説明

液体吐出装置

【課題】前処理液が切れた場合又は少量しか残っておらず、前処理液を使用せずに画像記録を行う場合においても、記録媒体に形成される画像の品質劣化を防止して、画像品質を維持する。
【解決手段】インクジェットヘッド1Aは、ヘッド昇降機構33により、「第1の位置」と、用紙Pとの間隔が「第1の位置」よりも小さい「第2の位置」との間を移動可能にされている。制御部100は、プレコート液タンク20cにおけるプレコート液の貯溜量が所定量未満である場合には、インクジェットヘッド1Aが、「第2の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御し、且つ、インクジェットヘッド1Aからインクを吐出させ、且つプレコートヘッド2からのプレコート液の吐出が禁止されるように、インクジェットヘッド1A、及びプレコートヘッド2を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像形成するための第1液体を吐出するに先だって、第1液体中の成分を凝集又は析出させる第2液体を記録媒体に吐出する液体吐出装置に関する。
【0002】
記録媒体に形成される画像のインク滲みを低減するための技術として、例えば、下記特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、記録媒体上の画像を形成する箇所に、インク滴をインク滴用吐出ヘッドから吐出するに先だって、インク滴の成分を凝集させる前処理液を前処理液用吐出ヘッドから吐出している。これにより、インク滴は記録媒体に吐出されると前処理液により直ちに凝集されることになるため、インク滲みが低減されることになる。また、特許文献1に記載された技術では、前処理液が切れた場合又は少量しか残っていない場合には、前処理液を吐出せずにインク滴のみを吐出して記録媒体への画像形成を続行するようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−195823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、前処理液が切れた場合又は少量しか残っていない際に、インク滴のみを吐出して記録媒体への画像形成を続行し、且つ、比較的高品質の画像形成が要求された場合、前処理液を使用していないので記録媒体に形成される画像の品質が劣化し、要求された画像品質での画像形成ができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、前処理液が切れた場合又は少量しか残っておらず、前処理液を使用せずに画像記録を行う場合においても、記録媒体に形成される画像の品質劣化を防止して、画像品質を維持することができる液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の液体吐出装置は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に画像を形成するための第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、前記第1液体貯溜室に貯溜された第1液体を吐出するための第1吐出口が形成された第1液体吐出ヘッドと、前記第1液体に作用して前記第1液体中の成分を凝集又は析出させる第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、前記第2液体貯溜室に貯溜された第2液体を吐出するための第2吐出口を有するとともに、前記搬送方向に関して前記第1液体吐出ヘッドよりも上流に設けられた第2液体吐出ヘッドと、前記第2液体貯溜室に貯溜された第2液体の貯溜量を検出する第2液体貯溜量検出手段と、前記第1液体吐出ヘッドを、第1の位置と、前記記録媒体との間隔が前記第1の位置よりも小さい第2の位置との間を移動させることで、前記第1液体吐出ヘッドの前記第1吐出口と前記記録媒体との間隔を調整可能な間隔調整手段と、画像データに基づいて前記記録媒体に画像が形成されるように、前記第1及び第2液体吐出ヘッド、前記搬送機構、並びに前記間隔調整手段を制御する制御手段と、前記記録媒体に形成される画像の品質に関する多段階の複数の品質レベルの中から一の品質レベルが記憶される記憶手段とを有しており、前記制御手段は、前記第1液体吐出ヘッドが第1の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御し、且つ、前記第1吐出口から前記第1液体を、前記第2吐出口から前記第2液体をそれぞれ吐出するように前記第1及び第2液体吐出ヘッドを制御する第1のモードと、前記第1液体吐出ヘッドが第2の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御し、且つ、前記第1吐出口から前記第1液体を吐出させ、且つ前記第2吐出口からの前記第2液体の吐出が禁止されるように前記第1及び第2液体吐出ヘッドを制御する第2のモードとを実行可能であり、前記第2液体貯溜量検出手段により検出された第2液体の貯溜量が所定量以上ある場合には前記第1のモードを実行し、前記第2液体貯溜量検出手段により検出された第2液体の貯溜量が前記所定量未満であり、且つ前記記憶手段において記憶されている品質レベルが所定の段階以上の品質レベルである場合には前記第2のモードを実行することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の液体吐出装置は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に画像を形成するための第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、前記第1液体貯溜室に貯溜された第1液体を吐出するための吐出口が形成された第1液体吐出ヘッドと、 前記第1液体に作用して前記第1液体中の成分を凝集又は析出させる第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、前記搬送機構によって搬送される記録媒体に対して、前記第1液体吐出ヘッドから吐出された第1液体が付着する前に、前記第2液体を付着する第2液体付着手段と、前記第2液体貯溜室に貯溜された第2液体の貯溜量を検出する第2液体貯溜量検出手段と、前記第1液体吐出ヘッドを、第1の位置と、前記記録媒体との間隔が前記第1の位置よりも小さい第2の位置との間を移動させることで、前記第1液体吐出ヘッドの前記吐出口と前記記録媒体との間隔を調整可能な間隔調整手段と、画像データに基づいて前記記録媒体に画像が形成されるように、前記第1液体吐出ヘッド、前記第2液体付着手段、前記搬送機構、並びに前記間隔調整手段を制御する制御手段と、前記記録媒体に形成される画像の品質に関する多段階の複数の品質レベルの中から一の品質レベルが記憶される記憶手段とを有しており、前記制御手段は、前記第1液体吐出ヘッドが第1の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御し、且つ、前記第1液体吐出ヘッドには前記第1液体を吐出させ、前記第2液体付着機構には記録媒体に前記第2液体を付着させるように制御する第1のモードと、前記第1液体吐出ヘッドが第2の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御し、且つ、前記第1液体吐出ヘッドには前記第1液体を吐出させ、前記第2液体付着機構には記録媒体に前記第2液体を付着させることを禁止するように制御する第2のモードとを実行可能であり、前記第2液体貯溜量検出手段により検出された第2液体の貯溜量が所定量以上ある場合には前記第1のモードを実行し、前記第2液体貯溜量検出手段により検出された第2液体の貯溜量が前記所定量未満であり、且つ前記記憶手段において記憶されている品質レベルが所定の段階以上の品質レベルである場合には前記第2のモードを実行することを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、第2液体貯溜室に貯溜された第2液体の貯溜量が所定量未満であり、且つ記憶手段に記憶されている品質レベルが所定の段階以上の品質レベルである場合には、第1液体吐出ヘッドと記録媒体との間隔が小さい第2の位置に第1液体吐出ヘッドが位置されるので、この第1液体吐出ヘッドの吐出口から吐出される第1液体の記録媒体に対する着弾位置精度を向上させることができ、その結果、前処理液を使用しなくとも記録媒体に形成される画像の品質劣化を防止して、所望の画像品質を維持することができる。
