説明

液体吐出用ヘッド洗浄装置及び該洗浄装置を備えた液体吐出装置

【課題】洗浄液の流れを規定して再付着を防止して洗浄効果を向上した超音波を用いた液体吐出用ヘッド洗浄装置を提供する。
【解決手段】超音波振動子9を備えた洗浄槽8内に洗浄液を供給するとともに、余分な洗浄液を洗浄槽の槽壁上部の特定部13からオーバーフローさせて、洗浄液の流れを一方向に規定する。洗浄液に超音波振動を加えると共に、洗浄対象である液体吐出用ヘッド2の被洗浄面12aを洗浄液中に浸漬し、汚れ成分の再付着を抑制しつつ効果的な洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出用のヘッドを洗浄する装置及び該ヘッド洗浄装置を備えた液体吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微小液滴を吐出して所望とする領域に微小液滴を被着させる技術は、例えば、圧電材料を用いて微細なノズルから微小液滴を押し出して吐出するインクジェット技術が知られており、民生用プリンタに広く用いられているのみならず、近年は産業用途として注目されている。
【0003】
このインクジェット技術は、例えば液晶表示装置の製造工程ではフォトリソグラフィ工程を排除することによって製造コストの削減を見込める工程、例えば、カラーフィルタの赤、青、緑色の各色インクを微小領域毎に塗布する工程や、液晶層の厚みを一定に規定するスペーサを配置することを目的としてビーズを含有する液体を塗布する工程などへの適用が期待されている。また、次世代ディスプレイ技術として注目される有機EL(エレクトロルミネッセンス)デバイスの製造工程では、高分子タイプの発光層等を液体吐出技術により形成する工程が提案されている。
【0004】
このように産業用途の液体吐出装置、例えばインクジェット装置では使用分野に応じた多種多様な性質の液体を用いることが要請される。なお、以下の説明では、液体の代表としてインクという用語を使用するがいわゆるインクの使用に限定することを意図しているものではない。
【0005】
そして各種インクの中でも乾燥の速いインク種に顕著に発生する問題として、インクジェットヘッドで繰り返し吐出動作を行うと上記の吐出したインクの一部がノズルプレートに付着して乾燥し、固化する事態がある。ノズル付近にインクが固化した状態でノズルから微小液滴のインクを吐出すると、該固化したインクに影響されて微小液滴の吐出方向がずれ、インクの着弾精度が劣化する、或いは、最悪のケースとして、固化したインクがノズルの開口を塞いでしまいインク自体が発射されない等の問題が起こる。
【0006】
このため、インクジェットヘッドのノズルプレートは極力汚れのない清浄状態を保持することが要求されており、ノズルプレート表面に撥水処理を施したり、定期的に付着したインクをワイパーで擦り取るメンテナンス動作を付与したりされている。
【0007】
特許文献1には液滴吐出装置のヘッド部退避領域に超音波洗浄手段が設けられ、インクジェットヘッドのノズルプレートを超音波洗浄によってクリーニングする装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献2では、インクジェットヘッドのノズルが形成されているノズルプレートを、カップの開放端に当接させ、カップ底部に洗浄液の供給口と排出口を設けてカップ内部の空洞部に洗浄液を満たすと共に洗浄液の流れを形成し、同時に、洗浄液に超音波振動を加えて、超音波洗浄を行う技術が開示されている。そして、更に別の実施例として、ノズルプレート表面に沿って洗浄液の流れを形成するためにカップ内部に隔壁を設ける技術が示されている。
【0009】
このようにインクが固化するなどして汚れたノズルプレートに対して超音波洗浄を行えば効果的にノズルプレートをクリーニングすることが可能である。
【特許文献1】特開2003−266719号公報(公開日平成15年9月24日)
【特許文献2】特開2000−117996号公報(公開日平成12年4月25日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載の超音波洗浄手段は、洗浄液を収容できる容器と、該容器に収容された洗浄液に対して超音波を加えることが出来る超音波発生装置等により構成されており、実際の使用に当たっては、エタノール等の洗浄液が満たされた容器内に洗浄対象物であるインクジェットヘッドを浸漬すると共に、洗浄液に例えば28kHz程度の超音波を加えるものである。
【0011】
これは、いわゆる浸漬タイプの超音波洗浄装置であって、洗浄槽内に洗浄液の流れを作るものではない。このような浸漬タイプの洗浄装置において、例えば洗浄液を溜め込んだ状態で超音波洗浄を行うと、一旦除去された汚れ成分が再度ノズルプレートに付着(再付着)してしまう場合があり、所望とする洗浄効果が得られないという問題がある。従って単に超音波洗浄を行うのみならず、効果的に汚れ成分を除去するためには超音波洗浄時に再付着を防止するような何らかの工夫、例えば洗浄液の流れを形成すること等が必要となる。
【0012】
