説明

液体吐出装置及び液体吐出方法

【課題】視認性のよいテストパターンを形成すること。
【解決手段】液体を吐出するノズルが複数並ぶノズル列と、前記ノズルが並ぶ方向と交差
する方向に、前記媒体と前記ノズル列とを相対移動させる移動部と、前記媒体における液
体を仮硬化させるためのLEDを有する照射部と、前記媒体上に前記液体を吐出してテス
トパターンを形成する第1モードと、前記媒体に前記液体を吐出して画像を形成する第2
モードと、のいずれかで前記液体を吐出する場合において、前記第1モードで前記液体を
吐出する場合よりも前記第2モードで前記液体を吐出する場合の方が前記仮硬化のエネル
ギーが大きくなるように前記照射部を制御する制御部と、を備える液体吐出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出して媒体に印刷を行うインクジェット式のプリンタがある。このようなプ
リンタでは、紫外線硬化型のインクを用い、インクを仮硬化させつつ印刷を行って、異な
るインク間に生ずるブリード(滲み)の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−265285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外線硬化型のインクはLEDなどにより紫外線が照射されることで仮硬化させられる
が、このとき紫外線の強度によってインクの粘度が変化し、媒体上における濡れ拡がり方
が変わる。インクの濡れ拡がり方は視認性に影響を与えるから、仮硬化の度合いによって
はテストパターンの視認性も変化するが、吐出される液体が仮硬化される状況下において
も、視認性のよいテストパターンを形成することが望ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、視認性のよいテストパターン
を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
液体を吐出するノズルが複数並ぶノズル列と、
前記ノズルが並ぶ方向と交差する方向に、前記媒体と前記ノズル列とを相対移動させる
移動部と、
前記媒体における液体を仮硬化させるためのLEDを有する照射部と、
前記媒体上に前記液体を吐出してテストパターンを形成する第1モードと、前記媒体に
前記液体を吐出して画像を形成する第2モードと、のいずれかで前記液体を吐出する場合
において、前記第1モードで前記液体を吐出する場合よりも前記第2モードで前記液体を
吐出する場合の方が前記仮硬化のエネルギーが大きくなるように前記照射部を制御する制
御部と、
を備える液体吐出装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態におけるプリンタ1の概略側面図である。
【図2】本実施形態におけるプリンタ1のブロック図である。
【図3】図3Aは、ヘッド412におけるノズルの配置を説明する図であり、図3Bは、ヘッドアセンブリ411の構成を説明する図であり、図3Cは、ブラックヘッドユニット41Kの構成を説明する図である。
【図4】ヘッドの構造を説明する図である。
【図5】駆動信号生成回路70によって生成される駆動信号COMの例を説明する図である。
【図6】インクの加熱過程の説明図である。
【図7】仮硬化ユニットにおけるLEDアセンブリユニットの説明図である。
【図8】本硬化用光源ユニット91の側面図である。
【図9】本実施形態における印刷処理を説明するフローチャートである。
【図10】不吐出ノズルを特定するためのテストパターンの説明図である。
【図11】図11Aは、シリアル型のインクジェットプリンタの斜視図であり、図11Bは、シリアル型のインクジェットプリンタに搭載されるヘッドの一例を説明する図である。
【図12】図12Aは、双方向印刷における吐出タイミングの調整用のテストパターンの説明図であり、図12Bは、調整後のテストパターンの説明図である。
【図13】搬送量の調整用のテストパターンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0010】
液体を吐出するノズルが複数並ぶノズル列と、
前記ノズルが並ぶ方向と交差する方向に、前記媒体と前記ノズル列とを相対移動させる
移動部と、
