説明

液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置

【課題】ヘッド本体を構成する基板間の剥離を抑制した液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッド
ユニット及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口26が設けられたノズルプレート27と、ノズル
開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板21と、ノズルプレートと流路形成
基板との間に設けられ、圧力発生室とノズル開口に連通する連通路23aが設けられた連
通板23と、圧力発生室に圧力を付与してノズル開口から液体を噴射させる圧力発生手段
とを含むヘッド本体、及び連通板と連通板の外周部で接合されてヘッド本体が固定される
固定部材(固定板)70を備え、固定板には、ノズル開口が露出される露出部開口71と
、該露出部開口の周囲の少なくとも一部に形成された貫通孔とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧電素子、あるいは発熱素子等の圧力発生手段によって液体に圧力を付与す
ることで、ノズルから液滴を噴射する液体噴射ヘッドが知られており、その代表例として
は、インク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。
【0003】
インクジェット式記録ヘッド(ユニット)としては、例えば、インク滴を噴射するノズ
ル開口が穿設されたノズルプレートと、ノズル開口に連通する圧力発生室や複数の圧力発
生室が連通するリザーバー(連通部)等の流路が形成された流路形成基板と、を有するヘ
ッド本体を複数備え、これら複数のヘッド本体のノズルプレートをそれぞれ固定板に位置
決めした後に、ヘッド本体を固定板に接着剤で固定されたものがある(例えば、特許文献
1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−096419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように固定板にヘッド本体を固定した場合に、ヘッド本体に設けら
れたノズルプレートが剥離してしまうことがある。これは、ヘッド本体が、流路形成基板
等の複数の基板を接着剤を用いて固定したものであるが、これらの基板がそれぞれ異なる
材料で構成されているためである。つまり、それぞれの基板が異なる線膨張係数を有して
いるため、環境温度が変化した場合に、ヘッド本体に反りが発生するため、接着剤で積層
された基板間で剥離が生じることがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、上記した従来技術の問題点を解決することにあり、ヘッド本
体を構成する基板間の剥離を抑制した液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体
噴射装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体噴射ヘッドは、液体を噴射するノズル開口が設けられたノズルプレートと
、前記ノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、前記ノズルプレー
トと前記流路形成基板との間に設けられ、該圧力発生室と前記ノズル開口に連通する連通
路が設けられた連通板と、前記圧力発生室に圧力を付与して前記ノズル開口から液体を噴
射させる圧力発生手段とを含むヘッド本体、及び前記連通板と該連通板の外周部で接合さ
れて該ヘッド本体が固定される固定部材を備え、該固定板には、前記ノズル開口が露出さ
れる露出部開口と、該露出部開口の周囲の少なくとも一部に形成された貫通孔とが設けら
れていることを特徴とする。
本発明によれば、固定板に露出部以外に貫通孔が設けられていることで、ノズルプレー
ト、連通板、流路形成基板などの積層基板での線膨張係数の違いによる液体噴射ヘッドの
反りが発生したとしても、その応力を緩和して基板間の剥離を抑制することが可能である

【0008】
本発明の好ましい実施形態としては、前記貫通孔が、前記露出部開口の周縁部の少なく
とも一部に設けられている第1貫通孔であることや、前記貫通孔が、前記露出部開口の外
周側の少なくとも一部に前記露出部開口とは不連続となるように設けられている第2貫通
孔であることが挙げられる。
【0009】
前記ヘッド本体は、圧力発生室に液体流路を介して連通し、複数の圧力発生室にとって
共通の液体流路となるマニホールドと、該マニホールドに液体を導入するための液体導入
口が設けられた導入口形成基板とを備え、前記貫通孔は、少なくともその一部が該液体導
入口に対向して設けられていることが好ましい。液体導入口に対向して貫通孔が設けられ
ていることで、液体導入時の衝撃がノズルプレートに伝わることを抑制している。
【0010】
本発明の液体噴射ヘッドユニットは、上記いずれかの前記液体噴射ヘッドを複数有する
ことを特徴とする。本発明の液体噴射ヘッドユニットは、線膨張係数の違いから発生した
反りによる応力による液体噴射ヘッドの積層基板の剥離を抑制できる液体噴射ヘッドを有
することで、液体噴射特性が優れている。
【0011】
また、本発明の液体噴射装置は、上記いずれかの前記液体噴射ヘッドを有することを特
