説明

液体収容容器、液体収容容器の再生方法、液体収容容器におけるシール方法

【課題】使用済みの液体収容容器における穴開き孔被覆フィルムの上に更に別の封止フィルムが強固に接合されることにより良好なシール機能を有して再生された液体収容容器、そうした液体収容容器の再生方法、及び液体収容容器におけるシール方法を提供する。
【解決手段】使用済みのインクカートリッジ11のインク注入孔21,22を被覆するように容器本体12に貼着されたカバーフィルム31における孔被覆領域の外側に凹部としての凹溝45を形成した後、カバーフィルム31上に積層フィルム50を載置し、その状態において積層フィルム50を加熱してカバーフィルム31側の第1フィルム31aを溶融させて溶着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した液体収容容器、使用済み液体収容容器を液体の再充填により再生する液体収容容器の再生方法、及び液体収容容器におけるシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液体収容容器として、例えば液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)に着脱可能に装着されるインクカートリッジが知られている。このインクカートリッジは、略扁平箱状をなす容器本体を有しており、その容器本体内には、インク(液体)を収容可能なインク収容室が区画形成されている。また、容器本体の下面にはインク収容室にインクを初期充填するときに使用されるインク注入孔及びインクカートリッジがプリンタに装着された場合にインク供給針が挿入されるインク供給孔が開口形成されており、それらのインク注入孔及びインク供給孔は容器本体の下面に貼着された孔被覆フィルムによりインクの漏出を抑制すべく被覆されている。
【0003】
こうしたインクカートリッジにあっては、プリンタに装着された後において、プリンタでの印刷等によってインクが消費されると、インク収容室内のインク残量が少なくなり、最後には使用済みのインクカートリッジとなって新しいインクカートリッジと交換されることになる。このような交換によりプリンタから取り外された使用済みのインクカートリッジについては、その容器本体も複数回の使用に応えることができるものであるため、近時においては、インクを再充填することにより再使用可能なインクカートリッジとして再生し、もって資源の有効利用、環境保全などに資することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この特許文献1では、使用済みインクカートリッジにインクを再充填する際、その再充填に先立ち、穴開け用の治具を使用してインク注入孔を被覆している孔被覆フィルムに穴を開けるようにしている。そして、かかる孔被覆フィルムに開けられた穴から例えばシリンジをインク注入孔内へ進入させることによりインクを再充填した後、その穴開き孔被覆フィルムの上に別の封止フィルムを載せて加熱し、その加熱により封止フィルムの下面側が溶融して穴開き孔被覆フィルムに溶着することにより上記穴からのインクの漏出を抑制するようにしている。
【特許文献1】実用新案登録第3118670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般にインクカートリッジの容器本体にインク注入孔等を被覆するべく貼着される孔被覆フィルムは、容器本体に接触させられた状態で加熱により溶融して容器本体に溶着する接合層フィルムと、この接合層フィルムよりも溶融温度が高くて且つ耐熱性が強い表層フィルムとが積層されてなる積層フィルムであることが多い。そして、回収した使用済みインクカートリッジを再生する際には、そうした孔被覆フィルムに開けた穴からインクを再充填した後、その穴開き孔被覆フィルム上に同じく積層フィルムからなる別の封止フィルムをその接合層フィルムが下側の穴開き孔被覆フィルムの表層フィルムに接触するように載置した状態で加熱して溶着するようにしている。
【0006】
しかしながら、そのシール時の加熱によっては、穴開き孔被覆フィルム上に載置された上側の封止フィルムの接合層フィルムは溶融するものの、その接合層フィルムが接触する下側の穴開き孔被覆フィルムの表層フィルムは溶融しないので、穴開き孔被覆フィルムに対して封止フィルムが強固に接合されないこともあり得た。そのため、そのような方法で再生したインクカートリッジでは、下側の穴開き孔被覆フィルムと上側の封止フィルムとの接合状態が万全でない場合、下側の穴開き孔被覆フィルムの穴からインクカートリッジ内のインクが上側の封止フィルムとの間のシールが不十分な隙間を介して漏出することがあり得た。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。その目的は、使用済みの液体収容容器における穴開き孔被覆フィルムの上に更に別の封止フィルムが強固に接合されることにより良好なシール機能を有して再生された液体収容容器、そうした液体収容容器の再生方法、及び液体収容容器におけるシール方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、液体収容容器のシール方法に係る本発明は、液体収容容器に形成された孔を被覆するように前記液体収容容器に貼着されているフィルムであって前記孔の被覆領域に穴が開けられた穴開き孔被覆フィルムの上に封止フィルムを載置して加熱により溶融させて溶着することにより前記穴を封止するにあたり、前記穴開き孔被覆フィルムにおける前記孔の被覆領域の外側に凹部を形成した後、前記封止フィルムを前記穴開き孔被覆フィルム上に前記穴を被覆する態様で載置し、その状態において、前記封止フィルムを加熱して該封止フィルムにおける前記穴開き孔被覆フィルム側を溶融させて溶着機能を発揮させることにより前記封止フィルムで前記穴開き孔被覆フィルムの前記穴を封止するようにした。
