説明

液体吐出容器

【課題】吐出器を取り外すことなく、副容器内の内溶液を主容器内に注入することができ、しかもこぼすことなくその注入が可能な液体吐出容器を提案する。
【解決手段】液体吐出容器1は、主容器3と吐出器5と主容器3内の内容液と混合して使用する内容液の収容空間を形成する副容器7とを備える。また、液体吐出容器1は、主容器1内の収容空間S1に通じる開口を形成する筒状部13と、筒状部13に保持されるとともに副容器7の口部23を突き合わせて保持し、主容器3の収容空間S1と副容器7の収容空間S2とを連通する連通孔35を有するアダプタ27と、副容器7の口部23に装着、保持されるとともに、副容器7の、アダプタ27に対する一方側への回動により前進して連通孔35を閉塞するシール部45aと、副容器7の、アダプタに対する他方側への回動により後退して副容器7内の内容物を収容空間S1へ注出する注出孔45bとを有する栓体41と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に液体の収容空間を形成する主容器と、該収容空間内の内溶液を吸引、加圧し外部に向けて吐出する吐出器と、主容器内の内容液と混合すべき内容液を収容可能な副容器と、を備える液体吐出容器に関し、とくには、吐出器を取り外すことなく、副容器内の内容液を主容器内に注入可能な容器を提案しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
薬剤や洗剤の中には、保管時には二種類の液を分離して保管し、使用直前に二液を混合あるいは希釈して使用するものがある。そして、従来、主容器内の液体を噴出できる吐出器を備え、主容器内の液体と混合して使用する薬剤を、使用直前まで混合しないで一体に保管することができる容器が提案されている(特許文献1参照。)。この文献に開示された容器は、吐出器の後方突出部分に下端を開口した空隙部を形成し、該空隙部内に主容器内の液体と混合して使用する薬剤を収容する副容器を抜き出し可能に嵌合、係止したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−33866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の容器では、副容器内の薬剤を主容器内に注ぐためには、吐出器を主容器から取り外し、主容器の口部を通じて行わなければならず、作業が煩雑であるとともに、副容器内の薬剤を主容器に注ぎこむ際にこぼしてしまうおそれが多分にあった。
【0005】
それゆえ、この発明は、吐出器を取り外すことなく、副容器内の内溶液を主容器内に注入することができ、しかもこぼすことなくその注入が可能な液体吐出容器を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の液体吐出容器は、内部に内容液の収容空間を区画、形成する主容器と、該主容器の口部に装着され、主容器内の内容液を吸引、加圧し外部に向けて吐出する吐出器と、前記主容器内の内容液と混合して使用する内容液の収容空間を区画、形成するとともに、該収容空間に通じる開口を形成する口部を突設する副容器と、を備える液体吐出容器において、前記主容器に設けられ、該主容器内の収容空間に通じる開口を形成する筒状部と、前記筒状部に保持されるとともに、該筒状部に対して副容器の口部を突き合わせて保持し、前記主容器の収容空間と前記副容器の収容空間とを連通する連通孔を有するアダプタと、前記副容器の口部に装着、保持されるとともに、前記副容器の、前記アダプタに対する一方側への回動により前進して前記連通孔を閉塞するシール部と、前記副容器の、前記アダプタに対する他方側への回動により後退して副容器内の内容物を前記主容器の収容空間へ注出する注出孔とを有する栓体と、を備えることを特徴とするものである。なお、ここでいう「一方側」とは副容器をアダプタに対して回動させる方向である時計回りおよび反時計回りのうちの一方を指し、「他方側」とは上記一方側とは反対側を指すものである。
【0007】
かかる液体吐出容器を用いて、例えば、副容器内に収容された薬剤または洗剤とすることができる濃縮液を水等で希釈して使用する場合には、副容器がアダプタに対して完全にねじ込まれて栓体のシール部がアダプタの連通孔を閉塞した状態を初期状態として、先ず、副容器を他方側に回動させ、副容器をアダプタから後退させる。これにより、副容器内の内容液が注出孔および連通孔を通って主容器内に流入する。そして、所定量の注入が終了した後は、副容器をアダプタに対して今度は一方側に回動して栓体のシール部によって連通孔を閉鎖する。その後、主容器の口部から吐出器を取り外し、該口部の開口から希釈倍率に応じた希釈液(例えば水)を充填する。
【0008】
