である。バルブ手段は、流体がバルブ手段を通って流れるのを防ぐ閉位置と、流体がバルブ手段を通って流れることが可能な開位置とを有する。バルブ手段は、信号に応答して位置の一方をとる。好ましい実施形態において、少なくとも1つのバルブ手段は、凍結融解バルブである。このようなバルブには可動部がなく、分離のための無駄な容積を生じることなく、それによってインライン環境における再現動作が可能になる。凍結融解バルブ手段は、装置の充填と加圧とを制御するために用いられる。
【0044】
ここで図2を参照すると、第1の出口導管バルブ手段52が、第1の出口導管手段42に挿置されている。図示するように、第1の出口導管手段42は、第1の出口開口32を貫通する第1の端部62と、ハウジング20の外側の中央部分64と、入力端63と出力端67とを有する液体クロマトグラフィーカラム65として形成された第2の端部66とを有する、毛細管である。第1の出口導管手段42とカラム65の内径は、約15μmから150μmの間である。第1の出口導管バルブ手段52は、第1の出口導管手段42の中央部分64に置かれている。図示するように、第1の出口導管手段42の第1の端部62が、チャンバ22内に突き出ており、第1の出口導管手段42の第1の端部62の先端68は、チャンバ22内で第2の入口開口36と第2の出口開口34との間に位置する。この位置付けによって、第2の流体が、第2の入口開口36内を流れて第2の出口開口34を出るときに、第1の出口導管手段42の先端68の周りの領域が、押し流され、チャンバ内の第1の流体のいずれもが、第1の出口導管手段42近くで保持されない。
【0045】
図3に示すように、第2の出口導管バルブ手段54が、第2の出口導管手段44に挿置されている。好ましくは、第2の入口導管バルブ手段56が、第2の入口導管手段46に挿置されている。第2の流体を供給するために、第2の流体源95が、第2の入口導管46に接続されている。第2の入口開口および第2の出口開口は、内径が約15μmから50μmの間の導管手段46、44を収容している。
【0046】
装置10が、第1の入口導管手段40によって第1の供給装置70に接続されていることが示されている。第1の供給装置70は、第1の流体が最大圧力までの圧力で供給される供給状態を有する。第1の供給装置70はさらに、第1の流体が供給されない停止状態を有する。第1の供給装置70は、供給信号72に応答して、状態の一方をとる。
【0047】
図示するように、装置10は、さらに制御手段80を備え、開位置および閉位置の一方をとるように、信号82、84、86をバルブ手段に送ることによって少なくとも1つのバルブ手段のそれぞれを制御する。図示するように、制御手段80はさらに、供給および停止状態の一方をとるように、供給信号72を供給装置70に送ることによって第1の供給装置70を制御する。
【0048】
チャンバ22を充填および加圧するために、制御手段80は、第1の供給装置70に供給信号72を送って、第1の供給装置70の供給状態を実現する。制御手段80はさらに、チャンバ22を充填および加圧するために、少なくとも1つのバルブ手段に1つ以上の信号を送って、全ての導管バルブ手段52、54、56の閉位置を実現する。
【0049】
チャンバ22内に存在する流体を第2の流体と置き換えるために、制御手段80は、第1の供給装置70に供給信号72を送って第1の供給装置70の停止状態を実現し、チャンバ22内の流体を第2の流体と置き換えるために、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送ることによって、第1の出口導管バルブ手段52の閉位置と、第2の入口導管バルブ手段56と第2の出口導管手段54の開位置とを実現する。好ましくは、図示するように、装置10は、流体が第2の出口導管手段44を通るのを監視する流体モニタ90を備えている。流体モニタは、チャンバ22を出る流体の成分を示す監視信号92を、制御手段80に供給する。好ましくは、制御手段80は、前記監視信号92によって第2の出口導管44において流体を監視し、かつ排出流体中の第2の流体の濃度を決定する。
【0050】
チャンバ22から流体を排出するために、制御手段80は、第1の供給装置70に供給信号72を送って、第1の供給装置70の停止状態を実現し、チャンバ22から流体を排出するために、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送ることによって、第1の出口バルブ手段52と第2の入口バルブ手段56の閉位置と、第2の出口バルブ手段54の開位置を実現する。
【0051】
加圧流体を第1の出口導管手段42を通して推進させるために、制御手段80は、第1の供給装置70に供給信号72を送って、第1の供給装置70の供給状態を実現し、加圧流体を第1の出口導管手段42を通して推進させるために、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送って、第2の入口バルブ手段56と第2の出口バルブ手段54の閉位置と、第1の出口バルブ手段52の開位置を実現する。
【0052】
一実施形態において、第1の供給装置70は、チャンバ22の内部圧力を最大圧力まで上げることが可能なポンプである。最大圧力は、15000psiから120000psiの間にあるのが好ましい。ポンプは、最大圧力でグラディエントを生成できるバイナリポンプであってもよい。ポンプが供給状態になる時点で、チャンバに第2の流体が充填されると、ポンプは、圧力を上げて存在する流体を圧縮する。ただし、流体がチャンバを出ない限り、第1の流体は、必ずしも第2の流体に置き換える必要はない。
【0053】
一実施形態において、チャンバ22は、略大気圧と最大圧力との間の圧力で流体を保持するよう設計および構成されている。一実施形態において、最大圧力は、約5000psiまでに及ぶ。別の実施形態において、最大圧力は、約15000psiにまで及ぶ。第3の実施形態において、最大圧力は、約120000psiにまで及び、特に、流体が第1の出口開口32を通して推進されるときは、チャンバ内の圧力は、約30000psiから120000psiの間である。
【0054】
図4に示されるように、装置110はさらに、ハウジング120にチャンバ122から外面124に延びるベント開口138を備え、この開口138がベント導管手段148を受け入れていることを示している。ベント開口138によって受け入れられるベント導管手段148は、チャンバ122と連通して、チャンバ122からベント開口138の外に流体を輸送する。1つのベント導管手段148の内径は、約25μmから150μmの間である。図示するように、ベント導管手段148は、その中に配置されたベント導管バルブ手段158を有する。ベント導管手段148に挿置されたベント導管バルブ手段158は、流体がベント導管バルブ手段158を通って流れることができる開位置と、流体がベント導管バルブ手段158を通って流れるのを防ぐ閉位置とを有する。ベント導管バルブ手段158は、信号188に応答して一方の位置をとる。