【0010】
また、本発明の液体吐出装置においては、前記制御手段は、前記第2のモード以外のモードを実行する場合には、前記第1液体吐出ヘッドが第1の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御すること好ましい。
【0011】
また、本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、前記画像データに基づいて前記記録媒体に画像を形成する前に、この画像データに基づいて画像を形成するために必要な前記第2液体の液量を算出し、この算出した液量を減じた第2液体の貯溜量が前記所定量未満であり、且つ前記記憶手段において記憶されている品質レベルが所定の段階以上の品質レベルである場合には、この画像データに基づいた前記記録媒体への画像の形成を、画像の形成開始時から前記第2のモードで実行することが好ましい。上記の構成によれば、第2液体の貯溜量が画像形成途中において所定量未満(例えば、枯渇)となるような場合には、制御手段は、画像の形成開始時から、第2のモードを実行するため、画像形成途中で画像品質が変わることなく全体を通して一定の画像品質で記録媒体に画像を形成することができる。
【0012】
また、本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、前記第2のモードを実行する場合には、前記記録媒体の搬送速度が、前記第1のモードを実行する場合と比べて遅くなるように前記搬送機構を制御することが好ましい。上記の構成によれば、制御手段が第2のモードを実行する場合には、第1のモードを実行する場合と比べて、記録媒体の搬送速度が遅くされているので、搬送中に記録媒体が浮き上がることが抑制されている。その結果、第1液体吐出ヘッドの吐出口と記録媒体との間隔が、第1のモードを実行する場合と比べて小さい第2のモードを制御手段が実行する場合においても、搬送中に記録媒体が第1液体吐出ヘッドに接触することを防止でき、その結果、用紙ジャムの発生を防止することができる。
【0013】
また、本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、前記第2のモードを実行する場合には、前記記録媒体上の単位面積当たりに対して、前記第1液体吐出ヘッドの前記第1吐出口から吐出される前記第1液体の液量を、前記第1のモード実行時に吐出される液量よりも多くすることが好ましい。上記の構成によれば、制御手段が第2モードを実行する場合において、記録媒体上の単位面積当たりに対して着弾(塗布)される第1液体の液量が多くなるため、記録媒体上での第1液体の発色濃度を向上させ、第2液体を使用しないことによる発色濃度の低下を補完することができる。
【発明の効果】
【0014】
前処理液が切れた場合又は少量しか残っておらず、前処理液を使用せずに画像記録を行う場合においても、記録媒体に形成される画像の品質劣化を防止して、画像品質を維持することができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。
【図2】インクジェットヘッドの吐出面と用紙との間隔について説明する説明図である。
【図3】図1に示す制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】液量判定部の判定結果、印字モード判定部の判定結果、及び品質レベル記憶部に記憶されている品質レベルと、実行モード決定武が決定する実行モードとの対応関係を表した対応表である。
【図5】図1に示すインクジェットプリンタの印刷動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の変形例における搬送機構の構成を示す概略図である。
【図7】本発明の変形例によるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態として、液体吐出装置をインクジェットプリンタに適用し、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
本実施形態のインクジェットプリンタ101は、図1に示すように、略直方体形状の筐体101aを有している。筐体101a内には、用紙(記録媒体)Pを搬送方向(図1中左方から右方に向かう方向)に搬送する搬送機構16と、搬送機構16によって搬送された用紙Pに、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクのインク滴をそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド1(1A,1B)と、各インクの色素成分を凝集又は析出させるプレコート液の液滴を吐出するプレコートヘッド(第2液体吐出ヘッド)2と、ヘッド昇降機構(間隔調整手段)33と、インクジェットプリンタ101全体を制御する制御部(制御手段)100とが設けられている。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送機構16で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
【0018】
また、筐体101a内には、タンクユニット101cが設けられている。タンクユニット101cの内部には、ブラックのインク液が貯溜された1つのインクタンク(第1液体貯溜室)20a、マゼンタ、シアン、及びイエローのインク液がそれぞれ貯溜された3つのインクタンク20b、並びにプレコート液が貯溜された1つのプレコート液タンク(第2液体貯溜室)20cが格納されている。インクタンク20a、20b及びプレコート液タンク20cは、タンクユニット101cに対して着脱可能に装着されている。
【0019】
インクタンク20a、20bに貯溜されたインク液は、インクチューブ(不図示)を介して、対応するインクジェットヘッド1A,1Bに供給される。同様に、プレコート液タンク20cに貯留されたプレコート液は、プレコートチューブ(不図示)を介して、プレコートヘッド2に供給される。なお、タンクユニット101cには、各インクタンク20a、20bに貯溜されたインク液の貯溜量を検出するインク貯溜量検出装置50(図3参照)がインクタンク毎に設けられている。同様に、タンクユニット101cには、プレコート液タンク20cに貯溜されたプレコート液の貯溜量を検出するプレコート液貯溜量検
出装置(第2液体貯溜量検出手段)51(図3参照)が設けられている。
【0020】
なお、プレコート液としては、一般的に顔料インクに対しては顔料色素を凝集させるプレコート液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させるプレコート液が使用される。プレコート液の材料は、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等、適宜に選択可能である。かかるプレコート液があらかじめ塗布された用紙Pの領域にインクが着弾すると、多価金属塩等がインクの着色剤である染料又は顔料に作用して、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出により形成される。なお、プレコート液は、インクの発色濃度を向上させる機能を有していてもよい。