したがって、この発明の液体吐出容器によれば、吐出器を取り外すことなく、副容器内の内溶液を主容器内に注入することができ、しかも副容器と主容器とがアダプタを介して連結された状態にて副容器内の内容液の注入を行うことができるため、こぼすことなくその注入が可能である。さらに、副容器をアダプタに対して回動させることで、連通孔を閉塞することができるので、副容器内に複数回分の内容液を予め収容させておけば、副容器内の内容液を複数回にわたって混合、希釈して使用することが可能となる。あるいは、予め副容器内に多めの内容液を収容しておき、使用者の好みの量に応じて適宜に副容器内の内容液を主容器内に注入することもできる。
【0009】
なお、この発明の液体吐出容器にあっては、前記主容器を形作る壁によって、該主容器の収容空間内に前記副容器から注出された内容液を貯留可能な計量部を形成することが好ましく、これによれば、副容器の内容液の適量注入が可能であるとともに、計量部の形成にあたって部品点数が増大することもない。
【0010】
また、この発明の液体吐出容器にあっては、一端が前記アダプタの連通孔につながり、他端が前記計量部まで延びるパイプを設けることが好ましく、これによれば、副容器内の内容液の注入の際に液が計量部の外に飛び散るのを防止することができ、また、副容器内の内容液を出し過ぎた場合には、パイプを介して液を副容器内に戻すことができる。
【0011】
さらに、この発明の液体吐出容器にあっては、前記主容器を、透明または半透明の樹脂にて形成することが好ましく、これによれば、計量部内に流入した内容液の量を容器外から確実に視認することができる。
【0012】
しかも、この発明の液体吐出容器にあっては、前記副容器の口部の外周面にねじを形成するとともに、前記アダプタに該ねじに係合して、前記副容器の、前記アダプタに対する一方側への回動により該副容器を前進させる一方、前記副容器の、前記アダプタに対する他方側への回動により該副容器を後退させるねじを形成することが好ましく、これによれば、副容器をアダプタに対して安定して回動および進退させることができ、栓体による連通孔の密閉および開放をより確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、吐出器を取り外すことなく、副容器内の内溶液を主容器内に注入することができ、しかも副容器と主容器とがアダプタを介して連結された状態にて副容器内の内容液の注入を行うことができるため、こぼすことなくその注入が可能である。さらに、副容器をアダプタに対して回動させることで、連通孔を閉塞することができるので、副容器内に複数回分の内容液を予め収容させておけば、副容器内の内容液を複数回にわたって混合、希釈して使用することが可能となる。あるいは、予め副容器内に多めの内容液を収容しておき、使用者の好みの量に応じて適宜に副容器内の内容液を主容器内に注入することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明にしたがう一実施形態の液体吐出容器を、一部を断面で示した側面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示した断面図であり、(a)は栓体にて連通孔を閉鎖した状態を、(b)は連通孔を開放した状態をそれぞれ示している。
【図3】この発明にしたがう他の実施形態の液体吐出容器を、一部を断面で示した側面図である。
【図4】図3の液体吐出容器を用いて、副容器内の内容液を主容器内に注入する様子を示す側面図である。
【図5】この発明にしたがうさらに他の実施形態の液体吐出容器を、一部を断面で示した側面図である。
【図6】図5の液体吐出容器を用いて、副容器内の内容液を主容器内に注入する様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、この液体吐出容器1は、合成樹脂製の主容器3と、主容器3の口部に装着された吐出器5と、主容器3内の内容液と混合して使用する内容液を収納する合成樹脂製の副容器7とを備えるものである。
【0017】
主容器3は、透明または半透明の樹脂にて形成され、吐出器5が装着される口部と、該口部につながり容器を操作する際に使用者に保持されるグリップ部9aを一部に形成する胴部9と、該胴部9の下端を閉塞して胴部9との間に内容液の収納空間S1を区画、形成する底部11とを有している。さらに、主容器3は、胴部9のグリップ部9aの前方かつ下方に、下方に向けて胴部9を末広がりとする傾斜面9bが形成されている。この傾斜面9bからは、主容器3内の収容空間S1に通じる開口を形成する筒状部13が一体に突設されており、該筒状部13の外周面にはねじ13aが形成されている。
【0018】
副容器7は、スクイズ可能に構成された胴部17と胴部17の下端を閉塞して内側に内容液の収納空間S2を区画、形成する底部19と、胴部17に肩部21を介して連結され、内側に収納空間S2に通じる開口を形成する筒状の口部23とを有し、口部23の外周面にはねじ23aが形成されている。
