説明

液体噴射装置

【目的】 液体噴射ヘッドが交換された場合であっても、ノズルの目詰まりを確実に防止すること。
【構成】 液体噴射ヘッドが交換されたことが検知された場合、液体噴射ヘッドの液体噴射領域をキャップ手段で覆うようにキャップ手段の駆動手段が制御されるので、確実なキャッピングがなされ、キャップは吐出口面に密着してノズルの目詰まりが防止できるとともに吸引回復操作も確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体噴射装置、特にインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より記録装置としては、様々な画像形成手段を用いた記録装置が実用化されているが、この中でも特に、熱エネルギ−を利用して記録ヘッドのインク吐出口から記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置が注目されている。
【0003】本発明者は、このようなインクジェット記録装置をプリンタ部に使用してファクシミリ装置を構成することを考案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなファクシミリ装置において、記録ヘッドのノズルからインクを吸引することによりインクの吐出回復を行う回復機構を備えたファクシミリ装置は従来知られていない。
【0005】また、インクジェット方式を利用した記録方法において、記録途中で記録を停止して記録ヘッドがキャップ手段によりキャッピングされずに空気にさらされる場合、あるいは記録ヘッドが長時間記録を行わない場合、記録ヘッドのノズルに溜ったインクが乾燥してノズルが非常に目詰まりしやすくなる。ノズルの目詰まりは、記録動作の上で致命的で、極力発生させてはならないことである。
【0006】また、ヘッド一体型のインクカートリッジを使用した場合、新しいカートリッジに交換した時、ノズルに空気が入っていたり、あるいは長時間の印字等でノズル内に気泡が発生したりすると、ポンプ等を利用してノズルからインクを気泡とともに吸引する吸引動作を行わなければ印字できない。しかしながら、このように記録ヘッドが交換されたときに上記キャッピングをあらためて確実に行う操作は従来行われてなく、キャッピングがされないまま放置されたりキャッピングが不十分なまま記録ヘッドの吐出口面が外気と接触すると、ノズルの目詰まりを生じさせることがあるのみならず、上記吸引回復動作も確実に行うことができないという問題を本発明者は見出した。
【0007】また、記録ヘッドの吐出回復操作を行った後、インクの不吐出が解消されたか否か操作者が確認したいにもかかわらず容易に確認できないという問題があった。
【0008】したがって、本発明は、液体噴射ヘッドが交換された場合であっても、液体噴射ヘッドの液体噴射領域を確実にキャッピングし、ノズルの目詰まりを防止することができる液体噴射装置を提供することを目的とする。
【0009】また、本発明は、吐出回復処理後にインクの不吐が解消されたか否かを操作者が容易に確認することができる液体噴射装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は、液体噴射ヘッドを用いて所定の液体を噴射する液体噴射装置であって、前記液体噴射ヘッドの液体噴射領域に対して開閉可能なキャップ手段と、前記キャップ手段を駆動する駆動手段と、前記液体噴射ヘッドが交換されたことを検知する検知手段と、前記検知手段が前記液体噴射ヘッドが交換されたことを検知した場合、前記液体噴射ヘッドの液体噴射領域を前記キャップ手段で覆うように前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】また、上記液体噴射装置は前記液体噴射ヘッドに対して噴射回復処理を行い、噴射口からの液体噴射の回復を行う噴射回復手段をさらに備えることが好ましい。
【0012】さらに、前記液体噴射回復手段は、前記キャップ手段が前記液体噴射ヘッドの液体噴射領域を覆った状態で前記キャップ手段を介して前記液体噴射ヘッドの噴射口内の液体を吸引して液体噴射の回復を行うことが好ましい。
【0013】また、前記液体噴射ヘッドは、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドであって、さらに熱エネルギ−を利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギ−を発生するための熱エネルギ−変換体を備えているインクジェット記録ヘッドであることが好ましい。
【0014】この記録ヘッドは、前記熱エネルギ−変換体によって印加される熱エネルギ−によりインクに状態変化を生起させ、該状態変化に基づいて吐出口よりインクを吐出させるものであることが好ましい。
【0015】また、本発明に係る液体噴射装置の好ましい例としては、外部との通信を行う通信部をさらに有するものである。
【0016】また、本発明に係る液体噴射装置の好ましい例としては、原稿画像読み取り手段と、原稿画像の送受信手段を有するものである。