【0021】
また、インクジェットプリンタ101には、用紙Pの搬送経路に沿って、給紙ユニット101b、給紙ユニット101bの上方に配置された搬送機構16、及び用紙Pが排出される排紙部15が設けられている。また、インクジェットプリンタ101には、筐体101aの図1中左方の側面から左方に向かって突出し、上方にやや傾いて配置された手差しトレイ37が設けられている。手差しトレイ37は、開口102を介して筐体101aに着脱可能に設けられている。
【0022】
給紙ユニット101bは、筐体101aに対して着脱可能に配置されており、給紙トレイ11と、給紙ローラ12とを有している。給紙トレイ11は、上方に向かって開口した箱形状を有しており、複数枚の用紙Pが積層された状態で収納される。給紙ローラ12は、制御部100の制御によって給紙トレイ11の最も上方にある用紙Pを搬送機構16に送り出す。送り出された用紙Pは、ガイド13a、13bに沿って送りローラ対14により搬送機構16へと送られる。なお、本実施形態においては、給紙トレイ11には、普通紙が収納されている。
【0023】
手差しトレイ37の筐体101a内に存在する端部近傍には、手差しトレイ37上に保持された用紙Pを搬送機構16に送り出す、手差しトレイ用給紙ローラ36が配置されている。手差しトレイ用給紙ローラ36は、制御部100の制御によって手差しトレイ37の最も上方にある用紙Pを搬送機構16に送り出す。なお、本実施形態においては、手差しトレイ37には、はがき等の厚紙や封筒が収納されている。
【0024】
搬送機構16は、2つのベルトローラ6、7と、搬送ベルト8と、テンションローラ10と、プラテン18とを有している。搬送ベルト8は、両ベルトローラ6、7の間に巻回されたエンドレスのベルトであり、テンションローラ10によってテンションが付加されている。ベルトローラ7は、図示しないモータによって図1中時計回りに回転駆動される駆動ローラであって、搬送ベルト8を走行させる。ベルトローラ6は、搬送ベルト8が走行することによって回転する従動ローラである。搬送ベルト8の外周面には、弱粘着性のシリコン層が形成されており、載置された用紙Pを保持する。搬送ベルト8の外周面に載置された用紙Pは、図1右方へと搬送される。
【0025】
搬送機構16における用紙Pの搬送方向に関する下流側には、剥離プレート5が配置されている。搬送機構16によって搬送方向に搬送された用紙Pは、プレコートヘッド2及び4つのインクジェットヘッド1A,1Bの下方を順に通過した後に、剥離プレート5によって、搬送ベルト8の搬送面から剥離される。剥離プレート5によって剥離された用紙Pは、ガイド29a、29bに沿って2組の送りローラ対28により上方に搬送され、筐体101aの上部に形成された排出口22から排紙部15へと排出される。プラテン18は、4つのインクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2に対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。
【0026】
4つのインクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2は、同一構造を有して
おり、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向には互いに平行かつ等間隔に配置されている。各インクジェットヘッド1A,1Bの下面は、主走査方向に沿って600dpiの間隔で配列された複数の吐出口が形成された吐出面1a、1bとなっている。すなわち、インクジェットプリンタ101は、主走査方向にインク滴が吐出される複数の吐出口が配列されたライン式のカラーインクジェットプリンタである。また、同様に、プレコートヘッド2の下面は、主走査方向に沿って600dpiの間隔で配列された複数の吐出口が形成された吐出面2aとなっている。
【0027】
4つのインクジェットヘッド1A,1Bのうち、搬送方向に沿って最も上流に配置されたインクジェットヘッド1A(第1液体吐出ヘッド)からはブラックのインク滴が吐出される。残り3つのインクジェットヘッド1Bからは、ブラック以外のカラー色(すなわち、マゼンタ、シアン、イエロー)のインク滴が吐出される。また、プレコート液滴が吐出されるプレコートヘッド2は、4つのインクジェットヘッド1A,1Bの搬送方向に関する上流側に配置されている。
【0028】
搬送ベルト8の上側ループの外周面と各吐出面1a、1b、2aとが対向しつつ平行となっている。搬送ベルト8によって搬送されてきた用紙Pは、プレコートヘッド2のすぐ下方を通過する際に、用紙Pの上面における画像が形成される領域にプレコート液が塗布されるように、プレコートヘッド2からプレコート液滴が吐出される。その後、当該用紙Pが、4つのインクジェットヘッド1A,1Bのすぐ下方を通過する際に、用紙Pの上面におけるプレコート液が塗布された領域に、各インクジェットヘッド1A,1Bから各色のインク滴が順に吐出される。これにより、用紙P上に所望のモノクロ画像、又はカラー画像が形成される。このとき、用紙P上に塗布されたプレコート液上にインク滴が着弾すると、プレコート液がインク滴の色素成分を凝集又は析出させるため、用紙Pにおけるインク滲みが防止される。
【0029】
ヘッド昇降機構33は、インクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2をそれぞれ支持するフレーム35a、35b、35cと、フレーム35a、35b、35cを、それぞれ独立して昇降可能な昇降装置(不図示)とを有している。なお昇降装置としては、例えば、ラックとピニオンやソレノイド等を用いることができる。
【0030】
図1に示すように、プレコートヘッド2は、フレーム35aに固定されている。ブラックのインク滴を吐出するブラック用のインクジェットヘッド1Aはフレーム35bに固定されている。イエロー、シアン及びマゼンタのカラー色のインク滴を吐出する3つのカラー用のインクジェットヘッド1Bは、フレーム35cに固定されている。
【0031】
ヘッド昇降機構33は、フレーム35a、35b、35cを昇降させることで、4つのインクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2を上下動させることができ、これにより、ヘッド昇降機構33は、搬送ベルト8に載置された用紙Pと4つのインクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2の吐出面1a、1b、2aとの間に、用紙Pの厚さ等に応じた、画像形成に適した所定の間隔を形成することができる。
【0032】
また、ヘッド昇降機構33は、フレーム35bを昇降させることで、ブラック用のインクジェットヘッド1Aを、「第1の位置」(図2の(a)参照)と、搬送ベルト8に載置された用紙Pとインクジェットヘッド1Aとの間隔が「第1の位置」よりも小さい「第2の位置」(図2の(b)参照)との間において移動させることができる。
【0033】
ここで、「第1の位置」とは、インクジェットヘッド1Aの吐出面1aに対するプレコート液の付着の抑制を目的として設定された位置のことである。より詳細に述べると、一般に、プレコート液が付着した用紙がインクジェットヘッドに接触すると、このインクジ
ェットヘッドの吐出面にプレコート液が付着して、インクジェットヘッドが吐出不良を起こすという問題がある。また、プレコートヘッドから吐出された一部のプレコート液は、用紙に付着せずに用紙上に舞い上がるため、この一部のプレコート液がインクジェットヘッドの吐出面に付着して、インクジェットヘッドが吐出不良を起こす問題がある。「第1の位置」は、これらの問題を解消すべく、搬送ベルト8に載置された用紙Pとインクジェットヘッド1Aの吐出面1aとの間隔が、プレコート液の付着の抑制を目的として広めに設定された位置である。
【0034】
