説明

液体吐出装置、及び、コンピュータシステム

【課題】媒体に余白を生じさせない液体吐出装置、及び、コンピュータシステムを実現することにある。
【解決手段】液体を吐出するための移動可能な吐出ヘッドと、媒体の端の位置を検知するための検知手段と、前記媒体を送るための送り機構と、を有し、前記検知手段により前記端の位置を検知する検知動作と、前記送り機構により前記媒体を送る送り動作と、移動する前記吐出ヘッドから前記媒体に液体を吐出する吐出動作と、を繰り返す液体吐出装置であって、前記検知動作において検知された前記端の位置に応じて、移動する前記吐出ヘッドから液体を吐出させる開始位置と終了位置のうち少なくともいずれか一方を変化させる液体吐出装置において、ある検知動作において検知された前記端の位置と、該検知動作以前の検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、前記以前の検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び、コンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な液体吐出装置であるカラーインクジェットプリンタは既によく知られている。このカラーインクジェットプリンタは、ノズルから液体の一例としてのインクを吐出するインクジェット式の吐出ヘッドの一例としての印刷ヘッドを備えており、媒体の一例としての印刷用紙にインクを吐出させることによって画像や文字等を記録する構成となっている。
【0003】
そして、印刷ヘッドは、ノズルが形成されたノズル面を印刷用紙に対向させた状態でキャリッジに支持されており、ガイド部材に沿って印刷用紙の幅方向に移動(主走査)し、この主走査に同期してインクを吐出する。
また、近年、写真と同じイメージの出力結果が得られる等の理由から、印刷用紙の全表面を対象として印刷を行ういわゆる縁なし印刷が可能なカラーインクジェットプリンタが人気を集めている。縁なし印刷により、例えば、印刷用紙の四辺の縁にも余白なくインクを吐出して印刷することが可能である。
【0004】
ところで、縁なし印刷の場合には、印刷用紙の全表面を対象として印刷を行うため、印刷された印刷用紙の端部に余白部分ができないようにすることが重要である。これを実現するためには、印刷用紙が曲がって(斜めに)給紙されることも考慮に入れて、印刷用紙よりやや大きめの、換言すれば、印刷用紙の大きさと比べてある程度マージンを持たせた印刷データを用意し、本印刷データに基づき印刷用紙に印刷を行う手法が有効である。
【0005】
また、印刷用紙以外の領域に印刷が行われることにより無駄にインクを消費してしまうという本手法が有する問題を軽減させるために、検知手段により印刷用紙の側端の位置を検知し、検知された側端の位置に応じてインクを吐出させる開始位置や終了位置を変化させる方策も有効である。
【0006】
しかしながら、かかる方策を実行する際に、印刷用紙が曲がって(斜めに)給紙されていることに起因して、印刷動作が終了近くになって検知手段が印刷用紙の下端を検知してしまう場合がある。本例のように、印刷用紙の側端の位置が適切に検知されない状態で、検知された側端の位置に応じてインクを吐出させる開始位置や終了位置を変化させると、印刷用紙に余白を生じさせるという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、媒体に余白を生じさせない液体吐出装置、及び、コンピュータシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
主たる本発明は、液体を吐出するための移動可能な吐出ヘッドと、媒体の端の位置を検知するための検知手段と、前記媒体を送るための送り機構と、を有し、前記検知手段により前記端の位置を検知する検知動作と、前記送り機構により前記媒体を送る送り動作と、移動する前記吐出ヘッドから前記媒体に液体を吐出する吐出動作と、を繰り返す液体吐出装置であって、前記検知動作において検知された前記端の位置に応じて、移動する前記吐出ヘッドから液体を吐出させる開始位置と終了位置のうち少なくともいずれか一方を変化させる液体吐出装置において、ある検知動作において検知された前記端の位置と、該検知動作以前の検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、前記以前の検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一例としての印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】カラーインクジェットプリンタ20の主要な構成の一例を示す概略斜視図である。
【図3】反射型光学センサ29の一例を説明するための模式図である。
【図4】インクジェットプリンタのキャリッジ28周辺の構成を示した図である。
【図5】キャリッジ28に取付けられたリニア式エンコーダ11の構成を模式的に示した説明図である。
【図6】CRモータ正転時及び逆転時におけるリニア式エンコーダ11の2つの出力信号の波形を示したタイミングチャートである。
【図7】カラーインクジェットプリンタ20の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図8】印刷ヘッド36の下面におけるノズル配列を示す説明図である。
【図9】印刷ヘッド36と反射型光学センサ29と印刷用紙Pの位置関係を模式的に表した図である。
【図10】第一の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図11】インク吐出開始位置及びインク吐出終了位置の求め方を説明するための説明図である。
【図12】印刷ヘッド36と反射型光学センサ29と印刷用紙Pの位置関係を模式的に表した図である。
【図13】印刷ヘッド36と反射型光学センサ29と印刷用紙Pの位置関係を模式的に表した図である。
【図14】コンピュータシステムの外観構成を示した説明図である。
【図15】図14に示したコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0011】
液体を吐出するための移動可能な吐出ヘッドと、媒体の端の位置を検知するための検知手段と、前記媒体を送るための送り機構と、を有し、前記検知手段により前記端の位置を検知する検知動作と、前記送り機構により前記媒体を送る送り動作と、移動する前記吐出ヘッドから前記媒体に液体を吐出する吐出動作と、を繰り返す液体吐出装置であって、前記検知動作において検知された前記端の位置に応じて、移動する前記吐出ヘッドから液体を吐出させる開始位置と終了位置のうち少なくともいずれか一方を変化させる液体吐出装置において、ある検知動作において検知された前記端の位置と、該検知動作以前の検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、前記以前の検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することを特徴とする液体吐出装置。
【0012】
ある検知動作において検知された前記端の位置と、該検知動作以前の検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、前記以前の検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することにより、媒体に誤って余白を生じさせることを回避することが可能となる。
【0013】
また、N回目の前記検知動作において検知された前記端の位置と、N−1回目の前記検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、N−1回目の前記検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することとしてもよい。
このようにすれば、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を、より適切に決定することができる。
【0014】
また、前記媒体の全表面を対象として液体を吐出することとしてもよい。
媒体の全表面を対象として液体を吐出する場合には、媒体の端部にも液体を吐出するため上記手段によるメリットがより大きくなる。
【0015】
また、前記検知手段は、光を発するための発光手段と、前記発光手段の主走査方向への移動に応じて主走査方向に移動する前記光を受光するための受光センサと、を備え、前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知することとしてもよい。
このようにすれば、より簡易に、前記端の位置を検知することができる。
【0016】
また、前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記主走査方向の位置が異なる二つの端、の位置を、前記検知動作において検知し、検知された二つの前記端の位置のうちの一方に応じて、前記開始位置を変化させ、かつ、検知された二つの前記端の位置のうちの他方に応じて、前記終了位置を変化させることとしてもよい。