【0009】
この発明によれば、穴開き孔被覆フィルム上に封止フィルムを載置した状態において、その封止フィルムを加熱すると、その封止フィルムの穴開き孔被覆フィルム側が溶融して下側の穴開き孔被覆フィルムに形成されている凹部内に入り込むことになる。そのため、一種のアンカー効果がもたらされ、封止フィルムが穴開き孔被覆フィルムに対して強固に接合されることになる。したがって、穴開き孔被覆フィルムの穴から液体が漏出することを良好なシール機能でもって抑制できるようになる。
【0010】
また、本発明の液体収容容器のシール方法は、前記封止フィルムとして、所定の加熱温度で溶融する第1フィルムと該第1フィルムの溶融温度では溶融することなく且つ前記第1フィルムよりも耐熱性の強い第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層され、それら各フィルムの積層方向の一方側では前記第1フィルムが最外層を構成すると共に他方側では前記第2フィルムが最外層を構成する積層フィルムを用い、シール時には、前記積層フィルムを前記第1フィルムが前記穴開き孔被覆フィルム側となるようにして該穴開き孔被覆フィルム上に前記穴を被覆する態様で載置し、その状態において、前記積層フィルムを前記第2フィルム側から加熱して前記第1フィルムを溶融させて該第1フィルムに溶着機能を発揮させるようにした。
【0011】
この発明によれば、穴開き孔被覆フィルムにおける穴を封止フィルムで封止する場合において、封止フィルムを構成する積層フィルムの第1フィルムが加熱により溶融して溶着機能を良好に発揮すると共に、表面側となる積層フィルムの第2フィルムは強い耐熱性を有しているので、良好なシール性を確保することができる。
【0012】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記穴開き孔被覆フィルムは、前記封止フィルムの前記第1フィルムの溶融温度で溶融可能であって前記液体収容容器における前記孔の形成された面に溶着している接合層フィルムと該接合層フィルムの溶融温度では溶融することなく且つ前記接合層フィルムよりも耐熱性の強い表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、該穴開き孔被覆フィルムに前記凹部が形成される際には、その凹部により前記表層フィルムが除去されて前記接合層フィルムが露出する。
【0013】
この発明によれば、穴開き孔被覆フィルム上に載置した封止フィルムを加熱すると、該封止フィルムの第1フィルムと穴開き孔被覆フィルムにおける接合層フィルムとが互いに溶融して溶着するので、封止フィルムの穴開き孔被覆フィルムに対する接合状態を強固にすることができる。
【0014】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記液体収容容器は、少なくとも前記孔が形成された面が前記封止フィルムの前記第1フィルムの溶融温度で溶融可能な材質で構成されており、前記穴開き孔被覆フィルムに前記凹部が形成される際には、その凹部により前記液体収容容器の前記孔が形成された面が露出する。
【0015】
この発明によれば、穴開き孔被覆フィルム上に載置した封止フィルムを加熱すると、該封止フィルムの第1フィルムと穴開き孔被覆フィルムにおける接合層フィルム及び液体収容容器の前記孔が形成された面とが互いに溶融して溶着するので、封止フィルムの穴開き孔被覆フィルム及び液体収容容器に対する接合状態を更に強固にすることができる。
【0016】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記凹部は、前記穴開き孔被覆フィルムにおける前記孔の被覆領域を取り囲むように形成された少なくとも一重の環状又は螺旋状の凹溝である。
【0017】
この発明によれば、封止フィルムの溶着後には穴開き孔被覆フィルムの穴の周りに少なくとも一重の環状又は螺旋状のシール部が凹溝に沿うように形成されることになるので、そのシール部によって穴開き孔被覆フィルムの穴から液体が漏出することを効果的に抑制することができる。
【0018】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記凹部は、レーザ光の照射により形成される。
この発明によれば、切り屑を発生させることなく穴開き孔被覆フィルムに対して凹部を迅速に形成することができる。
【0019】
次に、本発明の液体収容容器の再生方法は、使用済みの液体収容容器に形成された孔を被覆するように前記液体収容容器に貼着されている孔被覆フィルムに穴を開け、その穴開き孔被覆フィルムの前記穴を介して前記液体収容容器内に液体を再充填した後、前記穴開き孔被覆フィルムの上に封止フィルムを載置して加熱により溶融させて溶着することにより前記穴を封止して液体収容容器を再生するにあたり、前記封止フィルムで前記穴開き孔被覆フィルムの前記穴を封止する場合には、上記の液体収容容器におけるシール方法を用いる。
【0020】
この発明によれば、良好なシール性を確保した液体収容容器を再生できる。
また、本発明の液体収容容器の再生方法において、前記孔被覆フィルムに開ける前記孔は、レーザ光の照射により形成される。
【0021】
この発明によれば、レーザ光の照射により孔被覆フィルムに穴が形成されるので、穴の形成時にフィルムの切り屑が発生することを抑制できる。
さらに、本発明の液体収容容器は、上記の液体収容容器の再生方法により再生される。
【0022】