特許文献2には、ノズルプレートのノズル付近にノズルプレート表面に沿う洗浄液の流れを形成するために、洗浄槽であるカップの下方の一端に洗浄液の供給口を、他端に排出口を形成し、洗浄液を流しながら超音波洗浄を行う技術が示されている。しかしながら、このような構造では、洗浄液の流れは主として洗浄槽内下部の底面付近に形成され、ノズルプレートが配置される洗浄槽内上部の流れは十分に形成できない。
【0013】
特許文献2の別の実施例として、洗浄槽内に、洗浄液の流れを規定するための隔壁を設ける構造が記載されている。この構造によれば、ノズルプレートの表面に沿うような洗浄液の流れを形成できる。しかしながら当該構造では、超音波振動子から被洗浄物であるノズルプレートまでの距離が長くなり、超音波が伝播途中で減衰して洗浄効率が落ちることが予想される。さらには構造上隔壁を含んだ構造物全体を超音波で加振させねばならず被洗浄物への超音波の入射エネルギーが小さくなるという問題があり、十分な超音波を洗浄液中に入射するには大電力を超音波振動子に投入せねばならないという課題を有する。
【0014】
また特許文献2に関する別な課題として、十分な超音波を洗浄液に入射するために超音波振動子を十分な強度で振動させると、洗浄槽の壁からシール部材を通してインクジェットヘッド自体にかなりの強度の超音波が伝播してしまうという問題が挙げられる。この場合、インクジェットヘッドの固定用部材が徐々に緩む等の問題が発生する危険性がある。
すなわち、洗浄槽であるカップの開放端部をインクジェットヘッドと当接させるような構成では、超音波振動子とインクジェットヘッドとが固体物で短距離の経路で繋がる構成であり、インクジェットヘッドに超音波振動が伝播されてしまうという問題を有している。
【0015】
また、特許文献2に記載の洗浄槽構造では、ノズルプレートの一部が洗浄槽上端に設けられたシール部材と当接するため、ノズルプレートの全域を洗浄することは出来ず、シール部材にインクなどの汚れ成分が蓄積するという課題を有する。
【0016】
或いはまた、特許文献2に記載の洗浄槽構造では、洗浄槽内が空の状態から洗浄液を注ぐ場合には供給口からの洗浄液流入量が排出口からの洗浄液流出量よりも多くなければならない。また密閉状態で洗浄槽内の圧力を維持したままノズルプレートに洗浄液を浸し続けるには、洗浄液の流入量と流出量とを一致させねばならない。
すなわち洗浄槽内に洗浄液が満たされた状態と空の状態を形成するには、洗浄液の流入量と排出量との関係を正確に制御する機能が要求される。なお、前記特許文献2には、洗浄液を循環させる構造も示されている。しかしながら、このように洗浄液を循環する構成は、洗浄液の流入量と排出量を完全に一致させることはできるが、汚れ成分が再溶解するなどしてフィルタなどで除去しきれない場合もあり、循環させないことが要求される場合も多い。
【0017】
従って、洗浄液を循環させる方式を用いることなく、簡便な制御機能で洗浄液を送液することが望ましい。
【0018】
さらには、洗浄液は有機溶媒である場合が多く、洗浄槽内に洗浄液を満たした状態で放置することは、火災或いは揮発蒸気の拡散といった問題がある。このため製造現場の状況を考慮すれば洗浄後は速やかに洗浄液を排出する機能を有することが望ましい。
【0019】
本発明はかかる課題に鑑みて成されたものであり、超音波振動子を有する洗浄槽と液体吐出用ヘッド、例えばインクジェットヘッドとは直接的に固体材料で接続しない構成でありながら、液体吐出用ヘッドのノズルプレート全域を効果的に洗浄するための洗浄液流れを形成でき、かつ洗浄後は洗浄槽内の洗浄液を速やかに排除することのできる液体吐出用ヘッド洗浄装置を提供する。また、以上に述べたような液体吐出用ヘッド洗浄装置を備えた液体吐出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の課題を解決するため、本願に係る発明では、洗浄液を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄槽から洗浄液を排出させる洗浄液排出部と、前記洗浄槽に取り付けられた超音波振動子とを備えた液体吐出用ヘッド洗浄装置であって、前記洗浄槽は前記液体吐出用ヘッドを浸漬可能であり、前記洗浄液排出部は前記洗浄槽の槽壁上部の特定部分から洗浄液をオーバーフローさせることを特徴としている。
【0021】
このように洗浄液を洗浄槽の槽壁上部の特定部分からオーバーフローさせることにより、洗浄槽内の前記特定部分付近の領域の水面付近に「略水平方向の、一方向に向かった流れ」を形成することができる。
【0022】
この水面付近に形成された洗浄液の「略水平方向の一方向の流れ」の中に液体吐出用ヘッドを浸漬することにより、汚れ成分の再付着のない、効果的な洗浄が可能となる。即ち、鉛直下方に向いたインクジェットヘッド等の液体吐出用ヘッドの被洗浄面を前記洗浄槽の水面近くに浸漬すると、ヘッドの被洗浄面は、該被洗浄面に対して略平行な洗浄液の流れの中に置かれることとなる。そのため、洗浄液は、ヘッドの被洗浄面の汚れ成分を除去しつつ一方向に流れ去ることとなり、汚れ成分の再付着を抑止する効果が高くなる。
【0023】
