説明

液体吸引装置、特に、ジェット・ニードリング用機器における液体吸引装置

吸引装置の外側には、液体ジェットを噴射する1本以上のウォーターバーが割り当てられており、各ウォーターバーに対応する、軸方向に並んだ1つ又は複数の吸引口が、パイプの有効長に渡って設けられている吸引パイプから成り、この吸引口を通して、対応するウォーターバーからの液体を、パイプ内に生成した負圧によって吸引する、特に、ジェット・ニードリング機器用の液体吸引装置に関する。本発明では、有効長全体に渡って設けられた吸引口が、対応する各ウォーターバーの作動状態に応じて開閉可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ジェットを噴射する1本以上のウォーターバーが、吸引装置の外側に配分されており、各ウォーターバーに対応する、軸方向に並んだ1つ又は複数の吸引口が、パイプの有効長に渡って設けられている吸引パイプから成り、この吸引口を通して、配分されたウォーターバーからの液体を、パイプ内に生成した負圧によって吸引する、特に、ジェット・ニードリング機器用の液体吸引装置に関する。この種の装置は、特許文献1又は特許文献2から周知である。
【背景技術】
【0002】
内部に吸引パイプを配置した1つのニードリング・ドラムに複数のウォーターバーを配分し、その際複数の吸引口から構成することもできる吸引パイプの吸引スリットを各ウォーターバーに配分するのが一般的である。噴射された液体を排出するために、吸引パイプには、負圧がかかっている。負圧は、吸引パイプに設けられている全ての吸引スリットに作用する。よって、対応するウォーターバーが停止されている吸引スリットにも負圧が常にかかっている。これは、圧力損失の原因となり、避けるべきことである。
【特許文献1】欧州特許公開明細書第1059377−A1号
【特許文献2】国際特許公開明細書第01/ 79598号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、配備されたウォーターバーが停止されている時のエネルギー損失を回避できる装置を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
冒頭に記載した種類の装置から出発して、上記課題は、有効長全体に渡って設けられている吸引口を、各対応するウォーターバーの作動状態に応じて開閉可能に構成することによって達成される。該開閉機構は、様々な形態で実施可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明による装置の複数の例を図面に示す。
【0006】
吸引装置は、液体が通過可能な、回転可能に軸支され、その上にニードリングされる素材2が横たわっているドラム1から構成される。例示したドラム1では、ウォーターバー3は、上に1本のみ配備されており、ここから噴射水4が、高圧で噴射されて、素材2に当たる。複数のウォーターバー3をドラム1の周り全体に同様に設置することも可能である。噴射された水は、それぞれ素材2の下に達した時点で即座に吸引されなければならない。それを可能にするため、ドラム1の内部中央に、吸引パイプ5が、相対的な位置を固定した形で軸支されており、その壁内に、母線に沿って、各ウォーターバー3に対応する吸引口6(複数可)が設けられている。該吸引口6の左右には、パイプ5の外に母線と平行で、半径方向に、吸引スリット9の幅を規定するスライドジブ7,8が、相対的な位置を固定した形で配置されている。
【0007】
該吸引スリット9は、一時的に閉鎖可能に構成されていることが好ましい。これを実現するソリューションとして特許文献1があるが、ここでは、図7aに示すような吸引口の略中央に取り付けられた交換可能なクリーニングジブ9’を用いる。この吸引開口部の無いジブを差し込んで、所謂ソリッド・シューにより吸引スリットが閉鎖される。しかし、このような開閉機構は、マシン停止中にしか実施可能ではない。
【0008】
図2には、パイプ5の内側面上に有る、吸引口6の側方に摺動可能なフラップ10を備えた吸引パイプ5が図示されている。フラップ10は、吸引パイプ5に取外し可能な形で支持部11により取り付けられている。フラップ10は、関節アーム12を平行移動させた際に、フラップ10が吸引スリットの対面側にある支持ブロック11側の方向に動く形で、図3から明らかな数の関節アーム12を介して摺動可能に取り付けられている。このようにして、フラップ10により、吸引スリット6が開閉される。フラップは、圧力式シリンダーにより操作可能である。
