説明

液体噴射装置

【課題】ノズルから噴射される液体を所定の部材に着弾させ、装置内の他の部材に液体が付着することを防止できる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル34が形成されたノズル形成面、および、駆動信号の印加により駆動して前記ノズル34に連通する圧力室32内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段23を有し、当該圧力発生手段23の駆動により前記ノズル34から着弾対象7に向けて液体を噴射させると共に、移動可能に構成された液体噴射ヘッド3と、該液体噴射ヘッド3と干渉しない位置であって、前記ノズル形成面に対して前記着弾対象7とは反対側にあり、ノズル形成面に対向する領域から外れた位置に配設された帯電部10と、を備え、該帯電部10は、他の物質との摩擦により帯電する素材から形成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置に関し、特に、圧力発生手段の駆動により圧力室内の液体をノズルから噴射する液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は液体噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
【0003】
上記のプリンター等で使用される記録ヘッドでは、近年、画像向上等の要求に応えるため、ノズルから噴射されるインクの液量を小さくする傾向がある。このような微量の液滴を記録媒体に対して確実に着弾させるために、液滴の初速が比較的高く設定される。これにより、ノズルから噴射された液滴は、飛翔中に引き伸ばされて、先頭のメイン液滴(主液滴)とそれよりも後のサテライト液滴(副液滴)に分離する。このサテライト液滴の一部又は全部は、空気の粘性抵抗により速度が急激に低下し、記録媒体に到達することなくミスト化してしまうことがある。このことより、ミスト化したサテライト液滴(ミスト)は、装置内を汚染し、記録ヘッドや電気回路等の帯電しやすい部材への付着によって動作不良を発生させたりする問題があった。
【0004】
このような不具合を防止すべく、ノズルから噴射される液滴を帯電させると共に、記録時の記録媒体を支持する支持部材(或いはプラテン)に設けられた液滴を吸収する吸収部材と、記録ヘッドのノズル形成面との間に電界を形成することで、ミストを吸収部材に確実に着弾させようとする試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところが、図8(a)の模式図に示すように、記録ヘッドのノズル64から噴射されたインクが記録媒体Pおよび支持部材65に向けて伸びる過程で、プラスに帯電した支持部材65からの静電誘導により、支持部材65に近い側の先頭部分(メイン液滴Mdとなる部分)にはマイナスの電荷が誘導される一方で、これとは反対のノズル64に近い側の後端部分にはプラスの電荷が誘導される。そして、図8(b)に示すように、ノズルから噴射されたインクが、例えばメイン液滴Mdと、第1のサテライト液滴Sd1と、第2のサテライト液滴(ミスト)Sd2とに分離した場合、メイン液滴Mdはマイナスに帯電し、第2のサテライト液滴Sd2はプラスに帯電し、第1のサテライト液滴Sd1は無帯電となる。この場合、メイン液滴Mdと第1のサテライト液滴Sd1が記録媒体Pに着弾したとしても、第2のサテライト液滴Sd2は、プラスに帯電した支持部材65に反発して記録媒体のノズル形成面の近傍でミスト化して漂ってしまう。このミストの一部はノズル形成面に付着する。ノズル形成面にミストが付着した場合、ノズル形成面をワイピング部材によって定期的に払拭する必要性が生じる。また、ノズル形成面に付着しなかったミストは、当該ミストと極性の異なるプリンター構成部品に付着して汚染してしまう虞がある。
【0006】
上記のようなことから、支持部材(基材)が例えばマイナスに帯電した状態でノズルからインクを噴射し、メイン液滴とサテライト液滴に分離したタイミングで、支持部材の極性をプラスに切り替えて、メイン液滴については慣性力により記録媒体に着弾させる一方、サテライト液滴やミストについては当該サテライト液滴やミストとは逆極性に帯電した支持部材に引き付けることで記録媒体に着弾させる構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−173324号公報
【特許文献2】特開2010−214880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、近年、この種のプリンターでは、インクを噴射する駆動周波数がより高くなる傾向にあり、サテライト液滴が記録媒体に着弾する前にノズルから次のインクが噴射されるケースが生じる。このため、上記のようなインクの噴射タイミングやインクが分離するタイミングで電極の極性を切り替える構成では、サテライト液滴を記録媒体に確実に着弾させることが困難となるのに加えて、メイン液滴の飛翔への影響が生じ、着弾が不安定となる可能性があった。
【0009】