またさらに、上記構成においては、洗浄液の供給能力以上の排出能力を設けていれば余分な洗浄液だけが排出できるので、洗浄液の流入量と排出量に関して複雑な制御を必要とすることなく、必ず洗浄液は一定の液面高さに設定することができる。従って、洗浄液の液面近辺にインクジェットヘッド等の液体吐出用ヘッドの被洗浄面を浸漬することで容易に所望とする洗浄処理を行うことが可能となる。
【0024】
上述の課題を解決するため、本願に係る別の発明では、更に、液体吐出用ヘッド洗浄装置において、前記洗浄槽の槽壁上端部の一部が他の部分よりも低い構造とされていることを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、洗浄槽内への洗浄液の供給を続けた場合に、洗浄液は、上記槽壁上端部において他の部分よりも低い部分から選択的にオーバーフローする。すなわち請求項1に記載のオーバーフローさせる壁部に特定の部分を形成でき、簡単な構成で洗浄槽内の洗浄液の流れを規定することが可能となる。
上述の課題を解決するため、本願に係る別の発明では、液体吐出用ヘッド洗浄装置において、洗浄槽の槽壁上端部の一部が他の部分よりも洗浄液に対する親液性が高い特性を有するようにしたことを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、洗浄層の槽壁の上端部の一部が他の部分よりも親液性が高いため、洗浄槽内への洗浄液の供給を続けた場合に、上記親液性の高い部分から選択的に洗浄液がオーバーフローする。より具体的には上記オーバーフローさせたい部分以外の上端部に撥水処理を施せばよい。また請求項2に係わる発明のように、オーバーフローさせたい部分を低くした上でさらに他の洗浄層上端部に撥水処理を施せばより効果的である。
【0027】
上述の課題を解決すため、本願に係る別の発明では、液体吐出用ヘッド洗浄装置において、前記洗浄槽内に洗浄液を供給するための供給口が前記洗浄液をオーバーフローさせる槽壁上部の特定部分の対向部に配置されることを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、洗浄槽内における洗浄液の流れが水平方向により強く規定でき、一方向に支配的に洗浄液の流れを形成できる。また、該洗浄液の流れはインクジェットヘッドの被洗浄面に沿うように形成できるので効果的な洗浄を行うことが可能となる。
【0029】
上述の課題を解決するため、本願に係る別の発明では、液体吐出用ヘッド洗浄装置において、前記洗浄槽内に洗浄液を供給するための供給口が洗浄槽の底面付近に配置されていることを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、供給口から流入する洗浄液が高さ方向にも流れを形成するため、洗浄槽の底面部分に洗浄液が滞留することを防ぐ効果がある。
【0031】
上述の課題を解決するため、本願に係る別の発明では、液体吐出用ヘッド洗浄装置において、前記洗浄槽の洗浄槽壁面の高さに対する洗浄槽底面の幅寸法が2倍以上であるように構成したことを特徴としている。
【0032】
この発明によれば、洗浄槽の高さを底面の幅寸法に対して低く設計しているので、洗浄液の流れは水平方向が主成分となり、洗浄効果を高く保持しながら底面部分での洗浄液の滞留も抑制することが可能となる。
上述の課題を解決するため、本願に係る別の発明では、液体吐出用ヘッド洗浄装置において、前記洗浄槽内に洗浄液を供給するための洗浄液供給ラインが開閉自在の弁を介して廃液ラインと接続されているようにしたことを特徴としている。
【0033】
この発明によれば、洗浄処理が終了した後には上記開閉自在の弁を開けることにより洗浄液供給ラインから廃液ラインへと、洗浄槽内にある洗浄液を洗浄槽の底面付近に設けられた供給口より排出することができる。この機能により、洗浄処理後は洗浄液を速やかに排出することが可能となる。
【0034】
上述の課題を解決するため、本願に係る別の発明では、液体吐出用ヘッド洗浄装置において、超音波振動子が洗浄槽底面の裏面に取り付けられ、前記底面の表面から液体吐出用ヘッドの被洗浄面までの距離が投入する超音波の「洗浄液中の波長の略1/2」に設定されてクリーニング動作を行うことを特徴としている。
【0035】
この発明によれば、洗浄槽の底面及びインクジェット等の液体吐出用ヘッドの被洗浄面での超音波の反射率が高い場合には、洗浄液内での超音波の振動を強めあうことにより効率的な洗浄が可能となる。即ち、洗浄槽及び液体吐出用ヘッドの音響インピーダンスを、洗浄液の音響インピーダンスに比べて十分大きくし、洗浄槽底面から液体吐出用ヘッドの被洗浄面までの距離が投入する超音波の「洗浄液中の波長の略1/2の整数倍」となるようにすれば、洗浄液中での超音波振動を強く保持することが可能となる。
【0036】
また、洗浄液の流れを「水平方向成分が主」とするためには、一定の幅寸法の洗浄槽に対して、高さは低いことが望ましい。被洗浄面の位置を上記の「洗浄液中の波長の略1/2の整数倍」に設置することは、結果として、洗浄槽自体の高さを低く設計することができることになる。よって本発明によれば、洗浄液の流れを水平方向に規定できかつ洗浄槽内洗浄液の超音波振動を効率的に強めることが可能となる。
【0037】