徴とする。本発明の液体噴射装置は、線膨張係数の違いから発生した反りによる応力によ
る液体噴射ヘッドの積層基板の剥離を抑制できる液体噴射ヘッドを有することで、液体噴
射特性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドユニットの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの要部断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る固定板の上面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る固定板の一部拡大断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの上面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る液体噴射装置である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る固定板の要部拡大図である。
【図10】本発明の別の実施形態に係る記録ヘッドの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドユニットの一例であるインクジェット
式記録ヘッドユニット(以下、単にヘッドユニットとも言う)について説明する。なお、
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドユニットの分解斜視図で
ある。
【0014】
図1に示すように、インクジェット式記録ヘッドユニット1は、液体噴射ヘッドの一例
である複数(本実施例では、例として4個)のインクジェット式記録ヘッド10(以下、
単に「記録ヘッド」という)と、保持部材60とを備える。記録ヘッド10は、インクジ
ェット式記録ヘッド本体20(以下、単に「記録ヘッド本体」という)と、各記録ヘッド
本体20がそれぞれ位置決めされた後で、接着剤で固定される固定板70とで構成されて
いる。
【0015】
保持部材60は、例えば、樹脂材料で形成され、その内部に回路基板やインク連通路が
形成された流路部材を備えている。保持部材60の上面(記録ヘッド本体20とは逆側の
面)にはインク供給針61(本実施例では、8個)が固定されている。このインク供給針
61は、各色のインクが貯留されたインクカートリッジ(図示なし)に接続されたチュー
ブに接合される。このインク供給針61には、インク連通路の一端が連通している。イン
ク連通路の他端は記録ヘッド本体20側(保持部材60の底面側)に開口している。即ち
、インクはインクカートリッジからインク供給針61を介してこのインク連通路に供給さ
れ、供給されたインクは、詳しくは後述するようにインク導入路を介して記録ヘッド本体
20にそれぞれ供給される。
【0016】
保持部材60の底面には、所定間隔で位置決めされた複数の記録ヘッド本体20が固定
される。各記録ヘッド本体20は各色のインクに対応してそれぞれ設けられている。
【0017】
この場合に、記録ヘッド10は、記録ヘッド10の長手方向である第1方向に向かって
千鳥状に配置されることで、第1方向に同一ピッチで長尺化したノズル列を形成すること
ができる。なお、ここで言う記録ヘッド10が千鳥状に配置されているとは、複数の記録
ヘッド10が後述するノズル開口26(図2参照)の並設方向でもある第1方向に向かっ
て並設されており、第1方向に並設された複数(2つ)の記録ヘッド10で構成されるヘ
ッド列が、ノズル開口が並設された第1方向とは交差する方向である第2方向において2
列設けられている。ここで、一方の列を第1のヘッド列、もう一方の列を第2のヘッド列
とする。そして、第1のヘッド列を構成している記録ヘッド10のノズル列の端部にある
ノズル開口と第2のヘッド列を構成している記録ヘッド10のノズル列の端部にあるノズ
ル開口は、第2方向とは交差する方向において、重畳するように配置されている。このと
き、1つの記録ヘッド10に第1方向に延びるノズル列が複数形成されている場合には、
第1のヘッド列を構成する記録ヘッド10の少なくとも1つのノズル列の端部のノズル開
口が、第2のヘッド列の記録ヘッド10の少なくとも1つのノズル列の端部のノズル開口
と、第2方向において重畳していれば良い。このような構成により、記録ヘッド10単体
としては印刷面積が小さくても、インクジェット式記録ヘッドユニット1として見ると、
恰も第1方向において非常に長いノズル列を有する記録ヘッドを用いて印刷した場合のよ
うに短い時間で大面積の印刷が可能となる。
【0018】
以下、記録ヘッド10の構成の一例について、図2及び図3を参照して説明する。なお
、図2は、本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図であり、図3は、記録ヘッ
ドの圧力発生室の長手方向中央における断面図である。
【0019】
図2及び図3に示すように、記録ヘッド10は、記録ヘッド本体20と、固定板70と
からなる。記録ヘッド本体20は、流路形成基板21を有する。流路形成基板21の一方
側の面(図3中上方)には、弾性膜28及び絶縁体膜29を介して複数の圧電素子30が
形成されている。また、流路形成基板21の他方側の面(図3中下方)には、連通板23
が設けられている。そして、流路形成基板21には、圧力発生室22が形成されている。
圧力発生室22は、弾性膜28と連通板23とによりその天井面及び底面が封止されてい