また、インクの帯電を防止するべく、ノズル形成面と支持部材との間に電界を形成しないようにする構成も考えられるが、当該構成においてノズルからインクを噴射した場合においても噴射されたインクが帯電することが判っている。即ち、例えば、図9に示すように、記録ヘッドの圧電振動子68の駆動電極69に対して駆動電圧を印加することで、圧力室70内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用してノズル71から記録媒体Pに対してインクを噴射させる構成では、圧電振動子68の駆動電極69に正電圧が入力されたときに、圧電振動子68と圧力室70との間は絶縁されているので、圧力室70内のインクにおける圧電振動子68の近傍には静電誘導によりマイナスの電荷が誘導される。また、これとは反対側となるノズル71の近傍のインクにはプラスの電荷が誘導される。一般的な記録ヘッドではノズル形成面72が接地されているので、ノズル形成面72側にインクのプラス電荷が移動するが、上記のように、より高い駆動周波数でインクを噴射する構成においては、プラス電荷が残った状態でノズル71からインクが噴射される。その結果、ノズル71から噴射されたインクはプラスに帯電することになる。
【0010】
さらに、ノズル71から噴射されたインクは、記録媒体Pに向けて飛翔している間、レナード効果によりプラスの帯電が強まる(マイナスに帯電した状態で噴射された場合は、マイナスが弱まる)傾向にある。即ち、インクが帯電している場合、液滴の中心部分にプラス電荷が集まる一方で、表層部分にマイナス電荷が集まる。そして、飛翔中における表層部分の蒸発や分裂により液滴が次第にプラスに偏っていく。
このように、ノズル形成面と支持部材との間に電界を形成しないようにする構成においてもノズルから噴射されたインクが帯電するため、ミストがノズル形成面やプリンターの構成部品に付着するという不具合が生じていた。
【0011】
以上のような現象は、圧電振動子には限られず、発熱素子等の、駆動電圧の印加により作動する他の圧力発生手段でも同様に生じる。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルから噴射される液体を所定の部材に着弾させ、装置内の他の部材に液体が付着することを防止できる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を噴射するノズルが形成されたノズル形成面、および、駆動信号の印加により駆動して前記ノズルに連通する圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の駆動により前記ノズルから着弾対象に向けて液体を噴射させると共に、移動可能に構成された液体噴射ヘッドと、
該液体噴射ヘッドと干渉しない位置であって、前記ノズル形成面に対して前記着弾対象とは反対側にあり、前記ノズル形成面に対向する領域から外れた位置に配設された帯電部と、
を備え、
該帯電部は、他の物質との摩擦により帯電する素材から形成されたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、他の物質との摩擦により帯電部を帯電させることで、帯電部にミストを捕集することが可能となる。これにより、これらのミストが装置内の他の構成部品(例えば、モーター、駆動ベルト、リニアスケールなど)に付着することが低減される。その結果、ミストの付着による故障が抑制され、液体噴射装置の耐久性および信頼性が向上する。また、ノズル形成面に対して着弾対象とは反対側にあり、ノズル形成面に対向する領域から外れた位置に帯電部を配設したので、帯電した帯電部とノズル形成面との間の電界(回りこみ電界)の発生を防止でき、この電界の影響により液体(メイン液滴)の飛翔が不安定となることを防止できる。
【0015】
上記構成において、前記液体噴射ヘッドは、前記帯電部と対向する位置における少なくとも一部に当該帯電部に当接する摺擦部材を備え、
該摺擦部材との摩擦により前記帯電部を帯電させることが望ましい。
【0016】
この構成によれば、液体噴射ヘッドの移動に合わせて帯電部を摩擦できるため、効率よく帯電部を帯電させることが可能となる。また、簡単な構造で帯電部を摩擦することができる。
【0017】
上記各構成において、前記帯電部は、前記駆動信号の極性とは逆極性に帯電する素材から形成された構成を採用することが望ましい。
【0018】
この構成によれば、圧力発生手段を駆動する際に、当該圧力発生手段に印加する電圧に起因する静電誘導によりノズル近傍の液体が帯電し、これにより、ノズルから噴射される液体およびミストが駆動信号と同極性に帯電した場合に、帯電部にミストを捕集することが可能となる。
【0019】
また、前記帯電部は、負極性に帯電する素材から形成された構成を採用することが望ましい。
【0020】
この構成によれば、レナード効果により、ミストが正極性(プラス)に帯電した場合に、帯電部にミストを捕集することが可能となる。
【0021】
上記各構成において、前記帯電部は、該液体噴射ヘッドの移動範囲に沿って配設された構成を採用することが望ましい。
【0022】
この構成によれば、液体噴射ヘッドの移動に伴って発生する気流により、ミストが液体噴射ヘッドの移動範囲に沿って飛散する場合でも、確実にミストを捕集することが可能となる。
