説明

液体吐出容器

【課題】例え残液量が少なくなる場合でも、液吐出時に容器本体が傾くおそれが少なく、安定した液供給が行える。
【解決手段】操作部12よりも下方であってかつ容器本体ショルダー部の上方に指係止用レバー15が設けられる。操作部が操作者の指によって操作される際に、指係止用レバー15には操作者の他の複数の指が係止される。指係止用レバーは、操作者の他の複数の指のうち少なくとも1本の指の腹部によって係止される第1の係止部17と、操作者の他の複数の指のうち残りの指の背部によって係止される第2の係止部18とを備える。これにより、指の腹部と背部双方によって、指係止用レバーに引張力と押圧力を同時に与えることができ、容器本体の残液量が少なくなる場合でも、指係止用レバーを介して容器本体の姿勢を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液体吐出容器として、図3に示すように、片手で操作することを目的として内部に液体が充填される容器本体1と、この容器本体1の上方に設けられた操作部2を操作されることにより容器本体1内の液体をノズル3から吐出させるポンプ機構と、操作部2よりも下方であってかつ容器本体1よりも上方に設けられ、操作部2が操作者の指によって操作される際に操作者の他の指によって係止される指係止用レバー5とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−249248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来の液体吐出容器によれば、操作者が操作部2を例えば親指Saで押圧操作する際に、人差し指Sbや中指Sc等他の指を指係止用レバー5に係止させることによって、操作者の手がぶれるのを防止でき、操作部2に対する操作が容易になる利点が得られる。
一方、前述した従来の液体吐出容器にあっては、容器本体1の残液量が少なくなるとき、指係止用レバー5から反力をとる際に指係止用レバー5に係止させている指による引張力Faが強くなりすぎると、容器本体1に作用する力のバランスがくずれて、図中2点鎖線で示すように容器本体1が傾いてしまう問題があった。
【0004】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、例え残液量が少なくなる場合でも、液吐出時に容器本体が傾くおそれが少なく、安定した液供給が行える液体吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液体吐出容器は、内部に液体が充填される容器本体と、該容器本体の上方に設けられた操作部を操作されることにより容器本体内の液体をノズルから吐出させるポンプ機構と、前記操作部よりも下方であってかつ前記容器本体ショルダー部の上方に設けられ、前記操作部が操作者の指によって操作される際に操作者の他の複数の指によって係止される指係止用レバーとを備える液体吐出容器であって、前記指係止用レバーが、操作者の前記他の複数の指のうち少なくとも1本の指の腹部によって係止される第1の係止部と、操作者の他の複数の指のうち残りの指の背部によって係止される第2の係止部とを備えることを特徴とする。
【0006】
前記液体吐出容器によれば、前記指係止用レバーに第1の係止部と第2の係止部を備え、それら係止部のうち第1の係止部に操作者の指の腹部を係止させ、第2の係止部に操作者の指の背部を係止させる。そして、指の腹部と背部双方によって、指係止用レバーに引張力と押圧力を同時に与えることができる。これにより、容器本体の残液量が少なくなる場合でも、指係止用レバーを介して容器本体の姿勢を制御することができ、もって容器本体が傾くのを防止できる。
【0007】
前記液体吐出容器では、前記指係止用レバーは、上側の平坦部と、下側の平坦部と、それら上側の平坦部及び下側の平坦部を連結する上下方向に湾曲された連結部とを備え、前記上側の平坦部の下面が前記第1の係止部とされ、前記下側の平坦部の上面が前記第2の係止部とされたことが好ましい。
これにより、指係止用レバーを上側の平坦部、下側の平坦部および連結部の3部分によって構成することができ、指係止レバーの構成の簡素化を図ることができる。
【0008】
前記液体吐出容器では、前記指係止用レバーは、上方から見た場合、前記容器本体の中心部から半径方向外方へ延びて設けられ、前記容器本体の中心部に近い方に前記上側の平坦部が配置され、前記容器本体から遠い方に前記下側の平坦部が配置されていることが好ましい。
これにより、操作者が例えば親指で操作部を操作する際に、親指に近い人差し指や中指で、上側の平坦部の第1の係止部を係止し、親指に遠い小指や薬指で、下側の平坦部の第2の係止部を係止することができ、指に無理な動きを強いることなく、手の自然な形(把持形状)で、指係止用レバーに指を係止させつつ操作部を操作することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体吐出容器によれば、液体吐出容器を持ち上げて使用する場合でも、第1の係止部に操作者の指の腹部を係止させ、第2の係止部に操作者の指の背部を係止させることで、指の腹部と背部双方によって、指係止用レバーに引張力と押圧力を同時に与えることができ、これにより、容器本体の残液量が少なくなる場合でも、指係止用レバーを介して容器本体の姿勢を制御することができ、これにより操作性の向上を図ることができる。