【0055】
通常、第2の入口導管手段146と第2の出口導管手段144の内径は、装置110で用いられる最小の直径である。第1の出口導管手段142は、次に大きく、ベント導管手段148と第1の入口導管手段140とは、装置110で用いられる導管手段のうち最も大きい。この序列によって、利用される第2の流体の量の制御と、カラム(図示せず)を推進される流体の制御とを最大限で可能にすると同時に、プロセスの工程間でチャンバ122内の圧力を使い果たすのに費やす時間を最小にする。
【0056】
流体をチャンバ122から排出するために、図4の装置は、第1の供給装置170に供給信号172を送って第1の供給装置170の停止状態を実現する、制御手段180を有する。制御手段180はさらに、チャンバ122から流体を排出するために、1つ以上の信号を少なくとも1つのバルブ手段に送って、第1の出口バルブ手段152と第2の入口導管バルブ手段156の閉位置と、第2の出口導管バルブ手段154とベント導管バルブ手段158の開位置とを実現する。装置110は、ベント導管手段148の直径がより大きく、ベント導管バルブ手段158と第2の導管出口バルブ手段154の両方を同時に開くことができるため、より迅速に圧力を散逸させ、チャンバ122からより迅速に流体を排出する。
【0057】
装置、例えば装置210を実現する際に、図5に示すように、実施形態はさらに、開口とそれに結合される導管手段との間に配置された、嵌合部243などの、少なくとも1つの嵌合部を備えることができる。このような嵌合部は、その全内容が参照により本明細書に明らかに組み込まれる、同時係属出願第60/410,346号に記載されている。この嵌合部243は、特に導管手段が溶融シリカで形成されている場合に、開口と結合される導管手段との間で流体密封を形成するためのものである。溶融シリカは、極めてもろく、フェルール241など標準的な高圧フェルールで加えられる力に耐えることができない。嵌合部243は、チャンバ内の圧力が上昇すると、結合される導管手段を開口内で保持するためのものでもある。嵌合部243は、約15000psiから120000psiの間のチャンバ圧力まで、導管手段を開口内で保持する。導管手段が、ステンレス鋼、チタニウム、または他の不活性金属などの金属材料でできている場合は、第1の入口導管手段240で示されるように、嵌合部241などのより簡単な高圧嵌合部が用いられてもよい。この嵌合部241は、高圧フェルールであってもよい。ハウジング220は、ステンレス鋼、チタニウム、または使用される流体に対して不活性な他の金属であってもよい、最大圧力に耐えることが可能な不活性材料を含む。
【0058】
ハウジングは、好ましくは長さが1cmから3cmで、直径が35mmから60mmのチャンバ周りに配置されている。このような寸法によって、使用される試料と溶質の量を少なくすることができる。利用した1つのチャンバの長さは約1.7cmで、直径は約45mmであった。このようなチャンバを囲むハウジング220は、長さが1インチから2インチ(約2.5cmから約5.1cm)で、幅が0.5インチから1.0インチ(約1.3cmから約2.5cm)で、高さが0.35インチから0.7インチ(約0.9cmから約1.8cm)であることが好ましい。実現された1つのハウジングは、1.5インチ×0.7インチ×0.4インチ(約3.8cm×約1.8cm×約1.0cm)であった。
【0059】
一実施例で、上述のハウジング220は、図6Aで示されるように、長さが約0.65インチ(約1.7cm)で、直径が約0.018インチ(約0.05cm)、したがって容積が0.306立方インチの内部円筒形チャンバ222を備えて製造された。ハウジング220は、ステンレス鋼で製造された。チャンバ222は、チャンバ222周りの側壁223を有し、開放端を有していた。第1の入口開口230は、チャンバ222の第1の端部225に接続された。第1の入口開口230は、Waters Corp.社(マサチューセッツ州、ミルフォード)製のZ−ディテールステンレスフェルール嵌合部を受け入れるように構成された。第2の出口開口234が、チャンバ222の側壁233に設けられ、第2の出口開口234の中心は、チャンバ222の第1の端部235から側壁233に沿っておよそ0.017インチ(約0.04cm)であった。第2の出口開口234は、第2の流体を第1の流体と置き換える際に、残留する第1の流体を最小限にするために、チャンバ222の第1の端部235の極めて近くに置かれた。第2の端部開口234は、図6Cに詳細に示されるように、#6−40のフェルールを受け入れるように構成された。第1の出口開口232は、図6Bで詳細に示されるように、チャンバ222の開放された第2の端部227に接続されて設けられた。第2の入口開口236とベント開口238は、チャンバ222の第2の端部227から約0.035インチ(約0.09cm)の位置に、側壁233を通ってチャンバ222の両側に設けられた。第1の出口開口232、第2の入口開口236、およびベント開口238はそれぞれ、図6Cに示されるように、6−40のフェルールを受け入れるように構成された。
【0060】
一実施形態において、チャンバ222を見せるために図6Aのハウジング220が透明とされている図7Aに示すように、装置は、図示されたハウジングから構成されている。第1の入口開口230は、フェルール231と嵌合して、第1の入口導管手段240を開口内で保持する。第1の入口導管手段240は、導管手段の中で最も大きい内径を有し、効果的な圧力の生成とチャンバの流れを可能にする。第1の入口導管手段240の内径は、120μmから180μmであるのが好ましく、外径は約360μmである。一例では、第1の入口導管手段の内径は、150μmで、外径は360μmであった。第1の入口導管手段240は、ステンレス鋼製であることが好ましく、Waters Alliance HPLCシステム(マサチューセッツ州、ミルフォードのWaters Corp.社製)で使用されたWaters Z−ディテールなどの圧縮嵌合部241によって保持された。代替としては、同一サイズ範囲の溶融シリカ毛細管を、第1の入口導管手段240に用いることができる。溶融シリカ導管手段の保持機構は、毛細管を損傷せずに、溶融シリカ毛細管を保持するために、上述のようにフェルール231と結合するように構成された高圧毛細管嵌合部とするのがよい。
【0061】
第1の出口開口232は、フェルール233と嵌合して、第1の出口導管手段242を開口内に保持する。第1の出口導管手段242は、第1の入口導管手段240の内径よりも小さい、実行されるクロマトグラフィープロセスに適合する内径を有する。典型的には、第1の出口導管手段242の内径は、15μmから150μmであり、外径は約360μmである。一例では、第1の出口導管手段242の内径は70μmであり、ハウジング220の外側で、ハウジングの外側のカラムを形成する媒体粒子で充填された。フェルール233と結合するように構成された高圧毛細管嵌合部243は、毛細管を損傷せずに、第1の出口開口232内で溶融シリカ毛細管を保持する。