【0023】
上記各構成において、前記摺擦部材は、前記液体噴射ヘッドの進行方向の両側に前記帯電部の表面の汚れを除去する清掃部材を備えた構成を採用することが望ましい。
【0024】
この構成によれば、捕集されたミスト等により帯電部の表面が汚れた場合でも、この汚れを清掃部材によって除去できる。これにより、帯電部の表面の汚れた部分を摩擦できないことによる帯電量の低下を防止することができる。また、簡単な構成でこの汚れを除去することができる。
【0025】
上記各構成において、前記帯電部は、空気との摩擦により帯電する素材から形成された構成を採用することが望ましい。
【0026】
この構成によれば、液体噴射ヘッドの移動や、紙の搬送に伴って発生する気流により、帯電部を帯電させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】プリンターの構成を説明する図であり、(a)平面図、(b)A−A線の断面図である。
【図2】記録ヘッドの要部断面図である。
【図3】圧電振動子の構成を説明する断面図である。
【図4】記録ヘッドの電気的構成を説明するブロック図である。
【図5】噴射駆動パルスおよび微振動駆動パルスの構成を説明する波形図である。
【図6】第2の実施形態におけるプリンターの構成を説明する図であり、(a)図1におけるA−A線の断面図、(b)要部正面図である。
【図7】第3の実施形態におけるプリンターの要部正面図である。
【図8】ノズルと支持部材間に電界を形成した構成においてノズルから噴射されたインクが帯電する様子を説明する模式図である。
【図9】ノズルと支持部材間に電界を形成しない構成においてノズルから噴射されたインクが帯電する様子を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置1(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
【0029】
図1(a)はプリンター1の構成を示す平面図であり、図1(b)はA−A線の断面図である。このプリンター1は、筐体2の内側において、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド3が取り付けられると共に、液体供給源の一種であるインクカートリッジ4が着脱可能に取り付けられるキャリッジ5と、記録動作(噴射動作)時の記録ヘッド3の下方において記録ヘッド3の下面(ノズル形成面)に対して間隔を空けて配設されたプラテン6と、キャリッジ5を記録紙7(記録媒体および着弾対象の一種)の紙幅方向、即ち、主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構8と、主走査方向に直交する副走査方向に記録紙7を搬送する搬送機構9と、記録ヘッド3と干渉しない位置に配設された帯電部10と、を備えている。
【0030】
キャリッジ5は、主走査方向に架設されたガイドロッド12に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構8の作動により、ガイドロッド12に沿って主走査方向に移動するように構成されている。本実施形態のキャリッジ移動機構8は、キャリッジモーター(図示せず)および駆動ベルト13等から構成されている。具体的には、キャリッジモーターの駆動軸の先端部分には、駆動プーリー(図示せず)が接続されており、キャリッジモーターの駆動に応じて回転するように構成されている。また、この駆動プーリーに対して主走査方向における反対側の位置には、遊転プーリー(図示せず)が設けられている。そして、これらのプーリーに、無端ベルトである駆動ベルト13が張設され、この駆動ベルト13の一部がキャリッジ5に接続されている。このため、キャリッジモーターを駆動すれば、駆動ベルト13が移動し、これに伴いキャリッジ5が主走査方向に移動する。また、キャリッジ5の主走査方向の位置は、リニアエンコーダー14によって検出される。リニアエンコーダー14は、主走査方向に張設されたリニアスケール14aと、キャリッジ5に設けたセンサー(図示せず)とから構成されており、その検出信号、即ち、記録ヘッド3の走査位置に応じたエンコーダーパルスEP(位置情報の一種)がプリンターコントローラー51(図4参照)に送信される。
【0031】
プラテン6は、主走査方向に長尺な板状の部材であり、本実施形態では、接地(アース)されている。プラテン6の副走査方向の前後には、搬送機構9が備えられている。この搬送機構9は、プラテン6上に記録紙7を給紙する。詳しくは、搬送機構9は、プラテン6の後方(記録紙7の搬送方向の上流側)に位置する給紙ローラー15と、プラテン6の前端部(記録紙7の搬送方向の下流側)において、プラテン6との間で記録紙7を挟持する紙押さえローラー16と、この紙押さえローラー16が取り付けられると共に、紙押さえローラー16をプラテン6側に付勢する紙押さえ部材17と、を備えている。給紙ローラー15は、図示しない給紙部から給紙された記録紙7を狭持した状態で互いに反対方向に同期回転可能な上下一対のローラー15a、15bにより構成されている。