る。
【0020】
これらの複数の圧力発生室22は、流路形成基板21のその幅方向に並設されている。
本実施形態では、この圧力発生室列は、流路形成基板21に2列設けられている。この圧
力発生室22のそれぞれが並設された方向が前述した第1方向であり、圧力発生室の列が
列設された方向が前述した第2方向である。
【0021】
また、各圧力発生室22のインク流入側にはインク供給路24が形成されている。連通
板23には、各圧力発生室22のインク供給路24の端部とは逆の端部に対向してノズル
連通孔23aが形成されている。インク供給路24とノズル連通孔23aは、圧力発生室
22毎に設けられる個別流路である。連通板23の圧力発生室22とは逆側の面には、こ
れらノズル連通孔23aに連通するそれぞれのノズル開口26が穿設されたノズルプレー
ト27が接合されている。ノズルプレート27は、上述した第2方向における幅が連通板
23の幅よりも小さくなるように形成されている。
【0022】
このように、ノズルプレート27の幅を連通板23の幅よりも小さくすることにより、
高価なノズルプレート27をより小さく形成することができるので、製造コストを低下さ
せることが可能である。特に、ノズルプレートの表面に撥液性(インクに対する撥水性)
を有する撥液膜が設けられている場合には、高価な撥液膜の面積を低減させることができ
るので、顕著なコスト低減効果が得られる。
【0023】
また、流路形成基板21のノズルプレート27と逆側の面上には、上述のように複数の
圧電素子30が設けられている。圧電素子30は、第1方向に並設された列が、第2方向
において2列設けられている。圧電素子30は、第1電極31と、圧電体層32と、第2
電極33とで構成されている。各圧電素子30を構成する第2電極33には、絶縁体膜2
9上まで延設されたリード電極34が接続されている。リード電極34は、一端部が第2
電極33に接続されていると共に、他端部側が、フレキシブル配線部材(COF基板)で
あり圧電素子30を駆動するための駆動IC35aが実装された駆動配線35(図2中は
省略した)と接続されている。このように駆動配線35の一端側にはリード電極34が接
続され、駆動配線35の他端側はカートリッジケース内に設けられた図示しない回路基板
に固定されている。尚、ここでは、フレキシブル配線部材としてCOF基板を用いたが、
これに代わって、FPC基板やTCP基板のような回路基板を用いることもできる。
【0024】
このような圧電素子30が形成された流路形成基板21上には、圧電素子30に対向す
る領域に、圧電素子30を内包するための空間である圧電素子保持部36を備えた接合基
板37が接合されている。これらの接合基板37及び流路形成基板21の周囲を囲むよう
に、枠体である第1ケース部材38が連通板23の外縁部上に接合されている。即ち、第
1ケース部材38の枠体内部に接合基板37及び流路形成基板21が収容されていること
になる。
【0025】
そして、これらの接合基板37、第1ケース部材38、及びコンプライアンス基板46
によりマニホールド部39が概ね画成されている。このマニホールド部39は、連通板2
3、第1ケース部材38、及び流路形成基板21とで概ね画成された連通部25に連通す
る。連通部25は、流路形成基板21のインク供給路24に連通する。この連通部25と
マニホールド部39とにより各圧力発生室22にとって共通の液体流路となるマニホール
ド40が構成されている。
【0026】
また、接合基板37には、接合基板37を厚さ方向に貫通する貫通孔41が設けられて
いる。貫通孔41は、本実施形態では、2つの圧電素子列の間に設けられている。そして
、各圧電素子30から引き出されたリード電極34の端部近傍は、貫通孔41内に露出す
るように設けられている。
【0027】
さらに接合基板37及び第1ケース部材38上には、封止膜44及び封止膜44を補強
する補強板45とからなるコンプライアンス基板(導入口形成基板)46が接合されてい
る。ここで、封止膜44は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜44に
よってマニホールド部39の一方面が封止されている。このように封止膜44でマニホー
ルド部39の一方面を封止することで、例えば、マニホールド40よりも上流側にあるイ
ンクがマニホールド40内に流入した際に発生する圧力を封止膜44が吸収でき、ノズル
開口26からインクが誤って吐出されてしまうことを防止することができる。また、補強
板45は、金属等の硬質の材料で形成されている。この補強板45のマニホールド40に
対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部47となっているため、マニホール
ド40の一方面は可撓性を有する封止膜44のみで封止されている。即ち、コンプライア
ンス基板46は、この開口部47が凹部となるように構成されている。
【0028】
コンプライアンス基板46には、上述してきた第1方向において、開口部47の中央部
に開口部47にせり出すような延設部47aが設けられている。延設部47aには、マニ
ホールド40内にマニホールド40よりも上流側から流れてくるインクを導入するための
インレットとなるインク導入口48が設けられている。即ち、封止膜44が剛性を有して
いないためにインク導入口48を形成することができないので、補強板45に延設部47
aを設け、この延設部47aにインク導入口48を設けている。このように開口部47の