前記媒体における液体を仮硬化させるためのLEDを有する照射部と、
前記媒体上に前記液体を吐出してテストパターンを形成する第1モードと、前記媒体に
前記液体を吐出して画像を形成する第2モードと、のいずれかで前記液体を吐出する場合
において、前記第1モードで前記液体を吐出する場合よりも前記第2モードで前記液体を
吐出する場合の方が前記仮硬化のエネルギーが大きくなるように前記照射部を制御する制
御部と、
を備える液体吐出装置。
このようにすることで、視認性のよいテストパターンを形成することができる。
【0011】
かかる液体吐出装置であって、前記移動部は、前記ノズル列を前記ノズルが並ぶ方向と
交差する方向に移動させることが望ましい。また、前記移動部は、前記媒体を前記ノズル
が並ぶ方向と交差する方向に搬送させることとしてもよい。また、前記テストパターンは
、前記ノズル列において前記液体を吐出できないノズルを特定するためのテストパターン
であることが望ましい。また、前記テストパターンは、各ノズルから前記交差する方向に
前記液体を吐出して形成されたドットのラインからなることが望ましい。
【0012】
また、前記テストパターンは、前記ノズル列が交差する方向の往路において吐出されら
れる液体と、前記ノズル列が交差する方向の復路において吐出させられる液体と、の目標
着弾位置を調整するためのテストパターンであってもよい。また、前記媒体を前記交差す
る方向に搬送する搬送部を備え、前記テストパターンは、前記媒体の搬送量を補正するた
めのテストパターンであってもよい。
【0013】
このようにすることで、視認性のよいテストパターンを形成することができる。
【0014】
液体を吐出するノズルが複数並ぶノズル列と、
前記ノズルが並ぶ方向と交差する方向に、前記媒体と前記ノズル列とを相対移動させる
移動部と、
前記媒体における液体を仮硬化させるためのLEDを有する照射部と、
を備える液体吐出装置において、
前記媒体上に前記液体を吐出してテストパターンを形成する第1モードと、前記媒体に
前記液体を吐出して画像を形成する第2モードと、のいずれで前記液体を吐出するかを判
定することと、
前記第2モードで前記液体を吐出する場合において、前記第1モードで前記液体を吐出
する場合よりも前記仮硬化のエネルギーが大きくなるように前記照射部を制御する制御部
と、
を備える液体吐出装置。
このようにすることで、視認性のよいテストパターンを形成することができる。
【0015】
===実施形態===
図1は、本実施形態におけるプリンタ1の概略側面図である。図2は、本実施形態にお
けるプリンタ1のブロック図である。以下、これらの図を参照しつつ、プリンタ1の構成
について説明を行う。
【0016】
図2には、プリンタ1とコンピュータ110が示されている。プリンタ1は、用紙搬送
ユニット10とインク加熱ユニット30とヘッドユニット40と検出器群50とコントロ
ーラ60と駆動信号生成回路70と仮硬化ユニット80と本硬化ユニット90を備える。
【0017】
用紙搬送ユニット10は、ドラム11と、第1ローラ12、第2ローラ13、及び、第
3ローラ14を含む。用紙搬送ユニット10は、用紙Sを図における上流側から下流側へ
搬送する機能を有する。用紙Sは、上流側から不図示の給紙ロールから供給され、下流側
の不図示の巻き取りローラによって巻き取られる。用紙Sは巻き取りローラによって巻き
取られることにより、少なくとも第1ローラ12から第3ローラ14までの間において所
定の張力を有し、ドラム11に密着するように搬送される。
【0018】
インク加熱ユニット30は、ブラックインクを加熱するブラックインク加熱装置31K
と、イエローインクを加熱するイエローインク加熱装置31Yと、マゼンタインク加熱装
置31Mと、シアンインク加熱装置31Cとを含む。それぞれのインク加熱装置31は、
粘度の低いインクを加熱して、ヘッドユニット41からインクを吐出させやすくして安定
した画像形成を行わせることに寄与する。インク加熱装置31の構成については後述する

【0019】
ヘッドユニット40は、後述するように、ブラックヘッドユニット41K、イエローヘ
ッドユニット41Y、マゼンタヘッドユニット41M、及び、シアンヘッドユニット41
C、を含む。そして、これらから各色のインクを吐出することによってカラー印刷を行う
ことができるようになっている。
