説明

液体レンズおよび光学機器

【課題】 第1の液体と第2の液体との界面における反射率を小さくして、効率のよい液体レンズを提供する。
【解決手段】 液体レンズ(120)は、第1の液体(1)と、第2の液体(2)と、第1の層(13)とを含む。第2の液体は、第1の液体とは異なる屈折率を有する。第1の層は、第1の液体の屈折率と第2の液体の屈折率との間の屈折率を有し、第1の液体と第2の液体との間に備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体レンズと、この液体レンズを用いた光学機器とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屈折率の異なる二種類の液体を容器内に充填して液体レンズを構成するとともに、電圧の印加で液体の界面形状を変化させることで可変焦点レンズとして用いる光学系が提案されている。なお、上記の光学系の一例が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特表2001−519539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の液体レンズでは、第1の液体の屈折率と第2の液体の屈折率との差を大きくして液体レンズ全体の屈折率を上げようとすると、第1の液体と第2の液体との界面において入射光束に対する反射率が大きくなる点で改善の余地があった。
本発明は、第1の液体と第2の液体との界面における反射率を小さくした液体レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の発明の液体レンズは、第1の液体と、第2の液体と、第1の層とを含む。第2の液体は、第1の液体とは異なる屈折率を有する。第1の層は、第1の液体の屈折率と第2の液体の屈折率との間の屈折率を有し、第1の液体と第2の液体との間に備えられる。
第2の発明は、第1の発明において、第1の層は、第1の液体および第2の液体から分離して備えられている。
【0005】
第3の発明は、第1または第2の発明において、第1の層が流動性を有する。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、第1の層は、粘性体、液体、高分子膜および高分子粒のいずれか1つを含む。
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、第1の液体、第2の液体および第1の層は、入射光の光軸に沿って配置されている。
【0006】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、第1の層は、入射光束に対する反射防止膜としての役割を有する。
第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明において、入射光の波長をλとし、第1の層の屈折率をnとしたとき、第1の層の厚さはλ/(4n)である。
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明において、第1の層は、第1の液体および第2の液体の少なくとも一方と親和性を有する。
【0007】
第9の発明の光学機器は、第1から第8のいずれかの発明の液体レンズを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の液体と第2の液体との界面での反射率を小さくした高機能の液体レンズを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付の図面を用いて、本発明の一実施形態について説明する。
(液体レンズの説明)
図1から図3は、本実施形態の液体レンズの動作を示す説明図である。なお、図1は液体レンズの光軸方向と水平に切断した状態を示している。
図1に示す液体レンズ120は、導電性液体1と、誘電性液体2と、容器5と、絶縁層6と、上部電極7a,8aと、下部電極7b,8bと、第3物質層13とを有している。
【0010】
容器5は、円筒状の内部空間を有する容器本体と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体とで構成されている。この容器5の材質は、絶縁性を有する透光性樹脂などで構成されている。そして、液体レンズ120の組立状態では、容器5に液体レンズを構成する各部品が収納される。便宜上、図1では容器5を一体化した一部品として示す。なお、容器5の内側側面には撥水加工が施されている。
【0011】
容器5の内部には、いずれも透光性を有する導電性液体1および誘電性液体2が充填されている。導電性液体1および誘電性液体2の間には、透光性を有する第3物質層13が形成されている。第3物質層13は、導電性液体1および誘電性液体2から分離して容器5内に備えられている。すなわち、容器5内において導電性液体1および誘電性液体2は第3物質層13で隔てられており、各々の液体が混じり合うことはない。なお、第3物質層13は、入射光束に対する反射防止膜の役割も果たす。