【0062】
第2の入口開口236は、第1の出口開口232に隣接して位置している。第2の入口開口236は、フェルール237と嵌合して、第2の入口導管手段246を開口内に保持している。第2の入口導管手段246の内径は、15μmから50μmで、外径は約360μmである。一例では、第2の入口導管手段246の内径は25μmである。フェルール237に結合するように構成された高圧毛細管嵌合部247は、毛細管を損傷せずに、第2の入口開口236内に溶融シリカ毛細管を保持する。
【0063】
第2の出口開口234は、第1の入口開口230に隣接して位置している。第2の出口開口234は、フェルール235と嵌合して、第2の出口導管手段244を開口内に保持している。第2の出口導管手段244の内径は15μmから50μmで、外径は約360μmである。一例では、第2の出口導管手段244の内径は25μmである。フェルール235に結合するように構成された高圧毛細管嵌合部245は、毛細管を損傷せずに、第2の出口開口234内に溶融シリカ毛細管を保持する。
【0064】
ベント開口がある場合は、ベント開口238は、第2の入力開口236のほぼ正反対側に位置している。ベント開口238は、フェルール239と嵌合して、ベント導管手段248を開口内で保持している。ベント導管手段248の内径は25μmから150μmで、外径は約360μmである。一例では、ベント導管手段248の内径は50μmであった。フェルール239に結合されるように構成された高圧毛細管嵌合部249は、毛細管を損傷せずに、ベント開口238で溶融シリカ毛細管を保持している。バルブ手段(図示せず)は、第1の出口導管手段、第2の入口導管手段、第2出口導管手段、およびハウジングの外側のベント導管手段の周りに配置されている。
【0065】
図7Bは、第1の出口導管手段242に加えられる第2の流体の量が、第1の出口導管手段242の先端268の位置によってどのように制御されるかを示している。第1の出口導管手段242は、第1の出口開口232を通してチャンバ222に挿入される。第1の出口導管手段242の先端268は、第2の入口開口236と第2の出口開口234との間に、端壁225から距離「d」で配置されている。チャンバ222が第2の流体で充填されると、第2の入口導管手段246を通って第2の出口導管手段244を出る第2の流体を流すことによって、第1の出口導管手段242の先端268と端壁225との間の容積が、第2の流体で充填される。この第2の流体の容積は、
V=dπr
によって求められる。なお、「r」はチャンバの半径である。チャンバ222を密封した後、第2の流体のこの容積は、先端268とチャンバ225の端部との間に残る。第1の入口導管手段240に接続されたポンプが、供給状態に置かれている場合、ポンプは、第1の流体をチャンバ222に注入しようとする。しかし、チャンバ222は第2の流体で充填されているため、ポンプは、第2の流体の圧力を高めるだけである。圧力が十分に高い場合、第1の出口導管バルブ手段(図示せず)が開かれ、ある一定量の第2の流体が、第1の出口導管手段242内に推進され、一方で、同量の第1の流体が、第2の流体に置き換わる。この第1の流体の量は、チャンバ225の端部に接して含まれている。上述の式によって決定される容積内の第2の流体全てが、移動されるまでの間だけ、装置210は、第1の出口導管手段242の端部268に第2の流体を推進させることができる。その後、第1の供給装置で供給される第1の流体は、導管手段まで推進される。上記で算出された流体の容積が、注入され得る第2の流体の量の上限であるが、通常は、チャンバ222が加圧されている間に、第1の出口バルブ手段が開いている時間によって、注入される第2の流体の量が決定される。
【0066】
図4の相互接続を図6および図7の装置に用いた一実施形態において、第1の入力導管240、すなわちスチール製の150μID×1/16”OD導管が、金属フェルール嵌合部(Waters Corp.社製のZディテールフェルール)によって、第1の入口開口230と、第1の供給装置170として作用する超高圧バイナリグラディエントポンプとの間に接続された。第1の出口導管242、すなわち75μID×360μOD溶融シリカ毛細管が、6−40のフェルール開口と結合される高圧毛細管管嵌合部によって第1の出口開口232で保持された。第2の入口導管246および出口導管244、すなわち25μID×360μOD毛細管が、6−40のフェルール開口と結合される高圧毛細管嵌合部によって、第2の入口開口236および第2の出口開口234のそれぞれで保持された。ベント導管248、すなわち25μID×360μOD毛細管が、6−40のフェルール開口と結合される高圧毛細管嵌合部によって、ベント開口238で保持された。第1の出口導管242は、導管の端部がチャンバ222の第1の端部235から約500μm離れて位置するまで、高圧嵌合部を通して供給された。
【0067】
導管が所定の位置に保持されている装置が、筺体内に取り付けられた。凍結融解バルブアセンブリが、第1の出口導管242、第2の入力246、出口導管244、およびベント導管248周りにそれぞれ置かれた。一実施形態において、1つの凍結融解バルブを、第2の入口導管246と第2の出口導管244の両方の周りに配置し、これらの導管の流れを同時に制御した。この実施を用いると、第2の入口導管246と第2の出口導管244は、チャンバに第2の流体を充填するのに専用に用いられた。ベント導管248は、加圧流体の減圧およびチャンバ222からの排出に用いられた。
【0068】
1つ以上の流体を高圧で出口導管に注入する方法は、図3に示す装置を利用する。装置は、多数の開口を備えるハウジング30と、開口内の導管と、上述のように導管の流れを制御するための少なくとも1つのバルブ手段とを備えている。第1の出口開口32内の第1の出口導管手段42は、HPLCカラムなどの分析装置と接続するために用いられている。第1の出口導管手段42は、毛細管であってもよい。第1の入口開口30内の第1の入口導管手段40は、第1の流体をチャンバ22に輸送するために、チャンバ22に連通している。第1の入口導管手段40は、溶質などの第1の流体を供給する、例えばポンプのような第1の供給装置70に接続するために用いられる。
【0069】
第2の入口開口36内の第2の入口導管手段46は、第2の流体をチャンバ22に輸送するために、チャンバ22に連通されている。第2の入口導管手段46は、試料などの第2の流体を供給する貯蔵器またはポンプなどの、第2の供給装置95と接続するために用いられている。第2の出口開口34内の第2の出口導管手段44は、流体をチャンバ22から輸送するために、チャンバ22に連通されている。第2の出口導管手段44は、廃棄物容器またはリサイクル手段と接続するために用いられる。
【0070】