これに対して、「第2の位置」とは、搬送ベルト8に載置された用紙Pとインクジェットヘッド1Aの吐出面1aとの間隔が、「第1の位置」の間隔d1よりも小さい間隔d2に設定された位置のことである。この「第2の位置」における間隔d2とは、具体的には、印字時において、搬送ベルト8に載置された用紙Pがインクジェットヘッド1Aの吐出面1aに接触しない程度の間隔である。
【0035】
また、ヘッド昇降機構33は、フレーム35cを昇降させることで、3つのカラー用のインクジェットヘッド1Bを、搬送ベルト8に載置された用紙Pとインクジェットヘッド1Bの吐出面1bとの間隔がd1である「第1の位置」に移動させることができる。即ち、ヘッド昇降機構33は、インクジェットヘッド1Bの吐出面1bに対するプレコート液の付着の抑制を目的として設定された位置にインクジェットヘッド1Bを移動させることができる。
【0036】
次に、図3及び図4を参照しつつ、制御部100について説明する。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログ
ラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶
するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。制御部100を構成する各機能部は、これらハードウェアとEEPROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。図3に示すように、制御部100は、インクジェットプリンタ101全体を制御するものであり、画像データ記憶部130、液量判定部131、品質レベル記憶部132、印字モード判定部133、実行モード決定部134、給紙トレイ記憶部135、搬送制御部136、画像データ変更部137、間隔制御部138、及びヘッド制御部139を有している。
【0037】
また、制御部100は、「第1のモード」、「第2のモード」、及び「第3のモード」の実行モードを実行可能にされている。「第1のモード」とは、制御部100が、インクジェットヘッド1A、1Bが「第1の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御し(図2の(a)参照)、少なくともインクジェットヘッド1Aの吐出口からブラックのインク滴が吐出されるようにインクジェットヘッド1を制御し、且つプレコートヘッド2の吐出口からプレコート液が吐出されるようにプレコートヘッド2を制御する実行モードである。この「第1のモード」は、プレコート液を使用して画像を形成するため、プレコート液を使用して画像を形成しない「第2のモード」及び「第3のモード」と比べて、高画質の画像を用紙Pに形成することができる実行モードである。
【0038】
「第2のモード」とは、制御部100が、ブラック用のインクジェットヘッド1Aが「第2の位置」に位置し、カラー用のインクジェットヘッド1Bが「第1の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御し(図2の(b)参照)、且つ、インクジェットヘッド1Aの吐出口からブラックのインク滴を吐出し、インクジェットヘッド1Bの吐出口からはカラーのインクインク滴が吐出されないようにインクジェットヘッド1を制御し、且つプレコートヘッド2の吐出口からプレコート液が吐出されないようにプレコートヘッド2を制御する実行モードである。この「第2のモード」は、プレコート液を使用しないた
め「第1のモード」と比べて画像品質は多少劣ることになるが、インクジェットヘッド1Aが「第2の位置」に位置されており、インクジェットヘッド1Aから吐出されるインク滴の用紙Pに対する着弾位置精度を、インクジェットヘッド1Aが「第1の位置」に位置されている場合よりも向上させることができるため、高画質のモノクロ画像を用紙Pに形成することができる実行モードである。
【0039】
なお「第2のモード」において、ブラック用のインクジェットヘッド1Aのみを「第2の位置」に位置させる理由は、3つのカラー用のインクジェットヘッド1Bも「第2の位置」に位置させた場合、用紙ジャムを発生する可能性が高いからである。具体的に述べると、インクジェットヘッドからインクが吐出されて、このインクが用紙に塗布されると、この塗布の直後に、塗布されたインクの影響を受けて用紙がカールすることがある。従って、任意のインクジェットヘッドよりも搬送経路において下流側に配置されたインクジェットヘッドを、「第2の位置」に位置させた場合、上流側に配置されたインクジェットから吐出されたインクの影響を受けてカールした用紙が、この下流側に配置されたインクジェットに接触して、その結果、用紙ジャムが発生する可能性がある。そこで、本実施形態においては、用紙ジャムの発生の可能性を少しでも減少させると共にブラックのインクで印字されることが多い文字の画質を高めるために、上記のように、ブラック用のインクジェットヘッド1Aのみを「第2の位置」に位置させている。
【0040】
「第3のモード」とは、インクジェットヘッド1A、1Bが「第1の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御し(図2の(a)参照)、少なくともインクジェットヘッド1Aの吐出口からブラックのインクが吐出されるようにインクジェットヘッド1を制御し、且つプレコートヘッド2の吐出口からプレコート液が吐出されないようにプレコートヘッド2を制御する実行モードである。この「第3のモード」は、「第1のモード」及び「第2のモード」と比べて、用紙Pに形成される画像品質は劣る実行モードである。
【0041】
画像データ記憶部130は、用紙P上に形成(印字)される画像にかかる画像データを記憶している。画像データは、用紙P上を搬送方向及び主走査方向(搬送方向に直交する直交方向)に沿って区画する画像の解像度に対応する複数の画素(単位領域)のそれぞれについて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インク及びプレコート液に係る濃度値を有している。濃度値は、吐出無し、小滴、中滴及び大滴に対応する4値に量子化されている。
【0042】
液量判定部131は、プレコート液貯溜量検出装置51により検出された、プレコート液タンク20cのプレコート液の貯溜量が所定量未満である場合には「プレコート液残量なし」と判定し、所定量以上である場合には「プレコート液残量あり」と判定する。ここで所定量とは、プレコートヘッド2がプレコート液を吐出可能な状態から、貯溜量の低下によりプレコート液を吐出不可能な状態へと変移するときの、プレコート液タンク20cに貯溜された貯溜量のことである。また、液量判定部131は、「プレコート液残量あり」と判定した場合には、画像データ記憶部130に記憶された画像データを用紙Pに形成するために必要なプレコート液の液量を、この画像データを用紙Pに形成する前に算出する。そして、プレコート液貯溜量検出装置51により検出されたプレコート液の貯溜量から、算出した液量を減じた量が上述の所定量以上である場合には、液量判定部131は、「印字終了時までプレコート液残量あり」と判定し、所定量未満であると判定した場合には、「印字途中でプレコート液残量なし」と判定する。
【0043】
また、液量判定部131は、画像データ記憶部130に記憶された画像データを用紙Pに形成するために必要なインク液の液量を、この画像データを用紙Pに形成する前に算出する。そして、インク貯溜量検出装置50により検出されたインク液の貯溜量から、算出した液量を減じた量が上述の所定量未満である場合には、「インク液残量なし」と判定し
、インク切れであることを示す情報を上位のPC等に送信する。
【0044】
品質レベル記憶部132は、用紙Pに形成される画像の品質に関する多段階の複数の品質レベルの中から一の品質レベルを記憶する。本実施形態においては、品質レベル記憶部132は、高画質レベル、中画質レベル、低画質レベルの中から一の品質レベルを記憶する。なお、この品質レベル記憶部132に記憶されている品質レベルは、上位のPC等から転送されてきた印刷データに基づいて変更される。