【0012】
また、導電性液体1、誘電性液体2および第3物質層13は、液体レンズ120に対する入射光の光軸に沿って配置されている。具体的には、図1では液体レンズ120の光軸方向入射側(図1の上側)から順に、誘電性液体2、第3物質層13、導電性液体1がそれぞれ層をなすように配置されている。なお、容器5の内側側面の撥水加工によって、導電性液体1の図中上側の界面は、誘電性液体2および第3物質層13に対して中央部が張り出した凸球面をなしている。
【0013】
ここで、導電性液体1には例えば無機塩の水溶液が使用される。また、誘電性液体2には例えばフッ素系オイルが使用される。そして、導電性液体1および誘電性液体2は各々が異なる屈折率を有し、導電性液体1は誘電性液体2よりも屈折率が大きくなるように設定されている。
第3物質層13は流動性のある物質で構成されており、導電性液体1と誘電性液体2との界面形状の変形を許容する。例えば、第3物質層13は、粘性体、液体、高分子膜、高分子粒のいずれか1つを含んでいる。また、第3物質層13の屈折率は、導電性液体1の屈折率と誘電性液体2の屈折率との間の値となるように設定される。なお、第3物質層13の厚さは、入射光の波長をλとし、第3物質層13の屈折率をnとするときに、λ/(4n)の値に設定することが特に好ましい。
【0014】
また、図1において、第3物質層13の下面は導電性液体1との親和性を有している。同様に、第3物質層13の上面は誘電性液体2との親和性を有している。ここで、親和性とは、ある物質が他の物質と容易に結合する性質を意味する。もっとも、実際には、第3物質層13が導電性液体1および誘電性液体2の両方に親和性を有する必要はない。例えば、第3物質層13が導電性液体1または誘電性液体2の一方に対して親和性を有していれば足りる。
【0015】
図1において、上部電極7aおよび下部電極7bと、上部電極8aおよび下部電極8bとは、各々1対の電極を構成する。そして、上記の1対の電極間には直流電圧が印加される。また、下部電極7b,8bの容器内面側はそれぞれ絶縁層6で被覆されている。なお、図1はいずれの電極にも電圧が印加されていない状態を示している。
図2は、上部電極8aと下部電極8bとの間に直流電圧を印加したときの状態を示す図である。上部電極8aと下部電極8bとに直流電圧が印加されると、電界によって導電性液体1と誘電性液体2との表面張力が変化し、導電性液体1が電極8a,8bの方に引かれて変位した状態となる。これにより、導電性液体1と誘電性液体2との界面の形状が変化して、液体レンズ120の光学特性が変化する。
【0016】
また、本実施形態の液体レンズ120では、レンズの円周方向に4対の電極を配置している。これにより、液体レンズ120における界面の変位を、光軸に対して垂直な面内の2方向に制御可能としている。図3は、液体レンズ120を光軸方向から見た図である。容器5の円周上には、円弧状の4対の電極7,8,9,10が配置されている。そして、電極7または電極8への電圧印加により、紙面左右方向(X方向)に液体レンズ120を制御できる。同様に、電極9または電極10への電圧印加により、紙面上下方向(Y方向)に液体レンズ120を制御できる。
【0017】
ここで、図3に示す各電極(7〜10)は、各々が上部電極および下部電極を有している。電極9,10の構成は、図1および図2に示した電極7a,7b,8a,8bの構成とほぼ共通するので、個別の図示と重複説明は省略する。また、液体レンズ120の屈折率を高精度に制御する必要がある場合には、電極の分割数をさらに増やせばよい。なお、液体レンズ120を有効に駆動するためには、少なくとも3対の電極が必要となる。
【0018】
以上の構成によれば、簡素な機構で光学特性を変化できるとともに、小型化が容易な液体レンズ120を提供できる。特に本実施形態では、第3物質層13によって入射光束の界面での反射が防止されるので、入射光束の利用効率を高めた高性能の液体レンズ120が実現できる。
なお、本実施形態では、容器5内に電極(7〜10)を設ける例を説明したが、導電性液体1に対して電圧を直接印加する構成としてもよい。
【0019】
(本実施形態の具体例)
次に、本実施形態の具体例について説明する。ここで、導電性液体1の屈折率をnb、誘電性液体2の屈折率をna、第3物質層13の屈折率をnc、第3物質層の膜厚をdとする。なお、本実施形態での屈折率の値は、na<nc<nbの関係を有する。この場合、界面に対して垂直に入射する光の反射率Rcは、次式で表される。
【0020】
Rc=((na×nb−nc2)/(na×nb+nc2))2
第3物質層13の上面と下面との反射強度が等しいため、反射光が無い状態においては、Rc=0である。そのため、振幅条件は次式で表される。