少なくとも1つのバルブ手段が、第1の出口導管手段42、第2の出口導管手段44、および第2の入口導管手段46の少なくとも1つに配置されている。少なくとも1つのバルブ手段のそれぞれは、最大120000psiのバルブ手段に加わる圧力差で動作可能である。バルブ手段は、流体がバルブ手段を通って流れるのを防ぐ閉位置と、流体がバルブ手段を通って流れるのを可能にする開位置とを有する。バルブ手段は、信号に応答して一方の位置をとる。好ましくは、バルブは、凍結融解バルブである。チャンバ22が、第1の入口導管手段40と第2の入口導管手段46のそれぞれから流体を受け入れ、第1の出口導管手段42と第2の出口導管手段44とを通して流体を排出する。
【0071】
上述の装置に加えて、別の方法では、第1の供給装置70、第2の流体源95、および制御手段80を利用している。第1の供給装置70は、第1の入口導管手段40に接続されている。第1の供給装置70は、第1の流体が最大圧力までの圧力で供給される供給状態と、第1の流体が供給されない停止状態とを有する。第1の供給装置70は、供給信号72に応答して、供給状態または停止状態をとる。第1の供給装置70は、ポンプ、バイナリポンプ、またはグラディエントポンプであってもよい。第2の流体源95は、第2の入口導管手段46と流体連通されている。制御手段80は、信号82、84、86をバルブ手段52、54、56に送ることによって、少なくとも1つのバルブ手段のそれぞれを制御して、開位置と閉位置の一方をとるようにするためのものである。制御手段はまた、供給信号72を第1の供給装置70に送り、供給状態および停止状態の1つをとることによって第1の供給装置70を制御する。
【0072】
この方法は、制御手段70が、1つ以上の信号をバルブ手段と第1の供給装置70へ送り、出口導管手段42、44を通して1つ以上の流体を移動させるための一連の位置と状態とを実現させることを含む。ある一定量の第1の流体を出口導管手段42に注入するために、制御手段70は、a.チャンバ22を密封するために、信号を全ての導管バルブ手段へ送って閉状態を実現する動作と、b.第1の流体を供給し、かつ第1の流体の圧力をチャンバ22内の推進圧まで上げるために、供給信号72を第1の供給装置70に送って供給状態を実現する動作と、c.ある一定量の第1流体を第1の出口導管手段42に注入するために、信号82を第1の出口導管バルブ手段52に送って、開位置を実現する動作とを実行する。
【0073】
第1の流体をチャンバ22から除去し、第2の流体を出口導管手段42へ注入するために、チャンバ22内の圧力を低減することによって制御手段80が始動する。制御手段80は、信号82を第1の出口導管バルブ手段52に送って閉位置を実現する動作と、供給信号72を第1の供給装置70に送って停止状態を実現する動作と、信号84を第2の出口導管バルブ手段54に送って開位置を実現する動作とを実行する。その後、チャンバ22内の圧力が大気圧に達すると、制御手段80が、信号86を第2の入口導管バルブ手段56に送って開位置を実現する。制御手段80によって、第2の流体が第1の流体と置き換わるまで、第2の流体をチャンバ22内に供給することができる。その後、制御手段80は、信号86、84を第2の入口導管バルブ手段56と第2の出口導管バルブ手段54に送り閉位置を実現し、供給信号72を第1の供給装置70に送り供給状態を実現することによって、チャンバ22内の圧力を推進圧まで高める。チャンバ22内の圧力を推進圧に維持している間、制御手段80は、信号82を第1の出口導管バルブ手段52に送って、第2の流体を第1の出口導管手段42に注入する所定期間、開位置を実現する。
【0074】
装置10がさらに、第2の出口導管手段44を通る流体を監視する流体モニタ90を備える場合、流体モニタ90は、監視信号92によってチャンバ22を出る流体の成分についての情報を制御手段80に供給する。監視信号92の流体情報を用いると、制御手段80は、第2の流体が第1の流体に置き換わったことを監視信号92の情報が示すまでの間だけ、第2の流体をチャンバ22に供給することによって、置き換え作業の間に第2の流体を節減することができる。
【0075】
チャンバ22内の圧力を低減し、かつ流体をチャンバ22から排出するために、制御手段80は、第1の出口導管バルブ手段52に信号82を送って閉位置を実現し、第2の出口導管バルブ手段54に信号84を送って開位置を実現する。図4に示すように、装置110がさらに、ハウジング120内のベント開口138、ベント導管手段148、およびベント導管バルブ手段158を備える場合、制御手段180は、ベント導管バルブ手段158に信号188を送ることによって開位置を実現して、排出を行なう。これによって、流体をチャンバ122からより迅速に排出できる。ベント開口138は、ベント導管手段148を受け入れるために、チャンバ122から外面124に延びている。ベント導管手段148は、ベント開口138に受け入れられ、チャンバ122からベント開口138の外に流体を輸送するために、チャンバ122と連通している。ベント導管バルブ手段158は、ベント導管手段148に挿置されている。ベント導管バルブ手段158は、開位置および閉位置を有する、先に記載した種類である。ベント導管バルブ手段158は、信号188に応答して一方の位置をとる。
【0076】
ベント開口138、ベント導管手段148、およびベントバルブ手段158を組み込んだ装置110では、制御手段180が、第1の流体をチャンバ122から除去し、かつ異なった動作シーケンスを用いて第2の流体を出口導管手段142に注入する。制御手段180は、第1の出口導管バルブ手段152に信号182を送って閉位置を実現する動作と、第1の供給装置170に供給信号172を送って停止状態を実現する動作と、第2の出口導管バルブ手段154とベント導管バルブ手段158に信号184、188を送って開位置を実現する動作とを実行することによって、チャンバ122内の圧力を低減する。あるいは、ベント導管手段148が、第2の出口導管手段144よりもかなり大きい直径を有する場合には、ベント導管バルブ手段158だけを開位置に置いて、圧力を低減することができる。チャンバ122内の圧力が大気圧に達すると、制御手段180は、ベント導管バルブ手段158に信号188を送って閉位置を実現し、第2の出口導管バルブ手段154と第2の入口導管バルブ手段156に信号184、186を送って開位置を実現する。制御手段180によって、第2の流体が第1の流体に置き換わるまで、チャンバ122に第2の流体を供給することができる。その後、制御手段180が、第2の入口導管バルブ手段156と第2の出口導管バルブ手段154とに信号186、184を送って閉位置を実現し、かつ第1の供給装置70に供給信号172を送って供給状態を実現することによって、チャンバ122内の圧力を推進圧まで上昇させる。チャンバ122内の圧力が推進圧に達すると、制御手段180が、第1の出口導管バルブ手段152に信号182を送って、第2の流体が出口導管手段142に注入される所定期間、開位置を実現する。
【0077】
チャンバ122内の圧力を低減し、かつベント開口138、ベント導管手段148、およびベントバルブ手段158を組み込んだ装置110のチャンバ122から第2の流体を排出するために、制御手段180が、第1の出口導管バルブ手段152に信号182を送って閉位置を実現し、第2の出口導管バルブ手段154とベント導管バルブ手段158に信号184を送って開位置を実現する。