このようにすれば、前述した効果、すなわち、媒体に誤って余白を生じさせることを回避することが可能となるという効果がより顕著に発揮されることとなる。
【0017】
また、前記吐出ヘッドを備え移動可能な移動部材に、前記検知手段が設けられていることとしてもよい。
このようにすれば、移動部材と検知手段の移動機構を共通化することができる。
【0018】
また、前記移動部材を主走査方向に移動させながら、前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知すると共に、前記媒体に前記吐出ヘッドから液体を吐出することとしてもよい。
このようにすれば、液体吐出装置の効率的な動作を実現することができる。
【0019】
また、前記吐出ヘッドは、複数のノズルを有し、前記検知手段は、前記複数のノズルのうち、前記送り方向最上流側に位置するノズル、と、主走査方向において並んで設けられていることとしてもよい。
このような場合には、媒体に誤って余白を生じさせる可能性が高くなるから、上述した効果、すなわち、媒体に誤って余白を生じさせないという効果がより有効に発揮されることとなる。
【0020】
また、前記吐出ヘッドは、複数のノズルを有し、前記検知動作において前記端の位置が検知されなかった際には、前記複数のノズルのうち、媒体の送り方向上流側に位置するノズルからの液体の吐出をさせないようにすることとしてもよい。
このような場合には、液体の消費量を減少させる液体吐出装置を実現することができる。
【0021】
また、前記液体はインクであり、前記液体吐出装置は、前記吐出ヘッドからインクを吐出することにより前記媒体たる被印刷体に印刷を行う印刷装置であることとしてもよい。
このような場合には、前述した効果を奏する印刷装置を実現することができる。
【0022】
また、液体を吐出するための移動可能な吐出ヘッドと、媒体の端の位置を検知するための検知手段と、前記媒体を送るための送り機構と、を有し、前記検知手段により前記端の位置を検知する検知動作と、前記送り機構により前記媒体を送る送り動作と、移動する前記吐出ヘッドから前記媒体に液体を吐出する吐出動作と、を繰り返す液体吐出装置であって、前記検知動作において検知された前記端の位置に応じて、移動する前記吐出ヘッドから液体を吐出させる開始位置と終了位置のうち少なくともいずれか一方を変化させる液体吐出装置において、N回目の前記検知動作において検知された前記端の位置と、N−1回目の前記検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、N−1回目の前記検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定し、前記媒体の全表面を対象として液体を吐出し、前記検知手段は、光を発するための発光手段と、前記発光手段の主走査方向への移動に応じて主走査方向に移動する前記光を受光するための受光センサと、を備え、前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記主走査方向の位置が異なる二つの端、の位置を、前記検知動作において検知し、検知された二つの前記端の位置のうちの一方に応じて、前記開始位置を変化させ、かつ、検知された二つの前記端の位置のうちの他方に応じて、前記終了位置を変化させ、前記吐出ヘッドを備え移動可能な移動部材に、前記検知手段が設けられており、前記移動部材を主走査方向に移動させながら、前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知すると共に、前記媒体に前記吐出ヘッドから液体を吐出し、前記吐出ヘッドは、複数のノズルを有し、前記検知手段は、前記複数のノズルのうち、前記送り方向最上流側に位置するノズル、と、主走査方向において並んで設けられており、前記検知動作において前記端の位置が検知されなかった際には、前記複数のノズルのうち、媒体の送り方向上流側に位置するノズルからの液体の吐出をさせないようにし、前記液体はインクであり、前記液体吐出装置は、前記吐出ヘッドからインクを吐出することにより前記媒体たる被印刷体に印刷を行う印刷装置であることを特徴とする液体吐出装置も実現可能である。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0023】
また、コンピュータ本体、コンピュータ本体に接続可能な表示装置、及び、コンピュータ本体に接続可能な液体吐出装置であって、液体を吐出するための移動可能な吐出ヘッドと、媒体の端の位置を検知するための検知手段と、前記媒体を送るための送り機構と、を有し、前記検知手段により前記端の位置を検知する検知動作と、前記送り機構により前記媒体を送る送り動作と、移動する前記吐出ヘッドから前記媒体に液体を吐出する吐出動作と、を繰り返す液体吐出装置であって、前記検知動作において検知された前記端の位置に応じて、移動する前記吐出ヘッドから液体を吐出させる開始位置と終了位置のうち少なくともいずれか一方を変化させる液体吐出装置であって、ある検知動作において検知された前記端の位置と、該検知動作以前の検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、前記以前の検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定する液体吐出装置、を具備することを特徴とするコンピュータシステムも実現可能である。
このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0024】
===装置の全体構成例===
図1は、本発明の一例としての印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、コンピュータ90と、液体吐出装置の一例としてのカラーインクジェットプリンタ20と、を備えている。なお、カラーインクジェットプリンタ20とコンピュータ90とを含む印刷システムは、広義の「液体吐出装置」と呼ぶこともできる。また、図示はしないが、上記コンピュータ90、上記カラーインクジェットプリンタ20、CRT21や液晶表示装置等の表示装置、キーボードやマウス等の入力装置、フレキシブルドライブ装置やCD−ROMドライブ装置等のドライブ装置等から、コンピュータシステムが構築されている。
【0025】
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、カラーインクジェットプリンタ20に転送するための印刷データPDが出力される。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示している。
【0026】
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをカラーインクジェットプリンタ20に供給する印刷データPDに変換する。プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100と、ユーザインターフェース表示モジュール101と、UIプリンタインターフェースモジュール102と、色変換ルックアップテーブルLUTと、が備えられている。
【0027】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95で形成されたカラー画像データの解像度を、印刷解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3つの色成分からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換ルックアップテーブルLUTを参照しつつ、各画素毎に、RGB画像データを、カラーインクジェットプリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。
【0028】
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、いわゆるハーフトーン処理を実行してハーフトーン画像データを生成する。このハーフトーン画像データは、ラスタライザ100によりカラーインクジェットプリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。印刷データPDは、各主走査時のドットの形成状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータと、を含んでいる。
【0029】
ユーザインターフェース表示モジュール101は、印刷に関係する種々のユーザインターフェースウィンドウを表示する機能と、それらのウィンドウ内におけるユーザの入力を受け取る機能とを有している。
【0030】
UIプリンタインターフェースモジュール102は、ユーザインターフェース(UI)とカラーインクジェットプリンタ間のインターフェースを取る機能を有している。ユーザがユーザインターフェースにより指示した命令を解釈して、カラーインクジェットプリンタへ各種コマンドCOMを送信したり、逆に、カラーインクジェットプリンタから受信したコマンドCOMを解釈して、ユーザインターフェースへ各種表示を行ったりする。