【0045】
印字モード判定部133は、画像データ記憶部130に記憶されている画像データに基づいて、4つのインクジェットヘッド1A,1Bからインク滴を吐出してカラー印字を行うカラー印字モード、及び、ブラック用のインクジェットヘッド1Aのみからインク滴を吐出してモノクロ印字を行うモノクロ印字モードのいずれを行うかを判定する。
【0046】
実行モード決定部134は、「第1のモード」、「第2のモード」、及び「第3のモード」の中から、制御部100が実行する実行モードを決定する。本実施形態においては、図4に示すように、液量判定部131が「印字終了時までプレコート液残量あり」と判定した場合には、実行モード決定部134は、実行モードとして「第1のモード」を決定する。
【0047】
また、実行モード決定部134は、液量判定部131が「プレコート液残量なし」又は「印字途中でプレコート液残量なし」と判定し、印字モード判定部133がモノクロ印字モードを行うと判定し、且つ品質レベル記憶部132に記憶されている品質レベルが高画質レベルである場合には、実行モードとして「第2のモード」を決定する。
【0048】
また、実行モード決定部134は、液量判定部131が「プレコート液残量なし」又は「印字途中でプレコート液残量なし」と判定し、且つ、印字モード判定部133がカラー印字モードを行うと判定している、又は品質レベル記憶部132に記憶されている品質レベルが中画質レベル若しくは低画質レベルである場合には、実行モードとして「第3のモード」を決定する。即ち、実行モード決定部134は、実行モードとして、上記「第1のモード」や「第2のモード」を決定する場合以外は、「第3のモード」を決定する。
【0049】
給紙トレイ記憶部135は、搬送機構16に用紙Pを送り出すトレイに関する情報を記憶する。具体的には、給紙トレイ記憶部135は、給紙トレイ11を示す情報、又は手差しトレイ37を示す情報のどちらか一方を記憶する。この品質レベル記憶部132に記憶されているトレイに関する情報は、上位のPC等から転送されてきた印刷データに基づいて変更される。
【0050】
搬送制御部136は、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28、手差しトレイ用給紙ローラ36、及び搬送機構16を制御する。なお、給紙トレイ記憶部135が給紙トレイ11を示す情報を記憶している場合には、搬送制御部136は、給紙トレイ11の最も上方にある用紙Pを搬送機構16に送り出すように給紙ユニット101bを制御する。これに対して、給紙トレイ記憶部135が手差しトレイ37を示す情報を記憶している場合には、手差しトレイ37の最も上方にある用紙Pを搬送機構16に送り出すように手差しトレイ用給紙ローラ36を制御する。
【0051】
また、搬送制御部136は、実行モード決定部134が、実行モードとして「第2のモード」を決定した場合には、即ち、制御部100が「第2のモード」を実行する場合には、搬送ベルト8による用紙Pの搬送速度が「第1のモード」を実行する場合と比べて遅くなるように、搬送機構16を制御する。これにより、搬送中に用紙Pが浮き上がることが抑制することができるので、搬送中に用紙Pがインクジェットヘッド1Aに接触すること
を防止でき、その結果、用紙ジャムの発生を防止することができる。
【0052】
画像データ変更部137は、品質レベル記憶部132に記憶されている品質レベルに基づいて、画像データ記憶部130に記憶されている画像データを変更する。また、画像データ変更部137は、画像データ記憶部130に記憶されている画像データを、実行モード決定部134が決定した実行モードに応じた適正な画像データに変更する。以下、具体的に説明する。
【0053】
一般的に、カール防止やインクの裏抜けなどの対策として、用紙Pの単位面積当たりに対して塗布可能な総液量は決まっている。従って、「第1のモード」では、プレコートヘッド2からプレコート液が吐出されて用紙Pに塗布されることになるため、用紙Pの単位面積当たりに対して塗布可能なインクの最大の液量は、上記の総液量からプレコート液の液量を減算した量となる。これに対して、「第2のモード」では、プレコートヘッド2からプレコート液の吐出が行われないため、用紙Pの単位面積当たりに対して塗布可能なインクの最大の液量は、上記の総液量となる。本実施形態においては、実行モード決定部134が実行モードとして「第2のモード」を決定した場合には、画像データ変更部137は、「第1のモード」の場合に比べて、用紙P上の単位面積当たりに対して、インクジェットヘッド1Aの吐出口から吐出されるブラックのインクの液量が多くなるように、画像データ記憶部130に記憶されている画像データを変更する。即ち、インクジェットヘッド1Aから吐出されるインク滴の液滴サイズを大きくする。このようにすることで、用紙Pに塗布されたインクの発色濃度を向上させることができるため、用紙Pに形成される画像の品質を高いものにすることができる。また、一般的に、プレコート液を使用するとインクの発色濃度を向上するので、「第2のモード」における発色濃度の低下が懸念されるが、この構成によれば、「第2のモード」における発色濃度の低下を補完することができる。
【0054】
また、実行モード決定部134が実行モードとして「第2のモード」を決定した場合には、上記のように、搬送制御部136により搬送ベルト8による用紙Pの搬送速度が「第1のモード」の場合と比べて遅くされているため、画像データ変更部137は、ハードウェア構成により定められる最大データ転送速度を超えない範囲で、画像の解像度が上がるように、画像データ記憶部130に記憶されている画像データを変更することができる。例えば、搬送速度が「第1のモード」の場合の半分とし、副走査方向の画像解像度を600dpiから1200dpiに変更して画像記録を行う。また、画像の解像度を上げずに誤差拡散処理やエッジ処理などのデータ処理を高精度にものに変更し、画像品質を向上してもよい。
【0055】
間隔制御部138は、実行モード決定部134が決定した実行モードに基づいて、ヘッド昇降機構33を制御する。具体的には、実行モード決定部134が、実行モードとして「第1のモード」、又は「第3のモード」を決定した場合には、インクジェットヘッド1A、1Bが「第1の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御する(図2の(a)参照)。即ち、間隔制御部138は、「第2のモード」以外の実行モードを実行する場合には、インクジェットヘッド1A、1Bが「第1の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御する。また、実行モード決定部134が実行モードとして「第2のモード」を決定した場合には、ブラック用のインクジェットヘッド1Aが「第2の位置」に位置し、カラー用のインクジェットヘッド1Bが「第1の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御する(図2の(b)参照)。
【0056】
ヘッド制御部139は、画像データ記憶部130に記憶された画像データ、及び実行モード決定部134により決定された実行モードに基づいて、インクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2を制御する。具体的には、実行モード決定部134が実行モードとし
て「第1のモード」を決定した場合には、ヘッド制御部139は、所定の体積を有するプレコート液滴を所定のタイミングで吐出口から吐出されるようにプレコートヘッド2を制御すると共に、所定の体積を有するインク滴を所定のタイミングで吐出口から吐出されるように各インクジェットヘッド1を制御する。
【0057】
