説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】圧力室とノズルとを通じる貫通孔部分で隣接クロストークが発生して、安定した滴吐出を行うことができない。
【解決手段】流路板2には、流路板2を厚み方向に貫通して、ノズル11と圧力室12とを通じる複数の第1貫通孔15が隔壁32を挟んで配列され、第1貫通孔15は、壁面部材側開口15aに対してノズル板側開口15bの位置がノズル配列方向にずれて形成され、壁面部材側開口15aからノズル板側開口15bに至る途中で液体の流れの方向が変化する屈曲部15cを有し、隔壁32にも壁面部材側からノズル板側に至る途中で屈曲する屈曲部32aが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置、例えばインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、ノズルが各々通じる複数の圧力室の一部を形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、溝部を覆い、圧力室の壁面を形成する振動板部材や発熱抵抗体を設けた基板などの壁面部材とを備え、圧力室とノズルとを通じる貫通孔を流路板に設けたものが知られている。
【0004】
ところで、画像形成装置としては、高画質画像を高速で出力できることが求められ、液体吐出ヘッドのノズル数及び密度が増加し、貫通孔や圧力室などの流路間の隔壁が薄くなる傾向にある。
【0005】
このように流路間隔で薄くなると、所要の圧力室に滴吐出を行う圧力を加えたときに、他の隣接する圧力室にも圧力変動が生じる相互干渉(これを「隣接クロストーク」という。)が発生し、滴吐出を行わない圧力室に対応するノズルから滴吐出が行われたり、吐出する滴の吐出状態が不安定になって、画像品質が低下することになる。
【0006】
従来、隣接する貫通孔間の隔壁変形を防止するため、隣接する2つの貫通孔の一方をクランク形状として、貫通孔をノズル配列方向に沿って千鳥配置としたもの(特許文献1)、あるいは、貫通孔を第1と第2の2本に分け、片方の貫通孔を斜めに貫通する構造としたもの(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−34998号公報
【特許文献2】特開2005−001211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示の構造にあっては、隣接する圧力室について圧力室からノズルまでの流路形状が異なることになるため、滴吐出特性が隣接する圧力室間で異なるという課題がある。
【0009】
また、特許文献2に開示の構造にあっては、1つの圧力室に対して2本の貫通孔を設けなければならないので、構造が複雑になる。また、圧力室の容積も大きくしなければならず、圧力応答の速さが遅くなって高周波駆動が難しくなるという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、滴吐出特性のバラツキを抑えつつ、隣接クロストークが低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、
前記ノズルが各々通じる複数の圧力室の一部を形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、
前記溝部を覆い、前記圧力室の壁面を形成する壁面部材と、を備え、
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記ノズルと前記圧力室とを通じる複数の第1貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第1貫通孔は、ノズル板側開口と壁面部材側開口との位置がノズル配列方向にずれて形成され、かつ、前記壁面部材側開口から前記ノズル板側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有している
構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単な構成で、滴吐出特性のバラツキを抑えつつ、隣接クロストークが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの外観斜視説明図である。
【図2】図3のA1−A1線に沿う断面説明図である。
【図3】図2のB1−B1線に沿う断面説明図である。
【図4】図2のC1−C1線に沿う第1貫通孔の異なる例を示す断面説明図である。
【図5】比較例の図4と同様な断面説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの説明に供する図4と同様な断面説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの説明に供する図4と同様な断面説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの説明に供する図4と同様な断面説明図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの図10のA2−A2線に沿う断面説明図である。
【図10】図9のB2−B2線に沿う断面説明図である。
【図11】図9のB3−B3線に沿う断面説明図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドの図13のA3−A3線に沿う断面説明図である。
【図13】図12のB4−B4線に沿う断面説明図である。
【図14】図12のB5−B5線に沿う断面説明図である。
【図15】本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドの図17のA4−A4線に沿う断面説明図である。
【図16】図17のA5−A5線に沿う断面説明図である。
【図17】図15のB6−B6線に沿う断面説明図である。
【図18】本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドの図20のA6−A6線に沿う断面説明図である。
【図19】図20のA7−A7線に沿う断面説明図である。
【図20】図18のB7−B7線に沿う断面説明図である。
【図21】本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドの図23のA8−A8線に沿う断面説明図である。
【図22】図23のA9−A9線に沿う断面説明図である。
【図23】図21のB8−B8線に沿う断面説明図である。である。
【図24】本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドの図26のA10−A10線に沿う断面説明図である。
【図25】図26のA11−A11線に沿う断面説明図である。
【図26】図24のB9−B9線に沿う断面説明図である。
【図27】本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドの図29のA12−A12線に沿う断面説明図である。
【図28】図29のA13−A13線に沿う断面説明図である。
【図29】図28のB10−B10線に沿う断面説明図である。
【図30】図28のB11−B11線に沿う断面説明図である。
【図31】本発明の第12実施形態に係る液体吐出ヘッドの図33のA14−A14線に沿う断面説明図である。
【図32】図33のA15−A15線に沿う断面説明図である。
【図33】図31のB12−B12線に沿う断面説明図である。
【図34】図32のB13−B13線に沿う断面説明図である。
【図35】本発明の第13実施形態に係る液体吐出ヘッドの図37のA16−A16線に沿う断面説明図である。