また、液体吐出容器を台等の上に載置して使用する場合には、従来の容器と同様に、操作部を直接押下げて使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態を示す液体吐出容器の一部断面図である。
ここで示す液体吐出容器10は、内部に液体が充填される容器本体11と、この容器本体11の上方に設けられた操作部12を操作されることにより容器本体11内の液体をノズル13から吐出させるポンプ機構と、操作部12よりも下方であってかつ容器本体のショルダー部11aの上方に設けられ、操作部12が操作者の指によって操作される際に操作者の他の複数の指によって係止される指係止用レバー15とを備える。
【0011】
指係止用レバー15は、図2にも示すように、容器本体11の口部に取り付けられた装着キャップ14の上部から上方へ突出するように一体成形された円筒部16に一体的に形成されている。指係止レバー15は、操作者が操作部12を例えば親指Saによって押圧操作される際に、他の複数の指のうち少なくとも1本の指、例えば人差し指Sbおよび中指Scの腹部によって係止される第1の係止部17と、操作者の他の複数の指のうち残りの指例えば薬指Sdの背部によって係止される第2の係止部18とを備える。
【0012】
指係止用レバー15は、上方から見た場合、容器本体11の中心部近傍から半径方向外方であって、前記ノズル13とは逆方向へ延びて設けられている。また、指係止用レバー15は、容器本体11の中心部に近い上側の平坦部20と、この上側の平坦部20から下方に向けて湾曲された連結部21と、連結部21の下端から側方(容器本体の外方)へ延びるよう湾曲された下側の平坦部22とを備え、全体として側面視大略Z字状に形成されている。そして、上側の平坦部20の下面は前記第1の係止部17とされ、下側の平坦部22の上面が第2の係止部18とされている。
【0013】
また、第1の係止部17が人差し指Sbと中指Scの腹部によって係止される様に、2本の指の腹部によって係止される長さに設定され、また、第2の係止部が、薬指Sdの背によって係止される様に、1本の指の背部によって係止される長さに設定されていることが好ましい。なお、それら第1、第2の係止部17,18の長さは少なくとも1本の指が配置される長さであればよく、それ以上の長さに設定されてもよい。例えば、第1の係止部17の長さは3本の指の腹部によって係止される長さに設定されていてもよく、また、第2の係止部18は、2本の指の背部によって係止される長さに設定されていてもよい。
ここで、第1の係止部17と第2の係止部18の間隔tは、指の直径程度に設定されるのが好ましい。図2に示すように、それらの係止部17,18に指を係止させたときに、複数の指Sb、Sc、Sdがほぼ一列に並び、良好な操作性が得られるからである。
また、指係止用レバー15は、基端側から先端側に向けて漸次厚さが薄くなるように形成しても良い。
【0014】
前記円筒部16の内側には、装着キャップ14から上方に突出されたステムに嵌着されるポンプヘッド25が配置され、その内部に液通路24が形成されている。また、ポンプヘッド25の上端部側方から径方向外方にノズル13が延設されている。
ポンプ機構は、一般的な構成(公知)のものが採用でき、例えば液通路24中にメッシュからなる発泡部材を配置させた、所謂、泡噴出用ポンプ等が好適に使用される。そして、前記操作部12によってポンプヘッド25の上端面が押圧されると内容液が液通路24を通ってノズル13から吐出される。
つまり、操作部12が下方へ押圧されるごとに、容器本体10内の液を一定量ずつ吐出できるようになっている。
【0015】
前記円筒部16の上部は、前記指係止用レバー15とは逆方向つまりノズル13側に張り出しており、この張出部16aには、ノズル13の下側の位置で、前記操作部12を構成する操作用レバー26の基端側がピン27を介して回転可能に連結されている。操作用レバーの下部中央には、この操作用レバー26が押圧操作されるとき、前記ポンプヘッド25の上端面を押圧操作する突起部26aが形成されている。
【0016】
前記構成の液体吐出容器10の作用について説明する。
例えば、片手で持ち上げた液体吐出容器10から液を吐出する場合には、図に示すように、操作者は、操作用レバー26の先端上部に親指Saの腹部を係止させ、指係止用レバー15の第1の係止部17に人差し指Sbと中指のScの腹部をそれぞれ係止させ、第2の係止部18に薬指の指の背部を係止させる。この状態で、親指の腹部で操作用レバー26の先端上部を下方へ押圧する。または、もう一方の手で操作用レバー26の先端上部を下方へ押圧してもよい。
【0017】
これにより、操作用レバー26の突起部26aがポンプヘッド25の上端面を下方へ押圧し、内容液が液通路24を通ってノズル13から吐出される。
【0018】
ここで、容器本体の残液量が少なくなった場合には、前記図3で説明したように、容器本体に作用する力のバランスがくずれて容器本体が傾いてしまうことが懸念される。