【0017】また、本発明により、記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、前記記録ヘッドに対して吐出回復処理を行い、吐出口からのインク吐出の回復を行う吐出回復手段と、前記吐出回復手段に対して操作者が吐出回復処理を指示するための指示手段と、前記指示手段からの指示に基づき、前記吐出回復手段が吐出回復処理を実行した後、前記記録ヘッドを駆動して、前記記録媒体にチェック用の画像を記録させる記録ヘッド駆動手段と、を備えることを特徴とする液体噴射装置が提供される。
【0018】
【作用】上記構成を有する本発明によれば、液体噴射ヘッドが交換されたことが検知された場合、液体噴射ヘッドの液体噴射領域をキャップ手段で覆うようにキャップ手段の駆動手段が制御されるので、確実なキャッピングがなされ、キャップは吐出口面に密着してノズルの目詰まりが防止できるとともに吸引回復操作も確実に行うことができる。
【0019】また、本発明によれば、吐出回復処理を指示するための指示手段からの指示に基づき、吐出回復手段が吐出回復処理を実行した後、自動的に記録ヘッドを駆動して、記録媒体にチェック用の画像を記録させるので、インクの不吐が解消されたか否かを操作者が容易に確認することができる。
【0020】
【実施例】以下、図面に従って本発明の実施例を詳細に説明する。
【0021】図1は本発明に係る液体噴射装置をファクシミリ装置に適用した場合のブロック図である。図1において、1はヘッドクリーニングを起動するボタンを有する操作部、2は外部との間でファクシミリ送受信を行う通信部、3は印字を行う記録部、4は原稿を読み取る読取部、5は上記1〜5の各機能部を制御する制御手段としての制御部であり、後述する処理手順を実行するCPU51、その処理手順に対応したプログラム等固定デ−タを格納するROM52及び作業用のRAM53等を有している。また、制御部5にはプリンタカバ−の開閉を検知するプリンタカバ−センサ33と、キャリッジがホ−ムポジションにあるか否かを検知するためのホ−ムポジションセンサ40が接続されている。
【0022】図2は、記録ヘッドとインクを収容したインクタンクが一体化されたインクカ−トリッジ21を示す斜視図である。また、図3は、本発明を適用したファクシミリ装置の記録系として好適なインクジェット記録装置の一例を説明する外観斜視図である。これらの図において、20は熱エネルギーを利用してインクを記録紙に吐出する方式の記録ヘッド、10は記録ヘッド20と一体化され、記録ヘッド20へインクを供給するインクタンクである。
【0023】IJRAはインクジェット記録装置本体である。本実施例におけるインクカートリッジ21は、インクタンク10の前方面よりもわずかに記録ヘッド20の先端部が突出した形状を有している。インクカートリッジ21は、インクジェット記録装置本体IJRAに設けられたキャリッジ16に固定して支持されるともに、このキャリッジ16に対して着脱可能である。
【0024】記録ヘッド20に供給されるインクを貯留したインクタンク10は、インク吸収体と、このインク吸収体を収容するための容器と、これを封止する封止部材(いずれも不図示)とから構成されている。このインクタンク10内には、インクが充填されており、記録ヘッド20からのインクの吐出に応じて順次記録ヘッド20側にインクを供給する。
【0025】以上のように構成されたインクカートリッジ21は、以下説明するインクジェット記録装置IJRAのキャリッジ16に所定の方法で着脱自在に搭載されて、所定の記録信号の入力によって、記録ヘッド20から被記録部材にインクを吐出し、キャリッジ16と被記録部材とが相対的な移動を繰り返すことにより所望の記録画像が形成される。
【0026】図3において、20はプラテン24上に送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行うノズル群を備えたインクカートリッジ21の記録ヘッドである。16は記録ヘッド20を保持するキャリッジであり、駆動モータ17の駆動力を伝達する駆動ベルト18の一部と連結し、互いに平行に配設された2本のガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能とすることにより、記録ヘッド20の記録紙の全幅にわたる往復移動(主走査)が可能となる。この往復移動中に記録ヘッド20は受信データに応じた画像を記録紙上に記録する。この1主走査終了毎に記録紙は前記主走査方向とは直角方向に所定量搬送(副走査)される。26はヘッド回復装置であり、記録ヘッドの移動経路の一端、例えばホームポジションの記録ヘッド20と対向する位置に配設される。
【0027】伝動機構23を介したモータ22の駆動力によって、ヘッド回復装置26は駆動され、キャップ部26Aにより記録ヘッド20のキャッピングを行う。すなわちキャップ部21Aの全周縁を記録ヘッド20の吐出口形成部分に密着させる。このヘッド回復装置26のキャップ部26Aによる記録ヘッド20へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜の吸引手段(例えば、吸引ポンプ)によるインク吸収(吸引回復)を行い、これによりインクを吐出口から強制的に排出させることにより吐出口内の増粘インクや気泡を除去する等の吐出回復処理が行なわれる。