【図36】図37のA17−A17線に沿う断面説明図である。
【図37】図36のB14−B14線に沿う断面説明図である。
【図38】図36のB15−B15線に沿う断面説明図である。
【図39】本発明の第14実施形態に係る液体吐出ヘッドの説明に供する図9にノズルを付加した断面説明図である。
【図40】本発明の第15実施形態に係る液体吐出ヘッドの図41のA18−A18線に沿う断面説明図である。
【図41】図40のB16−B16線に沿う断面説明図である。
【図42】本発明の第16実施形態に係る液体吐出ヘッドの図43のA19−A19線に沿う断面説明図である。
【図43】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【図44】本発明の第17実施形態に係る液体吐出ヘッドの図45のA20−A20線に沿う断面説明図である。
【図45】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【図46】本発明の第18実施形態に係る液体吐出ヘッドの図47のA21−A21線に沿う断面説明図である。
【図47】図46のB17−B17線に沿う断面説明図である。
【図48】図46のB18−B18線に沿う断面説明図である。
【図49】本発明に係る液体吐出ヘッドにおける流路板の製作プロセスの説明に供する平面説明図及び断面説明図である。
【図50】同じく図49に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図51】同じく図50に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図52】同じく図51に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図53】同じく図52に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図54】同じく図53に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図55】同じく図54に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図56】本発明に係る画像形成装置の一例を示す機構部の側面説明図である。
【図57】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1ないし図3を参照して説明する。図1は同ヘッドの外観斜視説明図、図2は図3のA1−A1線に沿う断面説明図、図3は図2のB1−B1線に沿う(図1のX−X線に沿う)断面説明図である。なお、図1は滴吐出方向を上方に向けた状態で示しているが、図3では滴吐出方向を下方に向けた状態で示している。
【0015】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材である振動板部材3とを積層して接合している。振動板部材3の流路板2とは反対側には、圧電部材4及び共通液室部材5を配置している。
【0016】
ノズル板1には液滴を吐出する複数のノズル11が千鳥状に2列配列されて。このノズル板1は、例えば、ステンレスを用いてプレス加工でノズル11を形成しているが、その他のNi電鋳、ポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものなどを用いることができる。また、ノズル面にはメッキ被膜や撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。このノズル板1は流路板2に接着剤接合している。
【0017】
流路板2は、ノズル11に連なって通じる圧力室12、圧力室12に液体を供給する液体供給路となる流体抵抗部13、流体抵抗部13の上流側の液体導入部14を形成する溝部30を形成している。また、流路板2には、圧力室12とノズル11とを通じる第1貫通孔15を形成している。この流路板2は、単結晶シリコン基板をエッチングして形成している。
【0018】
振動板部材3は、流路板2の溝部30を覆って圧力室12などの壁面を形成する。この振動板部材3には圧力室12の一部の壁面となる変位可能な振動領域3aを有し、振動領域3aに設けられた島状凸部3bにアクチュエータ手段である圧電部材(圧電素子)5が接合されている。
【0019】
また、振動板部材3には、共通液室部材5に形成された共通液室16と流路板2の液体導入部14を通じる開口部17が形成されている。この振動板部材3は、二層構造をなし、Ni電鋳で形成している。
【0020】
圧電部材4としては、図示しないベース部材に接合された積層型圧電部材にハーフカットダイシングによって溝加工して複数の柱状の圧電素子である圧電柱を所定の間隔で櫛歯状に形成したものを用いている。
【0021】
共通液室部材5は、このヘッドのフレーム部材を兼ね、外部から供給される液体を収容して、各圧力室12に供給するための共通液室16を形成している。
【0022】
この液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電部材4に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電部材4が収縮し、振動板部材3の振動領域3aが下降して圧力室12の容積が膨張することで、圧力室12内にインクが流入し、その後圧電部材4に印加する電圧を上げて積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域3aをノズル11方向に変形させて圧力室12の容積を収縮させることにより、圧力室12内のインクが加圧され、ノズル11からインク滴が吐出(噴射)される。
【0023】
そして、圧電部材4に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域3aが初期位置に復元し、圧力室12が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室16から圧力室12内にインクが充填される。そこで、ノズル11のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0024】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0025】
そこで、本実施形態における第1貫通孔の構造の詳細について図4も参照して説明する。図4は図2のC1−C1線に沿う第1貫通孔の異なる例を示す断面説明図である。
【0026】
前述したように、流路板2には、流路板2を厚み方向に貫通して、ノズル11と圧力室12とを通じる複数の第1貫通孔15が隔壁32を挟んで配列されている。
【0027】
ここで、第1貫通孔15は、振動板部材3側開口(以下「壁面部材側開口」という)15aに対してノズル板側開口15bの位置がノズル配列方向にずれて形成されている。
【0028】
そして、第1貫通孔15は、図4(A)、(B)に示すように、壁面部材側開口15aからノズル板側開口15bに至る途中で、液体の流れの方向が変化する部分15cを有している。以下、「液体の流れの方向が変化する部分15c」を「屈曲部15c」というが、「屈曲」とは、上記図4(A)に示すように折れ曲がることだけでなく、図4(B)に示すように曲率を持って曲がっていることも含む意味で使用する。ここでは、第1貫通孔15はノズル配列方向に屈曲している。
【0029】
なお、「壁面部材側」とは流路板2の振動板部材3と接合する面側を、「ノズル板側」とは流路板2のノズル板1と接合する面側を、それぞれ意味する(以下、同じである。)。
【0030】
これによって、隔壁32にも、壁面部材側からノズル板側に至る途中で屈曲する屈曲部32aが形成される。
【0031】