つまり、容器本体11側の重量が重い状態では、容器本体11に対してポンプヘッド25が下降するように操作されるが、容器本体側の重量が軽くなると、容器本体11自体が引き上げられる挙動を示すことになる。これは、ポンプヘッド25に対する上方付勢手段における付勢力と容器本体側重量(内容液重量)とのバランスが影響している。しかしながら、ここでは、第1の係止部17に操作者の人差し指Sbおよび中指Scの腹部を係止させ、第2の係止部18に操作者の薬指Sdの背部を係止させており、これら指の腹部と背部双方によって、図2に示すように指係止用レバー15に引張力Faと押圧力Fbを同時に与えることができる。この結果、容器本体1の残液量が少なくなる場合でも、指係止用レバー15を介して容器本体1の姿勢を制御することができ、もって容器本体11が不用意に傾くのを防止することができる。
【0019】
また、前記液体吐出容器10では、指係止用レバー15を、上側の平坦部20と、下側の平坦部22と、それら上側の平坦部20及び下側の平坦部を連結する上下方向に湾曲された連結部21との3部分によって構成しているので、指係止用レバー15の構成の簡素化を図ることができ、もって、製作の容易化並びにコストの低減を図ることができる。
【0020】
また、前記液体吐出容器10では、指係止用レバー15を、上方から見た場合、容器本体11の中心部から半径方向外方へ延びて設け、容器本体11に近い方に上側の平坦部20を配置し、容器本体11から遠い方に下側の平坦部22を配置しており、これにより、操作者が例えば親指Saで操作用レバー26を操作する際に、親指Saに近い人差し指Sbや中指Scで、上側の平坦部の第1の係止部17を係止し、親指に遠い薬指Sdや小指で下側の平坦部の第2の係止部18を係止することができ、指に無理な動きを強いることなく、手の自然な形(把持形状)で、指係止用レバー15に指を係止させつつ操作用レバー26を操作することができる。
【0021】
また、前記液体吐出容器では、前記第1の係止部17を2本の指の腹部によって係止される長さに設定し、第2の係止部18を1本の指の背部によって係止される長さに設定しており、これにより、操作用レバー26を操作する際その反力をとる第1の係止部17に2本の指によって大きな力を加えることができ、また、バランスをとるだけであってそれほど大きな力を加える必要がない第2の係止部18には指1本の背部のみを係止させることで、指係止用レバー15が不要に長くなるのを防止することができる。
【0022】
なお、本発明の構成は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述した実施形態では、指係止用レバー15を側面視大略Z字状に形成しているが、これに限られることなく、例えば側面視Ω状あるいは逆Ω状に形成しても良く、要は、操作者の指の腹部によって係止される第1の係止部と、操作者の指の背部によって係止される第2の係止部とを備える構成であればよい。
また、前述した実施形態では、ポンプヘッドを押し下げる操作部12として基端側がピン結合された操作用レバー26を用いているが、これに限られることなく、ポンプヘッド25を操作部として手や指で直接押圧する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態を説明する液体吐出容器の一部を断面した側面図である。
【図2】図1の一部の拡大図である。
【図3】従来例を示す液体吐出容器の一部を断面した側面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 液体吐出容器
11 容器本体
11a ショルダー部
12 操作部
13 ノズル
14 装着キャップ
15 指係止用レバー
17 第1の係止部
18 第2の係止部
20 上側の平坦部
21 連結部
22 下側の平坦部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体が充填される容器本体と、
該容器本体の上方に設けられた操作部を操作されることにより容器本体内の液体をノズルから吐出させるポンプ機構と、
前記操作部よりも下方であってかつ前記容器本体ショルダー部の上方に設けられ、前記操作部が操作者の指によって操作される際に操作者の他の複数の指によって係止される指係止用レバーとを備える液体吐出容器であって、
前記指係止用レバーが、操作者の前記他の複数の指のうち少なくとも1本の指の腹部によって係止される第1の係止部と、操作者の他の複数の指のうち残りの指の背部によって係止される第2の係止部とを備えることを特徴とする液体吐出容器。
【請求項2】
前記指係止用レバーは、上側の平坦部と、下側の平坦部と、それら上側の平坦部及び下側の平坦部を連結する上下方向に湾曲された連結部とを備え、前記上側の平坦部の下面が前記第1の係止部とされ、前記下側の平坦部の上面が前記第2の係止部とされたことを特徴とする請求項1記載の液体吐出容器。
【請求項3】
前記指係止用レバーは、上方から見た場合、前記容器本体の中心部から半径方向外方へ延びて設けられ、前記容器本体の中心部に近い方に前記上側の平坦部が配置され、前記容器本体の中心部から遠い方に前記下側の平坦部が配置されていることを特徴とする請求項2記載の液体吐出容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−87808(P2008−87808A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269325(P2006−269325)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】