上述の課題を解決するため、本願に係る別の発明では、液体吐出装置において、本願の発明に係る液体吐出用ヘッド洗浄装置を備えることを特徴としている。
【0038】
この発明によれば、液体吐出装置において、きわめて容易且つ効率的に、しかも必要なときに随時、液体吐出用ヘッドの洗浄を行うことができ、従って、液体吐出装置自体の使用効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明においては、液体吐出用ヘッド洗浄装置において、洗浄液を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄槽から洗浄液を排出させる洗浄液排出部と、前記洗浄槽に取り付けられた超音波振動子とを備えた液体吐出用ヘッド洗浄装置であって、前記洗浄槽は前記液体吐出用ヘッドを浸漬可能であり、前記洗浄液排出部は前記洗浄槽の槽壁上部の特定部分から洗浄液をオーバーフローさせることを特徴としている。
【0040】
これにより、洗浄槽内に超音波振動が加えられた洗浄液の水平方向の流れを形成することができることとなる。この流れの中にインクジェットヘッド等の液体吐出用ヘッドの被洗浄面を鉛直方向下方に向けて水平に保持することにより、該被洗浄面を効率よく洗浄できることとなる。即ち、洗浄液が水平方向に流れているため、汚れ成分の被洗浄面への再付着が抑制されることとなり、洗浄効果を上げることができる。さらに、所定の洗浄液量とすることが簡便な制御で可能であり、かつ洗浄槽内の洗浄液を速やかに排出することができるので安全に稼動させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。しかしながらかかる実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
〔実施の形態1〕
まず、本発明に係る実施の形態1のインクジェットヘッド洗浄装置を搭載するインクジェット装置について説明する。ここでは特に、実施例としてインクジェットヘッド洗浄装置を上げて説明しているが、本願の発明を、特に、インクジェットヘッド洗浄装置に限定することを意味しているものではない。
【0042】
図1は、本発明にしたがったインクジェット装置の全体構成を示す斜視図である。図1において、7は、本発明に係るインクジェット装置の全体を示しており、非処理物6を載置するステージ1、被処理物6にインクを吐出するインクジェットヘッド2、インクジェットヘッド2にインクを供給するインク供給ユニット4、インクジェットヘッド2とインク供給ユニット4とをx軸方向に移動させる駆動部3a、インクジェットヘッド2とインク供給ユニット4とをy軸方向に移動させる駆動部3b、およびインクジェットヘッド2を定期的にクリーニングするメンテナンスユニット5を備えている。
【0043】
インクジェットヘッド2、インク供給ユニット4、駆動部3aおよび駆動部3bは、図示されていないコンピュータ等のコントロールユニットに接続されている。このコントロールユニットは、インクジェットヘッド2によるインク吐出の制御、インク供給ユニット4のインクジェットヘッド2へのインクの供給、ならびに駆動部3aおよび3bの駆動を制御している。コントロールユニットからの制御信号に基づいて駆動部3aおよび3bが駆動され、インクジェットヘッド2は、被処理物6の所望の位置と対向する位置に移動される。
【0044】
さらに、コントロールユニットからの制御信号に基づいて、インクジェットヘッド2から被処理物9に所望の量のインクが吐出される。このようにして、インクジェット装置7は被処理物6に対して所望のパターンを形成する。
【0045】
メンテナンスユニット5はインクジェットヘッド2のノズル面の汚れをクリーニングすることを主目的として設けられており、ここに本発明の超音波振動子を具備するインクジェットヘッド洗浄装置が搭載される。
【0046】
図2(a)、(b)、および(c)は、本発明に係るインクジェットヘッド洗浄装置における洗浄槽構造を説明する図であり、(a)は側面の断面形状を、(b)は上面の形状を示しており、(c)は洗浄槽の斜視図である。
【0047】
図2において、8は洗浄槽全体を示しており、該洗浄槽8の底面裏には超音波振動子9が取り付けられている。この実施例では、洗浄槽8は、被洗浄物であるインクジェットヘッドが浸漬される内槽8bと、内槽8bから排出される洗浄液をいったん貯蔵するための外槽8aから構成されている。前記内槽8bの側壁の底面付近には、洗浄液を供給するための供給口10が設けられており、継手11により配管12が接続されている。この実施例では、供給口10の開口方向を被洗浄物であるインクジェットヘッドのノズルプレートに対して平行方向(水平方向)としている。開口方向を水平方向とする方が洗浄液の水平方向成分を形成する上で有利ではあるが、必須の要件ではない。
【0048】
そして、供給口10の対向する内槽8bの壁面上部には洗浄液をオーバーフローさせるための切り欠き13が設けられ、さらに、切り欠き13の外側に前記外槽8aが洗浄槽8の一部として一体に形成されている。そして該外槽8aの壁面には洗浄液を排出するための排出口14が設けられ、継手11及び配管12により洗浄液は外部へ排出される。