【0078】
当業者であれば、日常的な実験を行なうだけで、本明細書に記載された特定の手順、実施形態、特許請求の範囲、および例の多数の均等物を、認識または確認することができよう。このような均等物は、本発明の範囲内にあり、本明細書に添付する特許請求の範囲によって包括されていると見なされる。本出願を通して引用された全ての文献、発行特許、および公開特許出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】

ここで、本発明の装置の形態を具体化する方法が、以下の例に関して述べられる。
【0080】
1μmC18(マサチューセッツ州ミルフォードのWaters Corp.社製)の粒子が充填された、75μmID×20cm長さのカラムが、75μmID毛細管と流体連通して置かれた。毛細管は、第1の出口導管凍結融解バルブ252を通され、次に第1の出口導管開口内に取り付けられた第1の出口高圧毛細管嵌合部を通された。毛細管の先端が、チャンバ222の第1の端部235から約500μm離れるまで、毛細管は、開口内に挿入された。その後、毛細管は、高圧毛細管嵌合部を締め付けることによって所定位置に固定された。
【0081】
第1の出口バルブ252が開位置で、他の全てのバルブが閉位置において、10分間、チャンバ222を通してポンプから30kpsiの圧力を加えることによって、95%の水と5%のACNの溶液でカラムが最初に流された。その後、第1の出口バルブ252が閉位置に置かれ、ベントバルブ258が開位置に置かれ、圧力が大気圧に減圧された。その後、ベントバルブ258が閉位置に置かれ、第2の入口バルブ256および出口バルブ254が開位置に置かれた。第2の出口導管手段244の出力のモニタ出力が、チャンバ222が試料で充填されたことを示すまで、第2の入口導管手段246から第2の出口導管手段244に、試料8uM BSA digestが流れ、溶質と置き換わった。第2の入口バルブ256および出口バルブ254が閉位置に置かれ、ポンプが起動して、チャンバ222の試料に10kpsiの圧力を加えた。第1の出口バルブ252が開位置に置かれ、0.7分間、10kpsiで試料がカラムに注入され、約1fmolの試料をカラムに置いた。第1の出口バルブ252が閉位置に置かれ、ベントバルブ258が開位置に置かれて、試料がチャンバ222から除去された。ベントバルブ258が閉位置に置かれ、ポンプは、さらにチャンバ222内の流体を30kpsiに加圧するよう作動された。その後、ポンプは、20分間のグラディエント(5%のA−>95%のB)を行った。なお、Aは5%のACN、Bは70%のACNであり、それぞれ0.1%の蟻酸であった。カラムの出力が、狭いガウス形のペプチドのピークを伴う分離を生じる、Waters Micromass Q−TOF質量分析計(マサチューセッツ州、ミルフォードのWaters Corp.社製)を用いて分析され、特徴の明らかな試料帯がカラムに注入されていたことが示された。
【0082】
上述の注入装置は、1つのカラムを通る一連の試料およびその後の溶質に対して、手動介入せずに、自動化された方法で用いこともできる。上述の装置は、高圧注入から超高圧注入までの範囲の用途において用いることができる。装置は、別個の充填および分離装置で実行される分離に比べて良好な再現性を示す。この改善点は、注入された試料の量をより高精度で制御することに起因する。
【0083】
当業者であれば、上述の実施形態に基づいて本発明の追加の特徴および利点を理解するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲で示されている場合を除き、詳細に図示され説明された内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の装置の一実施形態の図である。
【図2】装置に接続されたカラムを示した、図1の装置の図である。
【図3】状態と制御信号の接続を示した、図1の装置の図である。
【図4】本発明の装置の別の実施形態の図である。
【図5】図5の装置の斜視図である。
【図6A】図5の装置の一実施形態のハウジングの上面図である。
【図6B】図6Aのハウジング内の開口の詳細図である。
【図6C】図6Aのハウジングの1つの形態の詳細図である。
【図7A】図5の装置の斜視図であって、本実施形態の相互接続の詳細を示すために、図6Aのハウジングは透明に表わされている。
【図7B】図7Aの装置のチャンバ内部の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出口導管を通して1つ以上の流体を推進させる装置であり、
ハウジングを備え、該ハウジングが、加圧下で1つ以上の流体を受け入れおよび/または保持するためのチャンバと、外面とを備え、前記ハウジングが、第1の出口開口と、第1の入口開口と、第2の出口開口と、第2の入口開口とを少なくとも有し、各開口が、導管手段を受け入れるために前記チャンバから前記外面に延び、前記装置がさらに、
分析装置と接続するための第1の出口導管手段を備え、該第1の出口導管手段が、前記チャンバから前記第1の出口開口の外に流体を輸送するために、前記チャンバと連通した前記第1の出口開口によって受け入れられ、前記装置がさらに、
第1の供給装置と接続するための第1の入口導管手段を備え、該第1の入口導管手段が、前記チャンバに第1の流体を輸送するために、前記チャンバと連通した前記第1の入口開口によって受け入れられ、前記装置がさらに、
第2の供給装置と接続するための第2の入口導管手段を備え、該第2の入口導管手段が、前記チャンバに第2の流体を輸送するために、前記チャンバと連通した前記第2の入口開口によって受け入れられ、前記装置がさらに、
廃棄物容器と接続するための第2の出口導管手段を備え、該第2の出口導管手段が、前記チャンバから前記第2の出口開口の外に流体を輸送するために、前記チャンバと連通した前記第2の出口開口によって受け入れられ、前記装置がさらに、
前記第1の出口導管手段、前記第2の出口導管手段、および前記第2の入口導管手段の少なくとも1つに配置される少なくとも1つのバルブ手段を備え、前記バルブ手段は、流体が前記バルブ手段を通って流れるのを防ぐ閉位置と、前記流体が前記バルブ手段を通って流れることを可能にする開位置とを有し、前記バルブ手段が、信号に応答して前記位置のうちの一方をとり、