このように、隔壁32の一部に屈曲部32aを設けることにより、同じ隔壁厚さでも、隔壁32の断面2次モーメントが大きくすることができ、隔壁32の剛性を高めることができる。
【0032】
そして、第1貫通孔15間の隔壁32の剛性を屈曲によって高めることができることで、ノズル11の配列密度を高密度化するために第1貫通孔15を高密度化し、隣接する第1貫通孔15間の隔壁32を細くしても、第1貫通孔15の圧力変動による隔壁32の変形が低減されるので、隣接クロストークの発生を少なくすることができる。
【0033】
これに対し、図5に示す比較例のように、第1貫通孔15を壁面部材側からノズル板側までストレートの形状にした場合には、ノズル配列方向に沿う断面で見たとき、隔壁32も厚みが一定の平板形状になる。
【0034】
この比較例の構成にあっては、ノズル11の配列密度を高密度化していくために第1貫通孔15を高密度化していくと、隣接する第1貫通孔15間の隔壁32を細く(ノズル配列方向の厚みを薄く)していかなければならない。
【0035】
そうすると、第1貫通孔15の圧力変動により隔壁32が変形し、吐出のために高めた圧力の一部が隔壁32の変形により緩和されてしまうため滴吐出特性がずれることがある。また、吐出させるノズル11に隣接するノズル11からの滴吐出も、隔壁32が変形することで圧力上昇が生じるため、滴吐出特性がずれることがある。つまり、隣接する液体吐出チャネル(チャンネルとは、1つノズル及び対応する流路で構成される部分の意味)の吐出状態に応じて、注目する液滴吐出チャンネルの吐出特性が異なってしまう現象(隣接クロストーク)が生じてしまうおそれがある。
【0036】
このような隣接クロストークが大きいと、滴吐出をさせるチャンネルにおいて、吐出滴速度が所定の速度とならない(いわゆるVj異常)や、吐出滴量が所定の大きさとならない(いわゆるMj異常)などが生じ、形成される画像の品位を著しく悪化させる要因となる。
【0037】
また、このような隣接クロストークが大きいと、液滴吐出をさせるチャンネルに隣接し、液滴吐出を行わないチャンネルにも、隔壁変形により圧力変動が生じ、液滴を吐出してしまう現象(いわゆるミスファイヤー現象)が生じる危険性があり、形成される画像の品位を著しく悪化させる要因となる。
【0038】
さらに、液滴吐出を行うチャンネルや隣接するチャンネルにおいては、隔壁変形により圧力変化が所定の圧力変化と異なってしまうため、非常に微小の液滴(いわゆるミスト)が生じる可能性がある。ミストは画像形成装置内を浮遊してしまうため、想定外の部位に付着するおそれがあり、液滴吐出ヘッド内電気ショートやエンコーダー誤検知などの不具合を生じさせる。
【0039】
これに対し、上記実施形態のように構成することで、隣接するノズルからの滴吐出特性のバラツキを抑えつつ、隣接クロストークを低減することができ、高画質画像を形成できる。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図6を参照して説明する。図6は図4と同様な断面説明図である。
【0041】
本実施形態では、第1貫通孔15の壁面部材側及びノズル板側からの穴形成深さを前記第1実施形態より浅くして、流路隔壁32の中央部に一部太い領域32bを形成している。
【0042】
前記第1実施形態と同様に、隔壁32に屈曲部32aを設け、断面2次モーメントを大きくすることにより高い剛性を得るとともに、中央部に配置した一部太い領域32bが隔壁32の剛性を高めるため、第1貫通孔15の圧力による隔壁32の変形を更に小さくし、前述の隣接クロストークの発生を更に抑えることができる。
【0043】
なお、浅い穴は、流路板2をエッチングプロセスで形成する場合、孔形成エッチング時間を短くすることにより容易に形成することができる。
【0044】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図7を参照して説明する。図7は図4と同様な断面説明図である。
【0045】
本実施形態では、前記第2実施形態において、隔壁32の一部太い領域32bの流路板2の厚さ方向(以下、「高さ方向」という。)の位置を、ノズル配列方向で隣接する第1貫通孔15毎に交互に異ならせている。
【0046】
すなわち、前記第2実施形態の構成では、隔壁32の一部太い領域32bで第1貫通孔15が狭くなる部位が生じる。そこで、隔壁32の一部太い領域32bの高さ方向の位置をずらすことで、第1貫通孔15が狭くなる部位が高さ方向の中央部で生じないようにしている。
【0047】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図8を参照して説明する。図8は図4と同様な断面説明図である。
【0048】
本実施形態では、前記第2実施形態において、隔壁32の一部太い領域32bの流路板2の厚さ方向での高さを、ノズル配列方向で隣接する第1貫通孔15毎に交互に異ならせ、かつ、第1貫通孔15の位置をずらしている。図7と比較すると、図8の構成は矢印を付した隔壁32が矢印方向に移動している。
【0049】
これにより、前記第3実施形態と同様な作用効果が得られるとともに、第1貫通孔位置を少しずらすことにより、隣接する第1貫通孔の流体抵抗などを均等にすることができる。流体抵抗は第1貫通孔の半径の4乗に比例するため、隣接する第1貫通孔で凸凹は異なるが、流体素子としての流体抵抗、イナータンス、キャパシタンスを滴吐出特性に変化が出ない程度に均一にすることができる。そして、本実施形態では、2列毎に隔壁位置を少し左側(図面上)にずらすことにより、隣接間の第1貫通孔の径の違いを少なくしているため、前記第3実施形態よりもばらつきを抑えることができる。仮にばらついた場合でも、2列ごとに駆動波形を変えることにより、滴吐出特性を揃えることもできる。
【0050】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図9ないし図11を参照して説明する。図9は同ヘッドの図10のA2−A2線に沿う断面説明図、図10は図9のB2−B2線に沿う断面説明図、図11は図9のB3−B3線に沿う断面説明図である。
【0051】
本実施形態では、第1貫通孔15(15A、15B)は、壁面部材側開口15aに対してノズル板側開口15bの位置がノズル配列方向と直交する方向にずれて形成されている。そして、第1貫通孔15は、壁面部材側開口15aからノズル板側開口15bに至る途中に屈曲部15cを有している。ここでは、第1貫通孔15はノズル配列方向と直交する方向に屈曲している。
【0052】
ここで、隣り合う2つの第1貫通孔15のうちの第1貫通孔15Aは、ノズル板側開口15bが、壁面部材側開口15aに対して、ノズル配列方向と直交する方向で、圧力室12における液体の流れ方向と同じ方向にずれている。また、第1貫通孔15Bは、ノズル板側開口15bが、壁面部材側開口15aに対して、ノズル配列方向と直交する方向で、圧力室12における液体の流れ方向と逆方向にずれている。
【0053】
つまり、隣り合う第1貫通孔15A、15Bは、ノズル板側開口15bの位置がずれる方向が逆方向である。
【0054】
このように構成することで、隣り合う第1貫通孔15Aと第1貫通孔15Bとはノズル配列方向で重ならなくなり、第1貫通孔15A、15Bのノズル板側では隣接する第1貫通孔間の隔壁が存在しなくなる。
【0055】
そのため、第1貫通孔15の周囲の壁部の剛性が高くなり、第1貫通孔15内の圧力変動が隣り合う第1貫通孔15に影響を与えることがなく、隣接するノズルからの滴吐出特性のバラツキを抑えつつ、隣接クロストークを低減することができ、高画質画像を形成できる。
【0056】
なお、隣り合う第1貫通孔15A、15Bがノズル配列方向に完全に重ならなくなるまで屈曲部15cの屈曲量が無く、隣り合う第1貫通孔15A、15Bの一部がノズル配列方向で重なるような場合にも、屈曲部15cによって重なり隔壁を形成する領域が小さくなるため、隔壁の剛性が高くなり、前述の隣接クロストークの発生を低減することができる。