【0031】
なお、プリンタドライバ96は、各種コマンドCOMを送受信する機能、印刷データPDをカラーインクジェットプリンタ20に供給する機能等を実現する。プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。また、このようなコンピュータプログラムを、インターネットを介してコンピュータ90にダウンロードすることも可能である。
【0032】
図2は、カラーインクジェットプリンタ20の主要な構成の一例を示す概略斜視図である。このカラーインクジェットプリンタ20は、用紙スタッカ22と、図示しないステップモータで駆動される紙送りローラ24と、プラテン26と、ドットを形成するための印刷ヘッドを備え移動可能な移動部材の一例としてのキャリッジ28と、キャリッジモータ30と、キャリッジモータ30によって駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28のためのガイドレール34とを備えている。また、キャリッジ28には、多数のノズルを備えた吐出ヘッドの一例としての印刷ヘッド36と、後に詳述する検知手段の一例としての反射型光学センサ29が搭載されている。
【0033】
印刷用紙Pは、用紙スタッカ22から紙送りローラ24によって巻き取られてプラテン26の表面上を所定の送り方向としての紙送り方向(以下、副走査方向ともいう)へ送られる。キャリッジ28は、キャリッジモータ30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。なお、主走査方向とは、図に示すように副走査方向に垂直な2つの方向をいう。また、印刷用紙Pをカラーインクジェットプリンタ20へ供給するための給紙動作、印刷用紙Pをカラーインクジェットプリンタ20から排出させるための排紙動作も上記紙送りローラ24を用いて行われる。
【0034】
===反射型光学センサの構成例===
図3は、反射型光学センサ29の一例を説明するための模式図である。反射型光学センサ29はキャリッジ28に取り付けられ、例えば発光ダイオードから構成される発光手段の一例としての発光部38と例えばフォトトランジスタから構成される受光センサの一例としての受光部40を有している。発光部38から発した光、すなわち入射光は、印刷用紙Pや発せられた光の方向に印刷用紙Pがない場合にはプラテン26により反射され、その反射光は受光部40で受光され、電気信号に変換される。そして、受光した反射光の強さに応じた受光センサの出力値として、電気信号の大きさが測定される。
【0035】
なお、上記においては、図に示されるように、発光部38と受光部40は、一体となって反射型光学センサ29という機器を構成することとしたが、発光機器と受光機器のように各々別個の機器を構成してもよい。
また、上記においては、受光した反射光の強さを得るために、反射光を電気信号に変換した後に電気信号の大きさを測定することとしたが、これに限定されるものではなく、受光した反射光の強さに応じた受光センサの出力値を測定することができればよい。
【0036】
===キャリッジ周辺の構成例===
次にキャリッジ周辺の構成について説明する。図4は、インクジェットプリンタのキャリッジ28周辺の構成を示した図である。
【0037】
図4に示したインクジェットプリンタは、送り機構の一例としての紙送りを行う紙送りモータ(以下、PFモータともいう)31と、印刷用紙Pに液体の一例としてのインクを吐出する印刷ヘッド36が固定され、主走査方向に駆動されるキャリッジ28と、キャリッジ28を駆動するキャリッジモータ(以下、CRモータともいう)30と、キャリッジ28に固定されたリニア式エンコーダ11と、所定の間隔にスリットが形成されたリニア式エンコーダ用符号板12と、PFモータ31用の不図示のロータリ式エンコーダ13と、印刷用紙Pを支持するプラテン26と、PFモータ31によって駆動されて印刷用紙Pを搬送する紙送りローラ24と、CRモータ30の回転軸に取付けられたプーリ25と、プーリ25によって駆動される牽引ベルト32とを備えている。
【0038】
次に、上記のリニア式エンコーダ11及びロータリ式エンコーダ13について説明する。図5は、キャリッジ28に取付けられたリニア式エンコーダ11の構成を模式的に示した説明図である。
図5に示したリニア式エンコーダ11は、発光ダイオード11aと、コリメータレンズ11bと、検出処理部11cとを備えている。検出処理部11cは、複数(例えば4個)のフォトダイオード11dと、信号処理回路11eと、例えば2個のコンパレータ11fA、11fBとを有している。
【0039】
発光ダイオード11aの両端に抵抗を介して電圧VCCが印加されると、発光ダイオード11aから光が発せられる。この光はコリメータレンズ11bにより平行光に集光されてリニア式エンコーダ用符号板12を通過する。リニア式エンコーダ用符号板12には、所定の間隔(例えば1/180インチ(1インチ=2.54cm))毎にスリットが設けられている。
【0040】
リニア式エンコーダ用符号板12を通過した平行光は、図示しない固定スリットを通って各フォトダイオード11dに入射し、電気信号に変換される。4個のフォトダイオード11dから出力される電気信号は信号処理回路11eにおいて信号処理され、信号処理回路11eから出力される信号はコンパレータ11fA、11fBにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。コンパレータ11fA、11fBから出力されるパルスENC−A、ENC−Bがリニア式エンコーダ11の出力となる。
【0041】
図6は、CRモータ正転時及び逆転時におけるリニア式エンコーダ11の2つの出力信号の波形を示したタイミングチャートである。
図6(a)及び図6(b)に示すように、CRモータ正転時及び逆転時のいずれの場合も、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。CRモータ30が正転しているとき、即ち、キャリッジ28が主走査方向に移動しているときは、図6(a)に示すように、パルスENC−AはパルスENC−Bよりも90度だけ位相が進み、CRモータ30が逆転しているときは、図6(b)に示すように、パルスENC−AはパルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れる。そして、パルスENC−A及びパルスENC−Bの1周期Tは、キャリッジ28がリニア式エンコーダ用符号板12のスリット間隔を移動する時間に等しい。
【0042】
そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスENC−A、ENC−Bの各々の立ち上がりエッジ、立ち上がりエッジが検出され、検出されたエッジの個数が計数され、この計数値に基づいてCRモータ30の回転位置が演算される。この計数はCRモータ30が正転しているときは1個のエッジが検出されると「+1」を加算し、逆転しているときは、1個のエッジが検出されると「−1」を加算する。パルスENC−A及びENC−Bの各々の周期は、リニア式エンコーダ用符号板12の、あるスリットがリニア式エンコーダ11を通過してから次のスリットがリニア式エンコーダ11を通過するまでの時間に等しく、かつ、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。このため、上記計数のカウント値「1」はリニア式エンコーダ用符号板12のスリット間隔の1/4に対応する。これにより上記計数値にスリット間隔の1/4を乗算すれば、その乗算値に基づいて、計数値が「0」に対応する回転位置からのCRモータ30の移動量を求めることができる。このときリニア式エンコーダ11の解像度はリニア式エンコーダ用符号板12のスリットの間隔の1/4となる。
【0043】
一方、PFモータ31用のロータリ式エンコーダ13はロータリ式エンコーダ用符号板14がPFモータ31の回転に応じて回転する回転円板である以外は、リニア式エンコーダ11と同様の構成となっており、2つの出力パルスENC−A、ENC−Bを出力し、かかる出力に基づいてPFモータ31の移動量を求めることができる。
【0044】
===カラーインクジェットプリンタの電気的構成例===
図7は、カラーインクジェットプリンタ20の電気的構成の一例を示すブロック図である。このカラーインクジェットプリンタ20は、コンピュータ90から供給された信号を受信するバッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、カラーインクジェットプリンタ20全体の動作を制御するシステムコントローラ54と、メインメモリ56と、EEPROM58とを備えている。システムコントローラ54には、さらに、キャリッジモータ30を駆動する主走査駆動回路61と、紙送りモータ31を駆動する副走査駆動回路62と、印刷ヘッド36を駆動するヘッド駆動回路63と、反射型光学センサ29の発光部38、受光部40を制御する反射型光学センサ制御回路65と、既述のリニア式エンコーダ11と、既述のロータリ式エンコーダ13と、が接続されている。また、反射型光学センサ制御回路65は、受光部40により受光される反射光から変換される電気信号を測定するための電気信号測定部66を備えている。