この給紙ローラー15は、給紙モーター(図示せず)からの動力で駆動され、スキュー補正ローラー(図示せず)と共働して記録紙7の搬送方向に対する傾き及び搬送方向に直交する方向の位置ずれを補正してから、この記録紙7をプラテン6側に供給するように構成されている。紙押さえ部材17は、長尺な板状の部材であり、記録ヘッド3と干渉しないように記録ヘッド3との間に間隙を設けて、バネ等の付勢部材により、あるいは自重により記録紙7側(プラテン6側)に付勢された状態で取り付けられている。この紙押さえ部材17のプラテン6側には、複数の紙押さえローラー16が主走査方向に沿って等間隔に並べられている。紙押さえローラー16は、記録紙7の表面に当接した状態で回転可能に構成されている。そして、紙押さえ部材17の上面(プラテン6とは反対側の面)には、帯電部10が配設されている。なお、本実施形態の紙押さえ部材17の上面は、後述するノズル形成面よりも上方(記録紙7側(プラテン6側)とは反対側)に位置している。
【0032】
帯電部10は、他の物質との摩擦により帯電する素材から形成され、本実施形態では、空気との摩擦により負極性に帯電する素材から形成されている。このような素材としては、帯電列において、より負極性に帯電し易い素材を用いることが望ましく、例えば、シリコーン、ポリウレタン、あるいはポリ塩化ビニール、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)等により作成することができる。また、本実施形態の帯電部10は、記録ヘッド3と干渉しない位置であって、後述するノズル形成面に対して記録紙7側(プラテン6側)とは反対側に外れた位置(ノズル形成面に対して記録紙7側とは反対側にあり、ノズル形成面に対向する領域から外れた位置)に、記録ヘッド3の移動範囲に沿って配設されている。具体的には、帯電部10は長尺な薄板状に形成され、紙押さえ部材17の上面の後端部(記録ヘッド3側)に紙押さえ部材17の長辺に亘って配設されている。なお、帯電部10の帯電に関しては後述する。
【0033】
記録ヘッド3は、図2に示すように、ケース19と、このケース19内に収納される振動子ユニット20と、ケース19の底面(先端面)に接合される流路ユニット21と、カバー部材48等を備えている。上記のケース19は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット20を収納するための収納空部22が形成されている。振動子ユニット20は、圧力発生手段の一種として機能する圧電振動子23と、この圧電振動子23が接合される固定板24と、圧電振動子23に駆動信号を供給するフレキシブルケーブル25とを備えている。
【0034】
図3は、振動子ユニット20の構成を説明する素子長手方向の断面図である。同図に示すように、この圧電振動子23は、共通内部電極42と個別内部電極43とで、圧電体44を挟んで交互に積層して形成された積層型の圧電振動子23である。ここで、共通内部電極42は、全ての圧電振動子23に共通な電極であり、接地電位に設定される。また、個別内部電極43は、印加される駆動信号の噴射駆動パルスDP(図5参照)に応じて電位が変動する電極である。そして、本実施形態では、圧電振動子23における振動子先端から振動子長手方向(積層方向とは直交する方向)の半分程度まで若しくは3分の2程度までの部分が自由端部23aとなっている。また、圧電振動子23における残りの部分、即ち、自由端部23aの基端から振動子基端までの部分が基端部23bとなっている。
【0035】
自由端部23aには、共通内部電極42と個別内部電極43とが重なり合った活性領域(オーバーラップ部分)Lが形成されている。これらの内部電極に電位差を与えると、活性領域Lの圧電体44が作動して変形し、自由端部23aが振動子長手方向に変位して伸縮する。そして、共通内部電極42の基端は、圧電振動子23の基端面部で共通外部電極45に導通している。一方、個別内部電極43の先端は、圧電振動子23の先端面部で個別外部電極46に導通している。なお、共通内部電極42の先端は圧電振動子23の先端面部よりも少し手前(基端面側)に位置しており、個別内部電極43の基端は自由端部23aと基端部23bの境界に位置している。
【0036】
個別外部電極46は、圧電振動子23の先端面部と、圧電振動子23における積層方向の一側面である配線接続面(図3における上側の面)とに一連に形成された電極であり、配線部材としてのフレキシブルケーブル25の配線パターンと各個別内部電極43とを導通する。そして、この個別外部電極46の配線接続面側の部分は、基端部23b上から先端側に向けて連続的に形成されている。共通外部電極45は、圧電振動子23の基端面部と、上記の配線接続面と、圧電振動子23における積層方向の他側面である固定板取付面(図3における下側の面)とに一連に形成された電極であり、フレキシブルケーブル25の配線パターンと各共通内部電極42との間を導通する。そして、この共通外部電極45における配線接続面側の部分は個別外部電極46の端部よりも少し手前から基端面部側に向けて連続的に形成されており、固定部取付面側の部分は圧電振動子23の先端面部よりも少し手前の位置から基端側に向けて連続的に形成されている。
【0037】