【0057】
また、本実施形態では、隣り合う第1貫通孔15Aと第1貫通孔15Bとは屈曲する方向が逆であるだけであるため、圧力室12から第1貫通孔15を経てノズル11に至るまでの流路の容積や流路の太さ(液体の流れの方向と直交する方向の断面における開口面積)を同じにすることができる。これにより、隣り合うチャネル間での圧力室12の圧力変動に応答する速さをほぼ等しくすることができる。
【0058】
したがって、隣り合う圧力室を加圧するアクチュエータ手段(圧力発生手段)を同じ駆動波形で駆動することで、同じ滴吐出特性に応じた吐出をすることができ、隣り合うチャネル毎に異なる駆動波形を与える手段を使用しないでも、滴吐出特性のバラツキを低減できる。
【0059】
また、隣り合う第1貫通孔15A、15Bに対応するノズルの位置もずれることになり、隣接するチャンネルの駆動タイミングもずらすことができるため、より隣接チャンネルの同時駆動時と一方だけの駆動時の吐出特性の差を抑えることができるという効果も有する。
【0060】
次に、本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図12ないし図14を参照して説明する。図12は同ヘッドの図13のA3−A3線に沿う断面説明図、図13は図12のB4−B4線に沿う断面説明図、図14は図12のB5−B5線に沿う断面説明図である。
【0061】
本実施形態では、前記第5実施形態において、更に前記第1実施形態と同様に、第1貫通孔15のノズル板側開口15bを壁面部材側開口15aに対してノズル配列方向に位置をずらしている。ここでは、屈曲部15cは、ノズル配列方向及びノズル配列方向と直交する方向に屈曲している。
【0062】
このように、第1貫通孔15をノズル配列方向及びノズル配列方向と直交する方向に屈曲させることにより、前記第1実施形態などで説明した屈曲による隔壁の剛性を高める効果と、前記第5実施形態で説明した屈曲により流路隔壁の剛性を高める効果の両方の効果により、更に隔壁の剛性を高めることができる。
【0063】
これにより、前述の隣接クロストークの発生をより確実に低減することができ、高画質画像を形成できる。
【0064】
次に、本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図15ないし図17を参照して説明する。図15は同ヘッドの図17のA4−A4線に沿う断面説明図、図16は図17のA5−A5線に沿う断面説明図、図17は図15のB6−B6線に沿う断面説明図である。なお、図17のA5−A5線の位置では第2貫通孔19のノズル板側開口19bは図15の断面に現れないが、位置関係を分かり易くするために破線で図示している(以下の実施形態でも同様とする。)。
【0065】
本実施形態では、共通液室部材5は、段違いで、ノズル板1と振動板部材3とに接合して、流路板2及び振動板部材3のノズル配列方向と直交する方向の端部の外側に共通液室16を形成している。
【0066】
そして、流路板2には、ノズル板側で、ノズル配列方向と直交する方向の端部側に液体導入部14を形成している。
【0067】
さらに、流路板2には、流路板2を厚み方向に貫通して、液体導入部14と流体抵抗部13の上流側とを通じる複数の第2貫通孔19が隔壁33を挟んで配列されている。
【0068】
ここで、第1貫通孔15は、前記第1実施形態と同様に、壁面部材側開口15aに対してノズル板側開口15bの位置がノズル配列方向にずれて形成されている。そして、第1貫通孔15は、前記第1ないし第4実施形態のいずれかと同様に、ノズル配列方向に屈曲している屈曲部15cを有している。なお、図15のC2−C2線に沿う断面は、前記図4などと同様であり、説明上、図17に屈曲部15cの位置を図示している。
【0069】
また、第2貫通孔19は、壁面部材側開口19aに対してノズル板側開口19bの位置がノズル配列方向にずれて形成されている。そして、第2貫通孔19は、前記第1ないし第4実施形態のいずれかと同様に、ノズル配列方向に屈曲している屈曲部19cを有している。なお、図15のC3−C3線に沿う断面は、前記図4などと同様であり、説明上、図17に屈曲部19cの位置を図示している。
【0070】
これらの第1貫通孔15及び第2貫通孔19の各ノズル板側開口15b、19bの壁面部材側開口15a、19aに対する、ノズル配列方向における位置ずれ方向は同じである。液体の流れ方向で見た場合には、屈曲部15c、19cの屈曲方向は逆方向になる。
【0071】
このように構成することで、圧力室12への供給路側の隔壁33の剛性も高くすることができ、供給路側での隣接クロストークの発生を低減することができる。
【0072】
次に、本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図18ないし図20を参照して説明する。図18は同ヘッドの図20のA6−A6線に沿う断面説明図、図19は図20のA7−A7線に沿う断面説明図、図20は図18のB7−B7線に沿う断面説明図である。
【0073】
本実施形態では、前記第7実施形態において、第1貫通孔15及び第2貫通孔19の各ノズル板側開口15b、19bの壁面部材側開口15a、19bに対する、ノズル配列方向における位置ずれ方向は逆方向になる。液体の流れ方向で見た場合は、屈曲部15c、19cの屈曲方向は同じ方向になる。
【0074】
つまり、液体導入部14からノズル11に至る流路において2回の屈曲部を有していることになる。
【0075】
これにより、液体導入部14に対してノズル11の位置をノズル配列方向に大きくずらすことできる。そして、後述するように、ノズル列を複数列配列した多列ヘッドとし、各列のノズル位置をヘッドの解像度に応じた量だけずらす必要がある場合で、1回の貫通孔の屈曲では所望の変位量が得られない場合に、本実施形態のように2回の屈曲を行うことで所望のずらし量を得ることができるようになる。
【0076】
次に、本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図21ないし図23を参照して説明する。図21は同ヘッドの図23のA8−A8線に沿う断面説明図、図22は図23のA9−A9線に沿う断面説明図、図23は図21のB8−B8線に沿う断面説明図である。
【0077】
本実施形態では、第1貫通孔15は、ノズル板側開口15bが壁面部材側開口15aに対して、ノズル配列方向、及び、ノズル配列方向と直交する方向で、圧力室12における液体の流れ方向と逆方向にずれている。
【0078】
また、第2貫通孔19は、ノズル板側開口19bが壁面部材側開口19aに対して、ノズル配列方向、及び、ノズル配列方向と直交する方向で、圧力室12における液体の流れ方向と同方向にずれている。
【0079】
つまり、第1貫通孔15と第2貫通孔19とは、ノズル配列方向では、ノズル板側開口15b、19bが同じ方向にずれ、ノズル配列方向と直交する方向では、ノズル板側開口15b、19aが近づく方向にずれている。
【0080】
このように構成することで、流路(第1貫通孔15及び第2貫通孔19)の隔壁32、33の剛性を高めることができるとともに、流路構造をノズル配列方向と直交する方向で小型化することができ、ヘッドの小型化を図れる。
【0081】
次に、本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図24ないし図26を参照して説明する。図24は同ヘッドの図26のA10−A10線に沿う断面説明図、図25は図26のA11−A11線に沿う断面説明図、図26は図24のB9−B9線に沿う断面説明図である。
【0082】
本実施形態では、第1貫通孔15は、ノズル板側開口15bが壁面部材側開口15aに対して、ノズル配列方向、及び、ノズル配列方向と直交する方向で、圧力室12における液体の流れ方向と同じ方向にずれている。