【0049】
ここで洗浄槽8の材質は、超音波振動子9の長期動作に耐性のあるステンレスなどの金属であることが望ましい。また、超音波振動子9を取り付ける底面の厚みは薄い程超音波の伝達がよく、強度とのバランスから1〜5mm程度とすればよい。
【0050】
洗浄槽8(内槽8b)の壁の高さは使用する洗浄液及び超音波の周波数によって適宜設定することが望ましく、投入する超音波の洗浄液液中波長の1/2よりも数mm程度高くしておけば良い。例えば、超音波の周波数120kHzとし、洗浄液をエタノールとした場合には、液中波長は9.5mmであり、壁面高さは5〜6mm程度とすればよい。
【0051】
このような壁面高さで洗浄液を内槽8bからオーバーフローさせる。このように洗浄液を洗浄槽の槽壁上部の特定部分からオーバーフローさせることにより、洗浄槽内の前記特定部分付近の領域の水面付近に略水平方向の、一方向に向かった流れを形成することができる。
【0052】
そして、この状態で前記内槽8bに保持されている洗浄液中に数mm程度インクジェットヘッド2を浸漬すれば、洗浄槽8の内槽8bの底面からインクジェットヘッド2の被洗浄面までの距離が、投入する超音波の洗浄液中の波長の略1/2となるように配置することができ、この状態で超音波洗浄を行うことが可能となる。
【0053】
投入された超音波は洗浄槽8の底面から伝播し、洗浄液中に浸漬されたインクジェットヘッド2に到達する。このような構成では洗浄槽8とインクジェットヘッド2の被洗浄面とが超音波伝播上の境界面となる。有機溶媒等の液体の音響インピーダンスに対し、洗浄槽8や、インクジェットヘッド2の音響インピーダンスは十分高く、反射率が高い。この状況で洗浄槽8とインクジェットヘッド2との距離を液中波長の略1/2とすれば共振状態となって、洗浄液中での超音波強度を強く保持することが出来る。
【0054】
なお、インクジェットヘッド2は様々な材料を用いて製作されるが、被洗浄面であるノズルプレートは金属或いは薄い有機フィルムが多く用いられる。金属の音響インピーダンスはステンレスが46N・s/m、アルミニウムが17N・s/mであり、1N・s/m程度の有機系洗浄液よりも十分大きいため、境界で強く反射すると解される。また、有機フィルムは音響インピーダンスが有機系洗浄液に比較的近いため透過率が高いものの、フィルムを接着する母材が例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等で製作されるため、該PZTで強く反射する。従って、インクジェットヘッド2に入射した超音波も強く反射するものと解される。この結果、上記のように適切にインクジェットヘッド2の配置位置を制御することにより、洗浄液中の超音波強度を強く保持でき、洗浄効果を上げることができる。
【0055】
なお、取り付ける超音波振動子9の種類は特に指定されない。超音波洗浄槽に汎用的に使用されるボルト締めランジュバン型振動子などを用いれば良い。
【0056】
以下、図2に示した洗浄槽8に洗浄液を供給して、インクジェットヘッド2を洗浄することを、図3を用いて説明する。
【0057】
まず、継手11により供給口10に接続された配管12から洗浄液を導入し、内槽8b内に洗浄液を満たす。さらに洗浄液を導入し続けることにより、洗浄液は切り欠き13から外槽8aへとオーバーフローし、さらに排出口14から排出される。このように洗浄液を洗浄槽の槽壁上部の特定部分である切り欠き13からオーバーフローさせることにより、洗浄槽内の前記特定部分である切り欠き13付近の領域の水面付近に略水平方向の、一方向に向かった流れを形成することができる。
【0058】
この状態で、洗浄槽8上方にインクジェットヘッド2を、そのノズルプレート2aが下方を向く状態で移動させた後に下降させて洗浄槽8の内槽8b内の洗浄液へインクジェットヘッド2を浸漬する。そして超音波振動子9を動作することにより超音波が洗浄槽8中の洗浄液へ投入され、インクジェットヘッド2に対して超音波洗浄を行うことが出来る。これにより、特に洗浄を所望とするインクジェットヘッド2のノズルプレート2aをクリーニングすることが出来る。
【0059】
ここで、供給口10に対向する内槽8bの壁面上部に切り欠き13が設けられているので、供給口10から切り欠き13に向けて直線的に洗浄液の流れが形成されることになり、水平方向に洗浄液が滞留する成分を減ずる効果がある。
【0060】
即ち、鉛直下方に向いたインクジェットヘッド等の液体吐出用ヘッドの被洗浄面は、該被洗浄面に対して略平行な洗浄液の流れの中に置かれることとなり、洗浄液は、ヘッドの被洗浄面の汚れ成分を除去しつつ一方向に流れ去ることとなる。そのため、超音波洗浄によって取り除かれた汚れ成分の再付着を抑止しつつ、効果的な洗浄を行うことができる。
また、供給口10は内槽8bの底面付近に形成されており、一方、切り欠き13は洗浄槽8の壁面の上端部に設けられるので、底面付近に洗浄液が滞留することを減ずる効果もある。なお、洗浄液の流れはインクジェットヘッド2の被洗浄面であるノズルプレート2aと平行な方向、すなわち水平方向を主たる方向としておくことが汚れ成分の再付着防止の観点では望ましい。このため、洗浄槽8の高さを例えば10mm以下程度と低く設定しておくことが望ましい。