幅が延設部47aにより狭まることでコンプライアンス基板46の第1方向の剛性はこの
延設部47aが設けられた近辺で高くなる。従って、記録ヘッド本体20の第1方向にお
いて、インク導入口48の周囲は開口部47の他の部分に比べて剛性が高くなっている箇
所が存在する。
【0029】
コンプライアンス基板46上には、第2ケース部材49が固定されている。第2ケース
部材49には、インク導入口48に連通し、カートリッジ等の貯留手段からのインクをマ
ニホールド40に供給するインク導入路50が設けられている。さらに、第2ケース部材
49には、図2に示すように、接合基板37に設けられた貫通孔41と連通する駆動配線
35を挿通する挿通孔51が設けられており、駆動配線35は挿通孔51内に挿通された
状態でその一端側がリード電極34と接続されている。
【0030】
本実施形態では、記録ヘッド本体20を構成する連通板23の圧力発生室22とは逆側
の面には、図示しない接着層で接着された固定板(固定部材)70が設けられている。こ
の固定板70の底面は、記録ヘッド本体20の底面となる連通板23の外形よりも大きい
矩形状となるように構成されており、この固定板70の上面と記録ヘッド本体20の外周
縁部とで構成された角部には、モールド部材52(図3参照)が設けられている。このモ
ールド部材52は、本実施形態では連通板23と第1ケース部材38との接合面より上側
に亘って設けられており、これによりインクが接着層を通って連通板23と第1ケース部
材38との接合面から流路内部へとの間に回りこむことを防止している。
【0031】
固定板70の底面には、ノズル開口26が露出するように矩形状の露出部開口71が形
成されている。露出部開口71は、ノズルプレート27の外形よりもやや大きくなるよう
に設けられている。固定板70の縁部は、記録ヘッド本体20側に屈曲し立ち上がって壁
状となっている。即ち、この固定板70は、側壁部を有する箱状形状を有している。
【0032】
この固定板70の側壁部は、記録ヘッド本体20の連通板23近辺の外周側を覆ってい
る。記録ヘッド本体20の底面を構成する連通板23の角部がそのまま露出していると、
例えば紙送りの際に紙が引っ掛かったり、また、その流路が形成された積層部分に異物が
侵入してしまう等の問題が発生しやすいが、このように記録ヘッド本体20の底面側の角
部を固定板70が保護していることで、これらの問題を抑制することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、固定板70の側壁部は固定板70の底面と一体であるものを説
明しているが、必ずしも一体にする必要はない。底面部分となる平板部と、記録ヘッド本
体20の側面を覆うように配置された側壁部とを別体としてもよい。この場合に、固定板
70の連通板23と接する部分が平板部となり、側壁部は、記録ヘッド本体20の側壁に
接着剤で固定されていてもよく、又は、保持部材60と一体的に構成されていてもよい。
【0034】
固定板70について、図4も用いて詳細に説明する。
【0035】
本実施形態において、固定板70の底面には、矩形状の露出部開口71と、露出部開口
71の周縁部の一部に、一対の第1スリット(第1貫通孔)72が形成されている。
【0036】
第1スリット72は、露出部開口71の周縁部における第1方向の中央部に、露出部開
口71の周縁部に連続するように形成されている。この第1スリット72は露出部開口7
1を挟んだ反対側の周縁部にも設けられている。第1スリット72は、本実施形態では矩
形状である。この第1スリット72及び露出部開口71の外周側に亘って、記録ヘッド本
体20を固定板70に接着するために接着剤が塗布される第1の領域74a(接着剤塗布
領域)が設けられている。この第1の領域74aは、連通板23と固定板70とが対向す
る領域に設けられている。
【0037】
また、この第1の領域74aよりも固定板70における外周側には、モールド部材52
(図3参照)が塗布される第2の領域74b(モールド部材塗布領域)が形成されている
。この第2の領域74bは、第1の領域74aよりも幅が広く、連通板23を固定板70
に接着する際に、第2の領域74bのうち、内周側は連通板23がその上面に接着される
。そして、第2の領域74bの残部である外周側は連通板23が内周側に接着されると、
この外周側に塗布されていたモールド部材52が外側に押し出されながら盛り上がり(図
3参照)、連通板23と流路形成基板21との接合面より上側に設けることができ、これ
により上述したようにインクが連通板23と第1ケース部材38との間に回りこむことを
防止できる。
【0038】
第2の領域74bよりも固定板70における外周側に、第1スリット72と対向して第
2スリット(第2貫通孔)73が設けられている。即ち、第2スリット73は、第1スリ
ット72及び露出部開口71とは独立して設けられている。
【0039】
第2スリット73は、本実施形態では矩形状の開口である。この第2スリット73は、
記録ヘッド本体20によって塞がれることが無い。第2スリット73を第1の領域74a
よりも固定板70の外周側に設けていることで、第1の領域74aを第1スリット72及
び露出部開口71の外周に亘って確保することができ、固定板70に記録ヘッド本体20
を所望の接着強度で固定することができる。また、第2スリット73が第1の領域74a
の固定板70の外周側に設けられていることで、固定板70に記録ヘッド本体20を固定