【0083】
また、第2貫通孔19は、ノズル板側開口19bが壁面部材側開口19aに対して、ノズル配列方向、及び、ノズル配列方向と直交する方向で、圧力室12における液体の流れ方向と逆方向にずれている。
【0084】
つまり、第1貫通孔15と第2貫通孔19は、ノズル配列方向では、ノズル板側開口15b、19bが同じ方向にずれ、ノズル配列方向と直交する方向では、ノズル板側開口15a、19aが遠ざかる方向にずれている。
【0085】
第1貫通孔15と第2貫通孔19を圧力室12側とは逆の方向に屈曲させることにより、流路板2の広い領域に流路板2の剛性を弱める溝部、孔部を配置することができる。そのため、流路板2の一部に流路板の剛性を弱める溝部や孔部が集中することが無く、流路板2全体の剛性を確保することができる。
【0086】
次に、本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図27ないし図30を参照して説明する。図27は同ヘッドの図29のA12−A12線に沿う断面説明図、図28は図29のA13−A13線に沿う断面説明図、図29は図28のB10−B10線に沿う断面説明図、図30は図28のB11−B11線に沿う断面説明図である。
【0087】
本実施形態では、隣り合う2つの第1貫通孔15及び第2貫通孔19について、一方の第1貫通孔15及び第2貫通孔19は、前記第9実施形態と同様にノズル板側開口15b、19bが近づく方向に、他方の第1貫通孔15及び第2貫通孔19は、前記第10実施形態と同様にノズル板側開口15b、19bが遠ざかる方向に、それぞれずれるように屈曲部を設けている。
【0088】
この場合、1つの圧力室12について見ると、第1貫通孔15と第2貫通孔19とは、ノズル板側開口15b、19bの壁面部材側開口15a、19aに対するノズル配列方向と直交する方向におけるずれ方向が逆になる。
【0089】
このように構成することで、前記第5実施形態で説明したと同様に、隣り合う第1貫通孔15はノズル配列方向で重ならなくなり、第1貫通孔15のノズル板側では隣接する第1貫通孔15間の隔壁が存在しなくなる。同様に、隣り合う第2貫通孔19はノズル配列方向で重ならなくなり、第2貫通孔19のノズル板側では隣接する第2貫通孔19間の隔壁が存在しなくなる。
【0090】
そのため、第1貫通孔15、第2貫通孔19の周囲の壁部の剛性が高くなり、第1貫通孔15、第2貫通孔19内の圧力変動が隣り合う第1貫通孔15、第2貫通孔19に影響を与えることがなく、隣接クロストークを低減することができ、高画質画像を形成できる。
【0091】
なお、隣り合う第1貫通孔15或いは第2貫通孔19がノズル配列方向に完全に重ならなくなるまで屈曲部の屈曲量が無く、隣り合う第1貫通孔15或いは第2貫通孔19の一部がノズル配列方向で重なるような場合にも、屈曲部によって重なり隔壁を形成する領域が小さくなるため、隔壁の剛性が高くなり、前述の隣接クロストークの発生を低減することができる。
【0092】
次に、本発明の第12実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図31ないし図34を参照して説明する。図31は同ヘッドの図33のA14−A14線に沿う断面説明図、図32は図33のA15−A15線に沿う断面説明図、図33は図32のB12−B12線に沿う断面説明図、図34は図32のB13−B13線に沿う断面説明図である。
【0093】
本実施形態では、隣り合う2つの第1貫通孔15及び第2貫通孔19について、一方の第1貫通孔15及び第2貫通孔19は、いずれもノズル板側開口15b、19bが壁面部材側開口15a、19bに対して、ノズル配列方向と直交する方向で、圧力室12における液体の流れ方向にずれている。他方の第1貫通孔15及び第2貫通孔19は、いずれもノズル板側開口15b、19bが壁面部材側開口15a、19bに対して、ノズル配列方向と直交する方向で、圧力室12における液体の流れ方向と逆方向にずれている。
【0094】
この場合、1つの圧力室12について見ると、第1貫通孔15と第2貫通孔19とは、ノズル板側開口15b、19bの壁面部材側開口15a、19aに対するノズル配列方向と直交する方向におけるずれ方向は同じになる。
【0095】
ただし、ノズル配列方向では、第1貫通孔15及び第2貫通孔19は、ノズル板側開口15b、19bが壁面部材側開口15a、19bに対してずれていない。
【0096】
このように構成することで、隣り合う2つの第1貫通孔15は、壁面部材側ではノズル配列方向で一部が重なり、隔壁が形成されるが、ノズル板側では隣接する第1貫通孔15間の隔壁が存在しなくなる。同様に、隣り合う第2貫通孔19は、壁面部材側ではノズル配列方向で一部が重なり、隔壁が形成されるが、ノズル板側では隣接する第2貫通孔19間の隔壁が存在しなくなる。
【0097】
そのため、第1貫通孔15、第2貫通孔19の各隔壁の剛性が高くなり、第1貫通孔15、第2貫通孔19内の圧力変動が隣り合う第1貫通孔15、第2貫通孔19に影響を与えることがなく、隣接クロストークを低減することができ、高画質画像を形成できる。
【0098】
なお、隣り合う第1貫通孔15或いは第2貫通孔19がノズル配列方向に完全に重ならなくなるまで屈曲部の屈曲量が無く、隣り合う第1貫通孔15或いは第2貫通孔19の一部がノズル配列方向で重なるような場合にも、屈曲部によって重なり隔壁を形成する領域が小さくなるため、隔壁の剛性が高くなり、前述の隣接クロストークの発生を低減することができる。
【0099】
本実施形態では、隣接するチャンネル間(図33の断面と図34の断面)の液体導入部14からノズル11に至る流路の容積は異なることなる。
【0100】
しかしながら、圧力変動に対する応答速度に寄与するのは、流体抵抗部を通過した後の流路の容積、或は共通流路(共通液室)から各個別流路(液体導入部、流体抵抗部、圧力室、貫通孔で構成される流路)に別れた後の流路の容積及び流路径である。そして、本実施形態のヘッドでは、流体抵抗部13からノズル11に至る流路の容積及び流路径は隣接するチャネル同士でほぼ同じである。
【0101】
したがって、隣接するチャネルの圧力変化に対する応答速度はほぼ等しくなり、隣接するチャネル各々に特別な駆動手段や駆動波形を用意する必要はない。また、隣接するチャネル間での差をより小さくする必要がある高精細な画像形成を行うためのヘッドでは、液体導入部及び第2貫通孔19の形状を、前記第7、第8実施形態のように、各チャネル共通の流路構造とすることにより、各チャンネルの応答速度を同じにすることができる。
【0102】
次に、本発明の第13実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図35ないし図38を参照して説明する。図35は同ヘッドの図37のA16−A16線に沿う断面説明図、図36は図37のA17−A17線に沿う断面説明図、図37は図36のB14−B14線に沿う断面説明図、図38は図36のB15−B15線に沿う断面説明図である。
【0103】
本実施形態では、前記第12実施形態において、隣り合う2つのチャンネル間で、圧力室12及び流体抵抗部13の流路部分を、ノズル配列方向と直交する方向にずらしている。
【0104】
これにより、液体導入部14から流体抵抗部13までの流路の容積や流路径を同じにすることができる。したがって、同じ駆動波形を印加することで、同じ滴吐出特性に応じた滴吐出を行うことができ、隣接するチャネル毎に異なる駆動波形などの制御手段を使用する必要がなくなる。
【0105】
次に、本発明の第14実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図39を参照して説明する。図39は同ヘッドの説明に供する図9にノズルを付加した断面説明図である。
【0106】