nc=(na×nb)1/2
また、第3物質層13の上下二つの境界面での反射光の位相差をλ/2にする必要がある。そのため、位相条件は次式で表される。
【0021】
nc×d=λ/4
したがって、上記の振幅条件と位相条件を満たせば、波長λに対して反射率Rcが0となる。一般に、液体レンズの界面での反射はある特定の波長λにおいて特に大きくなる。したがって、当該波長λについて、上記の振幅条件と位相条件とを満たすように液体レンズを設計すれば、液体レンズの界面に垂直に入射する光の反射率を大幅に低減できる。
【0022】
(比較例)
上記した具体例に対する比較例として、第3物質層13を設けていない液体レンズの界面における反射率Rの一例を示す。
導電性液体(屈折率大)の屈折率を1.8、誘電性液体(屈折率小)の屈折率を1.3とする。この場合、液体レンズの界面に垂直に入射する光の反射率Rは、次式で示すことができる。
【0023】
R=((1.8−1.3)/(1.8+1.3))2
上記の式において、反射率Rはパーセントで表現すると約2.6%であり、上記具体例の反射率Rcよりも大きな値となってしまう。したがって、本実施形態によれば、液体レンズの界面における光の反射率を大幅に低減できることが分かる。
(液体レンズの光学機器への応用例1)
図4は、本実施形態の液体レンズ120をカメラシステムに適用した場合を示す模式図である。同図の例では、上述の液体レンズ120が、一眼レフ型のカメラシステムのレンズシフト系のブレ補正装置に適用されている。
【0024】
図4のカメラシステムは、交換レンズ200とカメラボディ210とを有している。そして、交換レンズ200内に上記のブレ補正装置が搭載されている。
交換レンズ200は、角速度センサ15と、増幅部20と、A/D変換部30と、基礎値演算部40と、減算器50と、目標駆動値演算部60と、駆動量データテーブル70と、撮影倍率情報計算部90と、撮影距離情報計算部100と、ブレ補正レンズ光学情報計算部110と、ROM115と、ドライバ80と、像ブレ補正用の液体レンズ120とを有している。
【0025】
また、基礎値演算部40、減算器50、目標駆動値演算部60、駆動量データテーブル70、撮影倍率情報計算部90、撮影距離情報計算部100、ブレ補正レンズ光学情報計算部110、ROM115は、図示するようにマイコン150によって構成されている。なお、ROM115は、マイコン150の制御方法(制御手順)を記憶している。
角速度センサ15は、カメラシステムに加えられた振動を角速度として検出して、検出された角速度に応じた角速度検出信号を出力する。角速度センサ15としては、通常、コリオリ力を検出する圧電振動式角速度センサが用いられる。
【0026】
増幅部20は、角速度センサ15から出力される角速度検出信号を増幅する。角速度センサ10の出力は小さいため、A/D変換部30でデジタル化してマイコン内で処理しようとしても、角速度検出信号の分解能が低すぎる(すなわち、1ビットあたりの角速度検出信号が大きすぎる)。そのため、このままでは正確な振動検出を行うことができず、像ブレ補正の精度を上げることができない。そこで、増幅部20は、角速度検出信号をA/D変換部30に入力する前に増幅する。これにより、マイコン150内での角速度検出信号の分解能を上げる(1ビットあたりの角速度検出信号を小さくする)ことができ、ブレ補正精度を上げることが可能になる。また、増幅部20は、角速度検出信号を増幅するだけではなく、角速度センサ15の出力に含まれる高周波ノイズを低減させるため、ローパスフィルタ等を備えてもよい。増幅した角速度検出信号は、A/D変換部30へ送信される。
【0027】
A/D変換部30は、増幅部20から送られてきたアナログの角速度信号をデジタル信号に変換する。角速度検出信号をデジタル信号に変換することで、マイコン150内での演算処理が可能となる。なお、このA/D変換部30は、図4に示すようにマイコン150と別に設けてもよいし、マイコン150にA/D変換部が内蔵されている場合には、そのA/D変換部を利用してもよい。なお、角速度検出信号は、A/D変換部30においてアナログ信号からデジタル信号に変換された後、基準値演算部40と減算器50とに入力される。
【0028】
基準値演算部40は、角速度検出信号に基づいて、振れが存在しないときの角速度検出信号の基準値を演算する。すなわち、基準値演算部40は、振れがゼロのときの角速度検出信号を基準値として減算器50に出力する。
基準値演算部40における基準値の演算方法の一例として、次の(数1)に示す移動平均がある。
【0029】
【数1】

【0030】
この他、一般的なローパスフィルタを利用して基準値を算出してもよい。例えば、増幅部20とA/D変換部30との間にローパスフィルタを設けてもよい。
減算器50は、A/D変換部30から出力される角速度検出信号から前記基準値を減算して角速度で表される振れ検出信号を求め、求めた振れ検出信号を目標駆動値演算部60へ出力する。