した際の接着剤(即ち、第1の領域74aの接着剤)が第2スリット73まで到達するこ
とができない。その結果、第2スリット73から固定板70の外部(印刷媒体側)に第1
の領域74aの接着剤がはみ出ることを防止することができる。
【0040】
これらの第1スリット72及び第2スリット73が固定板70に設けられていることで
、図5(2)に示すように、記録ヘッド10で発生する応力を抑制することができる。即
ち、仮に第1スリット及び第2スリットを設けなかったとすると、図5(1)に示すよう
に、記録ヘッド本体20の連通板や流路形成基板等の積層基板の線膨張係数の違いにより
、例えば、環境が高温である時に、記録ヘッド本体20にその長手方向において反りが発
生する。この反りが発生した場合に、記録ヘッド本体20に固定された固定板70がこの
反りに追随して湾曲する。この場合に、固定板70が元の方向に戻ろうとして固定板70
の湾曲方向とは逆方向に応力が発生するが、特に記録ヘッド本体20の端部側において大
きな応力(図中矢印A)が発生する。この応力により、固定板70に接着された連通板2
3にも応力が作用し、この応力により連通板23の記録ヘッド本体20からの剥離や固定
板70からの剥離が生じてしまう。
【0041】
しかしながら、本実施形態においては、図5(2)に示すように、高温時に記録ヘッド
10に反りが発生した場合に、記録ヘッド本体20に固定された固定板70も追随して湾
曲しているが、第1スリット72及び第2スリット73が形成されていることで、固定板
70の端部における固定板70の湾曲方向とは反対側に発生した応力(図中矢印B)は図
5(1)に比較して小さなものとなる。従って、本実施形態では、このような基板間で発
生した応力による連通板23の剥離を抑制することができる。
【0042】
なお、連通板23自体にこのように応力を緩和するための凹部を設けることも考えられ
るが、連通板23にスリットを設ける余裕がないことや、連通板23自体の剛性を低下さ
せてしまい、耐久性が低くなってしまうことが考えられるため、本実施形態のように固定
板70に第1スリット72及び第2スリット73を設けることが好ましい。
【0043】
このように本実施形態においては、第1スリット72及び第2スリット73を設けるこ
とで、記録ヘッド10の反りによる応力を軽減し、連通板23の剥離を抑制することがで
きる。
【0044】
また、図6に示すように、仮に第2スリット73からモールド部材52がインク吐出面
側にはみでようとしても、このようにモールド部材52が第2スリット73から露出する
ことで、モールド部材52と固定板70の側壁との間に回りこんだインクが第2スリット
73を介して、印刷媒体側に流れ出すことを防止できる。その上、モールド部材52によ
るモールドが広範囲に亘って確実に行われていると共に第2の領域74bの内周側の領域
におけるモールド部材52による接着もより確実に行われていることを記録ヘッド10の
吐出面側から視覚的に確認することができる。
【0045】
ここで、モールド部材52の粘度は、第1の領域74aに塗布される接着剤の粘度より
も高いことが好ましい。これは、このモールド部材52は、上述したように、記録ヘッド
本体20の側面に付着させた状態を固化するまで維持する必要があるためである。つまり
、仮にモールド部材52の粘度が第1の領域74aに塗布される接着剤よりも低いと、モ
ールド部材52は塗布後に固化するまでに流動しやすい。従って、記録ヘッド本体20の
側面に一時的に付着させても、モールド部材52の自重によりモールド部材52が固化す
るまでの間に流れてしまい、平面化してしまう可能性がある。このため、モールド部材5
2は、粘度が高い方が好ましい。
【0046】
また、このように第2スリット73をモールド部材52で埋設する場合には、記録ヘッ
ド10の吐出面側での記録媒体(紙面)の第2スリット73での引っかかりを抑制するこ
とができる。
【0047】
これらの第1スリット72及び第2スリット73の形成位置について、さらに図7を用
いて説明する。
【0048】
図7に示すように記録ヘッド10の上面視において、第1スリット72は、固定板70
の所定位置、即ちインク導入口48に対向する位置に設けられている。この位置に設けら
れていることで、インク導入時の衝撃がそのまま固定板70に伝わることがない。このよ
うに、本実施形態では、第1スリット72を設けて記録ヘッド10の反りによる応力を軽
減し、連通板23の剥離を抑制するだけでなく、インク導入時の衝撃を抑制してインクの
吐出特性の低下を抑制することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、第1スリット72及び第2スリット73は、インク導入口4
8に対向すると共に、インク導入口48が形成された延設部47aに対応する位置にも重
複するように設けられている。
【0050】
上述したように、インク導入口48を形成するために設けた延設部47a付近は開口部
47の幅が狭いために記録ヘッド本体20の長手方向における剛性が高い。このように記
録ヘッド本体20の剛性の高い領域R、即ち延設部47aの幅に一致して、記録ヘッド本
体20の幅方向に延びる領域R内に全て重なるように固定板70に第1スリット72及び
第2スリット73を設けることで、記録ヘッド10全体の剛性を均一化することができる
。即ち、固定板70は、第1スリット72及び第2スリット73を設けることで上面視に
おいて領域Rで剛性が下がるが、記録ヘッド本体20の剛性は上面視においてこの領域R