【0020】
検出器群50は、プリンタ1の各部の情報を検出してコントローラ60に送る様々な検
出器をあらわす。
【0021】
コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。コントロー
ラ60は、CPU61と、メモリ62と、インタフェース部63とを有する。CPU61
は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ62は、CPU61の
プログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPR
OM等の記憶素子を有する。CPU61は、メモリ62に格納されているプログラムに従
って、各ユニットを制御する。インタフェース部63は、外部装置であるコンピュータ1
10とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。
【0022】
駆動信号生成回路70は、後述するヘッドに含まれるピエゾ素子などの駆動素子に印加
してインク滴を吐出させるための駆動信号を生成する。駆動信号生成回路70は、不図示
のDACを含む。そして、コントローラ60から送られた駆動信号の波形に関するデジタ
ルデータに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成回路70は不
図示の増幅回路も含んでおり、生成された電圧信号について電力増幅を行い、駆動信号を
生成する。
【0023】
仮硬化ユニット80は、用紙Sに着弾した紫外線硬化型のインクに対して紫外線を照射
して着弾したインクを仮硬化(以下、「仮硬化」のことを「ピニング」と呼ぶことがある
)させる。すなわち、用紙に着弾したインク表面の粘度を高め、インクの移動を抑制する
。このように、着弾したインクの表面の粘度を高めることによって、さらにそのインクの
上に別のインクが着弾した場合であっても、インク同士が移動しにくくなり、ブリードを
抑制することができる。
【0024】
仮硬化ユニット80は、各インク色に対応したLED基板アセンブリ81W、81K、
81Y、81M、81Yを含む。LED基板アセンブリ81の構成については後述する。
【0025】
本硬化ユニット90は、本硬化用光源ユニット91を含む。本硬化用光源ユニット91
は、図に示されるようにドラム11の下部に配置される。そして、用紙Sに紫外線を含む
光を照射し、用紙Sに着弾した各色のインクを本硬化させる。本硬化では、後に巻き取り
ローラ(不図示)において用紙Sが巻き取られる際にインクが巻き取られる用紙Sに付着
しない程度にまで硬化させられる。本実施形態における本硬化用光源ユニット91の光源
にはメタルハライドランプが使用される。
【0026】
図3Aは、ヘッド412におけるノズルの配置を説明する図である。本図はヘッド41
2の上面図であるが、ノズル配置の説明の容易のために、本来下部からしか視認できない
ノズル孔が示されている。ヘッド412は、1列のノズル列を有し、各ノズル列における
ノズルピッチPは360dpiとなっている。このようにすることで、本実施形態では、
紙幅方向について360dpiのノズルピッチを実現している。
【0027】
図3Bは、ヘッドアセンブリ411の構成を説明する図である。ここでも、本図はヘッ
ドアセンブリ411の上面図であるが、ヘッド配置の説明の容易のために、本来下部から
しか視認できないヘッド412が示されている。ヘッドアセンブリ411は、ヘッド41
2を6個備える。ヘッド412は図に示されるように2列に並んでおり、ノズル列方向に
ついて均一のドットピッチでドットを形成することができるようになっている。
【0028】
図3Cは、ブラックヘッドユニット41Kの構成を説明する図である。ヘッドユニット
40は、ブラックヘッドユニット41K、イエローヘッドユニット41Y、マゼンタヘッ
ドユニット41M、及び、シアンヘッドユニット41Cを備える。これら各インク色のヘ
ッドユニットは、いずれも同様の構成となっているので、ここではブラックヘッドユニッ
ト41Kの構成について説明する。
【0029】
ブラックヘッドユニット41Kは、ヘッドアセンブリ411を6個備える。個々のヘッ
ドアセンブリ411は、図に示されるように2列に並んでいる。そして、ノズル列方向(