【0009】
図4のソリューションの場合、支持部11が、両矢印14の上方にも回転可能なフラップ10を支持しており、対抗面11’を持つ吸引スリット6を閉じるようになっている。フラップ10は、吸引スリット5の長さ方向に沿って支持部11に取り付けられている圧力チューブ15で操作される。空気圧が加えられると、該チューブが膨張し、フラップ10の自由端が上方に動いて、吸引スリット6を閉鎖する。
【0010】
原理的にのみ簡略的に図5aに示されているソリューションでは、吸引パイプの内側に縦長フラップ16が取付けられているだけで、図示されていないメカニズムにより開口部6に向かって上方に持ち上げることができるようになっている。図5bでは、又もや圧力を加えることができるチュ−ブ17を用いているが、このチューブは、スリット6の一方の側に縦方向に配置されており、空気圧による膨張でスリットの他方の側の支持壁18に向かって動くことができる。しかし、吸引スリットの開閉は、吸引パイプ5の内側に同軸にシールする開閉パイプ19を、吸引パイプ5に対して回転可能に取付けることによっても実施でき、該開閉パイプ19は、吸引スリット6に対応する開口部6’を有しており、回転後は、1つの又は他の吸引スリット6を閉鎖して密閉する。
【0011】
図6及び7には、吸引スリット9の側壁7,8に取り付けるソリューションが示されている。図6では、一方の側壁8に切り込み20が設けられており、その内部に回転機構が軸支されている。必要に応じて円錐状に形成される、このレバー21は、吸引スリットに沿って、その軸を中心に回転可能に軸支されている。これは、軸を内側においた図6a或いは軸を外側に置いた図6bに示されている機構によって実施可能である。回転は、電動により実施できるが、他の駆動方法も考えられる。
【0012】
図7には、摺動機構が示されている。クリーニングジブ9’の半径方向の内側には、壁7,8の両側に設けられた切り込み部分7’,8’内に、吸引スリット9に対して直角に開閉レール22が設けられており、その長さ方向に沿って、吸引される水用の通過スリット23が有る。開閉レール22の長さ方向の両側には、レール22を切り込み部分7’,8’で摺動させるための、好ましくは液圧駆動式の複数のピストンユニット24が設けられている。図示されている位置では、吸引スリット9は、レール22によって閉じられているが、図の右側に摺動させた場合、通過スリットが吸引スリット9と重なり合うため、吸引機能が働くようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】単一のノズルバーで、織布の連続体をジェット・ニードリングするドラムの横断面図
【図2】吸引パイプ内側に設置された開閉フラップの横断面図
【図3】図2のフラップの上面図
【図4】別の構成の開閉フラップの断面図
【図5a】解決法を、単に原理的に示す断面図
【図5b】解決法を、単に原理的に示す断面図
【図5c】解決法を、単に原理的に示す断面図
【図6a】吸引スリットの軸の周りに回転可能なフラップの図
【図6b】吸引スリットの軸の周りに回転可能なフラップの図
【図7a】吸引スリットの長手方向に渡って延び、吸引スリットを横方向に摺動可能な開閉レールの図
【図7b】吸引スリットの長手方向に渡って延び、吸引スリットを横方向に摺動可能な開閉レールの図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ジェットを噴射する1本以上のウォーターバー(3)が、吸引装置の外側に配分されており、各ウォーターバー(3)に対応する、軸方向に並んだ1つ又は複数の吸引口(6)が、パイプ(5)の有効長に渡って設けられている吸引パイプ(5)から成り、この吸引口を通して、対応するウォーターバー(3)からの液体を、パイプ(5)内に生成した負圧によって吸引する、特に、ジェット・ニードリング機器用の液体吸引装置において、
この有効長全体に渡って設けられた吸引口(6)が、対応する各ウォーターバー(3)の作動状態に応じて開閉可能に構成されていることを特徴とする液体吸引装置。
【請求項2】
該機器が稼動中でも、開閉機構を操作できることを特徴とする請求項1に記載の液体吸引装置。
【請求項3】
吸引スリットの開閉度を規定する、吸引パイプ長さ方向に差し込み可能なシューを備えており、該シューが閉じられている、即ち、吸引口を持たないことを特徴とする請求項1に記載の液体吸引装置。