で剛性が上がっている。従って、記録ヘッド本体20と固定板70とからなる記録ヘッド
10全体としては、おける剛性が均一化される。
【0051】
このように、上面視においてこの延設部47aが形成されている領域Rに記録ヘッド本
体20の幅方向において相対向する第1スリット72及び第2スリット73を設けること
により剛性が低下する虞もなく、むしろ第1スリット72及び第2スリット73を設けて
剛性を均一化することで、応力が集中することも抑制されているのである。
【0052】
第1スリット72のサイズは、インク導入口48のサイズよりも過度に大きくならない
ことが好ましい。インク導入口48よりも第1スリット72が大きすぎると、固定板70
の剛性を過度に下げてしまう可能性がある。このように設けることで、ノズルプレート2
7の側面と固定板70の露出部開口71との距離を短くし、ワイピング時のノズルプレー
ト27側面でのワイパーの接触による欠けや、ワイパー自体の損傷を防止することができ
る。
【0053】
このような記録ヘッド10を有するヘッドユニット1は、図8に示すように、複数個が
固定部材に固定されて(本実施形態では例として4個)液体噴射ヘッドモジュールの一例
であるインクジェット式記録ヘッドモジュール200を構成する。このようなヘッドモジ
ュール200は、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置に搭載される。こ
こで、本実施形態のインクジェット式記録装置について説明する。なお、図8は、本発明
の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置を示す概略斜視
図である。
【0054】
図8に示すように、本実施形態のインクジェット式記録装置は、ヘッドモジュール20
0が固定されて、被噴射媒体である紙などの記録シートSを搬送することで印刷を行う、
所謂ライン式記録装置である。
【0055】
具体的には、インクジェット式記録装置Iは、装置本体2と、装置本体2に固定された
ヘッドモジュール200と、被記録媒体である記録シートSを搬送する搬送手段3と、記
録シートSのヘッドモジュール200に相対向する印刷面とは反対の裏面側を支持するプ
ラテン4とを具備する。
【0056】
ヘッドモジュール200は、記録ヘッド本体20のノズル開口26の並設方向である第
1方向が記録シートSの搬送方向と交差する方向となるように装置本体2に固定されてい
る。
【0057】
搬送手段3は、ヘッドモジュール200に対して記録シートSの搬送方向の両側に設け
られた第1の搬送手段5と、第2の搬送手段6とを具備する。
【0058】
第1の搬送手段5は、駆動ローラー5aと、従動ローラー5bと、これら駆動ローラー
5a及び従動ローラー5bに巻回された搬送ベルト5cとで構成されている。また、第2
の搬送手段6は、第1の搬送手段5と同様に駆動ローラー6a、従動ローラー6b及び搬
送ベルト6cで構成されている。
【0059】
これらの第1の搬送手段5及び第2の搬送手段6のそれぞれの駆動ローラー5a、6a
には、図示しない駆動モーター等の駆動手段が接続されており、駆動手段の駆動力によっ
て搬送ベルト5c、6cが回転駆動することで、記録シートSをヘッドモジュール200
の上流及び下流側で搬送する。
【0060】
なお、本実施形態では、駆動ローラー5a、6a、従動ローラー5b、6b及び搬送ベ
ルト5c、6cで構成される第1の搬送手段5及び第2の搬送手段6を例示したが、記録
シートSを搬送ベルト5c、6c上に保持させる保持手段をさらに設けてもよい。保持手
段としては、例えば、記録シートSの外周面を帯電させる帯電手段を設け、この帯電手段
によって帯電した記録シートSを誘電分極の作用により搬送ベルト5c、6c上に吸着さ
せるようにしてもよい。また、保持手段として、搬送ベルト5c、6c上に押えローラー
を設け、押えローラーと搬送ベルト5c、6cとの間で記録シートSを挟持させるように
してもよい。
【0061】
プラテン4は、第1の搬送手段5と第2の搬送手段6との間に、ヘッドモジュール20
0に相対向して設けられた断面が矩形状を有する金属又は樹脂等からなる。プラテン4は
、第1の搬送手段5及び第2の搬送手段6によって搬送された記録シートSを、ヘッドモ
ジュール200に相対向する位置で支持する。
【0062】
なお、プラテン4には、搬送された記録シートSをプラテン4上で吸着する吸着手段が
設けられていてもよい。吸着手段としては、例えば、記録シートSを吸引することで吸引
吸着するものや、静電気力で記録シートSを静電吸着するもの等が挙げられる。
【0063】
また、ヘッドモジュール200には、図示していないが、インクが貯留されたインクタ
ンクやインクカートリッジなどのインク貯留手段がインクを供給可能に接続されている。
インク貯留手段は、例えば、ヘッドモジュール200上に保持されていても、また、装置
本体2内のヘッドモジュール200とは異なる位置に保持されてチューブ等を介して各ヘ
ッドユニット1のインク供給針61に接続されていてもよい。さらに、ヘッドモジュール
200の各ヘッドユニット1には、図示しない外部配線が接続されている。
【0064】
このようなインクジェット式記録装置Iでは、搬送手段3によって記録シートSが搬送
され、ヘッドモジュール200によってプラテン4上で支持された記録シートSに印刷が
実行される。印刷された記録シートSは、搬送手段3によって搬送される。