紙幅方向)について均一のドットピッチでドットを形成する。このようにすることにより
、複数のヘッド412を紙幅方向にわたって複数配置することができるので、幅の広い用
紙に対しても全面に印刷を行えるようになる。
【0030】
図4は、ヘッドの構造を説明する図である。図には、ノズルNz、ピエゾ素子PZT、
インク供給路402、ノズル連通路404、及び、弾性板406が示されている。
【0031】
インク供給路402には、不図示のインクタンクからインクが供給される。そして、こ
れらのインク等は、ノズル連通路404に供給される。ピエゾ素子PZTには、後述する
駆動信号の駆動パルスが印加される。駆動パルスが印加されると、駆動パルスの信号に従
ってピエゾ素子PZTが伸縮し、弾性板406を振動させる。そして、駆動パルスの振幅
に対応する量のインク滴がノズルNzから吐出されるようになっている。
【0032】
図5は、駆動信号生成回路70によって生成される駆動信号COMの例を説明する図で
ある。図に示されるように、駆動信号COMは、繰り返し周期Tごとに繰り返し生成され
る。
【0033】
繰り返し周期である期間Tは、用紙Sが搬送方向に1画素分移動する間の期間に対応す
る。例えば、印刷解像度が360dpiの場合、期間Tは、用紙Sがノズルに対して1/
360インチ移動するための期間に相当する。そして、印刷データに含まれる画素データ
に基づいて、期間Tに含まれる各区間の駆動パルスPS1〜PS4をピエゾ素子PZTに
印加することによって、1つの画素内に大きさの異なるインク滴が吐出され、複数階調を
表現可能としている。
【0034】
駆動信号COMは、繰り返し周期Tにおける区間T1で生成される駆動パルスPS1と
、区間T2で生成される駆動パルスPS2と、区間T3で生成される駆動パルスPS3と
、区間T4で生成される駆動パルスPS4とを有する。
【0035】
図には、駆動パルスPS1の振幅がVhmであることが示されている。また、図には、
駆動パルスPS3の振幅がVhlであることが示されており、駆動パルスPS4の振幅が
Vhsであることが示されている。駆動パルスの振幅が大きいほどピエゾ素子421の変
化量が大きいため大きなサイズのインク滴が吐出される。よって、インク滴はそれぞれの
駆動パルスの振幅に応じた大きさのものが吐出される。図において、駆動パルスPS3の
振幅Vhlが最も大きく、次に、駆動パルスPS1の振幅Vhmが大きい。そして、駆動
パルスPS4の振幅Vhsがその次に大きいものとなっている。
【0036】
このため、小ドットの形成時には駆動パルスPS4がピエゾ素子PZTへ印加される。
また、中ドットの形成時には、駆動パルスPS1がピエゾ素子PZTへ印加され、大ドッ
トの形成時には、駆動パルスPS3がピエゾ素子PZTへ印加される。駆動パルスPS2
は、メニスカスを微振動させるための微振動パルスであり、ドット無しの場合にピエゾ素
子PZTへ印加される。このようにすることで、駆動パルスPS4は小ドットのインク滴
を吐出するための駆動パルスとなり、駆動パルスPS1は中ドットのインク滴を吐出する
ための駆動パルスとなり、駆動パルスPS3は大ドットのインク滴を吐出するための駆動
パルスとなる。
【0037】
図6は、インクの加熱過程の説明図である。本実施形態では、ヘッドから吐出されるイ
ンクとして紫外線硬化型インクが使用される。紫外線硬化型インクは常温において粘度が
低く、ヘッドのノズルから安定して吐出することができないことがある。よって、本実施
形態では、ヘッドから吐出される紫外線硬化型インクを事前に加熱するためのインク加熱
装置31がそれぞれのヘッドユニット41に設けられている。
【0038】
図には、インクタンク42とインク加熱装置31と温度センサ51とが示されている。
インクタンク42には対応する色のインクが充填されている。そして、このインクは、イ
ンクタンク42下部からのチューブにより、インク加熱装置31へと送られる。インク加
熱装置31に送られたインクは、インク加熱装置31を通過すると加熱され、インク加熱
装置31下部からのチューブにより、温度センサ51へと送られる。温度センサ51を通
過したインクは、対応する色のヘッドユニット(ここでは、ブラックヘッドユニット41
K)の各ヘッドへと送られる。
【0039】