また、実行モード決定部134が実行モードとして「第2のモード」又は「第3のモード」を決定した場合には、ヘッド制御部139は、プレコート液が吐出されないようにプレコートヘッド2を制御すると共に、所定の体積を有するインク滴を所定のタイミングで吐出口から吐出されるように各インクジェットヘッド1を制御する。なお、ヘッド制御部139は、印字モード判定部133がモノクロ印字モードを行うと判定した場合には、インクジェットヘッド1Aのみからインクが吐出されるようにインクジェットヘッド1を制御し、印字モード判定部133がカラー印字モードを行うと判定した場合には、すべてのインクジェットヘッド1A,1Bからインクが吐出されるようにインクジェットヘッド1を制御する。
【0058】
次に、インクジェットプリンタ101の印刷動作について説明する。図5に示すように、インクジェットプリンタ101が、上位のPCから、画像データ、給紙トレイを示す情報、及び品質レベル等を含む印刷データを受信する(S1)。このとき、印刷データに含まれる画像データは画像データ記憶部130に、印刷データに含まれる給紙トレイを示す情報は、給紙トレイ記憶部135に、また印刷データに含まれる品質レベルは、品質レベル記憶部132に記憶される。
【0059】
次に、液量判定部131が、「インク液残量なし」と判定した場合(S2:YES)には、インク切れであることを示す情報をPCに送信し、本処理動作を終了する。一方、液量判定部131が、「インク液残量なし」と判定していない場合(S2:NO)には、実行モード決定部134が、液量判定部131の判定結果、印字モード判定部133の判定結果、及び品質レベル記憶部132に記憶されている品質レベルに基づいて、「第1のモード」、「第2のモード」、及び「第3のモード」の中から、制御部100が実行する実行モードを決定する(S3)。
【0060】
実行モード決定部134が、実行モードとして、「第2のモード」以外の「第1のモード」又は「第3のモード」を決定した場合(S4:NO)には、間隔制御部138が、図2(a)に示すように、4つのインクジェットヘッド1が「第1の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御し(S5)、ステップS6に進む。
【0061】
ステップS6においては、制御部100は、印字モード判定部133が、モノクロ印字モードを行わないと判定していたとき(S6:NO)は、カラー印字モードを行うとしてステップ7に進み、モノクロ印字モードを行うと判定していたとき(S6:YES)はステップ8に進む。
【0062】
ステップS7においては、搬送制御部136が、搬送方向に沿って用紙Pが搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28、手差しトレイ用給紙ローラ36、及び搬送機構16を制御する。このとき、ヘッド制御部139が、画像データ記憶部130に記憶されている画像データに基づいて、吐出口から所定の体積のインク滴を所定のタイミングで吐出されるように、各インクジェットヘッド1A,1Bを制御する。また、実行モード決定部134が実行モードとして「第1のモード」を決定していた場合には、吐出口から所定の体積のプレコート液滴を所定のタイミングで吐出されるようにプレコートヘッド2はヘッド制御部139により制御され、その結果、プレコート液が塗布された高画質のカラー画像が用紙Pに形成されることになる。一方、実行モード決定部134が実行モードとして「第3のモード」を決定していた場合には、ヘッド制御部139に
より、吐出口からプレコート液滴が吐出されないようにプレコートヘッド2が制御され、プレコート液が塗布されていないカラー画像が用紙Pに形成されることになる。
【0063】
ステップ8においては、搬送制御部136が、搬送方向に沿って用紙Pが搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28、手差しトレイ用給紙ローラ36、及び搬送機構16を制御する。このとき、ヘッド制御部139が、画像データ記憶部130に記憶されている画像データに基づいて、吐出口から所定の体積のインク滴を所定のタイミングでインクジェットヘッド1Aのみから吐出されるように、インクジェットヘッド1を制御する。また、実行モード決定部134が実行モードとして「第1のモード」を決定していた場合には、ヘッド制御部139により、吐出口から所定の体積のプレコート液滴を所定のタイミングで吐出されるようにプレコートヘッド2は制御され、その結果、プレコート液が塗布された高画質のモノクロ画像が用紙Pに形成されることになる。一方、実行モード決定部134が実行モードとして「第3のモード」を決定していた場合には、ヘッド制御部139により、吐出口からプレコート液滴が吐出されないようにプレコートヘッド2が制御され、プレコート液が塗布されていないモノクロ画像が用紙Pに形成されることになる。
【0064】
一方、実行モード決定部134が実行モードとして「第2のモード」を決定した場合(S4:YES)には、間隔制御部138が、図2(b)に示すように、3つのカラー用のインクジェットヘッド1Bが「第1の位置」に位置し、ブラック用のインクジェットヘッド1Aが「第2の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御する(S9)。
【0065】
次に、画像データ変更部137が、画像データ記憶部130に記憶されている画像データを、「第2のモード」に応じた適正な画像データに変更し(S10)、ステップS11に進む。
【0066】
ステップS10においては、搬送制御部136が、搬送方向に沿って用紙Pが搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28、手差しトレイ用給紙ローラ36、及び搬送機構16を制御する。なお、搬送ベルト8による用紙Pの搬送速度は、「第1のモード」を実行する場合と比べて遅くされている。また、このとき、ヘッド制御部139が、画像データ記憶部130に記憶されている画像データに基づいて、吐出口から所定の体積のインク滴を所定のタイミングでインクジェットヘッド1Aのみから吐出されるように、インクジェットヘッド1を制御し、且つ、吐出口からプレコート液滴が吐出されないようにプレコートヘッド2を制御することで、プレコート液が塗布されていないモノクロ画像が用紙Pに形成されることになる。以上、インクジェットプリンタ101の印刷動作について説明した。
【0067】
本実施形態によると、プレコート液タンク20cに貯溜されたプレコート液の貯溜量が所定量未満であり、且つ品質レベル記憶部132に記憶されている品質レベルが高品質レベルである場合には、インクジェットヘッド1Aと用紙Pとの間隔が小さい「第2の位置」にインクジェットヘッド1Aが位置されるので、このインクジェットヘッド1Aの吐出口から吐出されるインクの用紙Pに対する着弾位置精度を向上させることができ、その結果、プレコート液を使用しなくとも用紙Pに形成される画像の品質劣化を防止して、所望の画像品質を維持することができる。
【0068】
また、本実施形態によると、プレコート液タンク20cに貯溜されたプレコート液の貯溜量が画像形成途中において所定量未満となるような場合には、画像の形成開始時から、「第2のモード」を実行するため、画像形成途中で画像品質が変わることなく全体を通して一定の画像品質で用紙Pに画像を形成することができる。
【0069】
また、本実施液体によると、「第2のモード」を実行する場合には、第1のモードを実行する場合と比べて、用紙Pの搬送速度が遅くされているので、搬送中に用紙Pが浮き上がることが抑制されている。その結果、インクジェットヘッド1Aの吐出口と用紙Pとの間隔が、「第1のモード」を実行する場合と比べて小さい「第2のモード」を制御手段が実行する場合においても、搬送中に用紙Pがインクジェットヘッド1Aに接触することを防止でき、その結果、用紙ジャムの発生を防止することができる。
【0070】
また、本実施液体によると、制御部100が、第2モードを実行する場合において、用紙P上の単位面積当たりに対して着弾(塗布)されるインクの液量が多くされているため、用紙P上でのインクの発色濃度を向上させ、プレコート液を使用しないことによる発色濃度の低下を補完することができる。