【0045】
コンピュータ90から転送された印刷データは、一旦、バッファメモリ50に蓄えられる。カラーインクジェットプリンタ20内では、システムコントローラ54が、バッファメモリ50から印刷データの中から必要な情報を読み取り、これに基づいて、主走査駆動回路61、副走査駆動回路62、ヘッド駆動回路63等に対して制御信号を送る。
【0046】
イメージバッファ52には、バッファメモリ50で受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動回路63は、システムコントローラ54からの制御信号に従って、イメージバッファ52から各色成分の印刷データを読出し、これに応じて印刷ヘッド36に設けられた各色のノズルアレイを駆動する。
【0047】
===印刷ヘッドのノズル配列例等===
図8は、印刷ヘッド36の下面におけるノズル配列を示す説明図である。この印刷ヘッド36は、副走査方向に沿った一直線上にそれぞれ配列されたブラックノズル列、イエローノズル列、マゼンタノズル列、シアンノズル列と、を有している。図に示すように、それぞれのノズル列は2列づつ設けられており、本明細書においては、各々のノズル列を、第一ブラックノズル列、第二ブラックノズル列、第一イエローノズル列、第二イエローノズル列、第一マゼンタノズル列、第二マゼンタノズル列、第一シアンノズル列、第二シアンノズル列と呼ぶ。
【0048】
ブラックノズル列(白丸で示す)は、360個のノズル#1〜#360を有している。これらのノズルのうち、奇数番目のノズル#1、#3、・・・、#359は第一ブラックノズル列に、偶数番目のノズル#2,#4、・・・、#360は第二ブラックノズル列に属している。第一ブラックノズル列のノズル#1、#3、・・・、#359は、副走査方向に沿って一定のノズルピッチk・Dで配置されている。ここで、Dは副走査方向のドットピッチであり、kは整数である。副走査方向のドットピッチDは、主走査ライン(ラスタライン)のピッチとも等しい。以下では、ノズルピッチk・Dを表す整数kを、単に「ノズルピッチk」と呼ぶ。図8の例では、ノズルピッチkは4ドットである。但し、ノズルピッチkは、任意の整数に設定することができる。
【0049】
また、第二ブラックノズル列のノズル#2,#4、・・・、#360も、また、副走査方向に沿って一定のノズルピッチk・D(ノズルピッチk=4)で配置されているが、図に示すように、各ノズルの副走査方向の位置は、第一ブラックノズル列の各ノズルの副走査方向の位置に比べてずれている。図8の例において、かかるずれ量は、1/2・k・D(k=4)である。
【0050】
また、上述した事項は、イエローノズル列(白三角で示す)、マゼンタノズル列(白四角で示す)、シアンノズル列(白菱形で示す)についても、同様である。すなわち、各ノズル列は、360個のノズル#1〜#360を有し、そのうち、奇数番目のノズル#1、#3、・・・、#359が第一列に、#2,#4、・・・、#360が第二列に属している。また、各々のノズル列は、副走査方向に沿って一定のノズルピッチk・Dで配置されており、第二列のノズルの副走査方向の位置は、第一列のノズルの副走査方向の位置に比べて、1/2・k・D(k=4)だけずれている。
【0051】
すなわち、印刷ヘッド36に配置されたノズル群は千鳥形状を構成しており、印刷時には、キャリッジ28とともに印刷ヘッド36が主走査方向に一定速度で移動している間に、各ノズルからインク滴が吐出される。但し、印刷方式によっては、すべてのノズルが常に使用されるとは限らず、一部のノズルのみが使用される場合もある。
【0052】
なお、前述した反射型光学センサ29は、印刷ヘッド36と共に、キャリッジ28に取付けられており、本実施の形態においては、図に示すように、反射型光学センサ29の副走査方向の位置は、前述したノズル#360の副走査方向の位置と一致している。
【0053】
===第一の実施の形態===
次に、図9及び図10を用いて、本発明の第一の実施の形態について説明する。図9は、印刷ヘッド36と反射型光学センサ29と印刷用紙Pの位置関係を模式的に表した図であり、図10は、第一の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【0054】
先ず、最初に、ユーザがアプリケーションプログラム95等において印刷を行う旨を指示する(ステップS2)。本指示を受け取ったアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これを各主走査時のドットの形成状態を示すラスタデータと副走査送り量を示すデータとを含む印刷データPDに変換する。さらに、プリンタドライバ96は、かかる印刷データPDを各種コマンドCOMとともに、カラーインクジェットプリンタ20に供給する。カラーインクジェットプリンタ20は、これらを、バッファメモリ50により受信した後に、イメージバッファ52又はシステムコントローラ54へ送信する。
【0055】
また、ユーザは印刷用紙Pのサイズや縁なし印刷を行う旨をユーザインターフェース表示モジュール101に指示することが可能である。ユーザによる当該指示は、ユーザインターフェース表示モジュール101により受け取られ、UIプリンタインターフェースモジュール102へ送られる。UIプリンタインターフェースモジュール102は、指示された命令を解釈して、カラーインクジェットプリンタ20へコマンドCOMを送信する。カラーインクジェットプリンタ20は、コマンドCOMをバッファメモリ50により受信した後に、システムコントローラ54へ送信する。
【0056】
カラーインクジェットプリンタ20は、システムコントローラ54に送信された命令に基づいて、副走査駆動回路62により紙送りモータ31を駆動させる等して、印刷用紙Pの給紙を行う(ステップS4)。
【0057】
そして、システムコントローラ54は、印刷用紙Pを紙送り方向へ送りつつ、キャリッジ28を主走査方向に移動させて、キャリッジ28に備えられた印刷ヘッド36からインクを吐出して縁なし印刷を行う(ステップS6、ステップS8)。なお、印刷用紙Pの紙送り方向への送りは、副走査駆動回路62により紙送りモータ31を駆動させて、キャリッジ28の主走査方向への移動は、主走査駆動回路61によりキャリッジモータ30を駆動させて、印刷ヘッド36からのインクの吐出は、ヘッド駆動回路63により印刷ヘッド36を駆動させて、それぞれ行われる。
【0058】
カラーインクジェットプリンタ20は、ステップS6及びステップS8の動作を継続して行うが、例えば、主走査方向へのキャリッジ28の移動回数が所定回数に達した場合(ステップS10)には、次の主走査方向へのキャリッジ28の移動からは以下の動作を行う。
【0059】
システムコントローラ54は、反射型光学センサ制御回路65により、キャリッジ28に備えられた反射型光学センサ29を制御し、当該反射型光学センサ29の発光部38からプラテン26に向けて光を発する(ステップS12)。
【0060】
そして、繰り返される以下の一連の動作をカウントするためのカウンタ(不図示)を用意し、ここで、システムコントローラ54は当該カウンタをリセットする(ステップS14)。かかるリセットは、例えば、カウンタの値Nに0をセットすることにより実現される。次に、システムコントローラ54は、カウンタの値Nに1を加算し(ステップS16)、図9(a)及び図9(b)に示すように、キャリッジ28に備えられた印刷ヘッド36からインクを吐出して縁なし印刷を行うために、主走査駆動回路61によりCRモータ30を駆動させてキャリッジ28を移動させる(ステップS18)。やがて、図9(b)に示すように、上記発光部38から発光された光が印刷用紙Pの端を遮ることとなる(ステップS20)。このときに、発光部38から発せられた光の入射先は、プラテン26から印刷用紙Pに変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ29の受光部40の出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部66により測定し、前記光が印刷用紙Pの端を通過したことを検知する。
【0061】
そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスに基づいてCRモータ30の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ28の位置(以下、当該位置を位置Aとも呼ぶ)をN番目のデータとして記憶する(ステップS22)。
【0062】
図9(b)及び図9(c)に示すように、前述したステップS16及びステップS18の後においても、システムコントローラ54は、キャリッジ28を移動させて、当該キャリッジ28に備えられた印刷ヘッド36からインクを吐出して縁なし印刷を行う(ステップS24)。
【0063】