インク加熱装置31は、供給される電力量によって発熱量を制御することができる装置
であって、発熱可能な抵抗器を含む装置である。そして、コントローラ60からの指令に
より供給電力量が制御され、温度制御されることが可能となっている。
【0040】
温度センサ51は、温度センサ51を通過するインクの温度をコントローラ60に送る
。コントローラ60は、送られた温度に基づいて、インク加熱装置31に供給する電力量
を調整する。このようにすることによって、予め決められた温度でインクをヘッドに供給
することができるようになっている。本実施形態では、インクが40℃で吐出されるよう
に加熱される。尚、本実施形態におけるインクの粘度は、40℃で10〜20mPa・s
となる。
【0041】
図7は、仮硬化ユニット80におけるLED基板アセンブリ81の説明図である。仮硬
化ユニット80は、ブラックインク用のLED基板アセンブリ81K、イエローインク用
のLED基板アセンブリ81Y、マゼンタインク用のLED基板アセンブリ81M、及び
、シアンインク用のLED基板アセンブリ81Cを含む。これらの4つのLED基板アセ
ンブリ81は、共通の構成のものが用いられ、製造コストが削減されている。
【0042】
LED基板アセンブリ81は、第1LED基板82Aと第2LED基板82Bと第3L
ED基板82Cと第4LED基板82Dとで構成される。第1LED基板82Aと第2L
ED基板82Bは紙幅方向に隣接して並ぶ。同様に、第3LED基板82Cと第4LED
基板82Dも紙幅方向に隣接して並ぶ。これにより、印刷される用紙Sの紙幅よりも幅広
の照射領域を提供する。
【0043】
また、第1LED基板82Aと第3LED基板82Cは用紙の搬送方向に隣接して並ぶ
。また、第2LED基板82Bと第4LED基板82Dも用紙の搬送方向に隣接して並ぶ

【0044】
個々のLED基板82は、複数のLEDアセンブリ83を含む。本実施形態では、紙幅
方向に16個のLEDアセンブリ83が並び、搬送方向に6つのLEDアセンブリ83が
並んでいる(計96個のLEDアセンブリ83で構成される)が、これとは異なる数のL
EDアセンブリ83を含むこととしてもよい。
【0045】
1つのLEDアセンブリ83には、4つのLED831が含まれている。本実施形態に
おけるLED831は395〜405nmにピーク波長を有するものが採用されている。
【0046】
LED基板82は、基板単位でLEDの発光が制御される。つまり、例えば、1つのL
ED基板82において、あるLEDアセンブリ83は発光しているが、他のLEDアセン
ブリ83は発光していないという制御は行われず、1つのLED基板82におけるLED
の全てが発光しているか、LED基板82におけるLEDの全てが発光していないかの状
態のいずれかとなる。尚、1つのLED基板82の全てのLEDが発光しているときにお
いて、LEDに供給される電流量が調整され、照射エネルギーは可変とすることができる
ようになっている。本実施形態では、ピニングエネルギー(仮硬化エネルギー)が、2〜
20mJ/cmになるように、電流が調整されている。
【0047】
尚、ここでは4つのLED基板82でLED基板アセンブリ81を構成することとした
が、より多くのLED基板82でLED基板アセンブリ81を構成することとしてもよい

【0048】
図8は、本硬化用光源ユニット91の側面図である。本硬化用光源ユニット91は、光
源部を構成するメタルハライドランプ911、保護ガラス912、反射鏡913、及び、
光源側ケース914と、排熱部を構成するヒートシンク(放熱フィン)915、排熱側ケ
ース916、空気取り入れ口917、排熱ファン918、及び、排熱ダクト919とを備
える。
【0049】
メタルハライドランプ911は、用紙Sに着弾したインクを本硬化させるための光を照
射する。本実施形態において使用されるメタルハライドランプ911が照射する光は、紫
外線成分を多く含み、紫外線硬化型インクを硬化させる。反射鏡913は、メタルハライ
ドランプ911から照射される光を用紙S側に反射させるためのものであり、これにより
メタルハライドランプ911からの光を効率的に用紙Sに照射する。保護ガラス912は
、メタルハライドランプ911からの光を用紙Sに対して透過させつつ、用紙Sの通路か
らのゴミの侵入を防ぐ。光源側ケース914は、メタルハライドランプ911、保護ガラ