【0031】
目標駆動値演算部60は、角速度で表される振れ検出信号を時間積分することにより振れ角度情報に変換する。その後、目標駆動値演算部60は、振れ角度情報と、撮影倍率情報計算部90で演算される撮影倍率情報βと、撮影距離情報計算部100で演算されるレンズの焦点距離情報Rと、ブレ補正レンズ光学情報計算部110で演算されるブレ補正レンズ光学情報(ブレ補正係数K)とを利用して、液体レンズ120を駆動するための目標駆動値情報を演算する。
【0032】
すなわち、撮影倍率情報計算部90は、撮影倍率情報光学系の焦点距離や焦点調節用レンズの位置などから撮影倍率情報βを算出する。算出された撮影倍率情報βは目標駆動値演算部60に入力される。
撮影距離情報計算部100は、撮影距離情報光学系の焦点距離や焦点調節用レンズの位置などから撮影距離情報Rを算出する。撮影距離情報Rは目標駆動値演算部60に入力される。
【0033】
ブレ補正レンズ光学情報計算部110は、ブレ補正レンズに関する光学情報を目標駆動値演算部60に入力する。ここでの光学情報は、前記したようにブレ補正係数Kである。ブレ補正係数Kの定義は、ブレ補正係数=レンズ移動量に対する像移動量である。
目標駆動値情報の演算式の例を次の(数2)に示す。
【0034】
【数2】

【0035】
(数2)は、レンズ目標駆動値θとA/D変換部30から出力される角速度検出信号との偏差を求め(減算器50の働き)、それをもとにして液体レンズ120を駆動するための駆動信号を演算するものである。駆動信号の演算は、偏差に比例する項、偏差の積分に比例する項、偏差の微分に比例する項を足しあわせる形で駆動信号を演算するPID制御が一般的である。しかし、PID制御に限らず、他の方法を用いてもよい。
【0036】
目標駆動値演算部60から出力される駆動信号は、駆動量データテーブル70に入力される。駆動量データテーブル70は、液体レンズ120の光軸シフト量、及び光軸方向のずれ量を勘案して、目標駆動値演算部60から出力される駆動信号(デジタル信号)を液体レンズ120の駆動電圧に換算して、ドライバ80に出力する。
ドライバ80は、駆動量データテーブル70から出力される駆動電圧を受けて、上部電極7a,下部電極7b,上部電極8a,下部電極8bに各々印加する電圧に変換して出力する。
【0037】
液体レンズ120は、図4に示すように撮影部の結像光学系に内蔵されている。この液体レンズ120は、上記の例と同様に、導電性液体1と誘電性液体2の界面に位置する第3物質層13が、入射光の反射を防止する。また、液体レンズ120は、上記の例と同様に4対の電極を備えている。しかし、後述の図6,図7の説明では、便宜上、2対の電極での液体レンズの制御のみを説明し、他の2対の電極での液体レンズの制御については重複説明を省略する。
【0038】
カメラボディ210は、交換レンズ200を着脱可能に構成されている。このカメラボディ210の内部には、クイックリターンミラー300、増幅型の撮像素子(CCD,CMOS等)400、光学式ファインダ500などを含む画像撮影に必要な部品群が備えられている。
写真等の像ブレは、手ぶれ等のカメラに加えられる振動により、露光中に撮像面上の像が動いてしまうことにより発生する。しかし、図4に示すようなブレ補正装置付きカメラにおいては、角速度センサ15などの振動検出センサが内蔵されている。これらの振動検出センサは、カメラシステムに加えられた振動を検出する。そして、カメラシステムに加えられた振動が検出されれば、撮像面の像の動きを知ることができるので、結像面上の像の動きが止まるように液体レンズ120を動作させ、結像面上の像の動き、すなわち像ブレを補正することができる。このとき、液体レンズ120の第3物質層13が入射光の反射を防止するので、高性能なブレ補正装置を実現することができる。
【0039】
以上の実施形態では、角速度センサ15を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、角速度センサ15の代わりに、例えば加速度センサを用いてもよい。
なお、マイコン150は、以上に説明した演算部、変換部、制御プログラム等の各種情報を記憶する不揮発性メモリ等を全て含んでいる。また、上記の説明ではレンズ交換式のカメラシステムの例を説明したが、レンズとカメラとが一体化されたカメラシステムであっても勿論かまわない。
【0040】
(液体レンズの光学機器への応用例2)
図5は、カメラ機能を備えた携帯電話のレンズ系Lに液体レンズ120を適用した例を示す図である。すなわち、液体レンズ120を携帯電話のレンズ系Lに適用することで、光学的なブレ補正を行うことのできるカメラ機能を備えた携帯電話を提供できる。なお、図5に示す携帯電話において、液体レンズ120によるブレ補正の実現に必要となる各機構は、上記の図4の構成とほぼ共通するので重複説明を省略する。
【0041】
(液体レンズによる像ブレ補正の説明)
以下、液体レンズ120を制御して、像ブレを補正する具体例について説明する。
図6は、本実施形態におけるブレ補正装置の光学系を示す図である。図6において、図1と共通する構成には同一符号を付して重複説明を省略する。この図6での光学系は、光軸に対してシフトしない光学系群21,22と、光軸に対してシフトする液体レンズ120とから構成されている。この図6では、各光学系群の光軸がほぼ同軸上にある状態を示している。図6において、無限遠に対する像面は符号31で示す。
【0042】
図7は、図6のブレ補正装置に対して、液体レンズ120の上部電極7aと下部電極7bとの間、上部電極8aと下部電極8bとの間に、図4に示すドライバ80から出力された電圧を印加した状態を示している。この場合には、導電性液体1と誘電性液体2の界面形状を変化させることで、像面33の位置を図6に示す像面31とほぼ同一の位置(ピントが合った状態)にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態の液体レンズを示す説明図
【図2】本実施形態の液体レンズを示す説明図
【図3】本実施形態の液体レンズを示す説明図
【図4】ブレ補正装置を備えたカメラの基本構成を表すブロック図
【図5】カメラ機能付携帯電話の一例を示す説明図
【図6】液体レンズによる像ブレの補正を説明する図
【図7】液体レンズによる像ブレの補正を説明する図
【符号の説明】
【0044】
1…導電性液体、2…誘電性液体、5…容器、6…絶縁層、7a,7b…上部電極、8a,8b…下部電極、13…第3物質層、15…角速度センサ、20…増幅部、30…A/D変換部、40…基礎値演算部、50…減算器、60…目標駆動値演算部、70…駆動量データテーブル、80…ドライバ、90…撮影倍率情報計算部、100…撮影距離情報計算部、110…ブレ補正レンズ光学情報計算部、115…ROM、120…液体レンズ、200…交換レンズ、210…カメラボディ、L…レンズ系(携帯電話)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体と、
前記第1の液体とは異なる屈折率を有する第2の液体と、
前記第1の液体の屈折率と前記第2の液体の屈折率との間の屈折率を有し、前記第1の液体と前記第2の液体との間に備えられる第1の層とを含むことを特徴とする液体レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載された液体レンズであって、
前記第1の層は、前記第1の液体および前記第2の液体から分離して備えられていることを特徴とする液体レンズ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された液体レンズであって、
前記第1の層は、流動性を有することを特徴とする液体レンズ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された液体レンズであって、
前記第1の層は、粘性体、液体、高分子膜および高分子粒のいずれか1つを含むことを特徴とする液体レンズ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された液体レンズであって、
前記第1の液体、前記第2の液体および前記第1の層は、入射光の光軸に沿って配置されていることを特徴とする液体レンズ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された液体レンズであって、
前記第1の層は、入射光束に対する反射防止膜としての役割を有することを特徴とする液体レンズ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された液体レンズであって、
入射光の波長をλとし、前記第1の層の屈折率をnとしたとき、
前記第1の層の厚さは、λ/(4n)であることを特徴とする液体レンズ。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された液体レンズであって、
前記第1の層は、前記第1の液体および前記第2の液体の少なくとも一方と親和性を有することを特徴とする液体レンズ。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載された液体レンズを用いたことを特徴とする光学機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−333975(P2007−333975A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165024(P2006−165024)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】