【0028】また、記録終了時等にもキャッピングを施すことにより記録ヘッドが保護される。このような吐出回復処理は電源投入時、記録ヘッド交換時、一定時間以上記録動作が行なわれないときなどに行なわれるものである。31はヘッド回復装置26の側面に配設され、シリコ−ンゴム等で形成されるワイピング部材としてのブレードである。ブレード31はブレード保護部材31Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置26と同様、モータ22および伝動機構23によって動作し、記録ヘッド20の吐出面との係合が可能である。これにより、記録ヘッド20の記録動作における適切なタイミングで、あるいはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理後にブレード31を作動させ、記録ヘッド20の吐出面に付着した結露、インクの濡れあるいは塵埃等を拭き取ることができる。
【0029】40はキャリッジ16がホ−ムポジションの位置にあることを検知するためのホ−ムポジションセンサであり、マイクロスイッチやフォトインタラプタ等から構成される。
【0030】図4はファクシミリ装置本体の斜視図である。ファクシミリ装置本体の前面に位置するプリンタカバー37を開閉することによりカバーセンサ33がON/OFFする。カバーセンサ33としてはマイクロスイッチやフォトインタラプタを用いることができる。プリンタカバーが37が開けられると、記録動作を行っていた場合でも記録を中止し、インクカートリッジ32はキャッピングを行う所定の位置であるホ−ムポジションに戻る。
【0031】プリンタカバー37が閉じられると、記録ヘッド34に回復装置35のキャップ部が押しつけられ、インクの吸引が行なわれる。記録紙は記録紙搬送ローラ36により排紙される。
【0032】図5はプリンタカバー37を監視するタスクのフローチャートで、このタスクは電源ONと同時に起動され、かつ100msec毎に起動される。タスクが起動されると、カバーセンサ33の状態が記憶してあるフラグ cover data の状態と同一か否かを見る(ステップS1)。カバーセンサ33はONでカバー閉、OFFで開である。カバーセンサ33の状態に変化があれば、すなわち前記状態がフラグ cover data の状態と異なっているとき、フラグ cover data にカバーセンサ33の状態を記憶し、ONからOFF、あるいはOFFからONとする(ステップS2)。ステップS1においてカバーセンサ33の状態に変化がなければこのタスクは終了する。
【0033】ステップS2の次に、フラグ cover data のON/OFFを調べて(ステップS3)、ONならばステップS4に、OFFならばこのタスクは終了する。ステップS4では記録ヘッドのキャッピングを要求するフラグ capping reqをONにし、ステップS5でヘッドクリーニングを要求するフラグ head cleaning reqをONにして終了する。
【0034】ここではプリンタカバー37にセンサを設けた場合について説明したが、記録ヘッド一体型のインクカートリッジのリリースレバー等のリリースのON/OFFを認識できる部分あるいはカートリッジの台にセンサを取り付けて、カートリッジが交換されたことをセンサで認識して、同様のヘッドクリーニング動作を行うようにしてもよい。
【0035】図6は自動ヘッドクリーニングタスクのフローチャートで、このタスクは100msec毎に起動される。
【0036】タスクが起動されると、プリンタヘッドのキャッピングを要求するフラグ capping reqがONであるか否かを見る(ステップS11)。フラグ capping reqがONならばステップS12へ進み、フラグ capping reqがOFFならステップS14へ進む。
【0037】ステップS12では記録系回復部に対し、記録ヘッドのキャッピング開始信号を送出し、キャッピングを行う。具体的には、まずキャップを一旦記録ヘッドから離間させ、その後、キャリッジを駆動して主走査方向かつホ−ムポジションから離れる方向へ所定長移動させる。次に再びキャリッジを駆動してホ−ムポジション方向へ戻し、ホ−ムポジションセンサによりキャリッジがホ−ムポジションに復帰したことを検知した後、キャッピングを行う。この様にしてキャッピングを行った後、キャッピング要求フラグ capping reqをOFFにして(ステップS13)、ステップS14に進む。
【0038】このような操作を行うのは次の理由による。それは記録ヘッドを、回復動作部内のキャップに確実に密着させることによって、その後に吸引ポンプを駆動して行われる吸引回復動作が確実となるからである。すなわち、インクカートリッジを人の手で付けたりはずしたりした後は、記録ヘッドの吐出口部とキャップとの間にわずかな隙間ができてしまい、吸引ポンプにより吸引力を作用させても上記隙間から外気が侵入し、十分な吸引動作が行われなくなる。しかし、本発明によれば上述の如く、インクカートリッジを人の手で付けたりはずしたりした後は、装置側で自動的にキャッピングをやり直すことになるため、吸引回復を確実に行うことができるのである。