【0019】
吐出器5は、ここでは、操作レバー5aの繰り返しの牽曳により、主容器3内の液体を吸引、加圧および圧送するポンプ5bと、このポンプ5bによって圧送された液体を外界へ向けて噴射する噴射ノズル5cとを備えたトリガー式のものを例示し、該吐出器5は、キャップ5dを介して主容器3の口部に着脱自在に固定されている。
【0020】
また、この液体吐出容器1は、筒状部13に保持されるとともに、該筒状部13に対して副容器7の口部23を突き合わせて保持する連結部材としてのアダプタ27が設けられている。アダプタ27は、筒状部13のねじ13aに係合するねじ29aを内周面に有する第1筒部29と、この第1筒部29aにつながり、副容器7の口部23の外周面に形成されたねじ23aと係合するねじ31aを内周面に有する第2筒部31と、これらの第1筒部29および第2筒部31間を隔てる隔壁33とを有し、隔壁33には、主容器3の収容空間S1と副容器7の収容空間S2とを連通する連通孔35が形成されている。さらに、隔壁33の、第1筒部29側の面からは後述するパイプ37を保持する保持筒39が突設されている。
【0021】
さらに、この液体吐出容器1は、図2(a)に拡大して示すように、副容器7の口部23突端に嵌合、保持された栓体41を備えている。栓体41は、口部23の開口を覆う上壁43と、該上壁43の周縁から垂下して副容器7の口部23外壁に嵌合(アンダーカット係合)する外壁45と、該外壁45の内側で上壁43から垂下して副容器7の口部23内壁に嵌入されるシール筒47とを有する。さらに、上壁43には、アダプタ27の連通孔35に対応する位置に該アダプタ27に向けて突出し、副容器7の、アダプタ27に対する一方側(ここでは右方向)への回動により前進して該連通孔35内に嵌り込んで閉塞するシール部としての凸部45aと、副容器7の、アダプタ27に対する他方側(ここでは左方向)への回動により後退して副容器7内の内容物を主容器3の収容空間S1へ注出する注出孔45bとが設けられている。なお、シール部は、連通孔35を閉塞できれば凸部45aに限らず、上壁43によって連通孔35を塞ぐようにしてもよいが、よりシール性を高める観点からは、凸部45aで構成することが好ましい。なお、図2中、符号31bは、第2筒部31の内周面に形成され、ねじ23aを緩めて副容器7を後退させた状態(図2(b)に示す状態)にて栓体31の外壁41の下端が当接する環状の段差部(アンダーカット)であり、これにより、中栓41は第2筒部31内に抜け止め保持されるとともに、中栓41および第2筒部31間にシールが形成される。
【0022】
また、この実施形態では、主容器3の胴部9、より詳細には、筒状部13の真下には、主容器3を形作る壁によって、副容器7から注出された内容液を貯留可能な計量部53が形成されている。ここでは、計量部53は、主容器3の収納空間S1の一部を、底部11から立ち上がるとともに胴部9を横切る垂壁55によって隔離することで形成している。垂壁55は、図示のようにその横切り方向の途中に閉塞部分(補強部分)を有するものであるが、図示は省略するが横切り方向に完全に貫通するものでもよく、あるいは横切り方向の一端から他端まで中実に延びる壁としてもよい。計量部53の外側には、計量部53に貯留される内容液の量を表示する目盛り(ここでは図示省略)が付されており、この目盛りは主容器3の成形時に胴部9と一体に形成するものでも、成形後に主容器3の胴部9に貼り付けるシール状のものでもよく、あるいは、包装ラベルに印刷したものとしてもよい。
【0023】
さらに、この実施形態では、一端がアダプタ27の連通孔35につながり、他端が計量部53まで延びる中空のパイプ37が設けられている。
【0024】
かかる構成になる液体吐出容器1を用いて、例えば、副容器7内に収容された薬剤または洗剤とすることができる濃縮液を水で希釈して使用する場合には、副容器7がアダプタ27に対して完全にねじ込まれて栓体41の凸部45aがアダプタ27の連通孔35に嵌入された状態(連通孔35が栓体41によって閉塞された状態)を初期状態として、先ず、図2(b)に示すように、副容器7を左方向(反時計回り)に回動させ、副容器7をアダプタ27から後退させる。次いで、副容器7の胴部17をスクイズすることで、あるいは内容液の自重により副容器7内の内容液が注出孔45b、連通孔35およびパイプ37を通って主容器3内の計量部53に流入する。所定量の内容液を計量部53に流入させることができた場合には、副容器7をアダプタ27に対して右方向(時計回り)に回動させ、副容器7をアダプタ27に対して前進させ、栓体41の凸部45aをアダプタ27の連通孔35に嵌入する。一方、所定以上の量の内溶液が計量部53に流入してしまった場合には、副容器7の胴部17の復元性を利用して出し過ぎた内容液を副容器7内に吸い戻すようにしてもよい。そして、内容液の計量が済んだ後には、主容器3の口部から吐出器5を取り外し、該口部の開口から所定の希釈倍率に応じた希釈液(例えば水)を充填する。
【0025】
したがって、この液体吐出容器1によれば、吐出器5を取り外すことなく、副容器7内の内溶液を主容器3内に注入することができ、しかも副容器7と主容器3とがアダプタ27を介して連結された状態にて副容器7内の内容液の注入を行うことができるため、こぼすことなくその注入が可能である。さらに、副容器7をアダプタ27に対してねじ込むことで、連通孔35を閉塞することができるので、副容器7内に複数回分の内容液を予め収容させておけば、副容器7内の内容液を複数回にわたって混合、希釈して使用することが可能となる。あるいは、予め副容器内に多めの内容液を収容しておき、使用者の好みの量(好みの希釈倍率)に応じて適宜に副容器内の内容液を主容器内に注入することもできる。
【0026】
また、この実施形態の液体吐出容器1によれば、主容器3を形作る壁によって、該主容器3の収容空間S1内に計量部53を形成したので、副容器7の内容液の適量注入が可能であるとともに、計量部53の形成にあたって部品点数が増大することもない。
【0027】
さらに、この実施形態の液体吐出容器1によれば、一端がアダプタ27の連通孔35につながり、他端が計量部53まで延びるパイプ37を設けたことから、副容器7内の内容液の注入の際に液が垂壁55を超えて飛び散るのを防止することができる。さらに、副容器7をスクイズ可能な容器として構成したので、副容器7内の内容液を出し過ぎた場合には、胴部17の復元性を利用して液を副容器7内に戻すことができる。
【0028】
さらに、この実施形態によれば、主容器3を、透明または半透明の樹脂にて形成したことから、計量部53内に流入した内容液の量を容器外から確実に視認することができる。なお、主容器3は、目盛りを形成した部分のみ透明または半透明にしてもよく、この場合、例えば、透明または半透明な部分を主容器3の軸方向に沿って形成することができる。また、副容器7を透明または半透明に形成するかあるいは透明または半透明な部分を設けるとともに、目盛り等を設けてもよく、これによれば、副容器7側にて注出した内容液の量を把握することができる。
【0029】
しかも、この実施形態では、副容器7の口部23の外周面にねじ23aを形成するとともに、アダプタ27に該ねじ23aに係合して、副容器7の、アダプタ27に対する一方側への回動により該副容器7を前進させる一方、副容器7の、アダプタ27に対する他方側への回動により該副容器7を後退させるねじ31aを形成したことから、副容器7をアダプタ27に対して安定して回動および進退させることができ、栓体41による連通孔35の密閉および開放をより確実に行うことができる。
【0030】
次いで、この発明にしたがう他の実施形態について図3〜6に基づき説明する。なお、図3、4中、図1、2の実施形態の液体吐出容器1を構成する部材と同様の部材には、符号に「’」を付し、図5、6中、図1、2の実施形態の液体吐出容器1を構成する部材と同様と同様の部材には、符号に「”」を付し、その詳細な説明は省略する。
【0031】
図3、4に示す実施形態では、筒状部13’は、主容器3’の底部11’に設けられ、副容器7’は主容器3’の下方にアダプタ27’を介して連結されている。また、この実施形態では、副容器7’を主容器3’の下方に配置したことと関連して、計量部53’は、容器を逆さにした状態にて筒状部13’の真下に配置され、主容器3’の胴部9’を横断する断面U字形状の壁55’によってその開口が筒状部13’に向くカップ状に区画、形成されている。この断面U字形状の壁55’は、図示のようにその横切り方向の途中に閉塞部分(補強部分)を有するものであるが、図示は省略するが横切り方向に完全に貫通するものでもよく、あるいは横切り方向の一端から他端まで中実に延びる壁としてもよい。
【0032】
この実施形態の液体吐出容器1’によれば、副容器7’を主容器3’の下方に配置したことから、図1、2の実施形態のものに比べて副容器7’の容量を増大させることができる。また、副容器7’の高さを増やせば容易に容量を増大させることができるので、見た目にもすっきりしており使い勝手にも優れたものとなる。
【0033】
図5、6に示すさらに他の実施形態では、副容器7”を主容器3”の下方に連結した点では、図3、4の実施形態と共通するものの、先ず、筒状部13”は、主容器3”の底部11”の中央に対して偏心して配置され、これに対応して、副容器7”の口部23”も偏心して配置されている。この容器1”では、副容器7”をアダプタ27”に対して完全にねじ込んだ状態にて、副容器7”の胴部9”と主容器3”の胴部17”とが高さ方向でみて概ね一致(面一)するように構成されており、したがって、副容器7”の胴部17”が主容器3”の胴部9”と一致しているか否かで連通孔35”が開閉状態を容易に把握することができる。例えば、図6では、副容器7”の胴部17”が主容器3”の胴部9”から側方に外れているので、連通孔35”が開放状態にあることを知ることができる。