やがて、図9(c)に示すように、上記発光部38から発光された光が印刷用紙Pの端(ステップS20において遮った端とは主走査方向の位置が異なる端)を遮ることとなる(ステップS26)。このときに、発光部38から発せられた光の入射先は、印刷用紙Pからプラテン26に変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ29の受光部40の出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部66により測定し、前記光が印刷用紙Pの端を通過したことを検知する。
【0064】
そして、リニア式エンコーダ11の出力パルスに基づいてCRモータ30の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ28の位置(以下、当該位置を位置Bとも呼ぶ)をN番目のデータとして記憶する(ステップS28)。
【0065】
次に、図9(c)及び図9(d)に示すように、システムコントローラ54は、CRモータ30を駆動させて、キャリッジ28を移動させ、また、紙送りモータ31を駆動させて、印刷用紙Pを所定量紙送りし、次の縁なし印刷に備える(ステップS30)。
【0066】
次に、図9(d)及び図9(e)に示すように、システムコントローラ54は、キャリッジ28に備えられた印刷ヘッド36からインクを吐出して縁なし印刷を行うために、主走査駆動回路61によりCRモータ30を駆動させてキャリッジ28を移動させるが(ステップS18)、かかる動作に先だって、印刷ヘッド36のインク吐出開始位置及びインク吐出終了位置を決定する(ステップS32〜ステップS48)。かかるインク吐出開始位置及びインク吐出終了位置の決定方法については、後述する。
【0067】
次に、手順はステップS16に戻り、システムコントローラ54は、カウンタの値Nに1を加算し(ステップS16)、その後、図9(d)、図9(e)、図9(f)に示すように、前述したステップS18からステップS48の手順が実行される。この際に、システムコントローラ54は、ヘッド駆動回路63を制御して、決定されたインク吐出開始位置からインクの吐出を開始し、決定されたインク吐出終了位置でインクの吐出を終了させる。
【0068】
以降の手順は、図10のフローチャートにおけるループ構造に示されるようにステップS16からステップS48の繰り返しとなる。
【0069】
次に、インク吐出開始位置及びインク吐出終了位置の求め方の一例について、図10を参照しつつ、図11を用いて説明する。図11は、インク吐出開始位置及びインク吐出終了位置の求め方を説明するための説明図である。
【0070】
先ず、システムコントローラ54は、ステップS22で記憶されたN番目の位置A(図11において丸印でその位置を示す)とその前の繰り返し手順におけるステップS22で記憶されたN−1番目の位置A(図11において点線の丸印でその位置を示す)の差の絶対値aを求め、かかる値と予め定められた所定値pとを比較する(ステップS38)。
【0071】
ここで、所定値pよりも絶対値aの方が小さい場合には、N番目の位置Aに基づいて、インクを吐出させる開始位置を決定する(ステップS40)。例えば、図11(a)及び図11(c)に示すように、前記N番目の位置Aから距離αのマージンを見込んだインクを吐出させる開始位置(図11(a)及び図11(c)において四角印でその位置を示す)を決定する。
【0072】
逆に、所定値pよりも絶対値aの方が大きい場合には、N番目の位置Aではなく、N−1番目の位置Aに基づいて、インクを吐出させる開始位置を決定する(ステップS42)。例えば、図11(b)に示すように、前記N−1番目の位置Aから距離αのマージンを見込んだインクを吐出させる開始位置(図11(b)において四角印でその位置を示す)を決定する。
【0073】
同様に、システムコントローラ54は、ステップS28で記憶されたN番目の位置B(図11において三角印でその位置を示す)とその前の繰り返し手順におけるステップS28で記憶されたN−1番目の位置B(図11において点線の三角印でその位置を示す)の差の絶対値bを求め、かかる値と予め定められた所定値pとを比較する(ステップS44)。
【0074】
ここで、所定値pよりも絶対値bの方が小さい場合には、N番目の位置Bに基づいて、インクを吐出させる開始位置を決定する(ステップS46)。例えば、図11(a)及び図11(b)に示すように、前記N番目の位置Bから距離αのマージンを見込んだインクを吐出させる終了位置(図11(a)及び図11(b)において×印でその位置を示す)を決定する。
【0075】
逆に、所定値pよりも絶対値bの方が大きい場合には、N番目の位置Bではなく、N−1番目の位置Bに基づいて、インクを吐出させる終了位置を決定する(ステップS48)。例えば、図11(c)に示すように、前記N−1番目の位置Bから距離αのマージンを見込んだインクを吐出させる終了位置(図11(c)において×印でその位置を示す)を決定する。
【0076】
なお、マージンαは、印刷用紙Pに不必要な余白を生じさせない点を考慮して、例えば、印刷用紙Pの端を検知する際の検知誤差等に基づいて設定される。また、所定値pの設定の仕方については、後述する。また、上記において、マージンαと所定値pの値は、前記開始位置を決定する際と、前記終了位置を決定する際とで、共通の値としたが、異なる値が設定されても構わない。
【0077】
また、上記のステップS38において、システムコントローラ54は、ステップS22で記憶されたN番目の位置Aとその前の繰り返し手順におけるステップS22で記憶されたN−1番目の位置Aの差の絶対値aを求め、かかる値と予め定められた所定値pとを比較することとしたが、N=1の場合には(ステップS32)、N−1番目の位置Aが記憶されていないので、前記比較をすることなく、N(=1)番目の位置Aに基づいてインクを吐出させる開始位置を決定する(ステップS34)。同様に、上記のステップS44において、システムコントローラ54は、ステップS28で記憶されたN番目の位置Bとその前の繰り返し手順におけるステップS28で記憶されたN−1番目の位置Bの差の絶対値bを求め、かかる値と予め定められた所定値pとを比較することとしたが、N=1の場合には(ステップS32)、前記比較をすることなく、N(=1)番目の位置Bに基づいてインクを吐出させる終了位置を決定する(ステップS36)。
【0078】
次に、どのような場合に、上述した状況(すなわち、図11(a)乃至図11(c)に示した状況)が生じるかについて、図11を参照しつつ、図9、図12、図13を用いて説明する。図12及び図13は、印刷ヘッド36と反射型光学センサ29と印刷用紙Pの位置関係を模式的に表した図である。
【0079】
印刷用紙Pの端の位置を検知する検知動作を開始してから暫くの間は、図9(b)、図9(c)、図9(e)、図9(f)に示すように、反射型光学センサ29は印刷用紙Pの側端を検知する。このような場合には、図11(a)に示すように、前記絶対値a及び絶対値bの値は、共に、比較的小さな値となる。なお、図11(a)は図9に対応しており、図9(b)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(a)において点線の丸印で示された前記N−1番目の位置Aであり、図9(c)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(a)において点線の三角印で示された前記N−1番目の位置Bであり、図9(e)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(a)において丸印で示された前記N番目の位置Aであり、図9(f)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(a)において三角印で示された前記N番目の位置Bである。
【0080】
その後、印刷用紙Pの端の位置を検知する動作と、印刷用紙Pを紙送りローラ24により送る動作と、印刷用紙Pにインクを吐出して印刷する動作とを繰り返していくと、反射型光学センサ29と印刷用紙Pの相対位置関係が図12(a)に示すような状態になる。図12(a)乃至図12(c)に示すように、かかる状態からキャリッジ28に備えられた印刷ヘッド36からインクを吐出して縁なし印刷を行うために、システムコントローラ54が、主走査駆動回路61によりCRモータ30を駆動させてキャリッジ28を移動させると、反射型光学センサ29は印刷用紙Pの側端を検知する(図12(b)及び図12(c))。
【0081】
しかし、次のステップとして、図12(c)及び図12(d)に示すように、システムコントローラ54が、紙送りモータ31を駆動させて、印刷用紙Pを所定量紙送りした後に、図12(d)乃至図12(f)に示すように、システムコントローラ54が、主走査駆動回路61によりCRモータ30を駆動させてキャリッジ28を移動させると、印刷用紙Pが曲がっている(斜めになっている)ことに起因して、反射型光学センサ29が印刷用紙Pの下端を検知してしまう状況が発生し得る(図12(e))。
【0082】