上記の基端部23bは、活性領域Lの圧電体44の作動時においても伸縮しない非作動部である。この基端部23bの配線接続面側にはフレキシブルケーブル25が配置されており、基端部23b上で個別外部電極46及び共通外部電極45とフレキシブルケーブル25とが電気的に接続される。そして、このフレキシブルケーブル25を通して駆動信号が各個別外部電極46に印加される。
【0038】
流路ユニット21は、流路形成基板27の一方の面にノズルプレート28を、流路形成基板27の他方の面に振動板29をそれぞれ接合して構成されている。この流路ユニット21には、リザーバー30(共通液室)と、インク供給口31と、圧力室32と、ノズル連通口33と、ノズル34とが設けられている。そして、インク供給口31から圧力室32及びノズル連通口33を経てノズル34に至る一連のインク流路が、各ノズル34に対応して形成されている。
【0039】
上記ノズルプレート28は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル34が列状に穿設されたステンレス等の金属製の薄いプレートである。このノズルプレート28には、ノズル34を列設してノズル列(ノズル群)が複数設けられており、1つのノズル列は、例えば180個のノズル34によって構成される。このノズルプレート28のノズル34からインクが噴射される側の面が、本発明におけるノズル形成面に相当する。
【0040】
上記振動板29は、支持板35の表面に弾性体膜36を積層した二重構造である。本実施形態では、金属板の一種であるステンレス板を支持板35とし、この支持板35の表面に樹脂フィルムを弾性体膜36としてラミネートした複合板材を用いて振動板29を作製している。この振動板29には、圧力室32の容積を変化させるダイヤフラム部37が設けられている。また、この振動板29には、リザーバー30の一部を封止するコンプライアンス部38が設けられている。
【0041】
上記のダイヤフラム部37は、エッチング加工等によって支持板35を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部37は、圧電振動子23の自由端部23aの先端面が接合される島部39と、この島部39を囲む薄肉弾性部とからなる。上記のコンプライアンス部38は、リザーバー30の開口面に対向する領域の支持板35を、ダイヤフラム部37と同様にエッチング加工等によって除去することにより作製され、リザーバー30に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
【0042】
そして、上記の島部39には圧電振動子23の先端面が接合されているので、この圧電振動子23の自由端部23aを伸縮させることで圧力室32の容積を変動させることができる。この容積変動に伴って圧力室32内のインクに圧力変動が生じる。そして、記録ヘッド3は、この圧力変動を利用してノズル34からインクを噴射させるようになっている。
【0043】
カバー部材48は、流路ユニット21の側面やケース19の側面を保護する部材であり、ステンレス鋼等の導電性を有する板材から作製されている。本実施形態におけるカバー部材48の一部は、ノズルプレート28のノズル34を露出させた状態でノズル形成面の周縁部に当接しており、当該ノズルプレート28に対して電気的に導通している。カバー部材48は接地されており、ノズルプレート28に接触して導通することで、例えば、記録紙7等から発生した静電気がノズルプレート28を通じて伝達することによる駆動IC等の損傷やノズルプレート28の帯電を防止するようになっている。
【0044】
次に、プリンター1の電気的構成を説明する。図4は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。外部装置50は、例えばコンピューターやデジタルカメラなどの画像を取り扱う電子機器である。この外部装置50は、プリンター1のプリンターコントローラー51と通信可能に接続されており、プリンター1において記録紙7等の記録媒体に画像やテキストを印刷させるため、その画像等に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
【0045】
本実施形態におけるプリンター1は、搬送機構9、キャリッジ移動機構8、リニアエンコーダー14、記録ヘッド3、及び、プリンターコントローラー51を有する。
【0046】
プリンターコントローラー51は、プリンター1の各部の制御を行うための制御ユニットであり、インターフェース(I/F)部54と、CPU55と、記憶部56と、駆動信号生成部57と、を有する。インターフェース部54は、外部装置50からプリンター1へ送信される印刷データや印刷命令を受信したり、外部装置50にプリンター1の状態情報を送信したりする等、プリンター1とのデータの送受信を行う。CPU55は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。記憶部56は、CPU55のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。CPU55は、記憶部56に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。
【0047】
CPU55は、リニアエンコーダー14から出力されるエンコーダーパルスEPからタイミングパルスPTSを生成するタイミングパルス生成手段として機能する。そして、CPU55は、このタイミングパルスPTSに同期させて印刷データの転送や、駆動信号生成部57による駆動信号COMの生成等を制御する。また、CPU55は、タイミングパルスPTSに基づいて、ラッチ信号LAT等のタイミング信号を生成して記録ヘッド3のヘッド制御部53に出力する。ヘッド制御部53は、プリンターコントローラー51からのヘッド制御信号(印刷データおよびタイミング信号)に基づき、記録ヘッド3の圧電振動子23に対する駆動信号COMの噴射駆動パルスDP(図5参照)の印加制御等を行う。
【0048】
駆動信号生成部57は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成部57は、上記の電圧信号を増幅して駆動信号COMを生成する。この駆動信号COMは、記録媒体に対する印刷処理(記録処理或いは噴射処理)時に記録ヘッド3の圧力発生部である圧電振動子23に印加されるものであり、繰り返し周期である単位期間内に、例えば図5に示す噴射駆動パルスDPを少なくとも1つ以上含む一連の信号である。ここで、噴射駆動パルスDPとは、記録ヘッド3のノズル34から液滴状のインクを噴射させるために、圧電振動子23に所定の動作を行わせるものである。
【0049】
図5は、駆動信号COMに含まれる噴射駆動パルスDPの構成の一例を示す波形図である。なお、図5において、縦軸は電位であり、横軸は時間である。また、図5に示すように、本実施形態の噴射駆動パルスDPは平均するとプラスの極性である。噴射駆動パルスDPは、基準電位(中間電位)Vbから最大電位(最大電圧)Vmaxまでプラス側に電位が変化して圧力室32を膨張させる膨張要素p1と、最大電位Vmaxを一定時間維持する膨張維持要素p2と、最大電位Vmaxから最小電位(最小電圧)Vminまでマイナス側に電位が変化して圧力室32を急激に収縮させる収縮要素p3と、最小電位Vminを一定時間維持する収縮維持(制振ホールド)要素p4と、最小電位Vminから基準電位Vbまで電位が復帰する復帰要素p5と、を含んでいる。
【0050】
噴射駆動パルスDPが圧電振動子23に印加されると次のように作用する。まず、膨張要素p1により圧電振動子23が収縮し、これに伴って圧力室32が基準電位Vbに対応する基準容積から最大電位Vmaxに対応する最大容積まで膨張する。これにより、ノズル34に露出しているメニスカスが圧力室32側に引き込まれる。この圧力室32の膨張状態は、膨張維持要素p2の印加期間中に亘って一定に維持される。膨張維持要素p2の後に続いて収縮要素p3が圧電振動子23に印加されると、当該圧電振動子23が伸長し、これにより、圧力室32が上記最大容積から最小電位Vminに対応する最小容積まで急激に収縮する。この圧力室32の急激な収縮によって圧力室32内のインクが加圧され、これにより、ノズル34からは数pl〜数十plのインクが噴射される。この圧力室32の収縮状態は、収縮維持要素p4の印加期間に亘って短時間維持され、その後、制振要素p5が圧電振動子23に印加されて、圧力室32が最小電位Vminに対応する容積から基準電位Vbに対応する基準容積まで復帰する。
【0051】
本実施形態の駆動信号(噴射駆動パルスDP)は上記したようにプラス極性であり、記録動作時において、静電誘導により圧力室32内の圧電振動子23の近傍のインクにマイナス電荷、ノズル34の近傍のインクにプラス電荷がそれぞれ誘導されるため、ノズル34から噴射されたインクはプラスに帯電する。加えて、記録紙7に向けて飛翔しているインクは、レナード効果により一層プラスの帯電が強まる。これにより、飛翔する間にインクが分離して生じるサテライト液滴や、これよりも更に微小なミスト(以下、ミスト等)がプラスに帯電されることになる。
【0052】
次に帯電部10の帯電およびミスト等の捕集について説明する。記録動作時において、記録紙7が搬送機構9の駆動により搬送されると共に、記録ヘッド3がキャリッジ移動機構8の駆動により主走査方向に移動する。これらの移動に伴って空気の流れ(気流)が発生し、この空気との摩擦により帯電部10がマイナスに帯電する。このため、帯電部10は、例えば、筐体2、記録ヘッド3、モーター、駆動ベルト13、リニアスケール14aなどのプリンター1内の構成部品との間に電界を形成することになる。特に、帯電部10と、記録ヘッド3において当該帯電部10に対向する部分との間には、両者が等電位となる場合を除き、他の構成部品と比較して強い電界が形成される。そして、プラスに帯電したミスト等はマイナスに帯電した帯電部に誘導される。なお、他のプリンター1内の構成部品がマイナスに帯電することも考えられるが、帯電部10は、これらの帯電電圧よりも低くなるような素材を用いている。
【0053】