この発明によれば、良好なシール性を有しているので液体の漏出を確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」と略称する。)に着脱可能に装着されるインクカートリッジ及びその使用済みインクカートリッジの再生方法などに具体化した一実施形態について図1〜図9を参照しながら説明する。なお、本明細書中の以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、図1〜図4において矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0024】
図1〜図4に示すように、本実施形態の液体収容容器としてのインクカートリッジ11は、例えばポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなる前面側が開口した扁平略矩形箱形状の容器本体12を有している。容器本体12の前面には、その開口部12a(図4参照)の略全面を覆うように熱溶着可能な材料からなるフィルム部材(図示略)が貼着されると共に、そのフィルム部材の外側(前面側)から開口部12aを隠蔽するように蓋体13が着脱可能に取着されている。また、容器本体12の後面には、その後面の略全体を覆うように熱溶着可能な材料からなるフィルム部材14が貼着されると共に、容器本体12の上面には、そのインクカートリッジ11内に収容された液体としてのインクの色の種類等を示す帯状の識別ラベル15が貼着されている。
【0025】
図2〜図4に示すように、容器本体12の左側面の下部には、このインクカートリッジ11がプリンタに設けられたカートリッジホルダ(図示略)に対して装着される場合に、カートリッジホルダ側に設けられたガイド凹条(図示略)内に挿入されて装着方向をガイドされるガイド凸条16が上下方向に沿って延びるように形成されている。
【0026】
また、図1〜図4に示すように、同じく容器本体12の左側面においてガイド凸条16よりも上方となる位置からは弾性変形可能に形成された係合レバー17が左斜め上方に向けて延設され、その係合レバー17の表面となる左側面の略中央部には係止爪17aが水平方向に沿うように突設されている。したがって、インクカートリッジ11は、プリンタのカートリッジホルダに装着された場合、係合レバー17が弾性変形すると共に、その係止爪17aがカートリッジホルダ側の一部に係止することにより、カートリッジホルダに対して位置決め状態で装着されるようになっている。
【0027】
一方、図1に示すように、容器本体12の右側面の下部には、基板ユニット18が取り付けられ、その基板ユニット18の表面側には半導体記憶素子を実装した回路基板19が設けられている。なお、回路基板19の半導体記憶素子にはインクカートリッジ11に関する各種情報(例えば、インク色情報、インク残量情報など)が記憶されている。そして、回路基板19は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着された際に、回路基板19の表面に露出した端子19aがカートリッジホルダ側に設けられた接続端子と接触することにより、プリンタ側の制御装置(図示略)との間で各種情報を受け渡しするようになっている。
【0028】
また、図3及び図4に示すように、容器本体12の下面には、その右端側から左端側へ順に、矩形状をなす開口部20、円形状をなす第1インク注入孔21、同じく円形状をなす第2インク注入孔22、及び左右両側に略コ字状の一対のガイド壁23aを有してなる円形状のインク供給孔23が形成されている。開口部20の内部は、大気連通路の一部を構成する大気連通室24となっており、この大気連通室24は図示しない大気開放口を介して容器本体12の外部(すなわち、大気)に連通している。そして、この大気連通室24内には、その内奥から順に、コイルばね25、弁体26及び弁支持部材27が収容されている。
【0029】
第1インク注入孔21は、容器本体12内にリブ28により区画形成された上部インク収容室29及び下部インク収容室30に細い流路21a及び狭い流入口21bを介して連通している。また、第2インク注入孔22は、そのまま下部インク収容室30に連通している。これらの両インク注入孔21,22は、各インク収容室29,30にインクを初期充填する際に使用されるものであり、その初期充填が終了した後は、図2〜図4に示すように、容器本体12の下面(すなわち、孔が形成された面)に貼着された孔被覆フィルムとしてのカバーフィルム31により開口部20と共にシールされている。
【0030】
因みに、このカバーフィルム31は、図5(c)〜図8に示すように、容器本体12の下面に溶着される接合層フィルム31aと、その接合層フィルム31aが容器本体12の下面に溶着された状態ではカバーフィルム31の表面側に露出する表層フィルム31bとが積層された構成をしている。ここで、接合層フィルム31aは、所定の加熱温度で溶融して溶着機能を良好に発揮するポリオレフィン(PO)系のフィルム、エステル系のフィルム等で構成されている。一方、表層フィルム31bは、接合層フィルム31aの溶融温度では溶融することなく且つ接合層フィルム31aよりも耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルム又はナイロン(NY)系のフィルムにより構成されている。
【0031】