【0061】
インクジェットヘッド2を浸漬するためには、洗浄槽8の水平方向のサイズは概ね20mm程度以上が必要であり、上記のように洗浄槽8の高さを10mm以下に規定すると、洗浄槽8の(底面)/(壁高さ)の値が2以上となり、洗浄液の流れの主成分を水平方向に規定できる。
【0062】
ここで投入する超音波の周波数を100kHz以上とすれば、上記の通り共振状態を実現しながら内槽8bの壁面高さを5,6mm程度と低くすることができ、洗浄液の流れを水平方向に規定する上で望ましい。
【0063】
なお、洗浄液として引火性の液体を使用する場合には火災等の危険性を排除するため、図4に示すように洗浄槽8下部に取り付けられた超音波振動子9を覆うようにカバー15を設けて、超音波発振器16へと電気的に接続し、電気的な接続部を引火性の液体から隔離する構成とすることが望ましい。
【0064】
図5は洗浄槽8への洗浄液の供給ライン及び廃液ラインを示している。図5において、17は、洗浄液を収容している洗浄液タンク、18は、洗浄槽8においてインクジェットヘッドを洗浄した後の廃液を収容する廃液タンクである。
【0065】
洗浄液タンク17からは、洗浄液用ポンプ19および開閉自在の電磁弁21を介して洗浄槽8の供給口10へと配管が接続されており、これにより洗浄液供給ラインが形成されている。また、洗浄槽8の排出口14は開閉自在の電磁弁22及び廃液用ポンプ20を介して廃液タンク18へと配管接続されており、これにより廃液ラインが形成されている。
【0066】
そして電磁弁21を開けて洗浄液用ポンプ19を動作することにより洗浄液タンク17にある洗浄液を洗浄槽8へと供給することができる。さらに、電磁弁22を開けて廃液用ポンプ20を動作することにより、内槽8bの切り欠き13から外槽8aにオーバーフローした洗浄液を廃液タンク18へと排出することができる。
【0067】
ここで洗浄液用ポンプ19の送液能力よりも廃液用ポンプ20の送液能力を高く設定しておけば、洗浄液は洗浄槽8から外部にあふれ出ることがない。また、切り欠き13から外槽8aへと洗浄液を一旦オーバーフローさせる構成なので、インクジェットヘッド2を浸漬させるための内槽8bには壁面高さによって規定される液量を満たし続けることが可能である。つまり、洗浄槽8の内槽8bの切り欠き13から外槽8aにオーバーフローした洗浄液を廃液タンク18へと排出する構成とすることにより、洗浄液の供給量及び排出量について複雑な制御を行うことなく、簡便に洗浄液を所望とする量だけ満たして洗浄することが可能であり、また洗浄液が溢れることもない。
【0068】
さらに本発明においては、洗浄液供給ラインは分岐して、電磁弁23を介して廃液ラインに接続されている。このようなバイパスラインを設けることにより、本インクジェットヘッド洗浄装置の洗浄動作が終了した後に洗浄液用ポンプ19の動作を停止するとともに電磁弁21を閉じ、電磁弁22を開ければ、内槽8bに満たされた洗浄液を廃液タンクへと速やかに排出することができる。なお、図示した実施例では、供給口10は内槽8bの底面付近に配置されているので、内槽8bに残留する洗浄液を効果的に排出できる。
【0069】
なお、本動作は、外槽8aの洗浄液を排出した後に、電磁弁22を閉じて行っても良いし、電磁弁22及び23を共に開けて洗浄槽8の外槽8a及び内槽8bから洗浄液を同時に排出しても良い。
洗浄液用ポンプ及び廃液用ポンプは、接液部分に使用する洗浄液に対する耐薬品性を満たす材料を使用したものがよく、例えばテフロン(登録商標)製のダイヤフラムポンプを採用すれば、多様な有機溶媒に対しても使用可能となるので望ましい。
【0070】
なお、洗浄液は特に規定されない。インクジェットヘッド2で使用するインクの溶媒と混合することが問題となれば、インクの溶媒を洗浄液に選定しても良い。また、洗浄能力を上げる目的として、固着した汚れ成分の隙間に浸み込みやすい表面エネルギーの低い材料を選定しても良い。インクジェットヘッド2で使用するインク種や洗浄能力を勘案して決定すれば良い。
【0071】
また、図2で示した洗浄槽8の構造ではインクジェットヘッド2を一個洗浄するものであるが、本発明はそれに限定されない。
【0072】
図6は2つのインクジェットヘッド2を同時に洗浄するための洗浄槽8の構成を示している。図6(a)は洗浄槽8の上面図を示しており、また図6(b)は、図6(a)中のA−A断面の図を示している。
【0073】
図6(a)に示す洗浄槽8の構造においては、洗浄液供給ラインは洗浄槽8内で2つに分岐され、供給口10が2箇所配置されており、内槽8bに洗浄液が供給される構成である。そして内槽8bの周囲に外槽8aが配置され、オーバーフローした洗浄液が洗浄槽8から外に溢れでることを防止する。そして外槽8aには排出口14が設けられており、オーバーフローした洗浄液は速やかに洗浄槽8から排出できる。以上のように、本発明の洗浄槽8はインクジェットヘッド2の個数を限定するものではなく、複数個のインクジェットヘッドも個別の内槽8bを用いて同時に洗浄することも可能である。
【0074】