【0065】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限
定されるものではない。
【0066】
上述した実施形態では、スリットとしては第1スリット72及び第2スリット73をそ
れぞれ設けたが、これに限定されない。例えば、第1スリット72のみ、第2スリット7
3のみでもよい。また、上述した実施形態では、露出部開口71を境界として、第1のス
リット72を左右対称となるように配置したが、第1のスリット72を左右非対称となる
ように設けても良い。このことは、第2のスリット73についても同様である。左右非対
称にする場合には、露出部開口71を境界として、インク導入口48が左右非対称に設け
られている場合に、特に有効となる。
【0067】
上述の実施形態では、延設部47aの第1方向における領域R内が記録ヘッド本体20
の剛性の高い領域であるので、この領域R内に第1スリット72及び第2スリット73が
収まるように設けているが、これに限定されない。図9に示すように、少なくともこの領
域R内に第1スリット72及び第2スリット73の一部が重なるように設けられていても
、各記録ヘッド10の応力を軽減させると共に、各記録ヘッド10の剛性分布を略均一に
することができる。また、本実施形態に示すように、第1スリット72の形状と第2スリ
ット73の形状とを異なる形状としてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、インク導入路50及びインク導入口48が記録ヘッド本体20
の中央部に形成されていたために、延設部47aも記録ヘッド本体20の中央部に位置す
るように設けたが、これに限定されない。例えば、図10に示すように、インク導入路5
0及びインク導入口48が4つ、それぞれ上面視において記録ヘッド本体20にそれぞれ
第2ケース部材49の端部側に設けられている場合には、このインク導入口48の形成位
置に合わせて第1スリット72A及び第2スリット73Aを設ければよい。このように設
けることで、吐出特性の低下を抑制することができる。なお、図10に示す実施形態にお
いては、露出部開口71は本実施形態におけるものよりも小さい。
【0069】
また、延設部47bがインク導入路50及びインク導入口48の形成位置に合わせて固
定板70の端部側にそれぞれ設けられている。従って、これらの延設部47bの形成位置
にも対向するように第1スリット72A及び第2スリット73Aを設けている。このよう
に固定板70に複数の第1スリット72A及び第2スリット73Aを設けることで、より
固定板70の応力を軽減させると共に、各記録ヘッド10の剛性分布を略均一にすること
ができる。
【0070】
本実施形態では、各記録ヘッド本体20に対して一つの固定板70を設けたが、これに
限定されない。複数の記録ヘッド本体20を一つの固定板70に固定し、固定板70に各
記録ヘッド本体20に対応した複数の露出部開口71を設けるように構成してもよい。こ
の場合においても、各記録ヘッド本体20の反りによる応力を抑制するように第1スリッ
ト72及び第2スリット73が形成されていればよい。即ち、各露出部開口71には、露
出部開口71の周縁部の少なくとも一部に第1スリット72が一対設けられていると共に
、第2スリット73が、各記録ヘッド本体20の第2の領域74bよりも外側の少なくと
も一部に露出部開口71とは不連続となるように設けられていればよい。
【0071】
また、本実施形態では第1スリット72及び第2スリット73の形状はそれぞれ矩形状
であるとしたが、これに限定されない。第1スリット72及び第2スリット73の角部が
R形状となっていてもよい。このように角部を鋭角とせずにR形状とすることで、固定板
70の表面を拭き取るワイピング時にワイピング手段の引っ掛かりを防止することができ
る。
【0072】
また、第1スリット72を毛細管力が働く程度の大きさにしてもよい。このような大き
さにすれば、第1の領域74aに塗布した接着剤が第1スリット72に回り込む。固定板
70の露出部開口71を画成している縁部とノズルプレート27との間には、間隙(クリ
アランス)が存在するが、このクリアランスにインクが回り込んで溜まるとこの溜まった
インクが印刷対象に垂れるおそれがある。しかしながら、第1スリット72を毛細管力が
働く程度の大きさにすれば、第1スリット72が露出部開口71に接続しているため、第
1の領域74aの接着剤が第1スリット72を介してこのクリアランスに流れ込み、その
クリアランスの毛細管力でクリアランス全体に接着時が充填される。この結果、インクが
このクリアランスに溜まることを抑制することができる。また、クリアランスを接着剤で
埋めることができるので、ワイピング時のワイパーのスリットへの引っ掛かりを抑制でき
る。
【0073】
本実施形態では、圧電素子30は各列の圧電素子同士が流路形成基板21上で互いに対
向するように形成されているが、これに限定されない。各列の圧電素子30同士が互いに
対向せず、互い違いとなるように形成されていてもよい。この場合、圧力発生室22等も
併せて互い違いとなるように形成される。
【0074】
本実施形態では、露出部開口71をノズルプレート27よりやや大きくなるように構成
しているが、これに限定されない。製造コストを低下させるために、露出部開口71より
もノズルプレート27をより小さくしてもよい。
【0075】
本実施形態では、インクカートリッジがヘッドモジュールに搭載されないいわゆるオフ
キャリアー型のインクジェット式記録装置を例示したが、これに限定されない。例えば、