【0039】ステップS14ではヘッドクリーニング要求フラグ head cleaning reqを見て、フラグがONならステップS15へ、フラグがOFFなら終了する。ステップS15では記録系回復部に対し、記録ヘッド20のクリーニング開始信号を送出し、記録ヘッド20の吐出口部をキャッピングした状態でキャップ部26Aに連通された不図示の吸引チュ−ブを介して吸引ポンプを駆動してノズル内よりインクを吸引することにより吐出を正常状態に回復させる。クリーニング終了後、head cleaning req をOFFにして(ステップS16)、終了する。
【0040】このタスクは100msec毎に起動しないようにして、コピー,レポート等の記録が起動された時に、記録直前に起動するようにしてもよい。そうすることにより、無駄な吸引動作を減らすことができる。また、本体あるいはプリンタヘッド部に温度センサおよび湿度センサを取り付けて、これらのセンサを定期的に監視することにより、ノズル内のインクが乾燥するような高温あるいは低湿の状態が維持されたことを感知した場合、このタスクを起動してもよい。
【0041】図7はクリーニングキーが押下された場合に起動されるタスクのフローチャートである。クリーニングキーが押下されると、記録系回復部に対し記録ヘッドのクリーニング開始信号を送出し、ヘッドクリ−ニングを行なう。する(ステップS21)。次に、記録紙を記録可能な位置までフィードさせるコマンドを記録部に送出し、記録紙のフィ−ドを行なう(ステップS22)。フィードが終了したら、チェックパターンを印字するコマンドを記録部に送出し、チェックパタ−ンの印字を行なう(ステップS23)。
【0042】このチェックパターンは、図8に示すように360dpiの精度を持つ記録ヘッドの64列1行のノズルのインクの不吐出が解消しているか確認できるようなパターンになっている。すなわち不吐出が解消されていないノズルについては横方向の記録が行われないことから、横方向の記録が欠如している位置が何番目であるかを知ることにより、上から何番目のノズルの不吐出が解消されていないかを知ることができる。印字が終了したら、記録紙を排紙するコマンドを記録部に送出して記録紙を排紙し(ステップS24)、終了する。
【0043】本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギ−を利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。
【0044】その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシ−トや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギ−を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0045】このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0046】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成としてもよい。
【0047】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギ−の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成とすることもできる。
【0048】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0049】加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカ−トリッジタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0050】また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリ−ニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モ−ドを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0051】さらに、記録装置の記録モ−ドとしては黒色等の主流色のみの記録モ−ドだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラ−、または混色によるフルカラ−の少なくとも一つを備えた装置とすることもできる。