また、インク供給孔23は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着された際に、そのカートリッジホルダに設けられたインク供給針(図示略)が挿入されるものであり、図2及び図3に示すように、プリンタのカートリッジホルダへの装着前にはカバーフィルム32により封止されている。因みに、このカバーフィルム32は、インク注入孔21等をシールするために容器本体12の下面に貼着されるカバーフィルム31と同様に、接合層フィルムと表層フィルムとが積層されたフィルム構成をしている。そして、このカバーフィルム32は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着される前に剥がされるか、又はカートリッジホルダに装着されたときに、そのカートリッジホルダに設けられているインク供給針によって突き破られることになる。
【0032】
図3及び図4に示すように、インク供給孔23内には、カートリッジホルダ側のインク供給針のインク供給孔23内への挿入を許容するエラストマ等からなる環状のシール部材33と、このシール部材33に着座する供給弁34と、この供給弁34をシール部材33に向けて付勢するコイルばね35とが収容されている。すなわち、インク供給孔23は、コイルばね35に付勢された供給弁34がシール部材33に圧接することにより、常には容器本体12外へのインクの流出が規制された閉塞状態となる。その一方、カートリッジホルダ側のインク供給針がインク供給孔23内に挿入されたときには、そのインク供給針に押されて供給弁34がコイルばね35の付勢力に抗してインク供給孔23の内奥へ移動し、シール部材33から離間することにより、インク供給孔23は、容器本体12外へのインクの流出(つまり、インク供給)が許容された開放状態となる。
【0033】
上記のように構成されたインクカートリッジ11は、プリンタのカートリッジホルダに装着された状態でインクが消費され、そのインク残量がなくなると使用済みのインクカートリッジとなり、カートリッジホルダから取り外されて新しいインクカートリッジと着脱交換されることになる。こうして取り外された使用済みのインクカートリッジは、それを廃棄処分にすることなく、近時は、資源の有効利用及び環境保全の見地からインクを再充填することにより再使用可能なインクカートリッジとして再生するのが一般的である。
【0034】
そこで次に、こうした使用済みのインクカートリッジ11を再生する方法について、図5〜図9を参照しながら説明する。
さて、図5(a)に示すように、プリンタのカートリッジホルダに装着される前段階のインクカートリッジ11は、その容器本体12の下面に貼着されている各カバーフィルム31,32によりシール機能を付与した新品状態にある。その一方、カートリッジホルダから取り外されて新しいインクカートリッジと交換される使用済みのインクカートリッジ11は、図5(b)に示すように、インク供給孔23を被覆していたカバーフィルム32における孔被覆領域40の中央部分がプリンタに設けられたインク供給針により突き破られて穴41が開けられている。但し、両インク注入孔21,22を被覆するカバーフィルム31については、それらの孔被覆領域42,43に穴は開けられていない。すなわち、使用済みのインクカートリッジ11は図5(b)に示す状態で回収される。
【0035】
そして、回収された使用済みのインクカートリッジ11を再生する場合には、まず図5(c)に示すように、そのインクカートリッジ11が容器本体12の下面を上方に向けるように逆さまに配置される。なお、図5(c)は容器本体12における第1インク注入孔21が形成された部分のみを破断して示したものである。そして、その逆さま配置状態にある容器本体12の上方にレーザ光照射ノズル44が配置される。この場合、レーザ光照射ノズル44は、図5(c)に示すように、下方に位置する容器本体12の下面に貼着されているカバーフィルム31の孔被覆領域42の外側となる箇所にレーザ光を照射可能となるように配置される。
【0036】
そして、図5(c)に示す状態において、レーザ光照射ノズル44がカバーフィルム31の孔被覆領域42の外側となる箇所に向けてレーザ光を照射すると、図6に示すように、カバーフィルム31の孔被覆領域42の外側には凹部としての凹溝45が形成される。ここで、レーザ光照射ノズル44は、図5(c)及び図6において実線及び二点鎖線で示すように、カバーフィルム31の孔被覆領域42の周縁に沿うように周回移動しながらレーザ光を照射する。そのため、カバーフィルム31の孔被覆領域42の外側には、図9(a)に示すように、凹部としての凹溝45が一重の円環状をなすように形成される。
【0037】
その結果、カバーフィルム31は、この凹溝45が形成されたことにより表層フィルム31bが凹溝45に沿う円環状に除去されると共に、その下側の接合層フィルム31aも凹溝45に沿う円環状に除去される。したがって、レーザ光の照射でカバーフィルム31に凹溝45が形成されたことにより、それまで表層フィルム31bで上方を覆われていた接合層フィルム31aの一部(凹溝45の底部近傍で凹溝45の内壁面を形成する部分)と容器本体12の下面が共に凹溝45を介して外部に露出することになる。
【0038】
すると次には、カバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42にインク再充填用の穴を開けるために穴開け用刃体46が先端部に形成した刃部47を第1インク注入孔21の孔被覆領域42と上下方向で対応させるように配置される。因みに、この穴開け用刃体46は、軸方向の先端部側から見た場合に、その軸中心を通る一点から放射方向へ延びる4つの刃部47が等角度間隔(この場合は、90度間隔)おきとなるように形成されている。そして、その配置状態から、図7に示すように、穴開け用刃体46が容器本体12の下面に接近する方向へ移動させられると、各刃部47がカバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42に突き入れられる。
【0039】