ス、及び、反射鏡913を取り付けるためのケースである。このような本硬化用光源ユニ
ット91を用いることにより、用紙S上において仮硬化されたインクが本硬化されること
になる。
【0050】
図9は、本実施形態における印刷処理を説明するフローチャートである。本フローチャ
ートを用いて、本実施形態によるプリンタ1を用いた印刷について説明する。本実施形態
におけるプリンタは、テストパターン印刷モード(第1モードに相当)と画像印刷モード
(第2モードに相当)とを有している。
【0051】
テストパターン印刷モードは、用紙S上にテストパターンを印刷する印刷モードである
。画像印刷モードは、ユーザが要求する画像を用紙S上に印刷する印刷モードである。
【0052】
テストパターン印刷モードでも画像印刷モードでもLED基板アセンブリ81から紫外
線が照射され、各インクが仮硬化させられるが、仮硬化するために用いられるLED基板
アセンブリにおける照射エネルギーは、テストパターン印刷モードよりも画像印刷モード
において大きくなっている。
【0053】
印刷が開始されると、印刷モードが画像印刷モードであるか否かについて判定される(
S102)。画像印刷モードによって印刷を行うか、テストパターン印刷モードによって
印刷を行うかについては、予めユーザによってプリンタドライバ等を介して設定されてい
る。
【0054】
そして、画像印刷モードではないと判定された場合(すなわち、テストパターン印刷モ
ードであると判定された場合)には、各インク色に対応するLED基板アセンブリ81の
照射エネルギーが画像印刷モードのときの照射エネルギーよりも小さくなるように設定さ
れる(S104)。具体的には、各LED基板アセンブリの第1LED基板82A及び第
2LED基板82Bのみが点灯させられる。
【0055】
次に、各色のヘッドユニット41からインクが吐出され、用紙S上にテストパターンが
形成される(S106)。
【0056】
図10は、不吐出ノズルを特定するためのテストパターンの説明図である。図には、複
数のノズルと、各ノズルからインクが吐出され形成されたドット列が示されている。また
、説明の便宜上、そのドット列の周辺が仮想的に破線で囲まれている。このように構成さ
れるテストパターンでは、インクを吐出することができないノズルはドット列を形成する
ことができない。よって、ドット列が形成されていない箇所に対応するノズルを特定する
ことで不吐出ノズルを特定することができる。
【0057】
ところで、LED基板アセンブリ81からの照射エネルギーが大きい場合には、インク
は即座に仮硬化させられるので、用紙Sに着弾したインクは図に示されたようなドットの
形状で仮硬化させられる。しかしながら、本実施形態のように、LED基板アセンブリ8
1からの照射エネルギーを低くすると、仮硬化の速度が遅くなり、図に示した破線の領域
まで着弾したインクが拡がる。このように破線の領域までインクが拡がることで、ドット
同士が繋がり、さらに、着弾したドット径も大きくなることから、視認性のよいテストパ
ターンを提供することができる。
【0058】
ステップS102において、画像印刷モードであると判定された場合、各インク色に対
応するLED基板アセンブリ81の照射エネルギーが用紙印刷モードの照射エネルギーよ
りも大きくなるように設定される(S108)。例えば、テストパターン印刷モードのと
きにおいて、各LED基板アセンブリの第1LED基板82A及び第2LED基板82B
のみしか点灯されないのに対し、画像印刷モードのときには、各LED基板アセンブリの
第1LED基板82A、第2LED基板82B、第3LED基板82C、及び、第4LE
D基板82Dの全てが点灯される。
【0059】
次に、各ヘッドユニット41からインクが吐出され、用紙S上に画像が形成される(S
110)。このようにすることで、画像を印刷するときには仮硬化に用いられる照射エネ
ルギーを大きくすることができるので、ドットは即座に仮硬化させられ、濡れ拡がらない
ことから、高精細な印刷を行うことができる。
【0060】
図11Aは、シリアル型のインクジェットプリンタの斜視図である。シリアル型のイン
クジェットプリンタでは、断続的に搬送される用紙S上をヘッド49が用紙の搬送方向と
は交差する方向に移動しながら印刷を行う。図11Bは、シリアル型のインクジェットプ