【0071】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態では、プレコート液タンク20cに貯溜されたプレコート液の貯溜量が画像形成途中において所定量未満となるような場合には、制御部100は、画像の形成開始時から、「第2のモード」を実行するようにされているが、プレコート液タンク20cに貯溜されたプレコート液の貯溜量が上述の所定量未満となるまで「第1のモード」を実行し、その後、画像の形成途中から「第2のモード」を実行するようにされていてもよい。
【0072】
また、プレコート液タンク20cに貯溜されたプレコート液の貯溜量が画像形成途中において所定量未満となるような場合には、画像の形成開始時から「第2のモード」で実行するか、プレコート液タンク20cに貯溜されたプレコート液の貯溜量が上述の所定量となるまで「第1のモード」を実行し、その後、画像の形成途中から「第2のモード」を実行するかを、ユーザに問い合わせる信号をPC等に送信するようにされていてもよい。これにより、画像品質は用紙途中から変わるがプレコート液が所定量未満となるまでプレコート液を吐出して高品質の画像を形成するか、或いはプレコート液を吐出させる場合と比べて画像品質は多少劣化するが、全体を通じて画像の品質が変わらないように用紙上に画像を形成するかをユーザに選択させることができる。また、ユーザに問い合わせる信号をPC等に送信するときに、画像形成中において、プレコート液が所定量未満となるタイミング(用紙上の位置など)をユーザが把握可能な情報を付していてもよい。
【0073】
また、実行モード決定部134が実行モードとして「第2のモード」を決定する決定要素として、給紙トレイ記憶部135に給紙トレイ11を示す情報が記憶されていることを含めてもよい。即ち、実行モード決定部134は、液量判定部131が「プレコート液残量なし」又は「印字途中でプレコート液残量なし」と判定し、印字モード判定部133がモノクロ印字モードを行うと判定し、且つ品質レベル記憶部132に記憶されている品質レベルが高画質レベルであり、且つ給紙トレイ記憶部135に給紙トレイ11を示す情報が記憶されている場合に、実行モードとして「第2のモード」を決定するようにされていてもよい。手差しトレイ37に収納されているはがきや封筒などの用紙は、厚みがあるため、インクジェットヘッド1Aを「第2の位置」に位置させた場合に、用紙とインクジェットヘッドとが接触する可能性がある。そこで、上記のように給紙トレイ記憶部135に手差しトレイを示す情報が記憶されている場合は、実行モード決定部134が「第2のモード」を決定しないようにすることで、手差しトレイ37に収納されている用紙Pがインクジェットヘッド1に接触する可能性をなくすことができる。
【0074】
また、制御部100が、実行モードとして、インクジェットヘッド1A、1Bを「第1の位置」と「第2の位置」との間の「第3の位置」に位置し、且つ、インクジェットヘッド1A、1Bの吐出口各々からインク滴を吐出するようにインクジェットヘッド1を制御
し、且つプレコートヘッド2の吐出口からプレコート液が吐出されないようにプレコートヘッド2を制御する「第4のモード」を実行可能にされていてもよい。なお、「第3の位置」とは、搬送経路において上流側に配置されたインクジェットヘッドから吐出されたインクの影響を受けて用紙Pがカールした場合においても、このカールした用紙Pが下流側に配置されたインクジェットヘッドの吐出面に接触しない程度に、搬送ベルト8に載置された(カールしていない状態時の)用紙Pとインクジェットヘッドの吐出面との間に間隔が形成された位置のことである。この「第4のモード」では、「第1のモード」と比べて用紙Pに形成される画像品質は劣るが、インクジェットヘッド1A、1Bから吐出されるインク滴の用紙Pに対する着弾位置精度を、インクジェットヘッド1A、1Bが「第1の位置」に位置されている場合よりも向上させることができるため、「第3のモード」と比べて高画質のカラー画像を形成することができる。
【0075】
また、上述の実施形態では、プレコート液の貯溜量における所定量を、プレコートヘッド2がプレコート液を吐出可能な状態から、貯溜量の低下によりプレコート液を吐出不可能な状態へと変移するときの、プレコート液タンク20cに貯溜された貯溜量のこととしているが、適宜設定可能である。例えば、プレコート液タンク20cを交換までにプレコートヘッド2のメンテナンス(パージ等)に使用するであろう液量を考慮し、所定量をプレコート液タンク20cの容量の10%の液量と設定してもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、「第2のモード」において、ブラック用のインクジェットヘッド1Aを「第2の位置」に位置し、カラー用のインクジェットヘッド1Bが「第1の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御する形態であるが、カラー印字を行う場合には、ブラック用のインクジェットヘッド1Aとカラー用のインクジェットヘッド1Bの両方を「第2の位置」に位置するようにヘッド昇降機構33を制御してもよい。
【0077】
また、上述の実施形態では、実行モード決定部134は、液量判定部131が「プレコート液残量なし」又は「印字途中でプレコート液残量なし」と判定し、且つ品質レベル記憶部132に記憶されている品質レベルが高画質レベルである場合に、実行モードとして「第2のモード」を決定しているが、液量判定部131が「プレコート液残量なし」又は「印字途中でプレコート液残量なし」と判定した場合に、品質レベルを高画質レベルから中画質レベル若しくは低画質レベルへ変更するかどうかをユーザに問い合わせ、ユーザより「変更しない」という指令があった場合に「第2のモード」を決定してもよい。この場合、ユーザからの指令があるまで実行モード決定部134による実行モードの決定を待機してもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、ブラック(K)のインクジェットヘッド1Aだけでなく、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクジェットヘッド1Bを有する構成であるが、図6に示すように、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクジェットヘッド1Bを有さない構成であってもよい。また、搬送機構16が、2つのベルトローラ6、7と、搬送ベルト8と、テンションローラ10と、プラテン18とを有している構成であるが、搬送ベルトを有せず、図6に示すように、複数の拍車ローラ38等により用紙Pを搬送する構成であってもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、プレコート液は、プレコートヘッド2から吐出されることによって、搬送ベルト8で搬送されてきた用紙Pに塗布されていたが、図7に示すように、プレコートヘッド2の替わりに、ローラによってプレコート液を用紙Pに塗布してもよい。図7には、プレコート液を用紙Pに塗布して付着させる手段として、ローラ110と、プレコート液タンク20cに貯留されたプレコート液をローラ110の表面に供給する供給機構120とが設けられるとともに、それ以外の構成は上述の実施形態と同じであるインクジェットプリンタ101が示されている。また、実行モード決定部134が決定する3つの実行モードも上述の実施形態と同じように実行される。この変形例によれば、プレコート液はローラ110によって塗布されることで、用紙Pの記録面全体に対して均一に付着される。
【0080】