なお、図6(a)において、2つの内槽8bのうち、一方の切り欠き13は内槽8bの壁の一辺に3箇所配置している。またもう一方の切り欠き13は壁の一辺のほぼ全域にわたって形成されている。このように切り欠き幅を複数設ける、或いは切り欠きの幅を広くすることにより、オーバーフローする際の洗浄液の流れを水平方向に対してより均等に形成することができる。この構成によれば、インクジェットヘッド2のノズルプレート2aに対して洗浄液をより均一に水平方向に流せるので、ノズルプレート2aの全域に均等に洗浄することが可能となる。
【0075】
また、洗浄槽8の内槽8bに対する供給口は、図示のものではそれぞれの洗浄槽に対して1つとしているが、2箇所以上、或いは横方向に広い形状の開口でも良い。さらに、実施例では、洗浄液をオーバーフローさせるための構造として、洗浄槽の壁面上部に設けた切り欠き構造を用いているが、このような切り欠き構造に代え、例えば、洗浄槽の壁面上部に設けた開口(孔)を用いても良い。
【0076】
またなお、図6(a)に示す構造ではインクジェットヘッド2を浸漬する内槽8bの周囲を囲んで外槽8aとしている。このような構成では内槽8bと外槽8aの領域において洗浄槽8の底面を薄くすることができている。この構成の効果について以下説明する。
インクジェットヘッド2を浸漬する内槽8bは不必要に大きくする必要はなく、インクジェットヘッド2を浸漬できるサイズを有していれば良い。サイズが大きくなると内槽8bに供給する洗浄液量が不必要に多くなってしまう。このため内槽8bはインクジェットヘッド2を浸漬できる最小限のサイズであることが望ましい。
【0077】
しかしながら、超音波振動子9の洗浄槽8との取り付け面は必ずしも内槽8bよりも小さいものが準備できる訳ではない。上記ボルト締めランジュバン型振動子の場合、洗浄槽8との取り付け面は直径40mm程度以上の円形などとなる。内槽8bがそれよりも小さくて良い場合には、外槽8aを内槽8bの周囲に配置することにより、洗浄槽の壁の領域を除けば超音波振動子9を取り付ける面全域の底面を薄くできる。従って超音波を効率的に伝播することができる構成となる。
【0078】
図7は図6(b)に示した洗浄槽構造において、超音波振動子9の取り付け位置を示したものである。図7においては内槽8bの領域よりも超音波振動子9の取り付け面領域が大きい場合である。このような場合においては、内槽8bの周囲に外槽8aを設け、外槽8aの底面を薄く設計することによって、超音波振動子9が生成する超音波を効率的に内槽8b内部の洗浄液へと伝播させることができる。
【0079】
〔実施の形態2〕
本実施の形態2では、洗浄槽8の構造において、洗浄槽の特定部からオーバーフローさせる手法が実施の形態1と異なるものでありそれ以外は実施の形態1と同様である。よって重複する構造、構成および手段については説明を省略する。
本実施の形態2に示す洗浄槽8の構成は、図8(a)、(b)に示すように、洗浄槽8の上端に部分的に撥液処理を施した撥液処理面24と、それ以外の未処理面25と、を区別して設けている。すなわち、未処理面25が撥液処理面24よりも洗浄液に対する親液性が高い特性を有している。
【0080】
供給口10から供給された洗浄液がオーバーフローする際には、撥液処理面24は未処理面25よりも撥液性が高いため撥液処理面24では洗浄液がせき止められる。よって特定部として上記未処理面25から洗浄液はオーバーフローし、外槽8aへと洗浄液が流れる。
【0081】
すなわち本実施の形態では切り欠きではなく、親液性と撥液性のコントラストのある面を設けて特定部からのオーバーフローを実現させるものである。
【0082】
上記のように洗浄槽8の材質はステンレスなどの金属が望ましい。金属類は一般に親液性に優れるため、オーバーフローさせたい特定部以外の上端部に撥液処理を施せばよい。撥液処理方法は特に指定されないが、撥水処理液を必要箇所に塗布することでよい。撥水処理液としては、アモルファスフッ素樹脂系のもの、或いはフッ素系シランカップリング剤などが知られており、例えば、旭硝子社製サイトップ(登録商標)やダイキン社製オプツール(登録商標)等、市販されているもので良い。
【0083】
なお、外槽8aに該当する壁の上端は特にオーバーフローする前に洗浄液を排出するので撥液処理は特に必要とはしない。
【0084】
また、実施の形態1と組み合わせて、洗浄槽8にオーバーフローさせるための切り欠き13を設けるとともに、該切り欠き13以外の上端部に撥液処理を施しても良い。
【0085】
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、インクジェットヘッド装置の動作によって生じるノズルプレート汚れを超音波を用いて効果的に洗浄するためのインクジェットヘッド洗浄装置として使用できるものである。そして、洗浄液の流れを規定するため、汚れ成分の再付着を防止して洗浄効果を十分に発揮できるとともに、超音波洗浄動作終了後は、洗浄槽内の洗浄液を速やかに排出できるので、デバイス製造などの施設内でも安全に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るインクジェットヘッド洗浄装置を組み込んだインクジェット装置の構成例を説明するための図である。
