液体噴射ヘッド用のフィルタ、液体噴射ヘッド、及び液体噴射記録装置
【課題】容易、且つ確実に取り付けることができると共に、製造コストを低減できる液体噴射ヘッド用のフィルタを提供する。
【解決手段】第１メインプレート１１、及び第２メインプレート１２の間に介装される中間プレート１０１とを有し、供給されるインクを濾過するための液体噴射ヘッド用のフィルタ１０であって、各メインプレート１１，１２に、それぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔１５ａ，１５ｂを複数形成すると共に、これら貫通孔１５ａ，１５ｂを法線方向で重ならないように配置し、中間プレート１０１に、各貫通孔１５ａ，１５ｂを連通させるための開口部１０２を形成した。
【解決手段】第１メインプレート１１、及び第２メインプレート１２の間に介装される中間プレート１０１とを有し、供給されるインクを濾過するための液体噴射ヘッド用のフィルタ１０であって、各メインプレート１１，１２に、それぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔１５ａ，１５ｂを複数形成すると共に、これら貫通孔１５ａ，１５ｂを法線方向で重ならないように配置し、中間プレート１０１に、各貫通孔１５ａ，１５ｂを連通させるための開口部１０２を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ノズル孔より液体を吐出して被記録媒体に画像や文字を記録する液体噴射ヘッド用のフィルタ、液体噴射ヘッド、及び液体噴射記録装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、インクタンクからインク（液体）が供給されるインクジェットヘッド（液体噴射ヘッド）はヘッドチップを有している。そして、このヘッドチップのノズル孔からインクを被記録媒体に吐出することで記録が行われるようになっている。
ここで、例えばノズル孔にインクが固化することにより形成される異物等が浸入し、ノズル孔の詰まりによるインクの吐出不良が生じる場合がある。このため、できる限りインクジェットヘッドのインク供給口の近傍に、フィルタを設けることが望ましい。フィルタは、金属糸を織り込むことにより形成されているものが多い。
【０００３】
また、インク供給口を微細な複数の貫通孔からなるフィルタ構造とし、インクの吐出不良を防止する技術が開示されている。微細な複数の貫通孔は、異方性エッチング技術を利用することにより形成される。また、貫通孔の孔径を微細なものとするために、複数の貫通孔をそれぞれ屈曲形成させている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００６−６２３０２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、金属糸を織り込むことにより形成されるフィルタは平坦度が低いので、例えばフィルタを接着等により取り付ける場合、接着面に対してフィルタが浮いてしまう部分が生じ、フィルタの機能を十分に発揮できなくなってしまうという課題がある。
また、上述の特許文献１にあっては、インク供給口に微細な複数の貫通孔を形成するにあたって異方性エッチング技術を利用しているが、貫通孔の孔径を、異物が貫通孔を通過不可能な程度の大きさに設定するには、貫通孔を高精度に形成する必要がある。このため、製造コストが嵩むという課題がある。
【０００６】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、容易、且つ確実に取り付けることができると共に、製造コストを低減できる液体噴射ヘッド用のフィルタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記の課題を解決するために、互いに積層される複数のメインプレートと、各メインプレートの間に介装される中間プレートとを有し、供給される液体を濾過するための液体噴射ヘッド用のフィルタであって、各プレートに、それぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔を複数形成すると共に、これら貫通孔を法線方向で重ならないように配置し、前記中間プレートに、各貫通孔を連通させるための開口部を形成したことを特徴とする。
【０００８】
このように、メインプレートと中間プレートとを積層することによりフィルタを形成するので、平坦度を高めることができ、接着面に確実にフィルタを固着させることができる。
また、中間プレートの肉厚がメインプレート間の隙間を決定することになるので、中間プレートの肉厚を管理するだけで液体内に含まれる異物の通過を阻害することができるようになる。このため、従来と比較して製造コストを低減することができる。
【０００９】
本発明に係る液体噴射ヘッド用のフィルタは、前記開口部は、この開口部が形成されている前記中間プレートを挟んで両側に配置された２つの前記メインプレートに形成されている前記貫通孔であって、法線方向からみて隣接する前記貫通孔同士を連通するように、複数形成されていることを特徴とする。
【００１０】
このように構成することで、開口部の大きさを最小限に抑えつつ、フィルタを通過する液体の流路を十分確保することができる。このため、メインプレートの変形を防止し、メインプレート間の隙間を確実に保持できる。よって、安価で信頼性の高いフィルタを提供することができる。
【００１１】
本発明に係る液体噴射ヘッド用のフィルタは、前記複数のメインプレートのうち、少なくとも１つのメインプレートに形成されている前記貫通孔は、前記液体の通流方向下流側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする。
【００１２】
このように構成することで、フィルタを通過する液体の圧損を低減でき、液体の流速を十分確保することができる。
【００１３】
本発明に係る液体噴射ヘッド用のフィルタは、各メインプレートに形成された前記貫通孔は、前記液体の通流方向下流側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする。
【００１４】
このように構成することで、より確実に液体の流速を十分確保することができる。
【００１５】
本発明に係る液体噴射ヘッド用のフィルタは、２つの前記メインプレートと、これら２つのメインプレートの間に介装された１つの中間プレートとにより構成され、各メインプレートに形成された貫通孔は、前記中間プレート側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする。
【００１６】
このように構成することで、１つのプレートに形成される各貫通孔の面方向のピッチ間隔を狭めても、隣接する貫通孔間の距離を十分確保することができる。このため、高い濾過性能を確保しつつ、省スペースに多くの貫通孔を形成することにより、液体の圧損を低減することが可能になる。
【００１７】
本発明に係る液体噴射ヘッドは、請求項１に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタを備えていることを特徴とする。
このように構成することで、製造コストを低減できる液体噴射ヘッドを提供できる。
【００１８】
本発明に係る液体噴射記録装置は、請求項６に記載の液体噴射ヘッドと、前記液体を収容する液体収容体と、前記液体噴射ヘッドと前記液体収容体との間に敷設され、前記液体を流通させる液体供給管と備えたことを特徴とする。
このように構成することで、組立性を向上させ、製造コストを低減できる液体噴射記録装置を提供できる。
【発明の効果】
【００１９】
本発明によれば、メインプレートと中間プレートとを積層することによりフィルタを形成するので、平坦度を高めることができ、接着面に確実にフィルタを固着させることができる。
また、中間プレートの肉厚がメインプレート間の隙間を決定することになるので、中間プレートの肉厚を管理するだけで液体内に含まれる異物の通過を阻害することができるようになる。このため、従来と比較して製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明の第１実施形態における液体噴射記録装置の斜視図である。
【図２】本発明の第１実施形態における液体噴射ヘッドを示し、（ａ）は斜視図、（ｂ）は（ａ）の一部破断斜視図である。
【図３】本発明の第１実施形態における液体噴射ヘッドチップの分解斜視図である。
【図４】本発明の第１実施形態における液体噴射ヘッドチップの一部を拡大した分解斜視図である。
【図５】本発明の第１実施形態におけるフィルタの平面図である。
【図６】図５のＡ部拡大図である。
【図７】図６のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。
【図８】図６のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。
【図９】本発明の第１実施形態におけるフィルタの作用説明図である。
【図１０】本発明の第２実施形態におけるフィルタの平面図である。
【図１１】本発明の第３実施形態におけるフィルタの断面図である。
【図１２】本発明の第４実施形態におけるフィルタの断面図である。
【図１３】本発明の第５実施形態におけるフィルタ本体部の平面図である。
【図１４】本発明の第５実施形態における中間プレートの平面図である。
【図１５】本発明の第５実施形態におけるフィルタ本体部の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
（第１実施形態）
（液体噴射記録装置）
次に、この発明の第１実施形態を図１〜図９に基づいて説明する。
図１は、液体噴射記録装置１の斜視図である。
液体噴射記録装置１は、紙等の被記録媒体Ｓを搬送する一対の搬送機構２、３と、被記録媒体Ｓにインク滴を噴射する液体噴射ヘッド４と、液体噴射ヘッド４にインクを供給する液体供給手段５と、液体噴射ヘッド４を被記録媒体Ｓの搬送方向（主走査方向）と略直交する方向（副走査方向）に走査させる走査手段６とを備えている。
以下、副走査方向をＸ方向、主走査方向をＹ方向、そしてＸ方向およびＹ方向にともに直交する方向をＺ方向として説明する。
【００２２】
一対の搬送機構２、３は、それぞれ副走査方向に延びて設けられたグリッドローラ２０，３０と、グリッドローラ２０，３０のそれぞれに平行に延びるピンチローラ２１，３１と、詳細は図示しないがグリッドローラ２０，３０を軸回りに回転動作させるモータ等の駆動機構とを備えている。
【００２３】
液体供給手段５は、インクが収容された液体収容体５０と、液体収容体５０と液体噴射ヘッド４とを接続する液体供給管５１とを備えている。液体収容体５０は、複数設けられており、具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４種類のインクが収容されたインクタンク５０Ｙ，５０Ｍ，５０Ｃ，５０Ｂが並べて設けられている。インクタンク５０Ｙ，５０Ｍ，５０Ｃ，５０ＢのそれぞれにはポンプモータＭが設けられており、インクを液体供給管５１を通じて液体噴射ヘッド４へ押圧移動できる。液体供給管５１は、液体噴射ヘッド４（キャリッジユニット６２）の動作に対応可能な可撓性を有するフレキシブルホースからなる。
尚、液体収容体５０は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４種類のインクが収容されたインクタンク５０Ｙ，５０Ｍ，５０Ｃ，５０Ｂに限られるものではなく、さらに多色のインクを収容したインクタンクを備えていてもよい。
【００２４】
走査手段６は、副走査方向に延びて設けられた一対のガイドレール６０，６１と、一対のガイドレール６０，６１に沿って摺動可能なキャリッジユニット６２と、キャリッジユニット６２を副走査方向に移動させる駆動機構６３とを備えている。駆動機構６３は、一対のガイドレール６０，６１の間に配設された一対のプーリ６４，６５と、一対のプーリ６４，６５間に巻回された無端ベルト６６と、一方のプーリ６４を回転駆動させる駆動モータ６７とを備えている。
【００２５】
一対のプーリ６４，６５は、一対のガイドレール６０，６１の両端部間にそれぞれ配設されており、副走査方向に間隔をあけて配置されている。無端ベルト６６は、一対のガイドレール６０，６１間に配設されており、この無端ベルト６６に、キャリッジユニット６２が連結されている。キャリッジユニット６２の基端部６２ａには、複数の液体噴射ヘッド４が搭載されている。具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４種類のインクに個別に対応する液体噴射ヘッド４Ｙ，４Ｍ，４Ｃ，４Ｂが副走査方向に並んで搭載されている。
【００２６】
（液体噴射ヘッド）
図２は、液体噴射ヘッド４の一部破断斜視図である。
同図に示すように、液体噴射ヘッド４は、被記録媒体Ｓ（図１参照）に対してインク滴を噴射する噴射部７０と、噴射部７０と電気的に接続された制御回路基板８０と、噴射部７０と液体供給管５１との間に、それぞれ接続部９３，９４を介して介在された圧力緩衝器９０とをベース４１，４２上に備えている。圧力緩衝器９０は、液体供給管５１から噴射部７０へインクの圧力変動を緩衝しながら通流させるためのものである。尚、ベース４１，４２は一体成形とされていても構わない。
【００２７】
噴射部７０は、圧力緩衝器９０に接続部７２を介して接続された流路基板７１と、電圧が印加されることにより、インクを液滴として被記録媒体Ｓへと噴射させる液体噴射ヘッドチップ７３と、液体噴射ヘッドチップ７３と制御回路基板８０とに電気的に接続され液体噴射ヘッドチップ７３に駆動信号を伝送するためのフレキシブル配線７４とを備えている。
制御回路基板８０は、液体噴射記録装置１の本体制御部（不図示）からのピクセルデータ等の信号に基づいて液体噴射ヘッドチップ７３の駆動パルスを生成する制御手段８０ａを備えている。
【００２８】
図３は、液体噴射ヘッドチップ７３の分解斜視図、図４は、液体噴射ヘッドチップ７３の一部を拡大した分解斜視図である。
図３、図４に示すように、液体噴射ヘッドチップ７３は、略長方形状の圧電アクチュエータ７５を備えている。圧電アクチュエータ７５は、例えば、ＰＺＴ（チタン酸ジルコン酸鉛）からなるものである。圧電アクチュエータ７５は、この上面に短手方向に延びる長溝７６を有している。長溝７６は、横断面が矩形状に形成されており、圧電アクチュエータ７５の長手方向の全長に亘って複数並設されている。すなわち、長溝７６は、側壁７７によってそれぞれ区分けされている。
【００２９】
長溝７６の底面は、圧電アクチュエータ７５の前方側から短手方向の略中央部まで延びる前方平坦面７５ａと、この前方平坦面７５ａの後部から後方側に向かって深さが漸次浅くなるような傾斜面７５ｂと、この傾斜面７５ｂの後部から後方側に向かって延びる後方平坦面７５ｃとで構成されている。なお、長溝７６の後端部は、不図示の封止部により封止されている。
【００３０】
長溝７６内には、板状に延びる駆動電極部７８が設けられている。すなわち、側壁７７の両主面の上端部寄りにそれぞれ駆動電極部７８が蒸着により設けられている。この駆動電極部７８が、フレキシブル配線７４を介して制御回路基板８０に電気的に接続されることにより、制御回路基板８０から液体噴射ヘッドチップ７３に駆動信号が入力される。
また、圧電アクチュエータ７５の前端面７５ｄには、ポリイミドなどからなるノズルプレート８１が設けられている。ノズルプレート８１の一方の主面は、圧電アクチュエータ７５への接合面とされ、他方の主面には、インクの付着等を防止するための撥水性や親水性を有する撥水膜が塗布されている。
【００３１】
また、ノズルプレート８１には、その長手方向に所定の間隔（長溝７６のピッチと同等の間隔）を空けて複数のノズル開口部８１ａが形成されている。ノズル開口部８１ａは、ポリイミドフィルムなどのノズルプレート８１に、例えば、エキシマレーザ装置を用いて形成される。これらノズル開口部８１ａは、それぞれ長溝７６に一致して配置されている。
さらに、圧電アクチュエータ７５の上面には、長方形状のカバープレート８２が設けられている。カバープレート８２の短手方向の長さ寸法は、圧電アクチュエータ７５の短手方向の長さ寸法よりも短く設定されている。そして、カバープレート８２の前端面８２ａと、圧電アクチュエータ７５の前端面７５ｄとは面一になっている。
【００３２】
カバープレート８２には、その長手方向に延びる矩形状の開口部８３が形成されている。この開口部８３は、圧電アクチュエータ７５の長手方向の全体の長溝７６に亘って延ばされている。すなわち、全ての長溝７６が開口部８３を介して外方に開放され、開口部８３によって各長溝７６がそれぞれ連通した状態になっている。また、圧電アクチュエータ７５とカバープレート８２を接合したものに、ノズルプレート８１が接合される。さらにノズルプレート８１を支持するノズル支持プレート８４が接合され、液体噴射ヘッドチップ７３を構成している。
【００３３】
このような構成のもと、圧力緩衝器９０内の貯留室から、接続部７２，９４を介して所定量のインクが流路基板７１に供給される。また、流路基板７１は、液体噴射ヘッドチップ７３の開口部８３と連通しており、接続部７２，９４から開口部８３へとインクを行き渡らせることができる構造になっている。これにより、開口部８３を介して長溝７６内にインクが送り込まれる。すなわち、長溝７６はインクが充填されるインク室として機能する一方、流路基板７１は、各長溝７６をそれぞれ連通させる共通インク室として機能する。
そして、駆動電極部７８に駆動電圧を印加すると圧電厚み滑り効果により長溝７６の側壁７７が変形する。これにより、長溝７６の容積が減少して長溝７６内の圧力が増加するので、ノズルプレート８１のノズル開口部８１ａからインク滴が吐出される。
【００３４】
ここで、カバープレート８２の開口部８３には、この開口部８３の中央に向かって突出するように段差部８３ａが全周に亘って形成されている。そして、カバープレート８２には、開口部８３を閉塞するようにフィルタ１０が設けられている。フィルタ１０は、この外周縁が開口部８３の段差部８３ａに接着固定されており、長溝７６にインク内に含まれる異物が浸入してしまうのを防止できるようになっている。
【００３５】
（フィルタ）
図５は、フィルタ１０の平面図、図６は、図５のＡ部拡大図、図７は、図６のＢ−Ｂ線に沿う断面図、図８は、図６のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。
図５〜図８に示すように、フィルタ１０は、例えばステンレス等により形成された第１メインプレート１１、及び第２メインプレート１２の２枚のメインプレート１１，１２により、中間プレート１０１を挟み込むように積層したものである。
【００３６】
各メインプレート１１，１２は、カバープレート８２の開口部８３の形状に対応するように、カバープレート８２の長手方向に長い矩形状に形成されたものであって、長手方向に沿って延在するフィルタ本体部１３と、このフィルタ本体部１３の外周縁に設けられた接着部１４とが一体成形されている。各メインプレート１１，１２の肉厚ｔ１は、例えば、約２０μｍ程度に設定されている。しかしながら、肉厚ｔ１は、約２０μｍ程度に設定される場合に限られるものではない。
【００３７】
各メインプレート１１，１２のフィルタ本体部１３には、それぞれ厚さ方向に貫通するフィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂが複数形成されている。各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂは、それぞれメインプレート１１，１２に、その長手方向に対して交差する（例えば、長手方向に対して約４５度傾斜している）直線Ｌ１を、互いに平行となるように複数並列させるように引いたとき、これら直線Ｌ１に沿うように配置されている。
また、第１メインプレート１１に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａと、第２メインプレート１２に形成されているフィルタ用貫通孔１５ｂは、互いに法線方向で重ならないように配置されている。つまり、フィルタ１０を正面からみたとき、同一の直線Ｌ１上においては、フィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂは、それぞれ交互に配置され、且つ互いに重ならないように配置された状態になっている。
【００３８】
また、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの孔径φ１は、例えば、約４６μｍ程度に設定されている。さらに、第１メインプレート１１に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａは、それぞれのピッチ間隔Ｐ１が、例えば、約１３２μｍ程度に設定されている。同様に、第２メインプレート１２に形成されているフィルタ用貫通孔１５ｂは、それぞれのピッチ間隔Ｐ２が、例えば、約１３２μｍ程度に設定されている。そして、第１メインプレート１１に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａと、第２メインプレート１２に形成されているフィルタ用貫通孔１５ｂとのピッチ間隔Ｐ３は、例えば、約６６μｍ程度に設定されている。すなわち、フィルタ１０を正面からみたとき、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂは、それぞれ等間隔に配置された状態になっている。
【００３９】
一方、メインプレート１１，１２の接着部１４には、それぞれ厚さ方向に貫通する接着用貫通孔１８ａ，１８ｂが複数形成されている。各接着用貫通孔１８ａ，１８ｂは、それぞれメインプレート１１，１２の長手方向、及び短手方向に沿うように等間隔に配置されている。また、各接着用貫通孔１８ａ，１８ｂの孔径φ２は、例えば、約６０μｍ程度に設定されている。さらに、各接着用貫通孔１８ａ，１８ｂのピッチ間隔Ｐ４は、例えば、約９０μｍ程度に設定されている。しかしながら、孔径φ２は、約６０μｍ程度に設定される場合に限られるものではなく、また、ピッチ間隔Ｐ４は、約９０μｍ程度に設定される場合に限られるものではない。
【００４０】
一方、中間プレート１０１は、法線方向からみた平面形状は各メインプレート１１，１２と同様の形状に形成されている。すなわち、中間プレート１０１は、カバープレート８２の開口部８３の形状に対応するように、カバープレート８２の長手方向に長い矩形状に形成されたものであって、長手方向に沿って延在するフィルタ本体部１１３と、このフィルタ本体部１１３の外周縁に設けられた接着部１１４とが一体成形されている。中間プレート１０１の肉厚ｔ２は、例えば、約１０μｍ程度に設定されている。しかしながら、肉厚ｔ２は、約１０μｍ程度に設定される場合に限られるものではない。
【００４１】
また、中間プレート１０１には、法線方向からみて略矩形状の開口部１０２が中間プレート１０１の長手方向に沿って等間隔に複数形成されている。
より具体的には、開口部１０２は、その一方の対角線上で対向する２つの稜線部１０２ａがそれぞれ法線方向からみて隣接するフィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂとの間を跨るように、また、他方の対角線上で対向する２つの稜線部１０２ｂがそれぞれ法線方向からみて隣接する他のフィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂとの間を跨るように形成されている。そして、開口部１０２の各稜線部１０２ａ，１０２ｂが、対応するフィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの径方向内側に臨まされた状態になっている。
【００４２】
このように開口部１０２を形成することにより、中間プレート１０１のフィルタ本体部１１３は、複数の開口部１０２と、これら開口部１０２間に形成された格子状の骨格部１０３とにより構成される。そして、骨格部１０３の交差部１０３ａが、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの中心に位置した状態になる。
ここで、骨格部１０３が形成されることにより、第１メインプレート１１と第２メインプレート１２とが中間プレート１０１側に撓んでしまうことを防止できる。すなわち、中間プレート１０１に開口部１０２を形成した状態であっても、第１メインプレート１１と第２メインプレート１２との間隔を、中間プレート１０１の肉厚ｔ２と同一に維持することができる。
【００４３】
一方、中間プレート１０１の接着部１１４には、それぞれ厚さ方向に貫通する接着用貫通孔１８ｃが複数形成されている。接着用貫通孔１８ｃの孔径は、メインプレート１１，１２に形成されている接着用貫通孔１８ａ，１８ｂの孔径φ２と同一に設定されている。また、各接着用貫通孔１８ｃのピッチ間隔も、接着用貫通孔１８ａ，１８ｂのピッチ間隔Ｐ４と同一に設定されている。このため、各接着用貫通孔１８ａ，１８ｂ，１８ｃは、軸方向に連通した状態になっている。
【００４４】
（フィルタの製造方法）
続いて、フィルタの製造方法について説明する。
まず、第１メインプレート１１に、エッチング等によりフィルタ用貫通孔１５ａ、及び接着用貫通孔１８ａを形成する。また、第２メインプレート１２に、エッチング等によりフィルタ用貫通孔１５ｂ、及び接着用貫通孔１８ｂを形成する。さらに、中間プレート１０１に、エッチング等により開口部１０２、及び接着用貫通孔１８ｃを形成する。
この後、第１メインプレート１１の合わせ面１１ａと、中間プレート１０１とを重ね合わせるように積層すると共に、第２メインプレート１２の合わせ面１２ａと、中間プレート１０１とを重ね合わせるように積層する。そして、これら第１メインプレート１１、第２メインプレート１２、及び中間ｎプレート１０１を熱拡散接合により接合する。
【００４５】
尚、熱拡散接合とは、金属部材同士を接触させ荷重をかけた状態で、各部材に熱（例えば、約９００度程度）を加えることにより接合する接合方法である。これは、金属同士の界面において、互いの分子同士が接合して部材同士が接合されるため、板状の部材同士を、密閉性を維持しながら接合する場合に適している。
【００４６】
（フィルタの作用）
次に、図３、図６、図８、図９に基づいて、フィルタ１０の作用について説明する。
図９は、フィルタ１０の作用説明図であって、図７に対応している。
まず、図３、図８に示すように、液体噴射ヘッドチップ７３の開口部８３にフィルタ１０を取り付ける。このとき、開口部８３の段差部８３ａに接着剤を塗布し、この上からフィルタ１０の接着部１４を載置する。フィルタ１０は、２枚のメインプレート１１，１２と、これらの間に挟まれる中間プレート１０１とを積層したものなので平坦度が高く、段差部８３ａにメインプレート１１，１２の接着部１４全体を密接させることができる。
【００４７】
また、メインプレート１１，１２の接着部１４には複数の接着用貫通孔１８ａ，１８ｂが形成されており、中間プレート１０１の接着部１１４には複数の接着用貫通孔１８ｃが形成されているので、これら接着用貫通孔１８ａ，１８ｂ，１８ｃに接着剤が入り込み、後に硬化することで、接着部１４と段差部８３ａとの接着性を高めている。また、接着用貫通孔１８ａ，１８ｂ，１８ｃが接着剤により満たされ、メインプレート１１，１２の図面平面視上面に溢れ出すように、段差部８３ａに接着剤を塗布して、さらに接着性を高めることも可能である。このため、接着部１４全体が接着剤で充たされ、液体噴射ヘッドチップ７３に対するフィルタ１０の固着力が高まる。
【００４８】
また、接着用貫通孔１８ａ，１８ｂ，１８ｃから接着剤が溢れ出すことにより、接着部１４と段差部８３ａとの間の隙間が埋まっているか否かが確認できる。ここで、接着部１４と段差部８３ａとの間に隙間が生じている場合、この隙間から塵埃が浸入してしまう虞があるが、接着部１４と段差部８３ａとの間の隙間が埋まることによって、塵埃の浸入を防止できる。
【００４９】
尚、上述の第１実施形態では、カバープレート８２をセラミックなどの材質で構成するように検討したため、接着剤を使用してフィルタ１０を接合することとしたが、本来その接合方法は接着材の使用に限定されるものではない。例えば、フィルタ１０が接合される対象が溶融性の高いプラスチックのような樹脂材料で形成される場合は、当該対象を溶融しフィルタ１０と接合することも可能である。本実施形態で示した流路基板７１などは、樹脂材料で形成されることが多いため、流路基板７１を溶融してフィルタ１０を取り付けることが可能である。もちろん、より強固な接合を目的として、溶融接合した後に、接着材でさらに接着することも可能である。
【００５０】
ここで、フィルタ１０は、特に表裏面を問わないが、以下の説明においては、圧電アクチュエータ７５側に第２メインプレート１２を向けた状態でフィルタ１０を接着固定した場合について説明する。
図９に示すように、上述のように取り付けられたフィルタ１０を介し、液体噴射ヘッドチップ７３の長溝７６にインクが充填されるとき、インクは、フィルタ１０の第１メインプレート１１に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａに導かれる（矢印Ｙ１参照）。続いて、中間プレート１０１の開口部１０２を通る（矢印Ｙ２参照）。その後、第２メインプレート１２に形成されているフィルタ用貫通孔１５ｂを介し、圧電アクチュエータ７５の長溝７６にインクが充填される（矢印Ｙ３参照）。
【００５１】
このとき、中間プレート１０１の肉厚ｔ２よりも大きい異物は開口部１０２を通過することができず、フィルタ用貫通孔１５ａに留まる。この第１実施形態では、中間プレート１０１の肉厚ｔ２は、例えば、約１０μｍ程度に設定されているので、これよりも大きい異物はフィルタ１０を通過することができず、インクが濾過される。
【００５２】
（効果）
したがって、上述の第１実施形態によれば、フィルタ１０は、２枚のメインプレート１１，１２と、これらの間に挟まれる中間プレート１０１とを積層したものなので平坦度が高く、段差部８３ａにメインプレート１１，１２の接着部１４全体を密接させることができる。このため、液体噴射ヘッドチップ７３に確実にフィルタ１０を接着固定させることができる。
また、中間プレート１０１の肉厚ｔ２を管理するだけでインク内に含まれる異物通過を阻害することができるので、従来と比較してフィルタ１０の製造コストを低減することができる。
【００５３】
さらに、図６に示すように、中間プレート１０１に複数の開口部１０２を形成し、長手方向に沿って等間隔に配列させている。そして、各開口部１０２の稜線部１０２ａ，１０２ｂが、対応するフィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの径方向内側に臨まされた状態になっている。このため、１つのフィルタ用貫通孔１５ａに導かれたインクが開口部１０２に通流されるとき、四方全体に亘って通流される。このため、インクの圧損が小さく、十分な流速を確保することができる。
【００５４】
また、中間プレート１０１に開口部１０２を複数形成することにより、開口部１０２間に格子状の骨格部１０３が形成される。このため、第１メインプレート１１と第２メインプレート１２とが中間プレート１０１側に撓んでしまうことを防止でき、第１メインプレート１１と第２メインプレート１２との間隔を、中間プレート１０１の肉厚ｔ２と同一に維持することができる。
【００５５】
さらに、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂは、それぞれメインプレート１１，１２に、その長手方向に対して交差する（例えば、長手方向に対して約４５度傾斜している）直線Ｌ１を、互いに平行となるように複数並列させるように引いたとき、これら直線Ｌ１に沿うように配置されていると共に、フィルタ１０を正面からみたとき、同一の直線Ｌ１上においては、フィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂは、それぞれ交互に配置され、且つ互いに重ならないように配置されている。このため、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂをできるだけ多く形成しつつ、第１メインプレート１１のフィルタ用貫通孔１５ａと、第２メインプレート１２のフィルタ用貫通孔１５ｂとのピッチ間隔Ｐ３（図７参照）を大きく確保することができる。よって、フィルタ１０を通るインクの通流経路が長く設定され、フィルタ１０の濾過性能を高めることができる。
【００５６】
（第２実施形態）
次に、この発明の第２実施形態を図１〜図３を援用し、図１０に基づいて説明する。
図１０は、第２実施形態におけるフィルタ２１０の断面図である。尚、第１実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する（以下の実施形態についても同様）。
この第２実施形態において、液体噴射記録装置１は、紙等の被記録媒体Ｓを搬送する一対の搬送機構２、３と、被記録媒体Ｓにインク滴を噴射する液体噴射ヘッド４と、液体噴射ヘッド４にインクを供給する液体供給手段５と、液体噴射ヘッド４を被記録媒体Ｓの搬送方向（主走査方向）と略直交する方向（副走査方向）に走査させる走査手段６とを備えている点、液体噴射ヘッド４は、被記録媒体Ｓ（図１参照）に対してインク滴を噴射する噴射部７０と、噴射部７０と電気的に接続された制御回路基板８０と、噴射部７０と液体供給管５１との間に、それぞれ接続部９３，９４を介して介在された圧力緩衝器９０とをベース４１，４２上に備えている点、噴射部７０は、圧力緩衝器９０に接続部７２を介して接続された流路基板７１と、電圧が印加されることにより、インクを液滴として被記録媒体Ｓへと噴射させる液体噴射ヘッドチップ７３と、液体噴射ヘッドチップ７３と制御回路基板８０とに電気的に接続され液体噴射ヘッドチップ７３に駆動信号を伝送するためのフレキシブル配線７４とを備えている点、液体噴射ヘッドチップ７３を構成するカバープレート８２の開口部８３には、この開口部８３の中央に向かって突出するように段差部８３ａが全周に亘って形成されており、ここに開口部８３を閉塞するようにフィルタ２１０が設けられている点、フィルタ２１０は、２枚のメインプレート２１１，２１２により、中間プレート１０１を挟み込むように積層したものであり、長手方向に沿って延在するフィルタ本体部１３と、このフィルタ本体部１３，１１３の外周縁に設けられた接着部１４，１１４とが一体成形されている点、圧電アクチュエータ７５側に第２メインプレート２１２を向けた状態でフィルタ２１０を取り付けている点等の基本的構成は、前述した第１実施形態と同様である（以下の実施形態についても同様）。
【００５７】
ここで、第１実施形態と第２実施形態との相違点は、第１実施形態の各メインプレート１１，１２のフィルタ本体部１３に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの形状と、第２実施形態の各メインプレート２１１，２１２のフィルタ本体部１３に形成されているフィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂの形状が異なる点にある。
【００５８】
より詳しくは、図１０に示すように、各メインプレート２１１，２１２のフィルタ本体部１３に形成されているフィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂは、それぞれインクの通流方向（以下、単に通流方向という）下流側（図１０における上側）に向かうに従って漸次縮径するようにテーパ状に形成されている。
各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂの通流方向上流側の直径φ３、つまり、各フィルタ用貫通孔２１５ａの大孔の直径φ３は、例えば、約４６μｍ程度に設定されている。一方、各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂの通流方向下流側の直径φ４、つまり、各フィルタ用貫通孔２１５ａの小孔の直径φ４は、例えば、約３０μｍ〜約４０μｍ程度に設定されている。尚、直径φ３は、約４６μｍ程度に設定される場合に限られるものではなく、また、直径φ４は、約３０μｍ〜約４０μｍ程度に設定される場合に限られるものではない。
【００５９】
このように構成することにより、各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂのインクを受け入れる側の直径φ３が大きく設定されたことになる。
したがって、上述の第２実施形態によれば、前述の第１実施形態と同様の効果に加え、フィルタ２１０を通過するインクの圧損を低減でき、インクの流速を十分確保することができる。
【００６０】
尚、上述の第２実施形態では、各メインプレート２１１，２１２の各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂの両方がテーパ形状を有するように記載したが、各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂのうち、少なくとも一方がテーパ形状を有するように形成すれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、例えば、第１メインプレート２１１のフィルタ用貫通孔２１５ａはテーパ形状を有しており、第２メインプレート２１２のフィルタ用貫通孔２１５ｂは図７，９に示すようにプレートの深さ方向にストレート形状の貫通孔とすることが可能であり、もちろんテーパ形状とストレート形状の貫通孔を各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂで入れ換えることも可能である。
【００６１】
（第３実施形態）
次に、この発明の第３実施形態を図１１に基づいて説明する。
図１１は、第３実施形態におけるフィルタ３１０の断面図である。
ここで、同図に示すように、第２実施形態と第３実施形態との相違点は、第２実施形態の第２メインプレート２１２に形成されているテーパ状のフィルタ用貫通孔２１５ｂと、第３実施形態の第２メインプレート３１２に形成されているテーパ状のフィルタ用貫通孔３１５ｂの向きが異なる点にある。
【００６２】
つまり、第３実施形態の第２メインプレート３１２に形成されているフィルタ用貫通孔３１５ｂは、中間プレート１０１側に向かうに従って漸次縮径するようにテーパ状に形成されている。換言すれば、各メインプレート３１１，３１２に形成されているテーパ状のフィルタ用貫通孔３１５ａ，３１５ｂは、それぞれ中間プレート１０１側に向かうに従って漸次縮径するように形成されているといえる。
【００６３】
このように構成することにより、第１メインプレート３１１のフィルタ用貫通孔３１５ａと、第２メインプレート３１２のフィルタ用貫通孔３１５ｂとのピッチ間隔Ｐ３’を小さくしつつ、中間プレート１０１の開口部１０２内における第１メインプレート３１１のフィルタ用貫通孔３１５ａと、第２メインプレート３１２のフィルタ用貫通孔３１５ｂとの間の距離Ｋ１を大きく設定することができる。
【００６４】
したがって、上述の第３実施形態によれば、ピッチ間隔Ｐ３’を小さくできる分、より多くのフィルタ用貫通孔３１５ａ，３１５ｂを形成することができるので、高い濾過性能を確保しつつ、インクの圧損を低減することが可能になる。
尚、上述の第３実施形態では、各メインプレート３１１，３１２の各フィルタ用貫通孔３１５ａ，３１５ｂの両方がテーパ形状を有するように記載したが、第２メインプレート３１２（下流側）のフィルタ用貫通孔３１５ｂがテーパ形状を有するように形成すれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、例えば、第１メインプレート３１１のフィルタ用貫通孔５１５ａは図７，９に示すようにプレートの深さ方向にストレート形状の貫通孔とすることが可能である。
【００６５】
（第４実施形態）
次に、この発明の第４実施形態を図１２に基づいて説明する。
図１２は、第４実施形態におけるフィルタ４１０の断面図である。
ここで、同図に示すように、第１実施形態と第２実施形態との相違点は、第１実施形態では、フィルタ１０を正面からみたとき、フィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂは、それぞれ交互に配置され、且つ互いに重ならないように配置された状態になっているのに対し、第４実施形態では、フィルタ４１０を正面からみたとき、フィルタ用貫通孔４１５ａとフィルタ用貫通孔４１５ｂは、互いに同じ箇所に配置された状態になっている点にある。
このように構成した場合であっても、前述の第１実施形態と同様の効果に加え、フィルタ４１０を通過するインクの圧損を低減でき、インクの流速を十分確保することができる。
【００６６】
（第５実施形態）
次に、この発明の第５実施形態を図１３〜図１５に基づいて説明する。
図１３は、第５実施形態におけるフィルタ５１０のフィルタ本体部５１３の平面図、図１４は、第５実施形態における中間プレート１５１の平面図、図１５は、第５実施形態におけるフィルタ本体部５１３の断面斜視図である。
図１３〜図１５に示すように、第１実施形態と第５実施形態との相違点は、第１実施形態のフィルタ１０と第５実施形態のフィルタ５１０との形状が異なる点にある。
【００６７】
より詳しくは、第５実施形態における中間プレート１５１のフィルタ本体部１６３には、開口部１５２が形成されている。開口部１５２は、互いに交差する２つの直線開口１５３，１５４からなり、それぞれ直線開口１５３，１５４の一方の頂部１５３ａ，１５４ａが連結部１５５を介して連なっている。
【００６８】
一方、第１メインプレート５１１に形成されているフィルタ用貫通孔５１５ａと、第２メインプレート５１２に形成されているフィルタ用貫通孔５１５ｂは、それぞれ法線方向からみて互いに重なるように同位置に形成されている。また、各フィルタ用貫通孔５１５ａ，５１５ｂは、それぞれの径方向内側に、開口部１５２の連結部１５５と、各直線開口１５３，１５４の一方の頂部１５３ａ，１５４ａ、及び他方の頂部１５３ｂ，１５４ｂとがそれぞれ臨まされるように形成されている。
このように構成することにより、前述の第１実施形態と同様の効果を奏することができる。
【００６９】
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、液体噴射ヘッドチップ７３を構成するカバープレート８２の開口部８３にフィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０を取り付けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、液体噴射ヘッドチップ７３に供給されるインクを濾過可能な位置であればよい。例えば、液体噴射ヘッド４の流路基板７１内にフィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０を設けてもよい。
【００７０】
また、上述の実施形態では、フィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０は、それぞれ２枚のメインプレート１１〜５１２により、中間プレート１０１，１５１を挟み込むように積層したものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、３枚以上の複数のメインプレートを用い、各メインプレートの間に中間プレート１０１，１５１を挟み込んで積層させるように構成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、フィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０は、例えばステンレス等により形成されたものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、フィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０の材質は、熱拡散接合を利用した接合方法が可能な材質であればよい。
【符号の説明】
【００７１】
１ 液体噴射記録装置
４ 液体噴射ヘッド
１０，２１０，３１０，４１０，５１０ フィルタ（液体噴射ヘッド用のフィルタ）
１１，２１１，３１１，４１１，５１１ 第１メインプレート（メインプレート）
１２，２１２，３１２，４１２，５１２ 第２メインプレート（メインプレート）
１５ａ，１５ｂ，２１５ａ，２１５ｂ，３１５ａ，３１５ｂ，４１５ａ，４１５ｂ，５１５ａ，５１５ｂ フィルタ用貫通孔（貫通孔）
１０１，１５１ 中間プレート
１０２，１５２ 開口部
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ノズル孔より液体を吐出して被記録媒体に画像や文字を記録する液体噴射ヘッド用のフィルタ、液体噴射ヘッド、及び液体噴射記録装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、インクタンクからインク（液体）が供給されるインクジェットヘッド（液体噴射ヘッド）はヘッドチップを有している。そして、このヘッドチップのノズル孔からインクを被記録媒体に吐出することで記録が行われるようになっている。
ここで、例えばノズル孔にインクが固化することにより形成される異物等が浸入し、ノズル孔の詰まりによるインクの吐出不良が生じる場合がある。このため、できる限りインクジェットヘッドのインク供給口の近傍に、フィルタを設けることが望ましい。フィルタは、金属糸を織り込むことにより形成されているものが多い。
【０００３】
また、インク供給口を微細な複数の貫通孔からなるフィルタ構造とし、インクの吐出不良を防止する技術が開示されている。微細な複数の貫通孔は、異方性エッチング技術を利用することにより形成される。また、貫通孔の孔径を微細なものとするために、複数の貫通孔をそれぞれ屈曲形成させている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００６−６２３０２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、金属糸を織り込むことにより形成されるフィルタは平坦度が低いので、例えばフィルタを接着等により取り付ける場合、接着面に対してフィルタが浮いてしまう部分が生じ、フィルタの機能を十分に発揮できなくなってしまうという課題がある。
また、上述の特許文献１にあっては、インク供給口に微細な複数の貫通孔を形成するにあたって異方性エッチング技術を利用しているが、貫通孔の孔径を、異物が貫通孔を通過不可能な程度の大きさに設定するには、貫通孔を高精度に形成する必要がある。このため、製造コストが嵩むという課題がある。
【０００６】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、容易、且つ確実に取り付けることができると共に、製造コストを低減できる液体噴射ヘッド用のフィルタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記の課題を解決するために、互いに積層される複数のメインプレートと、各メインプレートの間に介装される中間プレートとを有し、供給される液体を濾過するための液体噴射ヘッド用のフィルタであって、各プレートに、それぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔を複数形成すると共に、これら貫通孔を法線方向で重ならないように配置し、前記中間プレートに、各貫通孔を連通させるための開口部を形成したことを特徴とする。
【０００８】
このように、メインプレートと中間プレートとを積層することによりフィルタを形成するので、平坦度を高めることができ、接着面に確実にフィルタを固着させることができる。
また、中間プレートの肉厚がメインプレート間の隙間を決定することになるので、中間プレートの肉厚を管理するだけで液体内に含まれる異物の通過を阻害することができるようになる。このため、従来と比較して製造コストを低減することができる。
【０００９】
本発明に係る液体噴射ヘッド用のフィルタは、前記開口部は、この開口部が形成されている前記中間プレートを挟んで両側に配置された２つの前記メインプレートに形成されている前記貫通孔であって、法線方向からみて隣接する前記貫通孔同士を連通するように、複数形成されていることを特徴とする。
【００１０】
このように構成することで、開口部の大きさを最小限に抑えつつ、フィルタを通過する液体の流路を十分確保することができる。このため、メインプレートの変形を防止し、メインプレート間の隙間を確実に保持できる。よって、安価で信頼性の高いフィルタを提供することができる。
【００１１】
本発明に係る液体噴射ヘッド用のフィルタは、前記複数のメインプレートのうち、少なくとも１つのメインプレートに形成されている前記貫通孔は、前記液体の通流方向下流側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする。
【００１２】
このように構成することで、フィルタを通過する液体の圧損を低減でき、液体の流速を十分確保することができる。
【００１３】
本発明に係る液体噴射ヘッド用のフィルタは、各メインプレートに形成された前記貫通孔は、前記液体の通流方向下流側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする。
【００１４】
このように構成することで、より確実に液体の流速を十分確保することができる。
【００１５】
本発明に係る液体噴射ヘッド用のフィルタは、２つの前記メインプレートと、これら２つのメインプレートの間に介装された１つの中間プレートとにより構成され、各メインプレートに形成された貫通孔は、前記中間プレート側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする。
【００１６】
このように構成することで、１つのプレートに形成される各貫通孔の面方向のピッチ間隔を狭めても、隣接する貫通孔間の距離を十分確保することができる。このため、高い濾過性能を確保しつつ、省スペースに多くの貫通孔を形成することにより、液体の圧損を低減することが可能になる。
【００１７】
本発明に係る液体噴射ヘッドは、請求項１に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタを備えていることを特徴とする。
このように構成することで、製造コストを低減できる液体噴射ヘッドを提供できる。
【００１８】
本発明に係る液体噴射記録装置は、請求項６に記載の液体噴射ヘッドと、前記液体を収容する液体収容体と、前記液体噴射ヘッドと前記液体収容体との間に敷設され、前記液体を流通させる液体供給管と備えたことを特徴とする。
このように構成することで、組立性を向上させ、製造コストを低減できる液体噴射記録装置を提供できる。
【発明の効果】
【００１９】
本発明によれば、メインプレートと中間プレートとを積層することによりフィルタを形成するので、平坦度を高めることができ、接着面に確実にフィルタを固着させることができる。
また、中間プレートの肉厚がメインプレート間の隙間を決定することになるので、中間プレートの肉厚を管理するだけで液体内に含まれる異物の通過を阻害することができるようになる。このため、従来と比較して製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明の第１実施形態における液体噴射記録装置の斜視図である。
【図２】本発明の第１実施形態における液体噴射ヘッドを示し、（ａ）は斜視図、（ｂ）は（ａ）の一部破断斜視図である。
【図３】本発明の第１実施形態における液体噴射ヘッドチップの分解斜視図である。
【図４】本発明の第１実施形態における液体噴射ヘッドチップの一部を拡大した分解斜視図である。
【図５】本発明の第１実施形態におけるフィルタの平面図である。
【図６】図５のＡ部拡大図である。
【図７】図６のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。
【図８】図６のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。
【図９】本発明の第１実施形態におけるフィルタの作用説明図である。
【図１０】本発明の第２実施形態におけるフィルタの平面図である。
【図１１】本発明の第３実施形態におけるフィルタの断面図である。
【図１２】本発明の第４実施形態におけるフィルタの断面図である。
【図１３】本発明の第５実施形態におけるフィルタ本体部の平面図である。
【図１４】本発明の第５実施形態における中間プレートの平面図である。
【図１５】本発明の第５実施形態におけるフィルタ本体部の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
（第１実施形態）
（液体噴射記録装置）
次に、この発明の第１実施形態を図１〜図９に基づいて説明する。
図１は、液体噴射記録装置１の斜視図である。
液体噴射記録装置１は、紙等の被記録媒体Ｓを搬送する一対の搬送機構２、３と、被記録媒体Ｓにインク滴を噴射する液体噴射ヘッド４と、液体噴射ヘッド４にインクを供給する液体供給手段５と、液体噴射ヘッド４を被記録媒体Ｓの搬送方向（主走査方向）と略直交する方向（副走査方向）に走査させる走査手段６とを備えている。
以下、副走査方向をＸ方向、主走査方向をＹ方向、そしてＸ方向およびＹ方向にともに直交する方向をＺ方向として説明する。
【００２２】
一対の搬送機構２、３は、それぞれ副走査方向に延びて設けられたグリッドローラ２０，３０と、グリッドローラ２０，３０のそれぞれに平行に延びるピンチローラ２１，３１と、詳細は図示しないがグリッドローラ２０，３０を軸回りに回転動作させるモータ等の駆動機構とを備えている。
【００２３】
液体供給手段５は、インクが収容された液体収容体５０と、液体収容体５０と液体噴射ヘッド４とを接続する液体供給管５１とを備えている。液体収容体５０は、複数設けられており、具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４種類のインクが収容されたインクタンク５０Ｙ，５０Ｍ，５０Ｃ，５０Ｂが並べて設けられている。インクタンク５０Ｙ，５０Ｍ，５０Ｃ，５０ＢのそれぞれにはポンプモータＭが設けられており、インクを液体供給管５１を通じて液体噴射ヘッド４へ押圧移動できる。液体供給管５１は、液体噴射ヘッド４（キャリッジユニット６２）の動作に対応可能な可撓性を有するフレキシブルホースからなる。
尚、液体収容体５０は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４種類のインクが収容されたインクタンク５０Ｙ，５０Ｍ，５０Ｃ，５０Ｂに限られるものではなく、さらに多色のインクを収容したインクタンクを備えていてもよい。
【００２４】
走査手段６は、副走査方向に延びて設けられた一対のガイドレール６０，６１と、一対のガイドレール６０，６１に沿って摺動可能なキャリッジユニット６２と、キャリッジユニット６２を副走査方向に移動させる駆動機構６３とを備えている。駆動機構６３は、一対のガイドレール６０，６１の間に配設された一対のプーリ６４，６５と、一対のプーリ６４，６５間に巻回された無端ベルト６６と、一方のプーリ６４を回転駆動させる駆動モータ６７とを備えている。
【００２５】
一対のプーリ６４，６５は、一対のガイドレール６０，６１の両端部間にそれぞれ配設されており、副走査方向に間隔をあけて配置されている。無端ベルト６６は、一対のガイドレール６０，６１間に配設されており、この無端ベルト６６に、キャリッジユニット６２が連結されている。キャリッジユニット６２の基端部６２ａには、複数の液体噴射ヘッド４が搭載されている。具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの４種類のインクに個別に対応する液体噴射ヘッド４Ｙ，４Ｍ，４Ｃ，４Ｂが副走査方向に並んで搭載されている。
【００２６】
（液体噴射ヘッド）
図２は、液体噴射ヘッド４の一部破断斜視図である。
同図に示すように、液体噴射ヘッド４は、被記録媒体Ｓ（図１参照）に対してインク滴を噴射する噴射部７０と、噴射部７０と電気的に接続された制御回路基板８０と、噴射部７０と液体供給管５１との間に、それぞれ接続部９３，９４を介して介在された圧力緩衝器９０とをベース４１，４２上に備えている。圧力緩衝器９０は、液体供給管５１から噴射部７０へインクの圧力変動を緩衝しながら通流させるためのものである。尚、ベース４１，４２は一体成形とされていても構わない。
【００２７】
噴射部７０は、圧力緩衝器９０に接続部７２を介して接続された流路基板７１と、電圧が印加されることにより、インクを液滴として被記録媒体Ｓへと噴射させる液体噴射ヘッドチップ７３と、液体噴射ヘッドチップ７３と制御回路基板８０とに電気的に接続され液体噴射ヘッドチップ７３に駆動信号を伝送するためのフレキシブル配線７４とを備えている。
制御回路基板８０は、液体噴射記録装置１の本体制御部（不図示）からのピクセルデータ等の信号に基づいて液体噴射ヘッドチップ７３の駆動パルスを生成する制御手段８０ａを備えている。
【００２８】
図３は、液体噴射ヘッドチップ７３の分解斜視図、図４は、液体噴射ヘッドチップ７３の一部を拡大した分解斜視図である。
図３、図４に示すように、液体噴射ヘッドチップ７３は、略長方形状の圧電アクチュエータ７５を備えている。圧電アクチュエータ７５は、例えば、ＰＺＴ（チタン酸ジルコン酸鉛）からなるものである。圧電アクチュエータ７５は、この上面に短手方向に延びる長溝７６を有している。長溝７６は、横断面が矩形状に形成されており、圧電アクチュエータ７５の長手方向の全長に亘って複数並設されている。すなわち、長溝７６は、側壁７７によってそれぞれ区分けされている。
【００２９】
長溝７６の底面は、圧電アクチュエータ７５の前方側から短手方向の略中央部まで延びる前方平坦面７５ａと、この前方平坦面７５ａの後部から後方側に向かって深さが漸次浅くなるような傾斜面７５ｂと、この傾斜面７５ｂの後部から後方側に向かって延びる後方平坦面７５ｃとで構成されている。なお、長溝７６の後端部は、不図示の封止部により封止されている。
【００３０】
長溝７６内には、板状に延びる駆動電極部７８が設けられている。すなわち、側壁７７の両主面の上端部寄りにそれぞれ駆動電極部７８が蒸着により設けられている。この駆動電極部７８が、フレキシブル配線７４を介して制御回路基板８０に電気的に接続されることにより、制御回路基板８０から液体噴射ヘッドチップ７３に駆動信号が入力される。
また、圧電アクチュエータ７５の前端面７５ｄには、ポリイミドなどからなるノズルプレート８１が設けられている。ノズルプレート８１の一方の主面は、圧電アクチュエータ７５への接合面とされ、他方の主面には、インクの付着等を防止するための撥水性や親水性を有する撥水膜が塗布されている。
【００３１】
また、ノズルプレート８１には、その長手方向に所定の間隔（長溝７６のピッチと同等の間隔）を空けて複数のノズル開口部８１ａが形成されている。ノズル開口部８１ａは、ポリイミドフィルムなどのノズルプレート８１に、例えば、エキシマレーザ装置を用いて形成される。これらノズル開口部８１ａは、それぞれ長溝７６に一致して配置されている。
さらに、圧電アクチュエータ７５の上面には、長方形状のカバープレート８２が設けられている。カバープレート８２の短手方向の長さ寸法は、圧電アクチュエータ７５の短手方向の長さ寸法よりも短く設定されている。そして、カバープレート８２の前端面８２ａと、圧電アクチュエータ７５の前端面７５ｄとは面一になっている。
【００３２】
カバープレート８２には、その長手方向に延びる矩形状の開口部８３が形成されている。この開口部８３は、圧電アクチュエータ７５の長手方向の全体の長溝７６に亘って延ばされている。すなわち、全ての長溝７６が開口部８３を介して外方に開放され、開口部８３によって各長溝７６がそれぞれ連通した状態になっている。また、圧電アクチュエータ７５とカバープレート８２を接合したものに、ノズルプレート８１が接合される。さらにノズルプレート８１を支持するノズル支持プレート８４が接合され、液体噴射ヘッドチップ７３を構成している。
【００３３】
このような構成のもと、圧力緩衝器９０内の貯留室から、接続部７２，９４を介して所定量のインクが流路基板７１に供給される。また、流路基板７１は、液体噴射ヘッドチップ７３の開口部８３と連通しており、接続部７２，９４から開口部８３へとインクを行き渡らせることができる構造になっている。これにより、開口部８３を介して長溝７６内にインクが送り込まれる。すなわち、長溝７６はインクが充填されるインク室として機能する一方、流路基板７１は、各長溝７６をそれぞれ連通させる共通インク室として機能する。
そして、駆動電極部７８に駆動電圧を印加すると圧電厚み滑り効果により長溝７６の側壁７７が変形する。これにより、長溝７６の容積が減少して長溝７６内の圧力が増加するので、ノズルプレート８１のノズル開口部８１ａからインク滴が吐出される。
【００３４】
ここで、カバープレート８２の開口部８３には、この開口部８３の中央に向かって突出するように段差部８３ａが全周に亘って形成されている。そして、カバープレート８２には、開口部８３を閉塞するようにフィルタ１０が設けられている。フィルタ１０は、この外周縁が開口部８３の段差部８３ａに接着固定されており、長溝７６にインク内に含まれる異物が浸入してしまうのを防止できるようになっている。
【００３５】
（フィルタ）
図５は、フィルタ１０の平面図、図６は、図５のＡ部拡大図、図７は、図６のＢ−Ｂ線に沿う断面図、図８は、図６のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。
図５〜図８に示すように、フィルタ１０は、例えばステンレス等により形成された第１メインプレート１１、及び第２メインプレート１２の２枚のメインプレート１１，１２により、中間プレート１０１を挟み込むように積層したものである。
【００３６】
各メインプレート１１，１２は、カバープレート８２の開口部８３の形状に対応するように、カバープレート８２の長手方向に長い矩形状に形成されたものであって、長手方向に沿って延在するフィルタ本体部１３と、このフィルタ本体部１３の外周縁に設けられた接着部１４とが一体成形されている。各メインプレート１１，１２の肉厚ｔ１は、例えば、約２０μｍ程度に設定されている。しかしながら、肉厚ｔ１は、約２０μｍ程度に設定される場合に限られるものではない。
【００３７】
各メインプレート１１，１２のフィルタ本体部１３には、それぞれ厚さ方向に貫通するフィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂが複数形成されている。各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂは、それぞれメインプレート１１，１２に、その長手方向に対して交差する（例えば、長手方向に対して約４５度傾斜している）直線Ｌ１を、互いに平行となるように複数並列させるように引いたとき、これら直線Ｌ１に沿うように配置されている。
また、第１メインプレート１１に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａと、第２メインプレート１２に形成されているフィルタ用貫通孔１５ｂは、互いに法線方向で重ならないように配置されている。つまり、フィルタ１０を正面からみたとき、同一の直線Ｌ１上においては、フィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂは、それぞれ交互に配置され、且つ互いに重ならないように配置された状態になっている。
【００３８】
また、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの孔径φ１は、例えば、約４６μｍ程度に設定されている。さらに、第１メインプレート１１に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａは、それぞれのピッチ間隔Ｐ１が、例えば、約１３２μｍ程度に設定されている。同様に、第２メインプレート１２に形成されているフィルタ用貫通孔１５ｂは、それぞれのピッチ間隔Ｐ２が、例えば、約１３２μｍ程度に設定されている。そして、第１メインプレート１１に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａと、第２メインプレート１２に形成されているフィルタ用貫通孔１５ｂとのピッチ間隔Ｐ３は、例えば、約６６μｍ程度に設定されている。すなわち、フィルタ１０を正面からみたとき、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂは、それぞれ等間隔に配置された状態になっている。
【００３９】
一方、メインプレート１１，１２の接着部１４には、それぞれ厚さ方向に貫通する接着用貫通孔１８ａ，１８ｂが複数形成されている。各接着用貫通孔１８ａ，１８ｂは、それぞれメインプレート１１，１２の長手方向、及び短手方向に沿うように等間隔に配置されている。また、各接着用貫通孔１８ａ，１８ｂの孔径φ２は、例えば、約６０μｍ程度に設定されている。さらに、各接着用貫通孔１８ａ，１８ｂのピッチ間隔Ｐ４は、例えば、約９０μｍ程度に設定されている。しかしながら、孔径φ２は、約６０μｍ程度に設定される場合に限られるものではなく、また、ピッチ間隔Ｐ４は、約９０μｍ程度に設定される場合に限られるものではない。
【００４０】
一方、中間プレート１０１は、法線方向からみた平面形状は各メインプレート１１，１２と同様の形状に形成されている。すなわち、中間プレート１０１は、カバープレート８２の開口部８３の形状に対応するように、カバープレート８２の長手方向に長い矩形状に形成されたものであって、長手方向に沿って延在するフィルタ本体部１１３と、このフィルタ本体部１１３の外周縁に設けられた接着部１１４とが一体成形されている。中間プレート１０１の肉厚ｔ２は、例えば、約１０μｍ程度に設定されている。しかしながら、肉厚ｔ２は、約１０μｍ程度に設定される場合に限られるものではない。
【００４１】
また、中間プレート１０１には、法線方向からみて略矩形状の開口部１０２が中間プレート１０１の長手方向に沿って等間隔に複数形成されている。
より具体的には、開口部１０２は、その一方の対角線上で対向する２つの稜線部１０２ａがそれぞれ法線方向からみて隣接するフィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂとの間を跨るように、また、他方の対角線上で対向する２つの稜線部１０２ｂがそれぞれ法線方向からみて隣接する他のフィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂとの間を跨るように形成されている。そして、開口部１０２の各稜線部１０２ａ，１０２ｂが、対応するフィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの径方向内側に臨まされた状態になっている。
【００４２】
このように開口部１０２を形成することにより、中間プレート１０１のフィルタ本体部１１３は、複数の開口部１０２と、これら開口部１０２間に形成された格子状の骨格部１０３とにより構成される。そして、骨格部１０３の交差部１０３ａが、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの中心に位置した状態になる。
ここで、骨格部１０３が形成されることにより、第１メインプレート１１と第２メインプレート１２とが中間プレート１０１側に撓んでしまうことを防止できる。すなわち、中間プレート１０１に開口部１０２を形成した状態であっても、第１メインプレート１１と第２メインプレート１２との間隔を、中間プレート１０１の肉厚ｔ２と同一に維持することができる。
【００４３】
一方、中間プレート１０１の接着部１１４には、それぞれ厚さ方向に貫通する接着用貫通孔１８ｃが複数形成されている。接着用貫通孔１８ｃの孔径は、メインプレート１１，１２に形成されている接着用貫通孔１８ａ，１８ｂの孔径φ２と同一に設定されている。また、各接着用貫通孔１８ｃのピッチ間隔も、接着用貫通孔１８ａ，１８ｂのピッチ間隔Ｐ４と同一に設定されている。このため、各接着用貫通孔１８ａ，１８ｂ，１８ｃは、軸方向に連通した状態になっている。
【００４４】
（フィルタの製造方法）
続いて、フィルタの製造方法について説明する。
まず、第１メインプレート１１に、エッチング等によりフィルタ用貫通孔１５ａ、及び接着用貫通孔１８ａを形成する。また、第２メインプレート１２に、エッチング等によりフィルタ用貫通孔１５ｂ、及び接着用貫通孔１８ｂを形成する。さらに、中間プレート１０１に、エッチング等により開口部１０２、及び接着用貫通孔１８ｃを形成する。
この後、第１メインプレート１１の合わせ面１１ａと、中間プレート１０１とを重ね合わせるように積層すると共に、第２メインプレート１２の合わせ面１２ａと、中間プレート１０１とを重ね合わせるように積層する。そして、これら第１メインプレート１１、第２メインプレート１２、及び中間ｎプレート１０１を熱拡散接合により接合する。
【００４５】
尚、熱拡散接合とは、金属部材同士を接触させ荷重をかけた状態で、各部材に熱（例えば、約９００度程度）を加えることにより接合する接合方法である。これは、金属同士の界面において、互いの分子同士が接合して部材同士が接合されるため、板状の部材同士を、密閉性を維持しながら接合する場合に適している。
【００４６】
（フィルタの作用）
次に、図３、図６、図８、図９に基づいて、フィルタ１０の作用について説明する。
図９は、フィルタ１０の作用説明図であって、図７に対応している。
まず、図３、図８に示すように、液体噴射ヘッドチップ７３の開口部８３にフィルタ１０を取り付ける。このとき、開口部８３の段差部８３ａに接着剤を塗布し、この上からフィルタ１０の接着部１４を載置する。フィルタ１０は、２枚のメインプレート１１，１２と、これらの間に挟まれる中間プレート１０１とを積層したものなので平坦度が高く、段差部８３ａにメインプレート１１，１２の接着部１４全体を密接させることができる。
【００４７】
また、メインプレート１１，１２の接着部１４には複数の接着用貫通孔１８ａ，１８ｂが形成されており、中間プレート１０１の接着部１１４には複数の接着用貫通孔１８ｃが形成されているので、これら接着用貫通孔１８ａ，１８ｂ，１８ｃに接着剤が入り込み、後に硬化することで、接着部１４と段差部８３ａとの接着性を高めている。また、接着用貫通孔１８ａ，１８ｂ，１８ｃが接着剤により満たされ、メインプレート１１，１２の図面平面視上面に溢れ出すように、段差部８３ａに接着剤を塗布して、さらに接着性を高めることも可能である。このため、接着部１４全体が接着剤で充たされ、液体噴射ヘッドチップ７３に対するフィルタ１０の固着力が高まる。
【００４８】
また、接着用貫通孔１８ａ，１８ｂ，１８ｃから接着剤が溢れ出すことにより、接着部１４と段差部８３ａとの間の隙間が埋まっているか否かが確認できる。ここで、接着部１４と段差部８３ａとの間に隙間が生じている場合、この隙間から塵埃が浸入してしまう虞があるが、接着部１４と段差部８３ａとの間の隙間が埋まることによって、塵埃の浸入を防止できる。
【００４９】
尚、上述の第１実施形態では、カバープレート８２をセラミックなどの材質で構成するように検討したため、接着剤を使用してフィルタ１０を接合することとしたが、本来その接合方法は接着材の使用に限定されるものではない。例えば、フィルタ１０が接合される対象が溶融性の高いプラスチックのような樹脂材料で形成される場合は、当該対象を溶融しフィルタ１０と接合することも可能である。本実施形態で示した流路基板７１などは、樹脂材料で形成されることが多いため、流路基板７１を溶融してフィルタ１０を取り付けることが可能である。もちろん、より強固な接合を目的として、溶融接合した後に、接着材でさらに接着することも可能である。
【００５０】
ここで、フィルタ１０は、特に表裏面を問わないが、以下の説明においては、圧電アクチュエータ７５側に第２メインプレート１２を向けた状態でフィルタ１０を接着固定した場合について説明する。
図９に示すように、上述のように取り付けられたフィルタ１０を介し、液体噴射ヘッドチップ７３の長溝７６にインクが充填されるとき、インクは、フィルタ１０の第１メインプレート１１に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａに導かれる（矢印Ｙ１参照）。続いて、中間プレート１０１の開口部１０２を通る（矢印Ｙ２参照）。その後、第２メインプレート１２に形成されているフィルタ用貫通孔１５ｂを介し、圧電アクチュエータ７５の長溝７６にインクが充填される（矢印Ｙ３参照）。
【００５１】
このとき、中間プレート１０１の肉厚ｔ２よりも大きい異物は開口部１０２を通過することができず、フィルタ用貫通孔１５ａに留まる。この第１実施形態では、中間プレート１０１の肉厚ｔ２は、例えば、約１０μｍ程度に設定されているので、これよりも大きい異物はフィルタ１０を通過することができず、インクが濾過される。
【００５２】
（効果）
したがって、上述の第１実施形態によれば、フィルタ１０は、２枚のメインプレート１１，１２と、これらの間に挟まれる中間プレート１０１とを積層したものなので平坦度が高く、段差部８３ａにメインプレート１１，１２の接着部１４全体を密接させることができる。このため、液体噴射ヘッドチップ７３に確実にフィルタ１０を接着固定させることができる。
また、中間プレート１０１の肉厚ｔ２を管理するだけでインク内に含まれる異物通過を阻害することができるので、従来と比較してフィルタ１０の製造コストを低減することができる。
【００５３】
さらに、図６に示すように、中間プレート１０１に複数の開口部１０２を形成し、長手方向に沿って等間隔に配列させている。そして、各開口部１０２の稜線部１０２ａ，１０２ｂが、対応するフィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの径方向内側に臨まされた状態になっている。このため、１つのフィルタ用貫通孔１５ａに導かれたインクが開口部１０２に通流されるとき、四方全体に亘って通流される。このため、インクの圧損が小さく、十分な流速を確保することができる。
【００５４】
また、中間プレート１０１に開口部１０２を複数形成することにより、開口部１０２間に格子状の骨格部１０３が形成される。このため、第１メインプレート１１と第２メインプレート１２とが中間プレート１０１側に撓んでしまうことを防止でき、第１メインプレート１１と第２メインプレート１２との間隔を、中間プレート１０１の肉厚ｔ２と同一に維持することができる。
【００５５】
さらに、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂは、それぞれメインプレート１１，１２に、その長手方向に対して交差する（例えば、長手方向に対して約４５度傾斜している）直線Ｌ１を、互いに平行となるように複数並列させるように引いたとき、これら直線Ｌ１に沿うように配置されていると共に、フィルタ１０を正面からみたとき、同一の直線Ｌ１上においては、フィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂは、それぞれ交互に配置され、且つ互いに重ならないように配置されている。このため、各フィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂをできるだけ多く形成しつつ、第１メインプレート１１のフィルタ用貫通孔１５ａと、第２メインプレート１２のフィルタ用貫通孔１５ｂとのピッチ間隔Ｐ３（図７参照）を大きく確保することができる。よって、フィルタ１０を通るインクの通流経路が長く設定され、フィルタ１０の濾過性能を高めることができる。
【００５６】
（第２実施形態）
次に、この発明の第２実施形態を図１〜図３を援用し、図１０に基づいて説明する。
図１０は、第２実施形態におけるフィルタ２１０の断面図である。尚、第１実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する（以下の実施形態についても同様）。
この第２実施形態において、液体噴射記録装置１は、紙等の被記録媒体Ｓを搬送する一対の搬送機構２、３と、被記録媒体Ｓにインク滴を噴射する液体噴射ヘッド４と、液体噴射ヘッド４にインクを供給する液体供給手段５と、液体噴射ヘッド４を被記録媒体Ｓの搬送方向（主走査方向）と略直交する方向（副走査方向）に走査させる走査手段６とを備えている点、液体噴射ヘッド４は、被記録媒体Ｓ（図１参照）に対してインク滴を噴射する噴射部７０と、噴射部７０と電気的に接続された制御回路基板８０と、噴射部７０と液体供給管５１との間に、それぞれ接続部９３，９４を介して介在された圧力緩衝器９０とをベース４１，４２上に備えている点、噴射部７０は、圧力緩衝器９０に接続部７２を介して接続された流路基板７１と、電圧が印加されることにより、インクを液滴として被記録媒体Ｓへと噴射させる液体噴射ヘッドチップ７３と、液体噴射ヘッドチップ７３と制御回路基板８０とに電気的に接続され液体噴射ヘッドチップ７３に駆動信号を伝送するためのフレキシブル配線７４とを備えている点、液体噴射ヘッドチップ７３を構成するカバープレート８２の開口部８３には、この開口部８３の中央に向かって突出するように段差部８３ａが全周に亘って形成されており、ここに開口部８３を閉塞するようにフィルタ２１０が設けられている点、フィルタ２１０は、２枚のメインプレート２１１，２１２により、中間プレート１０１を挟み込むように積層したものであり、長手方向に沿って延在するフィルタ本体部１３と、このフィルタ本体部１３，１１３の外周縁に設けられた接着部１４，１１４とが一体成形されている点、圧電アクチュエータ７５側に第２メインプレート２１２を向けた状態でフィルタ２１０を取り付けている点等の基本的構成は、前述した第１実施形態と同様である（以下の実施形態についても同様）。
【００５７】
ここで、第１実施形態と第２実施形態との相違点は、第１実施形態の各メインプレート１１，１２のフィルタ本体部１３に形成されているフィルタ用貫通孔１５ａ，１５ｂの形状と、第２実施形態の各メインプレート２１１，２１２のフィルタ本体部１３に形成されているフィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂの形状が異なる点にある。
【００５８】
より詳しくは、図１０に示すように、各メインプレート２１１，２１２のフィルタ本体部１３に形成されているフィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂは、それぞれインクの通流方向（以下、単に通流方向という）下流側（図１０における上側）に向かうに従って漸次縮径するようにテーパ状に形成されている。
各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂの通流方向上流側の直径φ３、つまり、各フィルタ用貫通孔２１５ａの大孔の直径φ３は、例えば、約４６μｍ程度に設定されている。一方、各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂの通流方向下流側の直径φ４、つまり、各フィルタ用貫通孔２１５ａの小孔の直径φ４は、例えば、約３０μｍ〜約４０μｍ程度に設定されている。尚、直径φ３は、約４６μｍ程度に設定される場合に限られるものではなく、また、直径φ４は、約３０μｍ〜約４０μｍ程度に設定される場合に限られるものではない。
【００５９】
このように構成することにより、各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂのインクを受け入れる側の直径φ３が大きく設定されたことになる。
したがって、上述の第２実施形態によれば、前述の第１実施形態と同様の効果に加え、フィルタ２１０を通過するインクの圧損を低減でき、インクの流速を十分確保することができる。
【００６０】
尚、上述の第２実施形態では、各メインプレート２１１，２１２の各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂの両方がテーパ形状を有するように記載したが、各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂのうち、少なくとも一方がテーパ形状を有するように形成すれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、例えば、第１メインプレート２１１のフィルタ用貫通孔２１５ａはテーパ形状を有しており、第２メインプレート２１２のフィルタ用貫通孔２１５ｂは図７，９に示すようにプレートの深さ方向にストレート形状の貫通孔とすることが可能であり、もちろんテーパ形状とストレート形状の貫通孔を各フィルタ用貫通孔２１５ａ，２１５ｂで入れ換えることも可能である。
【００６１】
（第３実施形態）
次に、この発明の第３実施形態を図１１に基づいて説明する。
図１１は、第３実施形態におけるフィルタ３１０の断面図である。
ここで、同図に示すように、第２実施形態と第３実施形態との相違点は、第２実施形態の第２メインプレート２１２に形成されているテーパ状のフィルタ用貫通孔２１５ｂと、第３実施形態の第２メインプレート３１２に形成されているテーパ状のフィルタ用貫通孔３１５ｂの向きが異なる点にある。
【００６２】
つまり、第３実施形態の第２メインプレート３１２に形成されているフィルタ用貫通孔３１５ｂは、中間プレート１０１側に向かうに従って漸次縮径するようにテーパ状に形成されている。換言すれば、各メインプレート３１１，３１２に形成されているテーパ状のフィルタ用貫通孔３１５ａ，３１５ｂは、それぞれ中間プレート１０１側に向かうに従って漸次縮径するように形成されているといえる。
【００６３】
このように構成することにより、第１メインプレート３１１のフィルタ用貫通孔３１５ａと、第２メインプレート３１２のフィルタ用貫通孔３１５ｂとのピッチ間隔Ｐ３’を小さくしつつ、中間プレート１０１の開口部１０２内における第１メインプレート３１１のフィルタ用貫通孔３１５ａと、第２メインプレート３１２のフィルタ用貫通孔３１５ｂとの間の距離Ｋ１を大きく設定することができる。
【００６４】
したがって、上述の第３実施形態によれば、ピッチ間隔Ｐ３’を小さくできる分、より多くのフィルタ用貫通孔３１５ａ，３１５ｂを形成することができるので、高い濾過性能を確保しつつ、インクの圧損を低減することが可能になる。
尚、上述の第３実施形態では、各メインプレート３１１，３１２の各フィルタ用貫通孔３１５ａ，３１５ｂの両方がテーパ形状を有するように記載したが、第２メインプレート３１２（下流側）のフィルタ用貫通孔３１５ｂがテーパ形状を有するように形成すれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、例えば、第１メインプレート３１１のフィルタ用貫通孔５１５ａは図７，９に示すようにプレートの深さ方向にストレート形状の貫通孔とすることが可能である。
【００６５】
（第４実施形態）
次に、この発明の第４実施形態を図１２に基づいて説明する。
図１２は、第４実施形態におけるフィルタ４１０の断面図である。
ここで、同図に示すように、第１実施形態と第２実施形態との相違点は、第１実施形態では、フィルタ１０を正面からみたとき、フィルタ用貫通孔１５ａとフィルタ用貫通孔１５ｂは、それぞれ交互に配置され、且つ互いに重ならないように配置された状態になっているのに対し、第４実施形態では、フィルタ４１０を正面からみたとき、フィルタ用貫通孔４１５ａとフィルタ用貫通孔４１５ｂは、互いに同じ箇所に配置された状態になっている点にある。
このように構成した場合であっても、前述の第１実施形態と同様の効果に加え、フィルタ４１０を通過するインクの圧損を低減でき、インクの流速を十分確保することができる。
【００６６】
（第５実施形態）
次に、この発明の第５実施形態を図１３〜図１５に基づいて説明する。
図１３は、第５実施形態におけるフィルタ５１０のフィルタ本体部５１３の平面図、図１４は、第５実施形態における中間プレート１５１の平面図、図１５は、第５実施形態におけるフィルタ本体部５１３の断面斜視図である。
図１３〜図１５に示すように、第１実施形態と第５実施形態との相違点は、第１実施形態のフィルタ１０と第５実施形態のフィルタ５１０との形状が異なる点にある。
【００６７】
より詳しくは、第５実施形態における中間プレート１５１のフィルタ本体部１６３には、開口部１５２が形成されている。開口部１５２は、互いに交差する２つの直線開口１５３，１５４からなり、それぞれ直線開口１５３，１５４の一方の頂部１５３ａ，１５４ａが連結部１５５を介して連なっている。
【００６８】
一方、第１メインプレート５１１に形成されているフィルタ用貫通孔５１５ａと、第２メインプレート５１２に形成されているフィルタ用貫通孔５１５ｂは、それぞれ法線方向からみて互いに重なるように同位置に形成されている。また、各フィルタ用貫通孔５１５ａ，５１５ｂは、それぞれの径方向内側に、開口部１５２の連結部１５５と、各直線開口１５３，１５４の一方の頂部１５３ａ，１５４ａ、及び他方の頂部１５３ｂ，１５４ｂとがそれぞれ臨まされるように形成されている。
このように構成することにより、前述の第１実施形態と同様の効果を奏することができる。
【００６９】
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、液体噴射ヘッドチップ７３を構成するカバープレート８２の開口部８３にフィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０を取り付けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、液体噴射ヘッドチップ７３に供給されるインクを濾過可能な位置であればよい。例えば、液体噴射ヘッド４の流路基板７１内にフィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０を設けてもよい。
【００７０】
また、上述の実施形態では、フィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０は、それぞれ２枚のメインプレート１１〜５１２により、中間プレート１０１，１５１を挟み込むように積層したものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、３枚以上の複数のメインプレートを用い、各メインプレートの間に中間プレート１０１，１５１を挟み込んで積層させるように構成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、フィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０は、例えばステンレス等により形成されたものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、フィルタ１０，２１０，３１０，４１０，５１０の材質は、熱拡散接合を利用した接合方法が可能な材質であればよい。
【符号の説明】
【００７１】
１ 液体噴射記録装置
４ 液体噴射ヘッド
１０，２１０，３１０，４１０，５１０ フィルタ（液体噴射ヘッド用のフィルタ）
１１，２１１，３１１，４１１，５１１ 第１メインプレート（メインプレート）
１２，２１２，３１２，４１２，５１２ 第２メインプレート（メインプレート）
１５ａ，１５ｂ，２１５ａ，２１５ｂ，３１５ａ，３１５ｂ，４１５ａ，４１５ｂ，５１５ａ，５１５ｂ フィルタ用貫通孔（貫通孔）
１０１，１５１ 中間プレート
１０２，１５２ 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数のメインプレートと、各メインプレートの間に配置される中間プレートとを有し、
各メインプレートに、それぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔を複数形成すると共に、これら貫通孔を前記メインプレートの面方向に直角な法線方向で重ならないように配置し、
前記中間プレートに、各貫通孔を連通させるための開口部を形成したことを特徴とする液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項２】
前記開口部は、この開口部が形成されている前記中間プレートを挟んで両側に配置された２つの前記メインプレートに形成されている前記貫通孔であって前記法線方向からみて隣接する前記貫通孔同士を連通するように、複数形成されていることを特徴とする請求項１に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項３】
前記複数のメインプレートのうち、少なくとも１つのメインプレートに形成されている前記貫通孔は、前記液体の通流方向下流側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項４】
各メインプレートに形成された前記貫通孔は、前記液体の通流方向下流側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする請求項３に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項５】
２つの前記メインプレートと、これら２つのメインプレートの間に配置された１つの中間プレートとにより構成され、
各メインプレートに形成された貫通孔は、前記中間プレート側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項６】
請求項１に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタを備えていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項７】
請求項６に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する液体収容体と、
前記液体噴射ヘッドと前記液体収容体との間に敷設され、前記液体を流通させる液体供給管と備えたことを特徴とする液体噴射記録装置。
【請求項１】
複数のメインプレートと、各メインプレートの間に配置される中間プレートとを有し、
各メインプレートに、それぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔を複数形成すると共に、これら貫通孔を前記メインプレートの面方向に直角な法線方向で重ならないように配置し、
前記中間プレートに、各貫通孔を連通させるための開口部を形成したことを特徴とする液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項２】
前記開口部は、この開口部が形成されている前記中間プレートを挟んで両側に配置された２つの前記メインプレートに形成されている前記貫通孔であって前記法線方向からみて隣接する前記貫通孔同士を連通するように、複数形成されていることを特徴とする請求項１に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項３】
前記複数のメインプレートのうち、少なくとも１つのメインプレートに形成されている前記貫通孔は、前記液体の通流方向下流側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項４】
各メインプレートに形成された前記貫通孔は、前記液体の通流方向下流側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする請求項３に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項５】
２つの前記メインプレートと、これら２つのメインプレートの間に配置された１つの中間プレートとにより構成され、
各メインプレートに形成された貫通孔は、前記中間プレート側に向かうに従って漸次縮径するように形成されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタ。
【請求項６】
請求項１に記載の液体噴射ヘッド用のフィルタを備えていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項７】
請求項６に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する液体収容体と、
前記液体噴射ヘッドと前記液体収容体との間に敷設され、前記液体を流通させる液体供給管と備えたことを特徴とする液体噴射記録装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【公開番号】特開２０１３−１０７３２９（Ｐ２０１３−１０７３２９Ａ）
【公開日】平成２５年６月６日（２０１３．６．６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２５５０８７（Ｐ２０１１−２５５０８７）
【出願日】平成２３年１１月２２日（２０１１．１１．２２）
【出願人】（５０１１６７７２５）エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年６月６日（２０１３．６．６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１１月２２日（２０１１．１１．２２）
【出願人】（５０１１６７７２５）エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Ｆターム（参考）】
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