かかる状況で、印刷用紙Pの当該下端を検知した際のキャリッジ28の位置に基づいて、インクを吐出させる開始位置を決定し、決定された当該開始位置からインクを吐出することとすると、印刷用紙Pの右下部(図12においては、印刷用紙Pの左上部)に余白が生じてしまう。このような場合には、かかる不都合を回避するため、図12(b)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置に基づいて、インクを吐出させる開始位置の決定を行う。
【0083】
また、図12(b)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置と、図12(e)において印刷用紙Pの下端を検知した際のキャリッジ28の位置と、の差は大きくなるため、前述した所定値pと当該差の絶対値aとを比較し、所定値pよりも絶対値aの方が大きい場合に、図12(b)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置に基づいて、前記開始位置の決定を行う。したがって、所定値pは、例えば、図9(b)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置と、図9(e)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置と、の差と、図12(b)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置と、図12(e)において印刷用紙Pの下端を検知した際のキャリッジ28の位置と、の差を考慮して、適切に設定される。
【0084】
なお、図11(b)は図12に対応しており、図12(b)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(b)において点線の丸印で示された前記N−1番目の位置Aであり、図12(c)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(b)において点線の三角印で示された前記N−1番目の位置Bであり、図12(e)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(b)において丸印で示された前記N番目の位置Aであり、図12(f)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(b)において三角印で示された前記N番目の位置Bである。
【0085】
次に、図13に着目する。図13は、反射型光学センサ29と印刷用紙Pの相対位置関係は前述した図12と同様で、かつ、印刷用紙Pが図12の場合とは逆方向に曲がっている状態を示したものである。このような場合に、図13(a)乃至図13(c)に示すように、システムコントローラ54が、主走査駆動回路61によりCRモータ30を駆動させてキャリッジ28を移動させると、反射型光学センサ29は印刷用紙Pの側端を検知する(図13(b)及び図13(c))点については、図12に関して既に説明したものと同様であるが、次のステップとして、図13(c)及び図13(d)に示すように、システムコントローラ54が、印刷用紙Pを所定量紙送りした後に、図13(d)乃至図13(f)に示すように、システムコントローラ54が、主走査駆動回路61によりCRモータ30を駆動させてキャリッジ28を移動させると、図13(f)の状態で反射型光学センサ29が印刷用紙Pの下端を検知する。
【0086】
かかる状況で、印刷用紙Pの当該下端を検知した際のキャリッジ28の位置に基づいて、インクを吐出させる終了位置を決定し、決定された当該終了位置でインクの吐出を終了することとすると、印刷用紙Pの左下部(図13においては、印刷用紙Pの右上部)に余白が生じてしまう。このような場合には、かかる不都合を回避するため、図13(c)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置に基づいて、インクを吐出させる終了位置の決定を行う。
【0087】
また、図13(c)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置と、図13(f)において印刷用紙Pの下端を検知した際のキャリッジ28の位置と、の差は大きくなるため、前述した所定値pと当該差の絶対値bとを比較し、所定値pよりも絶対値bの方が大きい場合に、図13(c)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置に基づいて、前記終了位置の決定を行う。したがって、所定値pは、例えば、図9(c)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置と、図9(f)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置と、の差と、図13(c)において印刷用紙Pの側端を検知した際のキャリッジ28の位置と、図13(f)において印刷用紙Pの下端を検知した際のキャリッジ28の位置と、の差を考慮して、適切に設定される。
【0088】
なお、図11(c)は図13に対応しており、図13(b)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(c)において点線の丸印で示された前記N−1番目の位置Aであり、図13(c)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(c)において点線の三角印で示された前記N−1番目の位置Bであり、図13(e)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(c)において丸印で示された前記N番目の位置Aであり、図13(f)において印刷用紙Pの端を検知した際のキャリッジ28の位置は、図11(c)において三角印で示された前記N番目の位置Bである。
【0089】
なお、以上の処理を行うためのプログラムは、EEPROM58に格納されており、かかるプログラムはシステムコントローラ54により実行される。
【0090】
背景技術の項で説明したとおり、印刷用紙以外の領域に印刷が行われることにより無駄にインクを消費してしまうという問題を軽減させるために、検知手段により印刷用紙の側端の位置を検知し、検知された側端の位置に応じてインクを吐出させる開始位置や終了位置を変化させる方策が有効であるが、かかる方策を実行する際に、印刷用紙が曲がって(斜めに)給紙されていることに起因して、印刷動作が終了近くになって検知手段が印刷用紙の下端を検知してしまう場合がある。本例のように、印刷用紙の側端の位置が適切に検知されない状態で、検知された側端の位置に応じてインクを吐出させる開始位置や終了位置を変化させると、印刷用紙に余白を生じさせるという問題が生じる。
【0091】
そこで、前述したように、ある検知動作において検知された端の位置と、当該検知動作以前の検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、前記以前の検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することにより、印刷用紙に誤って余白を生じさせることを回避することが可能となる。
【0092】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき本発明に係る液体吐出装置等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0093】
また、媒体として印刷用紙を例にとって説明したが、媒体として、フィルム、布、金属薄板等を用いてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態においては、液体吐出装置の一例として印刷装置について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などに、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。このような分野に本技術を適用しても、液体を媒体に向かって吐出することができるという特徴があるので、前述した効果を維持することができる。
【0095】
また、上記実施の形態においては、印刷装置の一例としてカラーインクジェットプリンタについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、モノクロインクジェットプリンタについても適用可能である。
【0096】
また、上記実施の形態においては、液体の一例としてインクについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出してもよい。
【0097】