【図2】本発明に係るインクジェットヘッド洗浄装置において実施の形態1に示した洗浄槽構造を説明するための図である
【図3】図2に示した洗浄槽において、洗浄液を供給するとともにインクジェットヘッドを洗浄する動作を説明するための図である。
【図4】図2に示した洗浄槽の下面に取り付けられた超音波振動子をカバーで覆った構成を説明するための図である。
【図5】本発明に係るインクジェットヘッド洗浄装置の洗浄液供給ライン及び廃液ラインを説明するための図である。
【図6】本発明に係るインクジェットヘッド洗浄装置において、複数のインクジェットヘッドを複数の内槽に個別に浸漬して洗浄する洗浄槽の構造を説明するための図である。
【図7】本発明に係るインクジェットヘッド洗浄装置における洗浄槽の内槽サイズが超音波振動子の取り付け面よりも大きい場合の構造を説明するための図であり、内槽の周囲に外槽を設けた構成を示している。
【図8】本発明に係るインクジェットヘッド洗浄装置において実施の形態2に示した洗浄槽構造を説明するための図である
【符号の説明】
【0088】
1 ステージ
2 インクジェットヘッド
3a x軸方向に移動させる駆動部
3b y軸方向に移動させる駆動部
4 インク供給ユニット
5 メンテナンスユニット
6 非処理物
7 インクジェット装置
8 洗浄槽
8a 外槽
8b 内槽
9 超音波振動子
10 供給口
11 継手
12 配管
13 切り欠き
14 排出口
15 カバー
16 超音波発振器
17 洗浄液タンク
18 廃液タンク
19 洗浄液用ポンプ
20 廃液用ポンプ
21 電磁弁
22 電磁弁
23 電磁弁
24 撥液処理面
25 未処理面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄槽から洗浄液を排出させる洗浄液排出部と、前記洗浄槽に取り付けられた超音波振動子とを備えた液体吐出用ヘッド洗浄装置であって、
前記洗浄槽は前記液体吐出用ヘッドを浸漬可能であり、前記洗浄液排出部は前記洗浄槽の槽壁上部の特定部分から洗浄液をオーバーフローさせることを特徴とする液体吐出用ヘッド洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄槽の槽壁上端部の一部が他の部分よりも低い構造とされていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出用ヘッド洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄槽の槽壁上端部の一部が他の部分よりも洗浄液に対する親液性が高い特性を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の液体吐出用ヘッド洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄槽内に洗浄液を供給するための供給口が前記洗浄液をオーバーフローさせる槽壁上部の特定部分の対向部に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出用ヘッド洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽内に洗浄液を供給するための供給口が洗浄槽の底面付近に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出用ヘッド洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄槽の洗浄槽壁面の高さに対する洗浄槽底面の幅寸法が2倍以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出用ヘッド洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽内に洗浄液を供給するための洗浄液供給ラインが開閉自在の弁を介して廃液ラインと接続されていることを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の液体吐出用ヘッド洗浄装置。
【請求項8】
超音波振動子が洗浄槽底面の裏面に取り付けられ、前記底面の表面から液体吐出用ヘッドの被洗浄面までの距離が投入する超音波の洗浄液中の波長の略1/2に設定されたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の液体吐出用ヘッド洗浄装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の液体吐出用ヘッド洗浄装置を備えた液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−297951(P2009−297951A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153059(P2008−153059)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】