前記チャンバが、前記第1の入口導管手段と前記第2の入口導管手段のそれぞれから流体を受け入れ、かつ前記第1の出口導管手段と前記第2の出口導管手段とを通って流体を排出するためのものである、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバルブ手段が、凍結融解バルブである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の流体が、溶質である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の流体が、試料流体である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の出口導管手段に挿置された第1の出口導管バルブ手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の出口導管手段が、毛細管であり、該毛細管が、前記第1の出口開口内の第1の端部と、前記ハウジングの外側の中央部分と、入力端と出力端とを有する液体クロマトグラフィーカラムとして形成された第2の端部とを有し、前記第1の出口導管バルブ手段が、前記中央部分に配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記毛細管の前記第1の端部が、前記チャンバ内に延びている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記毛細管の前記第1の端部の先端が、前記チャンバ内で前記第2の入口開口と前記第2の出口開口との間に位置している、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記毛細管の内径が、約15μmから150μmの間である、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバルブ手段のそれぞれが、最大120000psiの前記バルブ手段に加わる圧力差で動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の入口導管手段に接続された第1の供給装置をさらに備え、
前記第1の供給装置が、前記第1の流体が最大圧力までの圧力で供給される供給状態と、前記第1の流体が供給されない停止状態とを有し、前記第1の供給装置が、供給信号に応答して前記状態の一方をとる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記開位置および閉位置のうちの一方をとるために、前記バルブ手段に信号を送ることによって前記少なくとも1つのバルブ手段のそれぞれを制御する制御手段をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記供給状態および停止状態の一方をとるために、前記供給装置に供給信号を送ることによって第1の供給装置を制御する制御手段をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記制御手段が、前記チャンバを充填および加圧するために、前記第1の供給装置に供給信号を送って第1の供給装置の供給状態を実現し、前記少なくとも1つのバルブ手段に1つ以上の信号を送って、全ての導管バルブ手段の閉位置を実現する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記制御手段が、前記チャンバ内の流体を前記第2の流体と置き換えるために、前記第1の供給装置に供給信号を送って前記第1の供給装置の停止状態を実現し、前記少なくとも1つのバルブ手段に1つ以上の信号を送って、前記第1の出口導管バルブ手段の閉位置と、前記第2の入口導管バルブ手段と前記第2の出口導管手段の開位置とを実現する、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記制御手段に前記チャンバを出る流体の成分に関する情報を与えるために、前記第2の出口導管手段を通る流体を監視する流体モニタをさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記制御手段が、濃度を決定するために、前記第2の出口導管において前記流体を監視する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記制御手段が、前記チャンバから流体を排出するために、前記第1の供給装置に供給信号を送って前記第1の供給装置の停止状態を実現し、前記少なくとも1つのバルブ手段に1つ以上の信号を送って、前記第1の出口バルブ手段と前記第2の入口バルブ手段の閉位置と、前記第2の出口バルブ手段の開位置とを実現する、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記制御手段が、前記第1の出口導管手段を通して加圧流体を推進させるために、前記第1の供給装置に供給信号を送って前記第1の供給装置の供給状態を実現し、前記少なくとも1つのバルブ手段へ1つ以上の信号を送って、前記第2の入口バルブ手段と前記第2の出口バルブ手段の閉位置と、前記第1の出口バルブ手段の開位置とを実現する、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の供給装置が、前記最大圧力まで前記チャンバの内部の圧力に対して流体を供給できるポンプである、請求項11に記載の装置。
【請求項21】
前記最大圧力が、120000psiである、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記ポンプが、前記最大圧力でグラディエントを生成できるバイナリポンプである、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記チャンバが、略大気圧と前記最大圧力との間の圧力で流体を保持するように設計されかつ構成されている、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記最大圧力が、最大で約5000psiである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記最大圧力が、最大で約15000psiである、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記最大圧力が、最大で約120000psiである、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記チャンバ内の前記圧力は、流体が前記第1の出口開口を通って推進されるときに、約30000psiから100000psiの間である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記第2の出口導管手段に挿置された第2の出口導管バルブ手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記第2の入口導管手段に挿置された第2の入口導管バルブ手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記第2の流体を供給するために、前記第2の入口導管バルブに接続された第2の流体源をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