前記第5実施形態で説明したように、隣り合う2つの第1貫通孔15A、15Bはそれぞれノズル配列方向と直交する方向で、ノズル板側開口15bを壁面部材側開口15aに対して逆方向にずらしている。
【0107】
ここで、隣り合うノズル11、11のノズル配列方向と直交する方向の間隔(ノズル板側開口15bの間隔)、即ち、壁面部材側開口15aを基準として第1貫通孔15A、15Bの屈曲部15cによる各屈曲量を合わせた屈曲量ΔXは、ノズルピッチ(ノズル配列方向で隣り合う2つのノズル11の間隔)ΔYの整数倍、又は、ノズルピッチΔYの1/n(nは整数)の整数倍としている。
【0108】
つまり、ヘッドに入力される液滴吐出のタイミングは、液滴が被記録媒体に対してマトリクス状に吐出されるように、ノズルピッチΔYをヘッドと被記録媒体との相対移動速度で移動するタイミング間隔で制御されることがある。
【0109】
このとき、上記のように屈曲量ΔXをノズルピッチΔYの整数倍、又は、1/n(nは整数)の整数倍とすることにより、整数倍周期違いの制御タイミングで吐出させれば液滴が被記録媒体に対してマトリクス状に吐出されるため、吐出タイミングの位相が違う制御手段を別途設ける必要がなくなる。
【0110】
次に、本発明の第15実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図40及び図41を参照して説明する。図40は図41のA18−A18線に沿う断面説明図、図41は図40のB16−B16線に沿う断面説明図である。
【0111】
この液体吐出ヘッドは、複数のノズル11を配列した第1ないし第4ノズル列11A〜11Dを有している。また、圧電部材4には、圧力室12に対応する柱状の圧電素子である駆動柱4Aと、隣り合う圧力室12、12間に対応する支柱となる柱状の圧電素子である非駆動柱4Bとを、ノズル配列方向に沿って交互に形成している。
【0112】
この場合、各ノズル列11A〜11Dに対応する4個の圧電部材4のダイシング等による分割では、4つの圧電部材4の分割、或いは、同じベースに固定されている2つの圧電部材4はノズル配列方向で、同じ位置及び同じピッチでしか分割(溝加工)することができない。
【0113】
そのため、例えば圧電部材4を300dpiピッチでダイシング加工により分割した場合、駆動柱4Aは分割ピッチの半分、即ち、150dpiでしか配置することができない。また、2つの圧電部材4の駆動柱4Aを千鳥状に配置しても150dpi×2=300dpiのピッチでしか配置することができない。
【0114】
そこで、本実施形態では、第1貫通孔15のノズル板側開口15bを、駆動柱4Aのピッチ150dpiの1/4ピッチである600dpi相当分ノズル配列方向にずれるように、第1貫通孔15を屈曲させている。
【0115】
そして、ノズル配列方向で1/4ピッチずつ第1貫通孔15の屈曲によってノズル位置をずらしたノズル列を4列並べることにより、被記録媒体が、ノズル配列方向と直交する方向に、ヘッドに対して相対移動することで、4列のノズル列11A〜11Dにより1列のノズルピッチの4倍にあたる600dpiの解像度で画像形成することができるようになる。
【0116】
次に、本発明の第16実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図42及び図43を参照して説明する。図42は同ヘッドの図43のA19−A19線に沿う断面説明図、図43は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【0117】
本実施形態では、2列のノズル列11A、11Bを有し、例えば左側(これを「ODD列」とする。)のノズル列11Aと、右側(これを「EVEN列」とする。)のノズル列11Bとは、圧力室12のノズル配列方向で、ノズル配列方向と直交する方向の位置を同じにしている。
【0118】
そして、各ノズル列11A、11Bの各第1貫通孔15は、ノズルピッチの1/4だけそれぞれノズル配列方向で逆方向に屈曲させている。これにより、各ノズル列11A、11Bのノズル11は、圧力室12に対してノズルピッチの1/4だけずれた位置になる。
【0119】
このように構成することで、各チャネルの圧力室12、流体抵抗部13、液体導入部14、圧力発生手段である圧電部材4、フレーム部材である共通液室部材5の形状を、左右対称(ODD列とEAVEN列で対称)にすることができて、簡素化でき、部品左右対称化や共通化が可能となる。
【0120】
この場合、2つのノズル列11A,11Bで圧力室12の配列ピッチの2倍の解像度で画像形成を行うことができる。
【0121】
次に、本発明の第17実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図44及び図45を参照して説明する。図44は同ヘッドの図45のA20−A20線に沿う断面説明図、図45は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【0122】
本実施形態では、2列のノズル列11A、11Bの各圧力室12をノズル配列方向で千鳥状に配列している。そして、第1貫通孔15をノズル配列方向で同じ方向に屈曲させて、各ノズル列11A、11Bのノズル11を圧力室12に対してノズル配列方向で同じ方向に同じ量だけずらしている。
【0123】
このように構成することで、2つのノズル列11A,11Bで圧力室12の配列ピッチの2倍の解像度で画像形成を行うことができる。
【0124】
この場合、第1貫通孔15の屈曲量を圧力室12の配列ピッチに関係ない量としても、各ノズル列11A、11Bのノズル配置を圧力室12の配列ピッチの2倍とすることができる。
【0125】
そして、第1貫通孔15の屈曲量は大きくした方が、断面2次モーメントが大きくなるため、剛性を高めることができる。本実施形態のように構成することで、必要な剛性を確保するだけの屈曲量とすることができ、ヘッド設計やヘッド構成の自由度を高めることができる。
【0126】
次に、本発明の第18実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図46ないし図48を参照して説明する。図46は同ヘッドの図47のA21−A21線に沿う断面説明図、図47は図46のB17−B17線に沿う断面説明図、図48は図46のB18−B18線に沿う断面説明図である。
【0127】
本実施形態では、流路板2を結晶性Si基板で形成し、屈曲部15cをノズル配列方向と、ノズル配列方向に直交する方向に屈曲させることにより、屈曲面150、151を、流路板2の結晶方位が<111>又は<100>とする構成としている。
【0128】
すなわち、結晶性Si基板の異方性エッチングでは、<100>、<110>、<111>の結晶面のエッチング速度が、他のより高次の結晶面のエッチング速度より遅く、かつ、安定している。また、<111>面は、他の結晶面に比べてエッチング速度が著しく遅い。
【0129】
そのため、例えば、結晶面方位<110>のSi基板を用いて、流路板2を形成することで、図46に示す、<111>面151はほとんどエッチングされないが、<110>面152(紙面の奥方向)はエッチングされるため、縦方向に垂直の隔壁を容易に形成することができる。
【0130】
ここで、図47及び図48に示すように、第1貫通孔15の屈曲部15cに生じる面(屈曲面)150、151を、<100>結晶面、或いは、<111>結晶面とすることにより、屈曲部15cの壁面を精度良く製作することが可能となる。
【0131】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドにおける流路板2の製作プロセスについて図49ないし図55を参照して説明する。各図(a)は平面説明図、(b)は(a)のX1−X1線に沿う断面説明図である。
【0132】
まず、図49に示すように、結晶面方位<110>のシリコン基板304上に、表ドライエッチング用パターン301、表貫通ウェットエッチング用パターン302、表溝ウェットエッチング用パターン303、裏貫通ウェットエッチング用パターン305、裏ドライエッチング用パターン306をそれぞれ形成する。
【0133】
各パターン301〜303、305、306は、SiO2酸化膜、ポリシリコン膜、SiN膜などを用いることもできるし、薬品耐性の異なるレジストを組合わせて形成することもできる。
【0134】
続いて、図50に示すように、表側及び裏側からドライエッチングによりシリコン基板304にほぼ垂直の穴307、308を空ける。ドライエッチングは、例えばICPエッチング装置によるボッシュ法のドライエッチングにより、エッチングとデポを繰り返すことにより、ほぼ垂直の穴を形成することができる。
【0135】
続いて、図51に示すように、表ドライエッチング用パターン301、裏ドライエッチング用パターン306を剥離する。
【0136】
その後、図52に示すように、穴307、308に対して異方性ウエットエッチングを行って第1の穴310と第2の穴311を形成する。異方性ウェットエッチングに用いるエッチャントは、例えばKOHやTMAHなどを用いることができる。異方性ウェットエッチングを行うと、エッチングレートの速い結晶方位面が主にエッチングされ、ドライエッチングの角からエッチングレートの遅い結晶方位面309が延伸するようにエッチングされる。
【0137】
この段階で、第1の穴310と第2の穴311が連結しなければ、第1の穴310と第2の穴311はやがてエッチングレートの遅い面に囲まれ、底面が角錐のような形状となる。
【0138】
ここで、ドライエッチングのエッチング幅やエッチング深さを調節することにより、ウェットエッチングにより第1の穴310と第2の穴311が連結するようにする。これにより、第1の穴310と第2の穴311とが連結した部分には、エッチングレートの速い面が生じる。そのため、エッチングレートの速い面からエッチングが進行し、第1の穴310と第2の穴311が連結した部分に生じる凸部312がエッチングされる。
【0139】
このとき、上記エッチングのあるタイミングで、図53に示すように、表貫通ウェットエッチング用パターン302を剥離し、異方性ウェットエッチングを行う。そうすると、図54に示すように、第1の穴310と第2の穴311が連結して1つの穴313となり、凸部3121がエッチングされていくのと同時に、流路板となるシリコン基板304上に溝部30を形成することができる。
【0140】
最後に、図55に示すように、ウェットエッチング用パターン303を剥離することにより、屈曲した穴313で第1貫通孔15が形成され、圧力室12などとなる溝部30が形成された本発明に係る液体吐出ヘッドを得ることができる。
【0141】
なお、異方性ウェットエッチングにてエッチングレートの遅い結晶面としては、例えば結晶性Si基板の(111)面とすることができる。また、エッチングレートの速い結晶面として、例えば結晶性Si基板の(110)面や(100)面を用いることもできる。
【0142】
また、上記の製造プロセスでは、第1貫通孔15をノズル配列方向と直交する方向に屈曲させる場合について説明したが、第1貫通孔15をノズル配列方向、あるいは、ノズル配列方向及びノズル配列方向と直交する方向の両方向に屈曲させる場合も、同様のプロセスで製作することができる。
【0143】
なお、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化することでヘッド一体型液体カートリッジ(カートリッジ一体型ヘッド)を得ることができる。
【0144】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図56及び図57を参照して説明する。なお、図56は同装置の機構部を説明する概略側面説明図、図57は同機構部の要部平面説明図である。
【0145】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイドである主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0146】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0147】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0148】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0149】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0150】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0151】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0152】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0153】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0154】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0155】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0156】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド247で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0157】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0158】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0159】
このように、この画像形成装置では本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えているので、安定した滴吐出特性が得られ、安定して高画質画像を形成することができる。
【0160】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0161】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0162】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0163】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0164】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0165】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 圧電部材
5 共通液室部材
11 ノズル
12 圧力室
13 流体抵抗部
14 液体導入部
15 第1貫通孔
16 共通液室
19 第2貫通孔
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、
前記ノズルが各々通じる複数の圧力室の一部を形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、
前記溝部を覆い、前記圧力室の壁面を形成する壁面部材と、を備え、