すると、カバーフィルム31の孔被覆領域42には穴開け用刃体46の刃部47により第1インク注入孔21の中心と対応する一点から放射方向へ延びる4つの切り込みが十字状に形成される。そして、その十字状の切り込み形成によりできた4つの切片48が第1インク注入孔21内へ放射方向に離間するように分散して垂れ下がることにより、カバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42にはインクの再充填を可能とする穴49が形成される。すなわち、この時点で孔被覆フィルムとしてのカバーフィルム31は、その孔被覆領域42に穴49が開けられた穴開き孔被覆フィルムとなる。
【0040】
なお、このようにカバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42の周縁に凹溝45が形成されると共にその孔被覆領域42に穴49が形成されると、続けてカバーフィルム31における第2インク注入孔22の孔被覆領域43の周縁に凹溝45が形成されると共にその孔被覆領域43に穴49が同様に形成される。また、この場合、レーザ光の照射による凹溝45の形成工程と穴開け用刃体46を使用した穴49の形成工程は何れの工程が先であってもよいが、レーザ光の照射によりカバーフィルム31が溶融したときに発生する煙がインクカートリッジ11内へ入ることを回避する意味合いからは凹溝45の形成工程が先である方が好ましい。
【0041】
ここで、カバーフィルム31に穴49を形成する穴開け工程では、凹溝形成工程で凹溝45を形成するために使用したレーザ光照射ノズル44を利用し、そのレーザ光照射ノズル44から照射されるレーザ光により穴49を開けるようにしてもよい。このようにした場合は、穴開け工程で穴開け用刃体46を不要にできると共に、レーザ光照射ノズル44を兼用できるため、設備コストの低減に貢献できると共に、切り屑等の発生を確実に抑制できるようになる。
【0042】
以上の凹溝形成工程及び穴開け工程が終了すると、次には図示しないインク注入用ノズルが各穴49を介して各インク注入孔21,22内に挿入され、各インク注入孔21,22が連通するインク収容室29,30内へインクが再充填される。そして、インクの再充填が終了すると、その再充填のために開けられた各穴49及びインク供給孔23を被覆するカバーフィルム32の孔被覆領域40にインク供給針によって開けられた穴41が封止され、再使用可能なインクカートリッジ11として再生される。
【0043】
そこで次に、カバーフィルム31,32に開けられた各穴49,41を封止フィルムにより封止して再びインクカートリッジ11にシール機能を付与するシール方法について図8を参照しながら説明する。なお、図8(a)(b)は容器本体12における第1インク注入孔21及び第2インク注入孔22が形成された部分を破断して示したものである。
【0044】
さて、図8(a)に示すように、カバーフィルム31の穴49をシールする際には、2層構造の積層フィルム(封止フィルム)50が、カバーフィルム31上に載置される。この積層フィルム50は、所定の加熱温度で溶融する第1フィルム51と、この第1フィルム51の溶融温度では溶融することなく且つ第1フィルム51よりも耐熱性の強い第2フィルム52とが積層された構成をしている。すなわち、封止フィルムとしての積層フィルム50は、両フィルム51,52の積層方向の一方側では第1フィルム51が最外層を構成すると共に他方側では第2フィルム52が最外層を構成している。
【0045】
そして、積層フィルム50は、カバーフィルム31上に載置される場合、第1フィルム51が容器本体12側に位置してカバーフィルム31の表層フィルム31bと接するようにして、容器本体12上に各インク注入孔21,22と各々対応する両穴49を被覆する態様で載置される。ここで、第1フィルム51を容器本体12側にしてカバーフィルム31に接触させるのは、シール時の加熱で第1フィルム51を溶融させて溶着機能を発揮させるためであり、第2フィルム52を外面側に位置させるのは耐熱性に優れた第2フィルム52でシール機能を維持させるためである。
【0046】
なお、第1フィルム51としては、所定の加熱温度で溶融して溶着機能を良好に発揮するポリオレフィン(PO)系のフィルム、エステル系のフィルム、又はイージーピールオープン(EPO)機能を持ったフィルムが採用可能である。また、EPO機能を持ったフィルムの場合は、その溶着機能により積層フィルム50をカバーフィルム31上に接合した後において必要時にはカバーフィルム31上から容易に剥がして再び穴49を露出させる(イージーピールオープンさせる)ことができる。
【0047】
一方、第2フィルム52は、上記のポリオレフィン(PO)系のフィルム等が溶融する加熱温度では溶融することがなく、且つ、ポリオレフィン(PO)系のフィルム等よりは耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)系、ナイロン(NY)系等のフィルムで構成されている。また、この第2フィルム52と積層状態となる上記の第1フィルム51は、その厚さが、20〜60μの範囲内の25μに設定されている。第1フィルム51の厚さを20μ以上とするのは、第2フィルム52の第1フィルム51との接合面に凹凸があっても、その凹凸を溶融した場合に対処できるようにするためであり、その厚さを60μ以下とするのは不必要に厚くなるとコスト高になるばかりか加熱時の熱伝導も悪くなるからである。
【0048】
そして、カバーフィルム31上に積層フィルム50が載置されると、次には図8(b)に示すように、その積層フィルム50上から加熱手段となるヒータ53が積層フィルム50に向けて下降される。このヒータ53は、積層フィルム50の第1フィルム51は溶融するが第2フィルム52は溶融しない程度の所定温度に加熱されるものであり、その形状は積層フィルム50の表面(第2フィルム52の表面)に面接触可能な平面状の押圧面を有するブロック体で構成されている。