このように、空気との摩擦により、ノズル34からの液体の噴射に伴って生じるミスト等とは反対の極性(本実施形態ではマイナス)に帯電する素材を用いて帯電部10を形成したので、この帯電部10にミスト等を捕集することが可能となり、これらのミスト等がプリンター1内の構成部品(例えば、モーター、駆動ベルト13、リニアスケール14aなど)に付着することが低減される。その結果、ミスト等の付着による故障が抑制され、プリンター1の耐久性および信頼性が向上する。また、ノズル形成面に対して記録紙7側とは反対側にあり、前記ノズル形成面に対向する領域から外れた位置に帯電部10を配設したので、帯電部10とノズル形成面との間の電界(回りこみ電界)の発生を防止でき、この電界の影響により液体(メイン液滴)の飛翔が不安定となることを防止できる。さらに、帯電部10は、記録ヘッド3の移動範囲に沿って配設された構成を採用したので、記録ヘッド3の移動に伴って発生する気流により、ミスト等が記録ヘッド3の移動範囲に沿って飛散する場合でも、ミスト等をより確実に捕集することが可能となる。また、ミスト等は記録紙7の搬送時の気流に乗って搬送方向の上流側から下流側に飛翔し易いが、搬送方向の下流側である紙押さえ部材17に帯電部10を備えたので、ミスト等を更に確実に捕集することが可能となる。
【0054】
ところで、本発明は、上記した第1の実施形態に限られない。図6に示す、第2の実施形態では、帯電部10と対向する位置における少なくとも一部に当該帯電部10に当接する摺擦部材60を記録ヘッド3に備えている。摺擦部材60は、記録ヘッド3の帯電部10側の側面(ケース19またはカバー部材48の側面)の上端部において側面に対して外側に向けて延出したフランジ部60aと、このフランジ部から帯電部10に向けてブラシの毛状の摺擦子が複数本植設された刷子部60bと、から構成されている。この刷子部60bの先端(各摺擦子の先端)は、帯電部10と接触している。そして、記録ヘッド3の移動に伴って摺擦部材60が主走査方向に移動し、刷子部60bの先端が帯電部10を摺擦する。なお、刷子部60bは、摺擦することにより帯電部10を負極性に帯電させることができる素材から形成されている。このような素材としては、帯電列において、より正極性に帯電し易い素材を用いることが望ましく、例えば、ウールやナイロン等により作成することができる。なお、摺擦部材60(刷子部60b)は、カバー部材48を介して接地されている。また、その他の構成は、第1の実施形態のプリンター1と同じであるため、説明を省略する。
【0055】
第2の実施形態の場合も、摺擦部材60の摩擦(摺擦)により、ノズル34からの液体の噴射に伴って生じるミスト等とは反対の極性(本実施形態ではマイナス)に帯電する素材を用いて帯電部10を形成したので、この帯電部10にミスト等を捕集することが可能となり、これらのミスト等がプリンター1内の構成部品(例えば、モーター、駆動ベルト13、リニアスケール14aなど)に付着することが低減される。その結果、ミスト等の付着による故障が抑制され、プリンター1の耐久性および信頼性が向上する。また、ノズル形成面に対して記録紙7側とは反対側にあり、前記ノズル形成面に対向する領域から外れた位置に帯電部10を配設したので、帯電部10とノズル形成面との間の電界(回りこみ電界)の発生を防止でき、この電界の影響により液体(メイン液滴)の飛翔が不安定となることを防止できる。さらに、帯電部10は、記録ヘッド3の移動範囲に沿って配設された構成を採用したので、記録ヘッド3の移動に伴って発生する気流により、ミスト等が記録ヘッド3の移動範囲に沿って飛散する場合でも、ミスト等をより確実に捕集することが可能となる。また、ミスト等は記録紙7の搬送時の気流に乗って搬送方向の上流側から下流側に飛翔し易いが、搬送方向の下流側である紙押さえ部材17に帯電部10を備えたので、ミスト等を更に確実に捕集することが可能となる。そして、本実施形態では、記録ヘッド3に摺擦部材60を備えたので、記録ヘッド3の移動に合わせて帯電部10を摩擦でき、効率よく帯電部10を帯電させることが可能となる。また、簡単な構造で帯電部10を摩擦することができる。
【0056】
次に、図7に示す、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、記録ヘッド3の進行方向(主走査方向)の両側に帯電部10の表面の汚れを除去するワイパー部材61(本発明における清掃部材に相当)を摺擦部材60に備えた点で、第2の実施形態と異なる。本実施形態のワイパー部材61は、ゴムやエラストマー等の板状あるいはブレード状の弾性部材により作成され、刷子部60bを挟んだ主走査方向の両側に、先端部が帯電部10に当接した状態で配置されている。なお、ワイパー部材61は、摺擦することにより帯電部10を負極性に帯電させることができる素材から形成されることが望ましい。そして、このワイパー部材61は、記録ヘッド3の移動に伴って摺擦部材60と共に主走査方向に移動することで、帯電部10の表面を摺動する。
【0057】
第3の実施形態では、摺擦部材60に帯電部10の表面の汚れを除去するワイパー部材61を備えたので、捕集されたミスト等により帯電部10の表面が汚れた場合でも、摺擦部材60によってこの汚れを除去でき、帯電部10の表面の汚れた部分を摩擦できないことによる帯電量の低下を防止することができる。また、簡単な構成でこの汚れを除去することができる。なお、その他の構成および効果は、第2の実施形態のプリンター1と同じであるため、説明を省略する。