【請求項4】
該吸引口の開閉メカニズムが、吸引パイプ(5)の内側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吸引装置。
【請求項5】
該開閉メカニズムが、吸引スリットを構成する壁(7,8)の材料内に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吸引装置。
【請求項6】
吸引口(6)が、吸引口に渡って横方向に開閉可能なフラップ(10,10’,16)によって開閉可能なことを特徴とする請求項4又は5に記載の液体吸引装置。
【請求項7】
フラップ(10)が、吸引スリット(6)の有効長に渡って、吸引スリット(6)の片側に複数の箇所で回転可能に固定されるとともに、平行に摺動可能な形で支持されていることを特徴とする請求項6に記載の液体吸引装置。
【請求項8】
フラップ(21)の軸が、吸引スリット(9)と平行に配置され、フラップが、回転可能に支持されていることを特徴とする請求項6に記載の液体吸引装置。
【請求項9】
該軸が、半径方向に対して内側の壁内に配置され、該フラップは、半径方向に対して外側に延びていることを特徴とする請求項8に記載の液体吸引装置(図6a)。
【請求項10】
該軸が、半径方向に対して外側の壁内に配置され、該フラップは、半径方向に対して内側に延びていることを特徴とする請求項8に記載の液体吸引装置(図6b)。
【請求項11】
該開閉メカニズムが、空気圧(13,15,17)によって制御可能であることを特徴とする請求項1から10までのいずれか一つに記載の液体吸引装置。
【請求項12】
該開閉メカニズム(22,23)が、液圧(24)によって制御可能であることを特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載の液体吸引装置。
【請求項13】
該開閉メカニズムが、吸引スリット(6)の長さ方向に沿って取り付けられている膨張式チューブ(15,17)によって制御可能であることを特徴とする請求項11に記載の液体吸引装置。
【請求項14】
フラップ(10’)が、チューブ(15)によって吸引スリット(6)の前に移動可能であることを特徴とする請求項13に記載の液体吸引装置。
【請求項15】
チューブ(17)が、吸引スリット(6)の長さ方向に沿って片側に取り付けられており、スリット(6)を閉じる際には、スリットを横切って支持壁(18)にまで膨張可能であることを特徴とする請求項13に記載の液体吸引装置。
【請求項16】
吸引パイプ(5)の内側に同軸に、シールする開閉パイプ(19)を、吸引パイプ(5)に対して回転可能に取り付け、該開閉パイプ(19)は、吸引スリット(6)の配置に対応する通過開口部(6’)を有し、回転後には、1つ又は他の吸引スリット(6)を覆って閉鎖することを特徴とする請求項4に記載の液体吸引装置。
【請求項17】
吸引スリット(9)の壁(7,8)内に横方向に摺動可能な通過スリット(23)を、吸引スリット(9)の長さ方向に沿って備えた開閉レール(22)を設け、通過スリット(23)を、吸引スリット(9)と同列の形又は同列でない形、即ち、覆う形に摺動させ、それにより開閉することを特徴とする請求項5に記載の液体吸引装置。
【請求項18】
開閉レール(22)には、その長さ方向に沿った複数箇所において、かつ両方向に制御可能な圧力ピストン(24)が接続されるとともに、吸引スリット(9)の壁内部(7,8)に軸支されていることを特徴とする請求項17に記載の液体吸引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2007−514875(P2007−514875A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544401(P2006−544401)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052809
【国際公開番号】WO2005/059217
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(505196727)フライスナー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (19)
【Fターム(参考)】