【0049】
そのため、図8(b)に示すように、ヒータ53が積層フィルム50の表面に面接触して積層フィルム50を加熱した場合には、積層フィルム50におけるカバーフィルム31の穴49の周縁に沿う環状領域のみならず、その内側領域となる穴49の被覆領域の部分も加熱される。そのため、穴49の周縁に沿う環状領域が加熱により確実に溶融して溶着すると共に、その環状領域の内側となる穴49の被覆領域も同様に加熱されるので、積層フィルム50における特に第1フィルム51の加熱による強度変化も各領域間で同様にでき領域間での強度差の発生が抑制される。
【0050】
また、ヒータ53の加熱により積層フィルム50における第1フィルム51が溶融した場合には、カバーフィルム31の孔被覆領域42,43の周囲に形成された凹溝45内に第1フィルム51の溶融したフィルム材料が流入する。その結果、積層フィルム50は、ヒータ53の加熱により第1フィルム51が溶融して凹溝45内に流入することにより、その溶融した第1フィルム51が凹溝45内で冷却した場合には、一種のアンカー効果を発揮してカバーフィルム31との接合状態を強固にする。
【0051】
また、積層フィルム50は、ヒータ53の加熱により溶融した第1フィルム51のフィルム材料が凹溝45内に流入した場合、その凹溝45の形成により表層フィルム31bが除去されたことで凹溝45を介して露出状態となった接合層フィルム31aの一部と接触する。そして更に、積層フィルム50の溶融した第1フィルム51のフィルム材料は凹溝45の底部に至って容器本体12の下面にも接触することになる。
【0052】
ここで、カバーフィルム31の接合層フィルム31aは第1フィルム51の溶融温度で同様に溶融するポリオレフィン(PO)系のフィルム、エステル系のフィルム等で構成されている。また、容器本体12の下面を構成する材料も、第1フィルム51の溶融温度で同様に溶融するポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなる。そのため、ヒータ53の加熱により積層フィルム50の第1フィルム51が溶融したときには、同様に、凹溝45を介して露出する接合層フィルム31aの一部と容器本体12の下面も溶融現象を起こすため、凹溝45内に溶融して流入した第1フィルム51と融合して積層フィルム50との溶着機能を向上させる。
【0053】
その結果、積層フィルム50は、ヒータ53の加熱により第1フィルム51が溶融して凹溝45内に流入することにより、カバーフィルム31及び容器本体12に対して強固に溶着し、カバーフィルム31に開けられている穴49を被覆した状態となってシール機能を良好に発揮するようになる。その後、ヒータ53が図8(b)に示す接触位置から図8(a)に示す待機位置へと上昇する。
【0054】
なお、以上のようにカバーフィルム31における各穴49が積層フィルム50によって封止されると、インク供給孔23を被覆しているカバーフィルム32の孔被覆領域40の周囲にも同様の凹溝がレーザ光の照射により形成され、そのカバーフィルム32上に封止フィルムとしての積層フィルムが溶着されてカバーフィルム32の穴41が封止される。そして、以上のシール工程が終了することにより、良好なシール機能を付与された再使用可能なインクカートリッジ11が再生される。
【0055】
したがって、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)カバーフィルム31,32上に積層フィルム50を載置した状態で加熱すると、その積層フィルム50においてカバーフィルム31,32側の第1フィルム51を構成するフィルム材料が溶融して孔被覆領域42,43,40の周りに形成されている凹部としての凹溝45内に入り込む。そのため、その溶融した第1フィルム51のフィルム材料が凹溝45内で冷却固化すると、一種のアンカー効果をもたらすことになり、封止フィルムとしての積層フィルム50が穴開き孔被覆フィルムとしてのカバーフィルム31,32に対して強固に接合されることになる。したがって、カバーフィルム31,32の穴49,41からインクが漏出することを良好なシール機能でもって抑制できる。
【0056】
(2)カバーフィルム31,32における穴49,41を積層フィルム50で封止する際、積層フィルム50の第1フィルム51が加熱により溶融して凹溝45内で溶着機能を良好に発揮すると共に、積層フィルム50の表層となる第2フィルム52は強い耐熱性を有しているので、インクカートリッジ11に良好なシール性を確保することができる。
【0057】
(3)カバーフィルム31,32上に載置した積層フィルム50を加熱した場合には、その積層フィルム50の第1フィルム51とカバーフィルム31,32における接合層フィルム31aとが凹溝45内で互いに溶融して溶着する。そのため、積層フィルム50のカバーフィルム31,32に対する接合状態を強固にすることができる。
【0058】
(4)カバーフィルム31,32上に載置した積層フィルム50を加熱した場合には、その積層フィルム50の第1フィルム51とカバーフィルム31,32における接合層フィルム31a及びインクカートリッジ11の容器本体12の下面とが凹溝45内で互いに溶融して溶着する。そのため、積層フィルム50のカバーフィルム31,32及びインクカートリッジ11の容器本体12に対する接合状態を更に強固にすることができる。
【0059】
(5)カバーフィルム31,32上への積層フィルム50の溶着後にはカバーフィルム31,32の穴49の周りに一重の円環状をなすシール部(すなわち、加熱時に溶融して凹溝45内に入り込んだ後に冷却固化した第1フィルム51のフィルム材料)が凹溝45に沿うように形成される。そのため、かかるシール部によってカバーフィルム31,32の穴49からインクが漏出することを効果的に抑制することができる。
【0060】
(6)カバーフィルム31,32に対する凹溝45の形成工程では、レーザ光の照射によりフィルム材料が焼き切られて凹溝45が形成されるので、フィルムの切り屑を発生させることなくカバーフィルム31,32に対して凹部としての凹溝45を迅速に形成することができる。
【0061】
(7)カバーフィルム31に開けた穴49からインクを再充填した後、そのカバーフィルム31上に積層フィルム50を強固に接合して穴49を封止したことにより、良好なシール性を確保したインクカートリッジ11を再生することができる。
【0062】
(8)そして、再生されたインクカートリッジ11は良好なシール性を有しているのでインクの漏出を確実に抑制して再使用することができる。
(9)穴開け用刃体46によりカバーフィルム31に開けられる穴49は、そのカバーフィルム31において十字状の切り込みにより形成された各切片48がインク注入孔21,22内へ垂れ下がることにより形成されるものであるため、カバーフィルム31から破材がでることもない。したがって、そのようにして形成された穴49を介して再充填のために注入されるインク中に破材が混入することはないので、再使用されるインクカートリッジ11内の流路(例えば、細い流路21a、狭い流入口21b)などに目詰まりが発生する虞を抑制することができ、インクカートリッジ11を好適に再生することができる。
【0063】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・ 図9(b)に示すように、カバーフィルム31(32)における孔被覆領域42(43)の周りに形成される凹溝45は二重の円環状をなすように形成されたものであってもよい。要するに、少なくとも一重の環状をなすものであれば、例えば三重以上の環状をなす凹溝45であってもよい。
【0064】
・ 図9(c)に示すように、カバーフィルム31(32)における孔被覆領域42(43)の周りに形成される凹溝45は円環状に限らず例えば八角環状等の多角環状をなすように形成されたものであってもよい。
【0065】
・ 図9(d)に示すように、カバーフィルム31(32)における孔被覆領域42(43)の周りに形成される凹溝45は環状に限らず例えば螺旋状をなすように形成されたものであってもよい。
【0066】
・ 一つのレーザ光照射ノズル44が孔被覆領域42の周りを周回移動しながらレーザ光の照射により凹溝45を形成する構成に限らない。すなわち、複数のレーザ光照射ノズル44が孔被覆領域42の周りを同心円を描くように周回移動しながらレーザ光の照射を行なって少なくとも一重の環状をなす凹溝を形成するようにしてもよい。
【0067】
・ カバーフィルム31(32)における孔被覆領域42(43)の周りに凹溝45を形成する場合は、レーザ光の照射によるのではなく、例えばポンチ、カッターナイフなどの刃体によってカバーフィルム31(32)に環状又は螺旋状の凹溝形状をなぞるように切り込みを入れて形成してもよい。
【0068】
・ カバーフィルム31(32)における孔被覆領域42(43)の周りに形成される凹溝45は、その凹溝45の深さがインクカートリッジ11における容器本体12の下面まで至ることなくカバーフィルム31(32)の接合層フィルム31aだけを露出させるものであってもよい。
【0069】
・ また、その凹溝45はカバーフィルム31(32)の表層フィルム31bにのみ、溶融した第1フィルム51のフィルム材料が入り込んで冷却固化した場合にアンカー効果をもたらし得る所定深さの凹溝45であってもよい。
【0070】
・ また、カバーフィルム31(32)における孔被覆領域42(43)の外側に溝状に延びる凹溝45ではなく数箇所に点在する凹部を形成するようにしてもよい。この場合でも、それらの凹部内に溶融した第1フィルム51のフィルム材料が入り込むことによりアンカー効果をもたらして、カバーフィルム31,32に対する積層フィルム50の接合強度を向上することが可能である。
【0071】
・ インクカートリッジ11の容器本体12はカバーフィルム31,32が溶着される下面が第1フィルム51の溶融温度で同様に溶融可能な材質(例えばポリプロピレンなどの合成樹脂)であれば、その他の部位は第1フィルム51の溶融温度では溶融することのない耐熱性の強い合成樹脂や金属材料で構成されていてもよい。
【0072】
・ 積層フィルム50の第1フィルム51は、その厚さが20〜60μの範囲内ならば、25μ以外の厚さであってもよい。
・ 積層フィルム50の第1フィルム51は、ヒータ53による加熱時に溶融するものであれば、例えばウレタン系のフィルムであってもよい。
【0073】
・ 積層フィルム50は、第1フィルム51と第2フィルム52との間に他のフィルムが挟まれた3層以上の構成であってもよい。要するに、カバーフィルム31に接触する側の最外層が第1フィルム51であると共にその反対側の最外層が第2フィルム52であればよい。
【0074】
・ 上記実施形態では、液体収容容器をインクカートリッジに具体化したが、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を内部に収容する液体収容容器に具体化することもできる。そして、本明細書における「液体」には、例えば、無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含むほか、液状体、流状体などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施形態のインクカートリッジの前面側斜視図。
【図2】同インクカートリッジの後面側斜視図。
【図3】同インクカートリッジの前面側一部分解斜視図。
【図4】同インクカートリッジの一部破断正面(前面)図。
【図5】(a)はプリンタに装着される前の新品状態のインクカートリッジの底面図、(b)はプリンタから取り外された使用済みインクカートリッジの底面図、(c)は凹溝形成工程の開始直前状態を示す説明図。
【図6】凹溝形成工程の凹溝形成完了時を示す説明図。
【図7】穴開け工程の穴開け完了時を示す説明図。
【図8】(a)はシール工程の加熱シール開始直前状態を示す説明図、(b)はシール工程の加熱シール完了状態を示す説明図。
【図9】(a)〜(d)は孔被覆領域の周りに形成される凹溝の形成態様の種類を示す平面図。
【符号の説明】
【0076】
11…液体収容容器としてのインクカートリッジ、21,22…孔としてのインク注入孔、23…孔としてのインク供給孔、31,32…穴開き孔被覆フィルムとしてのカバーフィルム、31a…接合層フィルム、31b…表層フィルム、40,42,43…孔被覆領域、45…凹部としての凹溝、41,49…穴、50…封止フィルムとしての積層フィルム、51…第1フィルム、52…第2フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容容器に形成された孔を被覆するように前記液体収容容器に貼着されているフィルムであって前記孔の被覆領域に穴が開けられた穴開き孔被覆フィルムの上に封止フィルムを載置して加熱により溶融させて溶着することにより前記穴を封止するにあたり、
前記穴開き孔被覆フィルムにおける前記孔の被覆領域の外側に凹部を形成した後、前記封止フィルムを前記穴開き孔被覆フィルム上に前記穴を被覆する態様で載置し、その状態において、前記封止フィルムを加熱して該封止フィルムにおける前記穴開き孔被覆フィルム側を溶融させて溶着機能を発揮させることにより前記封止フィルムで前記穴開き孔被覆フィルムの前記穴を封止するようにした液体収容容器におけるシール方法。
【請求項2】
前記封止フィルムとして、所定の加熱温度で溶融する第1フィルムと該第1フィルムの溶融温度では溶融することなく且つ前記第1フィルムよりも耐熱性の強い第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層され、それら各フィルムの積層方向の一方側では前記第1フィルムが最外層を構成すると共に他方側では前記第2フィルムが最外層を構成する積層フィルムを用い、
シール時には、前記積層フィルムを前記第1フィルムが前記穴開き孔被覆フィルム側となるようにして該穴開き孔被覆フィルム上に前記穴を被覆する態様で載置し、その状態において、前記積層フィルムを前記第2フィルム側から加熱して前記第1フィルムを溶融させて該第1フィルムに溶着機能を発揮させるようにした請求項1に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項3】
前記穴開き孔被覆フィルムは、前記封止フィルムの前記第1フィルムの溶融温度で溶融可能であって前記液体収容容器における前記孔の形成された面に溶着している接合層フィルムと該接合層フィルムの溶融温度では溶融することなく且つ前記接合層フィルムよりも耐熱性の強い表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、該穴開き孔被覆フィルムに前記凹部が形成される際には、その凹部により前記表層フィルムが除去されて前記接合層フィルムが露出する請求項2に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項4】
前記液体収容容器は、少なくとも前記孔が形成された面が前記封止フィルムの前記第1フィルムの溶融温度で溶融可能な材質で構成されており、前記穴開き孔被覆フィルムに前記凹部が形成される際には、その凹部により前記液体収容容器の前記孔が形成された面が露出する請求項3に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項5】
前記凹部は、前記穴開き孔被覆フィルムにおける前記孔の被覆領域を取り囲むように形成された少なくとも一重の環状又は螺旋状の凹溝である請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項6】
前記凹部は、レーザ光の照射により形成される請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項7】
使用済みの液体収容容器に形成された孔を被覆するように前記液体収容容器に貼着されている孔被覆フィルムに穴を開け、その穴開き孔被覆フィルムの前記穴を介して前記液体収容容器内に液体を再充填した後、前記穴開き孔被覆フィルムの上に封止フィルムを載置して加熱により溶融させて溶着することにより前記穴を封止して液体収容容器を再生するにあたり、
前記封止フィルムで前記穴開き孔被覆フィルムの前記穴を封止する場合には、請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法を用いた液体収容容器の再生方法。
【請求項8】
前記孔被覆フィルムに開ける前記孔は、レーザ光の照射により形成される請求項7に記載の液体収容容器の再生方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の液体収容容器の再生方法により再生された液体収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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