【0052】以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0053】加えて、積極的に熱エネルギ−による昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギ−として使用せしめることで防止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギ−の記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギ−によって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シ−ト凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0054】さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、上述のファクシミリ装置の形態の他、ワ−ドプロセッサやコンピュ−タ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられる形態や、リ−ダ等と組み合わせた複写装置の形態を採るものであっても良い。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、液体噴射ヘッドが交換されたことが検知された場合、液体噴射ヘッドの液体噴射領域をキャップ手段で覆うようにキャップ手段の駆動手段が制御されるので、確実なキャッピングがなされ、キャップは吐出口面に密着してノズルの目詰まりが防止できるとともに吸引回復操作も確実に行うことができる。
【0056】また、本発明によれば、吐出回復処理を指示するための指示手段からの指示に基づき、吐出回復手段が吐出回復処理を実行した後、自動的に記録ヘッドを駆動して、記録媒体にチェック用の画像を記録させるので、インクの不吐が解消されたか否かを操作者が容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体噴射装置をファクシミリ装置に適用した場合のブロック図である。
【図2】インクカートリッジの斜視図である。
【図3】インクジェット記録装置の一例を示す外観斜視図である。
【図4】ファクシミリ装置本体の斜視図である。
【図5】プリンタカバーを監視するタスクのフローチャートである。
【図6】自動ヘッドクリーニングタスクのフローチャートである。
【図7】クリーニングキーが押下された場合に起動されるタスクのフローチャートである。
【図8】チェックパターンを示す図である。
【符号の説明】
1 操作部
5 制御部
20 記録ヘッド
26A キャップ部
26 ヘッド回復装置
33 カバ−センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体噴射ヘッドを用いて所定の液体を噴射する液体噴射装置であって、前記液体噴射ヘッドの液体噴射領域に対して開閉可能なキャップ手段と、前記キャップ手段を駆動する駆動手段と、前記液体噴射ヘッドが交換されたことを検知する検知手段と、前記検知手段が前記液体噴射ヘッドが交換されたことを検知した場合、前記液体噴射ヘッドの液体噴射領域を前記キャップ手段で覆うように前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】 前記液体噴射ヘッドに対して噴射回復処理を行い、噴射口からの液体噴射の回復を行う噴射回復手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の液体噴射装置。
【請求項3】 前記液体噴射回復手段は、前記キャップ手段が前記液体噴射ヘッドの液体噴射領域を覆った状態で前記キャップ手段を介して前記液体噴射ヘッドの噴射口内の液体を吸引して液体噴射の回復を行うことを特徴とする請求項2記載の液体噴射装置。
【請求項4】 前記液体噴射ヘッドは、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドである請求項1記載の液体噴射装置。
【請求項5】 前記記録ヘッドは、熱エネルギ−を利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギ−を発生するための熱エネルギ−変換体を備えているインクジェット記録ヘッドである請求項4記載の液体噴射装置。
【請求項6】 前記記録ヘッドは、前記熱エネルギ−変換体によって印加される熱エネルギ−によりインクに状態変化を生起させ、該状態変化に基づいて吐出口よりインクを吐出させるものである請求項5記載の液体噴射装置。
【請求項7】 外部との通信を行う通信部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項8】 原稿画像読み取り手段と、原稿画像の送受信手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項9】 記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、前記記録ヘッドに対して吐出回復処理を行い、吐出口からのインク吐出の回復を行う吐出回復手段と、前記吐出回復手段に対して操作者が吐出回復処理を指示するための指示手段と、前記指示手段からの指示に基づき、前記吐出回復手段が吐出回復処理を実行した後、前記記録ヘッドを駆動して、前記記録媒体にチェック用の画像を記録させる記録ヘッド駆動手段と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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