また、本発明は、インク以外の液体を吐出する液体吐出装置にも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。また、インクへのプレコート液の作用としては、インクとプレコート液が混ざることで化学反応して、インク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、化学反応することなしインク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、一般的に顔料インクに対しては顔料色素を凝集させるプレコート液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させるプレコート液が使用されるのは上述の通りであるが、
凝集および析出の両方の作用を有してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1A インクジェットヘッド(第1液体吐出ヘッド)
1B インクジェットヘッド
2 プレコートヘッド(第2液体吐出ヘッド)
16 搬送機構
20b インクタンク(第1液体貯溜室)
20c プレコート液タンク(第2液体貯溜室)
33 ヘッド昇降機構(間隔調整手段)
51 プレコート液貯溜量検出装置(第2液体貯溜量検出手段)
100 制御部(制御手段)
132 品質レベル記憶部(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、
記録媒体に画像を形成するための第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、
前記第1液体貯溜室に貯溜された第1液体を吐出するための第1吐出口が形成された第1液体吐出ヘッドと、
前記第1液体に作用して前記第1液体中の成分を凝集又は析出させる第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、
前記第2液体貯溜室に貯溜された第2液体を吐出するための第2吐出口を有するとともに、前記搬送方向に関して前記第1液体吐出ヘッドよりも上流に設けられた第2液体吐出ヘッドと、
前記第2液体貯溜室に貯溜された第2液体の貯溜量を検出する第2液体貯溜量検出手段と、
前記第1液体吐出ヘッドを、第1の位置と、前記記録媒体との間隔が前記第1の位置よりも小さい第2の位置との間を移動させることで、前記第1液体吐出ヘッドの前記第1吐出口と前記記録媒体との間隔を調整可能な間隔調整手段と、
画像データに基づいて前記記録媒体に画像が形成されるように、前記第1及び第2液体吐出ヘッド、前記搬送機構、並びに前記間隔調整手段を制御する制御手段と、
前記記録媒体に形成される画像の品質に関する多段階の複数の品質レベルの中から一の品質レベルが記憶される記憶手段と
を有しており、
前記制御手段は、
前記第1液体吐出ヘッドが第1の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御し、且つ、前記第1吐出口から前記第1液体を、前記第2吐出口から前記第2液体をそれぞれ吐出するように前記第1及び第2液体吐出ヘッドを制御する第1のモードと、
前記第1液体吐出ヘッドが第2の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御し、且つ、前記第1吐出口から前記第1液体を吐出させ、且つ前記第2吐出口からの前記第2液体の吐出が禁止されるように前記第1及び第2液体吐出ヘッドを制御する第2のモードとを実行可能であり、
前記第2液体貯溜量検出手段により検出された第2液体の貯溜量が所定量以上ある場合には前記第1のモードを実行し、前記第2液体貯溜量検出手段により検出された第2液体の貯溜量が前記所定量未満であり、且つ前記記憶手段において記憶されている品質レベルが所定の段階以上の品質レベルである場合には前記第2のモードを実行することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2のモード以外のモードを実行する場合には、前記第1液体吐出ヘッドが第1の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記画像データに基づいて前記記録媒体に画像を形成する前に、この画像データに基づいて画像を形成するために必要な前記第2液体の液量を算出し、この算出した液量を減じた第2液体の貯溜量が前記所定量未満であり、且つ前記記憶手段において記憶されている品質レベルが所定の段階以上の品質レベルである場合には、この画像データに基づいた前記記録媒体への画像の形成を、画像の形成開始時から前記第2のモードで実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2のモードを実行する場合には、前記記録媒体の搬送速度が、前記第1のモードを実行する場合と比べて遅くなるように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2のモードを実行する場合には、前記記録媒体上の単位面積当たりに対して、前記第1液体吐出ヘッドの前記第1吐出口から吐出される前記第1液体の液量を、前記第1のモード実行時に吐出される液量よりも多くすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、
記録媒体に画像を形成するための第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、
前記第1液体貯溜室に貯溜された第1液体を吐出するための吐出口が形成された第1液体吐出ヘッドと、
前記第1液体に作用して前記第1液体中の成分を凝集又は析出させる第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、
前記搬送機構によって搬送される記録媒体に対して、前記第1液体吐出ヘッドから吐出された第1液体が付着する前に、前記第2液体を付着する第2液体付着手段と、
前記第2液体貯溜室に貯溜された第2液体の貯溜量を検出する第2液体貯溜量検出手段と、
前記第1液体吐出ヘッドを、第1の位置と、前記記録媒体との間隔が前記第1の位置よりも小さい第2の位置との間を移動させることで、前記第1液体吐出ヘッドの前記吐出口と前記記録媒体との間隔を調整可能な間隔調整手段と、
画像データに基づいて前記記録媒体に画像が形成されるように、前記第1液体吐出ヘッド、前記第2液体付着手段、前記搬送機構、並びに前記間隔調整手段を制御する制御手段と、
前記記録媒体に形成される画像の品質に関する多段階の複数の品質レベルの中から一の品質レベルが記憶される記憶手段と
を有しており、
前記制御手段は、
前記第1液体吐出ヘッドが第1の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御し、且つ、前記第1液体吐出ヘッドには前記第1液体を吐出させ、前記第2液体付着機構には記録媒体に前記第2液体を付着させるように制御する第1のモードと、
前記第1液体吐出ヘッドが第2の位置に位置するように前記間隔調整手段を制御し、且つ、前記第1液体吐出ヘッドには前記第1液体を吐出させ、前記第2液体付着機構には記録媒体に前記第2液体を付着させることを禁止するように制御する第2のモードとを実行可能であり、
前記第2液体貯溜量検出手段により検出された第2液体の貯溜量が所定量以上ある場合には前記第1のモードを実行し、前記第2液体貯溜量検出手段により検出された第2液体の貯溜量が前記所定量未満であり、且つ前記記憶手段において記憶されている品質レベルが所定の段階以上の品質レベルである場合には前記第2のモードを実行することを特徴とする液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−91499(P2012−91499A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206871(P2011−206871)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】