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記ノズルと前記圧力室とを通じる複数の第1貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第1貫通孔は、壁面部材側開口に対してノズル板側開口の位置がノズル配列方向にずれて形成され、かつ、前記壁面部材側開口から前記ノズル板側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記圧力室への液体供給路の一部を形成する複数の第2貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第2貫通孔は、壁面部材側開口に対してノズル板側開口の位置がノズル配列方向にずれて形成され、かつ、ノズル板側開口から壁面部材側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有し、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、各前記ノズル板側開口の位置がずれる方向が同じ又は逆方向である
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、
前記ノズルが各々通じる複数の圧力室の一部を形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、
前記溝部を覆い、前記圧力室の壁面を形成する壁面部材と、を備え、
前記流路板には、前記ノズルと前記圧力室とを前記流路板の厚み方向に貫通して通じる複数の第1貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第1貫通孔は、壁面部材側開口に対してノズル板側開口の位置がノズル配列方向と直交する方向にずれて形成され、かつ、前記壁面部材側開口から前記ノズル板側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有し、
隣り合う前記第1貫通孔は、前記ノズル板側開口の位置がずれる方向が逆方向である
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項4】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、
前記ノズルが各々通じる複数の圧力室の一部を形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、
前記溝部を覆い、前記圧力室の壁面を形成する壁面部材と、を備え、
前記流路板には、前記ノズルと前記圧力室とを前記流路板の厚み方向に貫通して通じる複数の第1貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第1貫通孔は、壁面部材側開口に対してノズル板側開口の位置がノズル配列方向と直交する方向にずれて形成され、かつ、前記壁面部材側開口から前記ノズル板側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有し、
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記圧力室への液体供給路の一部を形成する複数の第2貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第2貫通孔は、前記流路板のノズル板側開口と壁面部材側開口との位置がノズル配列方向と直交する方向にずれて形成され、かつ、ノズル板側開口から壁面部材側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有し、
同じ前記圧力室について、前記第1貫通孔のノズル板側開口と前記第2貫通孔のノズル板側開口とは、近づく方向又は遠ざかる方向に位置がずれている
【請求項5】
隣り合う2つの圧力室の一方の圧力室については、前記第1貫通孔のノズル板側開口と前記第2貫通孔のノズル板側開口とは近づく方向に位置がずれ、他方の圧力室については、前記第1貫通孔のノズル板側開口と前記第2貫通孔のノズル板側開口とは遠ざかる方向に位置がずれている
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、
前記ノズルが各々通じる複数の圧力室の一部を形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、
前記溝部を覆い、前記圧力室の壁面を形成する壁面部材と、を備え、
前記流路板には、前記ノズルと前記圧力室とを前記流路板の厚み方向に貫通して通じる複数の第1貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第1貫通孔は、壁面部材側開口に対してノズル板側開口の位置がノズル配列方向と直交する方向にずれて形成され、かつ、前記壁面部材側開口から前記ノズル板側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有し、
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記圧力室への液体供給路の一部を形成する複数の第2貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第2貫通孔は、前記流路板のノズル板側開口と壁面部材側開口との位置がノズル配列方向と直交する方向にずれて形成され、かつ、ノズル板側開口から壁面部材側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有し、
同じ前記圧力室について、前記第1貫通孔のノズル板側開口と前記第2貫通孔のノズル板側開口とは同じ方向に位置がずれ、
隣り合う2つの圧力室については、前記第1貫通孔のノズル板側開口及び前記第2貫通孔のノズル板側開口の位置ずれの方向が逆方向である
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記圧力室は、当該圧力室の前記第1貫通孔のノズル板側開口及び前記第2貫通孔のノズル板側開口の位置ずれの方向と逆方向にずれていることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、
前記ノズルが各々通じる複数の圧力室の一部を形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、
前記溝部を覆い、前記圧力室の壁面を形成する壁面部材と、を備え、
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記ノズルと前記圧力室とを通じる複数の第1貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第1貫通孔は、壁面部材側開口に対してノズル板側開口の位置がノズル配列方向及びノズル配列方向と直交する方向にずれて形成され、かつ、前記壁面部材側開口から前記ノズル板側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記圧力室への液体供給路の一部を形成する複数の第2貫通孔が隔壁を挟んで配列され、
前記第2貫通孔は、前記流路板のノズル板側開口と壁面部材側開口との位置がノズル配列方向及びノズル配列方向と直交する方向にずれて形成され、かつ、ノズル板側開口から壁面部材側開口に至る途中で液体の流れの方向が変化する部分を有している
ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2013−63590(P2013−63590A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203647(P2011−203647)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】