また、上記実施の形態においては、N回目の検知動作において検知された端の位置と、N−1回目の検知動作において検知された端の位置との距離が所定値を越えた際には、N−1回目の検知動作において検知された端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、N回目の検知動作において検知された端の位置と、N−2回目の検知動作において検知された端の位置との距離が所定値を越えた際には、N−2回目の検知動作において検知された端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することとしてもよい。
ただし、このようにすることにより、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方をより適切に決定することができる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0098】
また、上記実施の形態においては、印刷用紙Pの全表面を対象として印刷を行うこと、すなわちいわゆる縁なし印刷を行うこととしたが、これに限定されるものではなく、例えば、印刷用紙Pの全表面ではないが、広範囲に印刷を行う場合において、上記手段は有効な効果を発揮する。
ただし、縁なし印刷の場合には、印刷用紙の端部にも印刷を行うため上記手段によるメリットがより大きくなる。
【0099】
また、上記実施の形態においては、前記反射型光学センサは、光を発するための発光部と、前記発光手段の主走査方向への移動に応じて主走査方向に移動する前記光を受光するための受光部と、を備え、前記主走査方向へ移動する前記発光部により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光部の出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知することとしたが、これに限定されるものではない。
ただし、このようにすることにより、より簡易に、前記端の位置を検知することができる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0100】
また、上記実施の形態においては、前記主走査方向へ移動する前記発光部により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光部の出力値の変化に基づいて、前記主走査方向の位置が異なる二つの端、の位置を、前記検知動作において検知し、検知された二つの前記端の位置のうちの一方に応じて、前記開始位置を変化させ、かつ、検知された二つの前記端の位置のうちの他方に応じて、前記終了位置を変化させることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記主走査方向へ移動する前記発光部により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光部の出力値の変化に基づいて、一つの端、の位置を、前記検知動作において検知し、検知された一つの前記端の位置に応じて、前記開始位置又は前記終了位置を変化させることとしてもよい。
ただし、このようにすることにより、前述した効果、すなわち、印刷用紙に誤って余白を生じさせることを回避することが可能となるという効果がより顕著に発揮されることとなる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0101】
また、上記実施の形態においては、印刷ヘッドを備え移動可能なキャリッジに、反射型光学センサが設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、キャリッジと反射型光学センサを、別個に移動可能とする構成としてもよい。
ただし、このようにすることにより、キャリッジと反射型光学センサの移動機構を共通化することができる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0102】
また、上記実施の形態においては、キャリッジを主走査方向に移動させながら、前記主走査方向へ移動する前記発光部により発せられた光が、印刷用紙の端を遮ることによる前記受光部の出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知すると共に、印刷用紙に印刷ヘッドからインクを吐出することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記検知の動作と前記吐出の動作を別個に行ってもよい。
ただし、このようにすることにより、効率的な動作を実現することができる点で上記実施の形態の方がより望ましい。
【0103】
また、上記実施の形態においては、印刷ヘッドは、複数のノズルを有し、前記反射型光学センサは、前記複数のノズルのうち、前記送り方向最上流側に位置するノズル、と、主走査方向において並んで設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、反射型光学センサが、複数のノズルのうち、前記送り方向最上流側に位置するノズル以外のノズル、と、主走査方向において並んで設けられていてもよい。
ただし、反射型光学センサが、送り方向最上流側に位置するノズルと、主走査方向において並んで設けられている場合には、例えば、反射型光学センサが、送り方向最上流側に位置するノズル以外のノズルと、主走査方向において並んで設けられている場合と比較して、印刷用紙に誤って余白を生じさせる可能性が高くなる。したがって、上述した効果、すなわち、印刷用紙に誤って余白を生じさせないという効果がより有効に発揮されることとなる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0104】
また、前記検知動作において印刷用紙の端の位置が検知されなかった際には、印刷ヘッドの複数のノズルのうち、印刷用紙の送り方向上流側に位置するノズルからの液体の吐出をさせないようにすることとしてもよい。
印刷用紙に印刷を行うために印刷用紙の送り動作とインクの吐出動作が繰り返し実行されると、やがて、印刷終了直前等において印刷用紙の端の位置が検知されなくなり、ノズルの一部が印刷用紙に対向しない状態が生じる。かかる状態において、印刷用紙に対向しないノズルからインクを吐出すると、インクを無駄に消費することとなる。
そこで、このようにすれば、インクの消費量を減少させるプリンタを実現することができる。
【0105】
===コンピュータシステム等の構成===
次に、本発明に係る実施形態の一例であるコンピュータシステムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図14は、コンピュータシステムの外観構成を示した説明図である。コンピュータシステム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、プリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magneto Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0106】
図15は、図14に示したコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。コンピュータ本体1102が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリがさらに設けられている。
【0107】
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されてコンピュータシステムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、コンピュータシステムが表示装置1104、入力装置1108及び読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。
【0108】
また、例えば、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ1106が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0109】
このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0110】
本発明によれば、媒体に余白を生じさせない液体吐出装置、及び、コンピュータシステムを実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