インクカートリッジがヘッドモジュールに搭載されたいわゆるオンキャリアー型のインク
ジェット式記録装置としてもよい。
【0076】
また、例えば、上述した実施形態では、圧力発生素子として、薄膜型の圧電素子を例示
したが、圧力発生素子の構成は特に限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の
方法により形成される厚膜型の圧電素子や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させ
て軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子などであってもよい。また、圧力発生素子とし
て、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズ
ルから液滴を噴射するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて静電気力によっ
て振動板を変形させてノズルから液滴を噴射させるいわゆる静電式アクチュエーターなど
を使用することができる。
【0077】
また、上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッ
ドを説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッドを具備する液体噴射ヘッドモジュール全
般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記
録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、
有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極
材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を有する液体
噴射ヘッドモジュールにも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
I インクジェット式記録装置、 1 ヘッドユニット、 10 インクジェット式記
録ヘッド、 20 記録ヘッド本体、 21 流路形成基板、 22 圧力発生室、 2
3 連通板、 26 ノズル開口、 27 ノズルプレート、 30 圧電素子、 38
第1ケース部材、 39 マニホールド部、 40 マニホールド、 41 貫通孔、
44 封止膜、 45 補強板、 46 コンプライアンス基板、 47 開口部、
47a,47b 延設部、 48 インク導入口、 49 第2ケース部材、 50 イ
ンク導入路、 60 保持部材、 70 固定板、 71 露出部開口、 72,72A
第1スリット、 73,73A 第2スリット、 74a 第1の領域、 74b 第
2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズル開口が設けられたノズルプレートと、
前記ノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、
前記ノズルプレートと前記流路形成基板との間に設けられ、該圧力発生室と前記ノズル
開口に連通する連通路が設けられた連通板と、
前記圧力発生室に圧力を付与して前記ノズル開口から液体を噴射させる圧力発生手段と
を含むヘッド本体、
及び前記連通板と該連通板の外周部で接合されて該ヘッド本体が固定される固定部材を
備え、
該固定板には、前記ノズル開口が露出される露出部開口と、該露出部開口の周囲の少な
くとも一部に形成された貫通孔とが設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記貫通孔が、前記露出部開口の周縁部の少なくとも一部に設けられている第1貫通孔
であることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記貫通孔が、前記露出部開口の外周側の少なくとも一部に前記露出部開口とは不連続
となるように設けられている第2貫通孔であることを特徴とする請求項1又は2記載の液
体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記ヘッド本体は、
圧力発生室に液体流路を介して連通し、複数の圧力発生室にとって共通の液体流路とな
るマニホールドと、
該マニホールドに液体を導入するための液体導入口が設けられた導入口形成基板とを備
え、
前記貫通孔は、少なくともその一部が該液体導入口に対向して設けられていることを特
徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の前記液体噴射ヘッドを複数有することを特徴とす
る液体噴射ヘッドユニット。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の前記液体噴射ヘッドを有することを特徴とする液
体噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−183745(P2012−183745A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48720(P2011−48720)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】