【0058】
ところで、上記第1〜第3の実施形態では、プラス極性の駆動信号を用いたが、マイナス極性の駆動信号を用いても良い。この場合、圧電振動子23の電圧に起因する静電誘導によりノズル34から噴射されるインクはマイナスに帯電する。一方、上記したように、飛翔しているインクは、レナード効果によりプラスの帯電が強まる。ミスト等の帯電極性は、これらの兼合いにより決定されるが、どちらの影響が強いかは、プリンター1の構造や駆動信号の波形等の様々な要因により決定されるため、一概には言えない。しかしながら、いずれにしても、帯電部10は、ミスト等の帯電極性とは反対の極性に帯電する素材を用いて形成すればよい。このような場合において、例えば、圧電振動子23の電圧に起因する静電誘導が支配的である場合には、ミスト等がマイナスに帯電するため、帯電部10は、駆動信号の極性(マイナス)とは逆極性(プラス)の極性に帯電し易い素材を使用すればよい。一方、レナード効果が支配的である場合には、ミスト等がプラスに帯電するため、帯電部10はマイナスの極性に帯電し易い素材を使用すればよい。そして、いずれの場合も、帯電部10にミスト等を捕集することが可能となる。
【0059】
なお、上記した各実施形態では、帯電部を紙押さえ部材とは別個に設けたが、これには限らず、紙押さえ部材自体を帯電部とすることもできる。また、帯電部を記録ヘッドに対して紙押さえ部材側に設けたが、これには限らず、記録ヘッドの周囲(記録ヘッドの移動範囲)を囲む状態に配設することもできる。例えば、一辺を紙押さえ部材の長辺に亘って配設し、記録ヘッドを挟んだ反対側(上流側)の他辺を給紙ローラーの上部に配設し、これらの両端部を、副走査方向に平行な辺によって接続した長方形の枠状に形成することもできる。この場合、紙押さえ部材側だけでなく給紙ローラー側にも摺擦部材を配置することが望ましい。
【0060】
さらに、本発明は、圧力発生手段を用いて液体の噴射制御が可能な液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体噴射装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。そして、ディスプレイ製造装置では、色材噴射ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極製造装置では、電極材噴射ヘッドから液状の電極材料を噴射する。チップ製造装置では、生体有機物噴射ヘッドから生体有機物の溶液を噴射する。
【符号の説明】
【0061】
1…プリンター,3…記録ヘッド,7…記録紙,10…帯電部,17…紙押さえ部材,20…振動子ユニット,23…圧電振動子,60…摺擦部材,61…ワイパー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルが形成されたノズル形成面、および、駆動信号の印加により駆動して前記ノズルに連通する圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の駆動により前記ノズルから着弾対象に向けて液体を噴射させると共に、移動可能に構成された液体噴射ヘッドと、
該液体噴射ヘッドと干渉しない位置であって、前記ノズル形成面に対して前記着弾対象とは反対側にあり、前記ノズル形成面に対向する領域から外れた位置に配設された帯電部と、
を備え、
該帯電部は、他の物質との摩擦により帯電する素材から形成されたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記液体噴射ヘッドは、前記帯電部と対向する位置における少なくとも一部に当該帯電部に当接する摺擦部材を備え、
該摺擦部材との摩擦により前記帯電部を帯電させることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記帯電部は、前記駆動信号の極性とは逆極性に帯電する素材から形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記帯電部は、負極性に帯電する素材から形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記帯電部は、該液体噴射ヘッドの移動範囲に沿って配設されたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記摺擦部材は、前記液体噴射ヘッドの進行方向の両側に前記帯電部の表面の汚れを除去する清掃部材を備えたことを特徴とする請求項2から請求項5の何れか一項にに記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記帯電部は、空気との摩擦により帯電する素材から形成されたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−232543(P2012−232543A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104101(P2011−104101)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】