開口と結合される導管手段との間で流体密封を形成し、かつ前記チャンバ内の前記圧力が上昇すると前記開口内の前記結合される導管手段を保持するために、前記開口と前記開口に結合される導管手段との間に置かれた少なくとも1つの嵌合部をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記嵌合部が、15000psiから120000psiの間のチャンバ圧力で前記開口に前記導管手段を保持する、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
ベント導管手段を受け入れるために、前記チャンバから前記外面に延びる前記ハウジング内のベント開口と、
ベント導管バルブ手段と接続するためのベント導管手段とをさらに備え、ベント導管手段が、前記チャンバから前記ベント開口の外に流体を輸送するために、前記チャンバと連通する前記ベント開口によって受け入れられる、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
流体がベント導管バルブ手段を通って流れることが可能な開位置と、流体が前記ベント導管バルブ手段を通って流れるのを防ぐ閉位置とを有する、前記ベント導管手段に挿置されたベント導管バルブ手段をさらに備え、前記ベント導管バルブ手段が、信号に応答して前記位置の一方をとる、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記制御手段が、前記チャンバから流体を排出するために、前記第1の供給装置に供給信号を送って前記第1の供給装置の停止状態を実現し、前記少なくとも1つのバルブ手段に1つ以上の信号を送って、前記第1の出口バルブ手段と前記第2の入口導管バルブ手段の閉位置と、前記第2の出口導管バルブ手段と前記ベント導管バルブ手段の開位置とを実現する、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記ベント導管手段の内径が、約25μmから150μmの間である、請求項33に記載の装置。
【請求項37】
前記チャンバが、円筒壁、第1の端壁、および第2の端壁を有する、請求項33に記載の装置。
【請求項38】
前記第1の入口開口が、前記第1および第2の端壁から選ばれる壁の一方に位置し、前記第1の出口開口が、前記第1および第2の端壁から選ばれる他方の壁に位置する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記第2の入口開口が、前記第1の出口開口に近接した前記円筒壁を貫通して位置し、前記第2の出口開口が、前記第1の入口開口に近接した前記円筒壁を貫通して位置する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記ベント開口が、前記第2の入力開口とほぼ正反対側の前記円筒壁を貫通して位置する、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記ハウジングが、不活性材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項42】
前記不活性材料が、ステンレス鋼またはチタニウムである、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記第2の入口開口および前記第2の出口開口は、内径が約15μmから50μmの間の導管手段を収容している、請求項1に記載の装置。
【請求項44】
1つ以上の流体を高圧で出口導管に注入する方法であって、
ハウジングを提供することを含み、該ハウジングが、加圧下で1つ以上の流体を受け入れおよび/または保持するチャンバと外面とを有し、前記ハウジングが、第1の出口開口と、第1の入口開口と、第2の出口開口と、第2の入口開口とを少なくとも有し、各開口が、導管手段を受け入れるために前記チャンバから前記外面に延び、前記方法がさらに、
分析装置と接続するための第1の出口導管手段を提供することを含み、該第1の出口導管手段が、前記チャンバから前記第1の出口開口の外に流体を輸送するために、前記チャンバと連通した前記第1の出口開口によって受け入れられ、前記方法がさらに、
第1の供給装置と接続するための第1の入口導管手段を提供することを含み、該第1の入口導管手段が、第1の流体を前記チャンバに輸送するために、前記チャンバと連通した前記第1の入口開口によって受け入れられ、前記方法がさらに、
第2の供給装置と接続するための第2の入口導管手段を提供することを含み、該第2の入口導管手段が、第2の流体を前記チャンバに輸送するために、前記チャンバと連通した前記第2の入口開口によって受け入れられ、前記方法がさらに、
廃棄物容器と接続するための第2の出口導管手段を提供することを含み、該第2の出口導管手段が、前記チャンバから前記第2の出口開口の外に流体を輸送するために、前記チャンバと連通した前記第2の出口開口によって受け入れられ、前記方法がさらに、
前記第1の出口導管手段、前記第2の出口導管手段、および前記第2の入口導管手段の少なくとも1つに配置された、少なくとも1つのバルブ手段を提供することを含み、前記バルブ手段が、流体が前記バルブ手段を通って流れるのを防ぐ閉位置と、前記流体が前記バルブ手段を通って流れることを可能にする開位置とを有し、前記バルブ手段が、信号に応答して、前記開位置と前記閉位置のうちの一方をとり、前記方法がさらに、
前記第1の入口導管手段と前記第2の入口導管手段のそれぞれから流体を受け入れることと、
前記第1の出口導管手段と前記第2の出口導管手段を通して流体を排出することとを含む、方法。
【請求項45】
前記第1の入口導管手段に接続された第1の供給装置を提供することをさらに含み、前記第1の供給装置が、前記第1の流体が最大圧力までの圧力で供給される供給状態と、前記第1の流体が供給されない停止状態とを有し、前記第1の供給装置が、供給信号に応答して前記状態の一方をとる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の入口導管手段と流体連通した前記第2の流体源を提供することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記開位置および閉位置の一方をとるように、前記バルブ手段に信号を送って前記少なくとも1つのバルブ手段のそれぞれを制御し、かつ前記供給状態および停止状態の一方をとるように、第1の供給装置に供給信号を送って前記第1の供給装置を制御する制御手段を提供することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記出口導管手段を通して1つ以上の流体を移動させるために、前記制御手段が、1つ以上の信号を前記バルブ手段と前記第1の供給装置に送って、一連の位置と状態を実現させることをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記制御手段が、
a.前記導管バルブ手段の全てに信号を送って前記チャンバを密封する閉状態を実現する動作と、