11 リニア式エンコーダ、12 リニア式エンコーダ用符号板、13 ロータリ式エンコーダ、14 ロータリ式エンコーダ用符号板、20 カラーインクジェットプリンタ、21 CRT、22 用紙スタッカ、24 紙送りローラ、25 プーリ、26 プラテン、28 キャリッジ、29 反射型光学センサ、30 キャリッジモータ、31 紙送りモータ、32 牽引ベルト、34 ガイドレール、36 印刷ヘッド、38 発光部、40 受光部、50 バッファメモリ、52 イメージバッファ、54 システムコントローラ、56 メインメモリ、58 EEPROM、61 主走査駆動回路、62 副走査駆動回路、63 ヘッド駆動回路、65 反射型光学センサ制御回路、66 電気信号測定部、90 コンピュータ、91 ビデオドライバ、95 アプリケーションプログラム、96 プリンタドライバ、97 解像度変換モジュール、98 色変換モジュール、99 ハーフトーンモジュール、100 ラスタライザ、101 ユーザインターフェース表示モジュール、102 UIプリンタインターフェースモジュール、1000 コンピュータシステム、1102 コンピュータ本体、1104 表示装置、1106 プリンタ、1108 入力装置、1108A キーボード、1108B マウス、1110 読取装置、1110A フレキシブルディスクドライブ装置、1110B CD−ROMドライブ装置、1202 内部メモリ、1204 ハードディスクドライブユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するための移動可能な吐出ヘッドと、媒体の端の位置を検知するための検知手段と、前記媒体を送るための送り機構と、を有し、前記検知手段により前記端の位置を検知する検知動作と、前記送り機構により前記媒体を送る送り動作と、移動する前記吐出ヘッドから前記媒体に液体を吐出する吐出動作と、を繰り返す液体吐出装置であって、
前記検知動作において検知された前記端の位置に応じて、移動する前記吐出ヘッドから液体を吐出させる開始位置と終了位置のうち少なくともいずれか一方を変化させる液体吐出装置において、
ある検知動作において検知された前記端の位置と、該検知動作以前の検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、前記以前の検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
N回目の前記検知動作において検知された前記端の位置と、N−1回目の前記検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、N−1回目の前記検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置において、
前記媒体の全表面を対象として液体を吐出することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置において、
前記検知手段は、光を発するための発光手段と、前記発光手段の主走査方向への移動に応じて主走査方向に移動する前記光を受光するための受光センサと、を備え、
前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体吐出装置において、
前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記主走査方向の位置が異なる二つの端、の位置を、前記検知動作において検知し、
検知された二つの前記端の位置のうちの一方に応じて、前記開始位置を変化させ、かつ、
検知された二つの前記端の位置のうちの他方に応じて、前記終了位置を変化させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の液体吐出装置において、
前記吐出ヘッドを備え移動可能な移動部材に、前記検知手段が設けられていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置において、
前記移動部材を主走査方向に移動させながら、
前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知すると共に、
前記媒体に前記吐出ヘッドから液体を吐出することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7に記載の液体吐出装置において、
前記吐出ヘッドは、複数のノズルを有し、
前記検知手段は、前記複数のノズルのうち、前記送り方向最上流側に位置するノズル、と、主走査方向において並んで設けられていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8に記載の液体吐出装置において、
前記吐出ヘッドは、複数のノズルを有し、
前記検知動作において前記端の位置が検知されなかった際には、前記複数のノズルのうち、媒体の送り方向上流側に位置するノズルからの液体の吐出をさせないようにすることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の液体吐出装置において、
前記液体はインクであり、
前記液体吐出装置は、前記吐出ヘッドからインクを吐出することにより前記媒体たる被印刷体に印刷を行う印刷装置であることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
液体を吐出するための移動可能な吐出ヘッドと、媒体の端の位置を検知するための検知手段と、前記媒体を送るための送り機構と、を有し、前記検知手段により前記端の位置を検知する検知動作と、前記送り機構により前記媒体を送る送り動作と、移動する前記吐出ヘッドから前記媒体に液体を吐出する吐出動作と、を繰り返す液体吐出装置であって、
前記検知動作において検知された前記端の位置に応じて、移動する前記吐出ヘッドから液体を吐出させる開始位置と終了位置のうち少なくともいずれか一方を変化させる液体吐出装置において、
N回目の前記検知動作において検知された前記端の位置と、N−1回目の前記検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、N−1回目の前記検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定し、
前記媒体の全表面を対象として液体を吐出し、
前記検知手段は、光を発するための発光手段と、前記発光手段の主走査方向への移動に応じて主走査方向に移動する前記光を受光するための受光センサと、を備え、
前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記主走査方向の位置が異なる二つの端、の位置を、前記検知動作において検知し、検知された二つの前記端の位置のうちの一方に応じて、前記開始位置を変化させ、かつ、
検知された二つの前記端の位置のうちの他方に応じて、前記終了位置を変化させ、
前記吐出ヘッドを備え移動可能な移動部材に、前記検知手段が設けられており、
前記移動部材を主走査方向に移動させながら、前記主走査方向へ移動する前記発光手段により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光センサの出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知すると共に、前記媒体に前記吐出ヘッドから液体を吐出し、
前記吐出ヘッドは、複数のノズルを有し、前記検知手段は、前記複数のノズルのうち、前記送り方向最上流側に位置するノズル、と、主走査方向において並んで設けられており、
前記検知動作において前記端の位置が検知されなかった際には、前記複数のノズルのうち、媒体の送り方向上流側に位置するノズルからの液体の吐出をさせないようにし、
前記液体はインクであり、前記液体吐出装置は、前記吐出ヘッドからインクを吐出することにより前記媒体たる被印刷体に印刷を行う印刷装置であることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項12】
コンピュータ本体、コンピュータ本体に接続可能な表示装置、及び、コンピュータ本体に接続可能な液体吐出装置であって、液体を吐出するための移動可能な吐出ヘッドと、媒体の端の位置を検知するための検知手段と、前記媒体を送るための送り機構と、を有し、前記検知手段により前記端の位置を検知する検知動作と、前記送り機構により前記媒体を送る送り動作と、移動する前記吐出ヘッドから前記媒体に液体を吐出する吐出動作と、を繰り返す液体吐出装置であって、前記検知動作において検知された前記端の位置に応じて、移動する前記吐出ヘッドから液体を吐出させる開始位置と終了位置のうち少なくともいずれか一方を変化させる液体吐出装置であって、ある検知動作において検知された前記端の位置と、該検知動作以前の検知動作において検知された前記端の位置との距離が所定値を越えた際には、前記以前の検知動作において検知された前記端の位置に基づいて、前記開始位置と前記終了位置のうち少なくともいずれか一方を決定する液体吐出装置、を具備することを特徴とするコンピュータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−207237(P2011−207237A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165140(P2011−165140)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【分割の表示】特願2010−57753(P2010−57753)の分割
【原出願日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】