リンタに搭載されるヘッドの一例を説明する図である。ヘッドには4色のインクを吐出さ
せるための4つのノズル列が構成され、さらに前述のLED基板センブリ81を小型化し
たLED基板アセンブリ81’が2つ取り付けられている。小型化したLED基板アセン
ブリ81’のLED点灯の制御は前述と同様であるが、2つのLED基板アセンブリ81
’のうち、ヘッド49の移動方向における後側のLED基板アセンブリ81’が使用され
ることになる。
【0061】
ところで、ラインヘッド型のインクジェットプリンタもシリアル型のインクジェットプ
リンタも、用紙Sとヘッドとがノズル列と交差する方向に相対的に移動する点については
共通である。よって、シリアル型のインクジェットプリンタでも、上述の不吐出ノズルを
特定するためのテストパターンを利用して、不吐出ノズルを特定することができる。
【0062】
また、上述において、不吐出ノズルを特定するためのテストパターンについて説明を行
ったが、以下に示すような双方向印刷における吐出タイミングの調整用のテストパターン
や搬送量の調整用のテストパターンであっても、同様に視認性のよいテストパターンを提
供することができる。
【0063】
図12Aは、双方向印刷における吐出タイミングの調整用のテストパターンの説明図で
ある。図12Bは、調整後のテストパターンの説明図である。図11に示したようなシリ
アル型のインクジェットプリンタでは、ヘッドの往路と復路とで吐出タイミングを調整す
る必要がある。このとき、図12Aのように、往路において目標着弾位置にノズル列から
同時にインクを吐出してドット列を形成する。また、復路において目標着弾位置にノズル
列から同時にインクを吐出してドット列を形成する。
【0064】
図12Aでは、往路と復路においてΔxだけ着弾位置がずれている様子が示されている
。このとき、Δxを測定し、往路又は復路の吐出タイミングをΔxだけずれるように調整
することにより、図12Bのように着弾位置を一致させることができる。このとき、上述
のように仮硬化のエネルギーを調整して、視認性のよいテストパターンを形成できるので
、ずれ量Δxを適切に測定することができる。
【0065】
図13は、搬送量の調整用のテストパターンの説明図である。図11に示したシリアル
型のインクジェットプリンタでは、用紙Sの搬送量を調整する必要がある。このとき、1
パス目において、ある色のノズル列すべてからインクを吐出して、テストパターンPTN
1を形成する。そして、用紙Sを目標量だけ搬送した後、同様にインクを吐出してテスト
パターンPTN2を形成する。そうすると、パターン同士が重なった重なり部が形成され
る。この重なり部の搬送方向における幅を測定し、その測定値と目標量との関係から搬送
量を調整することができる。このとき、上述のように仮硬化のエネルギーを調整して、視
認性のよいテストパターンを形成できるので、重なり部の幅を適切に測定することができ
る。
【0066】
===その他の実施の形態===
上述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタ1が説明されていたが、これに限ら
れるものではなくインク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状
体、ジェルのような流状体)を噴射したり吐出したりする液体吐出装置に具現化すること
もできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置
、表面加工装置、三次元造形機、気体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造
装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット
技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、こ
れらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【0067】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解
釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得
ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 プリンタ、10 用紙搬送ユニット、11 ドラム、
12 第1ローラ、13 第2ローラ、14 第3ローラ、
30 インク加熱ユニット、31 加熱装置、40 ヘッドユニット、
41K ブラックヘッドユニット、41Y イエローヘッドユニット、
41M マゼンタヘッドユニット、41C シアンヘッドユニット、
411 ヘッドアセンブリ、412 ヘッド、50 検出器群、
60 コントローラ、61 CPU、62 メモリ、
63 インタフェース部、70 駆動信号生成回路、
80 仮硬化ユニット、81 LED基板アセンブリ、
82A 第1LED基板、82B 第2LED基板、
82C 第3LED基板、82D 第4LED基板、
83 LEDアセンブリ、831 LED、
90 本硬化ユニット、91 本硬化用光源ユニット、
911 メタルハライドランプ、912 保護ガラス、913 反射鏡、
914 光源側ケース、915 ヒートシンク、916 排熱側ケース、
917 空気取り入れ口、918 排熱ファン、919 排熱ダクト、
110 コンピュータ、S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルが複数並ぶノズル列と、
前記ノズルが並ぶ方向と交差する方向に、前記媒体と前記ノズル列とを相対移動させる
移動部と、
前記媒体における液体を仮硬化させるためのLEDを有する照射部と、
前記媒体上に前記液体を吐出してテストパターンを形成する第1モードと、前記媒体に
前記液体を吐出して画像を形成する第2モードと、のいずれかで前記液体を吐出する場合
において、前記第1モードで前記液体を吐出する場合よりも前記第2モードで前記液体を
吐出する場合の方が前記仮硬化のエネルギーが大きくなるように前記照射部を制御する制
御部と、
を備える液体吐出装置。
【請求項2】
前記移動部は、前記ノズル列を前記ノズルが並ぶ方向と交差する方向に移動させる、請
求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記媒体を前記ノズルが並ぶ方向と交差する方向に搬送させる、請求項
1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記テストパターンは、前記ノズル列において前記液体を吐出できないノズルを特定す
るためのテストパターンである、請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記テストパターンは、各ノズルから前記交差する方向に前記液体を吐出して形成され
たドットのラインからなる、請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記テストパターンは、前記ノズル列が交差する方向の往路において吐出されられる液
体と、前記ノズル列が交差する方向の復路において吐出させられる液体と、の目標着弾位
置を調整するためのテストパターンである、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記媒体を前記交差する方向に搬送する搬送部を備え、
前記テストパターンは、前記媒体の搬送量を補正するためのテストパターンである、請
求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
液体を吐出するノズルが複数並ぶノズル列と、
前記ノズルが並ぶ方向と交差する方向に、前記媒体と前記ノズル列とを相対移動させる
移動部と、
前記媒体における液体を仮硬化させるためのLEDを有する照射部と、
を備える液体吐出装置において、
前記媒体上に前記液体を吐出してテストパターンを形成する第1モードと、前記媒体に
前記液体を吐出して画像を形成する第2モードと、のいずれで前記液体を吐出するかを判
定することと、
前記第2モードで前記液体を吐出する場合において、前記第1モードで前記液体を吐出
する場合よりも前記仮硬化のエネルギーが大きくなるように前記照射部を制御する制御部
と、
を備える液体吐出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate