説明

液体凝固の酸素阻害を減衰させる重合技術及びそのための組成物

本発明は、重合可能な液体を取り囲む大気中に含まれる酸素による重合工程の阻害を最小限に抑えることを特徴とする、基板上にフィルムを形成するために重合可能な液体を凝固させる方法を含む。そのために、重合可能な液体は、重合可能な液体と相互作用する酸素を消費し、かつ重合工程を容易にするために追加の遊離基を発生させる開始剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府支援による研究又は開発に関する記述
米国政府は、本発明における一括払いライセンス、及び米国標準局(NIST)ATP裁定によって裁定された70NANB4H3012の条項に規定される、特許権者に対し、他者に穏当な条件で使用許諾をすることを要求する、限定された状況における権利を有する。
【0002】
発明の分野は、一般に構造物の微細加工に関する。より詳細には、本発明は、インプリントリソグラフィでの使用に適した重合技術を対象とする。
【背景技術】
【0003】
微細加工は、例えば、約数マイクロメートル以下のフィーチャを有する非常に小さな構造物の加工を含む。微細加工が相当大きな影響を与えた1つの分野が集積回路の処理である。半導体処理産業が、基板上に形成される単位面積当たりの回路を増加させながら、より高い製品歩留まりを得るために努力し続けているので、微細加工はますます重要になっている。微細加工は、形成される構造物の最小のフィーチャ寸法の減少を進めることを可能にしながら、より優れたプロセス制御を提供する。微細加工が使われてきた他の開発領域には、バイオテクノロジー、光学技術、機械系等がある。
【0004】
典型的な微細加工技術は、一般にインプリントリソグラフィと呼ばれており、本発明の譲受人に全てが譲渡された、特許文献1(発明の名称「METHOD AND A MOLD TO ARRANGE FEATURES ON A SUBSTRATE TO REPLICATE FEATURES HAVING MINIMAL DIMENSIONAL VARIABILITY」)、特許文献2(発明の名称「METHOD OF FORMING A LAYER ON A SUBSTRATE TO FACILITATE FABRICATION OF METROLOGY STANDARDS」)及び特許文献3(発明の名称「METHOD AND A MOLD TO ARRANGE FEATURES ON A SUBSTRATE TO REPLICATE FEATURES HAVING MINIMAL DIMENSIONAL VARIABILITY」)のような多数の公報に詳細に記載されている。前述の公開された特許出願の各々に示したような、基本的なインプリントリソグラフィ技術は、重合可能な層内でのレリーフパターン形成、及び構造物内にレリーフ像を形成する下層基板にレリーフ像を転写することを含む。そのために、テンプレートは基板から間隔を置いて用いられ、テンプレートと基板の間に形成可能な液体が存在する。液体は、凝固し、液体と接触するテンプレート表面の形状に一致する、内部に記録されたパターンを有する凝固層を形成する。基板と凝固層は、次に凝固層内のパターンに対応するレリーフ構造物を基板に転写する工程を受ける。
【0005】
重合可能な液体が、テンプレートと基板の間に置かれる一方法は、複数の液体小滴を基板上に堆積させることによる。その後、重合可能な液体を基板表面にわたって塗布し、かつその後に内部にパターンを記録するために、テンプレートによる重合可能な液体との接触がなされる。重合可能な液体が基板にわたって広がるとき、空気のようなガスの閉じ込めを回避することが非常に望ましい。
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0065976号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0065252号明細書
【特許文献3】米国特許第6936194号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、内部にガスを閉じ込めることを最小限に抑えながら、基板上に流体層を形成する方法を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、重合可能な液体を取り囲む大気中に含まれる酸素による重合工程の阻害を最小限に抑えることを特徴とする、基板上にフィルムを形成するために重合可能な液体を凝固させる方法を含む。そのために、重合可能な液体は、重合可能な液体と相互作用する酸素を消費し、かつ重合工程を容易にするために追加の遊離基を発生させる開始剤又は添加剤をとりわけ含む。具体的には、本方法は、複数の分子を一緒に連結するのを開始させるために、重合可能な液体を化学線に暴露させることによって、遊離基の一次集団を作ることを含む。遊離基の二次集団は、一次集団の遊離基のサブセットとの液体を取り囲む大気の分子の相互作用によって発生する。遊離基の三次集団が、複数の分子の追加の分子を一緒に連結するために、二次集団の遊離基との複数の分子の相互作用によって発生する。これら及びその他の実施態様は、以下でより十分に論じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、ブリッジ14と、その間に延びるステージ支持体16を有する一対の離間ブリッジ支持体12を含む本発明の一実施形態に従ったリソグラフィックシステム10を描いている。ブリッジ14と、ステージ支持体16は離れている。ブリッジ14に結合されているのは、ブリッジ14からステージ支持体16に向かって延びるインプリントヘッド18である。インプリントヘッド18に面するようにステージ支持体16に配置されているのは、移動ステージ20である。移動ステージ20は、X、Y軸に沿ってステージ支持体16に対して移動するように構成されており、かつ同様にZ軸に沿った移動も行うことができる。放射線源22が、化学線を移動ステージ20に当てるためにシステム10に結合されている。示すように、放射線源22は、ブリッジ14に結合され、かつ放射線源22に接続された発電機23を含む。
【0010】
図1、2の両方を参照すると、インプリントヘッド18に接続されているのは、モールド26を有するテンプレート24であり、モールドは形成されたパターンを有する平滑又は平坦な面を備えている。示すように、モールド26は、複数の離間した凹所28と突出部30によって形成された複数のフィーチャを有するパターンを含む。突出部30は幅W1を有し、かつ凹所28は幅W2を有し、その両方とも、Z軸に対して横断方向に延びる方向で測定される。複数のフィーチャは、移動ステージ20上に位置決めされる基板32に転写されるパターンの基礎を形成する元のパターンである。そのために、インプリントヘッド18は、Z軸に沿って動き、かつモールド26と基板32の間の距離「d」を変えるように構成されている。あるいは、インプリントヘッド18と共同して、移動ステージ20は、Z軸に沿ってテンプレート24を動かすことができる。このようにして、モールド26上のフィーチャが、以下で更に十分に論ずるように、基板32の流動性領域にインプリントされる。
【0011】
放射線源22は、モールド26が放射線源22と基板32の間に位置決めされるように置かれ、放射線源22によって発生する化学線が、モールド26を通って伝播する。その結果、モールド26は化学線に実質的に透明な材料から製造されることが望ましい。モールド26を製造できる典型的な材料には、用いられる化学線によって、溶融石英、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、金属、その他上記の組合せが含まれる。典型的なシステムは、1807−C Braker Lane、Suite 100、Austin、Texas 78758に事業所を有するMolecular Imprints,Inc.からのIMPRIO 100(商標)という商品名で入手可能である。IMPRIO 100(商標)に関するシステム記述は、www.molecularimprints.comで入手可能である。
【0012】
図2、3の両方を参照すると、インプリント層34のような流動性領域が、モールド26を向く面である、平坦でないにせよ実質的に平滑なプロフィールを示す表面36の一部に形成される。本発明の一実施形態において、流動性領域は、基板32上にインプリント材料の複数の離間した離散小滴38として堆積されれる。具体的には、小滴38は、小滴38のインプリント材料が、記録されたパターン134として図4により明瞭に示すように、表面36上につながった層を形成させるために結合させられた時に、ガスの閉じ込めを最小限に抑えるパターン100内の表面36にわたって配置される。
【0013】
図2、4の両方を参照すると、インプリント材料は、以下で論じるように、その後に凝固させる記録されたパターン134を形成するように、元のパターンの逆のパターンを記録するために、選択的に重合し、かつ架橋される。モールド26上の複数のフィーチャは、モールド26の断面に狭間胸壁の形を与える突出部30と平行な方向に沿って延びる凹所28として示される。しかしながら、凹所28と、突出部30は、事実上いかなる所望のフィーチャにも対応でき、かつ0.数ナノメートルくらいに小さくても良い:集積回路の形成を容易にするようなフィーチャである。
【0014】
図2、5の両方を参照すると、記録されたパターン134は、モールド26とのインプリント材料の相互作用、例えば機械的接触、電気的接触等によって部分的に生成される。代表的な実施形態において、距離「d」が、インプリント層34がモールド26と機械的に接触できるように減少させられる。それに応じて、表面36にわたるインプリント材料のつながった形状を形成するために、小滴38状のインプリント材料が広がり、一連の中間パターンを形成する。その1つをパターン200として示す。一実施形態において、距離「d」は、記録されたパターン134のサブ部分46が凹所28に入り、かつ満たせるように減少させられる。接触が発生する前に、表面36と液滴38の両方とモールド26との間に、例えば1平方インチ当たり5ポンド(psi)で流されるヘリウムガスによって、容積をパージすることが望ましい。代表的なパージ技術は、2003年10月2日に出願された米国特許出願第10/677639号明細書(発明の名称「SINGLE PHASE FLUID IMPRINT LITHOGRAPHY METHOD」)に開示される。
【0015】
本実施形態において、突出部30と重ね合わされる記録されたパターン134のサブ部分48が、所望の、通常は最小距離「d」に達した後に残留する、厚さt1のサブ部分46と厚さt2のサブ部分48を残す。厚さt2は残留厚さと呼ばれる。厚さ「t1」と「t2」は、用途によって、所望のいかなる厚さであってもよい。小滴38に含まれる全容積は、すなわちモールド26と表面36によるインプリント材料の毛管引力と、インプリント材料の表面接着によって、所望の厚さt1及びt2を得ながら、多量のインプリント材料が、モールド26と重ね合わされる表面36の領域を越えて広がるのを最小に抑える又は回避するようになっている。
【0016】
図2、3を再び参照すると、所望の距離「d」に達した後に、放射線源22は、インプリント材料を重合し、かつ架橋する化学線を生成し、記録されたパターン134を凝固させる。インプリント層34の組成物は、流体インプリント材料から凝固材料に変形する。このことは、凝固インプリント層134に、図4により明瞭に示す、モールド26の表面50の形に合致する形を有する面を与える。結果として、記録されたパターン134は、凹部52と突起54を有して形成される。記録されたパターン134の凝固後、モールド26と記録されたパターン134が離れるように距離「d」を増加させる。通常、この工程は、基板32の異なる領域(図示せず)をパターン化するために、数回繰り返され、ステップ・アンド・リピート工程と呼ばれる。典型的なステップ・アンド・リピート工程は、本発明の譲受人に譲渡された、公告された米国特許第6900881号明細書(発明の名称「STEP AND REPEAT IMPRINT LITHOGRAPHY」)に開示されている。
【0017】
このパターン化工程の利点は、多方面にわたる。例えば、突起54と凹部52の間の厚さの差は、記録されたパターン134に対応するパターンの基板32への形成を容易にする。具体的には、それぞれ突起54と、凹部52のt1とt2の間の厚さ差は、暴露される凹部52と重ね合わされる基板32の領域に必要な時間と比較して、突起54と重ね合わされる基板32の領域を暴露する前に必要な、より多くのエッチング時間を招く。従って、所与のエッチング工程に関して、エッチングは、突起54と重ね合わされる領域よりも、凹部52と重ね合わされる基板32の領域において早く開始する。このことは、記録されたパターン134に対応する基板内でパターンの形成を容易にする。インプリント材料と、エッチング化学作用を適切に選択することによって、基板32に最終的に転写されるパターンの異なるフィーチャ間の関係寸法は、所望のように制御できる。そのために、記録されたパターン134のエッチング特性が、所与のエッチング化学作用に関して実質的に均一であることが望まれる。
【0018】
結果として、インプリント材料の特性は、用いられる独特なパターン化工程に照らして、基板32を効率的にパターン化するために重要である。上述のように、インプリント材料は、複数の離散し、かつ離間した小滴38として基板32上に堆積する。小滴38の組み合わせた容積は、記録されたパターン134が形成されるべき表面36の面積にわたって、インプリント材料が、適切に分布するようになっている。この方法で、小滴38内のインプリント材料の全容積は、一旦、所望の距離「d」に達すると、重ね合わされるモールド26と基板32の部分の間に設けられたギャップにインプリント材料によって占められる総容積が小滴38内のインプリント材料の総容積と実質的に等しいように、得られるべき距離「d」を決める。堆積工程を容易にするために、すべての厚さt1が実質的に均一であり、かつすべての残留厚さt2が実質的に均一であるように、インプリント材料が、表面36にわたって小滴38内でインプリント材料の急速、かつ均等な広がりを提供することが望まれる。
【0019】
図6を参照すると、本発明によって認識される課題は、連続した層300の蒸発特性を変えることを含む。層300は、平坦化モールド(図示せず)、すなわち平滑表面によって非パターン化されたモールドが、小滴38を塗布するために用いられたことを除いて、以上に論じた方法で形成された。小滴38の塗布後、インプリント材料は、波長約365nm、流束77mW/cm2を有する化学線に約700ms暴露して、それを凝固させる。層300の凝固後、その面積にわたる種々の厚みが観察された。具体的には、領域302、304は、層300の残りの領域より薄いことが発見された。見られるように、領域304は、領域302と比較して実質的に均一の面積を有する。領域302は、領域304に近接した第1の厚みs1を有し、それは次第に大きくなり、s2として示す層300の外縁に近接する頂点に達する。領域302、304は、小滴38内でインプリント材料が広がるにつれて発生する、一連の中間パターンの間、酸素の存在に起因する部分重合から生じると考えられる。示すように、材料周囲境界202が、インプリント材料が広がるにつれて中間パターン200内で発生する。材料周囲境界202は、インプリント材料の隣接する容積がつながるまで存続する。見られるように、インプリント材料は、境界204に近接して配置されるパターン200の領域と比較して、パターン200の中央領域において早くつながる。重合減少は、蒸発を引き起こし、かつ重合を阻害すると考えられる、酸素のような周囲の成分への暴露時間の長さに直接関連があると考えられる。このことは、領域302の種々の厚さの原理を提供する。層300を形成するために使用されるインプリント材料のための先行技術の組成物は、以下の通りである:
【0020】
先行技術の組成物
イソボルニルアクリレート
n−ヘキシルアクリレート
エチレングリコールジアクリレート
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
12
(R12は、界面活性剤である)。本発明の目的を達成するために、界面活性剤は、任意の分子と定義され、その一方の尾部は、疎水性である。界面活性剤は、フッ素含有であっても良く、例えばフッ素鎖を含むか、又は界面活性剤分子構造にいかなるフッ素も含まなくても良い。界面活性剤R12において、R1=F(CF2CF2yであり、yは1から7(7を含む)の範囲にあり、かつR2=CH2CH2O(CH2CH2O)xHであり、xは0から15(15を含む)の範囲にある。代表的な界面活性剤は、DUPONT(商標)からの商品名ZONYL(登録商標)FS0−100で入手できる。重合反応中に、先行技術の組成物が、材料−ガス境界に近接する過酸化物基を形成すると考えられた。このことは、インプリント材料の重合を妨げないにせよ、その速度を落とす。その結果、所与の重合工程に関して、フィルム300は、その容積にわたって種々の凝固程度を与えられる。
【0021】
本発明は、硬化工程を阻害するであろう周囲中で分子を消費する捕捉材料を、インプリント材料を形成する組成物中に含むことによってこれらの欠点を克服する。具体的には、開始剤を有する添加剤を含むことによって、材料−ガス境界での重合の阻害が、最小限に抑えられることが発見された。そのために、次の組成物を提供するために、アミン含有添加剤が、先行技術の組成物に含まれる:
【0022】
組成物1
イソボルニルアクリレート
n−ヘキシルアクリレート
エチレングリコールジアクリレート
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
N−メチルジエタノールアミン
12
【0023】
アクリル酸成分イソボルニルアクリレート(IBOA)は、次の構造:
【化1】

を有し、かつ約55重量%の組成物1を含むが、20%から80%(80%を含む)の範囲で存在しても良い。その結果、凝固インプリント層134の機械的性質は、IBOAに主に起因する。成分n−ヘキシルアクリレート(nHA)は、次の構造:
【0024】
【化2】

を有し、かつ約27重量%の組成物1を含むが、0%から50%(50%を含む)の範囲で存在しても良い。同様に、凝固インプリント層134に可撓性を提供して、nHAは、液相での組成物1が、2〜9センチポアズ(9センチポアズを含む)の範囲内で粘性を有するように、先行技術の組成物の粘性を減少させるために用いられる。架橋成分、エチレングリコールジアクリレートは、次の構造:
【0025】
【化3】

を有し、かつ約15重量%の組成物1を含むが、10%から50%(50%を含む)の範囲で存在しても良い。EGDAは、弾性率及び剛性強化にも関与し、並びに組成物1の重合中に、nHA及びIBOAの架橋を容易にする。開始剤成分、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンは、商品名DAROCUR 1173でTarrytown、New YorkのCiba Specialty Chemicalsから入手でき、次の構造:
【0026】
【化4】

を有し、かつ約3重量%の組成物1を含み、かつ1%から5%(5%を含む)の範囲で存在しても良い。開始剤は、中圧水銀ランプによって発生する紫外線の広帯域に応答する。このように、開始剤は、組成物1の成分の架橋及び重合を容易にする。界面活性剤成分R12は、先行技術の組成物に対して上記の通りであり、かつ次の一般構造:
【0027】
【化5】

を有する。
【0028】
界面活性剤成分は、液相である時、組成物1の適切な湿潤性、並びに固相において所望の剥離性を提供する。アミン成分、N−メチルジエタノールアミンは、次の構造:
【0029】
【化6】

を有し、かつ約0.5重量%から4重量%(4重量%を含む)の組成物1を含む。アミン成分は、組成物1への周囲の有害作用を妨げないにせよ、減少させる。具体的には、次の反応が、重合中に発生する:
【0030】
【化7】

(式中、開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンであり、hvは、開始剤に当てる紫外線によって発生する光学エネルギーであり、かつR・は、放射線に反応して開始剤によって発生する遊離基の一次集団である)。遊離基の遊離一次集団は、次にIBOA及びアクリル酸nHA、Mと次のように相互作用する:
【0031】
【化8】

式中、RM・は、P・とも表示されるラジカル連鎖であり、かつ次のようにポリマー鎖で終わる:
P・ + P・ → ポリマー (3)
【0032】
上記反応1−3に加えて、追加反応は、周囲が存在する境界202に近接して発生する。典型的な反応は、ラジカル開始剤R・及び酸素O2の間で次の通りに発生する:
R・ + O2 → RO2・ (4)
(式中、RO2・は、基、すなわち過酸化物基の二次集団である)。過酸化物基は、式(2)の反応を容易にするためにその量を減少させる一次集団R・の基を効果的に消費するという点で望ましくなく、かつ過酸化物基自体は、低い重合開始確率を有する。このことは、式(4)によって定義されるような重合を阻害する。しかしながら組成物1のアミン基、DHは、基D・の三次集団や、ある種の残留分子RO2Hを生成するために、基RO2・の二次集団と次のように反応する:
RO2・ + DH → RO2H + D・ (5)
【0033】
その上、アミン基は、その更なる重合を容易にするために、アクリル酸塩Mと次のように反応する:
D・ + M → DM・ (6)
【0034】
同様に、アミン基は、過酸化物基のRO2・タイプの形成を減少させるために、周囲に存在する酸素と次のように反応する:
D・ + O2 → DO2・ (7)
【0035】
基DO2・は望ましくないが、凝固インプリント層内で酸素の存在を99%だけ減少させながら、更なる重合への追加の基D・を作るそれが、組成物1内に存在する他のアミン基と次のように相互作用する:
DO2・ + DH → DO2H + D・ (8)
アミン基が置換によって、又は三次アミン成分と共に、又はその代わりに含まれるアミン含有開始剤を2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン開始剤と併せて使用することによって組成物1に含まれるてもよいことが、理解されるべきである。アミン基が、開始剤の代わりに用いられるならば、アミン基が、紫外線暴露で基を発生させることにおいて光活性であることが望ましい。そのために、他の組成物は、次のものを含むことができる:
【0036】
組成物2
イソボルニルアクリレート
n−ヘキシルアクリレート
エチレングリコールジアクリレート
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン
12
(式中、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンは、商品名IRGACURE(登録商標)907でTarrytown、New YorkのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手できる);及び
【0037】
組成物3
イソボルニルアクリレート
n−ヘキシルアクリレート
エチレングリコールジアクリレート
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン
12
(式中、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンは、商品名IRGACURE(登録商標)369でTarrytown、New YorkのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手できる);及び
【0038】
組成物4
イソボルニルアクリレート
n−ヘキシルアクリレート
エチレングリコールジアクリレート
2−(4−メチル−ベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン
12
(式中、2−(4−メチル−ベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンは、商品名IRGACURE(登録商標)379でTarrytown、New YorkのCiba Specialty Chemicals Corporationから入手できる)。
【0039】
図2と7を参照すると、インプリント層34を上に形成する、平坦でないにせよ平滑な表面を基板32に与えることが望ましい。そのために、基板32は、下塗り層96を含む。基板32の表面36が、インプリント層34内に形成されるフィーチャ寸法と比較して粗く見える時、下塗り層96が有益であると証明された。下塗り層96は、同様に、とりわけ標準界面にインプリント層34を与える働きをしても良く、それにより、基板32が形成されるインプリント材料に各工程をカスタマイズする必要を減少させる。その上、下塗り層96は、インプリント層34と同じ又は異なるエッチング特性を有する有機インプリント材料から形成できる。結果として、下塗り層96は、インプリント層34に対して優れた接着を示し、連続し、円滑な、かつ比較的欠陥のない表面を持つような方法で製造される。下塗り層96を形成するために使用する典型的な材料は、商品名DUV30J−6でRolla MissouriのBrewer Science,Inc.から入手可能である。下塗り層96は、通常、ある厚さを備えて所望の表面プロフィールを提供することを容易にし、かつ基板32表面上で、位置合わせマークのようなパターンを検出するために用いられる光学感知装置に不透明ではない。
【0040】
図7、8を参照すると、インプリント層34が予めパターン化された基板32の表面136上に存在する時に、下塗り層196を堆積させることが有益であることが発見された。そのために、下塗り層96のように、下塗り層196は、小滴分配技術、スピンオン技術等を含む、任意の公知の堆積方法を用いて堆積できる。更に、下塗り層96と196のいずれかの表面の平滑度を向上させるために、それを平坦でないにせよ実質的に平滑な接触表面を有する、平坦化モールド80と接触させることが望ましい。
【0041】
凝固下塗り層96、196が、平坦化モールド80に接着する確率を低くするために、それを低い表面エネルギーコーティング98で処理する。低い表面エネルギーコーティング98は、任意の公知の方法を使用して、適用できる。例えば、処理技術には、化学蒸着法、物理蒸着、原子層蒸着又は他の種々の技術、ろう付け等が含まれる。同じように、低い表面エネルギーコーティング(図示せず)は、図2に示す、モールド26に適用できる。
【0042】
前述の界面活性剤と、低い表面エネルギーコーティングに加えて、フッ素化添加剤を、インプリント材料の剥離性を改良するために用いることができる。フッ素化添加剤は、界面活性剤のように、インプリント材料の表面エネルギーよりも低い、それに関連した表面エネルギーを有する。前述のフッ素化添加剤を用いる典型的な方法が、Benderらによって、MULTIPLE IMPRINTING IN UV−BASED NANOIMPRINT LITHOGRAPHY:RELATED MATERIAL ISSUES、Microelectronic Engineering、pp.61〜62(2002)で論じられている。添加剤の低い表面エネルギーは、架橋され、かつ重合されたインプリント材料モールド26及び80の接着性を減少させるために、所望の剥離性を提供する。
【0043】
上記本発明の実施形態は、典型的なものである。本発明の範囲内に留まりながら、多数の変更及び修正を、上記に説明した開示に行うことができる。例えば、前述の各組成物の成分比は、変えることができる。従って、本発明の範囲は、上記記述によって限定されるべきでなく、その代わりに添付の特許請求の範囲を、その同等物の全範囲と共に参照して判定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に従ったリソグラフィックシステムの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に従ったパターン化インプリント層を作るために用いられる、図1に示したリソグラフィックシステムの簡易立面図である。
【図3】上に配置された重合可能な流体の小滴のパターンを用いてパターニングが起こる、図2に示した基板の領域のトップダウン図である。
【図4】本発明に従ったパターン化後に、図1に示したパターン化インプリント層から離間したインプリント装置の簡易立面図である。
【図5】塗布中に図4に示した重合可能な流体の小滴によって形成される中間パターンを示す、図4に示した基板の領域のトップダウン図である。
【図6】紫外線を受けた後に、重合可能な材料から形成された層のトップダウン図である。
【図7】本発明に従って用いても良い、下塗り層を示す断面図である。
【図8】平坦化モールドに適用された剥離層を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中に配置され、かつ複数の分子を有する重合可能な液体を凝固させる方法であって、
遊離基の一次集団を作るステップと、
前記一次集団の遊離基のサブセットとの前記大気の分子の相互作用によって遊離基の二次集団を形成するステップと、
前記複数の分子の分子のサブセットを一緒に連結するために、前記二次集団の遊離基との前記複数の分子の相互作用によって遊離基の三次集団を発生させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記作るステップは、前記複数の分子の追加のサブセットを一緒に連結することを開始するために、化学線に前記重合可能な液体を暴露させることによって、遊離基の前記一次集団を作ることを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミン基を重合可能な組成物と化合させるステップを更に含み、前記発生させるステップは、重合を開始することが可能なアルファアミノアルキル基を展開することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
モルホリノ基を重合可能な組成物と化合させるステップを更に含み、前記発生させるステップは、重合を開始することが可能なモルホリノ基を展開することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アミン基を重合可能な組成物と化合させるステップを更に含み、前記発生させるステップは、前記アミン基から重合を開始することが可能なアルファアミノアルキル基を展開することを更に含み、前記アミン基は、本質的に2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、N−メチルジエタノールアミン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、及び2−(4−メチル−ベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンからなる一連のアミン基から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
イソボルニルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、エチレングリコールジアクリレートをアミン基と化合させることによって組成物を形成することを更に含み、前記発生させるステップは、前記アミン基から重合を開始することが可能なアルファアミノアルキル基を展開することを更に含み、前記アミン基は、本質的に2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、N−メチルジエタノールアミン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、及び2−(4−メチル−ベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンからなる一連のアミン基から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イソボルニルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、界面活性剤、アミン基を化合させることによって組成物を形成することを更に含み、前記発生させるステップは、前記アミン基から重合を開始することが可能なアルファアミノアルキル基を展開することを更に含み、前記アミン基は、本質的に2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、N−メチルジエタノールアミン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、及び2−(4−メチル−ベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンからなる一連のアミン基から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸素含有大気中に配置され、かつ複数の分子を有する重合可能な液体を凝固させる方法であって、
前記大気との界面となる境界を有する、前記液体のある容積を、基板上に配置するステップと、
前記境界に近接する酸素による前記分子の重合阻害を最小限に抑えながら、前記分子の重合を開始するステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記開始するステップは、前記分子を一緒に連結するために複数の基の集団を作るステップを更に含み、前記複数の基の第1のサブグループは、過酸化物基を形成し、かつ前記複数の基の第2のサブグループは、前記過酸化物基の消費反応から形成され、基の前記第2のサブグループは、追加の重合を開始する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記開始するステップは、前記分子を一緒に連結するために複数の基の集団を作るステップを更に含み、前記複数の基の第1のサブグループは、酸素基を形成し、かつ前記複数の基の第2のサブグループは、前記酸素基が、前記複数の分子の1つと化合する前に、前記酸素基と化合させるための酸素捕捉基を含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記開始するステップは、前記複数の分子を化学線に暴露させることを更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記開始するステップは、前記複数の分子を一緒に連結することを開始するために、前記重合可能な液体を化学線に暴露させることによって遊離基の一次集団を作るステップと、前記一次集団の遊離基のサブセットとの前記大気中の酸素の相互作用によって遊離基の二次集団を形成するステップと、前記複数の分子の追加の分子を一緒に連結するために、前記二次集団の遊離基との前記複数の分子の相互作用によって遊離基の三次集団を前記発生させるステップとを更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
アミン基を重合可能な組成物と化合させるステップを更に含み、前記開始するステップは、重合を開始することが可能なアルファアミノアルキル基を展開することを更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項14】
アミン基を重合可能な組成物と化合させるステップを更に含み、前記開始するステップは、前記アミン基から重合を開始することが可能なアルファアミノアルキル基を展開することを更に含み、前記アミン基は、本質的に2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、N−メチルジエタノールアミン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、及び2−(4−メチル−ベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンからなる一連のアミン基から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記化合させるステップは、前記重合可能な組成物に界面活性剤を与えることを更に含む請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−513577(P2008−513577A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532433(P2007−532433)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/032804
【国際公開番号】WO2006/036562
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】