b.前記第1の流体を供給し、かつ前記第1の流体の圧力を前記チャンバ内の推進圧まで高めるために、前記第1の供給装置に供給信号を送って供給状態を実現する動作と、
c.ある一定量の前記第1の流体を前記第1の出口導管手段に注入するために、前記第1の出口導管バルブ手段に信号を送って開位置を実現する動作とを実行することによって、ある一定量の前記第1の流体を前記第1の出口導管手段に注入する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記制御手段が、
a.前記チャンバ内の圧力を低減するために、前記第1の出口導管バルブ手段に信号を送って閉位置を実現し、前記第1の供給装置に供給信号を送って停止状態を実現し、前記第2の出口導管バルブ手段に信号を送って開位置を実現する動作と、
b.前記チャンバ内の圧力が大気圧に達する場合に、前記第2の入口導管バルブ手段に信号を送って開位置を実現する動作と、
c.前記第2の流体が前記第1の流体と置き換わるまで、前記第2の流体を前記チャンバに供給する動作と、
d.前記チャンバ内の前記圧力を推進圧にまで高めるために、前記第2の入口導管バルブ手段と前記第2の出口導管バルブ手段に信号を送って閉位置を実現し、前記第1の供給装置に供給信号を送って供給状態を実現する動作と、
e.前記チャンバ内の前記圧力を前記推進圧に維持し、前記第1の出口導管バルブ手段に信号を送って、前記第2の流体が前記第1の出口導管手段に注入する所定時間の間、開位置を実現する動作とを実行することによって、前記第1の出口導管手段に前記第2の流体を注入する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記装置が、前記チャンバを出る前記流体の成分に関する情報を前記制御手段に与えるために、前記第2の出口導管手段を通る流体を監視する流体モニタをさらに備える、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
ステップcが、前記流体モニタからの前記情報が前記第2の流体が前記第1の流体に置き換わったことを示すまで、前記チャンバに前記第2の流体を供給することと置き換えられる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記制御手段が、前記チャンバ内の前記圧力を低減して前記チャンバから流体を流すために、前記第1の出口導管バルブ手段に信号を送って閉位置を実現し、前記第2の出口導管バルブ手段に信号を送って開位置を実現することを含む動作を実行する、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の流体が溶質であり、前記第2の流体が試料流体である、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の供給装置が、ポンプである、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の出口導管手段が、毛細管である、請求項44に記載の方法。
【請求項57】
前記装置が、
ベント導管手段を受け入れるために、前記チャンバから前記外面に延びる前記ハウジング内のベント開口と、
ベント導管バルブ手段と接続するためのベント導管手段とを備え、該ベント導管手段が、前記チャンバから前記ベント開口の外に流体を輸送するために、前記チャンバと連通した前記ベント開口によって受け入れられ、前記装置がさらに、
前記ベント導管手段に挿置されたベント導管バルブ手段を備え、前記バルブ手段が、流体が前記バルブ手段を通って流れることを防ぐ閉位置と、前記流体が前記バルブ手段を通って流れることを可能にする開位置とを有し、前記バルブ手段が、信号に応答して前記位置の一方をとる、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
前記制御手段が、
a.前記チャンバを密封するために、前記導管バルブ手段の全てに信号を送って閉状態を実現する動作と、
b.前記第1の流体を供給し、かつ前記第1の流体の圧力を前記ハウジング内で推進圧にまで高めるために、前記第1の供給装置に供給信号を送って供給状態を実現する動作と、
c.ある一定量の前記第1の流体を前記第1の出口導管手段に注入するために、前記第1の出口導管バルブ手段に信号を送って開位置を実現する動作とを実行することによって、ある一定量の前記第1の流体を前記第1の出口導管手段に注入する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記制御手段が、
a.前記チャンバ内の圧力を低減するために、前記第1の出口導管バルブ手段に信号を送って閉位置を実現し、前記第1の供給装置に供給信号を送って停止状態を実現し、前記第2の出口導管バルブ手段と前記ベント導管バルブ手段に信号を送って開位置を実現する動作と、
b.前記ハウジング内の圧力が大気圧に達すると、前記ベント導管バルブ手段に信号を送って閉位置を実現し、前記第2の入口導管バルブ手段に信号を送って開位置を実現する動作と、
c.前記第2の流体が前記第1の流体と置き換わるまで、前記第2の流体を前記チャンバに供給する動作と、
d.前記チャンバ内の前記圧力を推進圧にするために、前記第2の入口導管バルブ手段と前記第2の出口導管バルブ手段とに信号を送って閉位置を実現し、前記第1の供給装置に供給信号を送って供給状態を実現する動作と、
e.前記チャンバ内の前記圧力を前記推進圧に維持し、前記第1の出口導管バルブ手段に信号を送って、前記第2の流体を前記第1の出口導管手段に注入する所定時間の間、開位置を実現する動作とを実行することによって、前記第1の出口導管手段に前記第2の流体を注入する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記制御手段が、
前記ハウジング内の前記圧力を低減して、前記チャンバから第2の流体を流すために、前記第1の出口導管バルブ手段に信号を送って閉位置を実現する動作と、前記第2の出口導管バルブ手段と前記ベント導管バルブ手段とに信号を送って開位置を実現する動作とを実行する、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記バルブが、凍結融解バルブである、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2007−519007(P2007−519007A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551418(P2006−551418)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/002401
【国際公開番号】WO2005/071396
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(504438255)ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド (80)