【0034】
また、この実施形態では、副容器7”の肩部21”および底部19”はスクイズ可能に構成されており、これにより、副容器7”を回動させて連通孔35”を開放した状態(図6の状態)にて、副容器7”の肩部21”および底部19”をスクイズして内溶液を容易に吐出させることができる。なお、図中、符号59は、副容器7の内溶液の、一回分の注出量(例えば20ml)を表示した計量部53”の目盛りである。また、計量部53”を形成する壁55”は、図3、4に示した壁55’と同様の構成である。
【0035】
以上、図示例に基づきこの発明を説明したが、この発明は、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜に変更可能であり、例えば、上記実施形態では、アダプタと筒状部との連結をねじを介して行っているが、アンダーカットのような係合手段を用いて相互に連結してもよい。また、上記実施形態では、副容器とアダプタとをねじを介して連結して、副容器の左右への回動を副容器の進退移動に変換するようにしているが、これに限らず、副容器の口部外周面に突起を設けるとともに、アダプタの第2筒部の内周面にこの突起を導く螺旋状の溝を設けてもよい。また、上記実施形態では、吐出器をポンプ式ものとして説明したが、吐出器はこれに限定されず、スプレー式のものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
かくして、この発明により、吐出器を取り外すことなく、副容器内の内溶液を主容器内に注入することができ、しかもこぼすことなくその注入が可能な液体吐出容器を提案することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1、1’、1” 液体吐出容器
3、3’、3” 主容器
5 吐出器
7、7’、7” 副容器
27、27’、27” アダプタ
35、35’、35” 連通孔
41、41’、41” 栓体
45a、45a’、45a” 凸部(シール部)
45b、45b’、45b” 注出孔
53、53’、53” 計量部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に内容液の収容空間を区画、形成する主容器と、該主容器の口部に装着され、主容器内の内容液を吸引、加圧し外部に向けて吐出する吐出器と、前記主容器内の内容液と混合して使用する内容液の収容空間を区画、形成するとともに、該収容空間に通じる開口を形成する口部を突設する副容器と、を備える液体吐出容器において、
前記主容器に設けられ、該主容器内の収容空間に通じる開口を形成する筒状部と、
前記筒状部に保持されるとともに、該筒状部に対して副容器の口部を突き合わせて保持し、前記主容器の収容空間と前記副容器の収容空間とを連通する連通孔を有するアダプタと、
前記副容器の口部に装着、保持されるとともに、前記副容器の、前記アダプタに対する一方側への回動により前進して前記連通孔を閉塞するシール部と、前記副容器の、前記アダプタに対する他方側への回動により後退して副容器内の内容物を前記主容器の収容空間へ注出する注出孔とを有する栓体と、を備えることを特徴とする液体吐出容器。
【請求項2】
前記主容器を形作る壁によって、該主容器の収容空間内に前記副容器から注出された内容液を貯留可能な計量部を形成してなる、請求項1に記載の液体吐出容器。
【請求項3】
一端が前記アダプタの連通孔につながり、他端が前記計量部まで延びるパイプを設けてなる、請求項2に記載の液体吐出容器。
【請求項4】
前記主容器を、透明または半透明の樹脂にて形成してなる、請求項1〜3の何れか一項に記載の液体吐出容器。
【請求項5】
前記副容器の口部の外周面にねじを形成するとともに、前記アダプタに該ねじに係合して、前記副容器の、前記アダプタに対する一方側への回動により該副容器を前進させる一方、前記副容器の、前記アダプタに対する他方側への回動により該副容器を後退させるねじを形成してなる、請求項1〜4の何れか一項に記載の液体吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−116526(P2012−116526A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267837(P2010−267837)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】